子宮頸がんの予防接種(HPVワクチン)
HPVワクチンは、平成25年4月から定期接種となりましたが、接種後の多様な症状の報告があったことから、一度積極的な勧奨を控えていました。その後、国の検討部会で安全性について特段の懸念がないことが確認されたことから、令和4年4月から勧奨を再開しています。
子宮頸がんとHPV(ヒトパピローマウイルス)感染症について
子宮頸がんは、子宮の頸部という子宮の出口に近い部分にできるがんです。日本では毎年、約1.1万人の女性が子宮頸がんにかかり、約2,900人の女性が亡くなっています。
若い年齢層で発症する割合が比較的高く、20歳代から増え始め、30歳代までにがんの治療で子宮を失ってしまう(妊娠できなくなってしまう)人も、1年間に約1,000人います。日本では、25歳~40歳の女性のがんによる死亡の第2位は、子宮頸がんによるものです。
子宮頸がんの発生にはヒトパピローマウイルス(HPV)と呼ばれるウイルスが関わっています。HPVは一般に性交渉を介して感染することが知られており、女性の多くが一生に一度は感染するといわれています。HPVには200種以上のタイプ(遺伝子型)があり、子宮頸がんの原因となるタイプが少なくとも15種類あることが分かっています。
HPVに感染しても、約90%の確率で、2年以内にウイルスは自然に排除されるとされています。しかし、ウイルスが自然に排除されず、数年から数十年にわたって持続的に感染された場合には、がんになることがあると報告されています。
子宮頸がんで苦しまないために、私たちができることは、HPVワクチンの接種と子宮頸がん検診の受診の2つです。
市内の病院・医院で受診できる検診 各種がん検診・骨粗しょう症検診・肝炎ウイルス検診
HPVワクチンについて
定期接種できる子宮頸がん予防ワクチンは、2価HPVワクチン(サーバリックス)、4価HPVワクチン(ガーダシル)、9価HPVワクチン(シルガード9)※ の3種類あります。※令和5年4月から定期接種。
※現在、各HPVワクチンについて、男性は定期接種の対象ではありません。
【定期接種の対象】小学校6年生~高校1年生相当の女子
【標準的な接種年齢】中学1年生
【キャッチアップ接種】平成9年4月2日から平成20年4月1日までに生まれた女性(江別市民) *積極的勧奨の差し控えにより接種機会を逃した方に対しては、公平な接種機会を確保する観点から令和7年3月31日までの間、再度接種の機会(キャッチアップ接種)が設けられることになりました。対象者など詳細はこちらのページよりご確認ください。
※原則同じ種類のHPVワクチンで接種します。しかし、2価または4価HPVワクチンで規定の回数の一部を完了し、9価HPVワクチンで残りの回数の接種を行う交互接種について、医師と被接種者または保護者がよく相談の上接種されることは差し支えありません。
9価HPVワクチンQ&A
Q1 現在中学3年生です。明日誕生日で15歳になります。接種回数は何回ですか? |
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誕生日前日に接種する場合は2回接種です。2回目が15歳を過ぎても、2回の接種で完了となります。 誕生日以降に接種開始した場合は、15歳となるため3回接種となります。 |
Q2 15歳未満で1回目の接種後、2回目を5か月未満で接種してしまいました。2回の接種でよいですか? |
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15歳未満の方が2回目接種を5か月未満で接種すると、3回目の接種が必要となります。 3回目接種は、2回目から3か月以上の間隔をおいて接種してください。 |
Q3 すでに他のHPVワクチン(2価または4価)を接種しています。残りの回数を9価HPVワクチンで接種できますか?(交互接種について) |
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同じ種類のHPVワクチンで接種を完了することを原則としていますが、交互接種における安全性と免疫原性が一定程度明らかになっていることや、海外での交互接種に関する取り扱いを踏まえ、既に2価あるいは4価HPVワクチンを用いて定期接種の一部を終了した方が、残りの回数を9価HPVワクチンで接種する場合、医師と被接種者または保護者がよく相談の上で、9価HPVワクチンを選択しても差し支えありません。 ※2価あるいは4価HPVワクチンを3回接種が完了されている場合は、9価HPVワクチンを定期接種することはできません。 交互接種の場合は、15歳未満の方でも3回接種となります。 |
Q4 母子手帳をなくして、過去の接種歴がわかりません。どうしたらいいですか? |
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過去に定期でワクチン接種をしたことがある場合、接種したときに住んでいた各自治体の保健センター等に接種歴を確認してください。接種済証を発行してもらうことも可能なので、各自治体に問い合わせてください。 ただし、自治体によっては5年以上経過されている場合は、接種歴が残っていない場合もあります。 |
Q5 交互接種の間隔について教えてください。 |
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2価または4価HPVワクチンで接種を開始し、残りの回数を9価HPVワクチンで完了する場合の接種方法は以下のとおりです。 1回目接種から1か月以上の間隔をおいて2回目接種 2回目接種から3か月以上の間隔をおいて3回目接種 |
HPVワクチンの効果について
2価及び4価HPVワクチンは、子宮頸がんをおこしやすいタイプであるHPV16型と18型の感染を防ぐことができます。そのことにより、子宮頸がんの原因の50~70%を防ぎます。9価HPVワクチンでは、HPV16型と18型に加え、他の5種類のHPVの感染も防ぐため、子宮頸がんの原因の80~90%を防ぎます。
海外や日本で行われた疫学調査(集団を対象として病気の発生などを調べる調査)では、HPVワクチンを導入することにより、子宮頸がんの前がん病変を予防する効果が示されています。また、接種が進んでいる一部の国では、子宮頸がんそのものを予防する効果があることも分かってきています。なお、感染予防効果を示す抗体は少なくとも12年維持される可能性があることが、これまでの研究でわかっています。
副反応(予防接種によって起きる副作用)
発生頻度 |
2価 (サーバリックス) |
4価 (ガーダシル) |
9価 (シルガード9) |
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50%以上 | 疼痛*・発赤*・腫脹*、疲労 | 疼痛* | 疼痛* |
10%~50%未満 | そう痒(かゆみ)*、腹痛、筋痛・関節痛、頭痛など | 紅斑*、腫脹* | 腫脹*、紅斑*、頭痛 |
1~10%未満 | じんましん、めまい、発熱など | 頭痛、そう痒感*、発熱 | 浮動性めまい(頭がぼーっとしてふらつく感覚)、悪心、下痢、そう痒感*、発熱、疲労、内出血*など |
1%未満 | 知覚異常*、感覚鈍麻、全身の脱力 | 下痢、腹痛、四肢痛、筋骨格硬直、硬結*、出血*、不快感*、倦怠感(だるさ) | 嘔吐、腹痛、筋肉痛、関節痛、出血*、血腫*、倦怠感、硬結*など |
頻度不明 | 四肢痛、失神、リンパ節症など | 失神、嘔吐、関節痛、筋肉痛、疲労など | 感覚鈍麻(刺激に対して感覚が鈍い状態)、失神、四肢痛など |
*接種した部位の症状
まれに起こる重い副反応としては、下記のとおりです。
・アナフィラキシー:呼吸困難、じんましんなどを症状とする重いアレルギー
・ギラン・バレー症候群:両手・足の力の入りにくさなどを症状とする末梢神経の病気
・急性散在性脳脊髄炎(ADEM):頭痛、嘔吐(おうと)、意識の低下などを症状とする脳などの神経の病気
・複合性局所疼痛症候群(CRPS):外傷をきっかけとして慢性の痛みを生ずる原因不明の病気
<痛みやしびれ、動かしにくさ、不随意運動について>
ワクチンを受けた方に、広範囲に広がる痛みや、手足の動かしにくさ、不随意運動(動かそうと思ってないのに、体の一部が勝手に動いてしまうこと)などを中心とする多様な症状が起きたことが報告されています。ワクチンを受けていなくても、こうした症状がある方もいることが分かっています。
接種をお考えの方は必ずお読みください
下記説明文およびリーフレット「小学校6年~高校1年相当の女の子と保護者の方へ大切なお知らせ」をご覧になり、接種について検討してください。
子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)接種説明文(定期接種用) [PDFファイル/173KB]
小学校6年~高校1年相当の女の子と保護者の方へ大切なお知らせ(概要版) [PDFファイル/2.72MB]
小学校6年~高校1年相当の女の子と保護者の方へ大切なお知らせ(詳細版) [PDFファイル/3.58MB]
HPVワクチンを受けたお子様と保護者の方へ [PDFファイル/1.28MB]
厚生労働省ホームページで、子宮頸がん予防(HPV)ワクチンに関する情報をご案内しています。
HPVワクチン接種後に症状が生じた場合の相談窓口
HPVワクチンの接種を受けた後に痛みやしびれ等の症状が生じた方や、その保護者からの、多岐にわたる相談に対応する窓口が設置されています。
副反応が生じたことによる医療や生活の悩みに関すること全般 |
学校生活など教育の悩みに関すること |
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保健福祉部感染症対策局感染症対策課 | 教育庁学校教育局健康・体育課 |
連絡先:011-206-0359 | 連絡先:011-204-5752 |
<北海道の相談窓口:子宮頸がん予防ワクチン接種後に症状が生じた方に対する相談窓口(北海道ホームページ)>
<厚生労働省相談窓口:感染症・予防接種相談窓口>
厚生労働省では、子宮頸がん予防ワクチンを含む予防接種、その他感染症全般についての相談窓口を設置しています。
詳しくは、厚生労働省の感染症・予防接種相談窓口(厚生労働省ホームページ)をご確認ください。
接種料金
無料
接種場所
江別市が定める予防接種実施医療機関
実施医療機関はこちらのページ(子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)接種実施医療機関)でご確認ください。
*江別市以外での接種は特別な事情がある方に限ります。詳細はこちらのページ(江別市外で定期予防接種を受ける場合の手続きについて)でご確認ください。
持ち物
1.母子手帳
2.予診票(転入などで江別市の予診票がない場合は、保健センターまたは実施医療機関でお渡ししています)。
3.健康保険証
予防接種による健康被害救済制度について