平成17年第3回江別市議会会議録(第3号)平成17年9月22日 6ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
議長(岡村繁美君)
以上をもって、伊藤議員の一般質問を終結いたします。
一般質問を続行いたします。
齊藤佐知子議員の自動体外式除細動器(AED)についてほか3件についての質問を許します。通告時間30分。
齊藤佐知子君
議長より発言の許可をいただきましたので、通告に従いまして順次質問してまいります。
初めに、消防行政についてです。
1点目に、自動体外式除細動器(AED)について伺います。
2002年11月に、カナダ大使館で起こった高円宮殿下のスカッシュ練習中の心臓突然死、同月の福知山マラソン中に58歳と59歳の男性、名古屋シティマラソン中に58歳の男性が心臓突然死で死亡する事故があったことは、皆さんも記憶にあるかと思います。
元兵庫県立健康センターの河村所長によりますと、1998年から2年間に大阪府内で発生した病院外心停止症例1万139例のデータを見ると、男性では50歳代、60歳代、70歳代の病院外心停止が多く見られ、女性では80歳代まで年齢とともに増加しているとのこと。早期除細動の対象となる救急隊到着時の現場心電図で心室除細動の発生数を見ると、50歳代、60歳代、70歳代の男性に極めて多く、特に50歳代の男性は同年代の女性と比較して6倍の発生頻度の差が見られ、こうしたデータからもAEDによる早期除細動は50歳から60歳代の働き盛りの男性の心臓突然死対策と言えるとも言われております。
2000年に発表された米国心臓協会(AHA)心肺そ生法国際ガイドラインでは、目撃された心臓突然死患者の現場心電図の大部分が心室細動であるという疫学的根拠に基づいた最も有効な救命法が述べられております。心臓突然死患者の救命率は、心肺停止から除細動までの時間が1分遅れるごとに7%から10%低下し、心肺停止から12分以上経過すると、その救命率は2%ないし5%にすぎないと言われております。成人心臓突然死患者を救命できるかどうかの唯一かつ最大の有効手段であると言われております。
我が国において、心疾患による年間死亡者数は年々増加し、病院外心停止の発生件数は年間2万人から3万人と言われております。こうした中、心停止患者の救命率向上のために、厚生労働省が昨年7月から救急隊員の到着までの間、現場に居合わせた非医療従事者である一般の人にもAEDの使用を認める方針を決定し、通知いたしました。
AEDの開発により、心室細動の自動認識精度には絶対的信頼があり、その小型軽量化は救急現場での早期除細動が容易になり、従来煩雑であった保守点検が不要で、駅や公共施設、集客施設に設置することができるようになりました。地域社会における心臓突然死患者の救命には、通報を受けてから除細動まで5分以内に行える救急医療体制が勧告されております。AEDは自動認識し、除細動が可能である粗い心室細動を維持するためには、すぐ隣の人(バイスタンダー)による1人で行う心肺そ生法をはじめとする一次救命処置の社会普及がなお一層重要になっております。
AEDは、心室細動を自動認識し、音声による指示があれば、通電ボタンを押すだけの簡単な操作の装置です。突然死の死因のほとんどが、心臓疾患であり、その大部分は心室細動という症状です。心臓はきちんと収縮を繰り返すことによって脳や全身に血液を送り出して命を保っているのですが、心室細動という心臓自体がけいれんを起こして、心停止状態になり、血液を送り出せなくなると、4分以内に脳に障がいが発生し、12分後にはほとんどの人が死に至ります。AEDはこうした事態に際し、心臓に電気ショックを与え、心拍を正常な状態に戻します。素早い対応が命を救い、脳や全身への血流が再開され、後遺症も少なく、社会復帰の道につながります。
以上述べましたが、一つ目に、スポーツ中などの突然死などへの対応として、体育施設や市役所など多くの市民が来庁される公共施設へAEDを設置すべきと考えます。大切な市民の命を守るためにも、AEDの普及について市長のお考えをお聞かせください。
二つ目に、AEDの使用方法自体は、先ほどもお話ししましたが音声ガイドに従ってすれば良いので一般市民でも簡単に操作ができます。しかし、いざというときに、使用時の注意事項を守りながら冷静にAEDを実行するには事前の講習が必要です。人工呼吸や心臓マッサージなどの心肺そ生法とともに、市民を対象としたAEDの講習を組み込んでいくべきと考えますが、市長のお考えをお聞かせください。
次に、教育行政についてお伺いいたします。
1点目に、学校選択制の評価についてお伺いいたします。
子供たちが朝、目を覚ましたとき行きたくなる学校を目指して、本年4月より学校選択制がスタートをして半年がたちました。当初、きぐされていた小規模学校がとうたされるなどの声があり、私どもが調査したところ、角山小中学校では学校選択制により中学校の入学希望者が3人増えて、複式学級だったのが単式学級が認められ、各学年ごとにクラスができたと喜ばれておりました。そして、このことにより、小中兼任で教頭先生が1人だったのが、中学校専任の教頭先生が配置されたこと、体育、美術、音楽、技術など、より専門の教師を確保できるようになり、子供たちの教育環境が良くなったとお話しされておりました。
また、小中一体の学校環境を生かし、小中連携教育が可能であり、授業の面でも中学校の先生が小学校の算数や英語を教えるとか、逆に小学校の先生で数学、理科の免許のある先生が中学校に行って教えるなど、子供たちが理解できる授業体制を考えることができる。また、指導の面でも、小中連携の中で情報交換が可能であること、小規模学校の良さを発揮して学校運営をなされていることに大変評価するところです。
ここで質問いたします。
一つ目に、学校選択制になると小規模学校がとうたされるなどと様々な議論がありましたが、今お話ししたように、角山小中学校の現状は学校の特徴を生かし学校運営をされていると評価し、子供の可能性を伸ばすものと考えております。教育長は、学校選択制1年目をどのように評価されるのか、ご見解をお伺いいたします。
二つ目に、決して小さいから駄目とか、大きいから良いとかのことではなく、子供たちが自ら選択して行く意義を踏まえて、現在は隣接校のみですが、地域を限定するのではなく、今後選択区域の拡大についてどのようにお考えか、お聞かせください。様々な課題については十分配慮しつつ、選択の自由度はあっても良いかと考えますが、教育長のご見解をお聞かせください。
2点目に、小中一貫教育についてお伺いいたします。
品川区では、同じ義務教育でありながら、小中学校間に存在する学力観や指導観、広い意味での教育観の違いを是正し、子供たちから学習上の負担を取り除くとともに、人間形成上の連続性を持たせることをねらいとして小中一貫教育がスタートしております。小中一貫教育では、子供一人ひとりに適した学び方で学力を伸ばすこと、自らの生き方を主体的に切り開くための知識や智恵を身に付けさせることを柱として、小中学校の一体化を図ることになります。
9年間という長くゆとりのある教育課程を、子供が学習指導要領に合わせるのではなく、子供の状況に学習指導要領を合わせるといった考え方で、柔軟に編成しているとのことです。9年間の教育に一貫性を持たせながらも、心理的、身体的な発達あるいは成長にかかわる変化など、品川区の子供の状況が5年生ころを境に大きく変化していることから、大きく分けて第1学年から第4学年と、第5学年から第9学年の二つのまとまりで編成しているとのことです。
前半は、子供と教師の信頼関係を築くことを大切にしながら、基礎・基本の徹底に重点を置いて、後半は、教科や学習内容の選択の幅を増やしたり、個々の学習の習得状況に合わせて選べるようにするなど、子供の個性、能力を十分に伸ばすことができる編成を工夫するとともに、不登校や問題行動の発生率が高くなる最後の第8学年、第9学年では、画一的な指導ではなく個に応じた指導が徹底できるよう、各教科の内容を編成し直しているとのことです。
昨今、中学生の非行、犯罪がマスコミ等で報道されるたびに、悲しく残念でなりません。ある識者によると、以前は勉強などから落ちこぼれた子供が犯罪を犯すのが一般的で、ある意味で犯罪に走る子供は特定しやすい状況にあったが、今は逆に一見目立たない、どこにでもいるような子供が重大な事件を起こしている。社会になじめないことが強く影響しているとの指摘もあります。
自分の感情をコントロールできなくなっている子供が多く、また、その以前の問題行動がありながら、そばにいる大人がしっかりと対応できなくなっていることに、子供は自分の行動に歯止めがきかなくなっているのではないでしょうか。高校に進学しても、将来の夢や希望もなく、意欲もうせているため、1学期中に相当数退学してしまう子供たち、幼児期を経て、小学校、中学校と9年間の義務教育期間は、子供たちにとって新たな社会生活であり、友達や先生との新たな出会いがあって人格形成もなされていく大切な期間であると考えます。
先ほど、角山小中学校のお話もさせていただいたところですが、教員の交流も含め、小中連携した教育の重要性があり、今後の教育の在り方として小中一貫教育の必要性があると考えるところです。教育長のご見解をお伺いいたします。
最後に、福祉行政についてです。
病児保育について伺います。
現在、仕事の多様化に伴い、保護者の働き方が変化し、責任ある職に就いたり、ひとり親家庭であったり、お子さんが病気のときどうしても仕事を休めない場合に、医療機関でお子さんを預かり、保育を行い、就労支援する病児保育事業があります。
私たち会派で8月に行かせていただいた品川区の病児保育の例をご紹介いたしますと、本年2月より病児保育がスタートし、働くお母さんたちから大変に喜ばれております。同区の病児保育は、区内在住者が対象で、保育園や幼稚園に通う生後6か月以上就学前までの子供が病気になった保護者が、就労のために家庭で看護できない場合に利用できます。1日の利用定員は4人で、保育士1人と看護師1人、パートが1人で保育、看護に当たるほか、医師が診察も行います。入院加療が必要な場合や感染力の高い病気の急性期は利用できません。平日の朝8時半から夜6時までで、利用期間は7日以内で1日2,000円とのことです。現在は1施設ですが、今後委託先を増やすことを検討しているとしています。
また、鹿児島の志布志町では、小児科の診療所の隣に病気の子供を預かり、父母の就業を手助けする病児保育施設慈幼堂が本年4月よりオープンいたしました。ここの対象は、小学校3年生までの子供で、様々な病気中の子供のほか、病状のピークを過ぎたものの安静が必要な状態などのお子さんです。ここでは、専任の保育士3人と担当看護師が対応しているとのことです。院長先生は、子供の病気は1日で完治するものでもなく、母親が1週間仕事を休めば大きな収入減になる。休みを受け入れる企業、会社の整備が急務ではあるが、現状は小さい子供を持つ母親は働きたくても働けない状況にあると、施設を設立した意義をおっしゃっております。
江別市においても、様々な状況で働くお母さんが増えている中で、子供が病気になったときに安心して預けられるところが欲しいとの声があり、病児保育の実現は子育て対策の一環として大切な事業と考えます。
また、少子対策の一つとして、私たち公明党のチャイルドファースト(子供優先)社会の考え方に沿ったものであり、重要と考えます。市長のお考えをお聞かせください。
以上で、1回目の質問を終わります。