平成14年第2回江別市議会会議録(第3号)平成14年6月20日 5ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
副議長(塚本紀男君)
以上をもって宮野議員の一般質問を終結いたします。
一般質問を続行いたします。
稲垣議員の産業廃棄物処理施設問題ついての質問を許します。通告時間30分。
稲垣良平君
議長から発言の許可を受けましたので、通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。
質問の前に一言申し上げます。
さきの議会後に私事にかかわることで皆様方に結果的にご心配、ご迷惑をおかけしたかと存じます。ご心配をいただきました、ご激励をいただきましたことについては感謝を申し上げ、ご迷惑をおかけしたことについてはおわび申し上げます。今後従前にも増してしんしな活動をしてまいりたいと思います。
質問に入らさせていただきます。
昨年12月に、次期総合計画の都市ビジョンや基本政策の骨組みに反映させるために実施した市民アンケート調査によりますと、江別市の将来の都市像としては、生活機能都市を求める者が42%、福祉都市を求める者が34%と従来の拡大成長型の都市づくりではなくて、市民生活に身近な事柄を機能的にカバーする都市の形成を市民は願っています。その都市ビジョンを具体化するために取り組んでほしいとする政策は医療福祉の分野であり、環境問題の分野であります。
同調査によりますと、今後とも江別市に住み続けたい、あるいはできるなら住みたいとする市民の定住志向は約80%であります。この調査の結果から、80%という高い定住志向を持っている市民というのは、住み続けるために、今後江別市が生活機能都市に、福祉都市の形成に向けて進んでほしい。そしてそのために医療福祉、環境分野の施策に重点的な取り組みをしてほしいという市民の率直な願いが読み取れます。
さて、市内、角山地区で昭和63年から産業廃棄物を焼却している事業者の立地そのもの、そしてその操業については、地域住民や環境問題に関心が高い市民から、これまで種々の問題点が指摘されてきております。
先ほど申し上げましたように、市民が新たな総合計画に求める都市像、それを具体化する重点的施策分野において、環境問題への積極的な取り組みが不可欠であることは、調査の結果から明らかになっております。そういう意味で、角山地区における産業廃棄物処理の現状、特に規模が大きく、昨年基準値を超えるダイオキシン等の排出が検出され、施設の改善が求められた事業者の産業廃棄物処理施設、移転新設計画への対応は、江別市にとって、今後の環境行政の方向を示す大きな試金石になると考えております。
12年の12月、当該事業者が産業廃棄物の新設に関して北海道の指導指針に基づく事前協議書を提出するために、指針が求めている周辺500メートル以内の居住者の同意を求める動きを行っていたそのときに道が行った排出ガスの測定調査によって、当該施設から基準を超えるダイオキシン、ばいじん、塩化水素等の発生が確認され、営業停止の行政指導が行われたところであります。
その原因は、施設の運転を経験的な判断で行ってきたこと、廃プラの過剰投入、焼却物の組成、焼却による発熱量などに関する教育不足など、いわゆる焼却運転管理のミスであり、さらに、排出ガスの清浄化をするためのサイクロンスクラバーの不調、すなわち焼却施設の管理・整備ミスであります。こういう二つの最も基本的な事項への対応が不十分であった。その結果であったということが明らかになっています。
また、江別市は周辺住民の健康の確保並びに地域の環境の保全を図るために、市民を代表して事業者と産業廃棄物処理施設設置に係る協定を締結して、操業を監視することになっておりましたが、実態的には当然のこととして常時監視することはできるはずもなくて、結果的に基準を超えるダイオキシン類等の発生をあらかじめ抑止する効果的な取り組みはできなかったということであります。
当該事業者は道の指導の下に基準を上回る発生の原因となった施設について、改善のほか、整備をするとともに、運転管理の改善方策を定めて、再測定の結果、排出されるダイオキシン類等の発生が基準以下であることが確認されて、昨年10月には操業を開始しております。
操業開始に当たって、従来の江別市、事業者に加えて、操業による影響を受ける可能性がある地域の住民が当事者として参加した三者協定として新たに協定が締結されております。協定においては、特に地域住民が参画して事業者の操業状況を監視して、問題点について協議する場として環境保全協議会が設置されたことは重要であり、その実効ある活動が期待されるところであります。
この対応は、既に許可を受けている施設の操業に関するものでありますが、産廃施設の立地操業については、今回の当該事業者のダイオキシン発生問題を通じて、一つには、事業者の施設整備、運転においては、基本的な事項の不備によって起きる。そういう可能性があること。そして、結果から見ると、契約関係にない事業者の経済活動に行政がかかわることにも限界があるということがある。これらのことから、リスクが伴うということが明らかになってきています。
当該事業者の産業廃棄物処理施設について、暫定基準値を超えて発生したさきの発生を抑制するために施設改善は行われて現在に至っておりますが、本年11月末をもって、既存施設についても暫定基準の適用が廃止され、厳しい改正基準が適用されることになっています。
営業再開後に石狩支庁や事業者によって実施された廃ガス測定の結果から見ますと、現在の状況ではダイオキシン類の発生水準は12月から適用される改正基準をクリアすることは難しいものと判断されているところです。
当該事業者は12年の年末に施設の新設について、道に対して事前協議書を提出しております。しかし、その後の基準を超えるダイオキシン類の発生問題や協議要件そのもの、特に住民の同意が得られていない状況で補正作業が必要なことから扱いが保留され現在に至っておりますが、最近になって動きが出ているやに聞いております。すなわち、さきの委員会に報告されたところによりますと、庁内連絡会議が開催され、事業者から焼却処理施設の概要等の説明を受けたこと。また、それに対して市として処理能力、緩衝緑地帯等について検討を求める申入れをしたこと。そして、道にも報告していること。要するに産業廃棄物処理施設の新設計画が動き出しているということであります。
私は、今後の進め方に関して、事業者と協議する必要性は否定はいたしませんが、この産廃施設の新設計画については、これまでの経過から、産業廃棄物処理施設が江別市内に現状のような姿で立地していることにより派生している問題点を基本的に解決するために、そして、次の時代が要請して、市民が求める環境政策の一つの重要なテーマとして、行政としてその基本的な考え方を明確にした上で、この問題に対する対処が判断されるべきであろうと考えます。
これまでの議会における質疑の中で、これから整理しなければならない基本的な考えをまとめるに当たって、参考となる市長の考え方が何点か示されています。
すなわち、ダイオキシンが発生したことに関連して、住民からの苦情、意見について、このように述べておられます。すなわち「地域住民には積年の忍耐があったことについて強く受け止める」というふうに述べておられ、「住民の痛み、このことをしっかり受け止めて、今後とも問題解決に向けて努力していきたい」これは地域住民のこれまでの苦労をしんしに受け止めるというスタンスであります。
さらに、当該施設が工業団地に立地していることについて。「造成当時の時代背景や社会的成熟度から、業種等の十分な住み分けはできなかったために、業種が混在している現状にあり、このことについては非常に苦慮している。今後におきましても、最大限業種住み分けの整備、誘致方針を明確にしながら事業展開を図っていく」と述べられています。これは工業団地に産廃施設が立地している現状を良しとしていない、そういう考え方を示されているわけであります。
それから、新設移転計画についてでありますけれども、「産業廃棄物処理施設につきましては、広域的かつ適正処理が不可欠でありますことから知事の許可権限とされているものの、市といたしましても直接的に市民の生活環境や公害防止、環境保全にかかわることでありますので、道の指針による周辺住民の同意は重く受け止める」その後にもありますけれども、そういうふうに述べております。これはその新設についても、地域住民の意向を重要視するという意向の表れであります。
それから、産業廃棄物の市外からの流入に関してですが、「産業廃棄物処理の在り方についてでありますけれども、いずれにいたしましても、地理的条件や経済産業活動、処理コストの面から、札幌圏の中で江別市への産廃搬入割合が高くなっております。産業廃棄物処理計画を策定する北海道及び札幌市を初め近隣8市町村で構成する札幌圏廃棄物対策連絡会議との協議を深め、区域内処理の促進、再利用、再資源化等による排出抑制、さらには適正処理の促進等について一層働き掛けてまいりますとともに、業界団体にも要請してまいります」これは札幌市などからの産廃の流入を抑制するために、関係団体等に働き掛けるという具体的な作業をするという意向の表明であります。
そして、今後のこれらのことを含めて、今後とも行政としての産廃の立地に関しては、「市の事業者に対する指導方法、あるいは道との連携といったことにおいて十分でなかった点ということについては、率直に反省しなければならないと考えています。そして、産業廃棄物の広域処理の必要性、各自治体における役割の分担の在り方も踏まえつつ、市全体といいますか、市全域あるいは市内トータルの環境保全について、一つの手法として一定のハードルを設けるといったことについて、検討していく必要がある」というふうに述べておられます。これは産業廃棄物処理施設の立地に関して抑制するための手法を検討するという意向の表明であります。
私は、ここで示された見解は現状を厳しくとらえ、改善していこうとするものだというふうに受け止めています。このように示された考え方を具体化する、まとめていく、そうすれば私としては行政としての基本的な考え方というものは構築され得ると思います。
さて、住民の意向に関してであります。
当該事業者が現施設の前身である建設廃材の選別を行う中間処理施設を昭和63年に許可を得て設置しておりますが、当時、地域住民は近い将来に焼却施設を建設するが、その対象は木くずである、そういう説明を受けて同意した経過があります。しかし、平成3年から実施された焼却対象は大幅に品目が拡大され、処理量も増大してきています。この間、種々の問題が発生して、基準を超えるダイオキシン類の発生まで見られる状況になったことから、地域住民はその当時に同意したことを極めて悔やんでおります。また、当該事業者だけにとどまらず、角山地区には産業廃棄物処理施設が数多く立地するに至って、その感を一層強く持っております。
道が産廃施設の立地等に関して取扱いを定めた北海道における廃棄物等の処理に係る指導指針において、事前協議者に対して関係市町村、関係住民と、そして知事との協議を要件としております。事前協議者が行うべき関係市町村との協議の内容については、周辺住民との同意が協議事項に含まれて、事前協議者と市町村が事前協議を行う前提となっております。また、住民の同意に関しては、当該施設の周辺500メートル以内に居住する住民と協議を行い、当該施設の設置に関し、その同意を得るものとされております。さらに、事前協議者が知事に対して事前協議するに際しては、周辺住民の同意書の添付が必須となっております。
これらのことから、産業廃棄物処理施設の新設計画については、周辺住民の意向を極めて重要に扱うということが指針に盛り込まれているわけであります。
ちなみに、現状では、新設に対して周辺住民の同意の状況は、同意しないという意向を示している人の数が圧倒的に多いと聞いております。
つきましては、実質的に事業者との事前協議を行っておりますが、住民からの厳しい意向に対して、先ほどお示し申し上げたような意向を示された市長として、周辺住民には計画に同意しないとする意向が極めて強いということについて、どのように理解しておられるかをお示しいただきたいと思います。
次に、現在の工業団地は当時、江別方式と言われたように、民間により開発された工業団地で、用地の低価格を最大のメリットとして、軽工業を中心にして誘致されてきた経緯から、食品製造業から産業廃棄物処理業者までが混在する特異な工業団地となっております。
このような状況に対して、市長は苦慮していると語られましたが、今後、最大限、業種住み分け、誘致方針を明確にしながら事業展開を図っていくとされましたが、ついては、現在計画されている産廃施設の立地を検討する場合、今後の工業団地の健全な発展に資するために、その環境整備等に投資をして工業団地としての適正を高めてきた江別市としては、この際、その立地の妥当性について基本に立ち返って検討しなければならないと考えますが、お考えをお示しいただきたいと思います。
事業者から示されている資料によりますと、計画されている1日当たりの処理能力は、現在の30トン程度から150トンと5倍にも増加すると伝えられております。日処理量150トンは江別市が現在建設している一般廃棄物処理施設の処理量を超える規模であります。江別市の一般廃棄物処理施設は市民が排出する廃棄物を処理するものでありますが、結果として現在地から遠く離れた八幡に立地することになっております。その一方で、仮に計画されている施設が当該地に立地するならば、その多くが札幌市を中心に市外から搬入される産業廃棄物の量たるや現在の5倍にもなるということが懸念されます。そして、そこから発生するリスクは江別市民、特に施設周辺住民が負うことになります。このことは、私はどう考えても納得できないという感を強くします。
市長は札幌圏の中で江別市への産廃搬入割合が高いことを承知しておられます。そして、これを是正するために8自治体で構成する札幌圏廃棄物対策連絡会議や業界団体に対して働き掛けるとされました。ついては、具体的にどのような取り組みをしてこられたのか。そして、対応はどうであったのかをお示しいただきたいと思います。
次に、産業廃棄物の広域的処理の必要性は認めるにしても、計画されているような大規模な処理施設が事業者の事業展開上のあるいは経済効率の視点からのみで実施されようとすることは、地域の環境保全や住民の保健・衛生に自治体として果たさなければならない責務と基本的にバッティングをいたします。特に生活都市である江別市は市民アンケートから明らかなように、その生活環境を保全し、より高めていくことが求められています。そのバッティングをあらかじめ調整するために、市としての明確なスタンス、基準を持つことが必要であり、それを外に対して明確に主張する必要があります。
ついては、そのような考えで市長は市全体の環境保全について一定のハードルを設ける手法等について検討する旨表明しておられましたが、それに取り組む意思を確認するとともに、取り組みの状況をお示しいただきたいと思います。
平成元年当時、現在の問題、すなわち市外から産廃が大量に流入している、そのことを取り上げて議会論議がありました。それに対して、当時市長は結論的に「結論として、今後は産業廃棄物の処理施設の設置に対しては厳しく対処せざるを得ない」というふうな考え方を当時表明しておられました。この考え方が文字どおり全うされていれば、現在を招来するということは防げたと思います。このようなことも参考にご答弁をいただきたいと思います。
以上で1回目の質問とさせていただきます。
副議長(塚本紀男君)
一般質問の途中でありますが、昼食のため暫時休憩いたします。
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午前11時56分 休憩
午後1時14分 再開
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