平成21年度江別市政執行方針
平成21年3月4日 第1回江別市議会定例会において三好市長が述べた市政執行方針です。
- はじめに
- 基本認識
(1)市民協働の推進
(2)未来への投資
(3)改革の推進 - 5つの街づくりと重点項目
(1)みんなが元気でやさしい街
(2)子どもたちの未来を育む教育・文化の街
(3)多彩な産業活動を生み出す活力あふれる街
(4)市民とともに歩む街
(5)確かな明日に向かってしっかり歩きだす街 - 平成21年度予算案
(1)背景と予算規模
(2)歳出の概要
ア.環境と調和する都市の構築
イ.明日につながる産業の振興
ウ.安心を感じる保健・医療・福祉の充実
エ.安全で快適な都市生活の充実
オ.豊かさと創造性を育む生涯学習環境の充実
カ.市民協働によるまちづくり
キ.計画実現に向けて
(3)歳入の見通し - おわりに
ただいま上程されました、平成21年度予算案及びこれに関連する諸案件をご審議願うにあたり、私の市政に対する基本的な考えと予算の大綱についてご説明申し上げます。
私は、「明日の江別を確かなものに」を掲げ、市民の皆様の負託により市長に就任し2年になろうとしておりますが、これまで市政執行にあたっては、市民の皆様や議員各位と論議をしながら、取り組んできたところであります。
今後とも、江別の魅力や可能性をさらに高め、揺るぎない経済基盤を築くためにはどのような方向に舵を切るべきかを考え、市政を執行してまいりたいと考えております。
さて、江別市を取り巻く環境は厳しさを増すばかりであります。
昨年来の米国の金融危機に端を発し、いま世界経済はかつて経験したことのない危機に直面しているといえます。
先日発表された国内総生産は、35年ぶりに年率換算で12.7%のマイナスとなるなど、経済情勢は極めて厳しく、日本の基幹産業である輸出産業も急速な経営悪化が見られ、結果として雇用不安などの実体経済に深刻な影を落としております。
一方、道内経済においても、企業の業況判断指数は過去最悪を記録し、また比較的安定していた道央圏においても大手企業の経営危機が表面化するなど、同様の厳しさが見られます。
江別市においては、製造業の割合が他市と比べ低いことから急速な悪化は見られないものの、今後の企業業績や雇用に関しては予断を許さない状況にあります。
私は、このような厳しい環境であればこそ、住民に最も身近な存在である地方自治体は、住民福祉を向上させ、誰もが幸せで心豊かな生活を過ごせるよう行政活動を行う責任のもとに、市内企業や商工関係団体等と連絡を密にし、大学の知的資源を活用するなど産学官連携の強化を進め、また将来への投資もしっかり行っていく必要があると考えております。
そして個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現のためには、しっかりとした目標と安定した行財政基盤を持つことで、はじめて持続可能な発展を成し遂げることができるものと考えております。
平成21年度は、第5次総合計画・後期基本計画の初年度となりますが、基本構想に掲げる「人が輝く共生のまち」を江別市が目指す目標とし、計画に盛り込まれた政策と施策の方向性をしっかり見据え、目標の達成に向けて行政運営を進めていく必要があります。
私は、以下に述べる3つの基本認識と5つの街づくりを基本として、市政運営を進めてまいりたいと考えております。
まず最初は、市民とともに歩む「市民協働の推進」であります。
江別市には、人材をはじめすばらしい地域資源があります。
一つは多様な知識や経験、意欲をお持ちの市民の皆様です。
市民と行政が対話しつつ、市民の方々が主体的に進める協働事業が今や20事業を超えております。今後とも多くの市民の皆様の力を借りて、市民協働の取り組みを拡大してまいりたいと考えております。
またもう一つの資源は市内の4つの大学です。
大学の持つ人的、知的、物的な資源を街づくりに生かしていくため、このたび市内4大学と商工会議所と市で、「包括連携・協力に関する協定」を締結いたしました。
これからも、これらの貴重な地域資源を生かし、大学との個別具体的な連携を進めることなどにより、『協働の街づくり』を進めてまいりたいと考えております。
第二には、持続可能な都市の基礎を固める「未来への投資」であります。
経済の厳しい時だからこそ将来の方向を示すこと、その環境変化をタイムリーに捉え、そして未来に向かっての対応を論議し、お示しすることで、「人々が住んでみたい、そうして企業の方々が魅力を感じ投資したい。」そう思ってもらえる街になることが必要です。
そのためには、まず相互理解が必要であり、私は企業の方々との思いを共有するため、引き続き市内で活動する企業や関係団体との対話を進めてまいります。
そうすることで市内企業と連携できる企業の誘致が可能となり、結果として市内経済の基盤が強化されるものと考えます。
また、江別の顔づくり事業など将来に向けての基盤整備もしっかりと進め、持続可能な都市の基礎を固める「未来への投資」を着実に進めてまいります。
さらに、市民の皆様の雇用不安に対応するため、国の施策を活用し、市としての雇用対策をしっかり進めてまいります。
第三には、市民の目線で進める「改革の推進」であります。
行政改革は立ち止まることが許されません。また、その改革は市民から見て納得できるものでなくてはなりません。私たちには持続可能な財政基盤と、これからの分権社会にふさわしい組織の確立が求められております。
今後は、遊休資産の積極的活用や必要に応じた売却、施設の統廃合など市有財産の再評価を進め、過去のしがらみにとらわれない必要な改革への挑戦をするとともに、行政改革大綱を基本とし、その個別計画である行政改革推進計画に沿って改革を進めてまいります。
次に、私が就任当初から掲げている5つの街づくりと、平成21年度予算の重点項目を申し上げます。
第一は、「みんなが元気でやさしい街」であります。
急速な少子高齢化の進行による人口減少社会となる中で、住み慣れた地域において安心して暮らすことができる社会が求められています。
このようなことから、継続して大麻地区住環境関連の調査研究を進めるほか、関係団体の協力を得て、地域内で連帯し助け合いが行われるよう、地域交流に関する事業の活発化に努めてまいります。
また、北海道洞爺湖サミットを契機に多くの市民が環境を身近な問題として意識することが多くなったこと、さらには、環境講座や経営環境セミナーの開催などに積極的に取り組んだ結果、 「えべつ市民環境講座」の参加者なども大きく増えてきたところであります。
今後とも環境に関連する各種事業の充実を図ってまいります。
一方、市立病院の経営再建は、多くの方々のご協力によりやっと出発点に立つことができました。今後とも医師をはじめとした診療体制の充実を図ることにより、市民の皆様が安心して受診できる医療体制が整うものと考えております。
私は、「地域内交流の促進と安心できる医療の確保」を重点項目に、「みんなが元気でやさしい街」づくりを進めてまいります。
第二は、「子どもたちの未来を育む教育・文化の街」です。
子どもたちの笑顔が輝き、安心して子育てができること、子どもがその個性と可能性を大きく伸ばしながら、楽しく学ぶことができること、これらは市民共通の願いです。
子どもたちはそれぞれに多様な個性を持ち、無限の可能性にあふれています。私たちには、未来を担う子どもたちの可能性を伸ばすために、豊かな人間性を培い、その個性を存分に発揮できる環境を整える義務があります。
昨年は子どもたちのために、企業の方々からは社会貢献事業として、個人の方からはふるさと納税として、多くの寄附金をいただきました。
今後ともこれら寄附金を活用して、「ファミリーサポート制度」や「こんにちは赤ちゃん事業」、「親と子の絵本事業」などの事業を展開し、保護者の方々や子どもたちへ皆様の善意を届けたいと考えております。
また情報図書館や学校図書館において、ボランティアによる読み聞かせ活動を、より一層活発化させるための支援を行うなど、読書環境の充実を図ってまいります。
私は、「子育てと教育の強化」を重点項目に、「子どもたちの未来を育む教育・文化の街」づくりを進めてまいります。
第三は、「多彩な産業活動を生み出す活力あふれる街」であります。
江別市は依然として購買力の多くが札幌に流れるなど、経済的な基盤を札幌に依存しております。しかし地産地消や物流コストを考慮に入れたフードマイレージという考え方が進みつつある今、域内の資源を活用し消費することが、地域の自立につながることになります。
また近年の食への関心の高まりから、生産者の顔が見える農業や、都市と農村との交流を深める、グリーンツーリズムなどの事業展開が注目されております。
江別市ではこれまでに、産学官が連携し経済ネットワークや大豆プロジェクト協議会の立ち上げ、F'sフェスタの開催など、地域資源を生かした農商工の6次産業化の取り組みを進めてまいりましたが、これからも豊かな農地を生かした、安心安全で付加価値の高い農産物の生産を支援し、江別市が目指す都市型農業への取り組みを進めてまいります。
一方で都市基盤の整備も必要であります。
今後とも江別の顔づくり事業の推進により、都市基盤を磐石なものとし、さらにRTNパークに新たな企業誘致を進めるなど工業用地の活性化を図り、企業誘致を強力に推進してまいります。
私は、「産業の活性化と都市基盤の整備」を重点項目に、「多彩な産業活動を生み出す活力あふれる街」づくりを進めてまいります。
第四は、「市民とともに歩む街」であります。
これまで日本経済の発展を支えてきた、いわゆる団塊の世代の方々が定年退職を迎える今、時を同じくして江別市の人口も減少しつつあるなど、社会構造の変化は急激に進むものと考えられております。こういった社会情勢の中では、行政がすべての事業を実施することは難しく、市民と行政がともに考える市民自治が基本となります。
第5次総合計画の柱である「市民協働のまちづくり」や「開かれた行政づくり」など、既に市民自治の考え方のもとに進められている街づくりの理念と仕組みを体系化した「自治基本条例」については、これまでの熱心な市民議論を踏まえ、更なる普及とその啓発に努めてまいります。
また、高齢化社会における防災、防犯など地域の安全を確保するためには、身近な問題を支え合う仕組みづくりと、生活支援等多様なサービスの担い手を確保することが極めて重要であり、今後も市民参加によるコミュニティづくりを進める必要があります。
私は、「市民の目線で進める市民主体の行政」を重点項目に、「市民とともに歩む街」づくりを進めてまいります。
第五は、「確かな明日に向かってしっかり歩きだす街」であります。
平成21年度は、第5次総合計画・後期基本計画の初年度であります。基本構想で示された都市像と政策の方向性をしっかり見据え、未来への責任ある行政運営を進めなくてはなりません。
そのためには、今後とも市民と情報を共有化するための手段である行政評価システムの適切な運用を行うなど、行政の情報や活動を公表し、効果的な事務事業の展開を図ってまいります。
また、近隣市町村との広域的な連携や機能分担など、横断的な取り組みを進めてまいります。
私は、「行政情報の共有化と計画の推進」を重点項目に、「確かな明日に向かってしっかり歩きだす街」づくりを進めてまいります。
以上、市政執行にあたっての基本姿勢と私の街づくりに対する考え方などについて申し上げました。
次に、平成21年度の市の予算でありますが、国においては「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」等での考え方を基本に、企業の経営環境や雇用情勢の急激な悪化を受けた「現下の経済情勢への緊急対応」としての1次・2次補正予算と合わせ、当初予算と連動して対策を図ることとされました。
また、地方財政計画においては、新たに「地域雇用創造推進費」等の措置がされたほか、地方の税収不足等に対応して臨時財政対策債の増加が図られるなど、地方の一般財源確保への対応が行われた結果、当市においても一定の財源確保ができたところであります。
本年度は、第5次総合計画の後期基本計画がスタートする年であり、ここに掲げられた政策について、昨年来の経済動向等も踏まえ、市内の経済状況に配慮するとともに、国の補正予算への対応や民間の活力・資源の活用を含め、各種施策の緊急度・優先度等を考慮し予算編成を行ったものであります。
その結果、平成21年度の各会計予算規模は、前年度当初予算と対比してみますと、
一般会計:383億2,000万円 0.7%の減
特別会計:194億9,020万円 4.9%の減
企業会計:147億3,499万3千円 0.6%の減
合計:725億4,519万3千円 1.8%の減
となるものであります。
以下、平成21年度の予算案の概要について申し上げます。
第1に、「環境と調和する都市の構築」について申し上げます。
まず、環境への負荷を減らす循環型社会の形成は、私たちが日々の生活を通して着実に取り組んでいかなければならない大きなテーマであると言えます。
しかし、人々の生活様式や価値観は時代とともに変化し、ともすれば忘れがちな身近な自然環境や生活環境の中に、この環境問題への課題が潜んでおります。これらの課題については市民の皆様や企業などとも連携しながら協働の取り組みのもとに解決していかなければならないものと考えております。
そのため、市民団体や小売店、スーパーなどからなるごみゼロ推進連絡協議会等と連携を図りながら、マイバッグ等の推進や家庭用廃食油の資源化について啓発するほか、ごみの適正な分別収集を進め、資源の有効活用を図るため、市民の自主的な集団資源回収活動に対して引き続き助成するとともに、新たな一般廃棄物処理基本計画の策定に向けたアンケート調査等を実施してまいります。
次に、人と地球にやさしい環境の創出につきましては、市民の環境や省エネに対する意識の啓発を図るため、市民環境講座や環境広場の開催を継続するとともに、特に子どもの頃から環境問題に関心が持てるように、市内企業などの協力を得ながら小学生を対象に環境学校の取り組みを進めてまいります。
また、水とみどりの保全と創出活用では、引き続き工業団地協同組合との協働により世田豊平川河川敷での市民植樹を行うとともに、自治会などにおける花のある街並みづくりに対して助成してまいります。
第2に、「明日につながる産業の振興」について申し上げます。
先ごろ発表されたGDPでは、年率換算で12.7%のマイナスとなるなど、昨年来の経済環境の悪化により市内経済への影響も懸念されることから、平成20年度の一般会計補正予算による市内消費の拡大や公共事業の追加等を行い、市内の雇用の維持と経済の活性化を図ってまいりました。
また、新年度予算においても、中小企業対策を行うほか、積極的な企業誘致と立地企業への支援を行ってまいります。
さらに、都市型農業の推進や競争力のある産業の育成、振興を図ることで、個人や企業の経営基盤を強化し、地域における雇用の創出や維持につなげてまいります。
まず、商工業の振興につきましては、最近の経済状況の悪化を受けて、市内の中小企業者等への資金繰り対策として、運転資金の新規融資枠の拡大を図ったほか、定額給付金等が市内で消費循環されるよう、商工会議所や市商連などとも連携し、域内消費について市民にPRしてまいります。
また江別駅前地区活性化のため誘致を進めていたコールセンター企業などの立地も決まり、駅前地区の活性化が期待されるところでありますが、さらに地域の賑わいや活力の創出のために、やきもの市や北海鳴子まつりなどのイベントに対して、引き続き助成してまいります。
次に、就業環境の整備では、厳しさを増す雇用環境の中で、就職を希望する高校生に対してビジネスマナーの習得支援や個別カウンセリングなどを実施するとともに、市内経済団体等との連携による若手経営塾の開催を通じて、企業後継者の育成を支援してまいります。
また、平成19年度から実施している厚生労働省から委託された「地域雇用創造推進事業」に加え、新たにモデル事業の指定を受けた「地域雇用創造実現事業」と合わせて、市内での雇用環境の創出や維持に向けて努力してまいります。
次に、産学官連携推進のため、引き続き経済ネットワークなどによる人的交流、新事業の創出や新製品開発を目指す活動を支援するとともに、立地した企業に対して、雇用創出などに対する助成制度に基づき支援をしてまいります。
また、RTNパーク地区での食品製造業などの誘致や、地元企業と市内大学との連携強化に向けて取り組むほか、誘致対象企業の選定や設備計画・事業計画などの動向に関するデータの収集や、地元企業者との情報交流等を行い積極的な企業誘致活動を進めてまいります。
次に、都市型農業の推進につきましては、「えぞ但馬牛」の優良繁殖牛導入について引き続き支援するとともに、新たに優良肥育素牛(ひいくもとうし)の買入れに対して無利子貸付を行うほか、新規就農希望を含めた農業の担い手育成研修の事業を充実してまいります。
また「グリーンツーリズム計画」に基づき具体化に向けた講習会を開催するほか、貸し農園やサタデー&サンデーマーケット等を通じて農家と市民との交流を進め、農村地域の活性化を図ってまいります。
第3に、「安心を感じる保健・医療・福祉の充実」について申し上げます。
保健や医療、福祉の充実では、各分野において目標年次等を定めた個別計画に基づき、各施策間の連携を図りながら、障がい者の自立支援への対応や地域で支え合う取り組みを支援してまいります。
また、本年度は地域福祉計画や次世代育成支援行動計画の見直し、第4期介護保険事業計画や第2期障がい福祉計画の初年度に当たることから、これらを第5次総合計画・後期基本計画と連動させながら推進してまいります。
「健康づくり推進事業」においては、引き続き健康管理指導や健康づくり活動などに取り組むとともに、「妊産婦健康診査」では健診助成回数を5回から14回に拡大し、安心して子どもを産み育てられる環境の整備を図り、市民の生涯を通じた健康の維持・増進について支援してまいります。
次に、子育て環境の充実についてでありますが、子育て支援センター「すくすく」での日曜日開館の試行や「親子にこにこ広場」を新たに大麻地区で開催するとともに、企業からの協賛により「こんにちは赤ちゃん事業」や「親と子の絵本事業」を引き続き実施してまいります。
また幼児教育では、私立幼稚園での特別支援教育、未就園児の保育や一時預かり等の取り組みに対して新たに支援してまいります。
さらに、障がい者福祉の充実では、障害者自立支援法に基づき、精神障がい者の地域における支援のためのケアマネジメントや、自立に向けた日常生活の支援として、新たにタクシー利用料金助成の対象に加えるなど支援体制を整備してまいります。
次に、高齢者福祉の充実では、江別・野幌・大麻と日常の生活エリア毎に地域包括支援センターを配置し、これを中心にして介護予防や相談業務等を実施するほか、市内事業者による高齢者筋力向上トレーニングなどの介護支援事業等について引き続き実施してまいります。
また、社会保障の充実では、昨今の経済情勢の悪化を受けて生活保護の相談や申請等が増加する中で、生活に困窮する世帯への生活保障の適正な実施、さらには自立に向けて就労支援員による支援の充実を図るとともに、住宅困窮者等に対する市営住宅の環境改善を引き続き実施してまいります。
次に、本年9月に当市で開催される「全国健康福祉祭(ねんりんピック)」の将棋大会に出場される選手や関係者の皆様に良い思い出となるよう支援してまいります。
また、国民健康保険事業につきましては、医療費の適正化に向け特定健診の受診率を高めていくための組織体制の強化を図るとともに、被保険者証をカード方式に改めサービス向上に努めるなど、引き続き医療費の適正化と国民健康保険事業の健全化に努めてまいります。
次に、介護保険事業につきましては、第4期介護保険事業計画の初年度となりますが、介護従事者報酬の引上げや高齢者人口の増加により介護給付費の増嵩が見込まれることから、基金の取り崩しのほか、所得段階を7段階制とすることにより保険料の引上げを抑制し、各種介護予防事業や地域支援事業の実施に努めてまいります。
さらに、市が直接行っていた地域包括支援センター業務を民間に移行し、より地域に密着した包括支援体制を構築するとともに、高齢者福祉サービスを活用した独居老人等の見守りや安否確認等も含め引き続き実施してまいります。
また、厳しい経営状況にある病院事業につきましては、平成19年度に発生した不良債務については、公立病院改革プランに基づき「公立病院特例債」を発行し解消するとともに、懸案となっていた産科医療の再開のめどが立ったことから、休止していた病棟の再開を進め、病院経営の健全化に向けて努力するほか、救急医療や産科医療確保等に対して一般会計からの繰入支援を実施してまいります。
第4に、「安全で快適な都市生活の充実」について申し上げます。
快適で住みやすく、市民の皆様が住み続けたいと思える都市づくりを目指すためには、都市基盤の整備・充実を図り、事故や災害から市民の生命・財産を守ることが大切であります。
まず、交通環境の充実につきましては、兵村4丁目通りの拡幅整備を完成させるとともに、大麻東駅通りについて駅周辺のバリアフリー化の視点から引き続き道路事業を進めてまいります。
また、道路の維持管理では、路面凍上改修や道路再整備事業を実施し、市民生活の基盤となる生活道路の整備に努めるとともに、引き続き市内バス路線確保のための助成を行ってまいります。
次に、雪国としての冬の市民生活を支えるために、雪対策基本計画に基づき市民との協働のもとに「除排雪事業」や「自治会排雪支援事業」等を継続して実施し、快適な生活が確保できるよう努めてまいります。
次に、危機管理の強化・充実を図るため、地域の防災力向上に向けた市民防災講座の開催や災害時の要援護者支援について関係機関との連携・強化を図るほか、洪水対策として排水機場の整備や河川の浚渫工事等を進めるとともに、災害時の避難場所となる小中学校の耐震化について積極的に進めてまいります。
また、既存建築物などの耐震化を促進する江別市耐震改修促進計画を策定してまいります。
市街地整備の充実では、コンパクトな街づくりを基本に、中心市街地の活性化を目指す「江別の顔づくり事業」において、北海道が実施する連続立体交差事業の本格化に合わせ、市が実施する土地区画整理事業について駅前広場の実施設計を行うほか、物件移転等を進めてまいります。
また、市民と行政による協働の取り組みとして、引き続き地元自治会などの団体と市がともに協力しながら公園の適正管理を行うアダプト制度や「市民参加による公園づくり事業」を実施するとともに、自治会等による街路灯の設置や維持費に対して助成するほか、消費に対する安心・安全が問われている今、消費者が抱えている問題の解決や苦情・相談に適切に対応できるよう消費生活相談体制の充実を図ってまいります。
次に、上水道の整備につきましては、石狩東部広域水道企業団の構成団体の一員として、引き続き事業に参画するとともに、安全で良質な水道水の安定的な供給に努めてまいります。
また、下水道につきましても、災害に強い安全で快適な生活を実感できる地域づくりを推進するため、引き続き大麻地区等の雨水幹線整備や浄化センターの整備を実施するとともに、新たに浄化センター等の維持管理業務について委託を進めてまいります。
次に、電子情報化の推進につきましては、アウトソーシングを基本とした住民情報システムや国と地方を結ぶ総合行政ネットワークシステムの運用を図ってまいります。
次に、消防・救急の充実につきましては、高度化する救急業務に対し、引き続き救急救命士への研修を実施するほか、高規格救急自動車の更新整備を行い、安全で安心な救急業務体制の充実に努めてまいります。
また、老朽化している通信指令システムの更新に係る実施設計を行うほか、無線のデジタル化については、平成25年度の運用開始を目指し、札幌市を含む石狩管内の各消防と共同で取り組むとともに、引き続き住宅用火災警報器の設置普及に努めてまいります。
第5に、「豊かさと創造性を育む生涯学習環境の充実」について申し上げます。
自ら考え、自ら主体的に行動することができる人間性豊かな子どもたちを育成していくために、学校教育の諸施策を展開するとともに、生涯学習の「場」づくりや参加・育成型のスポーツ・文化活動、さらには、良好な地域コミュニティの形成を支援してまいります。
また、学校の適正配置については「学校適正配置基本計画」に基づき、地域の皆様の意見をいただきながら取り組んでまいります。
まず、子どもの可能性を伸ばす教育の充実につきましては、引き続き小学生の英会話教育の充実に努めるとともに、小学校5、6年生への英語必修化に向けた対応を図るほか、地域の社会人による授業を行ってまいります。
また、子どもの確かな学力の向上を目指し、新たにティームティーチングとして退職教員等による「小中学校授業サポート事業」を開始するなど、小中学校の学習支援活動に取り組んでまいります。
次に、特別支援教育の推進では、発達障がい等の児童・生徒に対する学生ボランティアによる学習支援や、各学校に配置する特別支援教育補助員を増員するなど、必要な支援に努めてまいります。
また、小中学校における読書環境整備のため、学校図書館に引き続き司書を派遣するとともに、新たに情報図書館に学校支援指導司書を配置してまいります。
さらに学校図書館の蔵書率向上につきましては、企業などからの寄附を活用するほか、図書整備予算の増額を図るとともに、中学生の職業観を育てるため、職場体験を基本にした「キャリア教育推進事業」を継続して実施してまいります。
また小中学校は、災害時の避難場所ともなりますことから、平成23年7月からの地上デジタルテレビ放送の本格実施に向けた対応を図ることとしております。
学校施設の整備では、大規模改修事業として江陽中学校のトイレ改修工事を実施するほか、北光小学校のボイラー更新、第三中学校の屋上防水改修工事、さらには大麻東小学校及び第二中学校の耐震改修実施設計のほか、第三小学校、大麻小学校、東野幌小学校の耐震診断を行ってまいります。
次に、青少年の健全育成につきましては、いじめや不登校などへの対策として、家庭や地域との連携並びに学校全体での取り組みを推進するため、引き続きスクールカウンセラー及び心の教室相談員を配置するほか、心のダイレクト・メール事業を実施してまいります。
また、平成20年度に初めて取り組んだ「えべつ中学生サミット」については、人間尊重教育の推進事業として豊かな心を育んでいくことを啓発するために、引き続き開催について必要な支援を行ってまいります。
さらに、ふるさと意識の醸成と地域文化の創造では、ふるさと江別を大切に思い、次代に引き継いでいくため(仮称)「江別の遺跡」を発行するほか、全国巡回展「小森忍 日本陶芸の幕開け展」を通して、“やきものの街 江別”としての陶芸文化や地域の貴重な歴史・文化などについて振興を図ってまいります。
また、市民スポーツ活動の充実につきましては、社会人のスポーツ活動に対して学校施設の開放事業を実施するほか、指定管理者による体育館、青年センター等の管理運営を通じた施設サービスの向上を図ってまいります
第6に、「市民協働によるまちづくり」について申し上げます。
街づくりの基本は、市民や自治会、大学・企業などがともに主役として主体的に街づくりに参加し、そして行政の担い手・パートナーとして、その役割に応じ、協働しながら事業を展開していくことであると考えております。
このため、地域での自治活動に積極的に取り組んでいる自治会に対して支援を行うほか、市民活動団体やボランティアなどが活動する場として、NPOが自主的に運営する市民活動センターに対して支援するとともに、協働の街づくりを実践している各種団体等に対して助成してまいります。
次に、男女共同参画社会の形成につきましては、家庭や地域さらには職場での意識啓発を行うために講演会を開催するとともに、引き続き日本女性会議への参加を支援する中で、積極的に男女共同参画社会についての啓発活動を進めてまいります。
また、国内・国際交流の推進につきましては、友好都市土佐市や姉妹都市グレシャム市との相互交流により、異なる風土や文化への理解を醸成するとともに、引き続き江別市国際交流推進協議会への助成を行ってまいります。
第7に、「計画実現に向けて」これまでの6つの政策を支える施策について申し上げます。
急激な経済情勢の悪化や限られた行財政資源の中で、市民の意識と時代の変化を的確に捉えながら、行政改革を計画的に進め、未来への投資を含めた事業の重点化を図り、将来に向けた持続可能な都市形成をどのように進めていくかが大きな課題になっております。
そのため、第5次総合計画・後期基本計画の着実な推進や事務事業評価、施策別予算編成並びに人事考課制度等の取り組みなどを通じて、市民サービスの維持・向上と効率的な行財政運営に向けた取り組みを進めていく必要があります。
以上が予算編成方針に基づき措置いたしました歳出予算の概要であります。
次に、歳入の見通しの主なものにつきまして、ご説明申し上げます。
まず、市税につきましては、特に法人市民税では経済状況の悪化を受けた企業の景気動向などから減少見込みとなるほか、固定資産税では土地、家屋の評価替えの年に当たることから、地価の下落等の影響を受けて減少が見込まれるなど、市税全体では124億2,600万円、前年度当初に比べ2%減を見込んでおります。また、市税全般を通じて、公平負担の原則から、税源の的確な把握と収納率の向上に引き続き努力してまいります。
次に、地方譲与税では、決算見込みや地方財政計画等から前年度当初に比べ10.3%の減、一方、地方交付税につきましては、地方財政計画の中で投資的経費などの削減があるものの、新たに「地域雇用創出推進費」等が措置されたことから、96億3,500万円、決算見込みに比べ2.2%増と見込んだものであります。
市債の発行につきましては、抑制基調を前提に財政運営を行ってきた結果、その残高も毎年度20億円前後で減少しておりますが、実質的な地方交付税である臨時財政対策債の発行が 13億1,400万円と前年度を32.5%上回るほか、道路整備や学校の改修事業等の財源を市債で確保するなど、総額では21億460万円で前年度当初に比べ18.2%の増となったものであります。
市債につきましては、将来世代と現役世代との負担のバランスを十分に考慮し、市債残高や償還額の推移を考慮しながら、投資的事業の重点化・平準化などにより、計画的な発行を図っていかなければならないものと考えております。
以上、平成21年度予算の大綱について申し上げました。
終わりに、急速に悪化した日本経済の中で、市内企業の活性化や、雇用の確保・維持について行政として支援の手を差し伸べていくことは喫緊の課題であり、地元大学等との連携による地域産業の創生や域内での消費の循環による地域経済の活性化、さらには過去にとらわれない新たな戦略など、次代を担う子どもたちのために将来につながる街づくりを進めることこそが、いま行政に求められているものと考えております。厳しさが増す地方財政にあっては、時の変化に柔軟に対応しながら行財政の効率化や財政の健全化を進めていかなければなりません。
誰もがいきいきと生活し、お互いがやさしさや豊かさを実感でき、みんなが元気で活力あふれる街を目指し、市民の皆様、自治会やNPOなどの市民活動団体、大学・企業など“オール江別”でそれぞれが持つ力を出し合って、確かな明日に向けて着実に歩んでいきたいと考えております。
市民の皆様並びに議員各位の特段のご理解とご協力をお願い申し上げ、平成21年度の市政執行方針並びに各会計予算案の説明とさせていただきます。