平成14年第4回江別市議会会議録(第4号)平成14年12月17日 4ページ
6 議事次第の続き
議案第78号、議案第79号、及び陳情第8号ないし陳情第10号の続き
森好勇君
議案第79号 江別市老人医療費助成条例の一部を改正する条例について、反対の立場で討論に参加いたします。
今回提案された内容は、65歳から67歳までの対象者に医療費助成を廃止するという内容です。
山田市長以来30年余、市単独事業として継続した、江別の高齢者福祉の顔であった誇れる政策を後退させるものです。
小川市長の政治姿勢は、旧社会党支持を基盤とした市議時代と大きく様変わりをしました。10年前、細川、羽田、そして自社連立内閣での村山首相とダブって映ってしまう昨今の政策転換であり、従来、保守的な首長でさえできなかった福祉後退が、旧社会党系会派が与党になってからは、見直しという改悪が次々行われているのが江別市政の状況であると思います。小川市長を革新だと思った有権者の多くが、この間の施策に落胆しています。
今年の3月議会で否決された大きな理由として、市長は市民への事前説明不足とし、提案説明では、高齢者の置かれている環境変化としての医療・保健・福祉の充実、介護保険の導入、財政問題及び健康づくりにシフトしていくとし、これら3点を事前に市民に説明さえすれば市民の理解が得られると考える節があります。
しかし、実態は、11月に日本共産党議員団が行ったアンケート調査結果からは、存続を願う声が70%になっており、また、保健福祉部の行った諸団体との調査結果でも、21%が異議を唱えています。これらの結果からも、住民を二分する課題であります。
江別市民に根付いた医療費助成を縮小変更する政策転換は、有権者の審判を仰ぐことが賢明な政策決定プロセスであると考えます。小川市長の在籍もあと4か月であり、なぜ今急がなければならないのか理解しかねます。
次に、政策の選択については、住民の目線で施策優先度を考えるべきです。
若干紹介しますと、高齢者の生活実態は、生活保護以下と思われる収入で暮らしている方もいます。1日の食事は2回、飯を炊くのは晩御飯だけ、朝食は前日の残り物を食べる。市立病院への通院は、バス代節約のため片道は歩くようにしている。灯油代を節約するために、布団に入ってテレビを見ている。服は何年も購入したことはない。福祉除雪を利用したいが、1万円の負担はきつい等々、正につめに火をともす暮らしをしています。
介護保険にかかわる在宅サービスの実態でも、満度に利用している方は30%。7割の方々のすべてではないと思いますが、かなりの利用者は10%の利用料負担が重くのしかかり、利用を控えているものと思われます。
財源に余裕がないということも理由の一つになっています。自治体、特に北海道内の各自治体は、どこも余裕を持った財政運営はしていません。歳出をどう配分し、歳入を少しでも多くするために努力しています。
小川市長になってから急激に財政が悪化したごとく言われるのは、誇大宣伝と考えます。この10年間の経常収支比率、平成5年は81.0%、平成14年見込みで82.4%、財政力指数で平成5年0.491、平成14年度で0.475で、少しばかり窮屈になっていますが、現行の医療費助成が不可能になったと言われるほどの財政悪化ではなく、予算として継続できる規模の歳出で予算規模が縮小しても、1億円の市単独事業は執行可能であります。年収400万円の勤労世帯が、1年間で1万円のお金は何とか工夫すれば出てくる金額です。
国の高齢者いじめ施策に対して、地方自治の本旨に立ち返り防波堤となるのが、いの一番にする仕事です。高齢者を厄介扱いする政治に未来はありません。江別市民憲章にある、健康でたのしい家庭と明るいまちをつくりましょう。老人をいたわり、子どもの夢をそだてるまちをつくりましょうという憲章を空文句にしないためにも、継続すべきです。
高齢者の保健・医療・介護など施策が大きく変化した点ですが、国民の大きな運動が社会保障を前進させてきました。確かに平均寿命も女性85歳、男性78歳と、長寿になりつつあることは喜ばしいことです。医療技術の向上、保健予防の前進、福祉制度の充実等は社会進歩のあかしでありますので、これら制度を後退させることは許されません。元気で長寿を喜び合える社会を作るのが政治です。
市老が30年続き、たくさんの効果があると考えます。早期発見・早期治療により、医療費が低く抑えられています。
国保加入者の70歳以上、いわゆる老人割合が江別市と類似し、病院等の医療環境に余り差異のない北広島市、函館市と当市を比較しますと、北広島市の老人割合は29.6%、1人当たり療養諸費で53万4,000円、函館市では30.9%で、1人当たり53万5,000円です。江別市は29.5%で約50万円と、3万円以上低くなっています。
もちろん国保加入者は老人ばかりでないのですが、60歳以上で総医療費の75%を占める国保の現状から見ても、妥当性がある指標であると考えます。これにより国保会計にも良い財政効果が出て、一般会計の任意繰入れも、1人当たりで札幌市の4分の1、北広島市より7,000円以上低く、もし北広島市並みに繰入れすると、江別市はあと2億円以上の上乗せになります。
また、30年余継続された結果、75歳以上の後期高齢者の生存率も高く、これも長期間続けてきた医療費助成に起因するのではないかと考えることができます。
また、市長が言う協働の市民参加の市政を進める上でも、高齢者の知恵、経験を必要とし、今以上の信頼ができるものと想像するものです。
最後に、日本共産党の立場をお話しして終わりたいと思います。
住民サービスの低下、福祉の後退だけで財政運営を考えるのではなく、市民生活を守り発展させる方向で行政、職員、市民とともに進めることが重要であり、公共事業は国言いなりでなく、生活・福祉・教育型に切り替え、開発型と言われる公共事業は自粛するのが現在の江別市の財政力です。民主的・効率的財政運営と、住民の声を重視した高齢者、障害者、子供たちへの施策充実は、働く者、健常者にとっても素晴らしいことになると確信します。
江別の顔づくりは、他市にない福祉施策を実行することにより、市民が安心して住み続けられるまちづくり、顔づくりにつながり、江別に住んで良かった、今後も住み続けたいと思う重要施策の一つであるマル老の現行65歳からの助成制度は堅持すべきです。
本議案は、高齢者への思いやりに欠けた、生活実態を見ない改正であり、議案第79号については反対を表明し、討論といたします。
以上です。
議長(五十嵐忠男君)
ほかに討論ありませんか。
清水直幸君
議案第79号 江別市老人医療費助成条例の一部を改正する条例の制定について、賛成の立場で討論に参加いたします。
本条例は、本年3月議会で市長部局よりあった市老の全廃提案を、議会の審議の結果、否決されたものを受け、提案に対し不足として指摘していた市民への説明と社福審への諮問等を市が実施した上で、市民の意見と、財政難の中で最大限考慮した形で再提案されたものと理解しています。
しかし、その内容については、68歳、69歳の方は継続されるものの、65歳から67歳の方々については廃止という、対象となる方にとっては非常に厳しいものであります。
加えて、廃止に反対する方がアンケートでは35.4%、廃止対象となる1,000余名の方々の中で道老に移管できる可能性がある方々が約500名とのことでありますが、この移管できる可能性がある人数も調査が困難なことであったとはいえ、先日の理事者質疑の中でやっと報告されたということ。
これらの切捨てされる方々に対する代案、つまり健康増進計画や介護保険との関係等が骨格予算編成のために明確な事業として示されなかったこと。さらに、財政不足を補う行財政改革について、トータルな事業改革の中での位置付けや数字的な目安などが分かりにくいため、非常に理解しにくいこと。加えて、低所得者に対する配慮が具体性に欠けていることなど、審議を重ねる中で、全体で言えば非常に準備不足と説明不足であり、タウンミーティングや社福審への諮問をして、すべてこれで市民への説明義務を果たした的な発言があるなど、本当に提案する要件を満たしているのかという疑念もあり、会派の中での審議もこれまでにない長時間に及びました。
ここまで財政が悪化した行政の責任も非常に大きいものであると考えますが、しかし、大きな意味で行政改革は今、立ち止まることができないのであります。この議案については、老人医療費も財政改革の対象になることは否定できないこと。行政が今までよりは十分とは言えないが、市民の意見を聞く姿勢に踏み出したこと。審議において言葉しか説明されなかった高齢者の健康増進に関する事業予定について、私たちは現在、信用するしかない状況でありますが、今後、厳重に議会としてチェックしていくことで、実現の道をつけなければならないと考えております。
よって、私たち自由市民クラブは、慎重審議の結果、将来の江別に対する責任と行財政改革推進の視点で、苦渋の選択ではありますが、賛成することといたします。
今後、行政側においては、当制度の廃止対象となる方々たちに対する代案、つまり健康増進計画、道老への移行、低所得者の方々への親身な配慮などを確実に実施し、議会と市民への報告と情報公開を積極的に行うことと、より早く効率的に行政自ら血を流すことを恐れない、市民に分かりやすい納得できる行財政改革の推進を強く望むものであります。
以上をもって、議案第79号の討論といたします。
議長(五十嵐忠男君)
ほかに討論ありませんか。
齊藤佐知子君
議案第79号 江別市老人医療費助成条例の一部を改正する条例の制定について、反対の討論に参加いたします。
この老人医療費助成制度は、高齢者の疾病に対する医療費負担を軽減し、健康な心身の保持と福祉の増進を図る目的で、昭和46年に70歳以上を振出しに制度化され、その後、順次、年次を追って年齢の拡大を図り、昭和49年からは65歳から69歳までの高齢者の健康保持の制度として、今日まで約30年間にわたって効果を発揮してきた江別市独自の福祉制度であります。
しかし、本年3月の定例会に、財政問題と高齢者施策の充実と介護保険の導入による制度的充実強化など、高齢者の保健・医療の環境が大きく変化してきたことを理由に、老人医療費助成制度の全廃が議会に提案されました。
この老人医療費全廃の提案は、内容もさることながら、市民、高齢者に唐突感を与えました。また、受益者である高齢者に対しても説明が省略されており、議会に対する説明責任も不十分と言わざるを得ず、条例案は否決されました。
その後、市長は議会から指摘された市民への説明不足を反省し、タウンミーティングを5月から11月にかけて開催するとともに、担当部の保健福祉部も市老の説明会を、制度にかかわりのある団体を中心に、7月から10月にかけて16回開催しました。限られた数の市民、高齢者、限られた団体数ではありますが、理解をいただくために努力されたことは一定の理解をするところであります。
しかし、そこに参加された方々に対しての市長並びに部局の説明は、今後の財政状況を中心に、公債費比率、財政力指数等の数値的説明がなされ、江別の財政の厳しさを訴えた後に、老人医療費助成制度がこのままで良いのか説明がなされたはずであります。
また、今回の提案に当たっては、道老の対象要件の緩和から、市老は道老を補完する性格が強まり、担うべき役割も変わった。それで、年齢を引き上げ、適用範囲年齢を絞ったと述べられております。しかし、高齢者の医療費の軽減という本来の役割は現在も何も変わっておらず、対象から外される高齢者の受診抑制につながるのではないかときぐしているところであります。
また、今回の制度の変更に当たって明らかになったことは、道老の対象から外れる方々の掌握も、幾つかの理由があったにせよ不十分であり、当初、厚生常任委員会での委員からの質問にも、明確な答弁さえいただけませんでした。理事者側からは、少数の方々が対象から外れるだけで、致し方ないとの答弁でありました。
私たち公明党は、30年間にも及ぶ江別市独自の優れた福祉施策を変更するに当たっては、行政自らの身を削るしんしな努力と丁寧な説明、十分な市民サービスが実現されて、初めて市民に理解されるのではないかと考えております。
中期財政計画では、平成15年度以降も毎年、財源不足が確実視されており、そのような財政危機の中で行政改革大綱が発表されたのであります。まして、これから改革に着手という早い時期、まだ行革の道筋が見えない中で、高齢者の老人医療費、福祉サービスだけはカットするというのであります。私たちが考えるに、市長の道筋論は、まず先に行政改革の道筋を任期中に具体的に示すべきであると考えております。
市長は常々、市民と協働のまちづくりを目指しますということをおっしゃっておりますが、今回のバランスを欠いた一方的な条例提案は、とても市民には受け入れ難く、協働に反し、掛け離れた考え方ではないかと思います。
私たちは以前より、民でできるものは民でとの行政の在り方を主張してまいりましたが、その意見をどれほどしんしにお聞きになられたのか、残念でなりません。行政機構の中には、仕事量が以前の半分以下、大幅な事業縮小に直面している部署もあり、早期に定員管理を進めなければならない職場もあります。
また、厚生労働省所管の保育行政は、質的サービスを落とさずに、公営から民営にと行財政改革を進めることのできる分野であります。これらに対する具体的なタイムスケジュールの発表もなく、事務事業、財政改革の道筋をまだ明らかにできない中で、高齢者福祉、医療サービスだけを何を差し置いても切り捨てる市長の姿勢は、全く理解できないものであります。
よって、議案第79号 江別市老人医療費助成条例の一部を改正する条例の制定については、市民の願っている協働のまちづくりとは程遠い考え方であり、相いれない施策であることから、反対の立場を表明し、討論といたします。
議長(五十嵐忠男君)
ほかに討論ありませんか。
植松直君
議案第79号 江別市老人医療費助成条例の一部を改正する条例の制定について、賛成の立場で討論に参加します。
本条例は、昭和46年に創設され、本年までおよそ30年にわたり実施されてきたものでありますが、この間において高齢者を取り巻く社会的環境も著しく変化してきています。
当時、平均寿命が男性69歳、女性74歳でありましたが、現在では男性は9歳伸びて78歳に、女性は10歳伸びて84歳と、世界に誇れる長寿国になりました。
また、40年代は経済の高度成長期と重なり、就労人口が増えたときであり、定年は55歳が一般的でありましたが、今では60歳が定着し、少子社会の労働力確保の視点から、65歳も視野に入ってきています。
一番大きな変化は病気の内容が変わってきたことで、今日では、がんや慢性の成人病などが主になっており、このため治療から予防へと医療政策の柱も変わってきています。
さらに、昭和46年当時と比較すると、高齢者の福祉施策も充実してきましたし、平成12年度に、介護の社会化を図るため、従来の国が定めた福祉医療制度に新たに自己決定を要請される介護保険制度も導入されるなど、医療を含め高齢者への事業が逐次進められており、環境が整備されつつあります。
しかし、低成長のトンネルに入った今は、国も各制度の見直しを進めていますが、限られた財源の中では、これまで以上の福祉・医療を享受することは難しくなりそうです。
このような状況を踏まえて、市の老人医療費助成制度の廃止について審議した3月議会では存続することになりましたが、この間、市長自らが廃止を提案せざるを得なかったのかについて、多くの市民とひざを交えて対話をしてきたことと、保健福祉部も各団体に説明を繰り返してきたことなどから、市民への説明責任を精力的にこなしてきた努力は多いと評価します。
68歳と69歳の医療費助成が残ることに関して、今回廃止される年齢の市民に対する激変緩和措置を求める声もありますが、今後における財政負担が懸念されるところであり、また、65歳から67歳の対象外となる高齢者の一部が道老の助成対象となると見込まれることであります。
今、国と地方が抱える借金は700兆円もあり、行財政改革や地方分権を進める中で当市に対する地方交付税がここ数年減少傾向にあり、昨年は7億円をも減額され、市税の減収もあり、財政執行は厳しさを増してきているのが実情です。
元来、地方交付税は、必要な福祉や社会基盤整備を行うために交付されてきました。しかし、地方分権が進み、これまで国や道が担当してきた事務について、市にその役割が回ってきておりますが、いまだ財源の移譲については不透明であり、当分は交付税の減額に対処することに頭を悩まされることになります。
これからは少子高齢社会の重圧が医療・保健・福祉のあらゆる分野にのしかかってきて、自治体の財政基盤の強化とともに制度の大きな見直しをしなければ、国と地方自治体は住民への最低限のサービスさえ保障できなくなることがきぐされています。
大局的に見ると、今すぐにも公的保障は基礎的な部分をカバーするシステムに変えて、自助努力を強化し、負担と給付の適正化を図る必要があることから、他市と比較し優れている独自の制度といえども、その内容について見直すことは当然であります。
老人医療費助成制度は、30年間継続した政策として大変意義深い制度でありますが、この制度の誕生は、9月定例会の一般質問でも申し上げましたが、当時の市長選挙の公約が実現したものであります。今、この時点で市長がこの制度の見直しをするという決意は、この制度を創設したとき以上に極めて重みを持つ判断であり、心中を察するに余りあります。
これまで以上に多くの市民の皆さんが元気で暮らすための健康づくり事業の取り組みに期待するとともに、市が担うべき各種サービスを確保する中で、老人医療費助成制度の改正については市民の理解を得られるものと考えます。
議案第79号については、社会福祉審議会の答申も重く受け止め、賛成討論といたします。
以上です。
議長(五十嵐忠男君)
ほかに討論ありませんか。
稲垣良平君
私は厚生委員会に所属しており、討論で反対の立場の討論をしております。ですから、この場は簡潔にさせていただきたいと思います。
議案第79号 江別市老人医療費助成条例の一部を改正する条例の制定について、反対の立場で討論に参加をいたします。
先ほど来の討論の中で、与党であるから、あるいは野党であるからというふうなお話がございました。私ども地方自治にかかわる者として、国の制度で及ばないもの、道の制度で及ばないもの、それらに対して、それ以下がない一番底辺の自治体として、それらの制度で及ばないところをしっかりとカバーしていく、そういう使命が地方自治にはあると思います。
今回の提案は抽象論ではなくて、実際に本年度まで医療費の助成を受けている方たちの半分程度が、来年度から助成を受けられなくなるという具体的なものなんです。そして、その人たちは特定できる、あの人とあの人とあの人とあの人たちがそういう助成を受けているんだという非常に具体的なテーマであります。
先ほど委員会討論の報告がありました。それで、市長側からのこういう答弁があったという説明がありました。その中に、今の対象者の半分近くは道老で救われるんだというふうな答弁があったということであります。仮にそうだとすれば、今の制度のままでも道老に移行していけるものはしていただく、そのことを今の窓口業務、受付や申請をする、受け付ける、それをその作業の段階でそういうことは幾らでも取り組める。そうすれば、今の言われている予算だったら、何ら受益しておられる方々に対して不利益を講じないでも、円滑な制度の運営というものはできるではないですか。
今回の条例の改正に当たって、財政の問題をタウンミーティングでも大きく取り上げて説明しておられるということでありますが、財政が厳しくなったということは、いきなり天から降ってきたものではない。今までの江別市の行政運営、財政運営、その結果として現状が招来されているんです。
今までの行政運営について行政評価を外部委託した、その結果が去年春に報告されている。そこでどういうふうな指摘がされているか。まちの方向性が可能性から判断されず、絞られず、可能性から判断されて絞られず、要するに資源、財源が散漫に使われてきている。極端な話、こう書いてある。そういう状態だから総合計画の達成度評価が行えない、そういう状況で行政運営がなされてきたということです。そういう状況をやってきた結果が今を招来しているということです。
行政改革大綱、これもこの春じゃないですか。平成10年に今までの行政改革大綱を見直して新たに作りますというふうに言ってきた。ところが、実際にやったのはこの春。そういう問題の先送り、そういうことが今を招来しているんじゃないですか。
一方で、今回のように、具体的な実際に困る人々に対しての施策というものについて……
(発言する者あり)
議長(五十嵐忠男君)
お静かに願います。
稲垣良平君
手続論のみで、社会福祉審議会に諮ったからいいだろう、あるいは市民にタウンミーティングで話を聞いたからいいだろうというふうにわい曲して物事を進めるというのは、言ってみれば小学校のお使いの域を出ないと思います。
今回の条例提案は、そのような観点から見て、私ども江別市が今後とるべき生活者を主体にした施策に重点化をするという方向性から外れた条例提案であり、賛成することはできない。反対であるということを重ねて申し上げて、討論といたします。
以上です。
議長(五十嵐忠男君)
ほかに討論ありませんか。
堀内城君
議案第79号 江別市老人医療費助成条例の一部を改正する条例の制定について、賛成の立場で討論に参加します。
今回の提案は、3月議会の結果を踏まえて、老人医療費助成制度、いわゆる市老65歳から69歳までを68歳以上70歳未満に改めようとするものであり、このことにより受給者の半数が道老に移行となる見込みで、併せて市の助成額が約9,000万円に軽減されることとなるものでございます。
この制度改正に当たって市は、一つとして、市長を先頭にタウンミーティングにより市の財政や制度の概要を説明し、市民の考えを聞き、二つとして、部局の団体説明会を開催する中でアンケートを聴取するなどし、制度廃止や厳しい財政状況について理解の手続を経てきたとの報告であります。
その上に立ち、市は社会福祉審議会に諮問をいたしまして、審議を経て、68、69歳とすることの答申を得たものでございます。
提案理由や審議の中でも明らかにされましたが、現行制度は、医療費負担を軽減し、健康な心身の保持と福祉の増進に寄与することを目的に、昭和46年の70歳以上を振出しに年次で引き下げ、49年から65歳に引き下げ、約30年間、市民の健康保持に効果を発揮してきたところであります。
この間、道は53年に医療費補助制度を創設する一方、平成12年4月には介護保険制度が導入され、さらには平成13年度7月には道老の世帯要件が緩和され、10月には子供の特例要件拡大などがあり、市費持ち出しが大きく軽減されたところであります。
賛成の理由の第1は、タウンミーティングや他の手法、さらには社福審の答申を経て市民の声を聞き、市長の政治責任として提案されたもので、提案に至るしんしな態度を評価するものであり、時期についても合理性があると判断するものでございます。
第2は、道の制度の充実についてであります。道の制度は、相当の所得のある子又は別居の扶養義務者に高齢者の医療費を支援することを考慮したもので、このことは社会通念として理にかなったものといえます。特に老人単身世帯及び老人夫婦世帯、老人と18歳以下の子を世帯要件とし、所得要件は本人、配偶者、扶養義務者の前年所得が所得制限を超えないことを要件としていますが、道のハードルが低くなり、100万円以下の所得の方でも要件を満たせば対象となるものであります。
また、質疑の中で、江別市の制度の一部廃止により、受給者1,070人のうち、住民票上、約半数の受給者が道老に移行するとのことでありますが、この制度が申請主義であり、子の所得やプライバシーなどもあることから、この内容について精査を求めることは現時点で不可能と考えるもので、やむを得ないものでございます。
第3は、他の制度の充実はもとより、近隣他市の制度と整合性が図られたものであります。特に北広島市、石狩市、恵庭市、小樽市でも、現行68歳から69歳の場合でも独自の所得制限や市内医療機関のみに限定、あるいは同居の子にも所得制限や道老に準じることなど何らかの制限を課し、受給者も55人から226人と極めて少ない現状であり、以上、近隣の状況から見ても江別市の一部改正は妥当と言えるものでございます。
第4に、財政についてであります。現行制度を維持した場合、現在1億9,000万円余の助成が、5年後には2億4,600万円、10年後には8,019人で2億7,000万円余の額になるとの推計であり、毎年累増することは論を待たないことであります。
他方、財政の状況は、今日的経済景気状況を反映し、国も地方も税収不足による借金が累増しております。特に交付税は、この2か年で約15億円、15年度も同様に大きく減るとの予想です。交付税会計の借入金を赤字地方債で補てんすることとなり、平成13年度は5億9,000万円余、14年度は13億2,200万円余も発行することとなったが、この元利償還は全額交付税の基準財政需要額に算入されるものの、実額が交付税として配分されるわけではありません。むしろ交付税のパイを少なくし、交付税会計を借金返済会計に変質させ、自ら首を絞めることにつながり、行き着く先は明らかであります。
この傾向は、15年度7億円、16年度19億円、17年度16億円の財源不足が見込まれる中期財政見通しでも、明確に示されているものと言えます。
その上に立ち、国に分権と財源の移譲を求めることは当然でありますが、将来にわたって財政を見据えることが今、最重要課題であり、公債費を初めとする義務的経費の抑制とともに、税源と税収の確保、施策の的確な選択と身の丈に合った事業展開により財政力を高めることが緊急の課題でございます。
第5に、提案や部長質疑の答弁でもありましたが、高齢者だけでなく、すべての市民が健康で充実した生活ができるよう、市民の健康管理と疾病予防施策を支援する健康づくり事業が一層求められることは言うまでもありません。市は、自分の健康は自分で守ることを基本に、啓もうや検診体制の整備を進めることが最も重要であります。
以上、今回の老人医療費一部改正は、受診者への痛みを軽減することも視野に入れたもので、やむを得ないものであり、今後も財 政運営をしっかりと進めることを求め、賛成討論といたします。
以上です。
議長(五十嵐忠男君)
ほかに討論ありませんか。
(「なし」の声あり)
これをもって討論を終結いたします。
これより議案第79号を起立により採決いたします。
議案第79号は、委員長報告のとおり、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
(賛成者起立)
起立多数であります。
よって、原案のとおり決しました。
次に、陳情第9号 現行の65歳老人医療費助成制度の継続を求めることについて申し上げます。
ただいま陳情に関連する議案が原案のとおり決しました。
よって、陳情第9号は、不採択とされたものとみなします。
次に、陳情第8号についてお諮りいたします。
陳情第8号は、委員長報告のとおり、閉会中継続審査とすることにいたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
ご異議なしと認めます。
よって、そのように決しました。
次に、陳情第10号 「認可外保育所への運営費等の助成」を求めることについてに対する討論に入ります。
討論ありませんか。
(「なし」の声あり)
討論なしと認めます。
引き続き、陳情第10号を採決いたします。
陳情第10号は、委員長報告のとおり、一部採択とすることにご異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
ご異議なしと認めます。
よって、一部採択とすることに決しました。