ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

平成29年度市政執行方針

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年2月28日更新

 ただいま上程されました、平成29年度予算案及びこれに関する諸案件をご審議願うに当たり、私の市政に対する基本的な考えと予算の大綱についてご説明申し上げます。

 平成29年度は、第6次江別市総合計画「えべつ未来づくりビジョン」の4年目であり、また江別版地方創生総合戦略の3年目となります。

 昨年、私は平成28年度の市政執行方針の中で、変化に直面する今こそ、えべつ未来戦略に定める経済活性化や子育て支援、教育の充実などの施策を進め、成長の芽をより確実なものに育てていく必要があり、また、江別市の特徴である4大学を活かし、大学生の広域的な地域活動支援などを通じて、若者の首都圏への一極集中の是正を進めたい、そのために、市民、自治会、市民活動団体、企業、大学、行政をはじめ多様な主体の協働の下、えべつ未来戦略と江別版地方創生総合戦略を一体的に進め、定住人口・交流人口の増加策を更に加速させてまいりたいと申し上げました。

 そこで私は、人口減少社会における地方自治体では、経済の活性化なくして地域の発展はないとの考えの下、「しごと」が「ひと」を呼び、「ひと」が「しごと」を呼び込む好循環を確立し、「まち」を活性化させるということを基本に、各種施策を進めてまいりました。

 その結果、平成28年度においては、人口の社会増や観光客の増加につながるなど、その効果が見えつつあります。

 特に観光による交流人口の増加は、江別の良さ、魅力を知ってもらい、定住促進につながると同時に、消費拡大による他の産業への波及効果をもたらし、市の経済の好循環を生み出すものと考えております。中でも昨年3月にグランドオープンした「EBRI」をはじめとした各観光施設や企業の努力、また江別のプロモーション冊子として発行した「JP01」などによる積極的なPRの結果、観光客数の大幅な増加につながり、23年ぶりに100万人を超える見通しとなりました。

 さらに今年4月の「江別市都市と農村の交流センター(愛称 えみくる)」のオープンを間近に控え、テストキッチンを活用した地元の食材による商品開発などにより、江別の「食」にさらなる磨きがかかるとともに、農業を活かした体験型の交流が活発化し、観光誘客につながるものと期待しております。

 この流れもあり、現在、江北地区では、地域の農業者の方々が共同して農畜産物の直売所「野菜の駅ふれあいファームしのつ」を開設する準備が進められております。まさに農業者自らが起業家となって、新たなビジネスの創出につながる動きであると考えております。

 地域経済の活性化とともに、市政の喫緊の課題は人口減少対策であります。根本的な対策は、国において出生率を上げるための実効性ある国家戦略が未だ見えないところでありますが、江別市としては、長期展望に立って、自然減による減少を少しでも遅らせるために、市の人口動態の特徴である、子育て世代が増えているという状況を活かした戦略を進める必要があります。

 そのため、従前から子育て支援の充実や教育の環境を整備するとともに、住宅取得の支援、江別のPRなどに取り組んでまいりました。その結果、平成28年は9年ぶりの社会増となり、特に14歳以下の年少人口が、平成27年、28年と続けて、300人を超える転入超過となったことは、市が進める今後の人口政策に向けて明るい兆しであると考えております。

 さらに、学生のまち江別から提案している若者の大都市一極集中を抑制する事業もスタートいたしました。この事業は、市内大学の学生が近隣自治体の地域活動などに参加し、その魅力を知ることで、将来、若者の地域定着を目指す取り組みでありますが、派遣先の自治体からは、地域イベントが活性化し元気になった、学生からは、地域を知ることができた、などといった高い評価をいただいており、今後とも、学生の地域定着に向け、息の長い事業として取り組んでいく必要があるものと考えております。

 また、江別市のまちづくりの大きな柱である「江別の顔づくり事業」は、野幌駅南口の駅前広場の整備に着手したほか、駅東側の鉄道林を都市緑地として保全・活用に向けた検討が始まるなど、新たな段階に入りました。事業の進捗とともに駅の利便性が大きく向上し、朝夕の時間帯には通勤通学のため多くの方が駅を利用するなど、駅周辺の姿が変わりつつあります。

 これら新しい流れの一つひとつは小さな芽かもしれません。しかし、小さな芽が数多く芽吹き始めてきたことは、今後の施策を進めるにあたり、大きな力をいただいたものと思っております。我々は、この流れを一過性のものにしないよう、引き続き、市民、自治会、市民活動団体、企業、大学、行政などをはじめ、多様な主体が連携・協力して、未来戦略と江別版地方創生総合戦略を一体的に進めてまいりたいと考えております。

 そのため、平成29年度におきましても、人口減少を踏まえて策定した総合計画「えべつ未来づくりビジョン」の基本理念である、

 「安心して暮らせるまち」

 「活力のあるまち」

 「子育て応援のまち」

 「環境にやさしいまち」

の4つの柱と、江別市の持つ特性や優位性を活かして魅力を高めていく「未来戦略」の、

 「ともにつくる協働のまちづくり」

 「えべつの将来を創る産業活性化」

 「次世代に向けた住みよいえべつづくり」

 「えべつの魅力発信シティプロモート」

の4つの戦略を江別版地方創生総合戦略や個別計画と連動させながら、各施策を推進してまいります。

 そこで、平成29年度の市政を担当するに当たり、第6次江別市総合計画「えべつ未来づくりビジョン」の基本理念に従って、私の基本的な考えについて申し上げます。

 まず1点目は、「安心して暮らせるまち」であります。
 年齢や障がいなどに関わらず、福祉・保健・医療サービスの充実の下、市民の誰もが、生涯を通じて元気で健やかに楽しく、心豊かに安心して生活できる地域づくりをしていくことは重要なことであります。特に、団塊の世代が後期高齢者となり、社会保障費の増大が予想される2025年問題への対応は急務であります。そのためには、自らの健康は自ら守るとの考えの下、元気で健やかに毎日を送ることのできる「健康寿命の延伸」が重要になります。

 そこで、「江別市健康都市宣言」により、健(検)診受診率の向上や食生活の改善、運動習慣の定着など、市民や地域社会と協働・連携の下、健康づくりに取り組んでまいります。また、高齢者や障がい者に対するサービス提供などによる自立支援に努めるほか、成年後見制度の普及や市民後見人の活動体制を整備してまいります。さらに、道立特別支援学校高等部の誘致や江別版生涯活躍のまち構想、地域包括ケアシステムの構築などを進めてまいります。

 また、東日本大震災を契機に、防災力の強化を重要課題と考え、これまで学校や避難所となる体育館などの耐震化を進めてまいりましたが、昨年4月に発生した熊本地震での災害の対応状況を踏まえ、り災証明の発行など新たな課題への対応の必要性も認識したところであります。
 そのため、平成28年度中に作成する業務継続計画に基づき、災害発生直後において優先的に実施すべき業務を速やかに開始できる体制を整備するほか、地域の生活環境に影響を及ぼす空き家に関する対策計画の策定に取り組んでまいります。

 また、誰もが住み慣れた地域で、安心して生活できるまちづくりのためには、市街地の形成や交通環境の確保などを進めていく必要があります。

 そのため、江別の顔づくり事業を進め、野幌駅を中心とした南北市街地の一体的整備を推進するほか、住宅取得支援や、大麻地区をはじめとした住み替え支援を進めてまいります。また、住民の足として欠かせないバス路線の確保と持続可能性を高めるための計画策定に取り組んでまいります。

 2点目は、「活力のあるまち」であります。
 全国の景況は、緩やかな回復基調にあると言われておりますが、未だ景気回復の実感のない当市におきましては、これまで以上に産業の活性化に力を入れていかなければなりません。引き続き、江別の顔づくり事業や、地元企業支援・企業誘致に努めるとともに、大都市隣接の立地を活かした都市型農業の推進や、新たな地域資源を活用した観光振興が求められます。

 そのため、「都市と農村の交流センター(えみくる)」を食と農の拠点として事業を展開するなど、農業を中心とした6次産業化や食育の充実を図ってまいります。

 さらに、昨年発行し好評でありましたプロモーション冊子の第二弾を発行し、市内の経済活動のPRなどに努めるほか、企業誘致、総合特区の推進、担い手の育成、観光振興計画の策定などを進めてまいります。

 また、活力のあるまちを目指す上では、経済の活性化だけではなく、生きがいや心の豊かさを大切にしていかなければなりません。文化やスポーツ活動を充実させることにより、人がいきいきと暮らす活気あふれるまちを目指していくことも重要です。

 そのため、芸術・文化や学習活動機会の創出、合宿誘致によるスポーツ選手との交流やスポーツ環境の整備など、引き続き「江別市社会教育総合計画」と「江別市スポーツ推進計画」に基づき、生涯学習・文化・スポーツの充実を図ってまいります。

 3点目は、「子育て応援のまち」であります。
 「えべつ・安心子育てプラン」の基本理念である「みんなで協力 子育て応援のまち・えべつ」を実現するためには、引き続き、子育て環境や教育の充実を図り、未来を担う子どもたちが心豊かに元気で育つことができる魅力あるまちづくりを進めていくことが大切であります。

 そこには、安心して子どもを産み育てられ、就業と子育てを両立することができる環境を整え、親が不安なく仕事に向かうことができる、子育てが楽しいと思えるまちを目指していくことが重要です。

 そのため、保育の待機児童解消に向けて、受け皿の拡大や環境整備などに取り組むとともに、子育てに関する情報発信の充実を図るほか、子育てひろば「ぽこあぽこ」をはじめとした親子の交流や遊びの場の提供、病児・病後児保育、保育料の独自軽減などを引き続き行ってまいります。さらに、乳幼児等医療費助成を拡大し、安心して子育てできる環境づくりを進めてまいります。

 また、子どもたちの心豊かな学びを支えるため、学校・家庭・地域が一体となって子どもたちを育てていくコミュニティ・スクールを導入してまいります。さらに、確かな学力定着のためのデジタル教科書の整備、ティーム・ティーチングなどによるきめ細かな学習サポート、小学校1年生からの外国語教育、大学と連携した体力向上事業などに取り組むほか、就学援助制度の拡大を進めるなど、引き続き、子育て応援のまちの実現に向けて、子育てと教育が連携した施策を体系的に進めてまいります。

 4点目は、「環境にやさしいまち」であります。
 「江別市環境管理計画」、「江別市緑の基本計画」などにより、緑豊かで良好な環境を確保し、将来の世代へ継承していくことを目指し、循環型社会や低炭素型社会の実現、再生可能エネルギーへの転換に向けた取り組みを進めるとともに、身近な地域環境にも目を向け、野幌森林公園や石狩川など江別市特有の豊かな自然環境を守っていく必要があります。
 そのため、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入を積極的に進めてきたほか、昨年には、地元企業が発電する木質バイオマスによる電力を市庁舎等で利用開始するなど、エネルギーの地産地消に取り組んでまいりました。

 今後も環境にやさしいまちづくりを進めるため、次代を担う子どもたちに、地球や地域の環境について考えることの大切さを伝え、人と自然が共生するまちを目指していかなければなりません。

 そこで、子どもや市民を対象とした環境学習や生ごみ減量化の普及啓発に引き続き取り組むとともに、江別の顔づくり事業における地中熱ヒートポンプによるロードヒーティングや自治会防犯灯のLED化、市民植樹などを進めてまいります。

 最後に、「えべつ未来づくりビジョン」の基本理念の4つの柱を支える根幹は、「協働のまちづくり」であり、また、江別の魅力あるまちづくりを知ってもらうシティプロモートを進めることが重要です。

 江別市自治基本条例が施行され、間もなく8年となります。市民一人ひとりが自治の主役として、市政に関する情報を共有し、自らの責任において主体的に考え、積極的にまちづくりに参加するなど、市民によるまちづくりを進めることが、市民自治の基本理念であります。

 そうした理念の下、市民が一緒になって協働のまちづくりに取り組んでいけるよう、市民活動団体への支援や、女性の自治会活動への支援、小中学生への啓発などを進めてまいります。

 また、江別市の特徴である市内4つの大学の学生が、地域課題の解決やまちの活性化に取り組めるよう、大学が行う地域活動や地域課題の研究、えべつ市民カレッジなどの市民向けの事業などを支援し、大学が活躍するまちづくりを進めてまいります。

 シティプロモートにつきましては、学生によるPR動画の作成、「EBRI」のオープン、プロモーション冊子の発行などにより、子育て・教育など江別の魅力のPRに努めてきた結果、観光による交流人口の大幅な増加につながり、改めて、プロモーションの重要性を認識したところであります。

 今後さらに、これまでのプロモーション活動を進めるほか、江別市の特色である「食」に着目したプロモーション活動や、子育て世代をターゲットとしたPRを強化するなど、市民や企業、行政などが一体となってシティプロモートを推進してまいります。

 次に、平成29年度の江別市予算案でありますが、

 国においては、新年度予算を経済再生と財政健全化の両立を実現する予算と位置付け、一億総活躍社会の実現に向けて、保育士・介護人材等の処遇改善や保育の受け皿拡大、働き方改革の推進を図る一方で、一般歳出の伸びを経済・財政再生計画に沿って抑制することとしております。

 また、平成29年度の地方財政計画では、地方交付税の減少の一方で、地方税の伸びなどにより、不交付団体の水準超経費を除く地方一般財源総額では、平成28年度と比較し0.1%の増加と、ほぼ同水準の確保にとどまったところであります。

 そこで、江別市の予算編成でありますが、国の財政見通しなどを踏まえ、第6次江別市総合計画に基づき、人口減少下における持続可能なまちづくりを柱に、事業の優先度や緊急度などを勘案して、編成したものであります。

 その結果、平成29年度の各会計予算規模と前年度当初予算との比較においては、

 
一般会計 439億5,000万円 5.4%の減
特別会計 268億200万円 2.7%の増
企業会計 184億1,476万8千円 0.8%の減
合計 891億6,676万8千円 2.1%の減

となるものであります。

 以下、平成29年度の予算案の概要について申し上げます。

 第1に、「自然・環境」について申し上げます。
 江別市の豊かな自然や地域の環境を次代に引き継いでいくため、地球温暖化対策、地域環境の保全、水と緑の保全、ごみの減量化・資源化などへの課題に対応するとともに、市民・事業者・行政との協働により環境保全に取り組み、安全で快適な生活環境づくりを進めてまいります。

 そこで、子どもの頃から環境問題に興味や関心が持てるよう、引き続き環境教育を積極的に実施するほか、石狩川300万本植樹への参加や市民植樹、街路樹の補植などにより、緑化を推進するとともに、美しい街並みを創出するため、自治会などが取り組む「花のある街並みづくり」を支援してまいります。
また、ごみの減量化や資源化等を更に進めるため、家庭からの生ごみ排出量を減らす講習会を実施するほか、引き続き古着や古布、使用済み小型家電の資源化に取り組んでまいります。

 さらに、現在建設中の新栄団地C棟においても、引き続き再生可能エネルギーの導入のために太陽光パネルを設置してまいります。

 第2に、「産業」について申し上げます。
 地域における活発な産業活動は、雇用を創出して活気のあるまちをつくります。大都市に隣接している立地を活かした都市型農業の推進、地域の特性を活かした産業間連携や産学官連携等による商工業の振興と、新たな地域資源の掘り起こしによる観光振興などによって地域経済を活性化し、新しい産業振興策の展開に取り組んでまいります。

 そこで、4月にオープンする「都市と農村の交流センター(えみくる)」を、江別の食と農の魅力を発信する新たな交流拠点に位置付け、6次産業化の推進や食育事業の拡充に取り組んでまいります。

 また、6次産業化を推進するため、地域おこし協力隊を活用し、新たに交流センター内に設置するテストキッチンの操作指導を行うなど、農業者が取り組む6次産業化を支援するとともに、引き続き地元の農畜産物を使った新商品開発への支援を行ってまいります。

 さらに、小学生の食育事業においては、ほ場での農業体験と交流センターでの調理体験をメニュー化するなど、内容の充実を図るとともに、引き続き中学生を対象とした地元の食材を使ったレシピコンテストなどを実施してまいります。

 次に、「北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区」については、5年間の延長を図るとともに、これまでの成果をもとに、市内の食関連企業による海外市場開拓や機能性食品開発を引き続き支援してまいります。

 また、市内の産業や観光などの情報を広く市内外に発信するため、プロモーション冊子の発行によりPRを強化するとともに、引き続き「江別市企業立地等の促進に関する条例」に基づき、市内企業への支援や企業誘致を進めてまいります。

 次に、観光振興においては、交流人口の拡大を図るため、観光振興計画の策定を進めるとともに、「EBRI」内の江別アンテナショップGET’S(ゲッツ)において江別の観光・特産品の魅力を発信するほか、新たに作成する英語版の観光パンフレットや、地域おこし協力隊の活動により、観光誘客を図ってまいります。

 また、商店街の振興や地域経済活性化のため、引き続き新商品開発や地域イベント開催などへの補助を行うほか、商店街参入促進に向けたセミナーの開催や相談事業に取り組んでまいります。

 次に、雇用においては、大学生の就業体験や潜在労働力の掘り起こしのため、引き続き市内企業による大学生有給インターンシップの受け入れを支援するとともに、女性の就労支援としては、実習を含めた有給研修のほか、ハローワークとの共催による就職支援セミナーを実施してまいります。

 第3に、「福祉・保健・医療」について申し上げます。
 すべての市民が生涯を通じて健康に過ごせるよう、健康意識の向上と健康づくりに努め、病気やケガの際には、必要な治療が迅速かつ適切に受けられるよう医療体制の安定的な運営を図ります。さらに、高齢者や障がいのある方が、地域でいきいきと自立した生活を送ることができるよう、サービスの充実を図るとともに、市民の地域福祉への理解を深め、人材を確保することで、地域全体で支え合う体制づくりを推進してまいります。

 そこで、「江別市健康都市宣言」の普及啓発を図るため、イベントを開催してまいります。また、市民の健康増進に向け、引き続き健康測定機器を利用した健康チェックなどの出前事業や、江別版リズムエクササイズ「E-リズム」の普及啓発などを進めてまいります。

 さらに、がんの早期発見、早期治療による重症化予防のため、検診を受けやすい体制づくりや受診勧奨を強化するとともに、自己採取HPV検査キットの配付対象を拡大するなど、がん検診に対する意識の向上を図ってまいります。

 また、国民健康保険事業については、特定健診の受診率向上に向け、各種健診の受診に積極的に取り組む自治会への支援を拡充するとともに、データヘルス計画に基づき、効果的な保健事業の推進に努めてまいります。

 次に、市立病院においては、平成28年度から包括医療費支払制度(DPC)の導入や地域包括ケア病棟の設置による病棟再編など、経営改善に向けた取り組みをスタートさせ、一定の改善効果は見られるものの、十分な実績を上げるまでには至っておらず、いまだ道半ばにあるものと認識いたしております。

 このため、引き続き市民への良質な医療の提供と、収益性の向上の両立を目指して、DPCと地域包括ケア病棟の連携による効果的な運用を図るとともに、現在策定中の新公立病院改革プランに基づき、抜本的な経営改革を進めてまいります。

 また、近隣公的医療機関への支援による連携強化のほか、高齢者などが自宅でも安心して療養できるよう、在宅診療の充実など、引き続き地域医療の確保に努めてまいります。

 次に、高齢者や障がい者の福祉においては、介護保険における「介護予防・日常生活支援総合事業」の開始や、後期高齢者医療制度、障害者福祉制度などの安定的な運営を図り、「地域福祉計画」や「高齢者総合計画」、「障がい者支援・えべつ21プラン」に基づき、高齢者や障がい者の生活を地域で支えるための取り組みを進めてまいります。

 また、成年後見制度の普及や市民後見人の活動体制を整備するため、新たに後見実施機関を設置し、認知症高齢者や障がい者などに対する権利擁護の体制を強化してまいります。

 第4に、「安全・安心」について申し上げます。
 交通安全や防犯活動の推進、安全で快適な社会環境を築いていくため、防災訓練や自主防災組織の拡充など、地域の防災力向上に向けた各施策を計画的に進めるとともに、消防・救急体制の充実を図り、災害に強く、誰もが安心して暮らせるまちづくりを進めてまいります。

 そこで、地域防災力の強化を図るため、引き続き関係機関との連携により総合防災訓練や避難所運営訓練を実施するとともに、洪水ハザードマップを更新するほか、避難所マップを全戸に配付するなど、防災対策を進めてまいります。

 また、災害時における本庁舎の代替機能を担う消防庁舎については、災害対策本部機能に必要な電話やLAN配線などの整備を実施してまいります。

 さらに、消防・救急の充実では、高度化する救急業務に対応するため、引き続き救急救命士を養成するほか、指揮車や救急自動車、消防ポンプ自動車の更新整備を行い、消防・救急体制の充実に努めてまいります。
また、救命率の向上を図るため、応急手当や心肺蘇生法などを学ぶ救命講習の充実を図ってまいります。

 次に、空き家対策については、新たに空家等対策計画を策定し、空き家の流通・活用の促進や、適切な管理を図ってまいります。

 また、自治会防犯灯のLED化を更に加速させるため、LED灯の設置費補助や奨励金制度を継続するとともに、公共街路灯や市有施設の照明についても、LED化を推進してまいります。

 第5に、「都市基盤」について申し上げます。
 駅を中心としたにぎわいの創出や、誰もが安心して過ごすことのできるまちづくりを進めるため、市街地や道路環境の整備、公共交通の利便性向上などにより、暮らしやすさを実感できる都市基盤の形成を進めてまいります。

 そこで、中心市街地の活性化と、コンパクトなまちづくりを目指す江別の顔づくり事業については、引き続き野幌駅南通や野幌駅南口駅前広場の整備など、街路事業や土地区画整理事業を計画的に進めてまいります。

 また、高砂駅北側の安全確保のため、送迎用停車場の整備に向け、平成29年度は、埋蔵文化財の発掘調査などを進めてまいります。

 次に、市民の足である公共交通を守るため、新たに「地域公共交通網形成計画」の策定など、バス路線の再編に向けた検討を進めるとともに、路線を再編するまでの暫定的な措置として、赤字バス路線の運行費補助を拡充してまいります。

 また、引き続き「同居・近居・多子世帯」の住宅取得等に対する助成を実施し、定住・転入促進を図ってまいります。

 さらに、高齢者世帯が多い大麻地区をモデルとした住環境対策として、引き続き相談窓口を開設し、地域おこし協力隊による住み替え支援を推進してまいります。

 次に、低廉で良質な市営住宅の供給では、引き続き住環境の改善を図るための改修を進めるほか、高齢者や子育て世代などにも配慮した新栄団地C棟の完成に向け、工事を進めるとともに、D棟の実施設計を行ってまいります。

 また、安全で快適な道路環境を確保するため、生活道路の整備や改修を進めるとともに、自治会、除排雪事業者、市による3者懇談会の開催など市民との協働の下で、除排雪事業や自治会排雪支援事業など、引き続き雪対策の充実に努めてまいります。

 次に、上下水道の整備においては、災害に強く安定した給水を行うため、基幹管路の耐震化や緊急貯水槽の整備、上江別浄水場の設備更新等を計画的に進めるとともに、下水道施設の改築や更新、耐震化に向けた調査などを行い、安全で快適な生活環境の整備を進めてまいります。

 第6に、「子育て・教育」について申し上げます。
まず、子育てでは、安心して子どもを産み育てられ、就労と子育ての両立ができるまちづくりを進めてまいります。

 そこで、子育て世帯の経済的負担を軽減するため、3歳以上の未就学児の通院医療費について、課税世帯の負担を初診時一部負担金のみとする軽減措置を、平成29年8月から実施してまいります。

 また、「えべつ・安心子育てプラン」に基づき、引き続き保育料の独自軽減を実施してまいります。

 さらに、保育の待機児童解消対策として、0歳児から2歳児までの年間を通じた待機ゼロを目指すため、よつば保育園を定員拡大するほか、認定こども園や小規模保育施設の整備に対し支援するなど、保育環境の充実を図ってまいります。

 また、放課後児童クラブにつきましては、既存児童クラブをいずみ野小学校に移転するための整備を行ってまいります。

 さらに、安心して子育てできる環境整備の一環として、新たにスマートフォンアプリを活用した子育てサービス情報の配信などにより、子育て情報提供体制の充実を図ってまいります。

 また、地域での遊びや交流の場を提供するため、引き続き子育てひろば「ぽこあぽこ」の運営や、出前型のあそびのひろば事業を実施してまいります。

 次に、教育では、それぞれの子どもが持つ個性を尊重しつつ確かな学力の定着に努め、子どもたちが多様で変化の激しい社会を生き抜いていく力を養成し、次代を担う心身ともに健康な子どもたちを育ててまいります。

 そこで、地域と学校が一体となって子どもの教育や学校運営について考え、子どもを育てていく環境づくりのため、新たに「えべつ型コミュニティ・スクール」を推進してまいります。

 また、学力の向上では、教育用パソコンの更新にあわせたタブレット型パソコンの導入や、算数・数学をはじめとしたデジタル教科書の全小中学校への導入など、ICT教育の推進に必要な教育環境の充実を図ってまいります。

 さらに、小中学校学習サポート事業による補充的学習や、小学校全学年での外国語活動を継続して実施するほか、特別な支援を必要とする児童生徒への対応のため、特別支援教育支援員の増員や、必要な設備、備品等を整備してまいります。

 また、経済的理由により就学の援助が必要な世帯を支援するため、新たにPTA会費と生徒会費の項目を追加し、就学援助の充実を図ってまいります。

 第7に、「生涯学習・文化」について申し上げます。
市民が生涯にわたって、心身ともに健やかで充実した生活を営めるよう、学習・文化・スポーツを気軽に行える場を提供してまいります。
 また、長い歴史を持つれんが産業や文化・歴史遺産を通じて、市民のふるさと意識の醸成を図ってまいります。

 そこで、多くの市民の方に学習機会を提供するため、引き続き市内大学の自主公開講座とふるさと江別塾とを合わせた「えべつ市民カレッジ」を実施してまいります。

 また、優れた芸術文化に触れる機会を提供するため、市民文化ホールの開館20周年を記念した公演を企画するとともに、セラミックアートセンターにおいて、芸術作品を鑑賞する企画展を開催してまいります。

 さらに、市民美術展の受賞作品展の開催を支援するほか、引き続き市民の主体的な芸術文化活動を支援してまいります。

 また、スポーツ選手と市民との交流などを通じたスポーツ振興を図るため、引き続き合宿団体への支援などを行い、スポーツ合宿誘致を推進してまいります。

 さらに、社会体育施設の耐震化では、大麻体育館のトレーニング室棟の耐震改修工事を実施してまいります。

 第8に、「協働」について申し上げます。
 「江別市自治基本条例」の理念に基づき、市政への市民参加を進めるとともに、市民、自治会、市民活動団体、企業、大学などの各種団体と連携して魅力ある協働のまちづくりを推進してまいります。

 そこで、地域での交流や環境美化などの活動に取り組む自治会や、協働のまちづくりを実践する市民活動団体等へ引き続き支援するとともに、新たに自治会の女性役員と自治会連絡協議会役員との意見交換会を開催し、自治会活動の担い手など、協働を担う人材の育成に努めてまいります。

 また、未来のまちづくりを担う子どもたちに協働の理念を知ってもらうため、引き続き小中学生向けに啓発用パンフレットの配布を行うほか、小学校で実施している出前講座を中学校にも拡大し、啓発に努めてまいります。

 さらに、江別の知的資源である4大学との連携の下、大学教員や学生による地域活性化への研究などの取り組みを引き続き支援してまいります。

 また、市内大学に通う学生の地域活動などへの参加を促進し、若い世代の地域定着を図るため、引き続き道内8自治体の広域連携による取り組みを実施するとともに、独身男女の出会いの場となるイベントを開催してまいります。

 さらに、グレシャム市との姉妹都市提携40周年を記念した相互交流事業を実施してまいります。

 第9に、これまでの8つの政策を支える「計画推進」について申し上げます。
 「まちづくり政策」を進めるためには、効率的な行政サービスの執行と健全な財政の確保により、市の基礎自治体としての機能を充実させるとともに、市民との情報共有や市内外への情報発信を充実強化し、より分かりやすい広報誌やホームページづくりに努めるなど、江別のまちの魅力を積極的にPRしていくことが必要であります。

 そこで、江別の魅力をより多くの人に知ってもらうため、転入促進パンフレット等の充実や、大学生と連携した江別プロモーション動画の活用など、多様な情報発信に努めるとともに、子育て世代などの転入者の増加を目指すため、江別の特色である食をテーマとしたプロモーションなど、市民と行政が一体となって活動を進めてまいります。

 また、ふるさと納税につきましては、寄附をいただいた方に対する、これまでの特産品などの返礼品に加え、今後は定期配送コースを新たに取り入れるなど、より多くの方に江別や江別産品の良さを知ってもらえるよう、引き続きPRに努めてまいります。

 以上が歳出予算の概要でありますが、

 次に、歳入の見通しの主なものにつきまして、ご説明申し上げます。

 まず、市税につきましては、個人市民税や固定資産税の増加などから、市税全体では前年度当初に比べ、
2.3%増の123億3,800万円を見込んでおります。

 次に、地方消費税交付金は、地方財政見通しにより1.4%減の21億8,000万円を見込んだほか、地方交付税は、
98億5,000万円と前年度当初に比べ4.1%の減、臨時財政対策債は、6.3%増の14億8,000万円を見込んでおります。

 その結果、一般財源総額では、264億4,330万1千円となり、前年度より0.4%の減となったところであります。

 また、赤字地方債の性格を持つ臨時財政対策債の借入れは続いており、後年次に地方交付税で措置されるとはいえ、将来の財源確保には不透明な面もありますことから、今後とも市税等の自主財源の確保が課題であると考えております。

 次に、市債の発行につきましては、臨時財政対策債のほか新栄団地建替事業や道路整備等の財源に充てるため、総額では37億9,880万円となりました。

 市債の残高は、これまで進めてきた学校の耐震化事業の終了により、微増にとどまっておりますが、今後とも市債残高や償還額の推移について、将来世代と現役世代との負担バランスに十分配慮しつつ、投資的事業の重点化・平準化などにより、計画的な発行に努めてまいりたいと考えております。

 なお、使用料・手数料に関して、道路占用料など、政令改正等に伴う所要の改定を行うこととしたところであります。

 以上、総合計画の施策体系に基づき、平成29年度予算の大綱について申し上げました。

 冒頭申し上げましたように、江別市の人口減少が明らかになって以来、平成26年度にスタートした総合計画、平成27年度に策定した江別版地方創生総合戦略においても、人口減少への対応を市政運営の最大の課題ととらえ、当市の特色のもとに、子育て支援、教育の充実などを重点的・集中的に進めてまいりました。

 平成28年は、全体の人口は減少しているものの、9年ぶりに社会増となり、観光客も23年ぶりに100万人を超える見込みとなりました。

 このことは、多様な主体である市民の皆様が、市民協働の考えの下、住みよいまちづくりへの思いを一つにして、それぞれの役割を果たしてきたことによるものと考えております。

 この成果は、まだまだ小さな芽ではありますが、この芽にどうやって水や栄養をやり、成長させ、着実な事業へと育てていくのかが、今後問われることになります。

 江別市には、屯田兵をはじめとした先人たちが、うっそうとした原野を切り開き、人口12万のまち江別を築き上げてきた実績、そしてその精神があります。それを可能にしたのは、江別を良くしようという熱意を持った、多彩な人材にあったのではないでしょうか。

 我々は、未来を担う子どもたちに、明日への希望を持てる江別を引き継いでいかなければなりません。

 それを実現させるため、市民、自治会、市民活動団体、企業、大学、行政をはじめ多様な主体による協働の下、第6次江別市総合計画「えべつ未来づくりビジョン」と江別版地方創生総合戦略を一体的に進め、江別ならではのまちづくりを着実に進めてまいります。

 市民の皆様並びに議員各位の特段のご理解とご協力をお願い申し上げ、平成29年度の市政執行方針並びに各会計予算案の説明とさせていただきます。