平成16年第1回江別市議会会議録(第3号)平成16年3月26日 7ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
議長(宮澤義明君)
ほかに討論ありませんか。
吉本和子君
議案第31号 平成16年度江別市病院事業会計予算について、賛成の立場で討論を行います。
病院の経営にとって、高齢者医療費や社会保険本人の3割負担などにより受診抑制や治療の中断、その結果患者数の減少化、病床稼働率の低下や診療収益の減少、さらに実態にそぐわない医療法の医師配置基準や、自ら決められない診療報酬制度など、構造的な問題となっていることが指摘されています。
そんな中で、市長は、自治体病院の役割は、小児科、精神科、救急など不採算部門を担いつつ、地域住民の健康を守る観点から、公共性と経済性を共に発揮し、市民の医療と福祉に寄与するものと明言されました。また、病院長は、住民の方々に本当に信頼される病院、札幌まで行かなくても市内にいい病院があるんだというような病院づくりをしていきたいというお考えを述べられました。そのお考えを評価しつつ、病院を利用する市民の立場に立ち、何点かの要望を申し上げます。
1点目、職員体制の問題です。
職員の給与費の人勧マイナス改定や、正規職員から臨時、委託、嘱託化への進行、278床の急性期病棟の病院で働く職員の労働環境はますます厳しさを増しています。高度の医療機器を使った検査や治療、手術などの増加、高齢者や重症者などハイリスクと言われる患者さんの増加、その中でも平均在院日数15日余り、ベッド稼働率95%以上、そして365日夜間救急の受入れなど、文字どおり医療の現場は夜も昼も盆も正月も休むことのできない、命を守る最前線となっています。
同時に、看護職はこの高度医療の一翼を担いつつ、患者さんの一番身近な存在として不安や悩み、心配事を最初に相談される立場にあります。患者さんとしっかり向き合える時間を確保するためには、現在の職員体制では十分とは言えません。医療サービスは対人サービスであり、人が医療サービスの質を左右するものです。職員体制は少なくても、今の体制を後退させることなく、さらに医療の質と安全の確保、安心して利用できる病院として、市民の期待にこたえる病院経営を望みます。
2点目は、市民に信頼される病院の一つに苦情の問題があります。
市民からの苦情のトップは、医師に関するものであります。標準医師数が10名も不足し、その中で高度医療の責任者として日々奮闘されている医師のみでは、今日の市民の多種多様なニーズに対応し切れるものではなく、市立病院においては相談業務についてさらに体制を強化し、市民の期待にこたえるとのことは高く評価するものです。
しかし、日々の臨床場面において、医師には説明責任があり、納得・合意の上で例えば治療を開始するなどは当然のことですが、忙しさのために十分な対応ができないことなど多くあると思われます。そんなとき、医師のみにこの責任を問うのではなく、納得されていないと思われる患者さんに対しては、例えば看護職が補足説明できる十分な時間が保障されるなど、今以上の人的な体制をつくることを努力するように望みます。
3点目は、医薬品についての要望です。
新薬、先発医薬品偏重が医療保険財政を圧迫し、患者負担を重くしていることはかねてより指摘されております。2002年には厚生労働省より後発医薬品使用の促進の通知が、また2004年にはこれを使うことで医療機関の収入となる診療報酬の改定がなされましたが、全国の医薬品使用量全体の約10%にとどまっています。
診療報酬の改定は、今回でマイナス2.7%、次年度は薬剤・材料費でマイナス1.05%となり、病院経営にまた影響を与える結果になります。この時期だからこそ、医業費用では薬品費を削減するために、なお一層後発医薬品の利用を拡大すべきです。これは、患者負担の軽減と国民健康保険財政にも大きく寄与することにつながり、積極的に市立病院として医師、薬剤師の意見を伺い、早急に推進することを望みます。
以上要望を申し上げて、議案第31号についての賛成討論といたします。
議長(宮澤義明君)
ほかに討論ありませんか。
赤坂伸一君
議案第31号 平成16年度江別市病院事業会計予算について、賛成の立場で討論いたします。
病院事業は、国の医療費抑制策と診療報酬減額改定などの背景から、極めて厳しい状況にあります。平成15年度の場合は、経営努力などにより圧縮され2億6,000万円の純損失の見込みであります。また、未処理欠損金が32億5,000万円に上り、平成16年度も純損失3億9,300万円余とのことであります。もちろん、約17億円余りは旧建物の減価償却損などを引き継いでおりますが、健全化計画の検証とともに、増収策や業務等の見直し点検の中から経営診断を実施し、問題点、原因などを把握し、検証し、対応策を構築するとのことであります。
このことを了とするものでありますが、さらに、江別市の現状は、札幌圏の中にあっても医師が10名ほど不足し、今年度も市長を先頭に医師確保に努力をしたところですが、内科の増があったものの、現状確保も至難の業とのことであります。ちなみに1人の医師で1億5,000万円ほどの診療報酬が見込まれると説明がされましたが、仮に5人としても7億5,000万円増収となり、経費を差し引いても、人件費率は現行の57%から52%程度に大きく下がることになります。
そこで、予算特別委員会等で看護単位などを論議もされましたが、安全・安心の上に立った質の向上を命題とする中にあって、看護単位の切下げを意図することは、患者サービスの低下はもとより労働の過密化につながり、ひいては医療事故防止などに万全の対策を唱えてきたことに逆行しかねません。したがって、まず経営診断の結果を踏まえ、院内協議を経て方向性を決め、院内でのコンセンサスを得ることが重要であります。
以上のことから、病院の課題は信頼・安全・安心の上に立ち、一つは、まず第一には経費の縮減、二つには、平成16年度から研修医制度開始による課題もありますが、何よりも医師不足に起因することが大であります。充足により加算も受けられることから、引き続き年度途中であっても、市長、病院長を先頭に確保に努力することが重要となります。
三つに、本年度の経過では、特に医師退職・市内開業に伴う収益減も大きく、またこのことは反面、病診あるいは連携による紹介率を高めるメリットにもつながり、紹介率を30%に近づけることにより収益増を期待するものであります。さらに、紹介率向上はベッド利用率を高めることにもなり、急性期の医療機関としての役割が増すものと考えます。
四つに、市立病院は公的病院ゆえ、精神科病床や救急医療など不採算部門も持たざるを得ず、一般会計から平成16年度総額9億4,000万円余繰出しがされているが、交付税の充足率は57%で、5億7,000万円余とされており、単価が低いのも要因であります。特に、国は、国立の精神科部門を廃止又は縮小する中で、自治体に肩代わりをさせてきていることから、財源確保を求めるべきであります。
以上、病院経営は外的要因や制約に起因する点が多いことから、甘んじることなく、現状をつぶさに分析し、医師確保と赤字幅の圧縮など、病院長の手腕に大きく期待し、賛成討論といたします。
議長(宮澤義明君)
ほかに討論ありませんか。
(「なし」の声あり)
これをもって討論を終結いたします。
引き続き、議案第31号を採決いたします。
議案第31号は、委員長報告のとおり、原案のとおり決することにご異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
ご異議なしと認めます。
よって、原案のとおり決しました。
議事の途中ではありますが、あらかじめ時間の延長をいたします。
暫時休憩いたします。
午後3時50分 休憩
午後4時09分 再開
議長(宮澤義明君)
休憩前に引き続き、会議を開きます。
議事を続行いたします。