平成17年第1回江別市議会会議録(第2号)平成17年3月9日 5ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
議長(宮澤 義明 君)
以上をもって、齊藤議員の一般質問を終結いたします。
一般質問を続行いたします。
岡村議員の農業行政についてほか2件についての質問を許します。通告時間30分。
岡村 繁美 君
ただいま議長のお許しをいただきましたので、順次質問をさせていただきます。
人は、だれもが元気で、そこそこ幸せな生活を営むことを願って日々努力しているわけですが、昨今の社会状況は、そのような庶民の思いを踏みにじるような出来事が次々に起こり、誠に憂慮に耐えません。
物があふれる社会の底流で進んでいた負の変化と自然環境の変化、それがはっきりとした姿で表面に現れ、対応策を見いだせずに日本中が途方に暮れているのではないでしょうか。
今、子供たちが危ない、多くの人が真剣にそう思う事件が相次いでいます。大人が幼気な子供に憤まんをぶつけて死に追いやる。子供が加害者にも被害者にもなる実態があります。
自然現象も過酷でございました。地震、台風、猛暑、地球温暖化の影響かと多くの人が不安に駆られ、同時に自然の前に人間がいかに非力かと思い知らされました。
イラク人質事件も衝撃でした。解放された高遠さん、今井さんの北海道出身者を含む人質3人には、自己責任を問う声が渦巻き、不幸にも殺害された香田さんにも不用意だと批判が付きまといました。状況認識の甘さは批判を免れないとしても、隣近所文化を大事にしてきた日本人がいつからこのような感性を荒立てるようになってしまったのか。競争社会で振り落とされるかもしれない恐怖がいつの間にか強者、強い者の言葉に感情移入していく怖さと、集団いじめから無関心へと熱が冷めていく中、既成事実だけが積み重なる怖さを感じています。
ボランティアを目指して国外で窮地に陥った国民の救出を迷惑がる国とは何なのか。高遠さんらをより良き目的のために日本の市民が危険に身をさらしたと語ったパウエル当時の国務長官との違いはあぜんとしたものです。
また、毎年、自殺者が3万人を超えたとの発表がございます。交通事故死の4倍以上もの人たちが自ら尊い命を絶っている社会は正常ではありません。国会で堂々と自衛隊のいる所は非戦闘地域だ、人生いろいろと発言する総理大臣、言葉だけかと失望が広がった小泉政治が言葉すら失った状態では、政治に希望を託すのは難しいのでしょうか。
作家村上龍氏は、2008年までの日本を予言的に描いた小説希望の国のエクソダスに登場する中学生にこう語らせています。日本には何でもあるけど希望だけがない、残念ながらこの言葉が痛烈に今を言い当てていると思わざるを得ません。
言うまでもなく、希望は、今日と明日を生きる力の源泉であります。それを見失ったと感じる社会は衰退するだけです。希望の持てる社会の回帰こそが私たちの宿題ではないでしょうか。
小川市長も時々紹介してくれる村上龍氏の著書13歳のハローワークが昨年のベストセラーテンに入ったと報道されています。村上氏は、すべての子供は大人になって何らかの仕事で糧を得なければならないと言い、好奇心を早い時期で選ぶ有利さを説いています。この中で長大なリストを示し、子供たちに具体的選択を促しているのが示唆的です。ともすると、機会を与えて後は知らないという現在の状況を、若者の職業訓練努力をきちんと報われるシステムに変えるように提唱しております。
私たちに立ち向かっている課題は、いずれも決して不可能なことではありません。様々な厳しい環境の中、江別の大地に希望の種をまいてきた春日基議員、私も足元を見詰め、希望の種子を一粒ずつ育てていきたいと思っています。
最初の質問は、春日議員が8度一般質問に立って6回取り上げられました農業問題を上げさせていただきました。農業分野のエキスパートだった春日議員のようにはいきませんが、春日議員が育ててきた種を枯らさないような役目を果たさせていただけますようお願いをいたします。
それでは、農業行政の農業振興計画について伺います。
江別市農業振興計画は、第4次新総合計画後期計画により具体的な本市の農業振興を図っていくため、平成7年度に策定され、平成16年度までの10か年の計画です。
計画は、江別市農業を取り巻く現状分析を基に、人づくり、担い手育成の推進をはじめとする五つの主要課題を重点的に取り組み、都市近郊型農業の確立を目指すため、農家戸数580戸程度をはじめとする見通しを持って、年間農業労働時間2,000時間以内、農業所得800万円の目標を設定し、農業が地域の産業として自立できる魅力のある農業、活力ある農村社会の実現を目指してきたものです。
担い手の減少や高齢化の進行、WTO交渉の進展や国における農政改革の推進など、農業・農村を巡る情勢は大きく変化し、持続可能な農業・農村を築いていくためには、これまでの在り方を見直し、農業者が将来に向けて希望と誇りを持って取り組める農業と、だれもがそこに住み、訪れることで喜びを感じる、魅力ある農業・農村の将来像と取り組みの基本方向を明らかにすることが求められています。
今、計画年次が終わろうとしています。次期計画を立てる上でもこれまでの検証が必要と考えますので、その評価をお伺いをいたします。
次に、新計画の策定方針と見通しについて伺いますが、農業振興計画は、施策の基本となるべき事項や推進に関することなどを定め、これまで江別市農業の課題の解決や施策を進めるに当たって指針となるものだけに、寸断なく取り進めることが大事ではないかと考えます。
近年、政治や経済、文化など幅広い分野において国際化が進展し、人や物、情報などの交流は世界的な規模で拡大しており、今後更にこうした流れは大きくなるものと予想されています。
特に貿易については、WTO体制の下、自由貿易、関税の引下げなどによる一層の市場開放が進められる中で、国内においては、内外価格差を背景に農業分野などで安価な輸入品が増加し、国際品価格の低迷や産地間競争の激化など農業を取り巻く厳しい状況と、農業・農村を支える担い手の減少や高齢化の進行など様々な課題に直面をしています。
一方、輸入野菜の残留農薬の問題を契機として、消費者の食の安全・安心志向と地産地消の高まりや国土環境保全や美しい景観の形成など農業・農村の多面的機能についての理解をはじめ、豊かな心をはぐくむ教育的効果など、私たちの豊かな暮らしをはぐくむ財産としての期待が高まっています。
その優れた潜在力を最大限に発揮していけるよう、これまでの農業行政の在り方を見直し、何よりも消費者と生産者の結び付きを基本とした将来像を示すべきです。
北海道では、21世紀に輝く農業・農村を目指してと、将来像と取り組みの基本方向を食、環境、人、地域の四つの視点で、北海道農業・農村ビジョン21とアクションプランを昨年3月に策定しております。農業もまた地域間競争の真っただ中にあります。策定に当たって、地域特性を生かすことをはじめ、農家・農村・農業のどこに視点を当てていくのか、基本的な考えと策定見通しについてお伺いをいたします。
次に、環境行政の環境管理計画の諸課題についてお伺いをいたします。
最初に、アダプト制度の充実・拡大についてですが、春日議員が不慮の事故に遭われる4日前に、春日議員と有志の方々で、中津湖周辺の美化活動をしている川づくり有志の会の代表の方から、議会で環境を名のる会派の会長をしているのだから勉強に来いと声が掛かり、春日議員と有志の会の皆さんはもとより、江別河川事務所所長をはじめ、市職員の方々や川にかかわる皆さんの参加によって第4回ふるさと川づくり勉強会が開催されました。私自身初めての参加で、六つのテーマ報告のどれもが興味を持って、皆さんの報告と意見を聴かせていただきました。
そのテーマの一つに、北海道の川づくり基本計画とアダプト・プログラムについて、札幌土木現業所当別出張所の方から報告があり、報告を聞きながら隣の春日議員と、協働のまちづくりの一手法として生かすことが本当に大事だから今後大いに市民に広め、一緒に促進していこうと約束した課題でもありますので、一部を紹介しながら質問をさせていただきます。
地域の方と行政が協働で進めるアダプト・プログラムのアダプトとは、何々を養子にするという意味で、一定区間の公共の場所を養子に見立て、地域住民が里親になって養子の美化清掃等を行い、行政が支援をするシステムです。1985年にアメリカテキサス州におけるハイウェイの美化清掃事業において初めて導入したのが始まりと言われ、その後、幅広い市民参加を得る手法として世界各地に広がっております。
日本では、1998年以降、多くの自治体で導入されており、北海道が窓口となってアダプト・プログラムとして実施しているのは、札幌土木現業所が2003年(平成15年)より実施しており、現在2件2団体で、そのうち1件が川づくり有志の会です。
土木現業所版では、アダプトの対象となる公共の場所は、一般道路、駅前、商店街、河川敷、海浜など様々で、里親の構成は、市民団体、地元企業、小中学生、商店会、個人などが里親になっています。
役割分担は、里親の役割・活動内容で、清掃、花壇の手入れ、植樹、雑草取りなどが中心で、ボランティア活動を通じて地域が美しく保たれるだけでなく、地域住民が河川等をフィールドとする自然観察等環境学習や地域イベント等、公共施設への多様なかかわりを持つ広がりを見せております。行政の役割は、清掃用具の提供、ボランティア保険の加入、サインボード看板の掲出などです。
アダプト・プログラム導入自治体アンケートの結果では、散乱ごみの減少やボランティアイズムの高揚、地域PR、地域振興に対する効果が上がったと答えており、里親の意識高揚のため、広報誌の発行や情報交換の開催などが増え、人間関係のつながりを強める活動が広まっていると報告されております。
特に市民を引き付けるようなサインボードを掲出することで、里親には自覚とやりがいを、一般市民にはまち美化の啓発を期待し、里親のキャラクターや活動をイメージ化したもの、この公園は私たちが奇麗にしていますよなど、看板デザインを工夫することが大きなポイントになるそうです。
当市においても、公園のアダプト制度をはじめ、自治会活動などで同趣旨の活動事例も多くなってきております。さらに、地域担当職員制度の本格実施もスタートし、パートナーシップまちづくりの一手法として一層促進すべきではと考えますが、ご所見を伺います。
次に、環境マネジメントシステムについて伺います。
市では、平成15年4月1日、市が自ら事業者として率先して環境保全に向けた行動を起こすことが重要と考え、環境マネジメントシステムを導入し、環境への負荷の低減に向け積極的に取り組んでいく決意を環境方針として市民に公表しました。
江別市が目指す環境マネジメントシステムは、ISO14001の考え方を取り入れた経営管理システムで、環境方針公表後、9か月の試行運営期間を経て、昨年4月から本格運営をスタートさせて1年を迎えようとしています。
これまでの環境活動の実践を通して、職員の意識の醸成をはじめとする実施状況の評価についてお伺いをいたします。
次に、環境行政を進めるに当たっての羅針盤として環境管理計画を策定し、環境施策を推進する基本的指針として環境基本条例を制定しています。
条例では、今日の環境問題に適切に対応していくために、市、事業者及び市民の責務を明らかにし、それぞれの事業活動及び日常生活において積極的に推進していくことが求められています。
私は、市職員一丸となって取り組まれている姿を見るにつけ、私もしっかりしなければとの思いで自らの行動を見詰め直しています。
自ら事業者として率先して努力しているその成果を期待していますが、市内の事業者や市民への広がりに発展させることが重要と考えます。今後、事業者等へ広めていく考えについて、お考えをお聞かせ願います。
次に、先進国の温暖化ガス排出削減を義務付けた京都議定書が先月16日に法的拘束力ある条約として発効しました。気温は100年間に1.4度から5.8度上がり、海面は2100年までに9センチメートルから88センチメートル上昇すると予測され、それを防ぐには、温室効果ガス排出量を50%から80%削減すべきだと指摘されています。
今年1月に神戸で開かれた国連防災世界会議でも、近年の自然災害の多発の背景に温暖化があることが確認されております。議定書の削減目標を確実に達成することが地球温暖化防止の第一歩です。
日本は、90年比で6%削減しなければなりませんが、この間、反対に昨年までに8%増えたために、目標達成には14%削減が必要となっています。
一方、8%削減の義務を負う欧州連合(EU)は、2002年で2.5%削減し、同じく8%のドイツは18.5%削減し、同じく英国も14.5%減らしています。EU各国は、企業ごとの排出枠を決め、ドイツは政府と産業界が協定を結び温室効果ガスを2012年までに35%減らすことを決め、フランスのシラク大統領は2050年までに75%削減しようと呼び掛けたことが報道されております。
二酸化炭素排出量を削減する方策は、一つに、省エネで無駄遣いを改めること、二つ目は、化石燃料依存から自然エネルギー利用へとエネルギー政策を転換することと言われています。温暖化ガス排出量の8割を占めると言われている産業・公共分野での削減対策が重要です。
今後、削減計画の報告、目標達成状況や公表等、事業所や業種ごとの計画と自治体との協定化など実効ある仕組みの導入と取り組みが必要と考えますが、ご所見をお伺いいたします。
環境行政の最後に、自然エネルギー利用促進について伺います。
環境への負荷を少なくして、持続的に発展する社会の構築が世界的な課題となる中、温室効果ガス排出量削減につながる自然エネルギーの利用が大きく注目されています。
まずはエネルギー消費量を減らすこと、そして何度も再生できる自然エネルギーを利用すること、自分たちのエネルギーは自分たちでつくる社会を目指し、自然な暮らしが可能な社会を目指していきたいと思います。
江別市では、豊かな自然環境と都市環境の調和のとれたまちづくりの中に太陽光、太陽熱、風力、下水道熱、ごみ焼却熱といった環境に優しい新エネルギーを生かしていくという基本的な考え方を明らかにし、新エネルギー導入に向けた指針として江別市新エネルギービジョンを平成10年に策定をしました。これまでビジョンに沿って、それぞれの事業分野で新エネルギー導入に向けた検討が進められ、率先して導入を図る努力の結果、市内では官民でバイオマス利用をはじめとする具体的取り組みが広がりを見せています。
また、ビジョンの中で、江別において特に効果的な施策として位置付けていた風力発電による美原大橋ライトアップ事業は、検討の結果、見送らざるを得ませんでしたが、江別は風が強いまちとの地域特性を考えたとき、風力エネルギーはクリーンで環境に優しく、再生可能なエネルギーで、まちのグランド・デザインとして、環境教育の視点など今後も普及を目指していくべきと思いますが、お考えをお聞かせ願います。