平成17年第2回江別市議会会議録(第2号)平成17年6月16日 8ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
副議長(小玉豊治君)
休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問を続行いたします。
宮川正子議員の防災についてほか2件についての質問を許します。通告時間30分。
宮川正子君
ただいま議長のお許しを得ましたので、通告に従い質問をさせていただきます。
初めに、防災対策についてお伺いいたします。
阪神・淡路大震災から10年、災害は忘れたころにやってくると言われていますが、忘れる間もなく新潟県中越地震が起きました。地震は今でも直前予知の可能性は難しく、不意打ちでやってきます。
テレビ画面に地震情報のテロップが流れると、いつも規模や被害状況が気になります。現在、日本は地震活動期の高い時期を迎えているとのことです。そんな中、また福岡県西方沖で地震が発生しました。地震による被害が跡を絶ちません。この地震は発生確率の低い地域で起きたことから、どこで地震が起きてもおかしくないと覚悟しなければ大変なことになると思い知らされました。
目黒公郎東大教授が監察医と連携した阪神・淡路大震災の被害調査によると、建造物被害は24万棟に及び、犠牲者の多くが倒壊した建物の下敷きになり、地震発生後の15分以内に9割以上の人が亡くなっているそうです。調査結果によれば、直接的な死因としては窒息死53.9%や圧死12.4%など、建物被害を原因とする犠牲者が全体の83.9%を占めていて、残りの犠牲者のほとんどは火事の現場で発見されていて、この中で焼け果てて直接的な死因が特定できない例を除く12.2%の犠牲者は生きている状態で火に襲われて亡くなっているそうですが、それは被災建物の下敷きで逃げ出せずに焼死しているそうです。
消火活動の問題の前に建物の問題があります。食べ物や水がなくて亡くなった人はほとんどいなく、衰弱、凍死という犠牲者が0.2%いるそうですが、この犠牲者の方々も先ほどの焼死者と同様、被災建物の下敷き状態で発見が遅れた結果だそうです。
以上の調査結果から明らかなように、いかに優れた対応システムも、地震が多発する危険性の高い日本における防災の最重要課題は建物の耐震補強と言えます。それをしない限り、人的被害を減らすことは不可能に思えます。
建物の耐震設計基準は、昭和56年6月の建築基準法施行令の改正から新基準が適用され、現在に至っていますが、それ以前に建設された建設物も数多く存在しています。阪神・淡路大震災においては多数の建設物の被害が出ましたが、その8割の建物が昭和56年以前に建設された耐震基準を満たさない古い建設物であったと言われています。このため、平成7年12月には建築物の耐震改修の促進に関する法律が施行され、耐震診断、耐震改修が促進されてきています。
千葉市におきましては、安全で災害に強いまちづくりの実現に向けて、市に登録した木造住宅耐震診断士による耐震診断を実施した場合、診断費用の一部を補助する制度を設けています。昭和56年5月31日以前に建築又は着工された在来の軸組み工法による木造住宅で、そして簡易耐震診断の総合評点が1.5未満のものに対してです。簡易耐震診断は、市の職員が1日5人の予約制で週3回行っているそうです。また、今年度5月より、千葉市耐震診断助成制度を利用した耐震診断の結果、総合評点が0.7未満の木造住宅を1.0以上になるよう耐震改修に要する補強工事の助成制度もスタートしています。
どのような災害であっても、被災者の最大のテーマは住宅であります。仮設住宅はあくまでも仮の住まいであり、個人が立ち直るには、まず住宅が第一です。また、最近、無料耐震診断などを口実に、不安をあおって契約を急がせる悪質商法も出回っているそうです。
そこで、1点目として、我が市においても耐震診断、また改修等の支援制度、融資制度を今後、耐震対策の強化策として導入すべきと考えますが、市長のお考えをお聞かせください。
続きまして、高齢者などの災害弱者の緊急対策についてお伺いいたします。
阪神・淡路大震災で犠牲になった方々の半数以上が自力で避難することができなかった高齢者や障がい者という、いわゆる災害弱者の方々でした。また、新潟県、福島県、福井県、四国等の集中豪雨による死者数の多くが70歳以上だった被害状況を踏まえ、中央防災会議において災害情報の伝達、高齢者の避難体制、河川堤防の安全性、局地的集中豪雨にかかわる予報体制について検証し、緊急度に応じて可能なものから改善処置を講じていくことになりました。
しかし、防災対策の難しさは、行政だけでは対応できない点にあります。通信網も交通網も寸断される危険性の高い大規模災害では、外部から救助に駆け付けるのは予想以上に困難になり、阪神・淡路大震災では消防や自衛隊などによって救助された人はほんの一部で、実際には多くが近郊住民の助け合いにより救助されています。ましてや、災害発生後の72時間以内と言われる緊急救助時期には、やはり近隣住民による助け合いが人命救助の大きなかなめになります。
災害はいつどこで遭うか分からない。災難なら畳の上でも死ぬとも言われていますが、台風16号が引き起こした高潮では、80歳の一人暮らしで足が不自由だった女性が自宅で水死されました。自宅で水死なんてと周りも憤りを隠せませんでした。
災害のたびに高齢者や障がい者への対策が叫ばれておりますが、残念ながら江別市の地域防災計画には、高齢者、障がい者などの災害弱者に対する避難救助に対する記載がありません。
新聞によりますと、豊田市では、本人の同意を得て登録し、災害時に支援してくれる人をあらかじめ定めておくといった災害時要援護者登録制度を設けています。この中では、個人情報に配慮するため、民生委員を通じて制度の周知を図るとか、対象者を一人暮らしの高齢者や在宅の要介護3から5の認定者、在宅の重度身障者などに限定するなどの方法をとっていると報道されていました。東京都荒川区では、いざというときに高齢者を背負って避難する、おんぶ隊が結成されています。
高齢者や障がい者のプライバシー保護という観点も絡むことから、非常に難しい面もあることも十分承知していますが、当事者はもちろん、家族、地域、社会福祉協議会、福祉関係者、NPOなど、それぞれよく事情を知っている窓口を中心とした支援体制の構築が不可欠であります。
新潟県中越地震に関して、多くの関係者が災害時の災害弱者の救援体制の確立の重要性を語っておられることから、第2点目として、高齢者、また障がい者等、災害要支援者に対して豊田市の災害時要援護者登録制度や荒川区のような具体的な取り組みが必要と考えますが、市長のお考えをお聞かせください。
続きまして、備蓄についてお伺いいたします。
恵庭市では、阪神・淡路大震災の教訓から、交通網が寸断され物流が途絶える可能性があるとのことで、平成9年度から平成13年度、5か年計画で備蓄をされているそうです。地震災害による震度6強を想定し、4,500人程度の被災者を想定し、食糧に関しては4,500人分、一日3食を3日分、4万500食、その他毛布、寝袋、簡易トイレ、救急箱、子供のおむつ、大人のおむつ、生理用品、ミルク、ほ乳瓶、ロールマット等を今まで1か所の倉庫に備蓄していましたが、平成14年度より備蓄ができるスペースのある小学校に分散して備蓄を始め、今のところ3か所ですが、これからも災害時、市の職員が駆け付けられなくても困らないよう分散備蓄を増やしていくとのことでした。粉ミルクなど賞味期限が早く切れそうなものは保育園等で利用し、食糧なども親子レクなどで防災の散らしと共に配り、防災に対する意識啓もうを行うなど有効利用されているとのことでした。
新潟県の地震でも、道路が寸断されて食糧がなく、飯をくれなどと道路や校庭に上空から見えるように書いてあったのをテレビで見ました。京都大学防災研究所の河田教授は、最近は農村部にもコンビニが発達し、野菜、穀物などの備蓄をしなくなったことも一時的な食糧不足の原因ではと推測されています。そして、3日後には食糧がどっと入るという状況でした。
また、被災者の方が真っ先に困ったのがトイレだったそうです。当然、今は水洗トイレで、身近なトイレはすべて使用不可となります。一番緊急性があるのに緊急配備が難しいものです。
以上のことから、3点目として、震度6強の地震が江別市で起きた場合、被災者は何人ぐらいとお考えでしょうか。
また、4点目として、江別市では市内の大手スーパー等と協定されているとのことですが、今までの地震を教訓に食糧や簡易トイレなどを各避難所に備蓄も必要と考えますが、市長のお考えをお聞かせください。
続きまして、震災業務支援システムについてですが、同システムは、市民の情報や市内の地理をデータベース化し、災害場所の状況や独居老人世帯の掌握をはじめ、義援金交付や災害貸付援護金などの被災支援業務を迅速に行うために、兵庫県西宮市が市独自で開発したものです。
1995年、阪神・淡路大震災時に立ち上げた同システムの運用により、情報を共有できるため、被災者のための税の減免など、あらゆる手続がスピーディーかつ正確に処理できたとのことでした。また、それを機に同システムに組み込まれた西宮市地図情報システム「道知る兵衛」で、災害発生現場の状況はもとより、直近の避難所、支援を必要とする障がい者や高齢者の所在地が地図上で即座に表示できる利点があります。
第5点目として、西宮市のように人の顔が見える地域イントラネットの構築が必要ではないかと思いますが、市長のお考えをお聞かせください。備えあれば憂いなしですので、よろしくお願いいたします。
続きまして、市民ローンについてお伺いいたします。
バブル崩壊後、日本はデフレ不況に陥り、リストラなどによる所得の減少、仕事の減少から、住宅ローンが納められない、また入学金、医療費など、まとまったお金を工面するのがなかなか困難な時代です。
そんな状況の中、簡単にすぐ借りられる消費者金融などに資金を求めて、多重債務に陥る悲劇が数多くあります。少し前も多重債務に陥った方からご相談を受けましたが、一番最初に借りた理由が子供の入学資金とのことでした。保証人を立てることができず、納期も迫り、消費者金融から借りたとのことで、とても残念に思いました。
東京都あきる野市では、平成13年度より一般市民向けに市民ローンを設けています。市民が生活の安定を図るために臨時的に支出する資金について、市民ローンを取り扱う金融機関に対し融資をあっせんしています。融資のあっせんを受けられる条件として、市内に1年以上居住していること、前年度の所得が750万円以下であること、市民税を滞納していないことの3点で、融資額は最低10万円から最高100万円で1万円単位です。保証人は不要で、保証機関の保証が適用され、保証機関の保証が受けられた方は保証料を市が負担します。
江別市においても、勤労者対象の貸付け制度や、社協が窓口で住民税非課税世帯や障がい者・高齢者世帯などを対象に生活福祉資金を貸し付けています。同資金は、目的別に9種類に分かれています。緊急小口資金以外は連帯保証人が必要です。今の世の中、兄弟も少なくなり、保証人を立てることは思った以上に大変です。また、対象者を限定するのではなく、もっと広げて一般市民だれもが借りられるような貸付けが必要と思います。
私は、消費者金融に手を出して被害を拡大させるケースを見るたびに、市民に対する何らかの経済的なセーフティ・ネット対策が必要と感じます。是非、あきる野市のような一般市民のローンを創設していただきたく思いますが、市長のお考えをお聞かせください。
続きまして、健康保険証についてですが、平成13年度に健康保険法施行規則等の一部を改正する省令が施行されて、国民健康保険証を1人1枚ずつのカード様式として交付できるようになりました。世帯単位の保険証だと、出張や宿泊に伴う旅行などに携帯したいが、他の家族が利用する可能性を考えると、コピーを持ち歩く。また、子供が進学で親元を離れて暮らす場合には、遠隔地用の保険証を発行してもらわなければならない。個人単位だと、このような煩わしさが解消されます。市民の利便性を考えますと早期導入を望むものでありますが、どのように取り組まれておられるのか、お伺いいたします。
次に、市の収入対策として有料広告の拡大についてお伺いいたします。
横浜市では、新たな財源確保のために、市の様々な資産を広告媒体として活用する取り組みを行っています。今年3月から、市が市民へ送付する郵便物の封筒の一部に広告の掲載を始めました。また、ホームページでバナー広告を出す自治体も増えてきています。安いコストで運営が可能であり、行政にとっても地場産業の振興につながり、企業にとっては情報を容易に更新でき、安く提供できます。
また、ごみ分別のパンフレット、案内標識、公共施設などに広告を掲載している自治体もあります。
公共性や品性を損なわないことを条件に、江別市においても、厳しい財政状況の中、新たな財源にするとともに、市の活性化のためにあらゆる角度から有料広告の拡大を検討すべきと思いますが、市長のお考えをお聞かせください。
以上で1回目の質問を終わります。