江別市が目指す「自立」及び「自立支援」
江別市地域包括支援センター主任ケアマネジャー部会では、高齢者の方の支援において、その人らしい「自立」の姿を、本人、家族及び支援関係者など誰もがわかりやすくイメージできるよう、「自立」及び「自立支援」を言語化した文章を作成しました。
本人、家族及び支援関係者が一緒に考える道しるべとして活用していただければ幸いです。
江別市が目指す「自立」及び「自立支援」 [PDFファイル/225KB]
江別市が目指す「自立」とは
・満足感、達成感や楽しみをもつ(意欲)。
・何かの手を借りながら、不安なくやりたいことができる(能力)。
・何らかの役割をもって自分らしく生きる(自分らしさ)。
・自分らしくいること、意欲をもつこと、能力を発揮できることが相互に作用しあい、自己実現が可能になる(自己実現)。
・要介護状態等になっても、地域とつながりながら生活できる(地域)。
・個人として尊重される(尊厳)。
・心身ともに健やかに日常生活を営む(健康)。
・地域とのつながり、個人の尊厳、健康なことが、自立の基盤である(基盤)。
事例を用いた具体例
事例の概要
Aさんは認知症の診断を受けている方。Aさんは、もともと人と話したり、冗談を言って人を笑わせるなど、人を笑顔にすることが好きで、「人を笑顔にしたい」という希望を持っていました。Aさんの希望を叶えるため、認知症当事者やその家族が集まる集いを、地域のボランティアの協力を得ながら開催することにしました。
Aさんにもたらされた自立
何かの手を借りながら、不安なくやりたいことができる(能力)
・集いに参加をするには周囲のサポートが必要な状態ではありますが、周囲の手を借りながら不安なく集いに参加し続け、得意のダジャレを言って、参加者を笑わせる等、やりたいことである人を笑顔にするという希望を叶えることができました。
何らかの役割をもって自分らしく生きる(自分らしさ)
・ただ参加するだけではなく、自分の得意なことを人に教えるなど役割をもって参加しています。
満足感、達成感や楽しみをもつ(意欲)
・「人を笑顔にしたい」という希望を叶え、仲間が増え、これからも続けていきたいという意欲につながりました。
★上記が相互に作用しあい、自己実現が可能になっています。(自己実現)
上記の事例のように、要介護状態などであっても、周囲のサポートのもと、地域とつながりながら生活ができ(地域)、一個人として周囲から尊重され(尊厳)、心身共に健やかに日常生活を営む(健康)ことが自立の基盤(基盤)となります。
江別市が目指す「自立支援」とは
・本人の意向、人生観、価値観、能力などに応じて、その人らしい日常生活を営むことができるように支援する(自己実現の支援)
<ポイント>
自分の価値観や個性を受け入れ、自分らしく生きるため意欲的に行動し、自分の能力を活かす機会がある人は、いきいきと自分らしい生活を送っていると感じます。いくつになっても、どんな身体状況であっても、やりたいことを見つけ、それを叶え自分らしい生活を営めるよう支援するためには、まず、本人の意向や人生観、価値観、能力を知ることが大切です。
<具体的な支援の例>
Bさんは、お茶を淹れることを楽しみにしている方です。病気で活動制限があり、お湯をポットに準備するなど、自分ではできない部分もありましたが、ヘルパーにサポートしてもらいながら、自身でお湯を入れてお茶を淹れることを続け、日々の中に楽しみを見出しています。
・本人が望む生活を自分で決められるように支援する(自己決定の支援)
<ポイント>
誰もが意思を持っている
年齢や病気による症状などの程度にかかわらず、誰もが心の中でしっかりとした意思を持っているということが大前提です。
本人のことばや行動の真意を深掘りする
思っていても上手く人に伝えられなかったり、何も言わない人もいます。また、言っていることだけが本人の思いの全てではない場合があります。「もう年だからやりたいことなんてない。」と言う言葉の裏には、「本当は前みたいに○○をしたい。」、「でも家族に心配や迷惑はかけたくない」、「また転んで入院して、家で過ごせなくなったら嫌だから何もしたくない」など、様々な本人の思いが隠れていることがあります。
本人の意思決定には、家族や周囲との関係や周りへの遠慮、これまでの経験などが影響しています。その会話の状況だけではなく、本人の表情、これまでの人生や本人を取り巻く環境などから本人の思いを推察し、本人の望む生活について一緒に考え、意思決定支援をしていくことが大切です。
・本人の意思の推定が困難な場合は、本人の心身の健康や最善の利益を尊重する(尊厳の尊重)
<ポイント>
本人が意思決定をすることが原則ですが、本人が言葉などで伝えるのが難しかったり、意思表示が難しいなど、本人の意思の推定が困難な場合もあると思います。
その場合、上記と同様、表情や身振り、これまでの言動、行動、生活史、人間関係などの情報から、本人が本当はどのような意思決定をしたいのかをチームで考え、本人にとっての心身の健康や最善の利益につながるような選択をしましょう。
・本人のやりたいことを、本人、家族、地域の方、支援者が一緒にみつける(課題分析)
・本人のやりたいことを、本人、家族、地域の方、支援者が一緒に計画する(目標設定)
・本人のやりたいことを、本人、家族、地域の方、支援者が一緒に行う(チームアプローチ)
・本人のやりたいことを、本人、家族、地域の方、支援者が一緒に悩む(評価)
<ポイント>
「本人のやりたいこと」を中心に支援を考える
先の自立支援の考え方を基本とし、「本人のやりたいことを一緒に見つけ、計画し、行い、悩む」ことが江別市の目指す自立支援です。
加齢、病気による心身機能の低下により、できることが限られてくると、活動する自信もなくなり、本人のやりたい気持ちも徐々に低下してきます。そうなると外出などもしなくなり、活動量が減り、さらに心身機能が低下し、やりたいことがさらにできなくなる、少なくなるという負のスパイラルに陥ってしまいます。
本人とやりたいことを共有して、実際にやってみる。その成功体験がやりたい気持ちを高め、さらにやりたいことが増える。そのことで、活動範囲も広がり、心身機能の向上につながっていきます。
なぜ「本人がやりたいのか」を深掘りする
本人のやりたいことがあっても、本人の状況から実現が難しい場合もあります。ただ、そこで諦めるのではなく、本人がなぜやりたいのか、その理由を深堀りすることで、真の本人のやりたいことが把握でき、その人らしい目標につながる場合があります。
<具体的な支援の例>
Cさんは、以前行っていたパークゴルフに友人と行きたいという目標がありましたが、身体機能的には難しい状況でした。
そこで、なぜパークゴルフに行きたいのか深堀りすると、「友人との交流を続けたい。」という本当の気持ちがありました。そこから目標を一緒に考え、パークゴルフにこだわらず、実現可能そうな「野菜を作って、友人に配る」という目標に変更しました。
