平成12年第1回江別市議会会議録(第3号)平成12年3月8日 7ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
議長(赤坂伸一君)
以上をもって矢澤議員の一般質問を終結いたします。
一般質問を続行いたします。
稲垣議員の予算編成についてほか4件についての質問を許します。通告時間30分。
稲垣良平君
議長から許可をいただきましたので、通告に従いまして順次質問させていただきます。
まずは、多難な中で12年度の予算を編成を終えられた市長及び関係の皆さんに、ご苦労さまでしたと申し上げたいと存じます。
さて、その予算なんですが、予算の発案権は地方自治法第149条により、市長に専属する極めて大きく重要な権限である一方、地域社会経済の将来に直接影響を及ぼすことから、極めて重い責任が付帯する権限でもあります。
このたび市長から提案された予算案は当然のこととして、法に規定されている予算調整の大原則、すなわち会計年度独立の原則、一会計年度における一切の収入・支出は、すべてこれを歳出・歳入に編入しなければならないとする総計予算の原則、予算公開の原則、予算事前議決の原則、これらに基づいて提案されたもののはずであります。
私は、その総計予算の原則に対する市長の考え方をお聞きしたいと思います。すなわち、私は今回提案された予算書を見て、懸案であった、今議会最大の議論の対象になると思われた一般廃棄物の中間処理施設の建設費が計上されていないことに大きな疑問を持ちました。
執行方針において市長は、「引き続き調査、議論を深めて、早い時期に改めて予算提案させていただきたいと考えております」、そう述べておられますが、そのことと予算編成の基本中の基本、大原則である総計予算の原則とどう整合性が図られているのかという疑問であります。
改めて予算提案させていただきたいということは、補正予算として提案する考えかと思います。しかし、補正予算は今議会の初日に提案され、議決された一般会計、その他会計の補正予算における補正理由が、国の第2次補正に対応するもの、事業費の確定によるもの等であったように、補正予算として提案が認められる理由は、要因が他動的なもの、精算のように結果として致し方ないもの、そういうものが原則であるはずであります。
補正予算に関して規定している法第218条が理由として想定しているのは、年度途中における災害の発生、国の政策変更、制度の改正等であります。これらは年度の当初予算が総計予算の原則に基づいて調整され、提案されることを前提にしたものであって、当然の扱いであります。そして、江別市でも、これに沿って提案、議決が行われてきているはずであります。
江別市議会において、予算特別委員会が当初予算及び改選後の最初の臨時議会に設置されて、予算審議することになっているのは、総計予算の原則に沿って提案される当初予算及び改選後に提案される政策予算を審議すれば、予算の全体を審議するに十分である、そういう認識からであるはずです。
これらのことから、重要な政策予算を当初予算とせず、補正予算として提案するということは、予算提案の大原則である総計予算の原則から外れる異常なこと、そういうふうに指摘せざるを得ないのであります。
ごみ処理にかかわるダイオキシン類発生防止等ガイドラインが示されたのは平成9年1月、江別市が一般廃棄物処理基本計画を策定したのは平成9年3月です。そして、14年12月からダイオキシンの排出規制が適用されることは、その当時から明確に示されていたことであります。当然、これらの規制要因、時間的要因を考慮して、次代を見越した合理的で、市民が納得して、関係者の合意が得られる立地場所、処理システム、処理施設の検討協議が建設費の予算化に向けて着実に行われるべきはずでありました。
しかるに、結果として、平成9年から丸3年を経過した今、当初予算として提案されず、今後の補正予算で、平成14年12月までの時間的制約要件を盾にして性急な結論を得ようとしているのではないか、そのように私には見受けられます。市民の生活に直結し、財政に大きな影響を及ぼす中間処理施設の予算を当初予算に提案しない、総計予算の原則に反する、普通ではない状態を招来していることについて、市長の考え方をお伺いいたします。
次に、中期財政計画について伺います。
提案された予算は市債の発行額が約39億円を予定されており、公債費比率は17.1%にも達する、そういう結果になっております。今後、中間処理施設建設に必要な市債の発行が加えられれば、公債費比率は一層高くなることは必至であります。経常収支比率も改善に向かっているとは言えず、財政力指数は低下する方向にあります。市長は今年度の予算編成に当たって、財政体質の健全化に意を用いたとおっしゃっておられますが、結果的には財政体質は健全化とは逆の方向に向かっております。
予算編成に当たって、経常経費の目標設定による削減を行われたとおっしゃいますが、近隣各市の予算編成の状況を見てみますと、経常経費の10%削減は当たり前であります。投資的経費にも踏み込み、公債の発行額にシーリングをかけている市さえも見られます。いずれも厳しい財政の状況と将来見通しに立って、財政改革への取り組みを強化しているのでございます。
私は昨年の第2回定例会において、今後の財政見通しについて質問いたしました。市長は、介護保険の動向、あるいは地方分権が具体化されることによって生じる我が市への影響など、歳出構造への一定の方向性が見えた段階で中期的な財政運営方針を作成したいとの考えを示されました。
提案された予算は、中期的に財政の健全性をどのように回復していくのかということについての目標を持たない、そのままで編成された予算であります。今後の江別市の財政運営に大きなきぐを持たざるを得ない、そういうふうに考えます。何としてもこのような羅針盤を持たない漂流船状態を早く脱しなければならないと強く感じております。ついては、介護保険、地方分権の行方に大方の方向性が明確になった今、中期財政計画の策定と目標達成に向けたしんしな取り組みが必要であります。
また、策定する中期財政計画は、さきの計画のように投資的経費に充当可能な財源額が幾らになるかというような視点ではなくて、公債費比率をどの程度にするのか。経常経費比率を、あるいは自主財源比率を目標としてどこに置くのか。そして、その実現に向けて、例えば政策評価のようなツールをどのように配置していくのか、併せて明確にする必要があると思います。中期財政計画の策定について、市長の考えをお伺い申し上げます。
次に、予算の大原則である総計予算の原則をおかしくしてまで補正予算として提案されようとしておられる、ごみの中間処理施設の検討手順、市民参加についてお伺いをいたします。
執行方針において市長は、市民参加のひらかれたえべつについて力強く語られました。いわく、「地域の課題を市民や企業が行政とともに考え、解決していく協働のまちづくりを実現することが必要であると思います。こうしたことから、幅広く情報を開示して、市民参加の機会をさらに進め」うんぬんであります。
この表現の中に、市民参加に対する市長の認識がよく出ていると私は思いました。揚げ足取りで言うのではございません。市民や企業が行政とともに考えうんぬんとする考えは、行政こそが中心に位置して、市民や企業に参加を求めるという認識が色濃く出ております。
私は、これは主客転倒だと思います。主権者は市民です。まちの将来を考え行動する主体者は市民であり、企業です。市民や企業がまちの将来を考え行動するために、情報が共有できるように、話し合って結論が導き出せるように、行動ができるように、その環境を作ること、コーディネートすることが、市長が、市役所が進めるべき市民参加の姿だと私は思います。
私は、ごみの中間処理施設の在り方を考えることこそ、将来の江別市の姿を市民参加で作る最もふさわしいケーススタディに成り得ると期待をいたしておりました。それは、すべての市民生活、企業活動に直接関係をする問題であり、市民が、企業がその在り方に大きな関心を寄せざるを得ない問題だからであります。しかしながら、ごみの減量化、分別の担い手である市民に立地場所、処理システムなどを議論するための情報は提供されず、市民が議論する場は用意されず、事が進められてまいりました。
私は、市民参加によって得られた結論であれば、不本意であっても致し方ない、コーディネートする力が不足していた、あきらめもつけられます。しかし、そのあきらめの前に、何としても結論に至る市民議論がなされなくてはならない、そのことが担保されなくてはならないと考えております。市長は、ごみの中間処理施設の建設計画と市民参加の在り方について、どう考えてこられたのかということをお伺いしたいと存じます。
次に、都市計画税と都市基盤の整備について伺います。
都市計画税は、都市計画事業または土地区画整理事業などに要する費用に充当するために、それらの事業によって利益を受ける都市計画区域の土地または家屋の所有者に課する目的税であります。江別市では昭和57年に条例を制定して、徴収賦課を行っております。
当市の都市計画税の徴収額は、住宅等の増加に伴って、ほぼ一貫して増加しており、市税収入に占める割合も高まって、12年度予算においては約10億4,000万円と、市税収入115億円の約1割近くを占める、都市整備を進める上で安定した重要な財源になっております。
それを財源とする都市計画費は、都市計画総務費、街路事業費、公園管理費、公園整備費、おのおのの事業として執行されておりますが、それらの事業の年度別動向を見ますと、都市計画総務費はほぼ一貫して増加し、12年度では4億3,000万円となり、都市計画費に占める割合は平成7年度の30%から12年度には約55%と特化の度合いを強めて、一般市民の生活に密着している公園管理費や公園整備費などを大きく上回るものになっております。
この大きく伸びている都市計画費、都市計画総務費4億3,000万円の主体は区画整理事業への補助であり、約67%を占めております。そして、もう一つは野幌駅周辺地区の再開発江別の顔づくり事業であります。近年、予算額が伸び続け、平成12年度には約19%に達しております。一方、例えば町名板再整備など、ごく基本的なまちづくりの事業費というものは1%にも満たない、そういう状況にあります。
土地区画整理組合への補助は人口増加を目指したものであり、その増加によって税収の増加を期待する都市の拡大再生産神話が生き、15万人都市の実現を至上命題とする考えが生き得た時代の施策であります。人口増加が伸び悩み、全国推計では2005年以降は人口の減少が予測され、また生活の質が問われる時代を迎えた現在において、このような特定の地域の開発に広く市民から徴収した都市計画税を充てることを今後とも続けることが妥当なのかどうか疑問が生じます。
そして、同時に野幌駅周辺地区の再開発です。近年、急激に予算規模を増やし、仮に描こうとしている構想を実現する事業化が進んだ場合には、必要な予算規模は現在の土地区画整理への補助金を超える水準になると予想されます。そのような野幌駅周辺地区の再開発に広く市民から徴収した都市計画税を充てることは妥当なのか、私は大きな疑問を持っております。
都市計画税は、事業によって受益する都市計画区域の土地または家屋の所有者に課する目的税でありますことから、おのずとその使途は、市民がより受益を実感できる公園整備費や公園管理費などのような事業として広く還元することが本来の姿ではないのかと私は考えますが、市長の考えをお伺いいたします。
次に、防災について伺います。
これまで多くの水害の歴史を繰り返してきた石狩川、千歳川を抱える江別市の防災の中心は水防であることは当然であります。
ところで、前段に触れました土地区画整理事業は市街地から外縁的に計画され、近年実施されている地区の多くは低地で行われております。
私は、石狩川開発建設部が河川改修の長期目標としている規模の洪水により堤防が破堤した場合の洪水はんらん状況をシミュレーションした結果として平成6年に公表した石狩川洪水はんらん危険区域図と土地区画整理事業の実施区域を照らし合わせて、驚きを持ちました。すなわち、多くの土地区画整理事業実施地区が浸水深2メートル以上になる危険性のある区域内に含まれていることを知ったからであります。
確かに基本的な治水対策として石狩川、千歳川の合流点対策の検討が始まり、一方で、当面の対策として、しゅんせつ、河道拡幅による流下能力の増大、堤防の強化、内水排水対策等が行われておりますが、その進ちょく度は低く、洪水はんらんによって低地に所在する家屋が浸水する危険性が高いことに変わりはない現状にあります。
石狩川開発建設部は、さきのシミュレーションを公表するに際して、流域の住民に洪水はんらんによって浸水の可能性のある区域とその程度を知らせて対策をしてもらう、そういうことを意図していたのであります。江別市はこの意図に対応して江別市洪水ハザードマップ作成委員会を設けて、平成8年にハザードマップ原案をまとめておりますが、なぜか公表されずに現在に至っております。
一方、千歳市、恵庭市など千歳川水系治水連絡協議会に参加する自治体は、同様に平成8年に千歳川流域洪水ハザードマップ検討委員会を組織して、さきのシミュレーションを基礎に各自治体ごとのハザードマップを検討し、平成9年に完成させております。そして、千歳市は平成10年に、そして恵庭市は平成11年に公表すると同時に、市内全戸にそれを配布しているのであります。
千歳川流域洪水ハザードマップ検討委員会で検討された資料によりますと、江別市では洪水により浸水被害を受ける可能性がある地域に住む人口は、当時の資料で約1万7,000人、全人口の15%に達する。そして、その大方が浸水深が2メートルから5メートルになる地域に住んでいるということが明確に示されています。
このような客観的な資料があるにもかかわらず、水防法に基づく江別市水防計画に指定されている低地帯浸水警戒区域は極めて限定的に指定されており、そこに住む人口は223人とされています。実態と大きくかけ離れている計画が見直しもされずに放り置かれていたと思わざるを得ません。
洪水による浸水が見込まれる、そこの地域には介護を要する老人もおられる、学校や福祉施設もある。そのような状態であればなおのこと、住む人たちが被害の可能性を知り、被害を軽減し、避けるための備えをするために、江別市は他に先んじてハザードマップなどを作成し、公表する必要があったと私は思います。
治水対策で確かに国や道にお願いすることはしなければならない。しかし、江別市としてできる、あるいはしなければならない最も基礎的な取り組みであるハザードマップの作成などを早急に作成し、公表するなど、早期に取り組むべきと私は考えます。市長の考え方をお伺いします。
次に、防災センターについてお伺いします。
さきに述べましたような基礎的な水防対策への取り組みを先送りにする一方で、大きな船のレプリカを収容し、展望タワーを備えた施設を防災センターとして建設しようとしていること、そして、その立地場所は、さきの洪水はんらん危険区域図でシミュレーションされた結果では、洪水はんらん時に道路が途絶する可能性のある場所、すなわち、本来の防災機能を発揮するための適地ではないこと、さらには多額の財政投資を要することから、この建設計画には大きな疑問が寄せられている状況にあると思います。
私は、防災に取り組む順番を間違えているのではないかと思います。このような中で防災センター建設を進めようとなさる市長の考えをお伺いいたします。
以上で第1回目の質問とさせていただきます。