ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 江別市議会会議録 > 本 会 議 会 議 録 の 閲 覧 > 平成15年分の目次 > 平成15年第4回江別市議会会議録(第3号)平成15年12月11日 8ページ

平成15年第4回江別市議会会議録(第3号)平成15年12月11日 8ページ

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年1月30日更新

6 議事次第の続き

一般質問の続き

副議長(宮野 一雄 君)

 以上をもって立石議員の一般質問を終結いたします。
 一般質問を続行いたします。
 宮川議員の福祉行政についてほか1件についての質問を許します。通告時間30分。

宮川 正子 君

 ただいま議長のお許しを得ましたので、通告に従い質問させていただきます。
 福祉行政についてお伺いいたします。
 初めに、パワーリハビリテーションについてです。
 厚生労働省は3月31日までに改定介護保険料を条例で定めた全保険者を集計しました。65歳以上保険料の月平均額は3,293円で、介護保険がスタートした当初の2,911円より382円、13.1%アップしました。全保険者の約80.6%が保険料を引き上げ、12.7%が据え置き、6.7%が減額しました。高齢者が多い自治体や特別養護老人ホームなど施設入所者の多い所の保険料が高くなっています。
 道内の平均月額は3,435円、280円増で、自治体など保険者の約70%が徴収額を引き上げました。厚生労働省がまとめた実施状況2003年2月現在によると、65歳以上第1号被保険者は2000年4月末の2,165万人に比べると10%増の2,385万人、要介護認定者は同218万人から340万人、5.6%増で、中でも要介護1、要支援の順で増えています。今後さらに数が増加するのは明白であり、このままでは介護保険料、医療費はどんどん膨らみ、財政への負担は計り知れません。介護や医療費に多額の税金が使われるようになれば、本人はもちろん、行政側にとっても決して喜ばしいものではありません。
 これからの高齢者対策は、いかに高齢者がお元気で生き生きとした充実した生活ができるかが大きな施策のポイントになってくると思います。厚生労働省は、利用者、サービスとも伸びている。この伸びを支えていかなくてはならない。費用負担が大きな問題になっている。3年後の2006年度、また保険料の改定がある。今回13.1%アップしたが、次も相当の引上げが必要になる。在宅を重視し、ケアの方向も検討する必要があると述べています。
 そこで、今叫ばれているのが介護予防であります。高齢者人口の漸増と、団塊の世代の高齢化を控え、介護予防の必要性はだれしも認めるところだと思います。特に介護保険予備軍である2号被保険者が要支援、要介護とならないような基礎体力づくりは極めて必要です。今、新しい介護予防の方法として取り入れる福祉施設や自治体が全国で増えているパワーリハビリテーションが注目を集めています。
 パワーリハビリテーションとは、日本医科大学の竹内教授が提唱しました。パワーリハビリテーションを高齢者等に対する日常生活をより活動的に、かつ安全に行うために、身体的なパワーの向上を図り、それを基に社会的活動、社会参加を促進する総合的アプローチと定義されています。それはトレーニングマシンを取り入れたリハビリテーションなので、筋力を鍛えるようなイメージがありますが、そうではなく、高齢者の動作能力の低下は、実は筋力よりも神経やバランス感覚の低下が大きく、パワーリハビリテーションは筋力や神経をバランスよく動かすことで、起き上がる、立ち上がるなどの動作能力を回復することを目的としているそうです。
 パワーリハビリテーションの最大の目的は、行動変容です。日常生活に必要な健康を増進させ、これを基に日常的な活動への自信を回復させ、活動的なライフスタイルを取り戻すこと、パワーリハビリテーションは高齢者の自立支援につながります。老齢期になっていたり、障害を持つと、家に閉じこもってしまったりと生活範囲が縮小してしまいがちですが、パワーリハビリテーションで身体の機能が回復すれば、車いす生活からつえ歩行に変わり、補助器なしで歩けるようになり、それなら散歩でもしてみよう、買い物に行ってみようなどと行動範囲が広がることが行動変容だそうです。
 パワーリハビリテーションの効果はすさまじく、全国では関係者が驚がくするような事例が報告されています。例えばくも膜下出血を発症し、日常生活のほとんどに介助が必要としていた70歳の男性は、パワーリハビリテーションで要介護5から2に改善、この男性は当初トレーニングの目標を散歩に行きたいと言っていたが、パワーリハビリテーションによる身体能力の改善結果を受けて、目標はスポーツがしたい、家族と旅行に行きたいと大きく変化したそうです。実際にホームヘルパーとテニスをしたり、家族と旅行に出掛けられるようになったということです。
 このように生活の中の行動が大きく変化する行動変容につながり、閉じこもり、寝たきり防止になります。自治体ではいち早く注目したのが神奈川県の川崎市です。川崎市では、パワーリハビリテーションを2001年度からモデル事業として取り入れました。これまで訓練を受けた介護保険の利用者27人のうち18人は要介護度が軽くなったそうです。約70%の人です。介護保険では要介護度が軽いほど保険からの支給額が少なくなります。18人のリハビリ効果を介護保険の支給額で換算すると、年間2,220万円も節約できたことになり、市は2005年度までに市内5か所でパワーリハビリテーションを本格実施することを決めたそうです。
 導入する市町村は増えています。東京都千代田区、葛飾区、世田谷区、鳥取県米子市など、パワーリハビリテーションの導入を決めたほか、熊本県、広島県などが県下の市町村を集めて講習会を開いています。自治体の動きを受け、国も高齢者筋力向上トレーニング事業制度を今年度から導入し、実施する市町村にトレーニング機器の設置経費などを補助し、高齢者が自立した生活を送ることができるよう支援しています。
 パワーリハビリテーションの対象が虚弱者から要介護5までということが市町村自治体にとって非常に注目する点だそうです。先進国の中でも、日本の高齢化率は群を抜いており、2025年には4人に1人が65歳以上になるそうです。効果ある介護予防対策を行わないと、介護保険料は高騰し続けると思います。パワーリハビリテーションで要支援、要介護が回復し、健康で元気な高齢者が増えれば、医療費や介護保険料の削減効果が大いに期待できると思います。
 江別市の高齢者はどこの市町村より元気で明るいと言われるような活力ある江別を目指していくためにも、パワーリハビリテーションは欠かせないと強く確信しています。江別市も介護予防にパワーリハビリテーションを積極的に取り入れていただきたいと思いますが、市長のお考えをお聞かせください。
 次に、高齢者の居住の安定確保に関する法律についてお伺いいたします。
 高齢期の生活を安心して送れるようにするには、医療、保険、福祉、年金などの様々な取り組みが必要ですが、居住の安定確保を図ることもまた極めて重要です。だれもが安心して老いることのできる居住環境の構築を目指して、高齢者の居住の安定確保に関する法律が2001年4月に公布されました。これは高齢者の借家での居住の安定を図ることを中心に、高齢者居住環境の一層の向上を目指したものです。
 1点目は、高齢者の民間賃貸住宅への入居の円滑化です。2点目は、高齢者向け優良賃貸住宅の供給促進、3点目は終身建物賃貸借権の確立、4点目は、高齢者の持ち家のバリアフリー化の支援です。
 平成10年度、総務庁による国勢調査を基に建設省が推計したところによると、高齢者世帯は単身、夫婦のみを合わせて、平成27年度には世帯割合の41%になると推計しています。また、借家に居住する単身、夫婦のみの世帯は約330万戸に増加すると予測されています。ところが、民間賃貸住宅市場では、高齢者の入居を敬遠する傾向があります。平成12年度日本賃貸住宅管理業協会調査によると、民間賃貸住宅管理会社の約4割は管理する大部分の住宅で高齢者の入居を不可としているという報告があります。
 先日も市民の方からご相談がありました。自宅を売却され、息子さんと2人で入る予定でいた借家に、息子さんが急きょ一緒に住めなくなり、高齢者の方お一人で住むことになりましたら、約束が違うということで大家さんに断られ、家も売却済みで期日までに引っ越さなくてはならず、「市営住宅に入れてもらえないでしょうか。住む家がありません」とのご相談でした。本当に急で対応ができず、他のアパートも結局決まらず、荷物をコンテナに預け、取りあえず息子さんの狭いアパートに引っ越していきました。大家さんは居住者の身体変化への不安、将来的な経済状態への不安、身元保証の不安などから、入居を忌避することが多いそうです。
 そこで、先ほどの法律では、高齢者及び大家の双方にとって安心できる環境を整えるために、二つの内容が盛り込まれています。高齢者世帯への入居を拒まない賃貸住宅の登録閲覧制度と、登録住宅を対象とした滞納家賃の債務保証制度の創設です。こうした高齢の借家居住者に関する居住保証の仕組みは、幾つかの自治体で試みられています。
 練馬区では、高齢者の居住の安定確保に関する法律による民間住宅の登録制度と、東京都あんしん入居制度について、区の窓口で情報の提供を行い、普及と活用を図ることにより、高齢者の円滑な入居を支援して適切な問題解決を図っています。
 北海道においては、賃貸住宅の登録、閲覧は道の指定機関である北海道建築指導センターが行っています。道が不動産業者などに制度のPRをしていますが、今のところ登録しているのは全道で99件の1,405戸で、札幌、函館、釧路の順で多いそうですが、江別はゼロだそうです。
 地方の高齢者の方から、息子や娘の近くに行きたいが、土地勘を持っていないのでとのご相談が多いそうです。わざわざ札幌まで出ていただくのも大変なので、インターネットで閲覧できるのですが、高齢者の方はできない方がほとんどで、知り合いにできる方はいませんかと聞いていますとのことでした。悩んでいる高齢者の声が一番入りやすいのは市町村なので、是非そういった高齢者のご相談に乗ってあげて、情報を入手できるようにしてほしいとのことでした。
 質問の1点目として、悩んでいる高齢者の声が入りやすい所は福祉の窓口だと思いますので、そういった所に窓口を設けていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 2点目として、入居を拒まない多くの賃貸住宅を確保するには、道もPRしていますが、周知が大変だとおっしゃっていました。地域の賃貸住宅の所有者、また不動産業者に具体的に働き掛けていくことも是非ご検討願いたいと思いますが、この高住法の市としてのご支援について、市長のお考えをお聞かせください。江別市においても、高齢化の急激な進行に伴い、増え続けるお年寄りの方々が安心して住み続けられるまちづくりに取り組んでいただきたいと思います。
 次に、建設行政についてお伺いいたします。
 市営住宅の建替えについてですが、本格的な少子高齢化時代を迎え、高齢者福祉、障害者福祉において、自立が重要な目的概念になってきています。自己決定の自立についてもその前提として、居住や住宅が重要な意味を持っています。地域社会とつながる生活拠点、居住計画は、どこでどの程度の費用と広さでどのくらい暮らすのか、在宅生活の長期的展望を描けるかどうか、住宅条件はその前提として決定的です。
 住宅問題への福祉分野からの対応については、住宅需給問題が主要ニーズでありました。住宅不足に対応した対策では、その計画の基になる居住者像は、夫婦プラス子供2人など想定され、昭和40年代に建設された集合住宅は、高齢者や障害者の方から見た場合、建築構造上では全体がバリアフリーデザインになっていません。エレベーターがない、あるいは新設できない、狭い、浴室がないといった居住の質では、将来展望は不可能であり、物理的バリアのため自立の阻害があります。継続的に住み続ける人の数は増しておりますので、永住を前提とした対応が強く求められるようになってきています。
 居住問題への対策では、現にいる居住者のニーズは何かということを避けて通れないと思います。また、経済的低迷と雇用不安の拡大する社会情勢の中、リストラや給与削減などで民間住宅など賃貸の家賃が生活を圧迫し、脅かすケースも多く、また住宅ローンの返済にもその影響が見られる昨今であります。頑張って購入した我が家を手放さなければいけないケースも少なくありません。それまでの生活を維持することが大変困難になっている世帯が増加し、すぐにでも市営住宅に入居したいとの希望も多くなっております。
 このように市営住宅に対するニーズは高く、それを満たすためには新たな市営住宅の建設とともに、老朽化した住宅の建替え、バリアフリー工事の実施等、課題が山積みしています。しかし、長年の景気の低迷による税収不足が続き、市の財政もひっ迫しており、国や道からの補助金も削減傾向にあり、多額の建設コストを要する市営住宅に対する建設費のねん出は困難な状況もあり、新栄団地におきましても、5年建替えはないということだと思います。
 このような状況の中で、民間資金等の活用による公共施設等の整備促進に関する法律、いわゆるPFI推進法が平成11年9月に施行されました。地方公共団体が民間の資金、ノウハウを活用して公共住宅の建設や、その後の管理運営についても民間への委託が可能になっています。市営住宅を建てる場合の方法として、直接建設方式、借上げ方式、PFIによる方式、民間住宅への補助方式等、供給方式の選択肢が増えております。
 函館市においては、近年居住人口の減少に伴い、高齢人口の増加、空き店舗、空き地が多くなった西部地区に定住人口の呼び戻しのために、函館市借上げ市営住宅制度により、函館市が一定期間借り上げて定住促進をしています。市営住宅のメニューとして取り入れた理由は、直接工事よりも建設費が民間単価の方が安いことと、民間活力の導入を考えてとのことでした。平成11年度より年間40戸程度募集して、借上げ市営住宅としているそうです。
 また、鯖江市においても、中心市街地においては函館と同じように人口の減少、高齢化の進展、事業所の流出等で空洞化が目立ち、求心力が低下したため、平成12年3月策定の鯖江市中心市街地活性化基本計画を踏まえ、本格的な高齢化社会に対応するため、介護整備基盤の一つとしてケアハウス、定住人口の増加を図る都市居住施設として特定公共賃貸住宅、そして多様な世代が交流でき、健康づくり、生きがいづくりの核となる交流拠点としての地域交流センター、以上を取り入れた福祉複合施設を人口の増加と活性化を図ることを目的にPFI事業で整備を進めています。PFI事業の導入の目的は、複合施設の整備に当たって、民間の運営能力、資金を有効に活用し、住民サービスの向上を図るためです。
 以上の例を見ますと、市の健全な発展を見据えて、まちを活性化させるためには、子供、高齢者、ファミリー層など人口の年齢構成がバランスよく多様な人々が住むことのできる基盤を作ることが不可欠です。そして、そのことによりソーシャルミックスが自然と図られ、地域コミュニティが維持、再生され、活性化し、自治体に活力が増します。財政悪化の中、市民に対して低廉良好なサービスをいかにして提供するかという大きな課題を民間の資金力、ノウハウを最大限に活用して、貴重な財源を使うことなく住宅や行政施設など、社会資本整備を効率的に行っていると思います。
 国土交通省は2004年、少子高齢化社会に対応し、福祉サービスを身近な場所で確実に受けられる総合健康福祉空間づくりに取り組む方針です。高齢者や子育て支援世帯が安心して暮らせる居住環境を作ることは、すべての住宅、住環境整備事業で関連施設の併設を促進することが不可欠だと判断したためです。
 質問の第1点目として、深刻化する財政状況の中で、今後も市民の多様なニーズにこたえて良質な住宅を提供していくために、市営住宅の整備についてPFI方式や借上げ方式、さらには民間住宅への家賃補助制度の創設など、民間活力の導入を図ることについて、市長のお考えをお聞かせください。
 また、2点目として、同じく民間活力を利用して、今後活力あるまちづくりのために福祉複合施設の整備についても市長のお考えをお聞かせください。
 以上をもちまして質問を終わらせていただきます。

次ページ

前ページ