平成26年度から適用される個人住民税の税制改正
1.個人住民税均等割税率の特例(平成26年度から平成35年度まで)
東日本大震災からの復興を図ることを目的として、地方公共団体が実施する防災のための施策に要する費用の財源を確保するため、臨時の措置として個人住民税の均等割の標準税率に1,000円(道民税500円、市民税500円)が加算されます。
均等割 | 現行 | 特例期間 |
---|---|---|
道民税 | 1,000円 | 1,500円 |
市民税 | 3,000円 | 3,500円 |
合計 | 4,000円 | 5,000円 |
2.「ふるさと寄附金」に係る税額控除(特例控除額)の特例(平成26年度から平成50年度まで)
平成25年分から復興特別所得税(2.1%)が創設されたことに伴い、「ふるさと寄附金」に係る個人住民税の寄附金税額控除について、特例控除額の算定に用いる所得税の限界税率に、復興特別所得税率(100分の2.1)を乗じて得た率を加算することによって、減額する調整を行います。算定方法は以下のとおりです。
なお、所得税と個人住民税の寄附金税額控除額の合計は、平成25年度までの算定方法で算出した場合と同額となり、全体の控除額に変更はありません。
「ふるさと寄附金」に係る税額控除額=基本控除額(1)+特例控除額(2)
(1) 基本控除額 (寄附金額は、総所得金額等の30%が上限)
(寄附金額-2,000円)×10%
(2) 特例控除額 (市民税及び道民税所得割額のそれぞれ10%が上限)
【改正前】(寄附金額-2,000円)×(90%-所得税の限界税率)
【改正後】(寄附金額-2,000円)×(90%-所得税の限界税率×1.021)
3.給与所得控除額の改正(給与所得控除額の上限設定)
給与収入金額が1,500万円を超える場合の給与所得控除額について、245万円の上限が設けられました。
【給与所得控除額(給与収入金額が1,000万円超の場合)】
現行(平成25年度まで) | 改正後(平成26年度から) | ||
---|---|---|---|
給与収入金額 | 給与所得控除額 | 給与収入金額 | 給与所得控除額 |
1,000万円超 | 給与収入金額×5% +170万円 | 1,000万円超 1,500万円以下 | 給与収入金額×5% +170万円 |
1,500万円超 | 245万円 |
4.給与所得者の特定支出控除の改正
給与所得者の実額控除の機会を拡大する観点から、適用範囲の拡大と基準の緩和が行われました。
(1) 適用範囲の拡大
特定支出の範囲に次の支出が追加されます。
- 職務の遂行に直接必要な弁護士、公認会計士、税理士等の資格取得費
- 図書の購入費、職場で着用する衣服の衣服費、職務に通常必要な交際費等で、職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者より証明がされたもの(上限65万円)
(2) 適用判定の基準の見直し
特定支出の額の合計額が、下記の表の区分に応じそれぞれ「特定支出控除額の適用判定の基準となる金額」を超える場合、確定申告によりその超える部分の金額を給与所得控除後の所得金額から差引くことができます。
給与収入金額 | 特定支出控除額の適用判定の基準となる金額 |
---|---|
1,500万円以下 | 給与所得控除額×1/2 |
1,500万円超 | 125万円 |
5.公的年金所得者が寡婦(寡夫)控除を受けようとする場合の申告手続きの簡素化
公的年金以外の所得を有しなかった方が、寡婦(寡夫)控除を受けようとする場合の個人住民税の申告書の提出が不要となりました。
ただし、年金保険者(日本年金機構等の年金支払者)に提出する扶養控除申告書に「寡婦(寡夫)」の記載を忘れたり、扶養控除申告書を提出しなかった場合は、控除が適用されません。控除の適用にあたっては、確定申告または住民税申告が必要となります。