平成12年第1回江別市議会会議録(第2号)平成12年3月7日 8ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
春日議員の一般質問に対する答弁を求めます。
市長(小川公人君)
春日議員の一般質問にご答弁を申し上げます。
まず、地域バランスへのチャレンジ、地域バランスについてのご質問でありますが、ご承知のとおり、江別市は都市像にもうたわれている石狩川や原始林といった水と緑を基調に歴史的発展をしてまいったところであります。またJRや国道が市域を横断する骨格的要素などから、東西に江別、野幌、大麻地区と、それぞれ市街地が形成されてきたところであります。これら各地区の連携や、それから既存市街地の充実、さらには南北への広がりなど、適切な市街地形成への誘導を図る中でその形成が進んでいるところでありますが、まちづくりに当たりましては、それぞれの地域が持つ歴史や地理的条件など、地域の特性を生かした施策の展開を行い、江別市総体としての都市構成を講ずることがバランスの取れたまちづくりになるものと、基本的にそう考えているところであります。
2期目に当たりましても、このまちづくりの基本姿勢を根幹の一つとして、その上に立って美しいえべつなど6点の基本施策に基づき、江北地区をはじめとする農村地帯は都市近郊型農業の確立という方向をしっかりと見据えながら、関係農業団体との連携を密にする中で魅力ある農業の実現を目指し施策を推進してまいりたいと考えているところであります。
また、こういったトータル的な押さえの上に立って、さらにご提起のある幾つかの農業にかかわるご質問にお答えを申し上げます。
まず、私の農業に対する思いや考えにつきましては、平成11年第2回定例会の春日議員の一般質問に対し、本市の重要な産業の一つである、そのことや、あるいは食への考え、農業が持つ多面的機能につきましてもお答えを申し上げておりまして、春日議員の考えと大きな相違はないものと、こう思っているところであります。
ただ、ご質問の中に過疎地域等の他市町村との比較で、都市近郊ゆえの条件不利ということについて触れているところでありますが、私は当市はやはり大都市札幌に隣接するメリットを最大限に活用する都市近郊型農業の施策を進めており、例えば野幌農協は花きや施設園芸、野菜振興を推し進めており、さらには労働力確保に都市部のパート労働力の活用など、都市型ゆえのメリットを十分利用いたしているところであり、今後におきましても、地理的条件や地域の特性を十分生かす施策の展開を図ってまいりたいと考えます。
次に、農業基盤等の整備や振興策については、市の振興計画や地域の要望などに基づき進めておりまして、受益者負担につきましては、さきの第3回の定例会の星秀雄議員のご質問にもお答え申し上げておりますように、市は従来から用水や排水の地元負担に対しては一定の考え方を持ってきておりまして、近隣市町村とは一概に比較できないところがあるわけであります。ただ近年パワーアップ事業、地域用水事業や市町村ガイドライン負担などの取り組みについて進めていることについても、ご理解を願いたいと存じます。
次に、新規就農者の規制緩和と育成についてでありますが、新規就農者の審査基準は、ご案内のように専業経営、従事日数、取得面積など一定の基準を定めており、平成8年度に農地の取得下限面積の一部見直しを検討いたした経緯があり、現在に至っているところであります。今般、農地取得の下限面積要件にかかわる農地法の改正が予定されており、改正後、農業委員会をはじめとして関係機関等でこのことのご論議をいただけるものと、こう考えているところであります。
育成の支援については、市を窓口として関係機関から構成されている地域担い手育成センターにおいて、就農計画、研修、資金、技術指導など相談に対応いたしており、新規就農希望者に対して、今後におきましても可能な支援をいたしてまいる考えであります。
次に、優良田園住宅制度に対します考え方でありますが、市の土地利用についての基本的な考えは、江別市新総合計画の土地利用構想に基づき、農業振興地域の整備に関する法律における江別農業振興地域整備計画及び都市計画法における市街化区域及び市街化調整区域を基本として土地利用計画を進めており、平成16年度までの計画を定めている江別市新総合計画により、秩序ある効率的な都市経営が図られる都市づくりを進める方針でありますことから、現在は優良田園住宅の建設の促進に関する法律に基づく基本方針は定めない考えであります。
それから、農村のバリアフリーについてでありますが、ご案内のように道では北海道福祉のまちづくり条例が制定され、人に優しいまちづくりの推進を図っており、市町村等も地域に即したきめ細かな福祉のまちづくりの推進の役割を担ってきております。農村部における都市基盤整備に際しましても、地域の声を十分聞く中で進めてまいる考えでありますので、ご理解を賜りたいと存じます。
それから、都市計画と土地利用についてでありますが、建設省は地方分権の流れを取り込み、市町村が地域の実情に合わせたまちづくりに取り組める仕組みを目指した都市計画法の改正案をまとめ、その概要が先日示されたところであります。今回の法改正案の柱は、一つとして線引き制度の選択制、それからもう一つは準都市計画区域の指定が主なものでありまして、線引き制度につきましては、現在三大都市圏や人口10万人以上の都市で義務付けられているところでありますが、今回の改正案では一部の都市を除き地域の実情に応じて線引きを実施するか否か、これを都道府県知事が選択できること。また準都市計画区域の指定につきましては、都市計画区域外の大型店進出などによる土地の乱開発を防止するための規制の強化策であり、行政区域全部が都市計画区域であります我が市は該当しないものであります。
以上2点が今回の主な改正案となっているわけでありますが、そこで線引き制度は市街地拡大の圧力が強い都市においては無秩序な市街化を防止し、計画的で健全な市街地を形成する上で依然有効な手法である、こういったことから、建設省では三大都市圏と政令市を含む圏域、北海道は札幌圏が該当しておりますが、引き続き線引き制度が継続される予定であります。
また、市街化調整区域内における開発行為許可基準の緩和による土地利用のご質問でありますけれども、ご承知のとおり都市計画法では、市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域であることは変わらないわけであります。しかしながら昨今、要望の多い市街化調整区域の土地利用の規制緩和要請を受けて、今回の都市計画法の改正に合わせ、市街化調整区域での開発行為許可制度におきましても、緩和の在り方などについて検討されているようでありますが、いずれにいたしましても、調整区域での土地利用につきましては、江別市新総合計画、農業振興地域整備計画などとの整合が図られることが肝要であると考えておりまして、今後具体的な運用基準などの情報収集に努めるとともに、この推移を見ながら適切に対応してまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
このほかにつきましては、助役ほかをもってご答弁申し上げます。
助役(伊東悠平君)
私の方から1点、高齢者の足の確保についてご答弁申し上げます。
高齢者の足の確保についてでございますが、ご案内のように当市におきましては、高齢者保健福祉計画に基づく高齢者の在宅福祉サービスの充実を図り、来年度からはさらに介護保険の円滑な施行のため新たな施策を実施するなど、各種の事業展開をしているところであります。
当市にとりまして何を優先させるべきかなど、総合的に判断をしながら種々の対応をしているところでございますが、現在のところご提言のございました高齢者に対しますタクシーの割引助成等の実施については、非常に難しい問題である、このように考えておりますので、ご理解を賜りたいと思います。
以上です。
教育長(齊藤清司君)
ご提言をお受けしました学校における教育指導のうち、特に今日的な課題とされております総合的な学習の時間についてご答弁を申し上げます。
ご承知のとおり、総合的な学習の時間とは、これまでとかく画一的と言われた学校の授業を地域、学校、そして子供たちの実態等に応じて、学校が創意工夫を生かして、特色ある教育活動を行う時間でありますから、国際理解や情報、環境、福祉、健康など、こういった従来の教科の枠を越えた複合的かつ総合的な課題を学習する時間であります。そしてこの学習のねらいは、従来のように一方的に知識を教え込むのではなく、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、より良く問題を解決する資質、能力を育てることに着目したものであります。
こうした生きる力の育成を目指して改訂された新しい学習指導要領を受けまして、12年度予算に小中学校合わせました予算を計上させていただいたところであります。その予算では、多様な地域ボランティアや専門家の方々のご協力に対する謝礼等も含まれております。つまり地域の経験豊富な方々にお願いをして、教育指導の充実を期そうとするものであります。この中には当然春日議員がご指摘の文化協会でありますとか、スポーツの指導者等も含まれるものと考えております。
課題は、そうした地域の幅広い人材を各学校がどのように発掘し活用するのかにあると思います。そのため教育委員会といたしましては、既に発行済みでありますが、江別市生涯学習ガイドブック、生きること学ぶこと、この小冊子を有効に活用するとともに、学校固有の人材バンクを設け活動している学校もありますが、これを市全体での学校で共有化できるような情報を提供していくことも必要であると考えております。
また、一部の学校では既に学校図書館でのボランティア活動をはじめ、地域の歴史、昔の遊びなどへの人材活用や、最近では国際理解教育における外国人講師の活躍が見られますが、特に総合的な学習の時間では地域の教材や人材活用が不可欠でありますので、ご提案の趣旨を十分踏まえ、推進、指導に努めてまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
春日基君
お答えありがとうございます。
パワーアップ事業や地域用水事業や市町村ガイドラインの生産者負担など、農業に多くの振興策を講じていただいていることや、花きや施設園芸、野菜振興にご配慮いただき、私、農業者としても感謝申し上げます。こうした施策から新たな道が開けることを期待したいと思います。
しかし、今、農業が抱える大きな問題、つまり農地流動化の停滞の根本解決には、まだまだ不十分だと思われますので、何点か要望したいと思います。
今回の私の質問は、少子高齢化や国際情勢、経済情勢、また江別市の方向性から見て、相当無理難題を迫っているという思いがありました。竹を割ったような回答は難しいと感じておりました。またある意味では農業のイメージダウン、後ろ向き発言に聞こえたかもしれません。誤解のないように言っておきますが、農業者はそれぞれ誇りを持って、必死になって、農業生産に取り組んでおります。今、江別市の農業は深刻な苦悩の中にあります。それほどせっぱ詰まっていることをご理解いただきたいと思います。私自身、ここまで言わなければならない悔しさでいっぱいであります。
私は、平成11年第2回定例会の一般質問で、農業の持つ機能は、食糧生産、国土の保全、景観の維持、そして生涯学習の面という素晴らしい機能があり、その機能維持のために行政が先頭に立って、市民とともに農業を守ろうではありませんか。そんなメッセージを込めて発言をいたしました。私は、是非多くの市民の皆さんが農業の良さにじかに触れていただきたい。それが人間の生きている本来の姿であり、命と心の癒しにつながると思ったからです。この思いは今も変わっておりません。
ただ、辺りを見渡しますと、だんだん仲間が減っていく。残った仲間も白髪が増えていく。振り返れば若者の姿はごくわずか。だんだん農地がだぶついてくる。さて、こんな広大な農地を私たちの次の世代に任せて良いものだろうか。こんな重荷を負わせて良いものだろうか。そんな純粋な不安と焦燥感から質問をさせていただきました。
また、片やでは農業、農村に価値を見出し、農村に居を構え、土いじりをしながら心や体の健康管理をしたい、子供の教育をしたい、創作活動をしたい、サイドビジネスをやりたい、そんな人がいる。つまり農業は新規参入者を求めている。片や農業に来たいと望んでいる人がいる。だれが見ても、じゃ入れてあげれば、ではないでしょうか。そんな思いから、新規就農者の規制の緩和や優良田園住宅建設の可能性を尋ねてみました。しかし現状は、農村を出るのは拒まないが、入る人に対して余りにも高いハードルがあるわけです。いやおうなく農業は、農業者だけのものになってしまっている。そんなわけであります。
江別市が都市近郊型農業を目指そうとするなら、プロの農業者もアマチュアの農業者も、ともに暮らす農村があっていいのではないでしょうか。それが正に都市近郊の最大のメリット、都市近郊型農業の理想形ではないかと思うんです。私は新規就農者の制限の緩和や優良田園住宅建設の是非、市街化区域の線引き、これは都市の論理から是非が決められているような気がしてなりません。平たく言えば、都市が必要だから農業振興地域を開発します、また都市施設を建設します。逆に言えば、都市に必要ありませんから開発はいたしませんという論理であります。
今後のまちづくりは、農業地域サイドに立った施策も実行すべきではないでしょうか。回答では、優良田園住宅建設の促進は基本方針に定めないとありました。再考を要望するのと同時に、不可能であるならば、農村人口を増やす代案を早急に対応を講じていただきたいと思うのであります。
今後、江別市の6,671ヘクタールの農地をどのようにしていくつもりなのか。また農業地帯をどのように都市空間の中に位置付けていくのか。市、生産者、農業関係者を含め、これらの課題解決に向け、横断的な検討の場が必要と思われますので、そのような検討の場の設置を要望したいと思います。また新規就農者の育成の場、農業情報提供の場、農村と市民との交流の場、市長公約の農業支援センターの着手を急ぎ、振興策に向けて優先順位を上げることを強く要望したいと思います。
特に、江別市の3分の1の面積を有する江北地区は、厳然とした農業振興地域であります。過疎の一途をたどっております。また石狩川という都市計画の線以上の大きな線は、都市施設の進出は望みようがありません。12万人都市江別から取り残されるような住民意識は、悲壮感にも似ております。それをふっしょくするために、農業活性化と同時に、地域活性化に向けた取り組みであります江北地区活性化事業の実現に向け、全力を注いでいただきたく強く要望いたします。
以上、私の質問を終わります。
議長(赤坂伸一君)
以上をもって春日議員の一般質問を終結いたします。
散会宣告
議長(赤坂伸一君)
本日の議事日程は全部終了いたしました。
これをもって散会いたします。
午後2時27分 散会