平成16年第4回江別市議会会議録(第2号)平成16年12月13日 8ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
副議長(宮野 一雄 君)
休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問を続行いたします。
森好議員の一般質問に対する答弁を求めます。
市長(小川 公人 君)
森好議員の一般質問にご答弁を申し上げます。
まず、憲法に対する政治姿勢についてのご質問でありますが、地方自治体の長として、地域住民の福祉増進と民生安定を第一義的に担い、このための施策を推し進める行政機関の長の任にありますことから、現行憲法の精神・理念を遵守する基本姿勢を基に、個別具体の基本法であります地方自治法により、行政執行に当たっているところであります。
そこで、ご質問の第9条でありますが、憲法前文にあります恒久平和と国民の安全と生存の保持を達成しようとする観点と連動し、この第2章で定められております。この第9条を巡っては、これまでの憲法論議の主要なテーマとして、それぞれの立場から論じられてきた歴史があり、昨今の国際情勢から議論が高まっているものと受け止めております。このことについては、これからの国の在り方や、国民生活の根本にかかわりますことから、第9条を含めた広範な議論が国民各層でなされ、議論が深まっていくことが大切でありまして、その取り組みとして、ご質問の九条の会の運動が進められていると理解をいたしております。国会の場におきましても、将来の憲法のあるべき姿として、衆参両院の憲法調査会において慎重な調査が継続されているところであります。
いずれにいたしましても、現憲法の下で多くの困難を克服しながら今日の発展を築き上げてきたところでありますが、今後どうあるべきか等のこの憲法問題についても、一層の国民的な議論が重ねられる中で、国民の英知をもって一定の合意形成が図られることを期待しておりますし、憲法の本質からいたしましても、そのような議論の収れんが望まれるものと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、三位一体改革の影響と財政規模についてでありますが、さきに島田議員の一般質問にご答弁申し上げましたように、地方財政計画が示されていない現段階では、その影響額を明らかにすることは困難でありますが、国庫補助負担金の削減に伴う税源移譲については、当面、所得譲与税や税源移譲予定交付金によって一定程度、措置されることとされておりますものの、いまだ不明な点が多く、その帰すうを見極めたいと考えております。
本市の中期財政見通しでは、作成時点で明らかとなっておりました平成19年度には臨時財政対策債をなくし、これに伴う交付税加算も廃止するという既定の政府方針に基づき、交付税の試算をしているところでありますが、国における来年度予算に向けての論議の中では、財務省から、地方財政計画の歳出上で7兆円から8兆円が過大計上であり、平成19年度までの間でこれを削減するという方針が出されました。これを本市に置き換えますと、試算では臨時財政対策債を含めて27億7,000万円程度の額となるところであります。
三位一体改革の地方分権に向けた方向性については理解するものの、このような大幅かつ急激な交付税の削減は地方の崩壊をもたらすものとして、地方6団体などから反対の声が上がりましたが、財務省は基本的にこの削減方針を撤回してはおりません。現在、平成17年度予算については、交付税削減額1兆円の大台を巡って議論が続いており、また一方で臨時財政対策債、いわゆる赤字地方債を一般財源に含めて考えるかどうかについても、財務、総務両省の間で認識の一致を見ていないのが現状であります。
このように、本市における歳入の大きな部分を占める地方交付税等の取扱いがいまだ大きく動いている状況の中では、本市の平成17年度予算について、その規模を申し上げることは甚だ困難でありますが、地方財政計画の圧縮と国の財政再建の方針に基づき、交付税及び臨時財政対策債は基本的に削減の方向にあり、これに伴い、本市においても予算規模の抑制は避けて通れないものと考えているところであります。
次に、国庫補助負担金の削減についてでありますが、まず義務教育費国庫負担金については、中学校教員分8,500億円を地方財源化するという地方の案に対して、政府はこの額を暫定措置として計上し、平成17年度は半額の4,250億円を見直し、税源移譲予定特例交付金として一般財源化することとしております。
文部科学省は、義務教育は国が責任を持つべきとして、負担金は地方に渡せないとの立場でありましたが、私は地域や児童生徒にとって義務教育に要する自治体の財源の在り方はどうあるべきか、最も望ましい形は何かという観点が重要であり、一般財源として保障されることで、地域としての様々な工夫やニーズに対応できる形とすべきものと考えております。
現状でも、義務教育費全般の経費の7割以上が地方自治体の一般財源で賄われており、都道府県段階で教員の給与の2分の1が一般財源化されたとしても、市町村段階では、教員の配置やクラス編制について国の基準を割って問題が生じるという、そういう事態は考えにくいところであり、さらにまた、あくまで国の責任と言うのであれば、義務教育に係る経費すべてを国の補助負担金によって賄うべきであると考えるものであります。
次に、国民健康保険でありますけれども、これは極めて流動的なところがあって、率直に申し上げまして、つい最近というか、今し方でも、その数字の動いている状況で報告が出ていますので、ちょっとその数字を差し替えて申し上げますと、国保については、現在の国の負担は原則給付費の40%及び調整交付金の10%、合わせてこの2分の1となっておりますが、給付費の負担率について40%から34%に6%引き下げ、また調整交付金の国の負担分を10%から9%に1%引き下げ、合わせて7%、6,850億円程度減額することとし、国の減額分を都道府県の負担分として国の調整交付金に上乗せをして、国9%、都道府県7%、合わせて16%とすることによって、全体として現行の負担率を維持することとしております。
今般のこうした改革は、都道府県に権限と負担を持たせると同時に、平成18年度に着手する医療制度改革で、都道府県単位の国保の統合、広域化に布石を打ったものと言われており、現段階では補助負担金削減分は全額所得譲与税として一般財源化され、都道府県に税源移譲がなされる見通しであります。
したがって、平成17年度から直ちに市町村への影響額が出てくることはないとされておりますものの、国保の給付規模自体が今後の高齢化で更に伸びることが予想されており、後年次においては都道府県としての持ち出し、あるいは市町村への調整交付金のカットなどといった影響が懸念されるところでありますので、こうした今後の医療費の自然増分についても、税源移譲の際に適正に算定されなければならないものと考えているところであります。
また、生活保護費につきましては、現行4分の3の負担率を3分の2ないし2分の1に引き下げる案が財務省及び厚生労働省より示されておりますが、結論は平成17年度の議論に先送りされております。仮に、負担率が引き下げられた場合、江別市における影響額は2億4,000万円ないし7億1,000万円程度と試算されるものでありますが、こうした負担金の削減は、何ら権限の移譲が行われず、地方に裁量と責任を持たせるという地方分権の名に値しないものであると考えております。
いずれにいたしましても、真の地方分権に寄与する補助負担金の削減となるか否かは、今後の議論にゆだねられている部分が多く、地方分権の実現にふさわしい補助負担金の廃止と確実な税源移譲が行われるよう、あらゆる機会をとらえて国に働き掛けていく考えであります。
次に、指定管理者制度についてでありますが、既にご承知のとおり、この制度は平成15年の地方自治法の改正に伴う新たな制度でありまして、公の施設の管理を従来の公共団体のみならず、民間企業やNPOにも開放したものであります。これに伴い、従来の管理委託制度が廃止され、改正法の施行後3年以内の経過期間中に指定管理者制度に移行することが求められております。
1点目の指定管理者の選定に関する方向性についてでありますが、さきの総務文教常任委員会に提出させていただきました公の施設に係る指定管理者制度の運用に関する基本的な考え方において、江別市としては、指定の手続の上で募集を原則として公募とすることとしております。
その考え方の基本といたしましては、制度の導入により、一般的に競争原理が働き、質の高いサービス提供や利用者の増加、管理経費の縮減が期待されること、さらには施設管理に民間経営のノウハウが活用され、多様で満足度の高いサービスが期待されることなどから、公募を行うことが最も妥当であると判断したものであります。
また、指定管理者選定に当たっては、外部の専門家による仮称江別市指定管理者選定委員会を設置し、その意見に基づき管理者の選定を行うことにより、透明性、公平性の確保に努めていく考えであります。
次に、2点目の指定期間についてのお尋ねでありますが、指定期間については、地方自治法第244条の2第5項に、指定管理者の指定は、期間を定めて行うものとすると規定されており、当市としては原則4年としたところであります。
これについては、全国的に3年から5年の指定期間が一般的な中で、指定管理者となる事業従事者の訓練等に係る初期投資の負担や、首長及び議会の任期等も勘案し、4年としたものであります。
なお、指定管理者の選定は、コスト効率性だけではなく、サービス内容の向上に向けた提案等により決定するものとしていることから、法人や事業者による競争機会を増やすことにより、市民サービスの向上が期待できるものと考えております。
ただし、全国的に見ましても、特異な例としては30年間などという事例もあるように、個別の施設の特性等を考慮した上で判断してまいりたいと考えております。
3点目の指定管理料についてでありますが、指定管理料の算定につきましては、次の3通りの方法があります。指定管理料だけで行う場合、施設の利用に係る料金を指定管理者の収入とする利用料金制度と併用で行う場合、それから利用料金だけで行う場合であります。
江別市では、利用料等を設定していない施設を除き、利用料金制度を導入することとしておりますので、ほとんどの施設が利用料金と指定管理料の併用により運営されることになるものと考えられます。
4点目の雇用や労働条件につきましては、公募する際の募集要項の中に、指定管理者の従事者について、施設の特性に基づく資格要件や、市内居住者とする等の要件を設定している自治体の例も承知しておりますが、新たに管理者として指定された団体に対して、いわゆる第三セクターの職員の雇用を条件とすることにつきましては、制度導入の趣旨であります市民サービスの向上や、経費の効率化という基本的な考え方を逸脱しない範囲での対応が求められているものと考えられています。
5点目の保育園への制度導入についてでありますが、現在、江別市の公の施設全体につきまして、指定管理者制度の導入について検討を行っている段階であります。
個別施設への導入につきましては、先ほども指定管理者の選定のご質問にお答え申し上げました外部の専門家による選定委員会にお諮りし、ご意見をいただく中で、来年4月には決定してまいりたいと考えているところであります。
次に、住民生活の現実に立った財政分析についてでありますが、私は就任以来、国の経済対策に伴う事業の前倒しに際しましても、弥生団地や中央団地といった市営住宅の整備、いずみ野小学校、上江別小学校並びに学校給食センターなどの学校関連施設の整備、また森の子児童館や、あかしや保育園、子育て支援センターなど、次世代を担う子供たちのための施設整備、さらにはごみ処理施設など、常に市民生活に直結し、かつ、不可欠な施設の整備に努めてまいりました。
こうした投資的経費など、財政上の数値の分析に際しては、単に数値上の増減のみをもって考えるのではなく、経年的に市民の視点で、今、何が求められているか、将来に向けて何を優先すべきかといった観点から、都市経営を進める際の基礎資料の一つとして活用していきたいと考えておりますので、ご理解をいただきたいと存じます。
次に、平成13年度行政改革大綱における平成18年度を目途に、経常収支比率を80%とする目標についてでありますが、経常収支比率の基礎となっている一般財源、特に地方交付税につきましては、国における制度の見直しと減税補てん債や臨時財政対策債の取扱いについて、基礎となっている制度自体が大きく動いており、改めて行政改革大綱における指標としての在り方を検討しなければならないものと考えております。
平成15年度決算における江別市の経常収支比率は、速報値で道内34市中、良い方から6番目となっておりますが、このことをもって施策や事業選択の根拠とすることはできないものと考えております。特に、制度的に大きく変ぼうを遂げている現在のような状況下では、複数の様々な指標を多面的にとらえつつ、都市経営に生かしていくことが求められているものと考えておりますので、ご理解をいただきたいと思います。
次に、公共事業などの見直しで健全な財政計画を進めることについてでありますが、いわゆる公共事業は、市内経済活動や市民生活の基盤を整備し、そうした活動を下支えするために将来にわたって必要な経費であります。事業の性質などから、年度によっては単年度で大きな支出を伴うことも、抑制されることもあり得るものであり、各年度の財政状況や他の事業の見直し、財政的な見直しなどを勘案して、事業選択と規模を計画していくことになります。
こうした考え方は、事業費の大小、さらには投資的経費か否かにかかわらず、すべての事業について言えることでありまして、行政評価を通して一つひとつ事業選択を進めながら、どう実施していくのかを検討し、財政計画の中に位置付けていくことで健全な財政運営を図っていきたいと考えているものであります。
次に、住民参加、職員参加による財政計画の推進についてでありますが、現段階では、市民とともに財政計画を作り上げるための情報やノウハウの提供が必ずしも十分ではありませんので、タウンミーティングや出前講座などを通じて財政状況の説明といったことを端緒に情報提供を進めることで、共通の基盤を作り上げる必要があるものと考えております。
さらに、また、地域担当職員制度などにより、地域課題を解決する手法について市民の皆さんと議論を進めていく中では、当然、財政的な問題にも議論が波及してくるものと考えられ、こうした取り組みを通して、将来的に市民の皆さんの意思を広く反映した財政計画の構築を図ってまいりたいと考えておりますので、ご理解をいただきたいと思います。
このほかにつきましては、助役から答弁を申し上げます。
助役(中川 正志 君)
私から、行政改革に係る定員管理計画についてお答え申し上げます。
江別市の行政改革は、昭和35年を皮切りに、時代の要請を受ける中で取り組みを進めてまいりまして、今日に至っております。
ご案内のとおり、行政改革は、経営資源の有効な利用を図るための絶えざる見直しのプロセスでありまして、このことが住民サービスの向上を目的としたものでなければならないものと、このように考えております。
また、行政改革の見直し手法につきましては、その時代にふさわしい理論に基づいて行うことが合理的な選択ではないかとも考えておりますが、いずれにせよ、行政改革という作業は、今後とも継続的に進めていかなければならないものと、こう認識しております。
ご質問の第1点ですが、平成8年度から今年度末の見込みを含めた退職者の総数は、医療職を除きまして 235名程度が見込まれまして、このうち定年退職者が152名で全体の64.7%を占め、勧奨退職者が33名、死亡退職者が10名、普通退職者が40名となる見通しでございます。
ご質問のありました普通退職者についてでありますが、主な退職事由といたしまして、本人の結婚や配偶者の転勤、公務以外への転職など、本人の希望による退職が大半を占めており、疾病を主たる理由としてやむを得ず退職された職員は9名となっております。
2点目の職員の年齢構成に関しまして、今後の定員管理についての考え方でありますが、地方公共団体を取り巻く環境が依然として厳しく、三位一体の改革、さらには公務員制度改革等、予測のつかない不透明な状況下にありましては、簡素で効率的な行政体制の確保が本市の重要な課題であり、不断の見直しが将来にわたって必要なところでございます。
現在、平成18年度の採用に向けて、平成17年度には採用試験を再開することを予定しておりますが、職員の年齢構成にも配慮した手法を取り入れてまいりたいと考えておりますので、そのようにご理解いただきたいと思います。
第3点目は、人事制度改革についてでございますが、ご案内のとおり、当市におきましても、既に人事考課制度の試行を始めております。
また、行政経営に必要な人材の確保と育成についての基本的な考え方を定めた江別市人材育成基本方針も制定し、所管委員会にご報告し、公開もいたしております。
この人材育成基本方針におきましては、人事の理念として次の3点が定められております。
一つ目は、人事の目的は市民満足の実現にあるということ、二つ目は、チャレンジ精神とプロ意識にあふれた人材の創造が必要であるということ、三つ目は、個性と主体性を重視した公正な処遇を実施するということでございます。
これらを実現するための人事制度上の手法として、職員の専門性を高め、自己啓発、能力開発を担保するための人材管理や、個人と組織全体が成長するための研修制度と並びまして、人材育成のための手法として人事考課制度が位置付けられております。したがいまして、人事考課制度は、先ほどの三つの人事理念を実現するための重要な手段であると認識いたしております。
現在、試行導入されております人事考課制度の具体的運用におきましても、組織と個人が目標を共有し、その実現に向けて進む目標チャレンジ制度や、部下と上司のコミュニケーションを促進するとともに、人事考課の内容をフィードバックすることで、個人の能力向上や働く意欲の喚起につなげる面接制度などを盛り込むことで、職員の能力開発と主体性の発揮に資する制度となっております。
また、試行を進める中で、職員を対象としたアンケート調査を実施し、試行中の人事考課制度の問題点を洗い出す作業を既に行っておりますことから、これらを基に必要があれば見直しを行い、さらには先進自治体や民間での事例も参考にすることで、より公平公正で透明性や納得性の高い制度を目指してまいりたい、こう考えておるところでございます。
以上であります。