平成15年第4回江別市議会会議録(第1号)平成15年12月3日 8ページ
6 議事次第の続き
議案第41号の続き
第5次総合計画特別委員長(堀内 城 君)
以上、部局からの説明、質疑を終えた後、理事者総括質疑として10項目を取りまとめ、理事者と質疑を交わしましたので、その内容を申し上げます。
初めに、市民協働のまちづくりの理念、自助・互助・公助のまちづくりに関しましては、政策評価システムにおける市民の意向反映と実態把握についてであります。
市民満足度を尺度とする成果指標について、市民のニーズの把握あるいは実態の把握ができていないのではないかとの問いに、魅力ある安定したまちづくりを進めていくためには、一つには市民とのパートナーシップを確立すること、もう一つは健全な財政運営を保持していくことであり、このパートナーシップの確立をより確かなものにするための理念が協働である。これまで行政が行ってきたサービスの基本をしっかりと踏まえながら、地域を構成する市民、NPO、事業者と連携をとりまちづくりを行うのがこれからの方向であり、行政がやるべきことは何かについて自助・互助・公助の考え方で判断して、共に地域づくりを担い合うことが必要だと考えている。成果指標については、毎年ローリングして評価結果を市民に公表し、意見をいただくことから、こうした循環の中で修正されていくことになるとされています。
2項目めに、成果指標を高める方策についてであります。
市民協働のまちづくりにおいて、施策の目的として自治会活動への参加者数の増、ボランティア団体の増加を指標としているが、誘導策があるのかとの問いに、成果指標は施策目的の達成度あるいは成果を計る尺度として設定しており、成果が上がらねば基本事業や事務事業をやめる、統廃合する、あるいは新しい事業を実施することで施策の指標を高めていくというものであるとされています。
3項目めは、公助としてのミニマム基準についてであります。
自助・互助・公助について、公でしなければならないサービスのメニューを示す必要があるのではとの問いに、基礎基盤的で必需的なサービスは官が担い、生活密着型のきめ細かで多様なサービスが要求されるときは小回りのきく形でサービスを享受する展開の方が効率的で効果的である。画一的なサービスがなじまない部分は事業者やNPOあるいは市民団体が担うなど、行政の限界を見極めながら、地域が支え合うシステムを構築することが重要である。具体的に、公助として官が担う部分については、法律に規定している社会保障策、市民の生命・安全を守るために必要な災害対策、地域全体に必要な社会資本の整備、安全な市民生活の確保に必要なライフラインや衛生管理並びに交通機能の確保等ハードな面を中心とした基本的サービスであり、また市民、NPO等の担い手の育成や地域の自立などソフトな面での各種支援の部分と認識しているとされています。
4項目めは、市民、NPO等との協働の在り方についてであります。
一つの地域、一つの事業に根ざしている市民団体との協働を視点としているが、大きな範囲で大きな動きをしている団体に対し、事業としてのパートナーというよりはまちづくりのソフト部分で協働を目指そうとする視点があるのかとの問いに、地域に住む者が責任を持って地域経営を行っていくことが避けられない時代となっており、政策立案過程から生活密着型サービスの提供まで、あらゆる場面でボランティア、NPO等の新しい地域の担い手がまちづくりのための意見を持ち、役割を担う場面が地域全般にわたり広がってくる。そのため、行政の中に専掌体制を用意し、いろいろな形でバックアップしていくことが大事であるとされています。
5項目めは、市民の理解を深める情報提供の手法についてであります。
第5次総計の推進に市民の理解と協力を深めるための情報の共有は必要であり、意思形成過程の情報であっても積極的に市民に提供するべき努力・意識が必要と思うが、職員の意識の向上についての考え方はとの問いに、行政と市民が共通の目的を持って地域の担い手としてまちづくりに取り組んでいくためには、事務事業評価や政策決定過程の公開、双方向で情報を共有するシステムの具体化を進めていくことは重要と認識している。情報公開は、限りなく市民と情報を共有し合うという職員意識の向上が大事であり、これからも徹底したいとされています。
6項目めは、安全な暮らしの確保についてであります。
犯罪の多発・多様化が指摘されている中、交番を基点とした住民との連携で防犯意識や防犯協力が必要であり、適正な交番配置の考えについてとの問いに、北海道の財政事情もあり厳しいと思うが、地域の犯罪防止、安全チェックは大事であり、現在、市内に交番は7か所あるが、今後も増設に向け要望したいとされています。
7項目めは、コミュニティ活動支援と住区施設等についてであります。
現計画の構想では、住区を一つの単位として住区会館を配置したが、施設のない地域がある。機動性を生かせる場、コミュニティ活動の場として必要ではないかとの問いに、住区会館については中学校区を単位に8地区に配置され、残っているのはあと2か所と認識している。第5次総計の計画では住区の形はとっておらず、子育てサポートや虚弱高齢者の見守り支援といった対人サービス機能を展開する上で、より身近な地域単位を想定しているものであり、今後も一段と厳しい財政事情を考慮しながら、学校を中心とする公共施設での利活用の可能性や、各自治会で整備している自治会館の役割、動向を視野に入れ、その整備手法について検討していくことになるとされています。
8項目めは、特色あるまちとしてのRTN・陶芸の里計画についてでありますが、財政状況は厳しいものと認識しているが、陶芸の里構想もRTNも江別を売り出すポイント、可能性を秘めている。そういった余地を残して10年間の基本計画の中で取っ掛かりを付ける必要があるのではないか。また、セラミックアートセンターの運営やRTNについて、民の力を借りながら健康エリアに活用するなどの考えはないかとの問いに、陶芸の里構想は、核施設としての工業試験場の誘致運動が困難になったことから第5次総計では断念のとらえ方をしている。ただ、準工業地帯であり、土地利用の戦略的活用を図る地域であるので、民間での整備・開発が主体であると念頭に置いており、その導入方法として小ロット化と土地利用の活性化を図っていかねばならないと思っている。セラミックアートセンターは、れんがの中心施設、文化のセンター機能の役割を視野に入れ、新たな文化の発信機能の展開に取り組んでいく必要があるとされています。
9項目めは、基本構想と財政運営、効率的な財政運営についてであります。
江別市は自主財源の割合が低く、地方交付税に大きく依存していることから、国の影響を受けやすい財政基盤であり、第5次総計を進める中で、住民サービスの財源確保は、民にできるものは民に移管し、よりコンパクトな人員体制にするなど、行政の自己変革を覚悟しなければねん出できないのではないかとの問いに、人口の減少局面が顕在化し、大幅な税収の伸びが期待できない状況下で地方財政はますます深刻化しており、国の財政支援を基盤とする地域経営からの脱却をしていかなければならない状況にある。施策の優先度を明確にして、施策の目的、成果を見極めながら、限られた財源の選択と集中を行うPDS型の行政評価システムを定着させることが必要と考えている。施策のトータルコストと成果向上、優先度の検討と評価により確実に施策の効果を高め、民の持つ技術ノウハウや資金力の活用も視野に入れながら、官民共同で地域の活性化につなげていく以外に効果的な方法はなく、財政の健全化を進める上でこの考え方が効率的な運営をする唯一の方法であると認識しているとされています。
最後は、公共サービスの提供におけるPFI等の活用についてであります。
構想の中では、民間の資金、経営能力、技術能力を活用したPFI等の新しい公共事業の在り方について見解を求める問いに、PFIの活用は、行政が社会資本整備を単独で行うことが難しい時代となったため、どういったものが効率的かを見極める中で、柔軟な施設整備の方法であるとか、新たな運営の在り方といったものを含めて、社会資本整備の手法であるPFI方式の導入について、その活用分野を見極めた上で取り入れる必要があるとされています。
以上のような理事者質疑を終えた後、討論に入りましたので、主な内容を申し上げます。
議案に反対の立場から、今回の計画はNPM理論が基本に据えられており、成果指標の設定において、市民の要求や実態を的確に把握し、施策に反映させることができるかという点で弱点が残されている。この理論を導入した自治体の例を見ると、行政サービスの大きな見直しが行われており、江別市において職員の削減計画が示されていることから、行政の側で行ってきた事業が縮小されていくことは当然予想され、そのしわ寄せは市民に回ってくるし、特に社会的弱者と言われる方たちへの影響が懸念されるので反対する。
また、賛成の立場からは、第5次総計の策定に当たっては、市民意識調査、総合計画行政審議会の開催など、すべての市民の共通・共有の計画とするため、政策・施策・事業の位置付けや目的・効果・達成度が明確になるよう努めており、このような計画案作りに市民が参加したことに一定の評価をする。市民協働のまちづくりが本計画の骨格をなしている以上、市民と行政との緊密な関係の構築が最優先課題である。それには、地域自治会、NPO、市民活動への支援とともに市民と行政との情報の共有が重要であり、計画推進に当たって特に留意するよう要望し賛成する。
また、別の委員からは、第5次総計は人中心の成熟した地域社会の構築を理念として提案されたもので、人口は緩やかな増加を続けるものの、平成25年には13万2,000人を想定し、平成30年には減少に転じるとの予測について評価する。RTNや陶芸の里は、スポーツ・健康・文化ゾーンとして位置付けし、民間活力と連携してコンパクトな計画を立てるべきで、また地域コミュニティの活性化や醸成に不可欠な住区会館は、多様な手法で検討すべきである。自助・互助・公助については、官の役割を基本に市民活動支援の窓口となる横断的な組織を構築すべきである。財政の効率化を一層進め、PFIなどの民間を用いた新しい事業手法についても検討を深めるべきであるとの意見を添えて賛成する。
また、別の委員からは、市民とのパートナーシップと健全な行財政を進めることは当然の施策である。市民との協働は、行政の活動範囲が狭まりつつある現状で、一つひとつの事務事業について情報公開をしていくことが求められる。情報を共有するということは危機感も共有することを意味し、その中から市民が何をなすべきかが生まれてくる。危機感なくして計画の実行は難しいことを指摘して賛成する。
また、別の委員からは、第5次総計の推進と達成に当たり、今まで以上に市民の協力を得るためには行政と市民の情報の共有が大切であり、双方向での情報提供を検討する考えが示されている。また、安全・安心のまちづくりにきめ細かい取締まりやパトロールの強化は、犯罪のないまちづくりに大きな効果が期待でき、地域に適正な交番の配置について関係機関に要請する考えが示されている。計画の推進に当たっては、市民団体やNPOへの支援体制を強化し、民でできるものは民に移管するなど、経費節減の徹底、コンパクトな人員体制にするなど、具体的な実効性が市民から見えるような行政改革が求められていることを考慮することを期待して賛成する。
また、別の委員からは、本計画の実施に当たっては、今なぜこのような手法が行われているかを職員一人ひとりが理解し、行動することが成果を上げるポイントになると考えており、1年、3年、5年ごとに行われるローリングにおいても様々な検証手段と柔軟な対応が必要になることから、行政自身が計画遂行の強い意志とリーダーシップを発揮し、問題を解決していかなければならない。今後10年間の江別市をしっかりと見据え、今回の基本構想が有効に機能することを期待して賛成する。
また、別の委員からは、ものから心の豊かさ、ものづくりから人づくり、市民とのパートナーシップへの視点を明確にし、将来都市像を実現するための施策体系を構築して、その成果や達成度を検証・評価し、だれもが進行管理を共有できる政策評価システムを軸とした計画である。不透明な時代に対応できる柔軟性・機動性を発揮するためにも、行財政運営の効率的な推進に一層の努力を期待し賛成するとされております。
以上のような討論の後、採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決したものであります。
なお、当委員会といたしまして、次のとおり意見を付しておりますので、報告させていただきます。
意見
市制施行50周年の年にスタートする第5次総合計画は、21世紀初頭の社会経済の枠組みが激しく変化する時代背景の中、地域を構成する市民、NPO、事業者、行政のそれぞれの人たちが新しい時代にふさわしい地域を創造するため、自助・互助・公助による市民協働のまちづくりが求められている。健常者のみならず、高齢者や障害のある方など、市民一人ひとりが地域資源と相互に依存し調和する人が輝く共生のまちを作り上げるため、次の事項について十分配慮願いたい。
記
- 自助・互助・公助のまちづくりを進めるに当たっては、地域を構成する市民、NPO、事業者、行政の役割と連携が重要である。まちづくりを担うパートナーである市民、NPO等の担い手の育成や地域の自立などソフト面での支援を行うに当たっては、横断的な組織体制の整備を図り、安全な市民生活に不可欠な地域全体にかかわるサービス等については、行政として責任を持って執行するよう努められたい。
- 第5次総合計画の実現のため、施策の優先度や目的を明確にするとともに、成果の達成度や効果をしっかり見極めるため、PDS型政策評価システムを江別市の行政風土に合った柔軟さを持ち、かつ習熟度や精度を高めて定着を図り、民間の持つ技術ノウハウや資金力を活用するなど、市民と行政が協働で地域の活性化につなげていくよう財政運営の効率化に努められたい。
- 第5次総合計画は、市民と議会・行政の共通・共有の計画であり、この計画内容の公表や進行管理プロセスの開示など、適切に情報の提供を行い、地域が抱える課題克服を市民協働で実現するよう努められたい。
以上で、議案第41号につきまして当委員会の審査の経過及び結果を申し上げましたが、よろしくご審議、ご決定を賜りますようお願い申し上げまして、特別委員会の報告といたします。
最後になりますが、当特別委員会は平成15年第2回定例会の初日の6月12日に設置され、これまで11回の委員会を開催し、調査や審査に当たってまいりました。この計画は、市民との協働のまちづくりをPDS型行政評価システムを取り入れて進めようとする全く新しい行政手法であり、委員の方々には、限られた時間ではありましたが大変なご努力をいただきましたこととあわせて、市長を初め部局の皆さんも熱心に対応してくださいましたことに厚く御礼を申し上げますとともに、当委員会としての所期の目的を達成いたしましたので、しかるべくお取り計らいくださいますようお願い申し上げます。
以上でございます。どうもありがとうございました。