平成17年第2回江別市議会会議録(第2号)平成17年6月16日 6ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
議長(岡村繁美君)
以上をもって、森好議員の一般質問を終結いたします。
一般質問を続行いたします。
島田泰美議員の教育行政についてほか1件についての質問を許します。通告時間30分。
島田泰美君
ただいま議長より発言の許可をいただきましたので、通告に従いまして順次質問をさせていただきます。
今年度より会派構成が変わり、7名の最大会派となりましたが、同時にその責任の重さを痛感しているところでございます。 江別市のために、そして市民のために今何をしなければならないのか、私どもの会派はその一念のために議会活動を展開してまいりますので、今後ともよろしくお願いを申し上げます。
また、このたびの質問事項につきましては、私の所属している委員会にすべて関連しておりますし、また本定例会に提案されている案件もありますことから、大綱にとどめておきたいと思います。
それでは、初めに、ゆとり教育見直しについてお伺いします。
ゆとり教育が教育現場に導入されてから久しくなりますが、今ここに来て、文部科学省の要請により、その見直しがなされようとしています。この背景には、昨年の12月に公表されたOECD(経済協力開発機構)の国際学力調査から、日本の子供たちは学力低下の傾向にあるという結果が出たからであります。
このゆとり教育については、人それぞれによって評価の仕方が違いますが、毎日新聞の調査によりますと、ゆとり教育を評価すると答えた人が24%、評価しないが65%というアンケート結果が出たそうです。また、ゆとり教育の見直しについては、賛成が32%、反対が20%、もう少し成果を見極めるべきだが36%となり、結果的に過半数の人が、ゆとり教育見直しについては慎重な意見を持っているという見方がうかがえます。
しかし、全国的にこのゆとり教育が導入されてからは学力の二極化傾向が現れ、できる子、できない子の差が顕著に出るようになり、それは学級や学校内というより、むしろ学校間や地域間で広がりつつあると言われています。
授業数の削減により、不安を感じた親が家庭や塾での学習に頼るほかにない状況となり、親の経済力も影響して、更に成績が上位と下位に二分化される傾向にあると言われ、実際に学習塾等の新設が増えてきているところでございます。
このゆとり教育の経緯は、初等・中等教育において加熱する受験戦争や、学校教育が知識だけの詰め込み教育となることへの批判に対応するため、当時の文部省諮問機関の中教審が昭和51年12月に答申をしており、学習内容や授業時間数の削減を提言したことによって始まり、以降、学習指導要領の全部改正となり、昭和55年度から実施されたところでございます。
さらに、平成元年にも学習指導要領の改正があり、平成4年には第2土曜日が休日に、加えて平成7年から第4土曜日も休日となったところです。昭和43年のピーク時には小学校6年生の年間授業時間数は1,085時間でしたが、この改正により、平成10年においては945時間にまで削減されてきています。また、平成14年度からは更に完全学校週5日制となり、総合的な学習の時間が新設され、その2年後の国際学力調査によって日本の子供たちの学力低下が指摘され、今日に至っているところでございます。
特に、平成14年度から導入された総合学習は、正に先生方の工夫や努力が問われる授業であり、子供たちの生きる力をどう引き出すか、教師としての資質や手腕が問われる高いレベルの授業であるという認識をしています。
以前、学校は閉ざされた教育現場だと言われてきましたが、改善されたでしょうか。そうでない状況の中では、先生方の情熱や工夫を受け止め、外部の評価とそれに連動した給与等を含め、指導欲を起こさせる仕組みができているとは思えません。
私は、ゆとり教育には基本的に賛成であり、仕組みを変えることにより、ゆとり教育と基礎学力の向上とは両立できると思います。現在の日本の先生方は教えのプロに徹する環境にはなく、余りにも雑務が多過ぎ、ある意味ではサラリーマン化しているという指摘もあります。そういう環境の中では、ゆとり教育の源である独創力は生まれてこないですし、また先生方にとって本来の教育に専念することさえできない状況となります。
教育は、やはり現場が主役であり、そのためには、中央からの学習指導要領という縛りに屈せず、教育改革を行い、仕組みを変えていくべきだと思います。そうした場合、現場のニーズや実態を把握しやすい自治体と、地域間格差の是正や公平性だけを視野に入れて動く国とでは、教育改革を進めていく場合、その速さが違うのは当然であります。その先駆けとして今年度から導入した学校選択制度は評価するものであり、学校間の競争や先生方のせっさたくまの中から本来のゆとり教育の在り方が見えてくるはずです。
この教育改革を推進するためには、やはり総合学習の効率化や実効化について議論をするべきであって、今見直されようとしていることは、時間を減らし、それを基礎学習に充てることで改革しようとしています。
地方分権化の規制緩和政策が推進されてから久しくなりますが、なおさらのこと、地方からのゆとり教育の見直しとして早急にその改革に取り掛かるべきであると思います。その一例として、他市では、自治体独自の採用試験で元教師や教員免許取得者を公募し、非常勤による教育支援を行っているところもあります。雑務でも能力に応じた人を非常勤として採用し、先生方には教えのプロだけに専念していただく仕組みづくりも一つの手法であります。
いずれにしても、この改革は、学校間の連携・協力と地域の方々やPTAとの協力体制を更に強化していく必要があるのではないかと考えるところです。今後の江別市のゆとり教育見直しについて、教育長の見解をお伺いいたします。
次に、学校施設の耐震化についてお聞きします。
学校は、児童生徒が一日の大半を過ごす施設であり、また地域の方々も利用し、災害発生時には応急避難場所としての役割を果たす、極めて安全管理の徹底が求められる重要な施設であります。
文部科学省がまとめた昨年4月の調査では、道内学校施設のうち耐震性が確認されたのは40.1%で、全国平均より9%も低いと指摘されています。
北海道では、一昨年に十勝沖地震や、昨年の台風18号、留萌南部地震等の自然災害による学校施設への大きな被害が相次いでいるため、新潟県中越地震の被害状況を教訓として、道教委は、市町村に学校施設の耐震化を促す指針と、施設の防災安全点検に役立つマニュアルを策定したところです。
この江別市でも実際に地震が起きたことを想定した場合、学校での生徒たちや地域の人たちをどの通路を通り、どこへ避難させるのか、市内各学校で統一されたマニュアルがあるのかどうか。あるとするならば、今後耐震化事業を進めていく上でどのように活用していくのか等、地震に対する備えを市の教育委員会はどう考えているのか、常々お聞きしようと思っていましたところ、道教委のホームページで耐震化にかかわるマニュアルが公開されていることを知り、今回の質問となりました。
このマニュアルは、専門技術者でない学校施設管理担当者、いわゆる素人でもチェックリストを使用することにより学校施設の非構造部材等の点検ができ、壁のはく離、天井等、内装材や設備の落下防止、その他部材等についてチェックできる内容となっています。
道教委としては、各学校でこのマニュアルを活用して日ごろからの定期的な点検を促したいねらいがあると思われますが、江別市の今年度一般会計予算の中に一部校舎屋体耐震化事業費を見込んでいますが、こういったマニュアルに沿ったチェックがなされた上での耐震化事業として理解していいのか、お聞きしたいと思います。また、そうでなければ、今後の活用方法を承りたいと思います。
次も、教育行政にかかわる幼児教育特区についてお伺いします。
昨年12月の一般質問の中で私は幼保一元化を取り上げたところですが、答弁として、幼稚園、保育所のそれぞれの機能を生かしながら、総合施設化を含めた幼保一元化について研究してまいりたいということでした。現実的には、様々な多くの問題をクリアしていかなければ、幼保一元化は程遠いという認識をしているところでございます。
しかし、その緩和策として、今、幼稚園でも2歳児から入園できる教育特区が注目されています。周知のとおり、幼児教育は人間形成の基礎を養う上で欠くことができないものであり、情操豊かな人間性、知性、創造力を備えながら、集団生活を通して基礎的生活習慣や自主性、社会性を身に付けることを目的としています。
近年、特に少子高齢化や核家族化が進み、地域社会全体の人間関係が希薄化してきたため、幼児期における集団教育の重要性の高まりとともに、幼稚園や保育所への期待やニーズはますます多くなりつつあります。
学校教育法によると、幼稚園は満3歳時から小学校就学時に達するまでの幼児が対象となり、2歳児は対象外となりますが、この教育特区の導入により、年度途中に満3歳を迎える幼児でも年度初めの4月から入園できるようになります。この制度導入により幼児の自立も早くなり、また母親にとっても時間の自由度が広がり、延長保育ともタイアップされ、母親の就業を支援する効果があると思われます。しかし、一方で、幼稚園に新設備を設けたり、教員を増やさなければならず、さらに行政からの就園奨励費等の支援がなければ成り立たないとも言われています。
道内においては、北広島市、恵庭市、富良野市が認定され、2年目に入っていますが、市民のニーズ、時代の要請として、この特区は増える傾向にあると思われます。市教委としても、次代を担う子供たちの健やかな成長と親が安心して子供を生み育てる環境づくりを目的として策定された次世代育成支援行動計画に基づき、この幼児教育特区についても、行動計画策定のみにとどまらず、実際に取り組むことを検討してはいかがでしょうか。見解をお伺いいたします。
次に、総合型地域スポーツクラブについてお伺いします。
今日までのスポーツ振興の経緯として、道では国のスポーツ振興法を受け、平成12年から平成19年までのスポーツ振興計画を策定し、道・市町村が一体的に連携して総合的にスポーツ振興に取り組む方向で来ています。
江別市のスポーツ振興においても、昭和60年から第1期、第2期、第3期と平成16年までのスポーツ振興計画を策定したところです。また、社会情勢の変化や市民スポーツ活動のニーズを先行的にとらえながら、スポーツ事業拡充のため、スポーツ関連施設の効率的運営をゆだねる公益的法人化に向け、平成4年6月に江別市スポーツ振興財団の設立を実現するまでに至っています。
さらに、平成16年には第5次江別市総合計画が策定され、市民スポーツ活動の充実を施策とした総合型地域スポーツクラブ育成事業が平成16年1月18日に上江別地区のモデルクラブとして設立され、これからの地域スポーツ振興モデル事業としてその一歩を踏み出したところです。
クラブ名を地域スポーツクラブきらりと名付け、PTA、学校、自治会、体育指導委員、スポーツ団体等の組織が構成団体となり、平成15年度には当初クラブ会員数103名でしたが、平成16年度においては222名と増加しています。
財源的収入は、会員からの年会費や受講料と市からの補助金から成り立っていて、補助金の内訳は、今年度においては特定財源から220万円、また独立行政法人日本スポーツ振興センターからの、いわゆるサッカーくじの助成金約173万円であります。主な支出としては、講師への謝金とクラブマネジャーの人件費が大半を占めているようです。したがって、収入源の多くが補助金から成り立っていますが、市からの補助金も財政的に厳しい現況での予算付けとなり、また日本スポーツ振興センターからの助成金も不安定財源であり、今後多くは見込めない状況となってきているところです。
しかし、平成17年度からは、クラブ会員を上江別地区から全市的に広げて募り、会員数を500名程度まで増やすことで600万円という事業予算を見込み、平成20年度からは運営面で自立する方向に向かうと聞いていますが、会員数が増えるという保証はあるのでしょうか。クラブ設立から1年半ほどしか経過していない現在、収入面での不安要素を抱えながらの現況において、果たして今後この総合型地域スポーツクラブがモデル事業として成り立っていくのかどうか。江別市民と共にスポーツ振興を推進し、補助金をねん出している市としてのお考えをお聞かせ願います。
次に、指定管理者制度の目的についてお伺いします。
指定管理者制度の導入につきましては、企画政策部や他の部局より何度か説明を受けていますし、また資料もいただいていますので、大枠では理解しているつもりです。この制度は、いわゆる平成15年6月に地方自治法が改正され、公の施設の管理方法が管理委託制度から指定管理者制度に移行されることになっています。これまで公の施設を管理してきた公共団体の制限を廃止して、民間事業者やNPO法人、ボランティア団体を含めて広く公募し、参入することで、民間経営のノウハウが活用され、公社・財団と民間事業者との競争原理が働き、質の高い住民へのサービスが提供できることや、それに伴いコスト削減が図られることを目的とした制度であり、江別市としても平成18年4月より制度を導入する予定であるという認識はしています。
特に注目される点は、社会貢献活動を主体としているNPO法人の参入であります。現在、地域のニーズや人々のライフスタイルも多様化する中にあって、社会的にも受け入れやすい団体となっていますし、監督権はあくまでも行政にありますことから、この制度になじみやすい団体であることは間違いありません。
しかし、受託するには、それだけの能力やノウハウが必要となり、NPOの育成も今後の課題となります。また、結果として行政としても、この制度を全面的に企業にゆだねることにより、営利の目的だけで管理されるというきぐを全く抱いていないわけではないと思います。したがって、NPOは会社法人や民間事業者と違い、利益の追求より社会的使命を優先していますことから、指定管理者制度の目的と相通ずるものがあると考えられます。
私自身、一企業人として考えたとき、当然営利が主たる目的ではありますが、社会的貢献も共に備わり、車の両輪となることが理想であり、地域への奉仕が共にできることにより、自然体で仕事が次の仕事につながっていければ、それに勝るものはないと考えています。これは私の経営に対する理念でありますので、聞き流していただければと思います。
ここで本題に入りますが、今日までの説明や資料の中にも示されていますが、幾つかの課題も残っています。この課題が江別市の経済に若干でも影響があるとするならば、解決することをまず考えなければなりません。
例えば、現在管理委託されている公社・団体が競争により参入から外れた場合、採用されていたプロパー職員の雇用の問題、また、市が直接管理している施設の職員処遇の問題、さらに、市外から民間事業者が参入となると、市の経済に少なからず影響が出てくると考えられます。市として当然そのことは想定されていると思いますが、私としても大変気になるところでございます。したがって、この制度が導入されることにより、欲を言えば、自然体で民間雇用創出と、さらに経済の活性化が進み、江別市の経済的貢献につながることを望むところであります。
幾つかの課題もありますが、改めてこの指定管理者制度の目指すべき目的は何なのか、私の意図していることも理解してくださったと思いますので、再度確認する上でお聞きしたいと思います。
以上をもちまして、1回目の質問を終わらせていただきます。