平成14年第1回江別市議会会議録(第3号)平成14年3月12日 7ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
副議長(塚本紀男君)
以上をもって宮本議員の一般質問を終結いたします。
一般質問を続行いたします。
齊藤議員の福祉行政についてほか1件についての質問を許します。通告時間25分。
齊藤佐知子君
ただいま議長の許可をいただきましたので、通告に従い順次質問してまいります。
最初に、福祉行政についてお伺いいたします。
1点目は、児童虐待防止対策についてです。
最近、毎日のように新聞紙上に掲載されている子供への虐待事件の報道を読むにつけ、人間として、同じ子供を持つ母親として非常に悲しく、残念に思えてなりません。平成12年11月に児童虐待防止法が施行されて1年3か月になりますが、幼い幼児を死に追いやる悲惨な事件が後を絶ちません。全国で年間3万件と推計される子供への虐待、警視庁の調べによりますと、法が施行されてから1年間に虐待で死亡した子供の数は56人と、前年同期よりも約3割も増えて、虐待が依然深刻化している実態が浮き彫りになっております。
自分の欲望や感情が先に立ち、それが抑え切れないで、我が子を暴力の標的にするといったような未熟な親が増えていると言われております。各世代が同居している家族であれば、若く未熟な親をたしなめて、暴力に歯止めを掛ける役目をだれかが担ってきたのでしょう。しかし、今はそうした機能が失われ、核家族化、地域社会からの孤立化等で明らかに家庭内の養育力が低下しており、背景には様々な社会的要素が絡み合っているとの指摘もあります。
また、虐待をするケースに世代間でんぱがあると指摘する学者もあり、子供に暴力をふるう親たちの多くが、その調査では養育環境の中で暴力にさらされてきたという事実があるということです。親に虐待された子供たちは、自身が大人になったときに子供を虐待する傾向を持っていることが児童虐待との書中で紹介されております。虐待の悲劇を食い止めるには、子供たちのSOSを敏感にキャッチすることが大切であり、児童福祉関係者の間では、防止のかぎは近隣の住民の協力にあるという声が強まっているとのことであります。
平成12年に児童虐待防止法が施行されてから、第三者に通告義務があり、不自然な傷がある、たたく音や叫び声が聞える、衣服がいつも汚れているなどの状況を見たり聞いたりしたときは、連絡をする義務を与えられております。児童虐待を防ぐには、虐待に関する正しい知識の普及と地域社会が一体となって子供への関心を高め、子育てを社会全体で支援する体制づくりが必要ではないかと考えます。
江別市の児童虐待についての相談件数は、伺ったところ、年間にあって一、二件とのことでありますが、平成13年度中の札幌中央児童相談所に寄せられている江別市からの児童虐待相談は10件とのことであります。このような実態の中で、私はもっと報告体制の強化を図る必要があると考えます。結局、子供の叫ぶ声が聞える、何かおかしいと思っても、どこに連絡をして良いのか分からないといったことがあるのではないかと思われます。また、市民にもっと児童虐待に対しての意識、知識、認識をしていただき、なかなか表面化しない児童虐待の早期発見のためにも、意識啓発をしていくことも大変重要と考えます。先ほども述べましたが、虐待を受けた子供は必ず自分が大人になったときに同じことを繰り返すといった悪循環があります。この輪を断ち切ることが絶対に必要であり、これは大人である私たちの責務であると思うのであります。
児童虐待の防止等に関する法律の中の国及び地方公共団体の責務の中に、1、国及び公共団体は、児童虐待の早期発見及び児童虐待を受けた児童の迅速かつ適切な保護を行うため、関係機関及び民間団体の連携の強化、その他児童虐待の防止等のために必要な体制の整備に努めるものとする。
2、国及び公共団体は、児童虐待を受けた児童に対し、専門的知識に基づく適切な保護を行うことができるよう児童相談所等関係機関の職員の人材の確保及び資質の向上を図るため、研修等必要な措置を講ずるものとする。
3、国及び公共団体は、児童虐待の防止に資するため、児童虐待が児童に及ぼす影響、児童虐待にかかわる通告義務等について、必要な広報、その他の啓発活動に努めるものとするとあります。
そこで、地域、幼稚園、保育園、小中学校を含めた各関係機関の児童虐待の連絡体制をもっと強化するべきであると考えます。あわせて、地域の協力体制強化のためにも、児童虐待に関する市民への意識啓発事業をするべきと考えますが、市長のお考えをお聞かせください。
2点目として、先ほどと関連いたしますが、里親制度についてお伺いいたします。
国では、児童虐待の増加で、子供を預かる児童養護施設の収容能力が限界に近づきつつある上に、心の傷をいやすには集団生活の施設より家庭で育てる方が効果的と里親制度が再評価され、次年度予算の中に里親制度を充実させるための措置として、専門里親制度を創設する考えを明らかにしております。
当市においても、現に児童の虐待に関する問題もあり、国の里親制度を利用し、社会全体で支援する体制を作るべきではないでしょうか。ただ、施設につなぐだけではなく、このような制度を活用すべく努力をするなどして、当市としての受入れ体制の検討も必要と考えます。市長のお考えをお聞かせください。
3点目として、ドメスティックバイオレンスについてですが、先ほども触れておりましたが、江別市の緊急対応は十分とは言えない状況ではないかと思われます。例えば、現状の母子生活支援施設の窓口体制は、平日は朝8時30分から夜6時45分までで土日は休みといった状況です。緊急を要するDVに対して、24時間受け入れる体制の必要性をどのようにお考えなのかということであります。
江別市においても、DVに関する悲惨な事故として女性が事故に至ったことは記憶に新しいものですが、女性が暴力にあったときの緊急避難の受入れ体制についても、非常に手薄な状態としか思えません。そういった中で、民間ボランティアの立上げやボランティアの育成をし、一時保護の場所を確保していく必要があるのではないかと考えます。もっと市民の中に入って現状を認識していただき、体制の強化をしていく必要があると思います。市長のお考えをお伺いいたします。
4点目として、高齢者の予防啓発事業の強化についてです。
江別市の65歳以上の高齢者は昨年9月現在で1万9,707人、高齢化率は16.0%、月に70人強のペースで増えているとのことであります。介護保険事業の受入れ体制においても、さらなる体制強化を行っていかなければならない状況も予想されます。
このままの状況では、例えば施設入所であれば物理的な収容人数が限界になることは想像にかたくないと思われます。そのための対策として、私は寝たきり老人を増やさないためにこれからは予防リハビリが大変重要であると考えます。どうしても寝たきりになってしまうと自宅での生活が困難となり、またぼけてしまうといった悪循環になってしまいます。
ある高齢者介護施設を訪れたときに、そこの施設長さんは「今後は高齢者の増加に伴い施設入所に当然限りが出てくる。これからはそういった問題を解決するために予防リハビリが大変重要である。また、予防リハビリを進めることによって、これから増え続ける老人医療費の削減にもなる」とのお話でありました。
予防リハビリの概念を私なりに考えてみますと、高齢者を介護保険対応以前に、例えば健康増進や自分で日常生活を維持していくことができるように訓練予防することが予防リハビリであると思われます。宮崎県理学療法士会の会長さんが介護が必要にならないための予防リハビリとお話ししていることからも裏付けられるのではないでしょうか。また、予防リハビリに必要な理学療法士の育成と普及を重要な課題として取り組んでいるともお話しされております。
江別市の高齢者福祉施設B型中核施設としていきいきセンターが設立され、平成9年より財団法人江別市在宅福祉サービス公社として、市内に居住する高齢者及び障害者などの在宅生活の安定と充実を図るため、市民の福祉意識の高揚に努め、福祉ニーズにこたえた多角的な福祉サービスの提供を行い、もって市民の福祉の増進及び生活の安定に寄与することを目的とするとあります。
さらに、具体的にすると、高齢者生活のサポートとして、主たる事業としての目的を達成するための普及啓発事業がありますが、これは当然先ほどご紹介申し上げた予防リハビリの概念を基準として活動することが同センターの役割と考えるところであります。
先日、テレビでも、高齢者の健康増進のために、ちょっとした道具を使ってトレーナーがついてリハビリをしている状況が放映されておりました。私がお話ししたことが裏付けとなるかどうか分かりませんが、足腰の弱った高齢者が自立した生活をしていけるための筋力アップの訓練です。こういったことが予防リハビリだと思います。そういった意味で、いきいきセンターの役割は今後ますます重要になってきていると思われます。
ところが、現状は、本来のいきいきセンターの機能や設立目的があるにもかかわらず、十分果たされていないのではないでしょうか。介護が必要になる前の予防普及啓発といった視点が薄まっているように思えてなりません。同センターの現状を見ていると、介護センター的要素だけに力点を置いているように見えます。これからは介護を受けてからの事業ではなく、介護が必要な状態にならないための普及啓発事業に努めることが大切であると思います。在宅生活の安定と充実を図るためにも、高齢者が元気に自宅で生活していくための健康増進を図るためにも、機能を失ってしまう前の予防リハビリの必要性が今後大変重要であると考えますが、市長のお考えをお聞かせください。
5点目に、音楽療法の活用についてです。
ある重複障害児のお子さんをお持ちのお母さんから、「この子に音楽や楽器を聴かせると、全身で反応して、体を動かしたり声を出すので、そのような機会があるといいですね」との声を伺っておりました。
音楽療法とは、音楽を聴いたり、歌ったり、楽器を鳴らしたりすることで心と体を刺激して、機能回復や健康づくりを進める療法です。音楽、すなわち音の楽しみには特に治療的機能があります。旭川では、障害児の音楽療法が行われており、1998年5月より月例セミナーが行われているとのことです。セミナー開催日ごとに反省会を開き、クライアントの状態理解、かかわり手の在り方についての指導がなされ検討が加えられるそうです。旭川セミナーでは、療法の用語には病気を治す医療的な意味があるが、障害児にとっての音楽運動療法は、喜びを音楽とともにすることを通して、楽しみ、安らぎ、いやし、育つものであることに留意しているとのことであります。
先日、音楽療法の講習会を視察してまいりました。参加されていた方々は、施設、病院関係に勤務されている方たちでありました。リトミック指導士でもあり北海道音楽療法センター理事長でもある小野さんと懇談した折に、ある自閉症児のお話をしていただきました。その子の好きな音楽をピアノで弾いたり歌ったりすると、今までかたくなに何も反応がなかった子が急に体を動かし、話し言葉を持たないはずの自閉症児が音楽に合わせて声を発したというのです。ものすごく感動しましたと話されておりました。私も話を伺っていて、とても感動いたしました。早速、市内の特殊学級の併設されている学校に伺ってみました。この学校では、情緒障害児の中で自閉症のお子さんを1人受け入れており、やはり音楽を取り入れ、ピアノを弾くと体全体で表現するように動かし始めるとのお話でありました。
小野理事長さんのお話によりますと、特にリトミックは非常に効果があるとのことであります。リトミックの意味は、1つに、音楽の基礎、要素を頭で覚えるのでなく、音楽に身体反応するといった体で覚える音楽教育法の一つである。2つに、精神と肉体の調和を目指し、音楽とともに体験することで体の各機能の発達も促す。3つに、耳から聞いた音は神経を伝わって脳へ刺激を与える。4つに、感性を豊かにし、創造力を豊かにし、創造力を発達させ、その表現力を身に付けるといった意味があり、大変効果があるとのことであります。そして、リトミックは健常者にも障害者にも平等に正しい刺激を与えるとのことであります。
そこで、提案させていただきたいと思います。こういった効果があるとのお話を伺いまして、是非江別市においても、保育園、幼稚園、小中学校、また福祉施設や病院等への音楽療法を取り入れていただきたく思います。市長のご見解をお伺いいたします。
医療行政についてです。
睡眠時無呼吸症候群がマスコミでしばしば取り上げられ、人々の間でもその恐ろしさが知られるようになって以来、いびきや睡眠中の無呼吸を心配して、耳鼻いんこう科外来を訪れる人が増えているとのことであります。毎晩いびきをかく方の中に息が止まってしまう方がおります。中でも、10秒以上止まっている場合を無呼吸と言われるそうですが、この無呼吸が一晩に30回以上、あるいは1時間当たりに5回以上出る状態を睡眠時無呼吸症候群と言われるそうであります。
よくいびきをかくのは熟睡している証拠などと言われますが、実際は全くの逆で、大いびきをかく人は余り睡眠がとれていないことが多いとのことであります。日本人の場合、いびきを習慣的にかいている人は男性で21%、女性で6%を占めているとのデータがあり、有病率は少なくとも1%以上になると考えられているようです。これはぜんそくの患者数にほぼ匹敵するほどの数字になるとのことであります。
睡眠時無呼吸症候群の恐ろしさの一つは、様々な合併症を引き起こすことであり、例えば高血圧や不整脈など循環器系の障害を引き起こしやすくなったり、狭心症や心筋こうそく、脳こうそくなど、心臓脳血管疾患と合併する確率も高くなるとのことであります。アメリカの調査では、同症候群の人が狭心症や心筋こうそくなどの虚血性心疾患にかかる率はそうでない人に比べて3倍、脳卒中は4倍という結果が出ているそうであります。
これらの病気を併発してしまう原因として、眠っている間の無呼吸の状態が体に酸素不足をもたらし血管を収縮させること、また酸素不足により赤血球を増加させ、血液の粘性を高めてしまうことなどが挙げられるとのことであります。また、特に重症の同症候群の場合は予後が悪く、1時間当たりの無呼吸回数が20回を超える重度の人の場合、調査を行った8年間で生存率が63%しかなかったという結果も出ております。
日本でも、同症候群の予後についての調査が行われ、患者150人について10年間にわたって調査をしたところ、生存率は80.1%との結果が出ており、死因の内訳はやはり脳心血管系疾患が死因となっている場合が多く、死因の60%を占めているとのことであります。そして、詳しく調べたところ、心筋こうそくを起こした人の30%、脳卒中の50%、高血圧症の30%、糖尿病の30%に同症候群が見付かり、これらの生活習慣病を悪化させたり、その原因の一部にもなっているとのことであります。
今までも述べましたように、睡眠時無呼吸症候群の症状としてもっとも多いのはいびきですが、次に重要なのは昼間の眠気だとのことであります。無呼吸で深い睡眠状態にならないため、睡眠が浅く、翌日眠気が出て集中力が低下し、学力の悪化や仕事の能率低下、重要な会議中に居眠りをしたり、また眠気が強いと居眠り運転をして交通事故を起こしやすいといった症状は、日常生活の上でも大変な問題となっております。
最近は検査方法も進み、1泊入院して精密検査ができるような技術も進んでおります。私の身近にも何人もそのような症状を訴える方がいらっしゃいます。市立病院の入院ベッドはほぼ満床状態とのことでありますが、日帰り手術の患者さんのベッドを利用するなどでベッドを確保できないものでしょうか。
江別市の耳鼻いんこう科外来にも、そのような患者さんが100人ほど受診していると伺っておりますが、是非市民のニーズにあった新規外来、睡眠時無呼吸症候群の窓口を開設していただきたいと考えますが、病院長のお考えをお聞かせください。
以上で第1回目の質問を終わります。