平成17年第3回江別市議会会議録(第2号)平成17年9月21日 11ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
副議長(小玉豊治君)
休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問を続行いたします。
高橋典子議員の行政改革についてほか3件についての質問を許します。通告時間30分。
高橋典子君
それでは、通告に従い順次質問してまいりますので、ご答弁の方よろしくお願いいたします。
まず、今年6月21日に閣議決定された経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005、いわゆる骨太の方針2005についてお伺いいたします。
項目によっては、第2回定例会で森好議員の行った質問と重なる点もあるかと思いますが、小泉首相が改革のスピードを速めると発言するのを聞き、非常に大きな不安を感じましたので、特に地方自治体に直接かかわる項目について取り上げ、質問させていただきます。
この間の流れについてですが、まず今年3月、前回の定例会で取り上げられた新地方行革指針が総務省から出され、従来を上回る給与、人件費の徹底した削減と公共サービスの民営化、市場化が強調されました。その後、2030年、これから四半世紀後の日本と地方自治の形について示した日本21世紀ビジョンが内閣府より発行され、6月に骨太の方針2005が出されています。
これらの文書は相互に関係しており、日本21世紀ビジョンは政府の長期戦略という位置付けであり、新地方行革指針や骨太の方針2005などが示す方向が徹底的に推し進められた後に来る25年後の日本社会、地方自治の全体像など、政府の目指す目標が示されており、当然、政府の策定する各方針は日本21世紀ビジョンを念頭に置いて策定されていくものとなっています。
こうしたこの間のいきさつから、一部日本21世紀ビジョンの内容も絡めながら、骨太の方針2005に示された内容について、市長の見解をお伺いいたします。
まず、市町村合併についてお聞きいたします。
この問題については、今年3月末までの合併特例法の期限内には、当市としては他自治体との合併は行わない、その後においては、諸制度の動きなどを見極めながら、江別にとって何がベストか市民と議論しながら方向性を選択していくとの姿勢を、これまで示してこられたところです。
このたび発表された骨太の方針2005では、第2章「小さくて効率的な政府」のための3つの変革の中で、税源移譲や国庫補助負担金改革、地方債の協議制度の移行などについて触れながら、平成18年度までの三位一体の改革の成果を踏まえつつ、地方分権を更に推進する。また、市町村合併を引き続き強力に推進するとともに、将来の道州制の導入に関する検討を引き続き進めるとしています。今後、さらに国から市町村合併の指導がなされるのではないかときぐするところですが、この問題についてどのような姿勢で臨まれるのか、お伺いいたします。
次に、市場化テストについてお伺いいたします。
骨太の方針2005では、公共サービスの効率化を図るため、市場化テストの本格的導入による官業の徹底的な民間開放として、公共サービスの質の維持向上、経費の削減等に資するよう、仮称「公共サービス効率化法(市場化テスト法)案」を今年度中に国会提出するよう速やかに準備するとしており、法案の成立により、地方自治体でも市場化テストが本格的に導入されることになると、研究者などが警戒しているところです。
既に、都道府県レベルあるいは東京都下の自治体においては検討が始められているところがありますし、大阪府では導入のためのガイドラインが作られております。いずれも当市とは余りにも規模の違うところでの話ですが、法案成立後、一気に加速するのではないかとも言われているところです。当市の規模でどのようなことが考えられるのか見当もつきませんが、どのように対応しようとされているのか、検討されておりましたらお聞かせいただきたいと思います。
次に、公務員の総人件費改革に関してお伺いいたします。
この件については、前回の森好議員の質問と重なりますが、骨太の方針2005において、新地方行革指針の定員純減目標を達成すること、退職者の補充を極力抑制すること、公務員賃金体系を成果主義へ移行すること、給与について地域の民間給与水準を反映させることなどが示されています。当市はこの間、急激な職員の定員削減を行っており、年齢構成上のバランスや職員としての経験の蓄積、次から次へと変わる制度への対応など考えると、これ以上の削減はするべきではないと思いますが、いかがお考えかお伺いしたいと思います。
次に、医療政策を所管する組織の必要性について、見解をお伺いしたいと思います。
骨太の方針2005には、持続的な社会保障制度の構築と表現されておりますが、つまり社会保障給付を抑制することを意味しており、医療制度の抜本改正を通じ、老人医療費を圧縮することが前提となっています。健康的な生活環境が保障され、早期発見・早期治療で医療費が少なくなるのならいいのですが、この間の医療改革の流れは、具合が悪くても病院に行くのを我慢させる方向に改悪されてきています。
日本21世紀ビジョンも併せて見れば、健康維持と病気予防を進めるという言葉の裏に、自己選択と自己負担の考え方が見えてきます。健康維持については、民間の健康維持クラブの発展を視野に入れた健康サービスの提供などといったことが示されており、将来は保健事業についても公的責任の後退が計画され、健康維持もお金次第かと暗たんたる気持ちにさせられました。
いずれにしろ、既に当面の医療制度改革は断行すると骨太方針2005に示されております。この間、当市の市立病院においては、経営健全の努力が行われてきているところですが、医療制度改革にほんろうされ、病院だけが矢面に立たされている感があります。さらに今後計画されている制度改革も、受診抑制を生み出しかねない方向にあり、市立病院の経営に大きな影響を与えることは十分予想され、こうした状況を乗り切るためにも、保健・福祉・介護等を含め総合的に当市の医療政策を考える組織を市長部局内に置き、対応していく必要があると考えますが、いかがでしょうか、見解をお聞かせください。
次に、介護保険制度の見直しにかかわる問題についてお伺いいたします。
さきの国会で、改正介護保険法が成立し、今年10月から食費、居住費、ショートステイの滞在費を自己負担化、来年4月以降の新予防給付など、多くの高齢者と家族、介護事業所、保険者である自治体が様々な不安と疑問を持ったまま、改定介護保険は開始されようとしています。
一部負担軽減策が盛り込まれてはいるものの、持続可能な制度のためと言いながら、給付抑制へ制度自体が大きく転換し、制度導入当初言われていた介護の社会化とは程遠いものに変質させられてしまっているとしか見えません。市内のあるデイサービスの現場では、10月以降は一月単位で、食事を配食業者に注文するかどうか希望を取る形にするとのことで、注文せずに家から持参する方も出てくるだろうと予想されているとのことでした。
これまでデイサービスで食事をとることにより、栄養のバランスをとったり、高齢期の食事について身に付けていったり、利用者同士の団らんの場となるなど、いろいろな効果があるから、これまで食事についても保険給付の対象となっていたと考えるのですが、食材料費、調理費は利用者に負担させるというのは、介護保険の役割が大きく後退させられた一例だと思います。
現在、第3期事業計画について検討されているところでありますが、この新制度の下で、当市としていかに市民の生活を守る立場で介護保険制度を運営していくか、大きく問われるものと考え、何点かにわたり質問させていただきます。
まず、低所得者対策についてお伺いいたします。
保険料について、当市ではこれまで第2段階の方のうち単身世帯で年収120万円以下、2人世帯で160万円以下などの所得の少ない方に対し、申請により第1段階と同様とする減免が行われてきたところです。今回、国が新たに定めた所得段階の区分の仕方は、旧第2段階を二つに分け、全体で6段階とし、新第2段階の保険料は第1段階と同様、基準額に0.5を乗じた額とするものですが、その内容を見ると対象者は市町村民税非課税世帯、高齢者本人の年金収入が80万円以下であり、年金以外に所得がない者とするなど、生活保護基準以下の厳しい水準で線引きがされています。
当市がこれまで行ってきた減免基準との間に差が生じることとなりますが、市としてこれをどのようにお考えでしょうか。これまでの基準は、江別市なりに合理性のあるところで基準を設けていたことと考えますし、所得段階区分の設定の仕方は大きな影響のあるところです。市民の厳しい生活実態を考えるならこれ以上の改悪は行わず、市民の負担が少しでも軽く済むよう配慮すべきと考えますが、どのようにお考えかお伺いいたします。
利用料の軽減措置に関しては先ほど一部触れましたが、食費や居住費等が自己負担となることは、利用者にとって大きな負担増となってのし掛かってきます。来月からスタートするとのことですので、既に対策をとっていなければ間に合わないことではありますが、もし何らかのお考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。また、その後においても第3期事業計画の中で独自の軽減策をとるお考えはないのか、お聞かせいただきたいと思います。
また、国は低所得者へは負担限度額を設け、施設に対し補足給付を行う形で対応しようとしていますが、訪問、通所系サービスは対象となりません。これらのサービスについては、社会福祉法人による利用者負担軽減制度を活用することとしていますが、その内容自体、減額割合は第1段階の方が2分の1であるほかは4分の1の減額でしかなく、対象者の要件に預貯金の額や資産の活用など、より厳しい条件が付けられ、お墓やお葬式代もとっておけないものであり、問題があるものと思いますが、さらに、この制度は、社会福祉法人しか対象になっていないという問題点もあります。
現在、これらのサービスは社会福祉法人のみならずNPO法人や株式会社等においても提供されており、市民がどの事業所のサービスを利用しても同じように負担軽減されるよう、市独自の対策をとるべきであると考えますが、そうした意欲をお持ちかどうかお伺いいたします。
次に、新予防給付についてお伺いいたします。
新制度では、介護度の軽い方たちに対し、サービスを利用することで状態が悪化するとか、軽度者へのサービスは維持、改善につながっていない、ヘルパーの家事代行は本人の自立を妨げるなどとして、サービスの内容が大きく変更され、予防重視型システムへの転換として新予防給付や地域支援事業が行われることとなりました。このこと自体、要介護者を縮減する目標数値が先に立ち、介護予防効果の実証やモデル事業の検証などが十分行われないまま、国は見切り発車してしまったと批判のあるところです。
ところで、この新予防給付は、自治体で実施することについては、準備が整わない場合は2年間の猶予措置が可能となっています。当市において実施する際には、これまで行われてきたこれに該当する事業がどの程度の効果があったのか、その後の変化はどうか、それ以外の方法でより少ない費用で効果の上がるものに置き換えられないか、高齢者ご本人にとって何が必要なのかといったことなど、高齢者の生活の実態に即して十分検討し、準備を行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。