平成13年第4回江別市議会会議録(第2号)平成13年12月12日 8ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
議長(五十嵐忠男君)
以上をもって森好議員の一般質問を終結いたします。
一般質問を続行いたします。
星昭史議員の行財政改革についてほか1件についての質問を許します。通告時間30分。
星昭史君
ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従い順次質問させていただきます。
今回は行財政改革を中心に質問させていただきます。
日本経済は景気低迷が続き、内閣府が10月に発表した景気ウオッチャー調査によりますと、景気の現状に対する判定指数が前月比1.2ポイント低下の27.2となっており、5か月連続で最悪水準を更新しております。税収の減少により財務省は2002年度予算編成で、一般会計からの地方交付税交付金について、概算要求段階から2兆円超減らし、17兆円台前半を目指す意向を固めております。
日経地域データバンクの2000年度全国670市での決算の合計で、歳出額は4.7%減と3年ぶりのマイナスとなっております。公共事業の抑制でここ数年、地方債の発行額が減った結果、公債費が5年ぶりに減少したほか、職員のリストラが進み人件費も0.8%減少しております。2000年4月、介護保険制度がスタートし、関連経費が特別会計に移行したことで、福祉関係費である扶助費も10.6%減と大幅に減少しております。しかし、地方税が3年連続で落ち込むなど、歳入が伸びず、財政状況は改善しておりません。人件費比率が3年ぶりに悪化したほか、借金の返済負担の重さを示す公債費負担比率も前年度と変わっていません。人件費、公債費、扶助費の合計額の歳出総額に対する割合である義務的経費比率は5年連続で上昇し、都市財政は一段とひっ迫しているということであります。
当市も中期財政見通しで見ますと、来年度の歳入見通しは412億2,000万円と前年度より49億3,000万円減少し、歳出は425億1,000万円となり、差し引き12億9,000万円の赤字となる見込みであります。その大きな要因は、地方交付税が大幅減となった前年度より、さらに10億円近く減少するほか、国と道からの補助金の減額であります。歳出は普通建設費の39%、43億6,000万円減と大幅に減少し、さらに経常経費、臨時経費を10%カットするなど、赤字幅を減少する考えであります。このように当市も財政の状況はひっ迫した状況になっております。市のコメントでは、残念ながら市民にも痛みを共有していただくことになりそうだと話しております。
東京大学教授の井堀利宏氏は、「財政構造改革が進まなければ、35歳以前の人口が確実に減っていく中で、やがて地方交付税総額が減少し、30年後には交付税がほとんどなくなる。その間に活性化の自助努力をせざるを得なくなる」と言われております。
地方交付税の依存度が高い当市も、小手先だけの改革論では財政の立て直しはおろか、このままいけば再建団体になるのではないかときぐをしております。市税など自主財源も減少しており、抜本的な行政改革を早期に実行すべきと考えております。これまでも三鷹市などの徹底した行財政改革の推進事例を挙げ、推進と手法を訴え提案させていただいてきました。
そこで最初に、定数の目標数値を来期までに示すと言われておりますが、ひっ迫した財政状況の中、設定に対しての基本的な考えをお聞きいたしたいと思います。民間企業では企業存続をかけた構造改革が進んでいるところであります。効率的な企業経営はもちろんのこと、リストラなど様々な生き残りのための経営改善を試みています。それでも企業の倒産は月々増大しており、失業率も11月時点で過去最高の5.6%となっている状況であります。しかし、賢明な経営者は、合併・合理化や倒産をして100%の失業者を出すより、経費が一番高い人件費を削減し、企業存続のための厳しいリストラを行っています。社員をリストラするということは、経営者にとって大変つらい決断だと思います。内からの改革をし、顧客のニーズにこたえる営業努力をしているのであります。
行政も内側の徹底した改革をした結果で、市民の行政に対する理解が生まれてくるのではないでしょうか。そして協働型の市民参加ができ上がっていくのではないでしょうか。投資的経費の39%の建設費削減を先に考えておりますが、市民の理解が得られると考えておられるのかお伺いいたします。
2点目は、財政の確保には民営化の着実な推進計画が必要であります。類似団体の比較もありますが、それよりも現状を見据えた財政規模に合わせた人件費比率にすることが賢明な財政判断と考えております。
市民1人当たりの人件費が最も少ない福岡県の宗像市では、民間委託の積極的な推進をしてきた結果、人口が8万9,000人で市の職員は368人と、人口が10年前と比べて23%増えたが、職員は1.5%増に止まっております。業務委託の拡大で、小中学校の事務職や給食調理人などの職員は半減し、同市の人件費比率14.6%は全国平均より5.7%低い結果となっております。これまでに30事業を委託しており、90年以降は13事業に上っております。これ以上委託できる事業はないという現状であります。このほか上位10市には、春日市、大野城市、筑紫野市が入っており、いずれも積極的な業務委託の推進や行政サービスの広域連携によるものであります。
そこで提案ですが、一つ目に、保育園の民営化推進を具体化すべきと考えております。あかしや保育園が民間委託され、当初心配された問題も起きておらず、さらにこのひっ迫した経済状況の中で、なぜ財政効果の高い保育園の民間委託が推進されないのか、理由をお聞かせください。
二つ目に、建設技術の向上により学校の校舎管理・営繕などに手がかからなくなった現状であり、学校業務主事職の業務の減少が顕著であります。時代に即した委託や整理統合、集中化をしていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
三つ目に、病院・学校給食業務の完全委託の推進です。現在行われている民間の給食業務の安全管理システムは十分に確立されていると考えます。当面この3事業を早急に計画を立て推進されるべきと考えますが、お答えください。
3点目に、機構の見直しについてであります。
財政の確保が今後厳しくなっていくのは確実で、それに伴う事業の縮小と見直し、部・課・係の整理統合を進めていくべきと考えております。特に本市においても、先ほどのように建設費の大幅削減が見込まれており、政府の公共事業費10%削減計画にも見られるように、これからますます公共事業の減少が予想されます。建設部と経済部の統合で十分これからは機能していくと考えておりますが、いかがでしょうか。
4点目は、外郭団体への業務委託についてお聞きをいたします。
これまで多くの自治体は、行政サービスにおいて外郭団体化で対応してきました。近年いわゆる開発型と言われる第三セクター事業、この経営破たんが目立つようになり、今後、公営事業、外郭団体の経営診断が厳しく問われることになると思われます。これからの外郭団体は、行政の肩代わりではなく行政と市民連帯の結合機関として、双方の持てる力を融合させる機能を最大限発揮できるというものでなくてはいけないと思います。また、行政の目玉だと言われている民間委託方式も、これからは株式会社、第三セクターだけではなく、市民団体、ボランティア団体や非営利法人への委託も増えるわけであろうし、従来の印刷業や建設業などへの外注方式ではなく、自治体と市民団体との共同処理方法も多く採用すべきだと考えます。
今後、市は、むしろボランティア団体、NPOの支援や開かれた地域住民組織の育成など、共生社会をともに作り上げる担い手としての人材やそれらの経営基盤の充実に努めるべきだと思います。このような視点、背景を元に何点かお尋ねをしていきます。
市が出資、出えんしている財団、社団など民法法人並びに商法に基づく株式会社のうち50%以上出資の法人については、議会に報告義務があり、報告されていますが、経営実態については分かりにくく、不透明と思われる点も見受けられ、市の出資比率50%未満の法人も加えれば、ますます委託内容の把握が難しくなってくると思われます。
出資団体など事業計画説明資料の中でも、市補助金収入とか、何々事業受託収入としか記載されておらず、どう積算され、どのような手続で執行されているかなど不明であり、出資した後は法人任せという危険性もきぐしているところです。以上のような観点から、市から直接法人や外郭団体などへ業務委託する際の積算根拠やその積算方法、その妥当性はどのようにチェックされているのか、この際お聞かせください。
それから、法人においては公共施設の維持管理費なども一括して市から受託している場合も多いが、これを再度関連事業者に委託している場合も見受けられます。このような構図は、地方自治法で禁止されている再委託ともとれると思うが、市のご見解をお聞かせください。また、各法人から関連事業者に委託する場合の委託先の選定方法や委託料の査定方法についてもどうされているのかお聞かせください。さらに、法人業務全般の執行の妥当性について、どのような手法でチェックされ監視されているかをお聞かせください。
また、法人である以上、市からの委託業務のみならず、自主・自立の道を常に模索していく必要があると考えますが、市としてどのような指導体制をとっているかについても確認をしておきたいと思います。
外郭団体などの情報守秘義務についてお伺いをいたします。
市は個人情報保護条例を制定する予定になっております。そして、その責務を厳格に規定していくと思いますが、各法人はどのように対応しているのか確認していきたいと思います。末端の部分で守秘義務が厳密に守られているかどうかきぐしているところです。法人にあっても、その規模が拡大すればするほど、末端職員や再委託先の関連事業者などに服務規律などが徹底しないことも予測されます。市から補助や委託を受けての業務執行であるとともに、公益を目的としている団体であることから、法人職員すべてに業務推進上知り得た情報の守秘義務が課せられて当然であり、この点に関していかに管理されているのか、またどのように規定しているのかについてお尋ねをいたします。
委託先も含めて、事業費や人件費の推移など、全体像としての実態を把握されているのでしょうか。把握されていれば現在どのような傾向にあるのか、ご意見をお聞かせください。
5点目に、人事制度・給与制度に関する質問をさせていただきます。
自治体の人事制度や給与制度は、まだまだ市民感覚からすれば旧態依然としており、公務員だけが人事制度と給与体系に守られているという印象はぬぐえないと思います。以前、市の幹部の方にお話を聞いてびっくりしたことが実はあります。課長になりたがらない職員がいると聞きました。どうしてなのかと聞いたところ、大変だからだそうであります。誠心誠意働いている方と、全くやる気の感じられないこのような方が、給与表、号級の関係でほとんど同様の給料が支払われている。民間の感覚ではこれ自体が大変不自然であり、理にかなっているシステムとは到底思えません。このように感じているのは私だけでありましょうか。この点に関しどのような感想をお持ちなのか是非お聞かせください。
現在は、ある意味で画一的な平等を追求するために、二、三年ごとに一律的に定期異動を行っております。この制度もその目的達成の効果よりも弊害が多く散見されるように思います。人間の心理として、二、三年での定期異動では、二、三年を乗り越えるだけの施策しか思い浮かばず、長期ビジョンに立った改革はなかなか提示しにくいのではないでしょうか。
現在の人事管理では、プロとして自らの判断と責任で職務を遂行できる力量を備えた人材や、各分野に精通した人材を育てにくい環境にあるのではないでしょうか。また、異動の際、引継ぎをほとんど行わない方がいるため、前任者がどのように対応したのか、何がまだ未達成かを全く認識されない方も見受けられます。中にはわざと引継ぎをしない方もいるとお聞きしております。この引継ぎに関してはどのような指示や徹底をなさっているのか、また異動になるまでの期間はもっと個別の柔軟な対応が望まれますが、ご意見をお聞かせください。
具体的には様々な手法が考えられますが、給与制度が実績の有無に関係のないあしき平等に陥ることのないよう、また結果の平等でなく、努力して成果を上げた者が報われる能力・実績主義への転換や、責務に応じて収入面で差がつく給料制や管理職手当の見直しが急務と思いますが、いかがでしょうか。
また、行政改革の一環として数都市で導入している役職返上制度もあります。これは、職員本人が健康上の理由や家庭の事情などで責務が全うできない場合や、適性を判断した上で業務に支障を及ぼすと考えた場合、役職返上の申し出ができる希望降格・希望昇格制度です。実際のところこの制度がうまく機能するかどうか疑問に思っておりますが、導入した年は予想以上に希望依頼があったそうです。その中で甲府市では、昇任・昇格して部下を管理する職務が加わるよりは、現場で仕事を続けたい職員が出てきており、職員の希望ややる気を尊重した環境づくりに効果があると評価しております。この制度についてどのようなご意見をお持ちなのかお聞かせください。
ともかく新しい世紀にそぐわない行政上の破棄すべき人事、慣例的な制度、世の中のスピードにかい離しているようなこの制度は、市民が納得するように抜本的でかつ素早い改革を進めることが望まれますが、市長のご見解をお聞かせください。
次に、生活保護費に関する質問をさせていただきます。
生活保護費の支給は年々増加しており、平成10年度は約19億円、11年度は約20億円、12年度は約22億円となっております。歳出の増加を景気動向がよろしくないからといって一言で片付けていいものかどうか、どのように認識されているのか、そして今後どのような対応をしていくおつもりなのかお聞かせをください。
残念なことでありますが、市民の方から、どうしてあの人は生活保護を支給されているのかという指摘や、働かないでこんなにお金がもらえるなら一生働かないでと豪語している人もいるようだとお聞きしております。このような悪質な受給者は大変まれなケースと思いますが、実際に存在しているのも事実であり、私も聞いたことがあります。市はこのことでどこまで把握されているのか、そしてどのように対応されているのかお聞かせください。
そもそもケースワーカーが1人当たり江別市では90世帯以上のケースを抱えているようでありますが、実態の的確な把握や個人的なケアまでは無理があるのではないでしょうか。受給者にただ、仕事が見付からないのかと聞いているだけの対応では事態が好転するとは思えません。
厚生労働省の基準では、ケースワーカー1人当たり80世帯を目安にという通達が来ているそうですが、80世帯という根拠そのものが不明確であり、なおかつ1人で80人以上のケアをするというのはとても無理があると思います。ケースワーカーが処理し切れない超大量のケースを抱えないよう組織、係員を検討すべきで、増員をしてこなかった理由、そして現在の状況で十分対応できるとの判断をしているのかお伺いをいたします。
かつてイギリスでは、「ゆりかごから墓場まで」と評されるほど先進的な福祉国家として評価されてきました。しかしブレア政権では、限りある財源の中で、福祉サービスの在り方と社会保障費の際限のない増加に対する対応のため根本的な方向転換をしております。それは、福祉手当からの自立へと、働くための福祉と銘打った数々の政策がそれであります。
その一つが、失業率を10%台から3.6%まで急激に減らした、ワーキング・リンクスという政府と人材派遣会社が共同で設立した民間会社を通した失業者対策です。失業者保険を給付している人たちをこの民間会社に登録させ、面接を繰り返し、各個人の実情や希望、能力や適性に合った会社を数十社ピックアップし、このワーキング・リンクスの資金で必要な教育や面接のノウハウ、交通費、パソコンや携帯電話などを支給して、果ては床屋代、スーツや靴なども買い与え、すぐにやめないようにアフターフォローを行い職業をあっせんしています。
政府は、この職業あっせんが成功した場合、成功報酬としてこの個人に支払っていた失業保険の半年分を民間会社に支払います。ワーキング・リンクスでは現在まで各個人に先行投資したお金と差額が利潤になるシステムで、就職活動が失敗した場合、この会社の先行投資したお金は丸々損失を出すため、役所とは違うやり方で就職あっせんに成功しております。
このシステムをビジネスとして成立させ、役所の人員削減、そして補助を受けている方々を1人でも多く税金を払う側に方向転換させようというこの新しい方式で、失業保険の支払率と失業率を急激に減らし、画期的な効果を上げています。
このように生活保護費の支払いを減らすためには、生活保護費の審査を厳しくして給付金を減らしていく発想だけではなく、このような新たな発想の転換が必要なのではないでしょうか。福祉漬けという言葉がありますが、働かない生活が長く続けば、自立して頑張っていこうとする意欲も徐々になえてくるのは当然の帰結で、受給者を減らしていく施策が最も必要なのではないでしょうか。
保護費を受けている方々は特殊なケースも多いことは十分認識しております。また、ハローワークではこのような特殊なケースには個別になかなか対応できず、受給者自身が少ない情報からその事情に合った仕事を見つけ出す作業をしていますが、困難なケースが多いと伺っております。少なくとも自立して前向きに生きようとしている方には、税金を払っていただく方に回っていただくよう最大限の対応をすべきです。
提案ですが、個人個人その特殊な事情に細やかな配慮をしながら、仕事やパートタイムを紹介しあっせんする専門部署を新たに設けてはいかがでしょうか。
生活保護を受けている方が自尊心を持って生きていけるように、行政は生活を保護するだけはなく、自立するための手助けをすることこそが必要であります。仕事やパートタイムを紹介、あっせんし、その結果、市民の血税を使っての給付が減っていく新たなシステムづくりを推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。また、その他に給付金の増加に歯止めをかける施策が検討されているのであれば、合わせてお示しをください。
以上で1回目の質問を終わります。