平成18年第3回江別市議会会議録(第3号)平成18年9月14日 6ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
議長(岡村繁美君)
以上をもって、鈴木議員の一般質問を終結いたします。
一般質問を続行いたします。
赤坂伸一議員の市民医療の確保についての質問を許します。通告時間30分。
赤坂伸一君
病院問題について質問をいたしたいと思います。
初めに、市民医療の確保についてであります。
今、市立病院の内科医が3月末の病院長を含む2名の医師の退職以降、5月、6月に続き今月末には5名、指導医の退職により研修医の2名も合わせると12名とのことであります。9月末までに全員退職することになり、市民や患者の入院受入れや他科との連携はもとより、研修医受入れ機能など総合病院としての機能が大幅に縮小し、二つの病棟が閉鎖あるいは休止を余儀なくされ、また、夜間急病診療部門の縮小・移転などから派生する二次救急の対応など、市民の不安は計り知れないものがあります。
このことは、市民の健康や治療復帰の場として医療を守るとりでとなっていた市立病院が、経営面からも存続の危機をはらんでいるものと言っても過言ではありません。医師はじめ病院関係者の言い知れぬ努力により、総合病院として市民医療を守り発展させてきたことは、私たちのみならず市民の誇りでもありました。今これが積み木細工のごとく崩れ去ろうとしています。
しかしながら、小児科をはじめ診療各科の医師団や医療従事者が地域医療と患者の命を守るために奮闘されていることに感謝し、このことを強く受け止めなければなりません。
市立病院の前身は、国立札幌病院の附属診療所として昭和23年に開設され、昭和26年4月、町立病院として4か年計画で28床の病棟を改築し、昭和29年には市立国保病院、昭和32年には総合病院の機能を備え、以来、皮膚・麻酔科を新設するなど市民に総合病院としての機能を充実させてきましたが、昭和40年代後半から昭和50年代に掛けての産婦人科医師の不在や看護師不足などを経て赤字が顕在化したところです。昭和53年からの健全化計画で赤字幅を減少させ、昭和56年3月、準用再建指定の中で医師はじめ職員総体の努力により18億5,500万円余の不良債務を解消し、最高時22億8,000万円余の累積赤字も再建明けには9億3,000万円余まで減少させるに至りました。
この間、昭和59年4月、夜間急病部門を併設し、平成10年12月、新病院建設に伴い専門外来の新設や人工透析のほか医療機器の整備、オーダリング・システムや物流管理システムなどを導入し、院外処方体制とともに近代化を進め、市民に開かれた病院として着実な歩みを遂げたところであります。
新棟建設以来、経営面ではさきの9億3,000万円余の赤字のほか旧病棟除却損約9億円がそのままオンされ、平成11年度から平成17年度までの7年間の赤字総額は18億9,867万円で、単年度約2億7,000万円余りを計上したところであります。
平成17年度の決算では約2億円弱ということでありますが、この18億9,867万円を12万4,000人の人口で割るとした場合、市民1人当たり1万5,436円、2億7,000万円余を割ると、単年度では1人1,991円であります。毎年延べ40万人、多いときには50万人の患者の命の糧となってきたことからすると、金額では計り知れないものがあると考えます。
この間、医師はじめ病院関係者が赤字を出さないよう様々な努力をしてきたことは認めるところであり、結果として毎年度の決算が認定されてきたことは、この証であると考えます。
しかしながら、議会人の一人として、ややもすると経費節減や赤字の解消、収益増の論議に目を奪われがちであったことから、命を預かる現場の医師の過酷な労働実態の把握や労働環境改善を置き去りにしがちだった点を反省し、その改善を早急に進めなければなりません。
医療環境を考えると、国は国民医療費抑制策を背景として、病床群の再編成や診療報酬改定による薬価や診療報酬の引下げ、入院期間により加算や減点、患者一部負担増の制度改正や受診抑制など、目まぐるしく変わる医療環境を強いてきました。一方、こうした環境下にあっても、病院関係者は今日まで赤字幅の減少に努力し、市民医療確保のために成果を残してきたところであります。
今、様々な理由からやむなく退職する医師、そして引き続き大変厳しい環境で頑張っていただく医師やスタッフの皆さんに深く敬意を表したいと考えます。
一方、救急医療を財政面から見ますと、一般会計からの繰出金は、救急、精神、未熟児や精神科などの医療、リハビリ、さらには企業債償還のための利子、医師研修費などを含め、平成17年度でも8億9,200万円余を地方公営企業法の繰出し基準やルールに基づき一般会計から繰り出してきたことは周知の事実ですが、これら不採算部門に対する国の措置は、残念ながら交付税と特交を含めますと約6億円弱であり、約3億円は税で賄われています。
さらにこの内訳を見ますと、救急医療業務の収支差額2億4,700万円を繰り出しておりますが、普通交付税の診療所の単位費用で推計すると約400万円程度、特別交付税で救急病院は2,000万円程度しか算入されておらず、繰出金のうち約2億2,300万円余は交付税等で補てんされないという現状があります。これまで病院に繰り出していた額は全額とは言えませんが、今後は夜間急病センターの収支差額分を直接見える形の税で補うことになります。
一方、小児科の二次医療は梶井病院長職務代理者を先頭に引き続き市立病院で対応されるとのことでありますから、乳幼児を抱える親にとりまして大変有り難く、安どの気持ちも伝わってまいります。内科系の二次医療が他にゆだねられることになり、今後はこれに係る負担と経費が減少する反面、循環器・呼吸器系など持病のある患者や突然の発作に襲われる患者にとりましては計り知れない不安があるとともに、救急体制の強化が求められます。
また、交付税との差、3億円の残り約5,000万円の繰り出しのうち、不採算部門である未熟児収容部門など小児医療病床の交付税は約2,000万円程度で、ほぼ満額の交付税措置がされているようでありますが、精神科作業療法や救急業務、追加費用公的負担金は措置が少ないことから、国に制度の欠陥を改めるよう強く求めていかなければなりません。
以上、先輩の皆さんが築いてこられた市民医療確立に向けた市立病院の歴史や制度、そして目まぐるしく変わる医療環境の中で医師はじめ医療関係者が奮闘されてきたことを簡単に述べさせていただきましたが、とても一言では言い表せるものではありません。
特に、一方では医師が毎年7,500名近く誕生しているにもかかわらず、全国で3,000名も不足していると言われている厳しい医療環境の中で、2004年からの新医師臨床研修制度が導入され、また名義貸し問題発生後の医療関係機関の整備と医局体制の変化などが重なり、さらには医療過誤訴訟や苦情に対し、医師が技術力の高い大病院への転出や開業医志向など、社会的要因や背景があるとされております。新医師臨床研修制度スタート後の3大学の充足率なども示され、また、最近では夕張市をはじめ23市立病院の厳しい実情も聞かされているところであります。
以上、一定の総括や分析をさせていただきましたが、まず第一に全道及び札幌圏で医師がどの程度不足しているのかお伺いいたしますとともに、今日までの病院を取り巻く社会的背景と評価についてお伺いいたします。
次に、第二の医師の労働環境についてであります。医師の労働条件の改善は急務となっております。
光文社刊の患者見殺し医療改革のペテンという崎谷博征氏の著書の中で、労働基準法を無視した当直業務には、このように記載があり、以下紹介をいたします。
この当直業務は、深夜から朝に掛けてのれっきとした業務である。にもかかわらず、翌日は通常業務が待っている。これでは労働基準法もへったくれもない。医師の間ではこのような慣例が常態化しているのである。こうした状況を受けて、最近になってようやく労働基準監督署は重い腰を上げた。名古屋大学医学部附属病院に勤務する一部の医師の勤務時間が労働基準法で定める上限を超えているとして、名古屋東労働基準監督署が同病院を指導していた。独立行政法人化に伴い夜間の当直勤務の時間を含めると法定の40時間を超えるということで是正されるとの内容であります。
市立病院の場合、若干異なる面もあるのかもしれませんが、基本的にはこれを踏まえなければならず、それ以上に、医師は急患も含めて患者がいる限り診察や治療に専念してきたことは明らかであり、労働環境を再点検すべきであると考えますが、第1点お伺いいたします。
第2点は、特殊勤務手当についてであります。江別の場合、一般各科のほか救急指定日の外科、整形外科で宿直・日直手当が、内科、小児科の夜間と麻酔科の夜間・休日に拘束手当が支給されているが、一つに、在籍する医師の医療の安全とチーム医療の観点から、二つに、拘束医師をサポートする二次的拘束医師に、三つに、これからの固定医確保のために、支給額及び対象の拡大、さらには出動手当の充実等改善すべきであり、医局と十分連携の上、条件を整備し進めるべきであると思いますが、お伺いをいたします。
第3点は、平成17年度病院総体で40万5,000人の患者を扱い、入院では11万4,000人、外来では29万1,000人となっています。入院患者が最高の年は平成11年度で14万5,640人、そして、外来は平成13年度、40万2,614人となっております。外来は1日当たり1,626人と極めて異常な数値を記録しております。
これは新病棟建設効果もあったことがうかがえますが、平成17年度はその72%ないし78%で、むしろ正常に戻ったとは思えますが、今から考えますと、平成14年度前後に医師サイドから何らかの意思表示や訴えがあっても不思議ではなく、それらが社会的要因と重なり顕在化したとも考えられますが、このような要因も分析し、今後に向けて早急に課題を整理する必要があると考えますが、お伺いをいたします。
以上のことから、医師の待遇、労働条件の改善は急務と認識します。夕張市では既に公表し、全国から公募しておりますが、応募医師はもとより、在職する医師に対して速やかな手続を開始すべきであり、そして早急に見直すべきと考えます。
次に、第三は組織の現状と体制整備についてであります。
9月8日の厚生常任委員会で市長は、夜診が大変なことについて病院長からじか談判がなかったと答弁されておりました。9月3日の情報によれば、ベテラン医師は2年前から市の夜診運営委員会で市と医師会に訴えていたとされておりますが、院内には病院長、副院長、病院事務長、それぞれの受け止める場があるわけでありますが、これが機能していたのか疑問に感じるところであります。
また、市長は8日の厚生常任委員会で、医療に関して市ではどうにもできない。大学が権能と権限を有していると答弁し、他方では、市長、病院事務長も医師の慰留に努めたとのことであります。このことを含めて、組織の在り方や改善すべき点があると思われますが、見解をお伺いいたします。
第四は、医療事故対策と組織の整備についてであります。
書籍、医療崩壊「立ち去り型サボタージュ」とは何かに詳細に記載がありますが、一般に勤務医が過酷な医療・労働環境を敬遠し、開業医や大病院志向があると言われております。
極めてかいつまんでこの本の要約をいたしますと、患者は常に最高の技術を求める。しかし、患者の病状は千差万別で、また、それぞれの病院の医療機器の整備や水準はそれぞれに異なる。患者を満足させる治療は困難である。一方、裁判所も患者側に立ち判決や和解を下す傾向にあり、よって一般に中小の病院では医師に敬遠されがちであると記載があります。
ヒヤリ・ハットや苦情などについて、本年の予算特別委員会でも論議をされてきましたが、この検証もさることながら、医師に関して言えば、患者が安心して掛かれるためには、医師の睡眠、休養など健康管理が不可欠となります。医師の治療内容、接遇、苦情の件数は、平成17年度は減ってきましたが、過密労働環境との関係を含めた総合的な観点から対策を講じるべきであります。もちろん医師が安心して働ける労働環境を前提に、患者との信頼関係の上に立ってインフォームド・コンセントが行われれば、訴訟に至るケースは減少できるものと考えます。
当病院でも、第2回定例会で損害賠償請求事件の和解案件について可決をいたしましたが、欧米のように医師と対等の立場で総合的にコーディネートする職の育成や組織の確立が求められると考えます。既に大病院ではサービス安全対策の部署が確立されておりますが、これらを参考に医師はじめ各部門をフォローする体制の整備を進めるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
次に、2項目目の夜間急病診療所と新センターについてであります。
夜間部門では毎年増加傾向にありますが、1日平均32人から34人、平成17年度の例を見ますと、内科で7,036人、小児科で4,690人であります。うち市外は2,700人、約23%となっております。
一次診療を受け持つ医師、看護師の方々の大変さも伝わってまいりますが、このうち二次診療に回される件数はそれぞれどの程度なのか。そしてまた、その区分はどのようになっているか。また、その受皿を確保することが急務でありますが、救急隊の負担も計り知れないものがあると想定されます。救急車両が対応できない、間に合わないといったことがきぐされますが、どのように分析、検討されていますか、お伺いいたします。
さらに、これまでの夜間急病診療や搬送体制の苦い経験から、市民に適切受診を呼び掛ける必要があると考えます。しかし、非常に難しく困難な問題もはらんでいると思われますが、検討している内容についてもお伺いいたします。
次に、第3項目目の経営健全化計画と収支についてお伺いいたします。
この事項につきましては、厚生常任委員会あるいは前段の議員の方々からも多く質問がございました。端的に質問したいと思います。
現時点で10月の初めから非常勤の医師による外来診療となりますが、この状態が来年3月まで続くと仮定したら、どの程度の収益減になるか、お伺いいたします。
私の試算では、今回の議案に付随して収支の状況、報告がございました。計算しますと、今、市立病院に約7億7,000万円の現金がある。このままで推移いたしますと、もう来年の極めて早い時期に経営健全化どころか不良債務が発生する。そして、資金繰りに窮する、借入れを起こさなければならない、こういう状態も予想されます。これは予想です。
そのためにも一番優先される課題は、司令塔である病院長の要請と固定医の確保であります。
先ほども市長は、最重点課題だと。そして、決意も述べられております。是非医師はじめ病院職員に市長及び理事者の意思が伝わるよう、職員とのきずなや信頼関係、事の発端が本当にそこなのかということも含めてしっかりと検証し、院内はもとより市役所全体が、この数か月、5か月ないし6か月、大きく動いてまいりましたが、良好な人間関係の再構築こそが病院再生の本当の糸口であると私は確信しております。
以上で第1回目の質問といたします。
議長(岡村繁美君)
一般質問の途中でありますが、昼食のため暫時休憩いたします。
午後 0時06分 休憩
午後 1時09分 再開