平成14年第1回江別市議会会議録(第4号)平成14年3月28日 10ページ
6 議事次第の続き
決議案第1号
議長(五十嵐忠男君)
日程第32 決議案第1号 鈴木宗男衆議院議員の議員辞職を求める決議を議題といたします。
提案理由の説明を求めます。
堀内城君
ただいま上程になりました決議案第1号につきましては、江別市議会会議規則第13条の規定に基づき提出するもので、提出者は小玉議員、三上議員、宮澤議員、そして私、堀内でございます。
以下、案文の朗読をもって説明に代えさせていただきます。
鈴木宗男衆議院議員の議員辞職を求める決議
鈴木宗男衆議院議員による、外務省を舞台とした疑惑が次々と発生し、多くの国民より真相解明と議員辞職を求める声が大変強くなっている。
アフガニスタン復興支援国際会議のNGO(非政府組織)の出席問題、アフリカへの支援事業、そして北方四島への支援を巡る「友好の家」や桟橋改修工事など数多くの疑惑が明るみに出たことなど、直接、国益に影響する外交政策が一人の議員の介入によりゆがめられていることは、重大な問題である。
本年3月4日に発表された外務省による調査報告書においても、鈴木議員の関与があったことを認める内容となっているが、その後も多くの疑惑が発生している。
また、3月11日には、国会において証人喚問が行われたが、疑惑はますます深まるばかりである。鈴木宗男議員にまつわる疑惑は、外務省の壁を越え政府の他部門にも広がっている。各省庁の独自調査はもちろんのこと、疑惑の全容解明のため、首相を初めとして政府全体で、真相解明に取り組むことが強く求められている。
このままでは、国民の間に政治不信が増大する一方である。
よって、政治の信頼を取り戻すためにも、徹底した真相究明を早急に行うとともに、鈴木宗男衆議院議員の辞職を強く求めるものである。
上記、決議する。
平成14年3月28日、北海道江別市議会。
以上でございます。よろしくご決定くださいますようお願い申し上げます。
議長(五十嵐忠男君)
これより本件に対する質疑に入ります。
質疑ありませんか。
高間専造君
ただいま上程されました決議案につきまして、1点だけ提案者にお伺いをいたしたいと思います。
まず、少しく申し上げますが、国会議員の身分は日本国憲法、国会法によって重く保障されております。法的責任が問題となる行為と政治的・道義的責任が問題となる行為は分別され、事実上のものと法的強制力の二つに区分されており、議員辞職決議案に対しての法的見解を参照いたしますならば、議員辞職勧告決議案は法令上認められたものではなく、事実上のものですが、機関意思決定議案の要件を満たしているならば、議長は受理せざるを得ません。
しかし、議員がその身分を失うのは、任期満了、除名の懲罰、資格決定、辞職、身分に影響する裁判の確定等、法令に規定されているものに限定されています。住民が直接選んだ議員を、同僚議員が決議案を提出し、辞職を勧告することは、本来おかしなことであり、辞職を勧告できるのは選挙民だけであり、議会内での過半数議決にはなじまないものであり、この意味で、議員の身分に関する事項は事実上のもので、法的強制力のない決議案であっても慎重に運用することが望まれるというふうにうたってあります。
以上のように、ここでお伺いしてまいりますが、議員辞職勧告書に対しての法的見解が示されておりますので、お伺いいたしますが、本件決議案の提案に当たり、本決議案は事実上のもので、法的強制力のない決議案であり、この法的判断について提案に当たりご協議されたかどうかお伺いをいたします。
堀内城君
ただいまの質問の件でございますが、私ども提案者としては、その件については論議をいたしておりません。
議長(五十嵐忠男君)
ほかに質疑ありませんか。
清水直幸君
何点か簡潔に質問させていただきたいと思います。
決議案にあるように、政治の信頼を取り戻すためにも、徹底した真相究明を早急に行うことが是非必要だと私も感じている一人であります。また、単にお茶の間でテレビのチャンネルをひねっている部分におきましては、鈴木宗男議員に是非辞職を強く求める一人でもあります。
しかし、議会に籍を置く者として幾つか疑問がありますので、議員として何点かお尋ねしたいと思います。
今回のまず決議書、初めてになる決議案だと思うんですけれども、これはこの前例を作ってしまった場合、今後、国会議員、又は道議会議員も含めて、地方議員も含めて何らかの疑惑が起こった場合、直ちにその個人に対してこのような決議案を常に党派、政党かかわらずお出しになるおつもりであるのかというのがまず1点。
2点目は、この決議案の中において、疑惑という言葉が最初から最後まで占めておりますが、何をもってしてこの疑惑とするのか。また、先ほども申しました、今後さらに他の政治家が疑惑を持たれた場合、この決議案を上げるにおいての疑惑の尺度を何をもって行うのかというのが2点目であります。
法令的には、疑わしきは罰せずですとか、罪を憎んで人を憎まずという言葉がございますけれども、今回の疑惑については、あくまでもまだ法廷では何らかの決定もなされておりませんし、マスコミや人のうわさ程度の疑惑であります。これが裁判で結果が出て、さらに議員を辞職をしない場合には是非必要な決議だと思うんですけれども、あくまで疑惑であります。その疑惑にのって我々議員として決議するものなのかどうかというのが3つ目の疑問であります。
最後でありますけれども、さきに高間議員もおっしゃいましたけれども、法令的にも政治倫理の問題だと思います。これについても、政治倫理については、国会議員自らが我々はという言葉を使って、主権者たる国民から国政に関する権能を信託された代表であることを自覚し、政治家の良心と責任感を持って政治活動を行い、いやしくも国民の信頼にもとることがないように努めなければならないと。我々という言葉を使って定義しております。
自らその疑惑を晴らすべく行動するのは当然ですけれども、疑惑があると、火がない所に煙は上がりませんから、疑惑を持たれた時点で身を決するのが国会議員としてのもちろん務めであることは、自分たちで求めておりますけれども、高間議員がおっしゃったように、その進退を決するのは選んだ選挙民であって、他の地区の方々、それも疑惑にのっとったことで、非科学的な方法で辞職を勧告するというやり方はいかがなものかと。
現状におきまして、この時点で、今の時点でこのような決議がされるというのは、魔女狩りに等しいのではないかという疑問もあるんですけれども、それについても4点質問させていただきます。
堀内城君
1点目の前例になるのではないかという質問でありますが、これらの問題については、その時々の課題というか、問題によって、議会のルールに基づいて、私はこの点については協議をして、これらの問題については決することではないのかなと。したがって、前例とか何かは当たらないというふうに思います。
2点目以下のことについては、私はそれの数点について答える立場にありませんので、その点にご了解をいただきたいと思います。
清水直幸君
お答えいただかなくてもあれなんですけれども、さきに道議会におきまして、自由民主党、民主党・道民連合、公明党、道民クラブ、道政会と連名で意見書が出されております。自民党からもちろん民主党まで、公明党も、一貫した意見書でありますけれども、これについてはさきの鹿野道彦衆議院議員の元秘書、加藤紘一衆議院議員の元秘書、それぞれ脱税容疑で逮捕されております。犯罪であることが明らかになっております。
先ほど、先日ですか、昨日ですか、辻元清美衆議院議員についても元政策秘書の件で、彼女の場合は自ら辞任されましたけれども、それも含めて道議会では、国及び国会において速やかにこれらの疑惑の全容を解明するとともに、再発防止の政治倫理の確立のため適切に対応されるように要望されております。
今回の要望書が出されるのも含めて、今後、疑惑ではなくて、もう犯罪を犯している秘書、連座制をもってすれば、その国会議員本人もその罪を追及されるべき立場にある方々、何人かもう明確に出ておりますが、その方々も含めてこれらの疑惑解明、また再発の防止のために対応されるべく新たな決議書を出されるおつもりが、若しくは予定があるかどうかお尋ねして、以上にいたします。
堀内城君
その件につきましても、今朝ほど私は新聞で見ておりますが、これは道議会のそれぞれの決定でございまして、その点についても私は答える立場にありません。
議長(五十嵐忠男君)
ほかに質疑ありませんか。
(「なし」の声あり)
質疑なしと認めます。
お諮りいたします。
本件については、委員会付託を省略いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
ご異議なしと認めます。
よって、そのように決しました。
これより決議案第1号 鈴木宗男衆議院議員の議員辞職を求める決議に対する討論に入ります。
討論ありませんか。
高間専造君
ただいま上程になりました鈴木宗男衆議院議員の議員辞職を求める決議案に対して、反対の立場で討論に参加いたします。
国民の信頼がなければ政治は成り立ちません。その信頼を政治につなぐのは政治家個々人で、議会制民主主義及びこれを支える政党政治の健全な発展は、ひとえに政治家の高い倫理観にかかっており、国民の大きな要望でもあります。
自由民主党の政治倫理審査会におきましては、鈴木宗男議員が国会で参考人質疑及び証人喚問を通じて疑惑のふっしょくに努める弁明を行ったが、残念ながら疑惑をふっしょくするには至っていないとの判断で、自民党の審査会では党の規律・規約に基づき調査・審査を行ったのであります。
審査する疑惑の対象行為については、法的な責任が問題となる行為と政治的・道義的な責任が問題となる行為とに分け、証拠によって事実関係を認定し、真相を最終的に解明してまいりましたが、その限界を感じているわけでございます。
法的観点からの追及は検察や裁判所が行うべきであるとの認識の下に、事実関係が明らかになっている点及び鈴木議員が認めている点について絞って、政治家としての政治的・道義的責任の有無について明らかにしております。
北方四島支援事業、私設秘書ムルアカ氏の問題、外務省やその他の役所に対する問題等があり、時間の関係で全容は削除いたしますが、いずれにいたしましても、政治家が国民の声を受けて、その声を行政に反映させようと努力することは、民主政治にあって否定されるべきことではないが、限度を超えれば許されるものでもありません。
審査会の結びとして、当審査会は、外務省が作成した調査報告書の一部については、業務上作成されたものであり、それなりの正確性はあるものと思料されるが、調査報告の基になった文書には作成者のし意的要素の入る可能性もあり、絶対的な証明力があるものとは言えないという調査・審査の結果について報告をされております。
今、申し上げました外務省の文書作成者に対し、し意的要素の入る可能性もありと表現しております。ご案内のとおり、し意とは、わがまま、勝手に、思うままに、気ままに振る舞うとの字句の解釈をもって申し上げますならば、外務省が作成した調査報告書には多少の疑義があるとの報告書に対しての見解を示し、自由民主党政治倫理委員会では絶対的な証明力があるものとは必ずしも言えないというふうに指摘をしております。
いずれにいたしましても、今後は法的責任と道義的責任を明確にしながら、あらゆる政党の国会議員の方々が政治倫理の高揚に努められることが、国民の政治に対する信頼回復、信頼関係の修復の道であると強く求めながら、本件に対する反対討論といたします。
議長(五十嵐忠男君)
ほかに討論ありませんか。
(「なし」の声あり)
これをもって討論を終結いたします。
これより決議案第1号を起立により採決いたします。
決議案第1号は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
(賛成者起立)
起立多数であります。
よって、原案のとおり決しました。