平成17年第3回江別市議会会議録(第4号)平成17年10月4日 6ページ
6 議事次第の続き
議案第76号の続き
議長(岡村繁美君)
これより総務文教常任委員長報告に対する質疑に入ります。
質疑ありませんか。
(「なし」の声あり)
質疑なしと認めます。
以上で、総務文教常任委員長報告を終結いたします。
これより議案第76号 江別市職員の給与に関する条例の一部を改正する条例の制定についてに対する討論に入ります。
討論ありませんか。
高橋典子君
議案第76号 江別市職員の給与に関する条例の一部を改正する条例の制定について、反対の立場で討論いたします。
提案された改正内容は、この間、試行を続けてきた人事考課制度において考課期間を上期4月から9月、下期10月から3月と定めていることから、その結果を勤勉手当に反映させるために、これまでの基準日以前6か月以内の期間におけるその者の勤務成績に応じてという文言を削り、条例を整えようとすることを目的としています。
まず初めに、指摘しなければならないのは、成果主義に基づくこの人事考課制度は、第5次総合計画においても示されているニュー・パブリック・マネジメントから発しているものであるということです。この手法を推し進めることは自治体の公共性、公務労働の在り方自体が変質させられるという重大な問題をはらんでいるのですが、それを市民が本当に理解し認めているのか。また、市職員の中で詰めた議論が行われ理解されているかと言えば、そのような状態にはないと見ることができます。
そもそもニュー・パブリック・マネジメントとは、民間企業の経営・管理方式を公共部門に適用するときの手法なのですが、金銭的利益追求を主目的とする民間企業と自治体等の公共部門とでは根本的に事業の目的自体に違いがあります。価値観が異なる事業を行っているのに、評価手法等が成熟していないため、政策達成効果を正当に評価する方策を持ち得ないままコスト効率性に偏った評価が行われがちになります。
また、ナショナル・ミニマムを軽視し、市場原理優先の行政運営を行うこと、住民の民主主義的な自治による判断や決定ではなく、トップダウン型の行政効率化路線に向かうという岐路に立たされているなどと研究者により指摘されていることも認識しなければなりません。
こうしたコスト効率性本位のニュー・パブリック・マネジメントを導入の帰結として、今、市職員の労働への成果主義的管理手法が導入されようとしているのです。研究者が指摘するこの手法の特徴であり問題点でもある幾つかについて、当市が行おうとしていることとも共通するので以下述べたいと思います。
まず、目標管理方式と一体のものであることです。個々の職員にそれぞれ自主目標を立てさせ、その目標に照らして実績がどうであったかを点検、評価する方法であり、これは自分自身にノルマを課すことになり、精神的にも追い詰められることになります。成果主義を取り入れた企業で、メンタル・ケアが大きな問題となっているのを見ても明らかです。
また、目標管理方式で問われる目標は、局所的・部分的目標にすぎなく、自治体の公共的目的といった全体的、総合的なものが視野に入りにくくなります。評価は、職員個々人を単位として行われることから、集団で取り組んだことによる成果も個人の能力考課の一項目として評価されるにすぎず、職場の集団性を損なうことにもつながります。
評価する際には、成果・結果が決め手となることから、その時点で表に現れている能力を重視せざるを得ず、職員の潜在的な能力や今後の可能性に目を向けることはしにくくなり、長期的な視野で職員を育てるという考え方には立ちにくくなります。
また、職員を評価するのは市民や部下ではなく上司であることから、目標管理方式の下で上司が部下を評価するとき、権威主義的評価を伴うことになるとの指摘があります。
こうした特徴を持つ評価制度を続けていけば、結局のところ上しか見ない、いわゆるヒラメ型公務員を生み出すと指摘されています。
本来、公務員が民間企業の従業員と決定的に違うのは、全体の奉仕者と定められているところにあり、地域社会に目を向け、地域・住民から評価される公務員でなければなりません。こうした根本的なところで、人事考課制度は認められないことを申し上げます。
さらに、具体的なことで言えば、個々人を絶対的評価で評価しておきながら、処遇反映のために5段階の成績段階に相対区分してしまいます。少人数を対象としている場合、取得された点数が正規分布を描くのは困難であり、厳密に相対評価を行うのは難しいはずなのに、そこを無理に5段階に当てはめてしまうことになります。勤勉手当という金銭にかかわる問題であるだけに、あいまいさが残されているのは容認されることではありません。
また、男女共同参画を進めるに当たって、職員は必要に応じて家族の介護や看護、育児にかかわって休暇を取ったり、時間外に仕事をしなくても済むよう調整したりすることなどが男女共に求められてくると考えられます。考課期間の2分の1以上休暇を取得した人は、考課の対象から外すとされていますが、それ以下の短期間の休暇を必要とする場合も多いと考えられます。職場内で競争意識が生まれれば、休暇取得は不利になると判断されかねず、男女共同参画推進の障害になるおそれもあります。
こうした多くの課題と問題を抱えたまま、人事考課制度を勤勉手当に反映させることは到底認められず、よって本議案に反対であることを申し上げ、討論といたします。
議長(岡村繁美君)
ほかに討論ありませんか。
川村恒宏君
議案第76号 江別市職員の給与に関する条例の一部を改正する条例の制定についてに関する総務文教常任委員長の報告に対して、賛成の立場で討論いたします。
今回の条例の改正は、平成15年10月より試行開始した人事考課制度を本年12月支給の勤勉手当に適用を開始するために、不都合な部分を直そうとするものであります。
人事考課制度は、早くから民間企業においては当然のこととして適用されたものであり、公務員制度がぬるま湯のごとき職場環境と市民の間で風聞されていることを考えると、この適用は遅きに失したものとさえ思われるものであります。
今回の提案理由の中に、意欲的に仕事に取り組んでいる職員、成果を出している職員にこたえるためとありますが、民間では意欲のない社員、成果を出さない社員はボーナスが下げられたり、なかったりするのは当たり前で、時には失職の憂き目に遭うことさえあります。
江別市の今回の適用は、勤勉手当のみ、しかも課長職以上が対象とされるとのことであります。民間では全社員、全従業員がその適用対象となっており、今般、不十分と考えますが一歩を踏み出したことは評価するものであります。
市民から給料をいただいている以上は、市民が主役であり、市民の皆さんにありがとうの精神で市民のために全力を挙げて働く職員像を目指してもらいたいと思います。
他方、初めての試みでもありますので、職員の間にマイナス評価を恐れていしゅくする気持ちが入り込まないか懸念するところでもあります。失敗を恐れず、上司を越えてでも市民のために仕事をする職員を育てる気風をどのように人事考課制度の中に植え付けるかを今後の課題として、新しい制度の成長を期待しつつ委員長報告に賛成といたします。
議長(岡村繁美君)
ほかに討論ありませんか。
堀内城君
議案第76号 江別市職員の給与に関する条例の一部を改正する条例の制定について、賛成の立場で討論します。
本条例改正は、職員の人材育成やマネジメント能力向上、コミュニケーションの活発化を目的に試行を経て、管理職について考課制度を導入するもので、本年12月支給の勤勉手当から相対人数割合により10%の範囲内でその成績率を加味し、当分の間5%の増減で実施しようとするものでございます。
そもそも民間企業の営利追求や販売向上には効果を発揮する場面もあるが、公務労働に成果主義がなじむかの素朴な疑問もあります。しかし、日常の業務について目的意識を持って取り組み、職場での研さんやお互いに評価し合うことは重要であり、日常的に必要なことであります。
この場合、公平性、公正性、客観性、透明性、信頼性と納得性が担保され、結果として意欲のじゃっ起と向上につながることが重要であり、審査を踏まえて以下の問題点を指摘するものでございます。
第1点は、市職員の業務は多種多様で、目標設定などの客観的基準が不明確であり、また目標設定の高低によって評価ランクが変動し、考課者の見た目や感覚に左右されやすく、公正・公平性に欠けることから基準の統一化が必要です。
第2点は、2段階の評価があるとはいえ、結果として上司による一面的な評価になりやすく、多面的な評価システムを考慮すべきであります。
第3点は、絶対評価結果の点数分布は全員に、また考課シートや目標管理考課表の点数は1次考課者を通じ積極的に本人に公表し、透明性を確保すべきであります。
第4点は、行政委員会等について長との相談等が不可欠であります。次に、絶対評価を相対評価に置き換える処遇反映制度、つまり5段階による役職ごとの人数配分については極めて重大な問題があります。人数割合による相対評価ゆえに、絶対評価で平均点以上の成績であっても、下位の成績者がいなければランクは下位に位置付けられます。これが被考課者に対し成績率の結果が説明できず、機械的でかつ不透明とならざるを得ません。
この相対評価制度は、透明性、信頼性、納得性に欠け、結果としてチームワークや働く意欲を失わせ、制度の目的を失うものであり、この要因は当初から予算を限定したことに起因するものであります。相対評価の手法は、既に教育現場でも消滅しつつあり、また民間企業でも加点主義、能力主義を取り入れているところが多いのが現実であります。
質疑の中で指摘の点は、可能な限り不利にならないよう人数割合など制度の見直し時点で検討したいとの答弁がされたが、管理職の理解を得る努力と検証を行い、さらに人数割合の緩和と弾力運用を強く求め、賛成討論といたします。
以上です。
議長(岡村繁美君)
ほかに討論ありませんか。
(「なし」の声あり)
これをもって討論を終結いたします。
これより議案第76号を起立により採決いたします。
議案第76号は、委員長報告のとおり、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
(賛成者起立)
起立多数であります。
よって、原案のとおり決しました。