平成17年第4回江別市議会会議録(第3号)平成17年12月16日 6ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
議長(岡村繁美君)
吉本議員の一般質問に対する答弁を求めます。
市長(小川公人君)
吉本議員の一般質問にご答弁を申し上げます。
まず、国の構造改革が市民にもたらした影響についての認識、税制改正の市民負担の実態についてというご質問でありますが、国・地方を通じた長期債務残高が平成17年度末で774兆円と見込まれる一方で、先進諸国の中でもアメリカに次いで低い国民負担率の現状から、国・地方を通じて受益と負担の在り方を見直す税財政改革は避けられないものと言われてきております。
そうした中で、医療制度、年金制度、さらには交付税制度など歳出の改革が進められると同時に、税制を中心とする歳入の在り方についても見直しが進められてきております。今般の税制改正は、老年者控除、老年者非課税の段階的廃止など65歳以上の高齢者にかかわる部分が含まれており、現段階での江別市の平成18年度における試算としては、老年者控除では4,900人について6,000万円程度、それから老年者非課税の廃止では、180人について30万円程度の影響が見込まれるところであります。
こうした税制改正は、高齢者がこれまでの支えるべき対象から社会共通の費用を広く公平に分かち、共に支え合うべき対象としてとらえ直すという考え方に基づくものであります。つまり、高齢者を支える社会基盤の整備が進むとともに、経済的にも健康面からも他の世代層と変わらない生活をしている高齢者が増える一方で、少子高齢化が急速に進む中で、勤労世帯の負担が増え続けるという現実的な問題があり、さらにはまた、現在の5人に1人が65歳以上という状況が、20年後には3人に1人が65歳以上という超高齢社会が到来しつつあるという時代背景から、見直しが必要であるとされるところであります。
今般の改正は、国・地方を通じた租税体系全体の中で、全国一律に行われることとなりますが、高齢化の進展は本市においても例外ではなく、こうした社会的潮流を踏まえつつ、第5次総合計画を着実に推進する中で、超高齢社会を迎えるに当たっての新たなニーズに対応すべく、その優先度を見極めながら政策、施策を推進していくこととしておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、農業問題についてでありますが、国は、去る10月27日、経営所得安定対策等大綱を決定したところでありますが、このうち品目横断的経営安定対策は、日本型直接支払制度とも言われ、これまで全農家を対象とした品目ごとの価格対策から、経営に着目して担い手に絞った対策に転換するもので、戦後の農業政策を根底から見直すものとされております。現在、国が主催する市町村やJA、土地改良区等を対象とした説明会が開催されている段階で、JA道央としても農業者への地域説明会や合意形成はこれからが本番と報告を受けているところであります。
このような現状から、当市としましては、制度の全容を把握するとともに、制度改正が地域に及ぼす影響度や地域合意プロセスや意見を踏まえた上で関係団体等と協議し、担い手対策から除外されるおそれのある農家への支援に必要な措置を検討してまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、江別産小麦を学校給食のパンに活用することにつきましては、今年度3回の予定でありますが、既に10月、12月に使用したほか、来年2月にも1回、江別産小麦100%のパンを学校給食に提供すると伺っております。子供たちの評判も良いことから、今後、給食費等の影響、小麦の供給量、流通制度の問題等もありますので、教育委員会はもとより、生産者や関係団体と調整する中で、江別産小麦100%のパン給食の回数増について検討してまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、農業振興計画につきましては、平成17年第1回定例会でご答弁申し上げた経緯がございますが、本年3月に、食料・農業・農村基本計画の見直しが閣議決定されて以降、6月の食育基本法の制定、9月には農業経営基盤強化促進法や農地法、それから特定農地貸付法等が改正され、国の構造改革の下で農業政策の大転換が始まろうとしております。
したがいまして、農業振興計画の策定につきましては、第5次江別市総合計画の具体的アクション・プランとして位置付けし検討してまいりますが、国の農業政策の改革方向との関連、整合性を十分勘案し、現在、JA道央、関係機関とともに法改正に伴う農業経営基盤強化促進基本構想の策定や営農類型の在り方について協議、調整し、取り組んでいるところでありますので、ご理解を賜りたいと存じます。
このほかにつきましては、助役ほかをもってご答弁を申し上げます。
助役(中川正志君)
私から職員の定数確保に関するご質問にお答え申し上げます。
当市では、自主・自立が求められる分権時代を迎えまして、効率的な都市経営を進めるために、人口の増加や行政需要の複雑、多様化などに起因する職員増を行政改革大綱と定員管理計画に基づいて抑制してまいりました。
これまで機構改革による組織のスリム化を進めてきたほか、職員採用の凍結の際には、臨時職員や非常勤職員を有効に活用し、人員不足を補いながら行政機能の維持を図るなどの措置を講じてきたことによりまして、行政改革大綱に盛り込んだ目標を平成16年度末までに達成することができたものでございます。
今年度から団塊の世代の退職を目前に控える中で、行政機能を維持し、さらに市民サービスを向上させる目的で職員採用を再開いたしましたが、国庫補助負担金や地方交付税の削減など依然として厳しい財政状況が続いておりますことから、これまで以上に効率的な都市経営に努めなければならないものと考えております。このため、平成23年度までの間は、採用凍結措置後の職員数を上回らないことを基本にしつつ、現行の行政改革大綱の見直しによる定員に関する明確な数値目標の設定について検討を加えているところでございます。
また、新年度の採用につきましては、各部の業務量の精査を行った上で、重点的かつ効率的に職員を配置することを基本にしており、今後も簡素な組織体制の確立を目指して計画的に職員を採用してまいる考えであります。
以上でございます。
教育長(高橋侃君)
私からご答弁申し上げます。
初めに、学童保育にかかわって国や道に対してナショナル・ミニマムとして運営基準の設置を求めることについてでございますが、ご案内のとおり平成9年6月の児童福祉法の改正によって、放課後児童会は放課後児童健全育成事業として、児童福祉法及び社会福祉法に位置付けられました。
しかし、現行の法制度では、一部補助制度の中に規定されているものがあるものの、事業の運営や施設等についての基準は明確にされておりませんで、各市町村の判断に任されている状況にございます。運営基準に関する動向といたしましては、全国学童保育連絡協議会が、その実態調査を2003年5月に報告して、2003年6月には、私たちが求める学童保育の設置・運営基準として発表されたところでございます。その後、埼玉県において、県下市町村と協議を重ねて運営基準を策定していることは承知してございます。
いずれにいたしましても、放課後児童会は、昼間、保護者が労働などで家庭にいない児童の放課後の安定した遊びと生活の場の提供をしていくという大きな役割を担っておりますことから、まずは都道府県レベルでの統一的な考え方を示すことが大前提であると考えますことから、今後、道レベルの各種関係する会議の中で、吉本議員ご指摘の趣旨を反映させてまいりたいと考えておりますので、ご理解いただきたいと思います。
次に、江別市の放課後児童会の運営基準の必要性についてでございますが、江別市放課後児童会運営費補助金交付規程の中で対象児童数、指導員の資格とか面積要件などについて開設基準として定めておりますが、今後の運営については、従来から情報交換等を行ってきております市内の放課後児童会民間連絡会との協議なども含めて、研究・検討してまいりたいと思いますのでご理解いただきたいと思います。
次に、今後の放課後児童会の在り方についてでございますが、放課後児童健全育成事業の充実を図る中で、子供たちの放課後の安定した遊び及び生活の場の確保を図ることが大事だと思われますので、今後とも共働き、あるいはひとり親家庭の増加なども想定されますことから、その対象となる子供の置かれている家庭環境など、それぞれの状況に応じてきめ細かな保育内容になるように、先進事例などを参考にしながら江別市としては充実を図ってまいりたいと考えておりますので、ご理解をいただきたいと思います。
以上でございます。
吉本和子君
2回目の質問をさせていただきます。
質問の内容は、最初に、税制改正に伴って市民負担の実態を市長が本当にご存じなのかどうなのかということを、今のご答弁を伺っていてちょっと疑問になりましたので、再度伺わせていただきたいと思います。
ただいまのご答弁では、税制改正の必要性について、長期債務残高が774兆円にもなっているということ。それから、アメリカに次いで低い国民負担率であるということを挙げられました。しかし、一市民の立場から見て、また多くの市民がそうだと思うんですけれども、この国が常に言っている長期債務残高について、一体この借金はだれがつくったんだと、自分たちが決して頼んでつくってもらったわけではない。そのためにこんなに負担を増やされるのはかなわない、そんな声が今たくさん聞かれています。また、アメリカに次いで低い国民負担率を挙げられましたけれども、実際に手取り収入を見ますと、本当に今、国民は大変です。
ですから、そういうような実態から見て、このことを理由に市長は挙げられたというふうに考えましたけれども、どうなのかと、市民は理解できるのだろうかと思いました。今、本当に市民の生活が大変だということを、今回の厚生常任委員会の中でも障がい者の問題が取り上げられましたけれども、本当に大変な実態が一杯出されてきています。そういうような市民の切実な声にしっかりと耳を傾けようというような、そんなお気持ちが残念ながら感じられなかったんですけれども、この辺について、これから市民負担がどんどん増えていくということを、その事実をしっかりと見据えて、市長がどのようにお考えなのか再度伺いたいと思います。
それと、農業問題についてですけれども、これは要望としたいと思います。先ほど申し上げましたけれども、江別小麦が今、本当に全道的にも全国的にもネーム・バリューが広がって、随分と流通にも乗っかってきていて、全国的にも知名度が上がってきているというふうに聞いていますけれども、その割には、では江別市民が本当に江別小麦で作ったパンを日常的に食べられているのか、江別小麦で作ったラーメンが日常食べられているのかと言いますと、なかなかそうではない、そんな実態があるように思います。その一つには、先ほども申し上げましたけれども、小麦の流通体制の問題があって、なかなか市民の食卓に毎日上るほど値段が安くないという状況があります。そんな中で、是非行政として市民が自分たちの地元で作った小麦を使ったものが本当に食卓に上るような、そのような行政の仕組みづくりも検討していただければなというふうに思っております。
また、市内には江別製粉の小ロットのF-shipという製粉機械もきちっと整備されています。十勝や北見が今、道内では本当に小麦の主要産地だと言われていますけれども、そういうところでさえ地元で作った小麦を小ロットで製粉するというシステムはないというふうに聞いております。そういう江別の特性も生かして、是非江別小麦を市内の一般の市民の食卓にも上るような、そんなシステムをつくっていただくように要望いたします。
最後に、学童保育についての要望ですけれども、運営基準、設置基準のナショナル・ミニマムについて、道の方に働き掛けていきたいというふうなご答弁をうれしく思いましたけれども、特にもう一つ大きな問題は、やはり財政の問題があると思います。今、国が学童保育に対して出している補助金は、保育所に関する補助金とは雲泥の差があります。そういう意味では、是非この財政措置についても補助金の単価を上げていくように強く国に求めていくことと同時に、市としても学童保育の在り方、市民の子供たちを守るための学童保育に対して、市としても財政措置の支援を強く要望するものです。
以上で2回目の質問を終わります。
市長(小川公人君)
吉本議員の再質問の中で、市民の痛みというか、市民のそういった状況にある大変さについて耳を傾けていないのではないかと、こういうご指摘でありますが、先ほどの最初のご答弁は国の構造改革、そしてまた、その考え方について申し上げているわけです。国の構造改革がもたらした影響うんぬんということでいろいろとご質問がありましたけれども、私は、国が債務として774兆円にも上る、これは事実ですから、そういう状況にある。そしてまた、国のとらえの中には、日本のこういった国民負担率ということは先進国で比較すると低い方、いい悪いは別にしてそういうとらえがあって、全体の税制等々見直し、税財政改革は避けられないと、そういう方向に来ているということを私は申し上げたのであって、私の考えを申し上げたわけではなくて、大きく国の流れはそういう方向に行っているということを申し上げている。
私は、是非はともかく、もちろん国にもいろんな機会を通じて、北海道市長会、全国市長会を通じて国に要望することもありますけれども、それはそれとしてやっていますけれども、限られた、与えられた条件の中で泣き言を言うわけにもいかない。もちろん要望すること、見直しをすること、改善することは言いますけれども、しかし、現状で限られた、与えられた条件の中でどう歳出を、市民のニーズをどうとらえるかということを考えてきたつもりでありますし、限られた財源の中で取捨選択、優先順位をどうするかということで、あれもこれもという時代ではないということは申し上げてきました。その中で、選択をさせていただいて取り組んできていると、こういうことで、皆さんのご苦労、市民の皆さんが厳しい状況にあるということは、私は十分承知しているつもりでありますけれども、その中で、またこれからも十分その辺の中で政策選択については意を用いて取り組んでいきたいと、こう思っておりますので、ご理解をいただきたいと思います。
議長(岡村繁美君)
以上をもって、吉本議員の一般質問を終結いたします。
一般質問の途中でありますが、昼食のため暫時休憩いたします。
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午前11時51分 休憩
午後1時01分 再開
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