平成13年第1回江別市議会会議録(第3号)平成13年3月7日 5ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
議長(赤坂 伸一 君)
稲垣議員の一般質問に対する答弁を求めます。
市長(小川 公人 君)
稲垣議員の一般質問に順次お答えを申し上げてまいります。
まず、市民サービス水準が他市と比べて低い水準にある現状についてどう考えるか、こういうご質問でありますが、市民サービス水準を計る尺度として、市民1人当たりの金額の比較がすべてではないと、これは議員も認めておられるように、サービス水準の把握の方法は様々な手法があり、それらの分析についても多角的に検討する必要があると思います。また、サービスにも住民生活にとって必需的で基礎的なサービスから、選択的で基礎的なサービスや、それ以上のサービスなど様々に分類されると思います。
私は、したがって、一面ではこれまでの市の行政において、江別市のサービス水準が必ずしも低いものだとは思っておりません。むしろ、市民1人当たりの投入額が少ない側面があるというのは、事業運営の効率化などを図るために様々に工夫を行ってきた結果であり、地方自治体の基本である最少の経費で最大の効果を挙げてきたことの表れでもあると思っております。
かつて江別市は、昭和55年度から7年間市立病院の準用再建を経験いたしました。その際には多大な苦労を重ねながら病院の再建を達成したわけでありますが、財源の効率的執行の重要性に対する認識は、職員の中にも定着しているものと考えております。
いずれにいたしましても、とらえ方や事の適否は別に、一般的に市民サービスが住民の要求水準に合致しないほどに低い水準のものであって良いはずはありませんし、行政の基本は市民満足度の確保にあります。今後の行政運営や政策選択におきましては、市民生活環境意識調査や地域担当職員制度などを活用しながら、幅広く市民の皆さんの声を吸収しつつ、本当に求められるサービスは何なのかを見極め、高品質のサービスを生産し供給するため、市民はじめ様々な団体、企業とともに、協働のまちづくりを進めてまいりたいと考えております。
次に、当市の歳入構造が他都市と比べてぜい弱な状況をどのように認識しているかと、こういうご質問でありますが、市の財政構造を概観した場合、自主財源である市税収入が他市と比べて比較的少なく、国からの地方交付税に依存している割合が大きいことから、国の財政運営の影響を受けやすい体質であり、このことが当市の大きな課題であると認識いたしております。その理由は、財源の潤沢さが政策選択の自由度を担保する側面があることと、国の財政構造改革に伴い、地方交付税制度にも一定の制度改正が避けられないことによるものであります。
そこで問題になるのは、自主・自立の行政運営を確保するためには、地方交付税等の依存財源が縮小した場合への対応をどのように行っておくかということでありますが、その基本は歳入面での市税収入をはじめとする自主財源のかん養と、歳出においては無駄のない行政運営とサービスの効率化に努め、施策の選択において最適化を目指す効率的な行政執行が必要であると考えております。
そうした観点から、前者におきましては既に行っております企業誘致の促進や商業活性化などの経済振興策をさらに強化することが重要であり、後者においては、新年度予算においてご審議をお願いしておりますが、外部の専門機関による行政診断の実施などをはじめとした行政改革の一層の推進を行ってまいりたい、このように考えているところであります。
続きまして、市税収入が他都市と比べて低い要因と、今後の見通しはどうかと、こういうことについてお答えを申し上げます。
まず、要因に関してでありますが、それは江別市が大都市札幌に隣接したベッドタウンとして発展してきた経過にあるかと思います。すなわち、居住する場所を求めて壮年層が増加し、宅地が広がり、家屋が建設され、それらに連れて商業施設等が整備されてきたというのが当市の歴史的経過であったわけであります。こうした背景から、市民の平均年齢が比較的若い段階においては、市民税や固定資産税を中心に、市税に対してはそれなりの効果が上がっておりました。
しかし、近年においては市民の年齢も上昇し、新築家屋数も景気低迷の影響などから伸び悩んでおり、従前とは税収面での環境が異なってまいりました。少子高齢化の進行がもたらす社会の変化として、社会保障を中心とした財政需要が増加する一方、その人口構成の変化が住民税などの税収に大きな影響を与えるものと考えております。
また、日本経済そのものが、これまでの成長率を維持していくことが困難になっており、ゼロ成長をも想定した行財政運営をしていかなければならないと考えております。こうしたことから、従来とは異なる発想でのまちづくりが必要であり、人口や家屋などについても量的拡大を求めるばかりではなく、まちづくりにおいても質的向上を図るべき転換点に至っていると認識をいたしているところであります。
続きまして、市税収入が伸びないのは施策展開の結果である、これに対する市長の考えはどうかと、こういうものでありますけれども、現在の江別市は、長年にわたる数多くの先達と市民の皆さんの力によって発展し今日を迎えてきたものであります。その意味では、短期間に出来上がったものではありません。
私はさきにご答弁申し上げたような認識を踏まえて、就任以来行財政運営の効率化や自主財源の強化に努力を注いでまいりました。今後も市民ニーズに的確にこたえ得る行政を進めるためには、そうした努力を欠かすわけにはまいりません。これからもさらに若い人々が住みたくなるようなまちづくりや、交流人口、訪問人口が増大するような施策の展開をしてまいりたいと認識いたしておるところであります。
次に、財政状況の現状と他都市と比べた場合の認識についてであります。
まず、当市の財政状況に関しては、交付税等の依存財源の割合が大きいだけにぜい弱な面があるとともに、高齢化の進行などから扶助費が大幅に増大しているほか、行政サービスを提供するための施設建設や情報化基盤整備などによる経費の増嵩が目立っております。
また、一方では、新ごみ処理施設の建設や江別の顔づくり事業を控えていることにより、市債残高の増加には十分留意をする必要があることから、現在は、今後の行財政運営における一つの節目に立っていると認識しているところであります。
続きまして、中期財政計画と13年度予算との関連についてでありますが、まず、中期財政計画につきましては、12月定例会における稲垣議員の一般質問にお答えしておりますが、3月中に平成14年から平成16年度までの中期財政見通しとして、その詳細につきまして所管の委員会を通じ、議会にご報告させていただきたいと考えております。この見通しにつきましては、現行制度を前提とし、当市の市税の伸び等を1.5%程度と仮定し、ごみ処理施設など既に計画されている継続事業等を踏まえて推計を行った場合、基金繰入れなどの補てん措置を行わなければ、15年度や16年度には10億円前後の収支ギャップが想定されます。
そうしたことから、このような状況を回避し、適切な行財政運営を行うためには、歳出面では行政改革の断固たる推進が不可欠でありますので、平成13年度予算においては一定の臨時及び経常経費に関して5%の削減を行うとともに、限られた財源をより重要性の高い施策へシフトするため、幾つかの事業について見直しをさせていただいているところであります。
なお、組織や財政などに関する本格的な見直しに関しては、さきにお話しいたしましたように、13年度において、外部機関により行政診断の結果を踏まえて新たな対応を行う考えであるとともに、将来的な財源不足に対応するため、基金への積み立てを増額して行ったところであります。
いずれにいたしましても、財政の健全性確保は行政運営の基本であります。バランスシートや行政評価システムなど様々なツールを活用する中で、政策の優先順位を長期的展望の中から厳密に測定し、市民の皆さんの負託にこたえたまちづくりに努めてまいりたいと考えております。
次に、行政改革大綱の見直し及び地域情報化計画の実施計画についてでありますが、行政改革につきましては、昨年の6月定例会におきまして議員よりご質問をいただき、「行政改革は避けて通れない。意欲を持って取り組む考えである」とご答弁を申し上げたところであります。
21世紀を迎え、これからの時代の潮流として様々な分野における構造的変化への対応が必要であります。時代の大きな変革期にあって、地域経営にとって厳しい時代の始まりでもあり、そうした中で、自治体を取り巻く環境は地方分権の推進をはじめとして少子高齢化など複雑かつ多様化しており、新たな行政需要、行政課題の中で行財政改革を推進することは最も重要なことと認識いたしております。
また、12年12月の閣議決定の行政改革大綱や公務員制度改革の論議を踏まえる中で、特に平成13年度は今後の行財政制度を見極める大事な年と考え、次の時代に展望を開く施策の一つとして行政診断を行うべく予算を計上したところであります。
この内容といたしましては、先ほどの稗田議員のご質問にもお答えをいたしましたが、外部の専門家の視点を取り入れ、地方分権時代にふさわしい組織機構、定数、行財政運営など、各分野にわたり具体的な数値目標を立て、達成度を把握するなど、現在進めております行政改革大綱の見直しに反映させてまいりたいと考えております。
次に、地域情報化についてでありますが、近年、国のIT政策が急激に進展していることから、当市における現在までの情報化は十分とは言えない状況にあると認識いたしているところであり、ご指摘の、地域情報化の推進につきましても、地域経営にとって避けて通ることのできないものであると考えております。
地域情報化につきましては、昨年の9月定例会におきまして議員からご質問ございましたが、同時期に国の補正予算で有利な補助制度ができるとの情報があり、このたびの3月補正予算及び平成13年度予算での継続事業で公共施設、学校等を含めたイントラネットによる全庁LANの整備を行おうとすることに至ったものであります。
議員のご質問の趣旨につきましては理解をいたしているものでありますが、12、13年度で、まずハード面での一定の基盤整備を行いつつ、また一方で、現在、このイントラネット基盤を利用した地域情報化の進め方について、庁内20名のプロジェクトチームにより、市民への行政情報の提供拡大等ソフト面における市民サービスの向上と、そのルールづくり等について、本年9月末を目途に検討を進めておりまして、これに合わせて地域情報化実施計画につきましても策定してまいりたいと考えておりますので、そのようにご理解をいただきたいと存じます。
次に、産業廃棄物処理施設についてお答えを申し上げます。
まず1点目の被害、影響をどのように把握してきたかについてでありますが、ご承知のとおり、産業廃棄物処理施設については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に規定する施設で、基本的に都道府県知事の許可、指導権限により操業をしているものであります。当然ながら、法に基づく維持管理に関する計画により定められた方法で適正に処理されなければ様々な問題が起こることとなり、地域住民の生活環境に大きな影響をもたらすことから、市としても公害防止条例や公害防止協定に基づき、定期的な巡回指導や排ガス等の測定を行ってきており、また、住民などからの苦情や通報があった場合も同様に立入調査をし、状況を把握、必要に応じて指導や注意を喚起してきたところであります。
さらに、改善が進まない場合は適宜指導権限を有する道に通報することになり、今回問題化した産業廃棄物処理施設に関しては、通常の巡回のほかに、過去2回住民からの苦情による立入検査を行い、悪臭、ばい煙について指導した経過があります。しかしながら、こうしたこととは別に、施設の新設移転計画が明らかになったことを契機に、当該処理施設に対する苦情、批判が多く出てきたことも事実で、地域住民には積年の忍耐があったことについて重く受け止め、市行政といたしましても、直ちに石狩支庁に申し入れるなど対応してまいりました。
このことは、道による2月8日の当該施設への使用停止の指導の際に付された改善項目にも反映しているものと認識しているところであります。今後、石狩支庁とも連携を強める中で指導を徹底してまいりたいと考えております。
次に、地域住民への対応の在り方についてでありますが、当該焼却施設の移転計画を契機に、関係住民の方々からは同意、条件付き同意、あるいは反対といった様々な意見や苦情が市に寄せられてまいりました。その対応の中で、地域住民の方々に不信感を与えたということであれば大変遺憾であり、今後なお一層、慎重かつ冷静な対応に努めるよう徹底してまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、協定書の提示についてのご質問でありますが、当該事業者との協定につきましては2月20日の稲垣議員からの申し入れに対し、議員の活動に資するため、情報の提供として現行の効力を有する協定書本文をご提供申し上げたところであります。
その後、2月21日に旧協定書の提供申し入れがございました。今回の産業廃棄物処理施設のダイオキシン問題に関して、所管委員会へ協定締結の経緯及び協定内容についての詳細な報告を既に予定していたことや、本協定の性格として、相手事業者との任意の取り決めであること等から、相手方とも一定の協議が必要との判断から、直ちにご提供申し上げることについてはお断りを申し上げた経過がございました。
その後2月22日に、情報公開条例の手続により請求がございましたので、関係者の了承をいただき、現在、内部手続を了し、いつでも手交させていただく段階にありますことをご理解賜りたいと存じます。
次に、当該施設が工業団地に立地している現状をどのように考えるかと、こういうご質問でありますが、本来、工業地区整備、特に製造系を中心とする地域については業種の住み分け区分が必要と考えております。しかし、造成当時の時代的背景や社会的熟成度から、業種等の十分な住み分けはできなかったため、業種が混在立地している現状にあり、このことにつきましては非常に苦慮しているところでもあります。
企業誘致、工業地域整備に当たっては、工業地域内環境づくりについて、施設の日常の維持管理の徹底と環境問題の重要性に配慮し、必要に応じて維持管理の徹底について個別に強い要請を行ってきたところであります。今後におきましても、最大限、業種住み分けの整備、誘致方針を明確にしながら事業展開を図っていくとともに、新たな工業地域整備の際には、地域の環境に十分配慮し、業種の住み分け等々戦略的な取り組みを行ってまいりたいと考えております。
次に、当該焼却施設の移転建設計画でありますが、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の規定に基づく許可権限者である知事に、本申請前の事前協議の段階にあり、石狩支庁が事前協議書の内容を審査中とのことであります。
産業廃棄物処理施設につきましては、広域的かつ適正処理が不可欠でありますことから知事の許可権限とされているものの、市といたしましても直接的に市民の生活環境や公害防止、環境保全にかかわることでありますので、道の指導指針による周辺住民の同意は重く受け止めるとともに、最終的に議会や審議会のご意見をいただいた上で、許可権限者である知事の方針なども踏まえ、市としての意見書を提出することとなろうかと思います。
現時点では、石狩支庁から事前協議過程での市に意見を求める段階にはないと伺っておりますが、何よりもさきのダイオキシン問題については、市といたしましても極めて遺憾なことと認識いたしております。したがいまして、移転計画以前の当面する課題として、事態の原因究明と改善策を明らかにし、住民の信頼を回復することが優先的課題であり、事業者としての責務でもあると考えております。市といたしましても、このことについて既に当該事業者に申し入れ、今後も慎重に道と連携を図りながら、必要な指導を継続してまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
このほかのご質問につきましては総務部長からご答弁を申し上げます。
総務部長(小玉 隆 君)
私から入札制度についてのご答弁を申し上げます。
ご承知のように、現在の経済情勢からいたしますと、中小企業を取り巻く環境は非常に厳しく、国家予算にいたしましても規模拡大の時代は終わって、質的向上へ向けた転換の時代を迎えております。取り分け公共事業は当市においても同じ状況で、地元企業にとってますます厳しい状況になるものと考えております。現在まで、より競争性が働く入札方式といたしまして、条件付き一般競争入札、あるいは公募型指名競争入札の実施を行ってまいりました。
ご質問にありますように、横須賀市におきましては、平成10年度より工事受注希望型指名競争入札を取り入れ、平成11年度におきましては、平均落札率が85%台に下がったとのことでございます。横須賀市の発注の基本的な考え方といたしましては、市内業者への発注を優先し、また、格付けを廃止し、条件の中に、参加業者を30社ないし100社程度の枠になるよう経営事項審査の総合評定を設定しているとのことでございます。
ご質問の内容の入札方式を当市の現状に置き換えてみますとき、札幌圏における業者数、あるいは業者の技術力、あるいは契約等に係ります執行体制の課題、こういうものが検討すべき点があるものと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、横須賀市の入札制度の改善策を参考にするとともに、現在行われております北海道、あるいは札幌市が行っております入札制度の改善効果などの検証、さらには、昨日の森好議員にお答えいたしました適正化指針の検討など、より競争性が働く入札制度の改善に向けて工事等契約システム検討委員会において研究させてまいりたいと、このように考えております。
以上でございます。
議長(赤坂伸一君)
一般質問の途中でありますが、昼食のため暫時休憩いたします。
午後0時08分 休憩
午後1時29分 再開