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平成12年第1回江別市議会会議録(第2号)平成12年3月7日 7ページ

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年1月30日更新

6 議事次第の続き

一般質問の続き

議長(赤坂伸一君) 

以上をもって、星昭史議員の一般質問を終結いたします。
 一般質問を続行いたします。
 春日議員の市長の政治スタンスについてほか3件についての質問を許します。通告時間30分。

春日基君

 ただいま議長より発言の許可をいただきましたので、通告順に従い一般質問をさせていただきます。
 平成11年度の第1回定例会において、予算編成に当たって市長は「地域バランスへのチャレンジについて申し上げます。私は、市民一人ひとりがそれぞれの住む地域特性や伝統などを暮らしの中に生かしながら、絵になるえべつを演出し、都市的利便性を等しく享受することのできるような生活基盤整備を進めてまいりたいと考えております」、このように発言されております。
あれから1年。江別をキャンバスに絵筆を握った市長、絵になるえべつの完成度はどの程度なのでしょうか。絵を描こうとするからには、相当のこだわりを持っているものと思われます。
 これは私の持論ですが、どんな絵画にもそこに人間が描かれていなければ、作品の価値はないと思っています。例え風景画であろうと、画家の心が込められていなければ感動を得ることができません。市長は、市民の生き生きとした姿を描こうとしているものと信じます。その現れが、すべての市民が都市的利便性を等しく享受することができるような生活基盤なのでありましょう。しかし私には、農村地帯への色使いが薄いような気がしてなりません。
 そんな思いから、何点か質問させていただきます。
 市長は11年度当初、地域バランスを第一に掲げました。つまり地域のアンバランスを認めた上でのことだと思います。そしてこの発言は統一地方選挙直前のものであります。選挙公約といっても過言ではないはずです。
 比べて、12年度の予算編成の基本理念は、(1)自主・自立、地域の自己決定と自立の実現、(2)選択と集中、政策の優先順位と諸資源の集中とあります。1年前の地域バランス、そして今回の施策、優先順位と諸資源の集中、この2つの政策理念には、どこか矛盾を感じます。当然執行者である市長に、優先順位があるのは当たり前です。だからこそ選挙公約でもある地域のアンバランスの是正が、政策の優先順位第1でなければ公約違反と言えるのではないでしょうか。
 もしここで財源難を理由に地域バランスから政策転換するなりトーンダウンさせることは、アンバランスをますます拡大することであり、公平、公正、平等の行政の基本姿勢から逸脱するものではないでしょうか。インフラ整備や地域振興などを次は私たちの番と待ち望んでいたその地域への約束違反だと思うのであります。確かに公平、平等には限界があるのは私も理解いたします。問題は、市長の政治スタンスが今も公約の地域バランスに置かれているのかということです。このことについて見解をお聞かせください。
 ここで、私の感じている地域のアンバランスについて挙げたいと思います。
 最も顕著なのは農業地帯であります。狭く言えば、環境経済常任委員会や農業委員会、都市計画審議会の所管でありますが、事は総合的、横断的でありますので、すなわち市長の政治スタンスにあると思いますので、ここで大局を質問し、細部については委員会に託したいと思います。
 総面積1万8,757ヘクタール。この江別を創出し、産業を支えたのは農業であります。その江別市も今や新住民が増え、住民の構成比など、いかにも産業基盤構造が変化し、大都市札幌の衛星都市の様相を見せています。しかし原始林を含めた市街化調整区域は1万5,850ヘクタール。そのうち農地は6,671ヘクタール。比べて市街化区域は2,905ヘクタール。つまり依然圧倒的に農地であります。
 江別は、いかにも農業ではない産業基盤構造の中で、農業を基盤とする他市町村との間に格差を感じるわけであります。例えば過疎地域活性化特別措置法指定の市町村や中山間地域は、これらの地域を条件不利地域と呼ぶそうですが、様々な規制の緩和や支援策が講じられています。ここ江別市は、その恩典から外されているわけです。しかし江北地区、角山地区をはじめとして江別の農業地帯にも、小中学校の生徒数の推移が物語るような過疎の現実があるわけです。確かに大消費地札幌が近いという利点はありますが、交通機関の発達によりそれほど意味を持たなく、逆に大都市圏であるばかりの特色、条件不利も見るのです。
 現状認識のために、江別市の現在の農業地帯の課題を述べたいと思います。
 当市農業委員会が平成12年度の農業振興に関する要望書を、11月に市長に提出されております。その中で昨今の米をはじめとする農畜産物の価格の低迷、経営者の高齢化、担い手不足、農地流動化の停滞、国内外における競争激化により農家経済は危機的状況に直面し、地域経済にも影響を及ぼしていますとあります。
 これだけを見ると、そんなことは農業界の問題だ、苦しいのは農業だけではない、農業者の自助努力に任せるべきだと言われそうです。
 しかし、農産物は食糧であります。私は平成11年第2回の定例会において、新食料・農業・農村基本法の視点に立って、市長に農業を市民の食糧として位置付けているのかと質問をいたしました。市長の答えは「食は命と健康の源であるということについては言うまでもありません」とありました。私の考えと一致しているところであります。
 農業は食、つまりすべての市民の命と健康の源であるわけです。言い換えれば、農業は市民の問題とも言って良いわけです。一説には、農業後継者は医者の後継者より少ないと聞きます。この現象を冷静に見ると、命を治す者はいるが、命の源を生み出すものがいないということです。なぜ担い手がいないか。経済的にも立地的にも魅力がないからであります。農家の自助努力は当然のことながら、許認可の問題など行政の支援なくしては成し得ないことが多くあります。
 一例として、第3回定例会の星秀雄議員の一般質問の答え、すなわち農業農村整備事業の地元負担金の軽減を近隣市町村並みにという要望に対し、基幹産業が純農村地域の近隣市町村と、都市基盤構造が違う当市とは一概に比較できないとありました。しかし、江別市の農業も近隣市町村の農業も、農業のコストは同じであります。近隣市町村が国・道、各種の農業振興事業に乗り農業整備を行っているのに対し、行政区域の線だけで受益者の負担が違うというのは、同じ農業者にとって不満の種になると思われるわけです。今後も江別市が農業振興地域を位置付けるからには、純農村地域の近隣市町村と歩調を合わせていくべきではないでしょうか。このことに対して市長も十分認識していただいているものと思いますが、再度市長のスタンスを確認しておきたいと思います。お答えください。
 次に、大きな課題として農地流動化の問題です。
 高齢化、そして担い手不足、江別の流動化を待つ農地は、350ヘクタールにも及んでいるようです。このままでは不耕作地が出、ひいては国土の荒廃につながり、江別市の景観、市長いわく、絵になるえべつも描けないと思います。もちろん地域の農業者、農協、当市農業振興課が、また農業委員会が、必死になって対応に追われているわけですが、残念ながら一向に解決の兆しは見えません。このままでは引受け手のない農地が増大するのは間違いないだろうと予測されております。
 解決策の方法は幾つか考えられます。まず新規就農者の誘致であります。私は都市と農村が有機的に結び付くのが、未来の地域社会のあるべき姿と思っております。そのためには農村人口を増やすことが必要不可欠であります。その方法で現下の法律でできるのは、新規就農者の導入であります。しかし、新規就農の要件は、150日以上の就農時間、耕作面積2ヘクタール以上の農地の所有が必要、施設園芸ではこの限りではありませんが、となっており、加えて専業としての営農計画が樹立されなければなりません。現在、既存の農家、つまりプロの農家ですら専業では営農計画の樹立が困難で、兼業化に拍車がかかっているのであります。新規就農はよほどの育成支援がない限り、この要件は不可能に近いと思われます。新規就農者にも兼業を認めるような要件の緩和が必要ではないかと思うわけであります。
 江別市農業振興計画にも、新規就農の受入れ体制を整備していきますとあります。若者の就農意欲を喚起するため、また第2の人生を農村で過ごしたい人のため、創作活動などこだわりを持った生き方をする人のために、加えて子供たちの食や環境教育のために、農業を開放する必要があると思われます。室蘭市では、思い切って300坪農業を認めました。また各地で市町村が主体的に取り組める優良田園住宅建設の推進の声が聞こえています。しかし、江別市は札幌圏を理由に、都市計画の観点、つまり各土地区画整理組合の分譲に影響が出ることを懸念し、規制の緩和や推進をちゅうちょしているわけです。新規就農の規制の緩和と育成支援策、また優良田園住宅の建設など農村の開放について、明確な市長の見解をお聞かせください。
 次に、農地流動化の打開策として開発行為であります。
 一つの農地が動くことにより、連鎖的に動かす方法であります。江別市は、昭和19年に行政区域全域を札幌圏都市計画区域に指定されています。それほど自由な選択が許されるとは思いません。しかし、この法には、関係市町村と都市計画地方審議会の意見を聴き知事が定めるとあります。つまり、ここで市があえて言うなら市長が、どのような意見を言うかであります。厳密に言えば、言ってきたかであります。
 このほど、建設省の都市計画法改正案が2月21日に明らかになりました。改正案の骨子は、(1)土地利用制限の緩い都市計画区域外の無秩序な開発や農地改廃を防止する準都市計画区域の創設、(2)地方分権の観点から、都計区域の線引きの選択制など自治体が柔軟に土地利用できる制度作り、(3)市街地の高度利用の促進とあります。(1)は、無秩序な開発は食い止めなければならないのは当然であります。ここで問題にしたいのは、(2)であります。線引きの選択制など自治体が柔軟に土地利用できる制度作りとあります。現在、白地地区はほとんどが農地として利用されております。手始めとして、農業関連の開発行為で農地の流動化を図るのも有効策の一つと思われます。
 当市農業委員会では、国・道に関する要望事項に、市街化調整区域内における開発行為許可基準の緩和を求めております。農業委員会の要望、そして江別市の都市計画、この二つをどのように関連付け政策を展開していこうとしているのか見解をいただきたいと思います。
 さて、新規就農の導入、また農地の開発行為、この二つの方法は農地流動化の積極的な考え方であります。今一つの考えとして、保管管理を共同作業や農業法人によって、既存の農家が遊休農地を守るやり方です。この方法は、現在各地で次世代の農業の在り方として模索されています。ただし、この考え方は選択肢ではなく、いやおうのない方向なのであります。ともすれば共倒れも考えられます。まして構成員の新陳代謝がなければ展望はありません。いかにして農村からの人口流出を防ぐかが課題となるわけです。このためには農村も市長公約のとおり、都市的利便性を等しく享受することができるような生活基盤にし、だれもが住みたいと思う地域でなければなりません。
 ここでも、地域格差に触れなければなりません。
 農村の高齢化は、都市にも増して進んでおります。古い資料ですが、平成5年、農業基本調査調べで江別  市の農村の経営者の人口構成が出ております。29歳以下0.9%、6戸であります。30代14.4%、93人、40代 24.4%、50代29.1%、60代以上30.7%。29歳以下が6人、6戸、60代以上が199人。若者の流出は目を覆いたくなります。また、老後を考え農村を後にする人が絶えません。農業を営む人は、江別の二世、三世であります。つまり泣く泣くふるさとを後にしなければならない必要に迫られているのです。
 都市機能の中で、高齢者や障害者のバリアは段差であります。農村にはもう一つのバリアがあります。それは距離であります。路線バスは、経済効果を理由に撤退したり本数を減らしています。また利用しようにも、バス停までの距離は相当なものがあります。比較的元気な高齢者は自転車を利用していますが、風当たりの強い農村であります。歩道のない道路や橋の上は極めて危険な状態であります。
 2月23日の農業新聞に農村でバリアフリー化着々、9県11地区で実施。農村総合整備事業によって、お年寄りが暮らしやすい農村空間が生まれるきっかけになっているとあります。また農水省では農村の集落道路は車道と一緒で、お年寄りや障害者にとって歩きにくい。この事業を利用してお年寄りが暮らしやすい農村を作ってほしいとあります。
 道路整備となりますと、必ず利用率が問題となります。未整備であれば利用者が少ない。これは当然のことであります。整備することによって利用するようになる。これも当然です。先ほどから農業振興策を述べていますが、確かに人口は少なく、利用者は少ないのは現実であります。しかし裏を返せば、農村に魅力がなくなり少なくなったのであります。農村のバリアフリーの観点、そして農村の活性化のためにも、道路や橋の整備は必要不可欠であります。市長のお考えをお聞きいたします。
 次に、高齢者の足の確保であります。
 先ほど述べた理由で、農家のお年寄りは病院に通うのに大変な苦労をしているわけであります。バス路線の撤退、市の循環バスの運行は、利用率や経済効果で望みようがない、家族の者は農作業で忙しい。このような高齢者に対して、例えばタクシーの割引など助成を考えるべきではないでしょうか。これは何も農村だけとは限りません。市内の高齢者でも病院や家庭用品の店から遠方にある人々へ、市として心を配る必要があると思われますが、お答えください。
 次に、教育行政について質問いたします。
 第147通常国会の小渕首相の施政方針演説で、「輝やける未来を築くために最も重要なことは、いかにして人材を育てるかであります。教育立国を目指します」、また「学校、家庭、地域の三者の共同作業で、あしたの日本を担う人材育成に当たらなければなりません」とあります。この発言の背景には、青少年の常軌を逸した犯罪が社会問題となり、子供たちの知識と心の不均衡を意識したものと思います。今の子供たちに対する私たちほとんどの大人は、大丈夫だろうかと思っているのではないでしょうか。その大丈夫だろうかと思われる子供を育てたのも私たち大人であるのも、これまた厳粛な事実であります。
 あるテレビ番組で、子供たちに未来はどうなるかという質問をしていました。多くの子供たちが環境問題を挙げ、地球はなくなるんじゃないのと言っていました。今の子供たちは敏感に未来に対する不安を抱いているわけであります。それによって今が楽しければというせつなが生まれ、子供たちは夢の範囲をテレビゲーム、つまりバーチャルリアリティ、仮想体験の中で夢の完結をしているのではないかと思うわけであります。ここに匂いや痛み、触れると冷たい、熱いなどの感覚もありません。人の体臭もありません。私は、子供たちに本物の体験をさせるべきと思うのであります。それが子供たちの夢のキャパシティを広げることだと思うわけです。そのために学校、家庭、地域の三者の共同作業で行わなければなりません。
 文部省は、新教育課程に総合的な学習の時間を位置付けました。これは2002年までにカリキュラムを作成して、実践に移さなくてはなりません。江別市も本年度予算に、小中学校合わせて1,078万円程度の予算が組み込まれています。問題は中身であります。この総合的な学習の時間の使い方は実践的な学習が中心となっており、いわば何でもありの時間であります。自由であるということは、その学校や地域、江別市の教育の根本が問われるのだろうと思います。もちろん趣旨からして、教育委員会が押し付けになってはならないわけですが、支援や情報の提供が必要だと思います。
 そこで、私は提案したいと思います。江別市民の中で、いろいろな職種のプロがいます。またアマチュアでも卓越した指導者がいます。これらの人々に講師になってもらい、体験学習をさせるというのはいかがでしょうか。かく言う私は、小学校の田植えや稲刈り体験などの世話をしたり、中学校の劇作りにかかわったり、演劇活動などで子供たちが普段と違う空気や他人に触れることで悩んだり、疑問を感じたり、感動の涙を流したりして、新たな自分を発見するのを見ているからであります。もちろん総合的な学習の時間は、一過性の体験では意味がありません。講師の時間の確保など、ボランティアでは限界もあります。人材バンクなど情報の整備と、伴う謝礼などの確保について、考えがあればお聞かせください。
 今一つは、地元文化団体の活用であります。江別を代表する文化団体の集まり江別文化協会は、合唱、洋舞、日舞、民謡、絵画、書道、囲碁、将棋、生け花などなど、105団体が伝統や文化を実践している素晴らしい団体であります。正にここに実践的な学習の場があるはずです。しかし、残念なことに、これらの団体の悩みは、活動費の問題と、一様に若者の加入が少ないことです。市長はことさらに地域が持つ歴史や風土、文化を強調されていますが、それは実践する人がいて、そしてその継承があって初めて成り立つことです。文化協会を総合的な学習の時間に活用することと、そのための支援を考えたらいかがでしょうか。お答えください。
 当然、この機能はスポーツにも考えられます。通常の体育授業で取り上げられる種目は子供たちにとって出会うことができますが、目立たないスポーツに行政として光を当て、それを振興し、江別のスポーツとしてスペシャリストを育てていくのも一考ではないかと思います。
 これらの提案を含め、総合的な学習の時間の使い方について、どのようなことを考えておられるのか、質問をいたします。
 宇宙飛行士、毛利衛さんが、宇宙という夢を広げてくれました。これは宇宙という未知なるものへの夢であります。また、地球にはまだまだ自然が残っているとも言われております。これも新たな発見であります。私たち大人も、職業や趣味の中に、子供たちにとっては未知なるもの、また発見があるはずです。それを提供する必要、またそれができる条件整備を行政として積極的に取り組んでいただきたいと要望するものです。
 以上、地域バランス関連と総合的な学習の時間の取り扱いについて、要望を含め1回目の質問といたします。

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