平成17年第1回江別市議会会議録(第3号)平成17年3月10日 10ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
副議長(宮野 一雄 君)
休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問を続行いたします。
山本議員の教育行政についての質問を許します。通告時間20分。
山本 由美子 君
議長のお許しをいただきましたので、順次質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
最初に、図書室の活用とかかわりについて。
最近、読書力の低下が言われておりますが、読書はすべての学問の基礎であることは私が申し上げるまでもないことです。他自治体の女性議員から、沖縄の学校図書館は日本一で子供の利用も大変活発というお話を伺いました。そこで、全国的にも素晴らしい読書を教育の前提にしている沖縄県があることを知りました。同じ日本の中でそんな学校があるのかと思い、そのことだけをしっかりとこの目で確かめたいと思い、最短の日程で自己調査をしてまいりました。
その結果、今までの私の認識していた学校教育とは余りにも掛け離れていたことに驚きました。特に大きな疑問となっていたボランティアと教師が一体となったカリキュラムが、どんな経過をたどってできたのか、あるいはできるようになったのかの実態について詳しく尋ねました。そこには、戦後の沖縄の歴史と教育の遅れがあることが分かりました。日本本土に遅れること27年、アメリカの占領下における学力の低下を招いたその遅れを取り戻そうという、教師も地域住民も心を一つにした地域ぐるみの取り組みがこの仕組みを作り出したとの説明を受け、未来を担う子供たちの教育に対し、立場を乗り越えた認識に強く心を打たれました。
前段のお話では、具志川中学校の照屋校長は、本校の一番誇るべきメディアは図書室であると言いました。自ら学び、自ら考える力の教育を資するところであり、生徒が自ら発見し芽を出すところも図書室の持つ力である。各教科が意識して図書室を活用する研究が必要だと強調し、図書室の重要性を力説しておりました。
具体的なお話としては、図書室には各学校とも30人前後の地域ボランティアが交代でかかわっておりました。そして、心豊かにする教育、人間性を育てる教育にはPTAや地域も一つになり子供を育てることに協力をしていることです。小中学校には、全校一斉読書の時間があります。小学校低学年には、ボランティアが読み聞かせをします。そうして、学校の一日は静かな雰囲気から始まると言うのです。また、月1回1時間は時間を取り、先生やボランティアの読み聞かせ時間が組まれておりました。
図書費用については、市費のほかPTAが、学校によっては異なりますが月350円から700円を図書費としてPTA会費と一緒に納められており、二本立てで予算化されております。子供が行きたくなるような図書室を、中学校に読書の嵐をとスローガンを掲げて、年間70%の小学生が平均120冊、中学生が平均80冊の貸出しがあります。
また、各学校共通した図書室として、玄関に入ってすぐ横に3クラス分ほどの大きな部屋、広々として明るく、廊下から中がすっぽり見えて、入り口はガラス張りの戸、じゅうたん、畳、フロアのスペースを備え、畳のスペースでは寝そべって本を見ても良いそうです。放課後は低学年から三々五々集まり、授業の調べ学習や宿題や、本を読んだり、たくさんの子供たちが集まり、それでいて静かでちょっと不思議な空間に思いました。4時30分までは子供の居場所になっておりました。
特に注目いたしましたことは、行政が学校図書館教育に対し、施設、予算面などの充実に配慮していることでした。これは、未来を担う子供たちの人づくりに大きな役割を果たしていることであり、江別市では周りを見渡してもそういう図書室がないように思います。先生と地域ボランティアと一緒になって子供の教育に力を合わせていることに、江別市では考えられないことだと驚きました。そして、やる気になればできないことではないと思いました。
江別市ではお金がない、予算がないと繰り返して言われておりますが、教育長は、朝、目を覚ましたとき行きたくなる学校を目指しておりますが、同時に子供が行きたくなるような図書室を展開してはと思います。まず、できる条件のそろっているところから教育委員会が先頭に立って働き掛け、一歩でも二歩でも前進し、取り組んでみてはと思いますが、通り一遍のご答弁ではなく、やる気を前提にした前向きなご答弁を教育長にお願いいたします。
次に、不登校児童の対応について。
最近、全国的に不登校や引きこもり児童が年々増えているようですが、この江別市でも昨年のご報告で増加しているとのことでしたが、その後教育委員会や学校自体が努力されて減少傾向にあるものと期待しておりましたが、その後の経緯はどのように変化したのかをお伺いいたします。長期欠席につきましては、本人の人生そのものに大きな影響を及ぼすことはもちろん、ひいては日本の将来にも暗い影を落とすことになります。最近特に言われている生徒の学力低下と決して無関係ではないものと思われます。
昨年秋、細田官房長官は記者会見の中で15歳から34歳までの若者の中で、勉強したくない、働きたくない、結婚したくないというニートと呼ばれる人が54万人に達していると述べているのを聞き、私はあぜんといたしました。これからの日本の社会を背負う立場の者、これから先は一体どうなっていくのだろうと暗たんとした気持ちになりました。
少子・高齢化が叫ばれてから随分たちました。その対策や政策が行われようとしている時代に、肝心の少子化の若者のそういう無気力な人たちが増えていくと、今後の社会構成を思うとき、昔からあった年金、保険、医療などの支え合いなど、この若者たちも高年齢になったときだれがその生活や健康を保障してあげられるのかと、小さな子供を見るとこの子供たちには何の責任もないと思われてなりません。
ある評論家は、これは戦後教育の平等、自由が自分本意との勘違いをした親と教師、子供の人権という大義名分に惑わされ、したいようにして過ごさせてきた結果が招いた現象の一つではないかと言っております。不登校になった原因は様々で、一様には判断ができないとは思いますが、日本中で起きている現象でたかが江別でということで放置できない大きな問題だと思います。たとえ学校に行きたくない気持ちであっても、学校という建物以外のところでも、場所と機会をもって話を聞いてあげたり、その子の特性を見いだしてそれを伸ばしてあげられる工夫で取り組めば、少しでも効果は期待できるのではないでしょうか。
私が読んだものの中で、千葉県秋津小学校の佐々木幸雄校長先生は、身近な地域の人やボランティアで活躍している人や著名人との出会い、触れ合う活動を通して命の大切さや人間の素晴らしさを知り、お互いに支え合いながら夢と希望を見いだし、たくましく生きていく力をはぐくむものと書かれてありました。
先日、NHKテレビでも若い教師が先輩教師の授業を参観して参考にしているのが放送されました。江別市内でも長い教員生活を体験されて定年を迎え、悠々自適の生活を送っておられる方が土地柄もありたくさんいらっしゃると思います。その貴重な体験を提供していただき、不登校の子供の気持ちをくみ取り、その子供に見合った対応を別な形で上手に引き出して社会に送り出してあげることが、本当の意味での人権の尊重であり、個性を生かした平等と言えるのではないかとも思います。その仕組みをどう位置付けするのかは教育委員会です。お考えをお伺いいたします。
次に、安心のできる学校を目指して。
ご承知のように、去る2月14日、寝屋川の小学校において卒業生による教職員の殺傷事件や、お隣の北広島市の中学校の同級生と教諭に対する暴行事件など、学校を取り巻く事件が目に付くようになってきました。そうした現実を踏まえ、本州の中では学校用地が狭いせいか周囲をフェンスや塀で取り囲むことを検討しているところもあると報道されておりますが、このことを巡っていろいろと議論を呼んでいるようです。私は広い学校敷地を持つ北海道、そして今の社会から見て、むしろできる限り自然環境の中での学校施設が望ましいと思っておりますが、どのようにしたら安心して教育を行い、そして授業を受けることができるのかが問題となります。もちろん素人の私が申し上げる前に、専門的に担当しておられる教育委員会ではそれなりの検討がなされておられるものと思いますので、地域に開かれた学校を期待している、PTAの方々が望んでいる一日も早く安心して送り出せる学校についてどこまで進んでいるのかお聞かせ願いたいと思います。
一方、冷静に地域を見回してみますと、朝に夕にと元気な高齢者が健康のためのウォーキングをしておられる姿が毎日目に入ります。中には警備会社に勤めていた方もいらっしゃいました。そこで思い付いたのが、もしこの方々数人が学校の周囲の道をタイムスケジュールを組んで常に監視の目を注いでいただけたなら、正に一石二鳥の効果が得られるのではと考えました。そのためには、当然学校に緊急連絡できるような通信器具的な物の用意や、若干の協力費の負担は生じるとは思いますが、学校が常に監視体制がとれらているということ自体が、こうした事件の抑止、防止につながり、安心のできる学校への一歩前進になるのではと思いますが、教育委員会としてできる条件のところからでも積極的に高齢者の方々に働き掛けて、モデル的にも取り組んでみようとのお気持ちをお持ちでないでしょうか、併せてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
以上で1回目の質問を終わらせていただきます。