第8回 札幌機工整備株式会社
企業と行政のトップが対談。市内企業の魅力や思いを市長が聞き出します。
わたしたちの冬の生活を守るロータリ除雪車をはじめ、道路交通には欠かせない道路維持車両などの販売、整備を行っている、札幌機工整備株式会社の堀田社長を後藤市長が訪問しました。
【後藤市長】
先ほど工場を見学させていただきましたが、自治体のカラフルな除雪車たちがずらっと並んでいて圧巻でしたね。子どもたちが大好きな働く車の修理や整備を行っている会社が、昔から江別にあると知ったら喜ぶのではないですかね。
【堀田社長】
創業当時は札幌市北区に工場があり、夏季に使用する道路維持車両の整備から始まりました。工場が手狭になったことから、昭和48年に江別市に一部を移転、その後工場全体を移しました。しばらくは、本社は札幌、工場は江別で操業していましたが、現在は本社も江別に移っています。整備対象としては、除雪の車両がかなりのウエイトを占めています。
【後藤市長】
会社が大きくなった時期は、ちょうど社会インフラの整備が進んだ時期ですよね。道路などの整備に使う車両が増え、その車両の整備が必要になり、事業が拡大していったということですね。
【堀田社長】
そうですね。江別に工場を建てた頃の道路は、砂利道でしたからね。
【後藤市長】
江別市が伸びていった時期に、この工業団地ができて多くの企業に定着していただきました。最初は、こんなに便利な場所になるとは思っていなかったのではないかと思いますね。
【堀田社長】
この工業団地は、様々な業種の企業が立地しているので、相談事に対して異なる視点からアドバイスをいただくことがあり、新たな気づきに繋がっております。従業員が少ない企業にとっては、自分たちだけでは限界がありますから、工業団地の企業との交流は貴重です。
【後藤市長】
ところで、先ほど見せていただいたロータリ除雪車の整備も最後は人の手が必要というお話でしたよね。
【堀田社長】
当社は舗装や除雪などのインフラ整備の一端を担う機械整備を行っているため、自動化することが難しく手仕事がほとんどです。
ロータリ除雪車もパソコンを使って整備をしますが、雪を削り取る回転装置の羽根の調整は、人の手での確認になります。このバランスがずれていると、精度の高い除排雪ができないので熟練の技術が要求されます。
【後藤市長】
最後の最後は手作業で行っているところが、安全で安心の品質に繋がっているのですね。
【堀田社長】
ありがとうございます。
【後藤市長】
熟練の方の持っている技術を次の世代に渡していきたいですよね。
【堀田社長】
そうですね。今年、江別工業団地協同組合は創立50周年を迎えますが、当社も来年60周年を迎えます。現在も当時から勤務している者が2名、技術指導に当たってくれています。整備する車の中には昭和の車もありますから、熟練の方の経験、知識や技術の継承は必須ですね。
【後藤市長】
先ほど運転席にも座らせていただきましたが、雪を削り取る回転装置の一部は運転席から死角になる部分がありますね。
【堀田社長】
そうですね。運転席から見えない所があると人が巻き込まれる危険がありますので、AIカメラを搭載し、人が近づくとアラートが鳴る装置を取り付けました。AIなどの新しい技術を取り入れながら、ベテランの技術の継承を行っていますが、次世代の働き手の確保が課題ですね。
江別市内には若者がたくさんいるのに、なぜか江別市内に就職してくれません。
【後藤市長】
堀田社長のおっしゃるとおり、江別には4つの大学1つの短期大学があるのに、江別の企業を知らないという学生が多く、地元に定着してくれないというのが、我々行政にとっても課題です。学生もそうですが、大学の先生と就職の担当者に江別の企業があまり知られていないと思うので、江別に目を向けてもらう仕組みを考えていきたいと思っています。
【堀田社長】
当社としても協力いたします。
また、工業団地のお祭り「大工業祭」や「ジモ×ガク」なども活用しながら、江別の企業に就職していただいて、これからさらに50年続けていければ良いなと思っています。
インフラ整備の一端を担っている以上は、絶対にこの会社はなくせないと考えています。車両は簡単に買い換えられるものではないので、壊れた時に直す人は絶対に欠かせないと思っています。
【後藤市長】
いくら新しい機械が次々出てきても、それを整備する人がいないと安心して仕事ができないですよね。
【堀田社長】
そうですね。私たちは様々なメーカーの整備を行っているので、メーカーの不具合や経年劣化など、突然のトラブルに対し、その知恵とノウハウで対応しています。「インフラ整備の作業を止めない」というところに使命感を持って当たっています。
【後藤市長】
お客さんにとっては頼りになる存在ですね。
多くの方に江別に住んでもらうには、「安心して生活ができる」、「安全な暮らしがある」というのがベースにないと、どれだけ便利なところでも、毎年、雪で閉ざされて生活ができなくなるようでは選んでもらえません。
【堀田社長】
どうしても北海道は、1年の半分は積雪降雪時期になりますからね。
【後藤市長】
そうですね。だから北海道では、冬の除雪作業は絶対に必要な仕事です。直接道路を除雪する方々のほか、堀田社長のところのように機械をメンテナンスする方々がいないと道路の除雪はできません。そのことを市民に伝えていかなくてはならないと思っています。知らない人が多いと思うので、そこに携わる方々に目を向け、応援していかなくてはならないと思っています。
【堀田社長】
ありがとうございます。
私どもも市長が掲げるビジョンに共鳴させていただいております。地域のお困りごと解決のための一端を担えればと思い、現在は、雪害支援車両の開発を進めているところです。そのほか、AI技術を活用した安全装置の開発なども手掛けております。これらを形にしていくことで、地元企業の発展と人材確保、市の発展に繋がれば良いと考えています。
【後藤市長】
ありがとうございます。我々もみなさんと一緒に頑張っていきたいと思っています。最後になりますけど、社長のモットーを教えてください。
【堀田社長】
「失敗を恐れず、前向きで真摯に取り組み、笑顔と感謝の気持ちを忘れない」です。機械整備は機械を相手に1人で作業を行っているので、絶対最後は笑顔で「今日も1日、終わりました」としたいですね。
【後藤市長】
今日はありがとうございました。