ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

第6回 株式会社Kalm角山

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年3月23日更新

TOP対談01

企業と行政のトップが対談。市内企業の魅力や思いを市長が聞き出します。
400頭以上の乳牛を育て、年間5000トン以上の生乳を出荷する、株式会社Kalm(カーム)角山川口谷社長を三好市長が訪問しました。TOP対談02


【三好市長】
 
Kalm角山さんは5人の酪農家が集まって会社を設立したそうですが、5人の方が同じ想いで一つの方向に向かっていくのは難しかったのではないでしょうか。

【川口谷社長】
 
まず一番のベースは目的の共有でした。
北海道を含め、日本全体の生産基盤がどんどん弱体化してきている中で、我々農業者の責任や義務として生産物の安定供給を果たそうとしたときに、一農家ができることには限界があり、大規模化でスケールメリットを活かした提供をしなければならないという大きな目的があったので立ち上げることができたと思っています。
 
【三好市長】
 
創業から飛躍的な進展ですが、中には予定通りにいかないこともけっこうあるのではないでしょうか。

【川口谷社長】
 
我々は農業ですから天候に左右されることがものすごく大きいですね。
牛という生き物がいますので、まず自家飼料をしっかり作り、天候リスクに備えて国内外の調達ルートを作るなど、安定的な餌の調達を一番に考えています。
また、3年前の胆振東部地震のような震災があったときに電気や水が供給されないのは大きなリスクですので、井戸水の使用や発電機の導入で搾乳体制を事前に整えています。それから昨年のようなコロナの発生も大きな出来事でしたが、すべてにおいては長期のビジョンの中でどうリスク対応するかが経営として一番大切だと感じたところですね。
TOP対談03
【三好市長】
 
今回のコロナもそうですが、一つの事案で消費者の動向はガラッと変わる可能性がありますよね。
私が一番関心を持っていますのは、食の安全に関する国際的な食品安全規格であるHACCPやGAPをいち早く認証取得されていることです。特にGAPの取得は酪農で国内第1号ということですよね。

【川口谷社長】
 
そうですね。我々が作っている生産物は安心・安全という基準でお客様に消費をしていただいていると思っています。
ただ、その裏付けって何だろう、どういう工程でどういう管理をしているのかということを消費者から問われたら、なかなかお答えできないことに疑問を感じていたんですね。
しかし、HACCPやGAPの認証を取得することによって、その裏付けが取れて、生産者の信頼と約束をお届けすることができるという意識で取得しました。

【三好市長】
 
川口谷さんにとっても大規模牧場経営は未知の分野でしたよね。そこに5人が集まって多額の投資をするということですから、ある意味では非常にリスクがあると思いますが、それを超える気持ちはなんだったのでしょうか。

TOP対談04川口谷社長
 
やはり強烈な意志なんですよね。
私は家内の実家を継ぐために脱サラをして東京から北海道に来たのですが、当時は家業として小さな酪農経営をしておりました。ただ、私がこの業界にいるうちに、食料自給率の低さにより安心して食べることができることに対する不安を感じたことから、生産者として食料自給率を上げることを自分の一番の目標として抱え、この会社を立ち上げました。
その中で江別の地域の生産基盤をプラスへ変えていくといった意志・目的を明確に持ったときに、この事業に対する意気込みや諦めないという気持ちが生まれていったと思っていますね。

【三好市長】
 
最近は有機・無農薬といった多少高くても付加価値があり、安心で安全なもので栄養価が高い商品の需要も多いようですが、こういうところにも関心を持たれていますね。

川口谷社長
 
そうですね。Kalm角山という生乳を安定的に供給する会社に加え、今回、付加価値のあるオーガニック牛乳を供給する「北のオーガニックファーム株式会社」という別会社を興しまして、今年からこの2本で走っていこうと考えています。
経営者の立場で言うと、我々酪農業は利益率が低い分野ですので、オーガニックという付加価値のある部門で利益率を上げていきたいと思っています。

【三好市長】
 
全体を見ましても今は機能性を加えた飲料がどんどん出てきており、消費者の関心が高くなっていますね。TOP対談05

川口谷社長
 
そうですね。いずれ牛乳にも機能性の表示をつけて、消費者の皆さんにしっかりと科学的根拠をもって飲んで頂けたらと思いますね。

【三好市長】
 
アフターコロナで国民の生活パターンや生活様式が変わって行くと思いますが、今後について何か思いはありますか。

川口谷社長
 今回のコロナの中で食品が余ったり、海外から入ってこなかったりしたことがあり、多くの消費者は不安を持っていると思います。ですから我々は牛乳という日常生活に不可欠なものについては海外の動向や天候の問題も含めて、何があっても安定的に供給するというところに特化をして消費者へ提供していかなければならないと思っています。
また一方で、消費者が自宅での食事や特別な会食が増えて、より良いものを選択する機会が増えた時、今回のオーガニックのような形でより付加価値の高いしっかりとしたものをお届けするという両輪で回すことが重要だと考えています。TOP対談06
我々は消費者あっての生産者になりますので、消費者に見学等で現場を理解して頂いて、牛乳が工場ではなく生き物から出てくるもの、貴重な栄養源であるということを感じ取っていただく活動をしていかなければならないと思っています。

【三好市長】
 
最後になりますけど、Kalm角山、そして川口谷さんにとりまして、江別というフィールドはどのような思いでしょうか。

川口谷社長
 
最高の場所だと思っています。
札幌にこれだけ近く、石狩川や原始林といった自然があり、これだけの農業者と農地があります。また、これからの酪農では絶対に重要になる環境問題について、バイオマスや太陽光などの再生エネルギーがものすごく活発に進んでいます。そんな江別は、これからの産業立地の場と都会の方々が非日常を求められる憩いの場という両面で魅力が発信できる場所だと思っているので、我々もこの地でこの安心・安全で環境に配慮した酪農をともにしていければとすごく思っています。TOP対談07

【三好市長】
 
ありがたいお褒めの言葉をいただきましたので、我々もみなさんと一緒になって頑張っていきたいと思っています。