平成17年第4回江別市議会会議録(第3号)平成17年12月16日 5ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
議長(岡村繁美君)
以上をもって、立石議員の一般質問を終結いたします。
一般質問を続行いたします。
吉本和子議員の市長の基本姿勢についてほか2件についての質問を許します。通告時間30分。
吉本和子君
日本共産党議員団を代表して、通告に従い、順次質問を行います。
初めに、小泉内閣の構造改革について、市長の基本姿勢を伺います。
1番目に、税制改正によって増える市民負担への認識について伺います。
改革続行を掲げる第3次小泉内閣が発足しました。この間、小泉内閣が構造改革として進めてきた新自由主義の経済路線は大企業の利潤追求を最優先にして、規制緩和万能、市場原理主義、勝ち組・負け組という殺伐とした社会へとこの日本社会を大きく変えてきたと言えます。日本の経済を支えてきた中小零細企業は倒産、廃業、経営難に追い込まれ、大企業、財界はリストラの強行と不安定雇用の労働者を増やし、みぞうの収益を上げてきました。これは、政府が労働法制の規制緩和の名で財界の横暴勝手を全面的に支援してきたことの結果であり、このようなルールなき資本主義の下で、貧困と社会的格差の新たな広がりが今重大な社会問題になっています。
例えば、低所得者層の増大、全国的には生活保護世帯は100万世帯を超え、就学援助を受ける児童生徒はこの10年間で2倍以上、貯蓄ゼロ世帯は23.8%に達し、年金わずか月数万円、貯蓄もないという高齢者が増え続けていると言われています。そんな状況の中でも小泉内閣は国民へ自助努力、自己責任を強要し、さらに今後数年間にわたって増税計画が進められようとしています。
その方法の一つに、例えば、専業主婦をねらった配偶者特別控除の廃止、中小零細業者をねらった消費税の免税点の引下げ、年金受給者や高齢者をねらった公的年金等控除の縮小、老年者控除、老年者非課税措置の廃止など、限られた人々をねらい撃ちにし、国民を分断しながら増税を進めるというやり方です。
また、現役世代や収入の少ない世帯との均衡を図るとして、特に高齢者への課税を強めながら、その一方では景気が回復したとして打ち出された定率減税の縮減・廃止は、多くの国民にかつてないほどの甚大な影響を与えると言われています。
江別市においては、さきに提出された担当部局の試算では、平成18年度実施の定率減税半減では4万3,000人に約2億1,000万円もの負担増が、また高齢者には老年者控除廃止などで1億4,000万円もの負担増が予想されるとしています。このように多くの市民が控除の縮小・廃止や定率減税半減などで実収入は増えないにもかかわらず、見掛け上増えたことになるため増税になる。また、非課税から課税されることになり、介護や国保の保険料・税、医療費の負担限度額、また市営住宅使用料などにも大きな影響が出て、二重、三重の負担増になることがきぐされます。
さらに、小泉構造改革は三位一体の改革の一環として、2006年度税制改正で基幹税としての所得税から個人住民税へ本格的に税源を移譲することとして、所得に応じて税率が3段階になっている個人住民税を一律10%に一本化することを打ち出しています。国税の所得税を減らし、地方税の住民税を増やすことについては、住民税の非課税最低限が国税の所得税よりも低いため、実質的には課税最低限度の引下げとなり、ほとんどの国民が差引き増税になる可能性が大きいと言われています。今でさえ暮らしていけないという市民の切実な生活実態に照らし、住民の暮らし、福祉を守る立場にある市長として、このように更に市民負担が増えていくことについて、どのように認識しておられるのか伺います。
2番目に、市職員の定数確保の考え方について伺います。
小泉首相が構造改革の加速を掲げ、小さな政府づくりを宣言しました。その柱の一つに、公務員の総人件費削減があり、財政赤字だから小さくて効率的な政府が必要だ、少子化による人口減少社会では小さな政府でなければならないと言っています。しかし、小泉内閣が進めている公務員攻撃のねらいは、住民に直結するサービスを提供する教育や福祉、中小企業を支えてきた公務員を減らすことにあります。教職員や警察、消防、福祉関係など国が基準を定めている分野にもその基準を見直しして、更に削減しようというものです。当然のことながら、税金の無駄遣いをなくすことや、住民奉仕の立場で行政の効率化を図ることは必要ですが、住民サービスをどう保障するかの議論もなく削減していくことになれば、結局、公共サービスの切捨てによって国民に大きな負担となって返ってくることになります。
江別市の市職員数については、12月広報では、平成16年4月1日時点で職員数が類似団体と比較して173人も少ないこと。また、国の定めた定員モデルとの比較では10人少ないことが示されました。その中で、福祉関係が95人、教育関係が23人、消防関係が12人と、類似団体と比べ少なくなっています。厳しい財政状況の中で限られた資源を一層有効活用するためとしていますが、定員ということで考えた場合、市民の安全・安心・公平さの確保など行政の役割を果たすことができるということが前提になります。
公務は収益が目標の仕事ではありません。公共のために奉仕するという強い自覚を持った人たちで形成されている職業集団を前提にしなければできない仕事はたくさんあります。例えば、火事場に飛び込んで被災者を救出する消防士は、文字どおり命を懸けて、それを普通の仕事として毎日毎日行っているのです。それは介護などの福祉にも医療にも教育にも同じことが言えます。これらのサービスはすべての市民の暮らしを支える基盤であり、市民のだれもがどこでも受けられるよう、ゆがめられることなく公正に提供されなければなりません。公務員は少なければ少ないほどいいとか、民間でできることは民間でなどと、安易に公共サービスを営利目的の民間企業に任せるというのは、市の責任放棄にもなりかねません。住民の福祉、暮らしを守る自治体の本旨に基づく行政の担い手である市職員の定数確保において、新年度の職員採用についてはどのようにお考えか伺います。
次に、農業問題について伺います。
1番目に、品目横断的経営安定対策の担い手から除外されるおそれのある農家への支援について伺います。
今、政府、財界は日本の農業と農村の衰退や食料自給率の低下に歯止めを掛けるどころか、価格支持政策をなくし、一定規模以上の農業経営者以外を農業の担い手から排除するという、本来の農業経営の中心であった家族経営そのものを否定する政策を推し進めようとしています。
その小泉内閣の農政改革の具体策、経営所得安定対策等大綱の趣旨は、農産物輸入自由化の国際ルールに合わせるとして価格保障を廃止し、大規模農家に限定して交付金を支払う制度と集落営農への環境保全支払制度という二本立てとするというものです。特に北海道農業に大きな影響を与えるのは、米、麦、ビート、でんぷん用ばれいしょを販売する農家に実施する品目横断的経営安定対策という名の直接支払制度です。これまでの価格保障政策や経営安定対策を廃止する代わりに、厳しい条件をクリアした農家や集落経営体に対して国が直接交付金を支払うというものです。
しかし、対象要件は、個別農家の場合は北海道では経営規模面積10ヘクタール以上の認定農業者とされ、集落の名で法人化を目指す集落営農の場合は20ヘクタール以上とされています。この基準に該当するのは農水省が実施した2005年農林業センサス調査では、北海道の家族経営5万2,451戸のうち10ヘクタール以上は2万7,867戸、53.1%にすぎず、認定農業者は2万6,624戸、2005年9月末現在で更に少なく、約半分の農家が直接支払の対象から排除される危険があるということです。
江別市においては、平成17年1月1日時点で農家戸数618戸、農業従事者は1,672人、そのうち認定農業者は304戸、うち法人は22法人となっています。認定農業者は年々増加しているとはいえ、まだ半数以上の農家は対象外となっていること。また、農業従事者の高齢化も深刻で、全体の55%が60歳以上であること、さらに高齢化や後継者がいないなどの理由で農業を続けることが困難と思われる農家は200戸程度あるということも考えられています。好むと好まざるとにかかわらず、2007年度からの品目横断的な経営安定対策の導入に対しては、政策の対象である担い手にならなければ大幅な所得の減少となり、農業を継続すること自体が困難になることは明らかです。
北海道担い手育成総合支援協議会は、この7月から8月に掛けて認定農業者の少ない市町村を重点的に巡回し、認定農業者の確保を呼び掛けたということです。また、音更町では、個々の農業者に認定農業者になるよう文書で知らせ、さらに担い手の要件については個別に説明し、11月末時点で主業農家の9割を占める693戸になっているということです。江別市でも年々認定農業者が増えているとはいえ、まだ50%に満たない状況です。一方、江別市の農業従事者の高齢化と後継者不足の問題も深刻で、この施策の対象となるためには複数の世帯で法人を設立して認定農業者となったり、高齢化や小規模農家が力を発揮できる集落営農などの仕組みづくりなども個別の条件の下で検討が必要になるでしょう。
政府は、来年夏ごろから経営安定対策の加入手続を始めると言われていますが、この制度によって農業の担い手が減らされるようなことがあってはなりません。多様な形態の家族経営を支え、地域農業を発展させるために、国の担い手対象から除外されるおそれのある農家への具体的な支援について、どのようにお考えか伺います。
2番目に、江別産小麦の市内流通の拡大について伺います。
今、全国各地に地産地消の運動が起こっています。膨大な輸入食品に不安を抱く消費者が急増し、BSEや残留農薬に汚染されている輸入食材をやめさせ、日本の食料自給率を上げようという運動も広がっています。また、2003年の農水省調査で輸入小麦から子供の視神経を侵すマラチオンという残留農薬が検出されたこともあり、国産小麦で給食パンをという動きが全国的に高まっています。
江別市の学校給食も地元産米を100%、野菜は年間総使用量の約48%を使用するなど、地元農産物のウエイトが高いことが各地から注目されています。また、市内のあちらこちらに大小様々な野菜の直売所が増え、自転車や歩いて買物ができるようになり、新鮮でおいしく、しかも安い産直の野菜が広く市民の食卓に上るようになりました。江別産小麦については、ハルユタカの初冬まき技術の普及により全国有数の産地となり、作付面積も水稲を上回るようになりました。市内の企業によってパンやラーメンなどの食品が作られるようになり、江別産小麦を使ったメニューを提供する飲食店も増え、学校給食にも江別産小麦のパンが年数回ですが、出されるようになってきました。
しかし、今の麦の流通体制の下では、江別産小麦製品が直売所の野菜のように安価で広く市内に流通させるためには多くの課題があることは承知するところですが、そんな中でも次代を担う子供たちの学校給食には、安全・安心な地元小麦で作ったパンを今以上に使う回数を増やすことで子供の健康を守ると同時に、江別産小麦の地元流通の促進にもつながると考えます。このことについては、早急に教育委員会、製粉会社、パン製造会社、小麦生産者、農協など関連機関と検討することが必要ではないでしょうか。どのようにお考えか伺います。
3番目に、農業振興計画の必要性について伺います。
江別市農業振興計画については、さきの第1回定例会で岡村議員が伺っているところですが、その後、日本の農業を取り巻く状況が正に大きく変わろうとしている今だからこそ、その必要性が求められていると考えるものです。
今、政府は、食料・農業・農村基本計画を決め、財界の要求を受け入れて農産物の輸入拡大を前提にして、輸入農産物との競争についてこられない農家を生産から締め出すという方向を示しました。国際競争力と市場原理、効率を物差しにした小泉農政改革の下で多くの農業者は将来に対して大きな不安を抱いています。江別市の目指す農業を堅持し、農業者が意欲と将来展望を持って営農に専念できるように、今こそ具体的なビジョンを示すのが行政の役割ではないでしょうか。そのためにも早急に農業振興計画を立てることが求められると思いますが、お考えを伺います。
次に、学童保育について伺います。
1番目に、学童保育のナショナル・ミニマムを作ることの必要性について伺います。
2005年5月現在、学童保育は全国2,003市町村に1万5,309か所となり、前年より631か所と年々増え続けています。この背景には、働かざるを得ない、働き続けたい親やひとり親が急増し、放課後の子供の安全・安心の居場所の必要性が高まっていること、さらに今、子供たちが巻き込まれる悲惨な事件が多発する中で、多くの親たちから一層安全で安心できる子供たちの居場所が学童保育に期待されているからにほかなりません。
このように学童保育の必要性について、社会的な共通認識ができつつある一方、学童保育がその役割を果たすためにはどのような内容が保障され、どのような条件整備が図られなければならないのかという点での理解はまだまだ不十分であり、国や市町村の制度、施策も大きく立ち後れていると言わざるを得ません。やっと政府は必要な地域すべてに整備していくという量的な拡大方針を打ち出しましたが、財政措置のある質的な拡充についての方針は明確ではありません。児童福祉法に明記されている遊び及び生活の場を学童保育に通うすべての子供たちに保障していくためには、国及び地方自治体が財政措置を伴った全国共通の設置、運営基準が必要です。学童保育のナショナル・ミニマム、どこでも達成しなければならない必要最低限の行政水準を作ること、そのことを強く国・道へ求めることの必要性についてどのようにお考えか伺います。
2番目に、江別市の放課後児童会の運営基準の必要性について伺います。
江別市の学童保育は、児童クラブと放課後児童会の2種類の形態で実施されています。児童クラブは、児童館の中に設置された、ほとんど内容的には放課後児童会と同様のものであり、3児童館で実施されています。
一方、放課後児童会は、障がい児保育やこども広場を除き市内で11か所、現在、市直営の1か所も含め来年度からすべてが民間運営となります。これらの放課後児童会は運営主体、開設場所、開設日、開設時間、対象学年、保護者負担金などそれぞれ異なっており、受けられる保育内容も施設ごとに少しずつ異なっています。
全国的には、待機児童の増加や定員の超過での大規模化などが問題になっていますが、江別市でも在籍児童数が増加し、この9月から10月現在、432名、11か所合計定員410名に対し22名の超過となっています。このうち2か所の児童会では、それぞれ定員を15名、19名と超過していますが、どちらの地域も人口増加中の新興住宅地にあること、開設時間が19時までであること、土曜日も開設していること、延長保育にも対応していることなど、働いている親たちの今の就労状況から見て、切実かつ緊急な要求にこたえる保育内容になっていることも一因かと思われます。
一方、小学校低学年の子供たちが伸び伸びと安心して生活を送る施設という点から見れば、児童数が増えていくということは、例えば1人当たりの占有面積が少なくなり、生活の場としての条件の悪化が心配されます。江別市の放課後児童会に関する規定は、江別市放課後児童会運営費補助金交付規程に開設基準や設置基準が書かれていますが、あくまでも補助金の交付を受けるための規定にすぎません。放課後児童会が江別の子供たちに対し等しく安全・安心な生活の場の保障を、働く親たちに対しては等しく子育てと就労を支援するという役割を果たすためには、経営者の自助努力に多くを頼るのではなく、市の責任において一定の運営基準づくりと、そのための財政支援が必要だと考えるものですが、どのように認識されておられるのか伺います。
3番目に、今後の江別市の放課後児童会の在り方について伺います。
埼玉県では2004年3月、埼玉県放課後児童クラブ運営基準を策定しました。それは放課後児童クラブに対して、量的拡大とともに質的向上も求められるようになったこと。保育の質の向上を促進するために児童クラブの施設、設備、運営はこうあるべきという、児童クラブにかかわる関係者が共通理解を持つためのよりどころが必要と考えられたことから策定に至ったということです。さらに、その基準に照らして、児童クラブ関係者が各自の施設、設備、運営状況について点検し、その結果をすべて県民に公表することでレベルアップを促進することを目標にするということです。
このように都道府県段階で学童保育の運営基準づくりが広がり、石川県も県エンゼルプランの一環として運営基準づくりを開始し、また、群馬県でも2005年度に運営基準の必要性の検討を始めたということです。国では三位一体の改革で補助金の削減・廃止の流れが強まっていますが、だからこそ市町村が学童保育についてどのような考え、方針を持っているかによって、その内容や質は大きな格差が生まれると考えます。江別市内のすべての学童保育が一人ひとりの子供にとって家庭に代わる生活の場であり、働く親たちが安心して子供たちを託せる場所であることが求められていると考えるものですが、今後の放課後児童会の在り方についてどのようなお考えをお持ちか伺います。
以上で1回目の質問を終わらせていただきます。