平成15年第1回江別市議会会議録(第2号)平成15年3月11日 9ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
議長(五十嵐忠男君)
堀内議員の一般質問に対する答弁を求めます。
市長(小川公人君)
堀内議員の一般質問にご答弁を申し上げます。
若干ボリュームがありますので、早口でお答えするかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。
まず、国の財政予算と市予算編成に与える影響についてでありますが、平成15年度の国の予算は、いわゆる三位一体の改革を進めることとしており、その芽出しとして国庫補助負担金の廃止、縮減がうたわれ、地方財政計画も2年連続のマイナスとなっております。
また、税収は、先行減税が法人税や法人事業税が中心であるため、市税への直接的な影響は少ないと見込まれているものの、景気動向を反映して個人所得割、法人税割の減少、固定資産税の家屋の評価替えによる落ち込みなどにより、極めて厳しい状況となっているところであります。
現段階では、地方交付税の減少の仕方が極めて急で、市税の落ち込みもあることから、赤字地方債を発行せざるを得ない状況にありますが、市債償還額が増嵩している現状で、これ以上の財政硬直化を招かないようにするためには、起債の抑制がさらに重要になってくるものと考えております。そのためには、市税収入を初めとする自主財源のかん養や見直し、それを支える企業誘致の促進や商工業の振興を図ると同時に、歳出面でのさらなる行財政改革の推進を図る必要があるものと考えております。
次に、市予算編成の基本的な考え方と特徴についてでありますが、地方財政及び経済情勢が極めて厳しい状況下で、平成15年度の市の予算は、市長改選期に当たるため、いわゆる骨格予算の編成となったものでありますが、市内経済の活性化や市民生活の向上に寄与する事業は、可能な限り当初予算に盛り込むことといたしました。
また、特定課題、補助金、特定細節など、既存の経費の見直しにより、地域福祉の向上や子供たちの可能性を伸ばす施策の推進など、四つの重点テーマを推進するとともに、市民と行政の協働を都市経営の基本として位置付け、自立した独自の施策展開に向けた予算編成を進めることができたものと考えております。
今後は、交付税制度改革などの動向も視野に入れ、行政改革大綱に基づき行財政改革を強力に推進し、よりスリムで効率的かつ持続可能な行財政体質を構築して、第5次総合計画に引き継いでいかなければならないものと考えております。
次に、今後の市民サービスの在り方と考え方についてでありますが、財務省によれば、国民所得に対する税金の負担と社会保障の負担の割合を合計した我が国の国民負担率は、主要先進国の中では最低水準にあるとされており、現世代が受益に応じた負担を行わず、財政赤字という形で負担を将来の世代へ先送りしている状況にあるとされております。
また、従来から市では受益者負担の考えによって実施してきた事業も相当数ありますが、その負担が極めて低額であったり、さらには無料としてきたものがあるのも事実であります。こうした低額負担や無料制度は住民間に不公平を来すものであり、本来的に最大多数の市民に最大のサービスを提供するという行政の第一義的な役割、これを軽視するものであるとも言われております。むしろ、低額負担や無料にしなければならない対象はどこにあるのか、それが施策全体の中でどういう位置付けになるのか、こういった議論が必要でありまして、そうした議論が国・地方を通じて不十分であった結果であろう、このように思うところであります。
さらに、市民自らがこれまで公共サービスとされてきた事業の一翼を担うことにより、より地域の実情に合ったサービスが可能になるとともに、そうした活動を通してコミュニティにおける一体感や愛着といったものをはぐくんでいける場合もあるのではないか。あるいは、市民と行政がともに知恵と力を出し合って都市経営に当たることによって、克服できる課題があるのではないかと考えるものであります。
いずれにいたしましても、今後すべてのサービスをこれまでどおり市が実施するのは困難になってまいります。市民と行政の協働は、地方分権の流れの中で必然的な要請であります。三位一体の改革が地方分権実現のステップとして、国の地方への関与の縮減と、地方が自らの権限と責任、さらには自らの財源で都市経営をしていかなければならないことを意味しているとすれば、一面では大変厳しい政策選択を迫られるものではありますが、一方では、本来の住民自治がこの江別に根ざすことができるか否かの試金石になるものと考えております。今後はこうした認識に立って受益と負担の在り方を見直すとともに、協働の観点から公共サービスの在り方を再構築していく作業が必要であると考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、総合計画についてご答弁を申し上げます。
堀内議員のご指摘のとおり、現計画がスタートした昭和60年と現在の状況は、その社会経済背景が大きく変化しており、次期計画は、高齢社会が到来する21世紀初頭での江別のまちづくりを目指すものであることはご承知のとおりであります。
次期計画は、これまでの社会形成要因に大きく影響を与える人口年齢分布の変化や、混迷するデフレ経済下での地域経営が余儀なくされる中、策定される計画であります。したがって、高度経済成長下でとられた手法である労働集約性の高い企業や産業を呼び込み、税収を上げ、人口を伸ばすと、そういう拡大成長型のまちづくりは、もはやとることができない状況にあることを認識しなければならないと考えます。
次期計画でのまちづくりは、一定の社会資本が整備され、行政サービスの多様化が進む中でのまちづくりとなり、これまでのように官中心の基礎基盤的な行政サービスの提供から、多種選択的な行政ニーズにそのサービス内容が変化してまいります。このことは、地域を構成する市民・事業者・NPO・行政がそれぞれの場面で役割を担い、相互の連携を図りながら、協働してまちづくりを進めていかなければならないことを意味していると考えます。
私は、次期の計画を、地域を構成するすべての市民の共通共有の計画として位置付け、人中心の安全なまちづくりの構築を目指し、市民協働型の地域経営を行っていくことが必要と考えております。
現在策定を進めている次期計画は、新しい時代の転換点に置かれた状況の中で、市民意識調査の実施、市民組織による政策の提案、将来都市像や施策体系案に対するパブリックコメントの実施など、多様化する市民意識を民意として計画に反映させることを基本に作業を進めております。
今後も引き続き、こうした考え方を軸として、計画内容を精査しながら計画原案を作成してまいりたいと存じますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、リーディングプロジェクトの次期総合計画での位置付けについてでありますが、ご承知のとおり、次期計画はプラン・ドゥ・シー型の政策評価システムを基軸に、現在その策定を進めているものであります。したがいまして、現行リーディングプロジェクトについては、施策貢献度や成果向上余地等を明確にする指標化や、施策体系に対する妥当性を見極める中で、現行スキームで事業継続できるのかどうか、財政見通しを踏まえつつ、その位置付けを的確に判断してまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、市町村合併についてのご質問でありますが、当市といたしましては、地方自治体を取り巻く今日的な厳しい行財政環境を踏まえ、これからの分権時代を担っていく自治の主体としての体制をどのように構築していくか。また、この課題を一つの自治体としてだけとらえるのではなく、地域総体として受け止め、どう乗り越えていくべきか、こういったことが今回提起されている市町村合併への是非を含めた選択肢への判断につながっていくものと考えているところであります。
そこで、1点目の合併懇談会における市民との主要な議論に関するご質問でありますが、合併の選択や方向性に関するものでは、市民的な議論を進めるためには最初に行政としての判断を示すべきでは、こういったご意見、それから、江別の人口規模からスケールメリットは見いだしづらいのではとのご意見もいただいております。
また、行財政の視点からは、地方交付税の見通しなど財政上のシミュレーションを示すべきとの点や、江別市と研究会を行っている近隣自治体に関して、第三セクターなどの財務内容なども含んだ総合的なデータを提示してほしい、こういったご意見がありました。
さらに、まちづくりの視点からは、合併を想定した場合のまちづくりのビジョンを示すべきでは、こういったコメントをいただいております。
なお、議論の中には、今回の合併という課題をきっかけとして、自分が住んでいる江別というまちを客観的に見詰め直すチャンスを与えられた。合併には損得があるだろうが、江別市の将来を市民としてみんなで考えていきたい、こういったご発言もありました。
以上で、主なご意見を紹介させていただきましたけれども、このほかにも様々な角度から熱心なご議論をいただいておりますので、今後の取り組みへ参考にさせていただきたいと思います。
次に、2点目の行政として今後どのような対応を図っていくか、こういうご質問でありますが、合併は行政区画の枠組みの転換を意味すると同時に、市民一人ひとりの暮らしに影響を及ぼす大きな問題であります。したがって、合併が議論されている背景や国の動向といった状況について、広報その他を通して幅広い情報提供を行う中で、市民の皆さんの理解を高めるとともに、合併に関するそれぞれの判断につながるような取り組みを行ってまいりたいと考えております。
次に、3点目の地方交付税に関するご質問でありますが、国が今回の平成の大合併を進めるに当たっては、各種の財政的な優遇策が用意されており、その目玉の一つに合併算定替えと呼ばれる普通交付税の特例措置があります。これは合併後も10年間は合併前のレベル相当の交付税を交付するという制度でありまして、いわゆる合併に伴うメリットとして言われているものであります。
また、地方交付税総体の動きといたしましては、低迷する我が国の経済状況を反映して、原資となる国税が減少しておりますことから、地方交付税額は明確に減少傾向を示していくだろう、こういうことが言えると思います。
ただ、合併を選択した場合は、合併に伴うインフラ整備など新たな支出が想定され、それらは今後の議論の中で整理していくものが多く、現時点では見えてこないものでありますが、地方交付税はこうした様々な経費に充当される可能性が高いわけであります。こうしたことから、合併算定替えによる地方交付税は一概にメリットとは言えないのではないか、こういったご意見もあります。
なお、前段でお話しいたしましたように、地方交付税総額は今後も減少する方向にあると認識しております。その一方で、合併した場合は、一定期間にわたって地方交付税額が確保されることになっているわけであります。このことは、合併しない自治体の交付税額を減らして、合併した自治体の交付税を確保することと解釈できますことから、当市のように地方交付税依存度が高い自治体にとっては、合併しない選択をした場合は、相当厳しい事態を想定した中での対応を図っていかなければならないと考えるところであります。
次に、4点目の合併を地域全体の視点から考えるべきではないか、こういうご質問でありますが、今回の合併問題を大きな地域的広がりをもって見た場合に、中核都市としての江別市はこの地域の中でどのような役割を担うべきかということとともに、自治体間の連携は従来にも増して大事な要素と考えております。
いずれにいたしましても、自らが住む地域を足元から見直す良い機会と前向きにとらえ、様々な要素を総合する中で市民的合意形成に向けた取り組みを進めてまいりたいと存じます。
このほかにつきましては、建設部長からご答弁を申し上げます。
建設部長(斉藤勝幸君)
私から、建退共制度につきましてご答弁申し上げます。
この制度は、建設業に携わる季節労働者などの方々が、働く現場が変わったり、事業主が異なった場合にも、制度に加入している事業主の負担により掛金を納付し、それまで納められた掛金に応じて退職金が支給されるという国の制度で、中小企業退職金共済法に基づき昭和39年に創設されたものでございます。
建設労働者を対象といたしました国の退職金制度といたしましては、建退共のほかに、長期雇用の従業員などを対象とした中小企業退職金共済制度がございますが、現在、江別市工事等競争入札参加資格者名簿に登録されております市内の建設会社のほとんどの方がこれらの制度に加入しておられます。
ご質問の本制度の意義とその役割についてでありますが、今や雇用の流動化の時代と言われて、どこの企業に移るにしても、積み立てていた年金や退職金を持って移動する仕組みが必要と言われております。その点、この建退共制度は、建設労働者がほかの企業・現場に移っても、掛金に応じて一定の退職金が給付され、しかも企業外部に積み立てるため、退職金の積立て不足による企業財務悪化の心配もない、こういったメリットがありますことから、この制度は建設労働者にとって福祉増進と雇用の安定化に大きな役割を果たしているものと考えております。
また、この建退共制度を広く周知、定着させるため、毎年10月には建退共加入促進強化月間といたしまして、国や自治体が一体となりまして、多くの事業主に制度への理解を深めていただき、加入の促進を働き掛けるとともに、一層の充実が図られるよう、新聞やテレビなどを通じまして普及運動を展開しているところであります。
当市におきましても、この期間には未加入下請業者などへの加入促進などを、江別建設業協会を通じまして本制度の充実と趣旨の徹底を図るとともに、工事実施の際にもこれらのことについて各事業者に周知し、指導しているところであります。
次に、共済証紙のちょう付実績の確認についてでございますけれども、証紙の購入につきましては、工事契約の後に受注業者より提出されます共済証紙掛金収納書によりまして確認を行い、二次下請以下の使用については、事前に下請・再下請選定通知書を提出させ、確認を行っております。
また、証紙ちょう付の実績につきましては、各工事の検定時におきまして、元請から下請末端に至るまで、帯広方式と同様に、共済証紙を配布したすべての作業員についての調査表を提出させ、確認を行っているところであります。
市といたしましては、建設労働者の福祉の向上の観点から、事業主には本制度の理解を深めていただきまして、また、建退共制度に未加入の事業主に対しましては、加入への勧奨を積極的に進めるなど、建退共制度の普及につきまして引き続き指導強化に努めてまいりたい、このように考えておりますので、よろしくご理解いただきたいと思います。
以上でございます。