ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 市長のページ > 市政執行方針 > 令和5年度(令和5年2月) > 令和5年度江別市各会計予算大綱説明(令和5年2月)

令和5年度江別市各会計予算大綱説明(令和5年2月)

印刷用ページを表示する 掲載日:2023年2月24日更新

予算作成の背景

 ただいま上程されました令和5年度各会計予算案及びこれに関連する諸案件をご審議いただくに当たり、私の市政に関する基本的な考え方と予算の大綱についてご説明申し上げます。

 平成19年に、私が市民の皆様から信任をいただき、市政のかじ取りをお預かりしましてから、4期16年が経過しようとしております。

 令和5年度は、10年にわたるまちづくりの方向性を定めた第6次江別市総合計画「えべつ未来づくりビジョン」の最終年に当たりますことから、これまでの9年間を振り返り、次期総合計画の策定につなげていかなければなりません。

 「えべつ未来づくりビジョン」は、平成22年の国勢調査において明らかになった人口減少を踏まえ、「協働のまちづくり」を基本理念の根幹に置き、江別市自治基本条例制定後、初めて策定した総合計画であります。

 総合計画の推進に当たっては、10年後の将来都市像である「みんなでつくる未来のまちえべつ」の実現を目指し、当市の特色を活かして、子育て支援、教育の充実などを重点的・集中的に取り組む「えべつ未来戦略」の下で進めてまいりました。

 また、平成27年度に策定した「江別市まち・ひと・しごと創生総合戦略」における人口ビジョンでは、当市の人口は、2060年(令和42年)には7万人程度まで減少するという驚くべき推計結果となっておりました。

 こうしたことから、将来にわたって一定の人口規模を確保するため、総合計画における「えべつ未来戦略」とともに、「江別市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき、人口減少対策を強力に進めてまいりました。

 その結果、当市の人口は、自然減を上回る社会増により、平成30年10月以降、毎月の人口が、対前年同月比で約3年間にわたって増加となり、令和2年に実施した国勢調査によりますと、人口は12万1,056人で、前回調査の平成27年と比べ0.3%の増加となりました。

 また、本年1月に公表された総務省の住民基本台帳人口移動報告によりますと、昨年1年間における年少人口の転入超過数は、全国1,719市町村の中で16位となり、5年連続で20位以内となっております。

 そこで、この間の具体的な取組を申し上げますと、未来を担う子どもたちが心豊かに成長するためには、安心して子どもを産み育てられる環境の充実が重要と考え、保育所や認定こども園、放課後児童クラブを整備するなど、保育や放課後における待機児童対策に取り組んできたほか、市独自の保育料負担軽減や、子育てひろば「ぽこあぽこ」をはじめとした親子の交流や遊び場の充実に努めてまいりました。

 また、教育の面では、学習効果を高めるための教育のデジタル化や小中一貫教育の導入を進めてきたほか、学習サポート、さらには、全道に先駆けて実施した小学校1年生からの外国語教育など、学力向上に向けた各種取組を進めてまいりました。

 そのほか、特別支援教育の充実や医療的ケアを必要とする児童生徒への教育支援、生きがいや心の豊かさを育むための芸術・文化や学習活動機会の創出、合宿誘致によるトップアスリートとの交流なども進めてまいりました。

 また、江別市内に住宅を建てたいという方への支援にも取り組み、平成28年度から4年間実施した住宅取得支援は、転入超過の誘導的な役割を果たしたものと考えております。

 このような様々な取組が、年少人口の転入超過や、人口減少の抑制につながっているものと考えております。

 そのほか、人口減少が抑制された要因の1つとして、JR野幌駅の高架化による南北市街地の一体的な整備を目的として実施し、令和3年度に完了した「江別の顔づくり事業」が大きく影響しているものと考えております。

 この「江別の顔づくり事業」により、野幌地区を中心として、新たな人の流れが生まれ、平成27年には緑ヶ丘、平成30年には野幌若葉町の宅地開発が進みました。

 しかし、民間の宅地開発の動きが落ち着きを見せてきた令和3年5月以降は、社会増の伸びが緩やかになった影響で、再び、人口減少傾向となっておりますことから、今後におきましても、住み替え支援や、民間と連携した宅地の供給などに取り組む必要があるものと考えております。
 また、少子高齢化、人口減少社会においては、市民、自治会、市民活動団体、企業、大学、行政をはじめとした多様な主体が、それぞれの得意分野を活かした「共生のまちづくり」を進める必要があると考えております。

 令和3年には、生涯活躍のまち拠点地域「ココルクえべつ」がオープンし、高齢者や障がいをお持ちの方、若者など、多様な主体が集い、交流する当市が目指す「共生のまちづくり」が動き出しています。

 今後におきましては、「ココルクえべつ」における取組を通して、江別版「生涯活躍のまち」の考え方が広がり、全市において、住み慣れた地域で、様々な主体が交流しながら、生涯にわたり安心して暮らすことのできるまちづくりが進んでいくものと期待しております。

 また、こうした人口減少対策や都市基盤の整備は、大型ホームセンターやパン工房、複合書店の誕生などの民間投資を呼び起こし、さらには、長年の懸案であった旧ヒダ工場を活用したEBRIのオープン、北海道林木育種場旧庁舎への民間事業者の本社移転などにもつながっているものと考えております。

 以上、「えべつ未来戦略」と「江別市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づく人口減少対策の取組の一端をご説明いたしました。

 また、その他のまちづくりの取組といたしましては、まず、産業振興の分野においては、食関連産業を江別の基幹産業に位置付け、市内の安全・安心な農産物や研究機関などの資源を活かし、RTNパークを、従来の先端技術産業等に加えて新たに食産業にも用途を拡大し、企業誘致を進めてまいりました。

 その結果、大規模な食品工場や野菜の加工工場、さらには、先ほども申し上げましたパン工房などが立地するなど、市内経済の活性化と雇用の確保につながったものと考えております。

 さらには、平成23年12月に道内自治体や経済団体等が連携して生まれた「北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区」の10年間の取組により、大学や研究機関と連携した食の研究開発が促進され、市内の食関連企業による海外市場開拓や機能性食品の開発も進みました。

 また、平成26年には、市制施行60周年を契機として、市民の皆様とともに恒久平和を誓う「平和の碑」を建立し、平和都市の宣言をすることができました。

 平和都市を宣言している江別市として、昨年2月から続いているロシア連邦によるウクライナへの軍事侵攻の現状を考えますと、一日も早い平和的解決を願い、平和をつくる行動をしていかなければならないものと考えております。

 また、平成29年には、全てのまちづくりの基本は、市民の健康にあるとの考えの下、「えべつ未来づくりビジョン」に基づき、「健康都市えべつ」を宣言いたしました。

 「えべつ未来戦略」では、「高齢者をはじめとする様々な世代が、健康的に安心して暮らすことで、定住人口を増加させ、まちの活力を向上させる」とされ、市民の健康寿命の延伸に向けた、野菜摂取推進の啓発活動や生活習慣病予防などの取組が、江別のまちづくりにつながっているものと考えております。

 また、令和4年3月には、「共生のまちづくり」の一環として、LGBT等の性的少数者への理解を促進し、性的少数者の方々が、自分らしくいきいきと暮らしていける社会を目指す「江別市パートナーシップ宣誓制度」をスタートさせました。この制度の取組は、道内他市においても導入が進むなど、自治体間における連携の輪が広がっております。

 さて、私は、平成19年の就任当時、基本的な考えとして、「江別に住んで良かった、また、住み続けたい、住んでみたいと思っていただけるまちづくりを進めること」と申し上げ、「協働のまちづくり」を政策の基盤として、各種施策に取り組んでまいりました。

 先般、新しい総合計画の策定に向けて実施した「まちづくり市民アンケート調査」では、市の除排雪の対応には満足度が低いという結果が示されているものの、江別市の住み心地に満足しており、これからも江別市に住み続けたいと思っている方が、約8割となっております。

 一方で、近年の市民生活における緊急の課題は、新型コロナウイルス感染症への対応であります。新型コロナウイルス感染症が初めて確認されてから3年が経過しましたが、江別市においては、最初に学校給食関係者の感染が報告され、その際の市の対応が、全国に報道されたところであります。

 その後、感染の波を繰り返しながら今日に至っておりますが、この間、市民の皆様には、感染防止対策を、家庭で、学校で、職場等で徹底して取り組んでいただいたところであります。

 特に、医療従事者をはじめとした、エッセンシャルワーカーの皆様の昼夜を問わない献身的なご努力が、感染拡大と重症化の防止につながったものと考えており、深く感謝を申し上げます。

 さらに、ワクチン接種については、江別医師会、市内医療機関、江別工業団地協同組合、北海道情報大学をはじめとした市内大学など、多くの関係機関、団体のご理解とご協力をいただき、極めて迅速な対応を行うことができました。このことにつきましても、心からの敬意と感謝を申し上げます。

 今後におきましても、市民の皆様、関係機関、団体の皆様のご理解とご協力をいただきながら、感染対策を積極的に進めてまいりたいと考えております。

 また、江別市立病院の経営再建については、就任当初から最優先の課題として、全力で取り組んでまいりました。総合内科医を中心とした診療体制の構築や産婦人科の再開などにより、一時は単年度収支で黒字を計上できるまでとなりましたが、その後の総合内科指導医及び内科医の退職により、再び経営危機に陥ることとなりました。

 その再建に向けては、「江別市立病院の役割とあり方を検討する委員会」の答申を受けて策定した「経営再建計画」に基づき、令和4年度に地方公営企業法の全部適用へと経営形態を移行し、新たに着任した病院事業管理者の下、「未来医療創造基金」を活用した大学連携が間もなく動き出すなど、職員が一丸となって経営再建に努めているところであります。

 また、新型コロナウイルス感染症の対応については、陽性者の受入れやワクチン接種に当たるなど、市民に必要な医療を提供するための重点医療機関としての役割を担ってまいりました。

 引き続き、新型コロナウイルス感染症対応に努めるとともに、新たに内科系二次救急の輪番制導入に取り組み、地域の医療機関との連携を強化しながら、経営再建と公立病院としての役割を果たしてまいります。

 以上、市政に関する基本的な考え方や課題などを申し上げましたが、この間、市民の皆様や議員各位の声を大事にし、さらには、議論を重ね、ご協力いただいたことにより、16年間の市政のかじ取りをすることができたものと考えております。

 この間の議員各位の江別市への思いの深さには、ただただ感激いたしますとともに、皆様からいただいた温かいご支援、ご協力に心から感謝申し上げます。

予算案の大綱

 次に、令和5年度の江別市予算案の大綱について申し上げます。

 本年は、市長の改選期に当たりますことから、このたびの予算案は、第6次江別市総合計画を着実に進めるために基本となる経費を中心とした、いわゆる骨格予算として編成しております。

 予算編成に当たりましては、新型コロナウイルス感染症への対応や、原油価格・物価高騰の状況にも意を配りながら、経費の精査に努めたところでありますが、社会保障費の増加や労務単価の上昇に加え、計画済みの公共投資の実施などにより、総額では前年度を上回る予算となっております。

 その結果、令和5年度の各会計予算規模と前年度当初予算との比較においては、

  一 般 会 計  517億2,000万円     7.6%の増
  特 別 会 計  259億7,400万円     1.4%の増
  企 業 会 計  184億4,258万8千円   0.7%の減
  合    計   961億3,658万8千円   4.2%の増

 となるものであります。

 以下、令和5年度予算案の概要について、第6次江別市総合計画の施策体系に基づき申し上げます。

 1.自然・環境

 第1に、「自然・環境」について申し上げます。
 江別市の豊かな自然や地域の環境を次代に引き継いでいくため、地球温暖化対策、地域環境の保全、水と緑の保全、ごみの減量化・資源化などの課題に対応するとともに、市民・事業者・行政との協働により環境保全に取り組み、自然と調和した安全で快適な生活環境づくりを進めてまいります。

 そこで、脱炭素化の推進に向けて、これまでに実施したCO2 排出量の将来推計調査とバイオマスや太陽光など再生可能エネルギーの導入可能性調査等の結果を踏まえ、地球温暖化対策実行計画を兼ねた次期環境管理計画を策定してまいります。

 また、ごみの処理に関しまして、将来にわたって、ごみ処理を安定的に運営する体制を整備するため、環境クリーンセンターの延命化工事を実施するとともに、次期最終処分場の基本設計に着手してまいります。

 さらに、生ごみの減量化や資源化を進めるために、「江別市食品ロス削減推進計画」に基づき、「食品のてまえどり」の啓発活動を行うほか、環境教育や緑化の推進、自治会などが取り組む「花のある街並みづくり」などへの支援を引き続き実施してまいります。

2.産業

 第2に、「産業」について申し上げます。
 地域における活発な産業活動は、雇用を創出して活気のあるまちをつくります。大都市に隣接している立地条件を活かした都市型農業の推進、地域の特性を活かした産業間連携や産学官連携等による商工業の振興と、地域資源を活かした観光振興を進めることにより、地域経済を活性化し、新しい産業振興策の展開に取り組んでまいります。

 そこで、周遊観光の取組をより一層進めるため、法人化したえべつ観光協会の自走化に向けて人員体制の強化を図るとともに、次期観光振興計画の策定を行ってまいります。

 また、都市型農業の推進では、農業生産の安定化のため、水利施設などの基盤整備を計画的に進めるとともに、農畜産物の高付加価値化に向けて、農業者が取り組む6次産業化や新商品開発などを引き続き支援してまいります。

 次に、商工業の振興に関しまして、市内経済の活性化を図るため、国による千歳川築堤工事に伴う旧岡田倉庫の移転に向けた解体工事を実施するとともに、企業の誘致活動や創業支援などに引き続き取り組んでまいります。

 また、雇用対策では、市内の雇用拡大を図るため、「まちなか仕事プラザ」を拠点として、高校生や大学生を含めた若者や女性、さらには、シニア層と企業とのマッチングを引き続き支援してまいります。

3.福祉・保健・医療

 第3に、「福祉・保健・医療」について申し上げます。
 全ての市民が生涯を通じて健康に過ごせるよう、健康意識の向上と健康づくりに努めるとともに、必要な治療が迅速かつ適切に受けられるよう医療体制の安定的な運営を図ります。
 さらに、高齢者や障がいをお持ちの方々が、地域でいきいきと自立した生活を送ることができるよう、各種福祉サービスの充実を図るとともに、市民の地域福祉への理解を深め、人材を確保することで、地域全体で支え合う体制づくりを推進してまいります。

 そこで、生活習慣病の予防や、心と体の健康維持に向けた取組を推進するため、子どもから高齢者まで幅広い年代を対象にした健康教育や、健康都市宣言に基づく野菜摂取の促進に取り組むとともに、食生活の実態調査を行い、次期「えべつ市民健康づくりプラン21」を策定してまいります。

 また、長年の懸案でありました内科系の救急体制の充実に向けまして、江別医師会と進めてきた協議に基づき、市立病院と市内医療機関の輪番制による内科系二次救急体制を新たに導入いたします。

 次に、国民健康保険事業については、特定健康診査受診率や特定保健指導利用率の向上に向け、受診勧奨を強化するとともに、データヘルス計画に基づいた保健事業を推進してまいります。

 また、高齢者や障がい者の福祉においては、介護保険や後期高齢者医療制度、障がい者福祉制度などの安定的な運営に努め、各種計画に基づき、高齢者や障がい者の生活を地域で支えるための取組を進めてまいります。

 さらに、介護人材の確保と市内介護事業所への定着を図るため、資格取得支援や職場実習などによる介護人材の養成を引き続き進めるほか、フレイル予防にも着目した介護予防出前講話など、介護予防事業の充実に努めてまいります。

 次に、市立病院においては、地域医療を担う基幹病院として、感染症等に対応した安全・安心な医療を提供するとともに、医療サービスの一層の充実を図るため、地域の医療機関との連携強化や、医育大学や市内企業等と連携した共同研究に取り組んでまいります。

4.安全・安心

 第4に、「安全・安心」について申し上げます。
 交通安全や防犯活動の推進などを通じて安全で快適な社会環境を築いていくとともに、防災訓練や自主防災組織の拡充、消防・救急体制の充実を図ることなどにより、災害に強く、誰もが安心して暮らせるまちづくりを進めてまいります。

 そこで、地域防災力の強化を図るため、「防災あんしんマップ」の更新や、各種訓練等を引き続き実施するとともに、災害対応物品や備蓄庫の整備などを計画的に進めてまいります。

 また、消防・救急体制の充実では、災害や感染症への備えを強化し、コロナ禍でも安全に消防・救急活動を実施するため、消防車両の計画的な更新を進めるほか、感染症に対応した資器材を整備してまいります。

 そのほか、民間住宅の耐震化支援、空き家対策、自治会防犯灯のLED化、交通安全や防犯活動の推進などを引き続き実施してまいります。

5.都市基盤

 第5に、「都市基盤」について申し上げます。
 駅を中心としたにぎわいの創出や、誰もが安心して過ごすことのできるまちづくりを進めるため、市街地や道路環境の整備、公共交通の利便性向上などにより、暮らしやすさを実感できる都市基盤の形成を進めてまいります。

 そこで、都市生活の基本となる安全で快適な道路環境を維持するため、宅地造成による交通量の増加を踏まえて「元江別中央通り」や「兵村4丁目通り」などの幹線道路を整備するほか、老朽化した生活道路や橋梁などの改修を計画的に進めてまいります。

 また、近年の降雪傾向に対応した雪対策の実施に向けて、令和3年度の大雪に関する検証結果を踏まえまして、ロータリー除雪車の増強による車道除雪、ハンドガイド除雪機を活用した通学路など歩道除雪の機動力向上、雪堆積場の整備や市有地を活用した排雪の効率化、LINEを活用した情報発信などに取り組んでまいります。

 さらに、市民の足である公共交通を持続させるため、路線バス事業者への運行費補助を引き続き実施するほか、江北地区と豊幌地区におけるデマンド型交通の支援を行ってまいります。

 次に、市営住宅に関しまして、高齢者や子育て世代などにも配慮した低廉で良質な住宅を提供するため、住環境の改善を図る改修を計画的に進めるほか、新栄団地建替計画における最終棟となるF棟の建設工事を実施してまいります。

 また、上下水道の整備においては、災害に強く安全で安定した給水等のため、基幹管路の耐震化や老朽配水管の布設替えを進めるほか、下水道管路の更新、処理場・ポンプ場の設備更新などを計画的に実施してまいります。

6.子育て・教育

 第6に、「子育て・教育」について申し上げます。
 子育てでは、子育て環境を充実させることにより、安心して子どもを産み育てられ、就労と子育ての両立ができるまちづくりを進めてまいります。

 そこで、保育士の確保や保育環境の充実に向けて、保育従事者の養成や奨学金返還への助成などを引き続き実施するとともに、民間保育施設における熱中症対策への補助を新たに実施してまいります。

 また、国と連携して出産・子育て応援交付金を支給するとともに、「えべつ・安心子育てプラン」に基づく0歳児から2歳児の保育料の独自軽減を引き続き実施するほか、育児に係る不安等を軽減するため、児童委員による訪問事業に加え、保健師等との面談機会を拡大してまいります。

 さらに、開設10周年を迎える子育てひろば「ぽこあぽこ」について、より多くの子どもたちに楽しんでいただけるよう、大型遊具の更新やクッション性の高いフロアへの張り替えなど、全面リニューアルを実施いたします。

 次に、教育では、それぞれの子どもが持つ個性を尊重しつつ確かな学力の定着に努め、子どもたちが多様で変化の激しい社会を生き抜いていく力を養成し、次代を担う心身ともに健康な子どもたちを育ててまいります。

 そこで、教員の負担軽減と校務の効率化を図るため、小中学校における校務用と指導用の端末を統合するほか、学習環境の充実に向けて、退職教員等による補充的学習や小学校全学年での外国語教育を引き続き実施するとともに、ふるさと納税を活用した市内大学・高校への助成を新たに実施してまいります。

 また、様々な悩みや課題を抱える児童生徒を支援するため、スクールソーシャルワーカー等による相談支援を行うとともに、特別な支援を必要とする児童生徒のための支援員を配置し、引き続き子どもたちの学びの場を確保してまいります。

7.生涯学習・文化

 第7に、「生涯学習・文化」について申し上げます。
 市民が生涯にわたって、心身ともに健やかで充実した生活を営めるよう、学習・文化・スポーツを気軽に行える場を提供してまいります。
また、長い歴史を持つれんが産業や文化・歴史遺産を通じて、市民のふるさと意識の醸成を図ってまいります。

 そこで、旧町村農場について、酪農の歴史を伝える文化施設としての役割を引き継ぎながら、多くの市民や観光客に利用される拠点となるよう、物販エリアの拡大や子どもが遊びながら酪農の歴史などに触れることができるスペースの設置などの改修工事を実施いたします。

 また、「あけぼのパークゴルフ場」をリニューアル・オープンするとともに、全国高等学校総合体育大会について、当市が競技会場となる競泳及びホッケーが円滑に開催されるよう、適正な運営に努めてまいります。

8.協働

 第8に、「協働」について申し上げます。
 江別市自治基本条例の理念に基づき、市政への市民参加を進めるとともに、市民、自治会、市民活動団体、企業、大学などの各種団体と連携して魅力ある協働のまちづくりを推進してまいります。

 そこで、「市民交流施設ぷらっと」を拠点とした活動など市民が主体となった協働の取組を後押しするとともに、自治会による地域交流や環境美化などの活動が継続できるよう、自治会の取組や人材育成を引き続き支援してまいります。

 また、江別の知的資源である4大学に関しまして、学生の地域定着や交流・関係人口の拡大に向けて、道内8自治体と連携した学生の地域活動への参加促進、大学構内に設置した専用ブースやスマートフォンアプリを活用した江別の魅力を伝えるプロジェクトなどを引き続き進めてまいります。

9.計画推進

 第9に、これまでの8つの政策を支える「計画推進」について申し上げます。
 まちづくり政策を実効あるものとして進めるためには、効率的な行政サービスの執行と健全な財政の下、基礎自治体としての機能を充実させるとともに、市政の透明性を確保しながら、市民との情報共有や市内外への情報発信を充実強化し、江別のまちの魅力を積極的にPRしていくことが必要であります。

 そこで、市民誰もがデジタル化のメリットを享受できるよう、マイナンバーカードの普及に取り組むとともに、行政事務の効率化や、市民サービスの向上に向けた基幹系システムの改修などを進めてまいります。

 また、生涯健康プラットフォームについて、スマートフォンやスマートウォッチを活用した健康管理サービスを提供するとともに、江別の特産品やヘルシーDo認定商品を取り扱う買物アプリのサービスを開始するなど、市民の健康増進や地域経済の活性化に寄与する取組を進めてまいります。

 さらに、子育て世代から住みよいまちとして引き続き選ばれるよう、転入促進パンフレットの配布や、江別の魅力である食をテーマとしたプロモーションなど、市民と行政が一体となった活動を進めてまいります。

 そのほか、次の10年間のまちづくりの方向性を定める次期総合計画について、令和5年度中の策定に向けて作業を進めるとともに、「第2期江別市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づく人口減少対策などを引き続き進めてまいります。

 以上が歳出予算の概要でありますが、

 次に、歳入の見通しの主なものにつきまして、ご説明申し上げます。

 まず、市税につきましては、個人市民税や固定資産税などの増加により、市税全体では前年度当初に比べ、1.5%増の128億9,600万円を見込んでおります。

 また、地方交付税は、6.4%増の118億1,000万円、臨時財政対策債は、48.1%減の2億7,000万円を見込んだほか、地方消費税交付金は、11.2%増の31億8,000万円を見込んでおります。
 その結果、一般財源総額では、289億8,930万円となり、前年度より3.3%の増となったところであり、今後とも、市税等の自主財源の確保に努めてまいります。

 次に、市債の発行につきましては、臨時財政対策債のほか、環境クリーンセンター基幹的設備改良事業や新栄団地建替事業等の財源に充てるため、総額では、30億5,180万円となりました。

 市債については、今後とも将来世代と現役世代との負担割合などに十分配慮しつつ、投資的事業の重点化や平準化などにより、計画的な発行に努めてまいりたいと考えております。
 
 なお、使用料・手数料に関して、建築関連手数料等について、法令改正等に伴う所要の改定を行うこととしたところであります。

 その他、予算案の詳細につきましては、「令和5年度各会計予算及び予算説明書」などをご参照いただきたいと存じます。

 以上、令和5年度予算案の大綱について申し上げました。

結び

 これまでの任期を振り返りますと、長年の懸案であった旧ヒダ工場の建物を活用したEBRIのオープン、北海道林木育種場旧庁舎への民間事業者の本社移転、また、東日本大震災を契機として優先して進めてきた、市立小中学校の耐震化も完了することができました。

 さらに、平成22年には、市内在住の鈴木章北海道大学名誉教授のノーベル化学賞受賞、また、平成26年の第17回アジア競技大会における江別市出身の右代啓祐選手の金メダル獲得など、私たちに希望を与えてくれる喜ばしいニュースもありました。

 一方で、積み残した課題として、市役所本庁舎の建設やJR江別駅周辺の土地利用と活性化などは、市民の皆様、議員各位、関係機関及び団体の皆様から、数多くの貴重なご意見をいただきながらも、具体的な着手までには至らず、誠に申し訳なく感じているところであります。

 しかし、市民の皆様に心豊かに住み続けていただくために、互いの個性を理解し、尊重し合う平和な社会をつくることの重要性、子育てや教育環境の充実の大切さ、そして、多様な主体が協働し合う「共生のまちづくり」が、「人」「まち」「社会」の全てが健康なまち「健康都市えべつ」へ、さらには、第6次江別市総合計画に掲げる4つの基本理念の実現につながるという、これからの江別市が取り組むべき一つの方向性を示すことができたのではないかと思っております。

 今後は、少子高齢化と人口減少が同時に進行する中、コロナ禍による市民生活や地域経済の変化、急激な物価高騰などにより、市政運営がますます厳しくなることが予想されますが、先人たちが築き上げてきた「ふるさと江別」が、持続可能なまちとして、次の世代へ引き継がれていくことを、強く願うものであります。

 最後に、市民の皆様並びに議員各位の特段のご理解とご協力をお願い申し上げ、市政に関する基本的な考え方と予算大綱についての説明とさせていただきます。