平成15年第4回江別市議会会議録(第4号)平成15年12月16日 4ページ
6 議事次第の続き
議案第54号の続き
議長(宮澤 義明 君)
これより環境経済常任委員長報告に対する質疑に入ります。
質疑ありませんか。
(「なし」の声あり)
質疑なしと認めます。
以上で、環境経済常任委員長報告を終結いたします。
これより議案第54号 江別市廃棄物の処理及び資源化・再利用の促進に関する条例の一部を改正する条例の制定についてに対する討論に入ります。
討論ありませんか。
伊藤 豪 君
議案第54号 江別市廃棄物の処理及び資源化・再利用の促進に関する条例の一部を改正する条例の制定についてに関する環境経済常任委員長の報告に、反対の立場から討論をいたします。
現在、地球の環境状況を考えるときに、循環社会を実現するために、ごみを何とか減らそうとか、あるいは資源を再利用するためにリサイクル率を向上させようというふうな、そういう市民あるいは事業者、そして行政が力を合わせて一層努力をしなければならないという審議会の議論は、一般論として誠に正しいものと、そのとおりであると思います。
しかし、そこからいきなり家庭ごみ有料化の結論に向かうためには、少なくとも幾つかの要件を超えなければならないと考えております。例えば、一つは、膨れ上がる処理経費を抑制するために、担当部局はどれだけ必死の努力を重ねたかという点であります。必死に頑張りましたけれども、これ以上経費を抑えることができないというふうな場合であります。別の観点から言えば、各家庭にとってはお金を払うのでありますから、それに対応するサービスの向上があるのかというふうな点であります。残念ながら今回の審議経過の一部を聞き、市民部の報告を聞く限り、ごみ処理の経費の削減を図るための特段の努力に今回力を入れられたかどうかは不明であり、むしろ有料化に向かってのみ全力を挙げ、努力をした状況ばかりが耳に入りました。また、お金を払うことにより引換えに各家庭が得られるメリットなどは、もちろんのこと皆無であります。
減量化のためというふうなことが掲げられておりますけれども、今日現在ごみが大量にあふれ出して、その処理に、あるいは収集に、あるいは焼却等に困っているというふうな状況にもありません。なぜこのような状況の中で有料化をしなければならないかということであります。このようなことを指摘するのは、私は、行政の担当者は市民の負担を1円でも増やさないように、市政の執行について工夫、努力する義務があると考えるからであります。
私は、今回の審議を通じて、図らずもごみ処理行政のある意味でのずさんさについて、その一端を知りました。それは、燃えるごみと不燃ごみとの分別収集についてであります。いわゆる不燃ごみは、収集後、破砕機にかけて粉砕し、4つに分別の後、資源物を回収して、ポリやプラスチック類を燃やしているという事実を知りました。こういうことになっているというのは、新しい溶融式の燃焼炉になってからということですけれども、一体各家庭では、行政の指図に従ってどれだけ苦労をして、燃えるごみと不燃ごみを分別をしているのか、担当者は知っておられるのでしょうか。例えば、何かひげそりの刃のようなものを買ってきますと、その上についているプラスチックと、底の厚紙とをはがして、それを別々の袋に分別をしております。あるいはまた、皆様方のご家庭でもやっておられると思いますけれども、ティッシュの箱がございますね、使い終わった後、取り出し口についているビニール袋をはがして、そしてそれをまた分別をする。そんな苦労をしながら出しておりました不燃ごみでございますけれども、うっかり収集日を間違えてこの不燃ごみ、ポリやプラスチック類を詰めた袋を燃えるごみの日に出すと、大きなバッテンマークを張られて収集されません。それが、現実には、燃やされているということであります。これは、多くの家庭が苦心して分別しているのに、この分別のさせ方は誠に不誠実であり、行政に私はいかがわしさを感じるのであります。
どうして新焼却炉と同時に分別収集の方法を変更しなかったのか。札幌市のように、将来的にプラスチック類の油化を考えている気配もないとすれば、一日も早く各家庭の負担を軽くすべきではないか、そして、不燃ごみの収集の合理化を検討すべきではなかったのかと思います。
以上のようなことを考えるとき、今日ただいま、ごみ処理有料化の目的はただ一つ、市財政の赤字転落を救済するための1点に尽きると思います。第5次総合計画の審議の際の財政課の報告によれば、市の財政は、現状のまま推移すると赤字地方債の限度一杯の発行、現在進行中の行財政改革の推進をもってしても、平成18年度には14億円からの赤字になる見通しとのことであります。
つまりは、ごみの有料化によって、1世帯当たり約6,000円、諸経費を差し引いて約2億円を市民の負担によってねん出し、市財政の不足を補うという考えから計画されたものと指摘をせざるを得ません。もとより市財政の収入不足など、避けられない状況からの赤字などについては、市民として十分に議論の上、対処すべき手段、方法について考えなければなりませんけれども、市民に負担を押し付ける前に、行政自身、市役所自身がどれだけ自ら血を流したかが問われなければならないと思います。今また、江別に働く人々にとって、経済の厳しい波が押し寄せてきています。12月に入って倒産があり、正月を迎える前に人員整理された勤労者が数多くあります。江別市役所の改革など、民間から見れば、ぬるま湯に入って騒いでいる程度にしか見えません。9月議会で、その一端について私は指摘申し上げましたけれども、確かに今議会、先ほど特別職の報酬について、わずかばかりの見直しが提案されました。私もそれには賛成をいたしました。しかし、その後の市行政全体について、より深い改革の気配が感じられません。せめてごみ有料化について、市民への負担は、今期の小川市政の間は歯を食いしばっても我慢をするといった市政担当者としての気概、根性を見せてほしいと考えます。
ごみ有料化の前に市政の改革を十分に行うべきとの考えから、議案第54号 江別市廃棄物の処理及び資源化・再利用の促進に関する条例の一部を改正する条例の制定についての委員長報告に反対して討論を終わります。
議長(宮澤 義明 君)
ほかに討論ありませんか。
川村 恒宏 君
議案第54号 江別市廃棄物の処理及び資源化・再利用の促進に関する条例の一部を改正する条例の制定について、賛成の討論に参加いたします。
21世紀は環境の世紀と言われており、産業活動や人々の生活の営みが様々な環境に負荷を加えており、循環型社会の推進と構築は、一国家、一自治体のみならず国際的な潮流であることはここで言うまでもありません。中央では、2000年5月に成立した循環型社会形成推進基本法に基づいて、昨年の1月17日には計画策定のための具体的指針として中央環境審議会が一つ、排出者責任の徹底や拡大生産者責任の明確化、二つ、これまでに具体的な対応が十分なされてこなかった発生抑制や再使用など、優先順位の高い施策を具体的に進めること、三つ、税、課徴金、ごみ手数料などの経済的手段の導入、四つ、静脈産業の育成などの意見を発表いたしました。
江別市では、江別市廃棄物減量等推進審議会において、市長の諮問に応じて2001年3月、減量化基本方針の策定、2002年5月に江別市一般廃棄物処理基本計画の見直しを行ったところであります。こうした社会的動向を踏まえ、江別市廃棄物減量等推進審議会では、最終的には2003年11月に有料化は避けられないとの答申を示しました。
一方、江別市の財政事情は厳しさを増す一方で、地方債の残高は2002年度末で一般会計459億8,000万円、1989年と比較すれば2.3倍に増加をしております。また、企業会計では411億7,000万円となり、合計871億5,000万円となります。江別市にとっては決して少ない額ではありません。さらに、昨年の暮れに稼働した新ごみ焼却場一連の総事業費約108億円、運転に必要な新たな人件費1億5,000万円、修繕費ほか2億5,000万 円、合計約4億円のランニングコストがのしかかっております。加えて、焼却設備の起債償還に2001年から 2019年までの18年間、その期間中、ピーク時で約6億円の償還となるわけで、その負担の重さは計り知れないものがあります。
これらの状況を総合的に勘案して、市民に応分の負担としてごみの有料化を求めるものでありますから、一定の理解を示すところであります。しかし、費用公平の負担を原則に、市民の応分の負担を求めると同時に、行政側の総ごみ焼却コストを下げ、市民の負担を軽減することは当然であります。今後の努力を十二分に期待するところであります。また、ごみ有料化が市民サービスの低下でなく、資源化、ごみの減量化、そして循環型社会の構築を目指すことは、結果的には市民にとってもメリットがあることを可能な限り説明する義務があると考えます。
以上申し上げまして、賛成の討論といたします。
議長(宮澤 義明 君)
ほかに討論ありませんか。
高橋 典子 君
議案第54号 江別市廃棄物の処理及び資源化・再利用の促進に関する条例の一部を改正する条例の制定について、反対の立場で討論に参加いたします。
まず初めに、ごみ問題を含め環境問題を巡る状況について、近年の動向について述べたいと思います。
昭和60年代、1980年代後半、経済活動のグローバル化が進められる中、我が国においても、国内から賃金や物価の安い外国へと一部の製品の生産拠点が移るなど、国境を越えた動きが加速、暮らしの面では、バブル経済のこの時期、個人消費の拡大が著しく、また、大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会経済システムが日本のみならず他の国においても拡大し、地球的規模で環境問題が顕在化してきたと言われております。
バブル経済の崩壊後、我が国において経済成長は鈍化し、個人消費が全体として伸び悩む中で、大量生産、大量消費、大量廃棄型の生活を見直し、環境負荷の少ない新たなライフスタイルを実践する動きも出てきているとの分析がされているところです。今、正にごみの減量という大きな課題に対し、当市においても環境問題に関心を寄せる多くの市民といかなる形で協力し、協働して取り組みを進めていくか、そして、その流れを市民全体に広げていくことができるかということが問われており、その視点に立って、今回提案された議案、特に家庭ごみの有料化がどのような問題を含んでいるか、幾つかの点について指摘したいと思います。
まず、負担の公平という点について指摘したいと思います。家庭ごみの有料化は、市が定める他の手数料と異なり、市内で生活している以上、すべての市民に直接毎日かかってくる新たな負担であると言えます。提案された内容では、生活扶助を受けている者、災害その他の事故により手数料の納付が著しく困難と認めた者、その他特別の事由があると認めた者に対し、手数料の減免措置がとられるとされていますが、特別な事由については具体的に示されておりません。現在の経済情勢の下、これらの事項に当てはまらなくてもほぼ同水準、若しくはそれ以下の状態での生活を余儀なくされている方も多く存在しております。こうした方たちへの減免制度も整えられるべきです。
また、市が行ったごみ処理に関する意識調査によると、市の平均ごみ量との比較で、1日1人当たりのごみ量は、世帯人数が多い世帯ほどごみ量が多いと回答する傾向が見られると報告されております。私たち日本共産党議員団が行ったアンケートから読み取ったものとあわせて考えると、2人、3人と育ち盛りの子を持つ家庭においては、PTA等の資源回収に参加し努力しているものの、どうしても各種の消費量が多くなり、したがって、ごみの量も増える傾向にあると言えます。このような子育て中の世帯の収入は、市内の経済状況から見ても、家族を扶養するのに十分な収入が得られていない方も多く、場合によっては、高齢者世帯より厳しい条件の下で生活されている方もおります。負担の公平化を言うのであれば、単に機械的にごみの排出量に応じた負担、つまりごみ処理というサービスの受益に応じた公平性だけでなく、経済的な負担能力に応じた公平性についても、最大限の配慮がなされるべきであります。
次に、有料化によってごみが減るのかという点について触れたいと思います。既に有料化を実施した全国の自治体の例を見ると、導入直後はいったん減るものの、その後は徐々に元に戻る傾向にあります。このことは、有料化の検討が始まると、それまで家庭内に保管されていたものを有料化前に駆け込みでごみとして出してしまい、有料化直後はいったん減るということでしかないことを示しています。さらに、手数料を払ったのだから、袋一杯に詰め込んで出そうとする意識さえ出てくるとの指摘もあります。
また、ごみの減量ということが、そもそも何を目指しているのかという点についても考えなければなりません。当市の一般廃棄物処理基本計画に示されている平成9年度比10%削減を目指している総排出量に含まれるものは、可燃ごみ、不燃ごみ、さらに資源物も含んだ数字であります。家庭ごみが有料化されれば、可燃ごみ、不燃ごみに約2割混入していると言われる資源物は、無料で収集される資源物へ移行することが予測され、このこと自体は意義あることと考えますが、総排出量の減量には直接つながっていきません。将来にわたっての環境保全という視点で考えたとき、リサイクル、リユース、リデュースと総合的な視点に立った施策がなければ根本的な解決にはつながらず、国における対策も含め、商品の製造、流通、消費全体の見直しがあってこそ効果的に総排出量の減量につながるということが言えます。今回の提案は、その点から見るなら、ごみの排出段階での対応しか具体的になっていないと言わざるを得ません。
ごみの減量は、事業者において、使い捨て製品の製造販売や過剰包装の自粛、製品の長寿命化を図るなど、製品の開発、製造段階、流通段階での配慮が行われるよう促進することが必要と環境白書にも示されており、江別市一般廃棄物処理基本計画においても、生産、流通、消費のすべての段階でごみの発生を抑制することを基本とすると明記されているところです。市が開催した意見交換会の場も含め、市側の態度は、行政も協力すると言いつつも、消費者が過剰包装を断ることなどが市民運動的なものとなっていけば、販売する側や事業者の考え方を変えさせる力になると思うという内容でしかありません。容器の再使用、リターナブル化など製造、流通段階における抜本的な改善については、国のレベルで対応されなければならない課題でありますが、現時点においては、いまだ具体化されないまま家庭ごみを有料化しようとすることは、消費者である市民に重い負担と責任が負わされようとするものと言わざるを得ません。
改めてここで申し上げておきたいのですが、私たち日本共産党議員団としては、国が抜本的な対策をとらないうちは何もできないと言うつもりは全くありません。むしろ、市民の積極的な取り組みと行政の協力、協働でごみを減量していく、さらに根本的な解決のために、国やメーカーに積極的な問題提起をしていくなど、草の根からの着実な取り組みが大きな力になっていくと考えます。そのためにも分別をきちんとしていない人がいるからと、あたかもペナルティを科すかのように有料化を推し進めるのではなく、まず、すべての市民が環境問題に関心を持ち、具体的にごみ減量に取り組めるようきめ細かな情報提供、環境教育が必要であります。環境白書においても、社会や環境とのかかわり方がそれぞれの個人のライフステージに応じて異なっていることを踏まえ、それぞれに応じた環境教育、環境学習が提供されることが必要と指摘されております。
当市の意識調査においても、ごみ減量化に気を付けていない方たちへその理由を尋ねた項目では、各年代を通じ最も多くの方が、減量化の方法が分からないと回答したとの結果が出されております。このことを見ても、まだ取り組むべき課題が残されていると言わざるを得ません。さらにこの間、市の焼却処理施設、環境クリーンセンターにおいて、不燃ごみとして収集されたプラスチック類の一部が可燃に回されていると知った市民の間から、何のための分別なのかとの疑問の声が上がっています。ごみ問題の改善に当たっては、市民の信頼が基盤になければ成功につなげることができないと考えられます。この点についても、市民にきちんと説明し、納得の得られる対応が求められます。
また、手数料の算出に当たっては、処理原価の33%で積算したと説明されておりますが、そのパーセンテージにしなければならない根拠はなく、他自治体の多くの例に倣い、横並びで、さきに40リットル当たり80円とし、そこから負担割合を算出したとしか考えられず、市の政策としての主体性が見られません。今回の提案は、地方交付税の減額など、市財政が厳しい状況にあって、ごみ処理費用による他の財政の圧迫を軽減する意味も持つと説明もされておりますが、それであれば、調査委託費や開発型の予算などについて、現実に見合った見直しをし、節減に努めるなどする中で対応すべきです。
これまで市が積極的に取り組んできた生ごみのたい肥化については、集合住宅に住む方への対応として、地域で進める方向で行政としても、学校、自治会、公園などを受皿に用意することを検討したいと、意見交換会や委員会質疑の中で方向が示されておりますし、有料化で得られた財源の使途として、ごみネットについても検討されるとのことではあります。しかしながら、家庭ごみの有料化を来年10月から実施しようとする現時点において多くの課題が残されており、このままで実施に踏み切ることは到底認められるものではありません。また、あわせて事業系廃棄物の処理手数料の値上げも提案されており、景気が低迷する下での負担増は、市内事業者にとって営業に大きな打撃を与えるものであります。
以上の理由から、議案第54号について反対の立場であることを申し上げ、討論といたします。