平成17年第3回江別市議会会議録(第2号)平成17年9月21日 8ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
議長(岡村繁美君)
山本議員、要望ということでお伝えさせていただきます。
以上をもって、山本議員の一般質問を終結いたします。
一般質問を続行いたします。
宮川正子議員の福祉行政についてほか1件についての質問を許します。通告時間30分。
宮川正子君
ただいま議長より発言の許可をいただきましたので、通告に従い順次質問させていただきます。
初めに、成年後見制度についてお伺いします。
最近のニュースで、埼玉県富士見市の認知症の姉妹が、19社もの悪質リフォーム関連業者に不要な架空工事を繰り返され、約5,000万円の被害を被った事件が報道されていました。私のところに来るご相談の中にも、似たようなものがあります。高齢者をターゲットにした訪問販売による健康食品や布団の販売などで、支払能力を超えた何十万円もするものをクレジット契約しています。クレジット取引は、クレジット申込書を加盟店にあらかじめ備付けさせ、クレジット契約の一切を加盟店に任せています。悪質業者は、このシステムを悪用しています。
最近受けたご相談も、クレジットの申込書を業者が書いて、判子だけ高齢者に押させたそうです。認知症などで判断能力の減退した高齢者は特に被害に遭いやすく、訪問販売などの格好の標的になって、何度でもやって来ます。このような人たちを訪問販売被害から守る役割を果たす制度として、成年後見制度があります。
成年後見制度は、認知症や知的障がい、精神障がいなどの理由で判断能力が十分でない人の財産や契約を保護する制度です。親族や第三者などが後見人となり、不動産や預貯金などの財産管理や生活上の契約を代理するとともに、本人が行った契約でも、それが本人にとって不利益な契約であれば、解約できる権限があります。制度は大別して、本人の判断能力があるうちに後見人を選ぶ任意後見と、本人の判断能力が欠けている、あるいは不十分な場合に、四親等内の親族などの申立てにより、家庭裁判所が選ぶ法定後見の二つがあります。身寄りのない人の場合、市町村長が申立てを行うことができます。
介護保険の導入によって、福祉サービスは旧来の措置制度から利用者自らサービスを選択決定する契約制度と、大転換が図られました。その介護保険と車の両輪としてスタートしたのが成年後見制度です。サービスを受ける対象者が当事者能力を失ったときは、後見人を通して契約をするために、自己決定が難しい、判断能力の不十分な人の権利を守る仕組みとして重要な意義を持ちます。リフォーム詐欺などの悪徳商法との関係で言えば、後見人がいれば、本人が悪徳業者と結んだ契約でも解約が可能です。
しかし、残念ながら成年後見制度は普及していません。認知症高齢者は現在169万人と推定されていますが、2004年度の成年後見制度の申立て件数は、最高裁判所事務総局家庭局の発表によると1万7,246件と極めて少ないものです。
制度が普及しなかったのには理由があります。第1には、PRが不足していて、そもそも制度が知られていないという現実があります。第2として、費用が高い点です。制度の利用を申し立てるのに、本人の判断能力を確認する医師の鑑定料などで5万円から10万円程度が必要な上、第三者が後見人となるケースでは、月数万円程度の報酬を求められることが多いとのことです。また、制度の内容が複雑で分かりにくい、実際に利用するのに時間と手間が掛かる。また、相談窓口が十分に整備されていない等などです。
一方、自治体や民間団体から成年後見制度を普及させる様々な試みが始まっています。東京都内の調布市、日野市、狛江市、多摩市、稲城市の5市は2003年7月、共同で多摩南部成年後見センターを設立し、身寄りも資産もない高齢者などを対象に、センター自らが法人として後見人となり、低料金で後見サービスを提供しています。
また、現在、国におきまして、介護保険サービスの利用等の観点から、認知症高齢者にとって成年後見制度の利用が有効にもかかわらず、制度の理解不足や経費負担が困難等で利用が進まない事態に陥らないため、市町村が行う成年後見制度の利用を支援するため、平成13年度から成年後見制度利用支援事業を実施しております。また、平成14年度から利用対象者に知的障がい者が加わりました。
この事業は、市町村が行う成年後見制度利用促進のための広報普及活動の実施や、後見人等の申立てに要する登録料、鑑定料等や後見人の報酬に対して国が助成する事業です。利用できる方は、介護保険サービス又は障がい者福祉サービスを利用し、又は利用しようとする身寄りのない重度の認知症の高齢者、知的障がい者の方等です。
この事業を市町村が実施するにつき、国が2分の1、道が4分の1、市町村が4分の1の負担割合で補助金を付けることになっています。しかし、実際に実施している市町村は、2004年度4月現在で616市町村、全市町村のわずか19.7%にすぎません。北海道においては7市町で、北広島市、富良野市、苫小牧市、釧路市、斜里町、音更町、芽室町の4市3町です。
厚生労働省の推計では、認知症高齢者は2030年には353万人に増加すると予測されています。成年後見制度は、これからの超高齢化社会になくてはならない仕組みです。高齢者や障がい者にとって身近な制度となるよう、普及に向けた実効性のある工夫と対策が望まれます。
以上のことから、1点目として、江別市においては、成年後見制度のスタート以来、余り利用がないとお聞きしていますが、利用促進を図るためにどのようにお考えなのかお聞かせください。
第2点目として、高齢者が安心して地域で暮らしていけるよう、自治体が法的支援を必要とする人を早期に発見し、所得に関係なく、すべての人が利用しやすいよう、是非、江別市としても成年後見制度利用支援事業を活用していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
続きまして、障がい者の方の親亡き後の支援についてお伺いします。
江別市障がい者福祉計画の中に、知的障がいの子供さんをお持ちの方が、市への要望としてこのようにありました。子供は将来どこまで自立できるのか、また、身体的にどのような障がいを持ってしまうのか等々不安はたくさんあります。現在、親がすべての面で一緒にいられる状況ですが、年を取ったり病気になったり等で親が面倒を見られなくなったときのためにも、支援、援助のベースづくりに手を抜くことなく進めてほしいと願っていますと。
また、精神障がいの方は、親が高齢ゆえ亡き後が心配で、施設等、また、その他良い方法があればと願っています。一人では生きていけないと思う。江別市では予算はないでしょうが、何とか親の心配を知っていただきたいと思いますとありました。
障がいのある子をお持ちの皆さんは、自分が亡くなった後、障がいのある子を養護することができなくなったときのことを一様に心配されています。その他兄弟がいたとしても、それぞれ自分の家庭があり、親亡き後、兄弟が障がいのある兄弟を養護することは容易なことではありません。
また、障がい者関連の福祉とサービスが、2003年度から介護保険と同じように措置制度から支援制度になり、これに伴い自分で福祉サービスの選択、契約するのが困難な障がい者をサポートする体制の整備が必要となり、こうした課題にこたえるため、横浜市では成年後見制度を踏まえ、横浜市後見的支援を要する障害者支援条例が制定されました。同条例は、障がい者を持つ親の、自分たちが死んだ後、この子はどのようになってしまうのかという深刻な不安にこたえるものです。
親亡き後、障がい者の方が地域社会の中で安心して暮らしていけるよう、総合的な対策を本格的に推し進めるため、行政の責務と決意を明確にしたものです。また、市民に対しても、共に生活する地域社会の一員として、後見的支援を要する障がい者が安心して生活を営むことができるように協力することを責務として明記しています。対象者は、福祉サービス等を選択して利用することができないこと、生活を営むことが困難である市内在住の障がい者であって、親等がいない、又は親等が養護を行うことができない者となっています。
市が実施すべき対策として、5項目にわたって明確にしています。
1、生活に関する相談、助言、指導など。2、成年後見制度を利用するための支援。3、地域で生活するのに必要な場と費用の確保。4、資産の保全、活用のための助言、あっせん。5、後見的支援を必要とする障がい者を持つ親のための相談、助言などを挙げています。
市は、知的障がい者が成年後見制度を利用するための費用の一部助成や、単身で生活する知的障がい者などへの自立生活アシスタント派遣モデル地域で実施しています。こうした取り組みを重ねながら、市は将来に対する親の不安を取り除くとともに、障がい者の社会的自立や生活の質の向上などの支援体制を整備しています。
以上のことから、質問の1点目として、障がい者施策は地域移行をうたっています。介護をしてもらっていた親を亡くしたなどにより、後見的支援を必要とする状況の障がいのある方に対する市の総合的支援策についてのお考えをお伺いいたします。
2点目として、本市におきましても、高齢化社会の進展に伴い、障がいを持つ子の親も高齢化している現状の中で、将来に対する親の不安を取り除くため、障がい者の社会的自立や生活の質の向上を図る上からも、行政の責務と決意を明確にした後見的支援を要する障害者支援条例を制定する必要があると考えますが、市長のお考えをお伺いいたします。
続きまして、公衆浴場が減少し、入浴に苦労されている方についてお伺いいたします。
つい先日、このようなご相談を受けました。その方は野幌団地にお住まいの高齢の方で、団地の近くにあった公衆浴場が営業をやめてから、少し離れた新栄団地の近くにあった公衆浴場に通っていたそうです。夏は歩いて15分ぐらい掛かり、冬はタクシーで通っていたそうですが、最近そこも営業をやめたことにより、更に遠くにある公衆浴場に、タクシー代が高く付くので、同じ団地の方と2人で曜日を打ち合わせて通っていたそうですが、一緒に通っていた方の子供さんが心配され、車で連れて行ってくれることになり、その方は一人となり、一人でタクシーに乗って行くとお金も掛かり、大変困っているとのことでした。
また、新栄団地の方もおふろがないので、近くの公衆浴場が営業をやめてから、自転車で10分ぐらいのところに通っているそうですが、冬はバスも通っていないため、歩くと15分以上掛かり、どうしようとおっしゃっていました。
市営住宅の当初の建設目的が住宅困窮者を対象としていたため、駐車場やおふろについては、当初、十分な配慮がなされていなかったことは、否めない事実であります。また、公衆浴場の近くには、おふろのないアパートも多数あります。
以上のことから、質問の1点目として、おふろのない市営住宅に関しましては、すぐにでも居住改善をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
2点目として、市民の衛生のためには、これ以上、空白地域を広げないために、昨年3月も地域の資源としての銭湯の利活用について質問させていただきましたが、公衆浴場の経営の支援でありますとか、また、公衆浴場減少により入浴に苦労されている方々に、居住支援、また公共施設の活用、福祉バスなど活用できないものか、総合的にご検討していただきたいと思いますが、市長のお考えをお聞かせください。
以上で1回目の質問を終わらせていただきます。