ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 市長のページ > 市政執行方針 > 令和6年度 > 令和6年度市政執行方針

令和6年度市政執行方針

印刷用ページを表示する 掲載日:2024年2月26日更新

はじめに

 ただいま上程されました、令和6年度予算案及びこれに関する諸案件をご審議願うに当たり、私の市政に対する基本的な考えと予算の大綱についてご説明申し上げます。

 まず、このたびの令和6年能登半島地震におきまして、犠牲となられた方々に哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された多くの皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 当市といたしましても、被災地の一日も早い復旧・復興に向けて、職員派遣など、できる限りの支援を行ってまいりたいと考えております。

 さて、多くの皆様からのご信任をいただき、私が市長に就任してから9か月が過ぎました。

 今日まで、少人数で対話する「未来づくり懇談会」のほか、自治会、市民活動団体、経済団体などを通じて、江別にお住まいの方、仕事や学業で江別市内に通われている方など、様々な市民の皆様と意見交換をさせていただいたところです。

 私自身、江別に長年住む者として「江別をもっと良いまちにしたい」との思いを持ち続けてまいりました。これまでの意見交換では、まちづくりへの想いをひしひしと感じ、改めて、自治の主役は市民一人ひとりであることを実感しております。

 これからも、江別市自治基本条例の精神でもあります協働の理念に基づき、市民の皆様との対話を積極的に行いながら、江別のまちづくりを進めてまいりたいと決意を新たにしているところであります。

 昨今の当市を取り巻く環境に目を向けますと、長期にわたって猛威を振るった新型コロナウイルス感染症の法律上の位置付けが、季節性インフルエンザなどと同じ5類となり、かつての日常を取り戻しつつある一方で、ロシアによるウクライナ侵攻やイスラム組織ハマスとイスラエル軍との衝突の影響などに伴う原油価格と物価の高騰が続いており、市民生活等に大きな影響を与えています。

 また、総務省の住民基本台帳人口移動報告によりますと、1年間の当市における年少人口の転入超過数は、全国の市町村の中で6年連続して20位以内、全年齢区分を合わせた転入超過数も全道で3位という喜ばしい結果となりましたが、市の人口推計では、今後は全体の人口が減少していく中で、老年人口が令和17年頃まで増加し、年少人口と生産年齢人口は減少し続けることから、ますます少子高齢化が進むことが想定されます。

 このように、当市を取り巻く環境や社会情勢は、不安定で不確実性を増しており、今後の行財政運営は一段と厳しさを増すことが予想されます。将来にわたり、まちの活力を維持するためには、常に変化する社会情勢に柔軟かつ大胆に対応しながら、様々な困難を乗り越え、新しい時代に挑戦していかなければなりません。

 こうした変化などに対応し、新しい時代に挑戦するための道標として、このたび、まちづくりの最上位計画となる「えべつ未来づくりビジョン(第7次江別市総合計画)」を策定いたしました。

 計画の策定に当たりましては、市民5,000人を対象とした「まちづくり市民アンケート調査」のほか、中学・高校・大学生をはじめ、子育て中の方や地域で活躍される方など30のグループに、市の若手職員も加わり、延べ160人の市民の皆様から直接意見を伺う「えべつの未来づくりミーティング」を開催し、まちの課題や未来について意見を交わすなど、市民参加と協働による計画づくりを進めてまいりました。

 これらの取組を通じて得られた意見を踏まえて作成した計画案は、学識経験者や各関係団体の代表者、市民委員で構成される行政審議会においてご審議いただいたほか、市民説明会やパブリックコメントを経て、本計画の基本的な構想部分については、昨年の第4回市議会定例会において議決いただいたところであります。

 新しい総合計画においては、社会情勢が変化する中にあっても、住みやすく、魅力的なまちであり続け、持続可能なまちづくりを進めるために、国際社会全体の開発目標であるSDGsの達成を意識し、まちづくりの基本理念として、
 ・いつまでも元気なまち
 ・みんなで支え合う安心なまち
 ・子どもの笑顔があふれるまち
 ・自然とともに生きるまち
 ・新しい時代に挑戦するまち
の5つを掲げるとともに、将来都市像を
 「幸せが未来へつづくまち えべつ」
として、これからの10年間のまちづくりを進めていくことといたしました。

 さらには、この将来都市像の実現に向け、江別市の特色や優れた点を活かして、まちの魅力を高めながら、様々な課題の解決を図るため、計画の前期5年間で重点的・集中的に取り組んでいく「えべつ未来戦略」として、
 ・子どもが主役のまちをつくる
 ・幸せに歳を重ねられる暮らしをとどける
 ・みんなの働きがいと、元気な経済をつくる
 ・地域から地球温暖化防止に挑む
 ・デジタル技術で住みよい明日を切りひらく
の5つのテーマを掲げることといたしました。
 さらに、全ての戦略の基盤に「協働」を据えるとともに、「情報発信、ICT化」を「推進機能」としたところであります。

 これらの実現のためには、市民、自治会、市民活動団体、企業、大学、行政をはじめ、多様な主体が、それぞれの役割分担の下、得意分野や知識・経験などを活かしながら、協働の考え方に基づき、まちづくりの取組を実践していく必要があります。

 私は、この新しい総合計画「えべつ未来づくりビジョン(第7次江別市総合計画)」のスタートに当たり、まちづくりの基本理念の実現とえべつ未来戦略の推進に向け、全力で取り組んでまいります。

総合計画に掲げる5つの基本理念

 ここで、総合計画に掲げる5つの基本理念についてご説明申し上げます。

いつまでも元気なまち

 1点目は、いつまでも元気なまち であります。
 
全ての市民が、生涯を通じて心身ともに健康に暮らすことができるとともに、産業の振興による経済の好循環を生み出すことで、多くの人々が集い、行き交い、賑わいのある、人と経済が元気なまちを目指します。

 江別市は、平成29年に「健康都市宣言」を行い、市民の健康づくりの推進に努めてきたところであり、新しい総合計画の下においても、福祉や医療の充実はもちろん、文化やスポーツなどの生涯を通じて取り組むことができる活動により、人々の健康と心の豊かさを保つとともに、地域経済を支える産業の活性化に取り組みます。

 また、市立病院においては、地域の医療機関等との連携を強化するとともに、乳幼児から高齢者まで、全ての市民が安心して住み続けられるよう、救急医療や高齢者医療、周産期医療等の地域に必要な医療提供体制の充実に努めてまいります。

みんなで支え合う安心なまち

 2点目は、みんなで支え合う安心なまち であります。
 住み慣れた地域で、幅広い世代の参加による支え合いと、助け合うためのつながりを築き、みんなが手を取り合い、安全に、安心して暮らせるまちを目指します。

 当市は、これまでも自治基本条例に掲げる協働の理念に基づくまちづくりを進めてきたところであり、新しい総合計画の下でも、住み慣れた地域において、人と人とのつながりを大切にした協働の取組を充実させるとともに、地域防災力の向上に取り組みます。

子どもの笑顔があふれるまち

 3点目は、子どもの笑顔があふれるまち であります。
 未来の江別を担う子どもたちは、江別の宝であります。
子どもたちがいつも笑顔でいられ、そして、健やかに成長することができるまちを目指します。

 本格的な少子高齢・人口減少社会を迎える中、当市の人口は、子育て世代や年少人口の転入によって支えられてきました。子育て世代から住みよいまちとして選ばれ続けるためにも、安心して子どもを産み、育てられる環境を整えるとともに、子どもたちが健やかに成長し、いきいきと学べる環境づくりに取り組みます。

自然とともに生きるまち

 4点目は、自然とともに生きるまち であります。
 江別市は、「野幌森林公園」と「石狩川」といった豊かな自然が広がり、緑に囲まれた、環境に恵まれたまちです。この豊かな自然を守り、次の世代に引き継ぐために、脱炭素・循環型社会に対応し、人と自然が共に生きる環境にやさしいまちを目指します。

 当市は、昨年6月に、2050年までにCO2排出量の実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」を宣言し、脱炭素社会の実現に向けた取組を進めているところであります。
将来にわたって、人と自然が共に生きていくため、身近に感じられる豊かで美しい自然を守るとともに、地球環境に配慮した取組を行ってまいります。

新しい時代に挑戦するまち

 5点目は、新しい時代に挑戦するまち であります。
 社会や経済が変化する中にあっても、誰もが幸せで心豊かな生活を送ることができ、住みやすいまちであり続けられるよう、新しい価値を創造し、新しい時代に挑戦するまちを目指します。

 国は「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」を目指して、デジタル技術の活用により、都市の活力と地方のゆとりの両方を享受できる「デジタル田園都市国家構想」を掲げております。

 当市においても、常に変化する社会情勢に柔軟かつ大胆に対応しながら、様々な困難を乗り越えていくために、デジタル技術を活用した取組などの新たな分野に挑戦するとともに、市民、企業、大学などの関係機関との協働による取組を進めてまいります。

えべつ未来戦略

 次に、これらの基本理念を実現するため、今後5年間で、重点的・集中的に取り組む「えべつ未来戦略」について、戦略テーマごとに申し上げます。

戦略1 子どもが主役のまちをつくる

 はじめに、戦略1「子どもが主役のまちをつくる」についてであります。
 冒頭に申し上げましたとおり、1年間の年少人口の転入超過数は、6年連続で全国20位以内となるなど、多くの子育て世帯に選ばれてまいりました。

 子どもの数が減少傾向にある中、子育て世帯から住みよいまちとして、これからも選ばれ続けるためには、誰もが安心して子育てができる環境づくりを進めていく必要があります。

 そこで、子育てに関する保護者の不安や負担の軽減を図るために、子育て支援センターによる情報発信や相談体制を充実させるとともに、昨年リニューアルした子育てひろば「ぽこあぽこ」の運営などを通じて、親子が集える交流や遊びの場を提供するなど、包括的に子育て家庭を支援する環境づくりを進めます。

 また、未就学期の多様な子育てニーズに対応するため、奨学金の返還支援などを通じて、引き続き、市内の保育施設で働く保育士等の確保に努めるほか、新たな放課後児童クラブの開設や、夏の暑さ対策として、小中学校等にエアコンを設置するなどの環境整備を行うことで、未就学期から学齢児童まで、保護者が安心して仕事と子育てを両立できる環境づくりを進めます。

 さらに、変化の激しい社会の中にあっても、子どもたちが将来の夢や目標を持ち、他者を尊重しながら生きていく力を身に付けるため、引き続き、小中一貫教育の推進を図るほか、いじめ・不登校などの様々な課題の解決に向けた取組など、教育相談や支援の更なる充実により、子ども一人ひとりが、個性や状況に応じた教育を受けることができる環境づくりに取り組んでまいります。

​​戦略2 幸せに歳を重ねられる暮らしをとどける

 次に、戦略2「幸せに歳を重ねられる暮らしをとどける」についてであります。
 江別市の高齢化率は、この計画の最終年である令和15年には、37%を超えることが見込まれています。

 これまでも「江別市健康都市宣言」に基づき、市民の健康寿命を延ばすための取組を行ってきたところであり、今後も、市民の皆様が、住み慣れた地域で、安心して歳を重ね、生涯にわたって幸せに暮らし続けられるまちづくりを進めていかなければなりません。

 そこで、市民の皆様一人ひとりが心豊かに暮らし、自ら健康づくりに取り組むことができるよう、乳幼児期からシニア期までのライフステージに応じた健康づくり事業を進めるとともに、個人のみならず、地域や企業などと連携し、「こころ」と「からだ」が健康であるための環境づくりに取り組んでまいります。

 また、食生活の改善や運動習慣の定着による生活習慣病の予防のほか、各種検診による疾病の早期発見・早期治療による重症化の予防に努めるとともに、予防医療の観点から、食と軽度認知障害発症の関係を明らかにするための北海道情報大学や民間事業者との共同研究に引き続き参画してまいります。

 さらに、性別、年齢、国籍、文化の違い、障がいの有無などにより、私たちが無意識のうちに作ってしまう心理的な壁をなくし、お互いに個性を理解し合い、誰もが自分らしく、いきいきと暮らしていける社会を目指し、江別版「生涯活躍のまち」構想に基づく「共生のまちづくり」の取組を引き続き進めてまいります。

戦略3 みんなの働きがいと、元気な経済をつくる

​​ 次に、戦略3「みんなの働きがいと、元気な経済をつくる」についてであります。
 市内経済の活性化は、雇用の確保など、市民の皆様の日常生活を支えることにつながり、さらには、市の財政基盤の安定にもつながります。江別市の経済は、「食」と「農」に関わるものをはじめ、多彩な産業に支えられています。

 また、大都市に隣接している立地条件や、4つの大学があるなど、産業の振興につながる強みにも恵まれています。こうしたことを踏まえ、働く人と地域の産業がともに元気になるためにも、雇用の場を確保するとともに、市民と企業とのマッチングを図る必要があります。

 そこで、市内の未利用地を活用した企業誘致に取り組むとともに、千歳市に進出したラピダス株式会社が掲げる「北海道バレー構想」や半導体関連産業に関する国や北海道などの動向を踏まえ、市内に大学があることによる人材確保の優位性などを活かした取組を進めてまいります。

 また、戦略1に掲げる子育て支援と併せて、江別まちなか仕事プラザを拠点とした、働きたい子育て中の方やシニア層の社会参加と企業の雇用確保に向けた取組を拡充するとともに、「人にも企業にも選ばれるまち」を目指して、市内企業の情報を発信するなど、働きたい市民とのマッチングを図る取組を進めてまいります。

戦略4 地域から地球温暖化防止に挑む

 次に、戦略4「地域から地球温暖化防止に挑む」についてであります。
 近年、地球温暖化による気候変動が世界的な問題となっており、江別市としても、地球温暖化対策に積極的に取り組んでいくことが重要であると考え、昨年6月に「ゼロカーボンシティ」を宣言しました。

 地球温暖化防止は、地球規模の課題であります。地球規模で見ると江別は小さなまちかもしれませんが、私たちも地球で暮らす一員として、この課題の解決に立ち向かわなければなりません。

 そこで、脱炭素社会の実現に向けて、「地球温暖化対策実行計画」を兼ねて策定した「江別市環境管理計画」に基づき、温室効果ガス排出量の削減に向けた取組を推進するとともに、エネルギーの地産地消を促進してまいります。

 また、地球温暖化防止に挑むことの必要性を、市民の皆様と共有し、市民一人ひとりが環境にやさしい取組の大切さに気付き、実践できるよう、引き続き、子どもや市民向けの環境講座などを通じて環境保全への意識啓発に取り組んでまいります。

​​戦略5 デジタル技術で住みよい明日を切りひらく

 次に、戦略5「デジタル技術で住みよい明日を切りひらく」についてであります。
 令和2年当初から猛威を振るった新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活を一変させるとともに、日常生活においては、様々な制約を受ける中で、感染拡大防止の観点から非接触・非対面による活動が可能なデジタル技術の活用が進みました。

 人口減少と高齢化が進む中で、地域の活性化や課題解決のためには、デジタル技術の活用は欠かせません。持続可能で住みよいまちをつくるため、デジタル技術を活用した行政事務の効率化をはじめ、市民サービスの向上を目指したシステムの構築や、産業振興への活用などが必要であります。

 そこで、「江別市DX推進方針」に基づき、市民生活の利便性の向上や、質の高い暮らしの実現に向け、市民サービスの充実や行政事務のデジタル化を図るとともに、スマートフォンの活用による市民の健康管理や、江別市の魅力の一つである「食」と「農」を守るため、スマート農業の推進に取り組んでまいります。

 以上、今後5年間で、重点的・集中的に取り組む、5つの戦略について申し上げました。

予算案の大綱

 次に、令和6年度の江別市予算案の大綱について申し上げます。

 先般発表されました、国の令和6年度の地方財政計画では、社会経済活動のコロナ禍からの回復や、個人所得の増加等を踏まえ、地方全体の財政規模は、前年度比1.7%の増加とし、このうち、地方交付税交付団体ベースの一般財源総額は、前年度比0.9%の増加となったところであります。

 一方、少子高齢化等による社会保障費の拡大や、近年の原油価格・物価高騰などにより、地方自治体に係る負担は増加傾向にあり、地方財政に大きな影響を及ぼしております。

 こうした中、市といたしましては、財源の確保と費用対効果の向上を念頭に経費の精査に努めながら、令和6年度は、「えべつ未来づくりビジョン(第7次江別市総合計画)」の初年度であることを踏まえ、「いつまでも元気なまち」のほか、5つのまちづくりの基本理念に基づき、まちづくり政策と未来戦略の推進に向けて新年度予算を編成したものであります。

 その結果、令和6年度の各会計予算規模と前年度当初予算との比較においては、

 一 般 会 計  526億2,000万円     1.7%の増
 特 別 会 計  257億7,800万円    0.8%の減
 企 業 会 計  180億3,275万9千円  2.2%の減
 合        計  964億3,075万9千円  0.3%の増

となるものであります。

 以下、令和6年度予算案の概要につきまして、第7次江別市総合計画の政策体系に基づき申し上げます。

政策1 自然・環境

 第1に、「自然・環境」について申し上げます。
 まず、人と自然の共生では、地球温暖化防止に向けて、家庭における太陽光発電設備と蓄電池の設置促進に向けた支援を新たに実施し、再生可能エネルギーの利用拡大を図ってまいります。

 また、市の事務事業におけるCO2排出量を抑制するため、公共施設の省エネルギー診断を新たに実施するとともに、ゼロカーボンかつ地産地消の電力であることを証明する非化石証書付き電力の利用を推進してまいります。

 次に、循環型社会の形成では、家庭系ごみ処理手数料の改定に合わせて、紙おむつの無料収集や、ペットボトル収集日の追加など、ごみ処理に係るサービス向上に取り組むとともに、将来にわたって、ごみを安定的に処理できる体制を整備するため、次期最終処分場の実施設計を進めてまいります。

政策2 産業

 第2に、「産業」について申し上げます。
 まず、都市近郊型農業の推進では、水利施設などの基盤整備を計画的に進めるとともに、農畜産物のブランディングや、農業者による6次産業化、新商品開発などを引き続き支援してまいります。

 次に、商工業の振興では、商店街の活動や市内企業・団体によるイベント開催等を支援することで、地域経済の活性化を図るほか、旧岡田倉庫を拠点施設とするかわまちづくり事業にも取り組んでまいります。

 次に、観光による産業の振興では、EBRI内の江別アンテナショップGET′Sにおける観光案内機能の充実を図るほか、一般社団法人えべつ観光協会の自走化に向けた支援を行うとともに、関係機関とも連携しながら、周遊観光の更なる促進に努めてまいります。

​政策3 福祉・保健・医療

 第3に、「福祉・保健・医療」について申し上げます。
 まず、健康づくりの推進と地域医療の安定では、子どもから高齢者まで幅広い年代を対象にした健康教育を引き続き実施するとともに、健康都市宣言に基づき、市民の健康意識の向上と健康づくりの推進に努めてまいります。

 また、国民健康保険事業については、特定健康診査の受診率や、特定保健指導の利用率の向上に向けて、データヘルス計画に基づいた保健事業を引き続き推進してまいります。

 さらに、市立病院においては、現在策定中の「江別市立病院経営強化プラン」に則り、経営の改善と安定化に向けた各種の取組を進めてまいります。
 
 次に、障がい者や高齢者の福祉におきまして、各種計画に基づき、障がい者福祉制度や介護保険及び後期高齢者医療制度などの安定的な運営に努めてまいります。

 また、障がいにより自宅で入浴することが難しい方に対して、施設の入浴設備の利用に係る助成制度を新設することにより、本人の生活環境の改善と介助負担の軽減を支援してまいります。

 さらに、病弱な高齢者等に関して、看護師が相談に対応したり、緊急時には民間の警備会社が駆け付けたりする新たな緊急通報サービスを提供することで、高齢者等がより安心して暮らせる環境を整備してまいります。

 そのほか、介護人材の確保と市内介護事業所への定着を図るため、資格取得支援や職場実習による介護人材の養成を引き続き行うほか、高齢者や認知症の方の社会参加につながる活動を推進するなど、介護予防や認知症支援事業の充実に努めてまいります。

​政策4 安全・安心

 第4に、「安全・安心」について申し上げます。
 まず、地域防災力の向上では、自然災害等における被害の軽減に向けて、「防災あんしんマップ」の更新や、総合防災訓練等を実施するとともに、災害対応物品や備蓄庫の整備などを計画的に進めてまいります。

 また、耐震化が必要な市役所本庁舎については、現在策定中の本庁舎建設基本計画の検討状況を踏まえながら、国の起債制度の期限等も考慮し、早期の建設に向けた基本設計に着手いたします。
 
 次に、消防・救急の充実では、緊急時における対応力を強化するため、消防本部の非常用電源を72時間稼働する設備に更新するとともに、女性専用のシャワー室や休憩室の整備などを行うほか、消防車両の計画的な更新を進めてまいります。

 また、増加する救急需要に対して、搬送の迅速化と情報共有の高度化に向けて、タブレットを用いて救急隊と病院がデータ連携を行う救急医療支援システムの本格導入を進めてまいります。

​政策5 都市生活

 第5に、「都市生活」について申し上げます。
 まず、市街地整備の推進では、駅周辺を中心としたコンパクトなまちづくりを基本として、土地の有効活用に向けた検討を進めるとともに、周辺環境と調和した安全で快適な公園整備を進めてまいります。

 また、市営住宅について、子育て世代や高齢者などにも配慮した良質な住宅を提供するため、住環境の改善を図る改修を計画的に進めてまいります。

 さらに、上下水道においては、災害に強く、安全で安心して使える水道水を安定的に供給するため、配水池の増設工事を行うほか、老朽配水管の更新や耐震化を進めるとともに、衛生的な生活環境を確保するため、下水道管路の更新や処理場・ポンプ場の設備更新などを計画的に進めてまいります。

 次に、交通環境の充実では、宅地造成による交通量の増加に対応するため、「元江別中央通り」や「兵村4丁目通り」などの幹線道路を整備するほか、老朽化した生活道路や橋梁などの改修を計画的に進めてまいります。
 
 また、冬の市民生活に不可欠な雪対策について、除雪グレーダーやダンプトラックの増強により、バス路線や歩道等の除排雪を強化するとともに、作業員の人員確保に向けた資格取得を支援するなど、除排雪体制の整備を進めてまいります。

​政策6 子育て・教育

 第6に、「子育て・教育」について申し上げます。
 まず、子育て環境の充実では、保険が適用されない先進不妊治療に対する助成制度を新設するほか、産後ケア事業の負担軽減制度の拡大や、全ての新生児を訪問する取組などにより、母子に対する更なる支援の充実に取り組んでまいります。

 また、児童への支援では、教育・保育施設における給付費の請求事務を効率化する給付等管理システムの導入により、施設職員の負担軽減と保育環境の充実を支援してまいります。

 さらに、子育て世帯の転入や共働き世帯の増加を踏まえ、放課後児童クラブにおける事務補助員の雇用やICT機器の導入を支援し、放課後児童クラブの受入体制の整備を進めてまいります。

 次に、子どもの教育の充実では、小中学校全学年に導入したタブレットを活用し、子ども一人ひとりの学習状況に応じてサポートするAIドリルや、テストの採点時間削減により、教員が生徒と向き合う時間を増やせるよう自動採点システムを導入し、教育内容の充実を図ってまいります。

 また、退職教員等による補充的学習や、小学校全学年での外国語教育など、学習環境の充実に引き続き取り組むとともに、特別な支援を必要とする児童生徒のための支援員の配置などを通じて、全ての子どもたちの学びの場の確保に努めてまいります。

​政策7 生涯学習・文化・スポーツ

 第7に、「生涯学習・文化・スポーツ」について申し上げます。
 まず、生涯学習の充実では、情報図書館について、本の貸出・返却手続きのセルフ化など利用者の利便性向上と業務の効率化を実現する情報図書館のデジタル化を進めてまいります。

 また、令和5年度に改修を終える旧町村農場について、売店などの機能を拡充した上で、通年開館を開始し、新たな周遊観光の拠点の1つとして活用してまいります。

 さらに、文化・芸術に関しまして、令和6年度は、セラミックアートセンターの開館30周年となることから、全国的に人気の高い「志野」茶碗の制作に取り組んでいる、いわゆる「人間国宝」である鈴木藏氏の企画展を開催するなど、やきもの文化の発信に取り組んでまいります。

 次に、市民スポーツ活動の充実では、子どもから大人まで幅広いスポーツ活動を引き続き支援するとともに、道立野幌総合運動公園で予定される「水泳の日2024」の開催に協力し、水泳をはじめとしたスポーツの振興に努めてまいります。

​政策8 協働・共生

 第8に、「協働・共生」について申し上げます。
 まず、協働のまちづくりの推進では、市民が主体となった協働の取組を引き続き支援するとともに、令和6年度は、自治基本条例の見直しを検討する年となることから、同条例に基づく運用状況の検証等を行ってまいります。

 また、まちづくりの重要なパートナーである自治会について、地域自治活動事業補助金の申請方法を簡素化することなどにより、高齢化等による負担の軽減を支援してまいります。
 
 さらに、貴重な知的資源であり、人材育成の場である市内4大学について、市と大学が連携して研究や地域活動に取り組む各種事業を引き続き推進してまいります。

​政策9 計画推進

 第9に、これまでの8つの政策を支える「計画推進」について申し上げます。
 まず、市政運営に関して、効率的な行政サービスの執行と財政の健全性確保に引き続き努めるとともに、企業版を含めたふるさと納税の拡大に向けた取組を進めてまいります。

 また、令和6年度が最終年度となる地方版総合戦略の次期計画を策定するなど、当市の最大の課題である人口減少対策に引き続き取り組んでまいります。

 次に、情報発信に関して、市LINE公式アカウントの利用拡大や、ターゲットに合わせたシティプロモーションなどにより、市民と市の双方向の情報共有や、まちの魅力の効果的な発信に引き続き努めてまいります。

 以上が歳出予算の概要でありますが、次に、歳入の見通しの主なものにつきまして、ご説明申し上げます。

 まず、市税につきましては、地価上昇や資材価格高騰などの影響により、固定資産税が増加する一方、国による定額減税の実施を踏まえ、市税全体では前年度当初に比べ、1.9%減の
126億5,000万円を見込んでおります。
 なお、定額減税による減収分は、地方特例交付金により補てんされることとなっております。

 また、地方交付税は、4.0%増の122億8,000万円、臨時財政対策債は、63.0%減の1億円を見込んだほか、地方消費税交付金は、3.1%減の30億8,000万円を見込んでいます。

 その結果、一般財源総額では、294億7,630万円となり、前年度より1.7%の増となったところであり、今後とも、市税等の自主財源の確保に努めてまいります。

 次に、市債の発行につきましては、臨時財政対策債のほか、環境クリーンセンター基幹的設備改良事業や学校施設整備事業等の財源に充てるため、総額では、31億3,580万円となりました。

 市債については、今後とも将来世代と現役世代との負担割合などに十分配慮しつつ、投資的事業の重点化や平準化などにより、計画的な発行に努めてまいります。
 なお、使用料・手数料につきましては、原価の算定方法を明確化することによる透明性の確保と、市民相互の負担の公平性確保を基本とした見直し方針に基づき、所要の改定を行うこととしたところであります。

 その他、予算案の詳細につきましては、「令和6年度各会計予算及び予算説明書」などをご参照いただきたいと存じます。

 以上、令和6年度予算案の大綱について申し上げました。

終わりに

 終わりに、令和6年度予算は、新しい総合計画の下での初めての予算であり、私が市長に就任して初めて編成した当初予算でもあります。
 冒頭に申し上げましたとおり、就任から今日まで多くの市民の皆様と意見交換をさせていただく中で、たくさんの人々の真剣な「まなざし」と「笑顔」に触れることができました。そのたびに、この「笑顔」をこれからも守り抜くことが、市長である私の使命なのだと決意を新たにしてまいりました。

 今年は、江別市にとって市制施行70周年の節目を迎えます。
 今、私たちが笑顔でいられるのは、先人の優れた英知とたゆまぬ努力のおかげであります。

 これからの10年、またその先の10年と、未来は必ずやってきます。

 幸せが、いつまでも続くためには、社会情勢の変化や、経験したことのない困難に直面したとしても、未来の江別を担う今の子どもたちが笑顔でいることができる社会を、創造し続けていくことが大切です。

 そこで、新しい総合計画のスタートに合わせ、子どもたち一人ひとりが尊重され、健やかな成長が保障されるまちをつくるため「子どもが主役のまち・江別市」の宣言に向けた準備を進めます。

 子どもたちの笑顔を大切にすることは、子育て世代の幸せにつながり、子育て世代の幸せを大切にすることは、その親の世代の幸せにつながります。

 そして、今の子どもたちは、やがて大人になり、未来の子どもたちの笑顔を大切にします。この繰り返しこそが「幸せが未来へつづくまち」なのだと、私は信じて疑いません。
 「えべつ未来づくりビジョン(第7次江別市総合計画)」の下で、市民の皆様と手を取り合いながら、これからも「江別市に住んで良かった」、「このまちにずっと住み続けたい」と思っていただけるよう、一歩一歩、着実にまちづくりの歩みを進めてまいります。

 市民の皆様並びに議員各位の特段のご理解とご協力をお願い申し上げ、令和6年度の市政執行方針並びに各会計予算案の説明とさせていただきます。