平成24年第3回江別市議会会議録(第2号)平成24年9月12日 4ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
岡英彦君
それでは、端的に質問をしていきたいと思います。
今回は大きく二点、市立病院の再建についてと集団食中毒についてお伺いいたします。
まず1点目、市立病院の再建についてでございますが、実は、私は何度か一般質問をさせていただいておりますが、市立病院についての問題を取り上げるのは、初当選の初回以来5年ぶりでございます。あえてしてこなかったという部分もあるのですけれども、今議会に提案されております平成23年度の江別市立病院の決算は平成8年度以来15年ぶりの黒字決算になったということで、平成10年に新病院となってからは初めてだと認識しており、そういった節目でもあるかなと思いまして、今回質問をさせていただきたいと思います。
平成23年度の医師数や診療収益の面を見ますと、経営危機に陥りました平成18年以前に戻りつつあるということが言えるかと思います。地域医療や自治体病院を取り巻く環境というのは非常に厳しいものがありまして、そういったことを考えると、ここまで再建してきたのは奇跡的と言ってもよい内容だと私は思っておりますし、これまでの病院の取り組みというのを大変高く評価しているところでございます。平成18年から平成19年に掛けて、私も初めての選挙だったのでよく覚えていますけれども、非常に大きく報道されました。しかし、今となっては、ここまで再建をしてきたのに、残念ながらほとんどそういったところでは取り上げられていないのが実情でございます。
ちょっと前に東京で勉強会がありまして、そこであるマスコミ関係者の方とお話をさせていただいたのですが、その方は、当時、札幌で取材をしていて、江別市立病院の話も記事にしたといったようなことをおっしゃっていたのですけれども、私が市立病院は大分再建してきましたとお話しし手も余り関心がないような状況でして、大変残念な思いをしたことがあります。もう少し我々がどういう形で病院再建に取り組んできたかといったことが注視されてもいいのではないかと思っておりますし、他の自治体病院の再建といった意味でも役立つのではないかというふうに考えております。そういった意味で、まず最初の質問といたしまして、今後の教訓にするためにも、これまでの取り組みを振り返っていただいて、ここまで江別市立病院が再建できたポイントというのをどのようにお考えになっているのかお伺いしたいと思います。
2点目としまして、私としては、病院再建のポイントの第一といたしまして、医師確保の在り方があるというふうに考えております。過去には基本的に自治体病院の医師というのは、大学病院からの派遣に全てを委ねていれば良かったのですけれども、それでは立ち行かない状況になってきたというのは、皆さんご存じのとおりかと思います。私としては、日本全体の絶対的な医師数が足りないという認識を持っておりますけれども、そういった中で、医師に選ばれる病院づくりといったものが、民間病院だけではなく、自治体病院にも必要になってきている、そういう時代になってきたということかと思います。自治体病院だとしても、あそこの病院になら行ってみたいと医師に思っていただく必要があるわけでございます。そういった意味で、この5年間、江別市立病院は、総合内科医を集める病院、総合内科医のセンター病院化ということで取り組んできたわけでございますけれども、この構想が結果として大変うまくいっているというふうに思っております。そして、ここ一、二年を見ますと、研修医、特に即戦力になり得る後期研修医が集まってきているということは、非常に病院の再建にとって良い方向だと思っております。今後も、この方向で努力していくことが大変重要だと思っておりますけれども、病院再建のポイントとして、医師を引き付ける魅力ある病院づくりのお考えについてお伺いいたします。
次に、もう一点、私が病院再建のポイントだと考えたところですけれども、市民側の医療への理解というものが挙げられると考えております。これには、我々議員なり議会側の理解というのも含まれてくると認識しております。平成18年から平成19年に掛けて、夜間診療所の移転とか外来の制限など病院のサービスとしては必ずしも向上するものではないことを病院の機能として理解して受け入れてきたといったことがあるかと思います。また、我々議員、議会側が病院に対して過大な要求をしてこなかったということも挙げられるかと思います。この5年間を見ても非常に抑制的と言いますか、無理な要求をしないといったことがあったというふうに私としては認識しております。
ちょっと前ですが、ある江別に住んでいる学生から、市立病院だからちょっと風邪を引いたぐらいでもすぐに掛かれるような体制になっていてほしいといった話を伺ったのですけれども、私は、市立病院の役割はそうではなく、普通の風邪で行くようなところはクリニックとか診療所であって、市立病院のようにある程度大きな病院というのは、入院が必要な患者さんのためにあるというようなお話をして、余りそういうようなことを考えませんでしたという話もあったり、そういった理解というのはやはり大事だなと改めて認識したところであります。
医療の資源というのは有限でありまして、国全体としてはかなりぎりぎりのラインで医療を保っている状態でございます。かつて夜間診療でコンビニ受診が増えたといったような問題がありましたけれども、今後もこういった事態は避けなくてはいけませんし、今月の広報に救急車の不適正利用の増加といった記事もございましたが、こういったところも認識を改めていくことが必要だというふうに考えております。特に、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、市立病院の機能の理解というところで、外来メインの診療所やクリニックではなく、入院を必要としている患者さん向けの病院であるということで、これも非常に厳しいところなのですけれども、療養のために長期入院をするような病院ではないといったところもやはりご理解をいただく必要があるというふうに思っております。医療を適切に、地域住民として利用できるか否かといったことも地域の病院を維持していくためには非常に重要な点だと私は思っております。そういった意味でも、これまでを振り返って、一定程度こういった市民の理解が得られたといったところが再建の大きなポイントになってきたということと、今後についてもこの市民の理解というのが大変重要だと考えますけれども、その辺をどのようにお考えなのかお答えいただきたいと思います。
次に、再建のポイントから若干外れるのですが、事務職の専門性の確保についてお話をさせていただきたいと思います。
平成18年以降、ここ5年間というのは、病院に関係する全スタッフが非常に大きな危機意識を持って対応してきたというふうに私としても見ております。結果も出てきているところでございますが、昨年度黒字決算になって、今後も今までと同じような危機感を持って対応していけるのかどうかということがこれからの課題なのではないかなと私としては考えております。
話はちょっと違いますけれども、昭和56年の水害以降、我々は大きな水害を経験していないということもあって、本当に危機のときに対応できるのかとよく言われます。恐らくあと5年もすると、病院の当時の問題というのも、そんなこともあったね程度の認識になってしまうのではないかなといった思いも持ちまして、こういうお話をさせていただいております。一般的に自治体の職員から自治体の病院へ派遣されている事務職のスタッフは、基本的に短い期間でのローテーションということになりまして、病院は非常に専門性が高い分野ですし、病院経営というのはなかなか難しいところがありまして、専門性を身に付けるのは難しいという指摘がなされております。市立病院におきましても、ここ数年の危機を経験していないような人材がこれから増えていきますと、今後も引き続き人材をうまくローテーションしていけるか否かというのが大変大きな課題ではないかなと私としては考えているところでございます。
この職員の専門性というのは、必ずしも病院に限った話でなくて、私は行政全体としての大きな課題の一つだと考えており、特に病院や健康保険分野、介護・福祉分野といった面で、専門性の高い人材の育成や、場合によっては外部人材の有効活用といったことも考えていく必要があると思いますけれども、どのようにお考えかお答えいただきたいと思います。
では、次に、2点目の集団食中毒について質問をいたします。
まず、全体状況の把握についてでございますけれども、先月に発生いたしました白菜の浅漬けによる病原性大腸菌O157による食中毒は、患者数が160名近く、大変残念なことに7名が亡くなるという大きな事件となりました。報道によりますと、江別市内においても高齢者施設で3名の方がお亡くなりになり、市内スーパーに流通していた商品からも患者さんが出たと伺っておりますし、同じく報道ベースでございますが、市内で浅漬けを作る施設は数箇所あるとのことで、こちらに対しても保健所の検査が行われているということです。また、白菜の需要が落ちており、自主廃棄しているいった例も出てきております。
食中毒については、道の保健所管轄ということで、今回、市では高齢者施設担当の介護保険課からの情報しか出てきておりません。今、私がお話しさせていただいたのも、全て報道ベースの情報です。若干、私が課題だなと認識しておりますのは、市としての情報収集と情報発信の面でございます。
まず、改めて今回のO157集団食中毒の市内に関連する全体状況について、この場でご報告をいただきたいと思います。
次に、こういった集団食中毒若しくは集団感染発生時の市としての消費者向けの対応の必要性についてですけれども、食中毒への対応については、道の保健所管轄ということもあって、今回、市としては高齢者施設若しくは小さなお子さんがいる施設への注意喚起、市の施設での該当食材の利用の確認などが主な対応であったと伺っております。集団感染の広がり方にもよるのですが、今後、同様若しくは今回のように必ずしも早い時期に感染源が見付らないような事態も想定されるかと思いますけれども、そういった場合の市としての対応の在り方についてどのように考えているのかお答えいただきたいと思います。特に、市関連分の情報の取りまとめとその情報の発信について、もう少し努力をされてもいいのではないかと私としては認識しておりますけれども、その点はどのようにお考えかお答えいただきたいと思います。
次に、食中毒等における風評被害発生時の市としての生産者向けの対応の必要性ということでお伺いしたいと思います。今回の食中毒の問題を受けて、白菜の消費が落ち込んでいるということで、今週から道と農業団体などで白菜のPRなどを始めているそうです。白菜の消費自体も、暑かったこともあって落ち込んでいたのですけれども、9月に入って若干回復傾向でこれからはお鍋にもちょうど良い季節ということで、消費が何とか回復していくことが期待されているところでございます。江別は農業生産者の方もそうなのですが、今正に食品関連企業の集積という取り組みを進めようといったことを強く打ち出しているところでもございまして、今回の事件に限らず、食中毒などで風評被害が発生した場合に、市としても積極的な対応を進めていくことを考えてもよいのではないかと私としては考えますが、どのようにお考えかお答えいただきたいと思います。
以上で1回目の質問を終わります。
議長(尾田善靖君)
一般質問の途中でありますが、昼食のため暫時休憩いたします。
午後0時00分 休憩
午後1時00分 再開
副議長(清水直幸君)
休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問を続行いたします。
岡議員の一般質問に対する答弁を求めます。
市長(三好昇君)
岡議員の一般質問にお答え申し上げます。
まず、市立病院の再建に関連しまして、これまでに対応しました病院の再建のポイントについてでありますが、市立病院は、平成18年度に内科医が大量退職したことにより経営状態が悪化し、不良債務が発生いたしました。この医師の大量退職は、一部の内科医に救急業務等が集中したため、医師の疲弊を招いたことが原因の一つとされております。そこで、経営健全化計画の策定に当たっては、救急患者の一次対応が可能な総合内科医の充実を図ることによって、消化器科医や循環器科医が専門医療に専念できる体制を構築しようとしたものであります。このような体制が一昨年より機能し始めたことにより、患者数の増加等につながり、地域医療連携の強化等の取り組みにも着手できることとなったものであります。
振り返ってみますと、内科医が大量退職した際には、外来診療の休診や病棟休止をせざるを得ず、他の医療機関へ転院をお願いするなど市民の皆様には大変ご不自由をお掛けしたところであります。しかし、市民の皆様には、市立病院の経営健全化計画をご理解いただき、経営回復を信じ、そして利用いただいたことが、患者数に表われているものと考えております。また、経営再建では、国の制度において、償還期間を7年に拡大した新たな特例債の発行が認められ、不良債務の解消の平準化が可能となったものであります。さらには、不良債務の解消に向けての一般会計からの病院事業会計への繰出金につきましても、議会のご理解とご支援が得られたことによって措置することができたものと考えております。
このように、様々な積み重ねの上に単年度黒字を計上できる状況となったものでありまして、市立病院の経営健全化の道のりは、正にスタート台に乗ったばかりの状況であると認識しております。今後におきましても、市民の皆様、議会の皆様のご理解をいただきながら、医師、看護師、コメディカル、さらには事務職など病院職員が一丸となって、救急医療や産科・小児科医療などの市立病院本来の役割を果たしながら、経営におきましては、不良債務解消などの健全化に向け、一歩ずつ経営環境の充実、経営改善に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、集団食中毒に関連しまして、O157集団食中毒の全体状況の把握についてでありますが、腸管出血性大腸菌O157による集団食中毒あるいは集団感染発生時の対応については、食品衛生法及び感染症法に基づき、都道府県あるいは保健所設置市において医療機関からの情報の把握や発生原因の究明、関係事業所への調査等を実施することとされており、江別市内の全体状況の把握は、北海道江別保健所において行っております。情報の公表については、感染症法第16条に基づき、個人情報の保護に留意して公表されるため、北海道江別保健所管内全体の情報が道の責任において一元的に公表されており、江別市内に限定した状況などは公表されていないところであります。
今回の事案について、8月10日に北海道江別保健所から管内の高齢者関連施設において腸管出血性大腸菌感染症とみられる患者が発生した旨の第一報を受けた段階では、原因食品は判明しておりませんでしたので、市としましては、特に重症化しやすい高齢者や乳幼児の関連施設に向けた食品の衛生管理の徹底など注意喚起の周知を行うとともに、関係機関からの聴取等により、原因となり得る食材や給食等での提供状況の確認など、必要な市関係施設等の状況の把握に努めたところであります。その後、間もなく8月14日に原因食品が特定され、その後は、過去の食中毒の教訓により定められた法律に基づき、北海道の指導の下、道の要領に基づき一元的に対応してきたところであります。
そこで、今回の事案での市内に関連する全体状況についてでございますが、これまで北海道が公表した情報を整理して報告いたしますと、原因食品は、札幌市にある有限会社岩井食品が製造した白菜の浅漬けであり、北海道江別保健所管内における食中毒患者数は、9月6日現在、高齢者関連施設に関連する患者が20名、市内小売店に関連する患者が3名、札幌市内の飲食店などに関連する患者が2名となっております。原因食品は、この他、市内大学内のレストランにも流通しておりましたが、患者は発生しておりません。
なお、高齢者関連施設からの患者さんのうち3名の方が、残念ながら亡くなられているところであります。また、北海道江別保健所からの情報では、市内の漬物製造施設は11施設あり、8月20日から8月30日に行われました北海道の立入検査では、不備あるいは文書による指導はないとのことであります。また、JA道央からの情報によりますと、生産現場の状況につきましては、風評による被害額は明らかにされておりませんが、8月27日から9月8日まで、通常より15%程度の出荷数量調整を余儀なくされたところでありますが、現在は通常出荷しているところであります。
私からの答弁は以上でございますが、この他の質問につきましては、経済部長外をもってお答えを申し上げます。
経済部長(加納好春君)
私から集団食中毒について、風評被害発生時の市としての生産者に向けた対応の必要性についてご答弁申し上げます。
今回の場合は、江別市だけではなく、北海道全体の農産物生産地に関わる問題でありますことから、JA道央等と連携しながら、市内の生産者の状況把握に努め、石狩振興局への状況説明及び風評被害を受けている生産者のため、販売促進等対策の働き掛けや市内生産者への情報提供を行ってきたところであり、北海道では、白菜の需要を回復させるため、ホクレン等関係機関と連携したキャンペーンを実施しております。
いずれにいたしましても、今後も今回の事案のような場合には、関係機関と連携し、対応してまいりたいと考えております。なお、江別市内において、今回の事案のような被害が発生したときには、市として、石狩振興局やJA道央等関係機関と連携を図りながら、原因究明はもちろん、消費者や生産者に向けた市全体の対策を行わなければならないものと考えております。
私からは以上でございます。
健康福祉部長(山田宗親君)
私からは、集団食中毒についてのうち、集団感染発生時の市としての消費者に向けた対応の必要性についてご答弁申し上げます。
先ほどもご答弁申し上げましたとおり、食中毒につきましては、都道府県や保健所設置市において、医療機関からの情報の把握や原因究明、関係事業所等への調査等を所管しており、消費者等に向けた情報の公表についても、法令に基づき一元的に実施しているところであります。食中毒に伴う集団感染が発生した場合の市民に向けた市の対応については、その種類や発生状況など実態に応じて異なりますが、原因が特定されるまでの初動の対応としては、市として原因となり得る食品の衛生管理の徹底など市民や関係施設等への注意喚起や予防啓発を速やかに行う必要があるものと考えております。原因食品が判明した後は、感染症法や食品衛生法などの法令に定められた仕組みの中で、市は、北海道の一元管理下に位置付けられ、その指示の下で、健康被害の拡大防止のための対策に取り組むこととされております。
今回の事案で申し上げますと、原因が特定されるまでの間の初動の対応としては、市は、北海道江別保健所から提供を受けた情報を健康福祉部保健センターや高齢者関係施設の所管課である介護保険課をはじめ関係課で共有し、関係機関と連携して必要な情報の整理等を行ったほか、一般的な注意喚起や予防法について、市内各関係施設に周知するとともに、各窓口での散らし配布などにより啓発を行ったところであります。原因食品が判明した後には、市民への情報提供について、北海道江別保健所からの要請を受け、市のホームページからも最新の情報が入手できるよう北海道の情報にリンクさせているところであります。
今後におきましても、保健所と連携を取りながら市民への適切な情報提供や、時宜を得た予防啓発、注意喚起に努め、市民の健康保持につながるように取り組んでまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
病院長(梶井直文君)
岡議員のご質問にご答弁いたします。
医師を引き付ける魅力ある病院づくりについてでありますが、市立病院は、平成18年度に内科医が大量退職し、診療体制の維持が困難となったことから、市立病院の医療を継続していくためには、医師の確保は重要な課題となっていたところであります。これまで大学医局からの派遣に依存していた医師の招へいに関して、北海道や他の医療系大学への支援要請を行うなど様々な手法も交えて医師の確保に努めてまいりました。一方、平成16年度から実施された新たな医師臨床研修制度の下では、大学の医局に所属する医師の数そのものが減少しており、それに伴い医局人事により各医療機関に派遣される医師も減少してきております。今後も、ますます医局に所属せずに自らが医療機関を選択する医師が増えてくると言われております。このように、進む方向を医師自らが選ぶ状況の下では、医師にとって特色ある病院を目指さなければならないと認識しております。
市立病院は、高齢者等に見られるような複数の疾患を抱える慢性期の患者を総合的に診察できる総合内科医の数少ない研修拠点として、平成22年度に北海道より総合内科医養成研修センターの指定を受けております。現在は、初期研修医はもとより、総合内科医を目指す後期研修医を育成する臨床研修機関として機能し始めており、専門医としてキャリアを積んだ内科医が総合内科医として勤務したいと当院に就職する例も出てきております。また、本年度より開始しております栗山赤十字病院への医師派遣等の支援についても、将来、地域医療の現場での活躍を目指す医師には、大きな魅力として捉えられているものであります。
このようなことから、将来的には、当院を巣立った総合内科医が全道で活躍するといった研修拠点としての充実を図ることが市立病院の魅力を高めていくことになると考えております。今後においては、教育・研修システムを充実・強化していくことによって、総合内科医を目指す医師が集まって来るマグネットの役割を市立病院が果たしたいと考えており、医師と共に職員一丸となって魅力ある病院づくりのために様々な取り組みを行ってまいりたいと考えております。
次に、医療に対する市民の理解についてでありますが、市立病院は、診療所などから患者の紹介を受け、急性期病院として入院治療や専門的な検査を行い、さらに急迫状態の患者に対する救命医療を担っていくことが本来の地域医療の役割であると考えております。しかし、医師不足をはじめとする医療環境の悪化の中で、市立病院の本来の役割を果たしていくためには、患者の皆様の理解が欠かせないものであります。例えば、緊急性が低い軽症患者の救急外来受診や、家族の求めによる慢性疾患患者の長期入院は、市立病院の役割として難しいものであることなどについて、今一度、理解を得ていくことが必要と考えております。このため、市立病院では、医師はもとより、看護師やコメディカル職員等による病気の知識等をテーマとした健康セミナーを開催するとともに、地域医療を取り巻く諸課題についての講演会を市民団体と共催により開催するなど様々な手法によって病気や医療に関する周知を行っており、上手に医療機関を活用していただくような啓もう・広報活動を今後も継続し、充実させてまいりたいと考えております。
次に、事務職の専門性の確保についてでありますが、現在、市立病院の事務部門については、病院の専門職として従事している職員と市役所他部門との人事ローテーションによる一般行政職がそれぞれ配置されているところであります。専門職については、医事専門職、診療録管理士、社会福祉士等がおり、高度な専門性が要求される業務に従事しております。一方、一般行政職による事務部門については、病院で必要とされる知識や医療現場での経験が要求される場面も多く、さらには、病院経営の視点が必要であるという特殊性があることも事実であります。今後におきましては、病院の事務部門をより充実させていくため、一般行政職については、それらの特殊性を身に付けた病院の専門家としての採用を検討するほか、病院採用の専門職にあっても、医療や福祉関連部門を研修させるなど、より広範囲な知識を身に付け、病院経営の専門家としての役割を果たせるよう人材の確保に努めてまいりたいと考えております。
以上です。
岡英彦君
それではまず、1点目の市立病院の再建のこれまでの取り組みを振り返ってのポイントということについてですが、市長のご答弁ではスタートラインに立ったばかりということで、私の質問が若干先走り過ぎているのではないかと言ったところもあるかとは思うのですけれども、4年間の中で一般質問として病院を取り上げるのは1回ぐらいがいいかなと思っておりますので、このタイミングで質問をさせていただいたものでございます。
市長としては、市民の理解がポイントだったという言い方をされているかと思います。特に病院の役割ということもそうなのですが、病院経営への市民側の理解といったところが大事だったというお話をされていたかと思います。恐らく、市民にも危機感を共有していただくですとか、経営の回復というのをある程度長いスパンで信じてもらうといったことだというふうに理解するところですが、普通、医師側の取り組みなどが紹介されるところなので、特に経営についての市民の理解とお話しいただいたその辺の意味合いについて、もう少し市長なりにご説明いただけると幸いですので、よろしくお願いします。
市長(三好昇君)
岡議員の再質問にお答いたします。
まず、病院の再建について、経営に関連しましての市民からの理解を得たことに対する私の思いということでありますが、市立病院は現に公の税金を使い、そして市民に医療を提供するという役割があります。医師の外、看護職員などの医療関係者がいなければ、その役割を果たすことができません。しかしながら、当然一番最初に出てくるのは医師であります。医師がいて、看護師がなどのコメディカルがいて、事務職員がいて一つの形になるわけでありますが、その一番最初の入り口の医師がいない。しかしながら、職員はいるわけでありますからかなりの経費は掛かる。収入が得られない。果たして、それで市立病院として役割を果たしているのか、また、何年我慢していただけるかということがやはり一番大きな問題であろうと思っておりました。そこで、長期的に医師を確保するために医療機器を整備する、体制を整備する。投資をしなければならない。しかしながら、その医師がいなくて、なぜ投資をするのだといったことも出てくるわけであります。収入がどうしても遅れて出てくる事業でありますから、先行投資するということに対する理解が得られなければ、再建は難しいものと考えております。
私が就任しまして、平成19年、平成20年、平成21年といろいろと地区ごとにお話を申し上げました。そのときにも、時間を掛けて体制をつくってほしいということを随分言われました。そういう意味でいきますと、時間をいただき、私や病院長をはじめ病院関係者も一緒になりまして時間を掛けていいものをつくろうといった動きができ、また、それをお示しできたことが今回の再建につながっているのではなかろうかと思っておりまして、そのため、住民の皆さんのご理解がまずは第一というふうにお話ししたところであります。当然、先ほどの経営の話になりますと、一般会計からの繰入れということもあります。議会の皆様からの大変なご支援、ご協力をいただきまして、経営に必要な経費を繰り入れできたことも大きな要素でありますので、その点も付け加えさせていただきたいと思います。
以上でございます。
岡英彦君
市長なりの考えを述べていただきまして、私も十分納得する者でございますし、この時間の問題といったところで、やはり長いスパンで病院再建に取り組んでいくということが、他の自治体病院もそうかと思いますけれども、病院再建の取り組みの中で非常に大きなポイントであるということを改めて私としても認識させていただいたところでございます。ありがとうございます。
次に、2番目の医師を引き付ける魅力ある病院づくりについてですけれども、院長からご答弁をいただきましたが、今後ますます医師自らが病院を選んでいく方向なるというふうなことでした。江別市立病院にとっては、病院再建のポイントとしてこの総合内科医がうまく集まる病院になってきているということが非常に大きかったと院長も認識されているということかと思います。
せっかくですのでお尋ねしたいのですが、この総合内科医若しくはそれに準ずるような役割を果たす医師をどうやって確保してくるかというのが、江別市立病院に限らず、今後の自治体病院の経営や再建という意味では非常に重要になってくると認識しているのですけれども、その点、院長としてお考えがあれば、是非お答えいただきたいのですが、よろしくお願いいたします。
病院長(梶井直文君)
岡議員の再質問にお答えします。
今、医学部を卒業する方は、専門医を目指して大学の医局に残る方と、大学以外の職研修・個研修がより充実した病院で受けることを望む方と、大ざっぱに半々、あるいはむしろ医局に属さない方も多くなっているという現状で、やはり江別市立病院のような中規模病院では、大学の医局と結び付いた専門医の派遣だけではなかなか地域医療の役割を担えないと。先ほどから申しておりますように、広く住民の医療に対応できる総合的な力を持った総合内科を一つのベースとして、さらにその人たちが救急や多疾患を持ったご高齢の方々を診ることによって、大学あるいはいろいろなところで研修した専門内科医あるいは外科医、いろいろな科が、その専門性をより生かしていけるシステムを構築することが必要だと思っています。そういう意味では、平成22年度に総合内科医研修センターの指定を受けた勢いもありまして、従来から活動してくれていた総合内科医の面々が研修・教育・診療に力を尽くしてくれ、また、積極的にホームページ、あるいは雑誌などに自分たちのやっていることを正直にそのまま出すことで、今は、若い人たちがいろいろなホームページやメディアを見て、大学の専門医ではなくて、初期には総合的なことをやりたいと、そういう道を目指す人たちがアクセスをして、九州や四国からも見学に来てくれたり、あるいは札幌医大、北大の学生が総合医的な研修地域実習ということで総合内科医の活動を見て職研修や個研修をうちの病院でやりたいということで来てくれるということで、救急が回ったり、初期の医療が充実してきたということが一つあると思います。しかし、あくまでも、総合内科というのは市立病院における一つの部分でありまして、総合内科の研修センターとして多くの総合診療を目指す医師を集めるとともに、そのことによってこれからも医育機関に働き掛けて、専門医の派遣を要請し、その二つのバランスによって地域医療の充実を図っていきたいと思います。
岡英彦君
詳細なご答弁ありがとうございます。十分理解したところでございます。
先ほどの市長の話とも絡めて、恐らくこのままうまく再建が進んでいけば、全国的にも注目される江別市立病院の事例ということになると思っていますので、是非、今後も頑張って取り組みを続けていただければなと思っております。
次に、1項目目の4点目、事務職の専門性の確保についてです。質問ではなくて要望ということになりますが、一般行政職による事務部門についても、病院経営の専門家としての役割を果たせるような人材の育成に努めたいということで、やはり病院側としてはそういった思いを持たれているということかと思いますので、あとは市長部局側ということになるかとは思いますけれども、そういった考え方で、是非、人材の育成をしていただきたいなと思うところでございます。
続きまして、集団食中毒についてでございますが、1点目の全体状況については了解いたしました。2点目の消費者向けの対応ということですが、1点目の全体状況の把握にも絡みますが、今回のケースを見ていると、どうしても保健所、道からということで、法律上の縛りなどがあるということは認識しているのですが、ちょっとそれで大丈夫かなと。より大きな、特に江別市で集中的に発生するような事案が発生したときに対応できるのかなと若干不安に思うところでございます。今回、北海道知事の記者会見で、北海道にこの対策本部を立てなかったのですかといったような記者からの質問がありました。道の基準によりますと、死者が出た場合は対策本部を立てるのが基本的な考え方ということだったらしいですが、いろいろな条件があって、今回は対策本部を道の方では立てなかったということでございました。
一方、江別市におきましては、感染症予防対策本部設置要綱というものがございまして、以前、新型インフルエンザで対策本部を設置した際は、恐らく、これに対応したものが設置されたというふうに認識しているのですけれども、まず、今回の事案で、この感染症予防対策本部設置の考えはなかったのか若しくはそういうことが検討に上ったのかなどについて、お答えいただきたいと思います。
市長(三好昇君)
集団食中毒に関連しまして、再質問にお答えしたいと思います。
対策本部を設置するかどうかの市の考え方ということですが、食中毒に関連しての感染症対策というのは2種類あります。大きく捉えますと、一つは食品又は水ですとかそういうものも全部入りますけれども飲料水に原因するもの、さらには空気感染や接触感染も一部ありますけれども、ノロウィルスだとかそういう意味での食中毒に関連した中毒対策があります。それと、今、お話がありました新型インフルエンザの対策があります。いずれも北海道で対策本部を設けるかどうかの基準を設けておりまして、新型インフルエンザにつきましては、患者数そのものが非常に変動するということで、発生のおそれがあった時点で、北海道、さらには所管する市町村に直ちに感染症に関連した対策本部が設置されるような形での道の指導があります。
今回の食品のような場合は、感染経路や原因食材が決まり、患者の発生状況、さらには先ほども申し上げた感染原因による拡大という状況があった場合には、都道府県がこの対策本部を設けるということであります。そう言うふうに一つの基準が決まっております。さらに、その要領の中で、それが市町村に影響が及ぶような場合についても道からの指示を受けて、この対策本部を設ける形になろうかと思います。例えばの話になりますけれども、江別が原因で全道にまんえんしている場合、しかしながら、なかなか原因が分からなくて拡散する可能性があるといった場合には、当然、江別に対しても対策本部を設けるよう指示が来ると思います。
今回の場合は、8月14日に食材が決まりました。しかも、製造日が決まっております。7月29日あるいは31日、8月以降に作られたものは全く問題がなく、7月30日に作られて販売されたものが原因と判明いたしました。したがって、会社が判明し、食材が判明し、製造年月日が判明した場合には、ピンポイントで対応することになっておりまして、それが、今回、対策本部を設けなかった理由と聞いております。これは、札幌市も同じ状況でありますので、そういう意味でいきますと、いろいろと報道されておりますけれども、北海道と札幌市が連携した上での対策本部の未設置でなかろうかと思っております。したがいまして、そういう情勢を踏まえますと、江別市が感染症予防法に基づく対策本部を設ける必要性は、私はなかったものと考えておりまして、そういう取扱いをしたところであります。
以上です。
岡英彦君
ご答弁ありがとうございます。いつもながら、市長の保健福祉部門へのご見識には、感服いたしますと言うか驚かされます。大変よく理解いたしました。今のお話で言いますと、確認の意味での質問になりますけれども、江別市において感染症予防対策本部の設置の基準というのも要綱上には書いていませんが、かなり明確に判断できる状況にあると、そういう理解をしてよろしいのか、確認のためにお伺いしたいと思います。
市長(三好昇君)
対策本部設置要綱ということでありますが、江別では確かにありません。インフルエンザ等については、道の指示を受けてということになりますし、さらには食中毒におきましても同じような状況になると思います。当然、先ほど申し上げました北海道の設置要綱の中には患者数が500人以上、さらには発生のおそれがある、まんえんするおそれがある、広範囲にわたるといったような規定がありますから、私どもとしては、それと同じような江別モデルと言いましょうか、江別の地域に照らし合わせて、それに該当するようなところは北海道と相談して対策本部を設置すべきものと考えているところであります。
岡英彦君
了解いたしました。
最後になりますけれども、生産者向けの風評被害等が発生した場合の対応について、こういった被害が発生した場合には、市全体としての対策を行わなければいけないということで、一定程度積極的に今後の事案については対応されるというふうに認識いたします。
それで、ちょっとしたお願いと言うか、雑談レベルの話ですが、市内の飲食店やレストランでは、一部ですけれども今回の事件を受けて、白菜を使った料理を作って消費してもらおうといった取り組みをしていると伺っています。例えば、市長が市内のレストランに行きまして、そういった白菜を使った料理などを食べ歩いていただくのも悪くはないのかなと思っているのですがいかがでしょうか。市長のお考えをお伺いいたします。
市長(三好昇君)
風評被害ということでの話かと思いますけれども、確かに白菜の消費が落ち、一部には、すき込みをしたという話も聞いております。これから、白菜はシーズンになりますので、生産者の皆さんや飲食店関連の皆さん、そしてJA道央の皆さんとも相談しながら、どういう形の対応ができるか検討してまいりたいと考えております。
副議長(清水直幸君)
以上をもって、岡議員の一般質問を終結いたします。
一般質問を続行いたします。
裏君子議員の選挙における投票環境の改善と投票率の向上について外1件についての質問を許します。一問一答方式、通告時間45分。