平成22年第2回江別市議会会議録(第3号)平成22年6月17日 4ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
岡英彦君
昨日閉会いたしました国会では、内閣総理大臣がいつの間にか代わっており、一体この5年間で何人の内閣総理大臣が代わったのでしょうか。私は、数えるのも嫌ですが、片手の指で数え切れないぐらいです。仮に、基礎自治体で市長が毎年代わるような状況であれば、市政の混乱は避けられない情勢になると思いますが、このような国政の混乱状況について、私は、一地方の政治家として大変怒りを感じているものでございます。また、そういう中でも、国政の混乱に惑わされないように基礎的自治体である我々が頑張らなければならないと改めて思うところでございます。
それでは、通告に従い質問をいたします。
最初の項目は、市営住宅についてです。
市営住宅については、議会でも機会あるごとに取り上げられてきた課題でありますが、これまで全くと言っていいほど動きがなかったものが、平成21年度に江別市住宅マスタープランと江別市営住宅ストック総合活用計画が策定され、今年度はいよいよ新栄団地の建替えに向けた予算が計上されました。新栄団地の建替え自体は、団地が建設されてからそろそろ50年になるところですし、老朽化が進んでおりますので、致し方ないと考える面がございますが、本年の第1回定例会における平成22年度一般会計予算案に対する討論でも指摘させていただきましたとおり、公営住宅の供給方式として、そもそも自治体が直接建設方式を採用するということが時代に合っているのかという疑問を持っておりますことから、今回、一般質問で取り上げさせていただきます。このことについては、比較的大きな枠でお話をすることとなりますので、今すぐに何かしらの対応を求めるというよりも、今後の方向性について議論を深めさせていただきたいという趣旨での質問になります。
初めに、そもそも論になりますが、公営住宅制度の在り方について質問をいたします。
公営住宅の建設は、大都市圏において、戦後の深刻な住宅不足への対応策としてスタートし、地方から都市へ人口流入が続いた高度成長期に、全国で多くの公営住宅が建設されました。北海道内においては、高度成長期に続く昭和50年代においても、多くの公営住宅が建設されております。当時は、現在よりも比較的緩やかな入居基準となっており、核家族の子育てサラリーマン世帯が入居し、年齢とともに所得が上がることによって、最終的には、公営住宅を出て持家を構えるというのが一つのモデルとして考えられていたと思います。しかし、時代は移り変わり、住宅総数が総世帯数を上回り、人口減少が始まっている現在では、公営住宅は老朽化し、民間住宅には空き家が出ている状況でございます。また、公営住宅の居住者も住み替えのステップとしての一時居住から、ついの住みかとする人も増え、高齢化が顕著になっております。
そもそも公営住宅は、公営住宅法上、住宅に困窮する低額所得者に対し、住宅を提供するという社会福祉を目的としております。生活困窮者に対する福祉制度としては、生活保護制度における住宅扶助がありますが、日本の生活保護制度は、受給に当たっての厳しい条件があるため、公営住宅は、最後のセーフティ・ネットである生活保護の手前にある制度の一つとして位置付けることができると言えます。ここで考えなければならないことは、行政としてどこまでの範囲をセーフティ・ネットとしてカバーするのかということです。そして、いったんカバーする範囲を定めた後は、その範囲の人々には幅広くサービスを提供するかより困窮している人々を判断し提供すべき性質のものと考えます。
現在の市営住宅の入居基準は、収入分位と呼ばれる所得水準で応募の可否が決まっております。収入分位とは、全国の2人以上の世帯を収入の低い順に並べ、収入の低い方から1から8までの階層に分けたもので、全国的には8の階層までで全世帯の50%となるように分類されます。市営住宅には、全世帯の25%に当たる収入分位4までの世帯が応募可能となっていますが、収入分位4という階層の給与収入は、計算すると2人世帯で約318万円から約351万円となります。最も低い収入分位1でも、2人世帯では約258万円までの収入となり、様々な福祉事業で利用に制限が掛かる市民税課税世帯までもが含まれるというかなり幅広い収入区分となっております。
市営住宅は、このように比較的広い所得階層から応募が可能となっており、一部優先入居はあるものの、基本的には、抽選によって入居が決まり、一度入居すると、収入超過になっても強制的に退去させられることはありません。住宅難時代における住み替えのステップとしての市営住宅であれば、このような制度でもよかったのかもしれませんが、福祉政策として考えなければならない制度としては、明らかにおかしなものであり、本来は、より困窮している人々に対して提供されるべきものと考えます。
より困窮しているという判断についてはいろいろな考え方があると思いますが、一つの判断基準として申し上げますと、生活保護支給対象となる基準の収入というものが考えられます。先ほど申し上げたとおり、日本では、生活保護を受給するためには大変厳しい条件があるため、生活保護支給対象となる基準の収入以下で生活している人々が非常に多いと考えられております。本来であれば生活保護を受給できる人のうち、現に受給している人の比率のことを捕そく率と言っておりますが、研究者の調査によると、10%から20%程度とされており、長らく調査を行っていなかった政府が示した厚生労働省から今年4月に発表された統計データに基づく推測値によると、国民生活基礎調査に基づく推計では32.1%、全国消費実態調査に基づく推測値では68.4%とされております。このように非常にばらつきがあるところではありますが、いずれにせよ、生活保護支給対象となる基準の収入以下でも頑張って生活している世帯が数多く存在し、福祉制度としての公営住宅というのは、このような世帯が本来最も優先されるべきものではないかと考えるところです。
そこで、最初の質問です。
福祉政策として行政がセーフティ・ネットでカバーすべき範囲について、市は、公営住宅に対してどのようなお考えをお持ちかお答えいただきたいと思います。先ほど申し上げた現在の収入分位による入居基準が適切と考えているのかどうかについてもお答え願います。また、基本的なデータといたしまして、市内の全世帯における収入分位4までの世帯数とその割合についてもお答えいただきたいと思います。
次に、抽選という制度でもよいのかという質問です。
何度も申し上げますが、市営住宅が福祉制度として存在するのであれば、要件を満たしている人にはサービスが提供されるべきですし、優先度を判断して提供されるべきと考えます。ここ数年の市営住宅の応募状況を見てみると、最も新しい中央団地の倍率が他の団地と比較して顕著に高い一方で、随時募集しているあけぼの団地は空き家がある状況です。このような状況が本当に住宅困窮者向けの制度と言えるのでしょうか。市営住宅における抽選での入居の是非について、お考えをお答えいただきたいと思います。
さて、このようなお話をさせていただいたとしても、これまで市としては、国の法律に従って対応しているだけであり、市独自の対応は実際にできない状況だったわけです。しかしながら、時代は変わりつつあります。現在は、収入基準に関して自治体で独自設定はできませんが、政府で検討されている地域主権改革の課題の一つとして公営住宅制度が挙げられており、自治体独自の考え方で運営できる方向が見えてこようとしております。そのような方向を見据えて、今後どのような対応を取るのか考えておかなければならないのではないかと思いますが、何かしら検討する用意があるのかお答えいただきたいと思います。
次に、借上げ公営住宅について質問いたします。
現在、行政が行っている直接建設方式による公営住宅の提供は、戦後や高度経済成長期における住宅難時代の制度を引き継いでいるものです。しかしながら、現在は、人口減少が始まり、民間の既存住宅が余っていく時代となっております。このように、民間の住宅ストックが豊富な時代に、行政がハード面を整備することが妥当なのでしょうか。
平成20年に行われた住宅・土地統計調査によると、江別市にある住宅のうち、居住世帯なしの住宅は7,320戸で空き家率は約13%となっています。この5年間で4,000戸近くの激増です。この中には、老朽化している住宅が多いことも事実ではございますが、今後空き家が増えていく傾向は続いていくものと考えられます。市の事業収支としては、入居者からの家賃が市に入ってこない借上げ方式よりも、市の家賃収入となる直接建設方式の方が有利ということは私も理解しているところですが、一度建設したら、今後建設される新栄団地も70年にわたって使い続けるという前提になっております。70年という年月は、非常に長期間なので、70年後の社会情勢を予想することは全く無意味ですが、今と違うことだけは確かだと思います。そのような中で行政がハードを抱えてしまうと、社会情勢の変化に対応することがなかなか難しく、リスクを背負ってしまうのではないかと考えるところでございます。また、住宅困窮世帯を幅広くカバーするためには、必要に応じて借り上げる方が柔軟性の高い運用が可能だと思います。
これまでは、平成8年の公営住宅法の改正により、民間住宅の借上げによる公営住宅の供給方式の制度が導入されていましたが、その制度の下では、一棟を一括して20年程度の長期間借り上げる方式を中心としていたため、必ずしも使い勝手の良いものではございませんでした。しかしながら、国は、昨年度に新たなガイドラインを定め、5年程度の期間の契約による借上げ方式を定めております。この借上げ方式を取ったとしても、事務のすべてを民間に委託できるわけではないので、現制度では手間が増えてしまう部分もありますが、方向性としては、借上げ方式について何かしら検討してもよい環境が整いつつあると私は考えるところです。
そこで、質問といたしまして、今後、借上げ公営住宅を検討する余地について、どのように考えているのかお答えいただきたいと思います。
次に、市営住宅に係る事務のうち、特に受付事務についてです。
現在、市営住宅に関する窓口業務は、すべて建設部建築住宅課で行っておりますが、市営住宅が住み替えのステップのための一時居住から、ついの住みかとなっている状況を見ると、担当部署がこのままでよいのか一度検討してみる価値があるのではないかと考えます。本来の福祉目的を考えると、住宅に困窮する高齢単身世帯、障がい者世帯、ひとり親世帯などが増えていく中でこのような世帯に対応するためには、住宅のみならず、様々な福祉政策と連携したサポートが必要と考えます。実際の住宅建設に関することは建設部門でよいとしても、現場の窓口担当は、福祉部門が担うのが望ましいと考えますが、いかがお考えかお答えいただきたいと思います。
次の項目は、今回で3度目の質問となりますが、予算編成プロセスの公開について、再度お伺いいたします。
これまで何度か取り上げさせていただいた結果、昨年度の予算編成過程で、事業の一部について初めて市民意見募集が実施されました。恐る恐る、非常に小さくスタートした感はありますが、それでも明確に一歩前進したことは確かですし、私も大変評価するものでございます。今後は、昨年度の課題を検証し次のステップに進むことが求められます。
市としても、市民意見募集の案内に、これまで市の予算については、予算案が確定した段階で初めて市民の皆さんにお知らせしていたところですが、これでは政策課題を実現するために各部からどのような予算要求があり、どういった検討を加えながら予算案をまとめてきたかの経過が分かりづらいといった課題がありました。このため、今回初めて平成22年度予算の編成に当たって、各部から要求のあった事業の一部について、その予算要求内容をお知らせし、事業の査定を行う前に市民の皆さんのご意見をいただくこととしましたという記載があり、その後に、なお、今回の意見募集(パブリックコメント)は試行として実施し、来年度以降も分かりやすく、市民の皆さんが参加しやすい方法を検討する予定とのことでした。私は、昨年度は試行であり、今後も改善していく用意があると理解しているところです。正に、この案内の中で述べられている政策課題を実現するためにどのような予算要求があり、どういった検討を加えながら予算案にまとめてきたのかということが、江別市自治基本条例に規定された市政に関する情報を共有するという市民自治の基本理念を実現するためにも非常に大切であると考えます。
そこで、まず初めに、昨年度実施した市民意見募集について、行政としての全体的な評価を伺います。特に、評価できる点や課題など、市長の率直なご感想をお願いいたします。また、予算編成の時期は、財政課を中心に事務作業量が非常に多くなると理解しておりますが、昨年度は、市民意見募集実施に係る資料作成や受付のほか、意見に対する市の考え方の取りまとめなど追加作業が発生していると思います。今後、予算編成過程の公開を更に進めるためにも、できるだけ負荷の掛からない手法を検討する必要があると考えますので、昨年度はどの程度の業務負荷が掛かったと評価されているのかお答えいただきたいと思います。
次に、今後の対応についてお伺いいたします。今年度以降も分かりやすく参加しやすい方法を検討するとのことですが、昨年度の結果を踏まえてどのような検討が進められているのかお答えいただきたいと思います。また、私といたしましては、次のように進めていった方がよいのではないかと考えますが、どのようにお考えかお答えいただきたいと思います。まず、公開用資料についてですが、昨年度のように新しいものを作ると事務作業量が非常に多くなり、二度手間になる部分も多いと思います。基本的には、現在作っている資料でいいので要求段階の資料をすべて公開する方が早いと思いますがいかがでしょうか。新しいことをしようという考え方ではなく、予算編成過程の通常業務の中に、ごく自然に公開の手続が入ってくるという方向性が理想と考えるところです。
次に、市がパブリックコメントを行う重点事業以外の様々な事業についても、意見を言いたいという市民が非常に多いと思いますので、すべてに回答することは難しいかもしれませんが、全事業について意見を受け付けるということにしてはいかがでしょうか。さらに、理事者ヒアリングを記者に公開したり、インターネットで中継するのはいかがでしょうか。現在、インターネット中継は、ほとんどお金を掛けずに実現できる時代になりましたので、やってみる価値はあると考えます。
以上の提案に対するお考えをお答えください。
簡単ではありますが、以上で1回目の質問を終わります。
議長(坂下博幸君)
一般質問の途中でありますが、昼食のため暫時休憩いたします。
午後0時13分 休憩
午後1時15分 再開
副議長(尾田善靖君)
休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問を続行いたします。
岡議員の一般質問に対する答弁を求めます。
市長(三好昇君)
岡議員の一般質問にご答弁申し上げます。
まず、市営住宅に関連しまして、福祉政策として行政がカバーすべき範囲についてでありますが、公営住宅は、公営住宅法により、国及び地方公共団体が健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で供給するセーフティ・ネットとして、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とするものでございます。
国においては、戦後における絶対的な数の不足に対応するための量的確保の時代から、住宅の質の向上へと住宅政策が転換され、市営住宅の役割は、今や単に公営住宅法上のセーフティ・ネットとしての役割に加え、高齢者や障がい者が安心して住むことができ、また、子育て世代が安心して子供を育てられる住宅が求められてきているものと考えているところであります。
市といたしまして、まずは、セーフティ・ネットとしての市営住宅整備を基本としつつ、第5次江別市総合計画後期基本計画の中で福祉政策と位置付けた上で、急速に進展しつつある高齢化や少子化への対応のほか、江別の顔づくり事業の目的の一つである町なか居住の考え方に対応するものとして、新栄団地建替事業を計画しているところであります。
次に、入居基準の独自設定についてでありますが、現在、地域主権改革において、地方自治体が入居資格などを独自に条例に規定できるよう公営住宅法の改正が予定されているところでございます。市といたしましては、公営住宅法が改正された場合、実態に即した新たな収入基準を設定するほか、福祉政策の観点から少子高齢化を考慮し、市独自の入居条件の設定についても検討してまいりたいと考えております。
次に、借上げ公営住宅についてでありますが、新栄団地の建替えにつきましては、住宅に困窮する低所得者のセーフティ・ネットであると同時に、少子高齢化に対応する福祉的な観点や江別の顔づくり事業における町なか居住を進めるなどの観点から、政策的な意図の下に将来を見据えた市営住宅の再編が必要であると考えており、現段階では、直接建設方式を選択したところであります。また、コスト面におきましても、現状を踏まえた条件下では、借上げ方式やPFI方式と比較して、直接建設方式の方が有利であると考えているところであります。なお、そのほかの市営住宅につきましては、今後の社会経済情勢の変化や建設コスト、維持管理コスト、国の補助制度の動向、さらには都市再生機構(UR)など賃貸住宅の状況を踏まえ、長期的展望に立って最も有利な方式を検討していかなければならないものと考えております。
次に、予算編成に関しまして、平成22年度予算編成における市民意見募集の評価についてでありますが、結果といたしまして、7名の方から22件のご意見をいただいたほか、意見募集に際して用意した資料に対する問い合わせも多く、初めての取り組みとしては一定の成果があったものと考えております。今後とも、より多くの方々からご意見をいただけるような仕組みづくりが必要と考えております。
次に、市民意見募集に係る事務手続の負担についてでありますが、市民意見募集に当たっては、市民にとってより身近で意見を出しやすい事業を選定し、さらに、必要な情報を網羅し、それを分かりやすくお示しする調書作りなどに意を用いたこともありまして、公表に当たっては、行政内部資料を再編集するなどの作業にかなりの時間を要したものであります。また、市民意見の募集期間は、1か月以上確保する必要があることから、予算要求の集約など例年より短期間で作業する必要が生じたことなどもあり、総体的に申し上げますと、相当な作業量であったと考えております。
次に、今後の取り組みでございますが、具体的な実施内容は、現在も検討中であります。今回の実施結果を各部において検証するとともに、今年度、企画政策部で実施する予定の行政評価に係る行政評価外部評価委員会のご意見もいただきながら実施してまいりたいと考えております。
次に、市民意見募集に当たっての資料でありますが、今回の実績を踏まえ、より多くの方々からご意見をいただくためには、既存の資料をそのままお示しするのではなく、より分かりやすい資料を作成し、市民意見募集を行うことが基本ではないかと考えております。
次に、市が選定する重点事業以外の事業の意見についてでございますが、前段申し上げましたとおり、多くの方々に関心を持っていただきご意見をいただくためには、分かりやすい資料作りが必要と考えますことから、当面、事務事業全般にわたって調書を作成しご意見をいただくことは、現時点で難しいのではなかろうかと考えております。
次に、予算編成過程の公開についてでございますが、予算編成における査定作業に関しましては、個人情報を含んだ議論や個別事業に係る利害関係者への影響もございますことから、現段階では、報道機関への公開やインターネット中継などについては難しいのではなかろうかと考えております。
私からの答弁は以上でございますが、このほかの質問につきましては、建設部長から答弁申し上げます。
建設部長(久田康由喜君)
私から市営住宅の収入分位の関連、抽選の是非及び担当部署につきましてご答弁申し上げます。
まず、収入分位の妥当性についてでありますが、市営住宅の入居基準は、公営住宅法により、全国一律の収入区分の階層が定められ、2人世帯の場合、収入がおおむね351万円以下の方が入居できるものとされており、市といたしましてもこの基準に沿って入居者の選定を行っているところであります。
次に、収入分位4までの世帯数と割合についてでありますが、収入分位1から4までの世帯数はおおむね2万1,000世帯で、江別市における全世帯の約40%を占め、全国と比較して高くなっているところであります。
次に、抽選の是非についてでありますが、市営住宅の入居に際しては、公営住宅法の規定を受け、江別市営住宅条例に基づき公開抽選を行うこととしており、応募番号による抽選方式を採用しているところであります。 抽選に当たりましては、高齢世帯や母子世帯などの世帯状況や落選回数に応じて抽選番号を複数交付する優遇措置を設けているところであります。なお、入居選考に際し、今後の少子高齢化の進展などを踏まえ、福祉政策における観点から、方式の見直しについて検討してまいりたいと考えております。
次に、市営住宅の担当部署についてでありますが、昨日の角田議員の一般質問に対する答弁と一部重複いたしますが、これまでも、入居の際の高齢者の状況、世帯構成及び障がい者の状況などを把握するほか、急施を要するDV対応、生活保護世帯となり住宅に困窮することとなった場合など、民生児童委員や家庭児童相談員を含む福祉部局と日常的に協議し対応してきたところであります。
なお、今般、新栄団地の建替えに係る基本計画(案)の策定に際しては、そのスタート時から健康福祉部や生活環境部と連携を取りながら進めてきておりますが、単に住宅に困窮する低所得者に対するセーフティ・ネットとしてのみならず、福祉・環境・教育政策の考え方を盛り込んだ基本計画(案)として進めてまいりたいと考えているところであります。
いずれにいたしましても、単なる市営住宅の管理にとどまらず入居対応が必要になるものと考えられますことから、より一層連携を密にして対応するとともに、新しい住宅管理の在り方についても検討していかなければならないものと考えております。
私からは以上であります。
岡英彦君
それでは、2回目の質問をさせていただきます。
まず、市営住宅に係る収入区分につきまして、江別市では、収入分位1から4までの世帯が全世帯の約40%を占めるということですので、やはり全国一律の考え方としては、少しおかしな基準になっているということがお分かりいただけると思います。収入区分や抽選方式などについては、行政側としても、ある程度課題があると認識されており、法制度が整えば見直しを検討すると理解させていただきました。もし、私の理解が間違っていたらご指摘ください。
質問になりますが、セーフティ・ネットとして、行政が公営住宅で対応すべき範囲の考え方についてご答弁が余り明確ではなかったようなので、再度考え方についてお答えいただきたいと思います。
また、借上げ公営住宅については、法制度や社会情勢等を考慮し、今後は、借上げ方式も含めて有利なものを判断していくと理解しております。私も、今すぐに借上げ公営住宅制度を導入できると思っているわけではありませんが、考え方として、今回の新栄団地のように行政が70年間も使うハードを抱える時代なのかと感覚的に疑問が残ります。私は、70年間も使うハードを抱えることで、今後、非常に様々なリスクが伴うのではないかと思っておりますが、そのことに関し、感覚的なものでよろしいので市長のお考えを再度お答えいただきたいと思います。
次に、予算編成プロセスの公開についてでありますが、まずは分かりやすい資料作りが前提になるということは理解したところでございます。少し不安な点がありましたので確認させていただきたいのですが、義務的経費などは別にしても、個人情報等が含まれる事業を除き予算編成プロセスについては、基本的に公開しなければならず、分かりやすい資料を作らなければならないとお話しされております。分かりやすい資料を用意した上で本来は公開されなければならないと考えており、昨年度試行したばかりなのでまだその段階になっていないけれども、義務的経費などを除いてすべて公開する方向を目指していると理解させていただいてよろしいでしょうか。ご確認させていただきたいと思います。
以上で2回目の質問を終わります。
市長(三好昇君)
岡議員の再質問にお答え申し上げます。
まず、1点目の市営住宅に関連しまして、市としてセーフティ・ネットをどこまで考えているのかということでございますが、先ほどもお答えしましたとおり、公営住宅は、住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で提供するという目的がございまして、現在、国におきましては、法律の改正について検討されているところです。このように地域主権改革に係る法改正が見込まれていることから、新たな基準を制定できることになった場合は、先ほども話が出ておりました収入分位についても、江別市の実態に応じた低い基準について考慮し、今後の江別市における高齢者の推移等を十分考慮しながら福祉施策として利用できるような住宅を整備するほか、子育て世帯、障がい者世帯、ひとり親世帯等について重点的に独自の入居基準を設定するなど整備してまいりたいと考えております。現時点で、セーフティ・ネットとしてどこで線引きするのかということは、お話しできませんが、それらにしっかりとこたえられる基準をつくっていきたいと考えております。
また、市営住宅における70年間という耐用年数に係る建設リスクについては、正直に申し上げて私も想定できませんが、直接建設方式を採用しなければならない大きな理由といたしましては、現状で総合的に福祉政策を進めていくということになりますと、民間における整備がどのくらい進むのかということをなかなか想定できない部分がございます。当然、市営住宅の整備だけで福祉政策がすべて終わるわけではなく、福祉関連機関や医療機関との連携など様々な条件が必要となります。そうしたときに、市の住宅政策ということになりますと、やはり、当面は市として政策を直接打ち出すべきと考えておりまして、それを多くの市民の方にお示しした上で判断していただくことが必要だろうと思っております。したがいまして、新栄団地の建替えに当たっては、直接建設方式を採用させていただいたところでございます。
いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたとおり、今後は、法制度がいろいろ変わると思いますので、民間企業がどんどん進出できるような仕組みができた場合には、当然そのような仕組みを取り入れて整備すべきと思っておりますが、リスクがどの程度あるのかということにつきましては、数量的なものも含めて現段階では想定できないところでございます。
次に、予算編成過程の情報開示と公開についてでございますが、私は、基本的にはすべて情報公開すべきだと思っております。しかしながら、先ほど申し上げたとおり、情報公開を進めるためには、様々な準備がございますし、予算要求過程における資料の作成方法や、現在はパソコンを使って進める業務が多くございますのでソフトの問題など様々な課題もございます。それらの準備に多くの時間が掛かりますので、まずはその準備をさせていただきたいということでございます。また、市が持つ情報には、個人情報が含まれているため、情報の秘密保持ということもございまして、それらの対応についてもしっかり勉強しなければならないと思っております。そのためには、いましばらく時間をいただいた上で、支障のない形で実施してまいりたいと考えております。私は、基本的にできる限りすべての情報を開示したいという気持ちで進めていくつもりでございます。
以上でございます。
岡英彦君
ご答弁ありがとうございました。
市営住宅の問題に関しては、法制度次第というところがありますが、法改正については、ある程度見えてきていると思いますので、私のお話しさせていただいた方向と大きく認識は違っていないと理解させていただいたところでございます。
また、予算編成プロセスの公開については、お話を聞いて安心いたしました。その方向でよろしくお願いいたします。今年度は、行政評価外部評価事業との兼ね合いで、それに絡めて何かしら提案されるのではないかと期待しておりますし、予算審議の際に過程が見えないと私も不安になることがありますので、是非積極的な対応をお願いしたいと思います。
以上で終了いたします。
副議長(尾田善靖君)
以上をもって、岡議員の一般質問を終結いたします。
一般質問を続行いたします。
三角芳明議員のカードの一元化についてほか3件についての質問を許します。通告時間25分。