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平成12年第4回江別市議会会議録(第3号)平成12年12月13日 6ページ

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年1月30日更新

6 議事次第の続き

一般質問の続き

副議長(川村 恒宏 君)

 休憩前に引き続き会議を開きます。
 一般質問を続行いたします。
 春日議員の農業についてほか4件についての質問を許します。通告時間30分。

春日 基 君

 議長より許可が出ましたので、通告順に従い質問させていただきます。
 遅い雪解けの春、猛暑の夏、一転して秋口は大雨、そして一喜一憂させた田畑はすっかり雪に覆われております。農家は今、1年の精算と来年に向けての営農計画樹立に頭を悩ませております。
 今年の農作物の作況でありますが、小麦は久しぶりの豊作を期待していましたが、収穫期直前の大雨で穂発芽が発生し品質が低下。稲作も夏の好天で近年にない大豊作を予感していましたが、これまた期待外れの平年作。加えて30年前の水準という米価の下落。小豆も湿害による被害で収量減。野菜も高温による品質の低下と、輸入農産物との競合や産地間競争に加えて消費減による価格の低迷。今年の江別の農業は、天候、国際化、消費者ニーズなどあらゆる要因の中で、どの作目を見ても厳しい現実であったと言えるでしょう。江別市農協の10月末決算では、農産物取扱高は計画対比63%、多少の増減が見込まれるにしても、3割減は揺るがない状況であります。これは取りも直さず、農家の収入が3割の減収であったことが裏付けられます。
 確かに、厳しいのは商工業界をはじめすべての業界が不況の荒波にさらされているのは言うまでもありません。しかし、持論ではありますが、農業は命の源である食糧の生産、国土の保全、人々の心のよりどころといった人間が生きることのあらゆる根源であります。平たく言えば、農業なくして人間は生きていけないし、農業なくして商工業もあり得ないということであります。大きく言わせてもらうと、農業は万人のテーマと言えるでしょう。21世紀を目前にした今、日本の、北海道の、そして江別の農業は存亡の危機にあると言っても過言ではありません。そんなことから、私の職業そして所管ではありますが、大綱の範ちゅうで何点か質問をいたします。
 江別市は都市近郊型農業を目指し、水田、畑作、そ菜、畜産、酪農といった複合的な経営形態を推奨してきました。しかしながら、今年のような結果になったわけであります。市長はこのような現実に直面している農業に対し、どのような見解をお持ちなのか、まずお伺いいたします。
 次に、農協合併に伴う江別市の対応について伺います。
 先般11月9日に、江別市農協、野幌農協がそれぞれ臨時総会を開き、恵庭、千歳、北広島農協との合併を決議し、新農協道央農協が出発することになりました。これは厳しい農業情勢に対し、農業者が生き残りをかけての勇気ある決断であります。これまで江別市農業振興は、江別市農協と野幌農協との二つの農協を通じて独自に行ってきたわけですが、これからは4市にまたがった行政区の中で、対応する農協組織が大きく変化するわけであります。市長としてどのようなスタンスを持ち、江別市の農業行政を展開していこうとするのか、お伺いいたします。このことは、環境経済常任委員会において経済部長よりご答弁をいただきました。しかし、将来の江別農業を展望する非常に大きな事柄でありますので、今一度、市長の口からご答弁をお願いいたします。
 次に、農地流動化についてであります。
 農協合併に伴い、農地の流動化の問題がますます顕在化してくると思われます。なぜ流動化が進まないのか、現状認識のために申し上げておきます。農地はあくまで生産手段であります。しかし、農家経済の困窮の原因のほとんどは農地購入資金の償還であります。農地を借りた場合と取得した場合では、課税が全く違ってくるのです。つまり農地の賃借料は経費となりますが、農地の購入は財産の取得となり、当然償還元金は経費に落ちず、懐は赤字でありながら帳簿上の黒字が発生し、課税の対象となってきます。いわば黒字倒産の構図であります。確かに償還していけば土地は自分のものになりますが、それは財産として魅力があり、農地が潤沢に流動できる場合です。単年度決算に四苦八苦している農家経済では、経費となるかならないかは大きな問題であります。それゆえ、農地は買うより借りた方が良いという論理になるわけです。
 一方、やむなく離農する場合は、借金の精算には農地の売却をしなければならない。つまり、売りたい人はいるが買える人がいない。ここに農地の硬直が生まれるわけであります。その対策として、道そして関係機関が出資した財団法人北海道農業開発公社が、農地を中間保有し貸し出すという制度があるわけです。しかし、これはあくまで買い受けの約束が前提であり、農地を持つことのリスクを考え、手を挙げる農家は非常に少ないわけであります。
 この難題は江別市のみの現象ではなく、今や社会問題としてほとんどの農協の課題となっているようであります。この切羽詰まった状況の中、江別市農協では、引き受け手のない農地の受け皿として、また農地担い手のモデルとなるべく、農協と農協役員で出資し、農業生産法人サンファームを設立し、対応に当たったわけであります。今年度は農地の借上料金を公社に支払うという形の中で、地域の協力の上、何とか黒字を出すことができました。これが現実農地を購入するということになりますと、地代の償還と税金が重くのしかかり、非常に厳しい経営となることは明らかであります。また、構成員の年齢など将来を見通したときに、相当の行政的なてこ入れがなければ、決して展望の開ける状況ではありません。
 他市において、行政と農協とで農地を中間保有する機関を設立し、担い手に貸し出すといった考えが模索されているようであります。江別市も、そのような施策の検討と同時に、サンファームのような先駆的な法人に対し、支援の必要性があると思われますが、いかがでしょうか。
 加えて、農地流動化促進対策については、江別市農業委員会が市に対する要望事項としても挙げられております。そこでどのような検討がなされたのか、またどのような形で検討していこうとしているのか、質問をいたします。
 次に、有機認証制度についてお伺いいたします。
 循環型社会構築には、有機農業が必須条件となります。それがまた安心・安全な農産物を望む消費者ニーズでもあります。これまでは生産者と消費者との信頼関係の中で、有機栽培農産物また無農薬栽培農産物として市場に出回り、商品となっていました。しかし、今年6月、改正JAS法で有機認証制度が施行され、登録、申請、検査には多くの料金と労力が必要になってまいります。この制度の理念は、あくまで有機農産物の商品として統一を図るのが目的であり、地域の特性や完全無農薬といったそういったシステムであります。つまり、先駆的に有機栽培をやっていた生産者にとっては、何の意味もないわけであります。ただ多大な負担負荷になるわけであります。せっかく安全・安心にこだわり循環型社会構築に貢献した有機栽培農家も、この負担に耐えられず、慣行農法に戻ることも予測されます。循環型社会を目指す江別市においては、この現状を踏まえ支援を考えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、都市計画マスタープランについてであります。
 江別市の都市計画は、都市計画法や農地法など関連法律のほか上位関連計画、つまり全国総合開発計画、北海道総合開発計画、北海道長期総合計画、札幌ふるさと市町村圏計画といった国・道レベルの上位計画の中に江別市の関連計画、つまり江別市新総合計画、市街化区域及び市街化調整区域の整備、開発又は保全の方針、札幌圏広域都市計画区域市街地整備基本計画といった様々な法律、計画のほか、農・商・工業の振興、防災、環境、教育、文化といった指針・方針によって成り立っているわけであります。これら法律や計画は、また指針・方針は時としてかせとなり、ある意味では地域の独自性の創出や活性化のハードルになっているように思います。
 総務文教常任委員会に報告された内容に、計画作りの方法として、市町村がその創意工夫の下に、住民の意見を反映させて、将来の都市像や地域別の都市計画の方針を、関連計画との整合を図りつつ、きめ細かく総合的に定めるとあります。つまりまちづくりの理念・理想がここ都市計画マスタープランに盛り込まれるわけであります。それは取りも直さず、市長としてのまちづくりの理念・理想が策定の原点であろうと思います。
 改めてお聞きいたします。小川市長として、この江別、このまちをどのようにしたいのか、まちづくりの理念・理想をそして考え方。加えてこの計画が江別市新総合計画との関連、また策定の手順、手法などをまず質問をいたします。
 さて、都市計画は市街化区域と市街化調整区域に大別されるわけでありますが、市街化調整区域は圧倒的に農地であります。農業地帯は都市ではない。いかにも当然のことであり、だれしもが既成の事実として受け入れてきました。それは農地は都市の調整区域であり、裏返して考えれば、都市のために農地があるということであります。例えば、八幡に新廃棄物処理施設を建設する。なぜあそこなのかという議論は別にして、都市施設だから農地を転用する、こういった議論はあり得るが、都市施設を逆に農地に転用するといった議論は皆無と言って良いと思います。
 今、江別市が都市として利用しているのは、昔は原始の森であり、そして屯田兵が切り開いた農地であります。それが自然発生的若しくは政治的な背景をもって市街化となっています。村から町そして市というように、地域の発展イコール人口の増加であり、それを望み、それにまい進して、そしてできたまちが今の江別であります。利便とにぎわいを求めるのは当然の地域の願望であり、これは農村地帯とて同じ思いであります。そして、逆に現代では、都市空間に住む人は、緑豊かなゆとりある田園に住みたいというニーズがあることを確信しております。
 先般、同僚議員の立石議員の海外行政調査報告に、「欧州では、都市集中から緑とゆとりの面的広がりが都市づくりの考え方になっている」との報告がありました。私も同感であります。ここ江別は、大都市札幌に隣接しながら広く農村を抱えているわけでありますから、田園に住宅として供給できる最適地であると思うのであります。しかし、残念ながら江別市において農村は市街化調整区域であり、市街化調整区域で現下の法律でそれができるのは、優良田園住宅建設の促進法に乗るしか私の中では方法論が見当たりません。
 そこで、優良田園住宅の建設について質問をいたします。
 この法の認定基準には、(1)当該計画の内容が市町村の定める基本方針に照らして適切なものである。(2)当該住宅が、公共施設の整備状況などから見て、良好な住居環境を有する地域に建設されることとあります。もしマスタープランが認定基準に当たるとするなら、市街化調整区域の有り様をしっかりと位置付けて、時期を見失わないように計画に盛り込んでいかなくてはなりません。
 私は過去、平成12年第1回定例会において、優良田園住宅構想について質問してまいりました。答えは、「平成16年まで江別市新総合計画に基づき、江別市農業振興地域整備計画及び都市計画法における市街化区域及び市街化調整区域を基本として、土地利用を計画的に進めており、秩序ある効率的な都市経営が図られる都市づくりを進める方針です」とあります。その上で、「現在は優良田園住宅は定めない」との答えがありました。この考えは恐らく都市は都市として人口を集中させ、画一的な都市空間を建設するといった考えであり、それが秩序ある効率的なまちづくりなのでありましょう。一面はそのとおりであると私も否定はいたしません。しかし、昨今叫ばれているのは、ゆとりあるまちづくりであります。多様なライフスタイルがニーズとしてある現在、利便性を求める人にはそれを提供する。緑豊かなゆとりある田園の中で暮らしたいという人には、そのような場所を提供する。都市近郊にありそれができるまち、江別であります。
 江別市が15万人の人口を抱えようとするからには、江別市に行けばより取り見取りの住宅空間が供給されているといった、多くの選択肢を設けることこそ必要ではないでしょうか。それがひいては市のグレードアップにつながると思いますが、今後優良田園住宅を促進する法の説明会、懇談会や勉強会を検討して、可能性の検討を願いたいと思いますが、ご見解をお願いいたします。
 関連して、江北地区の振興についてお伺いいたします。
 私がこの地区住民で、地域誘導とか地域エゴと思われそうですが、それぞれの議員が江別、野幌、大麻の課題を語るように、市民の課題であることをご理解いただきたいと思います。
 私は、よくまちへ行くという言葉を使います。元来、まちは商品が集められ、方々の農村から生活物資を買いに来る所でした。つまり農村があったからこそまちが形成されてきたわけであります。農村があって都市がある、この原点は今も変わらないと思います。
 そんなことを念頭に、この企画部政策室都市計画課提出の都市計画マスタープラン策定に伴う都市現況調査報告書には、江北地区という言葉はどこを探しても出てきませんでした。これは恐らく江北地区は江別地区の中に含まれ、農業振興地域として都市計画プランの中から外されているものだろうと思います。江北地区に住む者として疎外感を感じ得ません。今後、どのような視点でこれらの農村、豊幌、東野幌、江北など地帯がありますけれども、それらの市街化調整区域を位置付けられていこうとするのか、お伺いいたします。
 さて、江北地区はご承知のとおり石狩川に挟まれ、江別市の面積の約3分の1を占めているところであります。現在、千歳川合流点対策や新廃棄物処理施設といった大きな課題で、このところ注目を浴びているところでもあります。また、前段の農業情勢の中で、少子高齢化、離農で、過疎による地域コミュニティの崩壊の危機に直面しているところです。それゆえ活性化が切望されているところであります。しかし一方では、都市計画の市街化調整区域の中にあり、人口の張り付きが困難な地帯であります。地域の住民は合流点対策で新水路の下になるのではないか、待望の新たな都市施設が来たと思えば、それはごみ処理施設。ますます地域の魅力を失うのではないかと不安の中に追い込まれております。
 千歳川合流点対策案には、江別市として、今後のまちづくりに大きな影響を与えることを理由に、反対の表明をしておりますが、その渦中にある江北地区においては、不安といった影響が既に出ているわけであります。この不安をふっしょくしなければ真の地域振興はあり得ないのです。そのためには、江北活性化計画の実現は急務であると思いますが、着手の時期など、加えて新規廃棄物処理施設に伴う地域環境整備について、市長の考え方をお伺いいたします。これは経済部、市民部、そして全庁的な課題であろうと思いますので、よろしくお願いいたします。
 視点を変えて、次に芸術作品の招へい事業についてお伺いいたします。
 過去、市民会館の建設当時は文化団体の数も少なく、優れた芸術鑑賞の機会に恵まれなかった時代には、自主文化事業をはじめとした官費による招へい事業は、市民に優れた芸術鑑賞の場として大きな意義がありました。しかし現在では、教育委員会文化課での招へい、生涯学習推進協議会での招へい、芸術祭実行委員会での招へい、ほかに民間サイドで江別演劇鑑賞会の例会、NPO法人楽友協会による事業、また単発でそれぞれ見る会が設立されての上演があります。
 確かに高い芸術に触れる機会が充実していることは喜ばしい限りですが、それぞれ観客に足を運んでいただかなければ意味がないわけであります。つまり観客の動員です。現在、これらのイベントのほかに、やきもの市や北海鳴子祭りなど市民レベルのイベントも加わり、観客の争奪が激化しているのが現状であります。確かに、招へいはそれぞれ目的を持ち事業を行っているのは理解できますが、それぞれが公費の単年度予算範囲内で呼ぶという限定から、どうしてもビッグイベントにはなり得ない。すなわち市民にとっては同じようなイベントが続き、足が鈍っているのが現実ではないかと思うのであります。
 ここに行政の縦割りの弊害と、単年度主義の予算執行の在り方に疑問を感じるわけであります。私は決して文化予算の削減を求めているのではありません。一方では、文化協会をはじめとする地元の文化団体では、補助金のアップや支援を求めてやまないわけであります。ここで招へい事業を統合し、年度を越えての積み立てによっての事業計画を認めるようなシステム作りを考える必要があると思います。例えば、民間活力を誘導するような法人組織の育成や、文化財団的な文化予算の受け皿として組織を設置するなど、検討すべきではないでしょうか。それが現在のニーズに合った文化振興だと思うのです。いかがでしょうか。
 次に、高齢者の一人暮らしの対応についてお伺いいたします。
 江別市において、高齢者の一人暮らしに対し、福祉除雪や緊急通報システムなど、十分不十分は別として、様々な対策を検討し実行しているわけであります。当然のことだろうと思います。しかし、これは高齢者が動けなくなったときの対策、医学で言えば治療であります。肝要なのは、いつも元気なお年寄りです。つまり予防の医学を考えるべきだと思います。
 例えば、一人暮らしのお年寄りにとって、ペットや植物は動く動機、つまり良い運動として健康管理に、また孤独感をいやす話し相手として、そして植物を育てるといった生きがいづくりに大きな役割を果たしていると思います。しかし、飼うことによって家を空けられないという反面を持っているわけであります。預けられる人が近くにいればそれでよろしいのですが、いない人は、もし突然の入院とでもなった場合、残されたペットや植物が心配で治療に専念できないとか、たとえ気分転換に旅行に行っても十分楽しめない。そんなことから、ペットや植物を持つことをちゅうちょしているとも考えられます。行政として、安心してペットや植木の持てる環境づくりや、預け先の情報提供を考えることが必要だと思います。これは提言としておきます。
 もっと大切なことは、独居老人がいない社会形成ではないかと思います。独居老人に至るまでの経緯はそれぞれだろうと思いますが、住まいの構造など、親と一緒に住める住環境を整備するような、ハードとしての対策を考えるべきだと思います。そしてもっと踏み込むと、究極の問題は、お年寄りと住みたいという思いの形成だと思います。お年寄りが必要とされる家族関係、社会を作り上げることだと思います。
 21世紀に向かい、行政として治療といった観点から、つまり独居老人をどうするかではなく、どうしたら独居老人を作らないかといった発想にシフトしていくべきだと思います。これは当然社会福祉、老人福祉の分野でありますけれども、学校教育であり生涯教育の課題でもあろうと思います。見解をお伺いいたします。
 時は21世紀まで今日を入れて19日、経済成長をしていく価値観から、人が生きるためにはどうあるべきかという価値観に変わりつつあります。つまり物から心への時代の到来であります。そのためには、食料、住まい、文化、そして家族の在り方が何より問われてまいります。そんな思いから質問させていただきました。よろしくご答弁をお願いいたします。これで第1回目の質問とさせていただきます。

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