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平成14年第1回江別市議会会議録(第4号)平成14年3月28日 2ページ

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年1月30日更新

6 議事次第

開議宣告

議長(五十嵐忠男君)

 これより平成14年第1回江別市議会定例会第28日目の会議を開きます。
 ただいまの出席議員は31名で定足数に達しております。

議事日程

議長(五十嵐忠男君)

 本日の議事日程は、お手元に配付いたしましたとおりであります。

会議録署名議員の指名

議長(五十嵐忠男君)

 日程第1 会議録署名議員の指名を行います。
 会議規則第111条の規定により、星昭史議員、矢澤議員を指名いたします。

諸般の報告

議長(五十嵐忠男君)

 日程第2 諸般の報告を事務局長をして報告いたさせます。

事務局長(明孝一君)

 ご報告申し上げます。
 本日までに市長提出案件1件、議会提出案件7件をそれぞれ受理いたしております。
 以上でございます。

議案第9号ないし議案第15号及び議案第17号ないし議案第20号及び議案第27号ないし議案第34号及び請願第1号

議長(五十嵐忠男君)

 日程第3ないし第22 議案第9号 江別市事務分掌条例の一部を改正する条例の制定について、議案第10号 江別市情報公開条例の全部を改正する条例の制定について、議案第11号 江別市個人情報保護条例の制定について、議案第12号 江別市職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部を改正する条例の制定について、議案第13号 江別市職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例の制定について、議案第14号 江別市特別職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例の制定について、議案第15号 江別市教育委員会教育長の給与、勤務時間その他の勤務条件に関する条例の一部を改正する条例の制定について、議案第17号 江別市老人医療費助成条例の一部を改正する条例の制定について、請願第1号 老人医療費助成制度の継続を求めることについて、議案第18号 江別市住区会館条例の一部を改正する条例の制定について、議案第19号 江別市公民館条例の一部を改正する条例の制定について、議案第27号 平成14年度江別市一般会計予算、議案第28号 平成14年度江別市国民健康保険特別会計予算、議案第30号 平成14年度江別市介護保険特別会計予算、議案第29号 平成14年度江別市老人保健特別会計予算、議案第31号 平成14年度江別市基本財産基金運用特別会計予算、議案第32号 平成14年度江別市水道事業会計予算、議案第33号 平成14年度江別市下水道事業会計予算、議案第20号 江別市立病院使用料及び手数料条例の一部を改正する条例の制定について、及び議案第34号 平成14年度江別市病院事業会計予算、以上20件を一括議題といたします。
 予算特別委員長の報告を求めます。

予算特別委員長(土蔵辰馬君)

 ただいま議題となりました議案19件及び請願1件について、予算特別委員会におきます審査の経過並びに結果を一括ご報告申し上げます。
 これらは、いずれも今期定例会初日に付託されましたもので、特別委員会の開催日は、お手元に配付の付議事件審査結果報告に記載のとおりであります。
 初めに、審査の結果を申し上げます。
 条例案につきましては、議案第9号の事務分掌条例、議案第18号の住区会館条例、及び議案第20号の市立病院使用料及び手数料条例、以上3件の一部改正案は、賛成多数により原案のとおり可決すべきものと決しております。
また、議案第17号の老人医療費助成条例の一部改正は、賛成少数により否決すべきものと決しましたため、一事不再議によりまして請願第1号は採択すべきものと決し、残る7件の条例案につきましては、全員一致でいずれも原案のとおり可決すべきものと決しております。
各会計予算案につきましては、議案第28号の国民健康保険特別会計、議案第30号の介護保険特別会計、議案第32号の水道事業会計、及び議案第33号の下水道事業会計、以上4件は賛成多数をもちまして、残る各特別会計は全員一致によりまして、それぞれ原案のとおり可決すべきものと決したものでありますが、議案第27号の一般会計と議案第34号の病院事業会計は、賛成少数により否決すべきものと決しております。
 まず、地方公共団体の予算編成に大きく影響を及ぼす新年度の地方財政計画について申し上げます。
国は、地方分権や今後の高齢化の進展などに伴い、地方自治体の役割はますます大きくなっていくものとし、徹底した行財政改革を推進する中にあっても、高齢社会に向けた介護保険の導入を初めとする総合的な地域福祉施策の充実、住民に身近な社会資本の整備など重要政策課題に対応していくため、地方公共団体が担うべき役割とこれに伴う財政需要が増大すると見込んでおります。
 しかしながら、地方財政計画の規模は87兆5,700億円、対前年度比1.9%の減であり、通常収支は依然として大幅な財源不足が続き、一般歳出、単独事業費とも前年度に引き続き減少の計画となっております。
通常収支の不足額の10兆6,700億円の補てんは、財源対策債等を除いた残余については国と地方が折半し、国の負担分については一般会計からの繰入れにより、地方の負担分については特例地方債により措置することを基本として対応することとされております。
 ただし、国及び地方の財政運営を勘案し、国も地方の負担も、その4分の1は交付税特別会計借入金により補てんし、恒久的減税の実施による地方税の減収分は、国のたばこ税の一部の移譲、法人税の交付税率の引上げ、地方特例交付金、減税補てん債により補てん、地方交付税の影響分は交付税特別会計借入金により補てんし、国と地方の折半で償還するものとしております。
 平成13年度から従来の交付税財源の一部を地方自治体自らが起債で調達する形となったもので、厳しい経済情勢の影響もあり、地方財政計画による歳入構造の変化が財政運営の見通しを一層困難にしております。
 このような極めて厳しい地方財政の中での平成14年度各会計予算案でありますが、一般会計の規模は418億1,800万円、特別会計と企業会計を合わせた総額は841億6,053万8,000円となり、一般会計の前年度当初との比較では4.1%の減、全会計総額でも1.4%の減となっております。
 また、一般会計の財政指標につきましては、平成14年度の経常収支比率は82.4%、財政力指数は0.475、企業会計を含む全会計の地方債と債務負担行為額を合わせた年度末現在高は約986億2,200万円が見込まれております。
予算案等に関する委員会の審査は、長時間に及ぶ各部への審査終了後、最終的には6項目の理事者質疑を行いましたので、その概要を順次申し上げます。
 まず第1点は、老人医療費助成条例の改正に当たり、市老全廃案の提出に至る合意形成についてであります。
 この助成制度は、昭和46年から30年を経過してきた江別市の基幹的福祉施策であり、昨年の第4回定例会で、早急に見直し案を提示し、市民や医療機関などのご意見を伺い、市議会においても論議をお願いするとしていたが、どのような合意形成の取り組みをしてきたのか。社会福祉審議会へ正式に諮問していない理由は何かという質疑であります。
 答弁では、社会福祉審議会には必ずしもすべてが諮問を要する事項とは理解しておらず、報告の中で市の考え方を示し、委員からは貴重な意見をいただいた。地域医療懇談会などにおきまして報告しており、議会の常任委員会へは主体的な要請があれば説明をする考えで予算審議の議会に正式提案したものだが、意思決定前の意見聴取に不十分な点があったことは謙虚に反省している。
 また、医療費助成の廃止よりも先に健康づくりの施策を実施すべきであり、市民の生活実態を考慮したのかとの質疑に対しましては、高齢者に定着した制度の廃止は重大なことと認識しており、市民の皆様には申し訳なく、断腸の思いだが、保健・福祉・医療の負担が各会計の合計で330億円を超え、一般財源でも55億円を占めており、国のペナルティによる減収もあるということであります。
 段階的な廃止も選択肢にはあったが、国の高齢者医療制度改革による対象年齢の引上げの流れや扶助費などの増嵩傾向を懸念する中で、まだ多くの課題が残っており、最終的には財政的な視点からも全廃という厳しい判断をせざるを得なかったとの答弁であります。
 次に、2点目は、病院の経営健全化計画の達成について、努力は承知しているが、より抜本的な赤字削減策が必要との質疑であります。
 答弁では、開院後、平成18年度までの計画に基づき、医療の質を高め、患者サービスの向上を図りつつ、収益の確保と費用の節減に努めてきた結果、毎年、計画以上に赤字幅の削減を行ってきた。
 新病院開院後の経営には、特に初期投資した医療機器の減価償却費が影響しており、さらに新年度は診療報酬制度の創設以来初めてとなるマイナス改定があり、公立病院ゆえに不採算部門も抱えることからも厳しい経営環境で、単年度収支の黒字転換が2年間延びたものであります。
 自治体病院が市民の要望によって建てられたという原点を見詰め直し、公的病院の役割はどうあるべきか、激動の環境の中で状況に応じて速やかに対応できるよう考えたい。保健や福祉とも積極的に連携する考えで、入院診療機能の高度化と外来の専門的機能が必要と認識しており、他の医療機関の役割と地域の中核として果たすべき市立病院の役割を明確化したい。
 3点目は、医師住宅借上事業について、事業内容決定に至る透明性、契約に関する競争性の確保についてであります。
 どのような経過で契約の相手方を選定して提案に至ったのか、債務負担行為の議決前に住宅が建築されたのは手続として適正なのかに質疑があったものであります。
 答弁では、予算の議決前に随意契約の運用的な根拠で事務手続を進め、思いが及ばず対応に不十分な点があったことは反省し、深くおわびを申し上げる。
 全道的な医師不足が懸念されている中、医師の安定的な確保や救急・救命医療に素早く対応するため、医師住宅の確保は喫緊の課題であり、地理的に病院から至近距離であることなど一定の条件により数社に打診して検討したが、条件に合致したのは1社であった。
 建物の構造などの条件は満たしているが、今後の対応の中で誤りのないよう、正式な賃貸借契約に向け、指摘のあった土地への抵当権設定との関係も含め、改めて精査し、適正に契約したいとの答弁であります。
次に、4点目は、江別の顔づくり事業に関する住民の合意形成についてであります。
土地区画整理事業は地権者や関係者の賛成が少ないが、鉄道高架、土地区画整理、関連街路の事業セットは必須の条件なのか。市民アンケート調査では福祉や環境の施策が求められており、財政状況から見ても民意を反映した事業内容に見直すべきとの質疑であります。
 答弁では、現段階での総事業費は約500億円と試算しているが、鉄道高架は道が事業主体であり、市の負担分は200億円から220億円ほどと見込んでいる。
 次世代に向け、鉄道高架による交通分断の解消は必要な事業と認識しており、国の方針は、事業の相乗効果を図るべく、土地区画整理事業や関連街路事業を同時に行うこととされているが、財政負担の軽減を最大限に考慮する必要があり、江別の身の丈に合った事業を目指し、今後も精査していきたい。
 区画整理に伴う減歩など、住民合意の形成に困難性があることも十分認識しているが、商業者の意識の高まりなどもあり、住民合意の形成に向けてさらに努力をしたい。
 5点目は、行政改革推進に向けた現業部門の民営化についてであります。
新年度予算は、老人医療費助成の廃止など市民に痛みの伴う非常に厳しい内容で、中期財政見通しでも財源の大幅不足が見込まれる中、計画的な民営化による人員削減を図るべきとの観点であります。
 答弁では、行政改革大綱にPFIなどの民間活力の活用を掲げており、市民サービスの低下を招かないなど一定の条件に適合すれば、決して民間委託も否定はしていない。
 職員の意欲や目的意識を保持する観点もあり、人員削減や給与削減には限界があるが、保育園の場合では、職員の退職管理や地域における幼児数の推移、園の建替えなどの機会をとらえ、一定の要件が整う中で移行していく必要があり、効率性や費用対効果を念頭に今後も経費削減に向けて努力をしたい。
 理事者質疑の最後は、行政改革大綱の数値目標の設定根拠についてでありますが、職員定数は類似市より相当少ないのに、数値目標が先行し、削減の根拠が不明確という質疑であります。
 答弁では、財政の弾力性を確保するため、経常収支比率80%を目標に掲げ、義務的経費の一つである人件費の抑制を目指すべく、職員数を10か年で10%削減するという数値目標を掲げたものである。
 行政改革に当たっては、できるだけ行政サービスを低下させないことをベースにしながら、経営やコストの管理意識を持つべきで、成果重視や顧客志向など民間企業における経営理念や手法などを公的部門に導入する新公共経営管理理論を念頭に推進していく考えである。
 右肩上がりの時代は終わり、自主財源の確保のため、企業誘致や商業活性化にも努力しているが、経費に見合う新たな税など独自の財源確保は至難な情勢で、減税補てん債や特例地方債についても将来における交付税措置の見通しを厳しく見極める必要があり、今後、行政改革の推進計画を進める中で歳入の確保にも意を用い、市の経済対策や財政運営に対する市民の信頼感を醸成することが大事と考えている。
 以上の理事者質疑を踏まえ結審を行ったものであります。討論の状況については概要のみを申し上げます。
 まず、議案第9号 事務分掌条例の一部改正に対する討論では、反対の立場から、政策審議室は総合調整や行政評価、市長の特命事項も所管するとしているが、部次長職で各部との総合調整機能を十分発揮できるのか。組織改編に当たり、関係者の意見を十分反映したのかも疑問である。課題ごとのプロジェクトなどを充実させるべきであり、独裁的な政策決定をきぐすると述べられております。
 賛成の立場から、政策審議室は、秘書及び渉外に関する事項と広報広聴、行政評価や行政改革などの事項、さらには市政の総合調整や特命事項などを所管するもので、職員の資質向上に向けた研修体制の充実と行政改革に示す少数精鋭の実現、行政の効率化に期待すると述べられております。
 次に、議案第17号 老人医療費助成条例の一部改正に対する討論では、反対の立場から、市民生活に定着した医療費助成制度であり、社会福祉審議会への正式な諮問や厚生常任委員会への事前説明を行うべきであり、市長の言う協働の考え方とは反するもので理解に苦しむ。まずは内なる努力を行い、その上で市民の理解を得るべきで、改廃が必要であるとしても、時間を掛けて合意形成を図るべきである。
 同じく反対の立場から、住民の健康や生命にかかわる重大な政策の変更であり、執行側の説明責任が十分果たされていない。請願の賛同署名数も1万筆を超え、一般会計に占める老人医療費助成額の比率はむしろ低くなっており、年金生活者や低所得者にとっては命綱の制度である。住民アンケートでも医療・福祉、環境の政策が求められており、早期治療による高齢者の健康保持こそ財政に寄与するものである。
 さらに反対の立場からは、老人の医療・福祉を巡る環境は大きく変化しており、厳しい財政状況から在り方を根本的に検討する必要があることは事実である。しかし、制度が現実に市民生活に果たしてきた役割や、財政は市民のものという前提に立つと、広く市民への説明や議会における慎重な議論が必要である。早急に見直し案を提示すると述べていながら実践せず、市民の嫌がることを示すことに限界があると述べるに至っては、説明責任の放棄と考えざるを得ない。経済動向や交付税削減などの外的な変化は以前から指摘されており、こうした財政状況を招来した認識も認められず、医療費負担に不安を持つ高齢者を救済する暫定措置もないままの全廃案であり、医療や保健に行政が果たす具体的な意図も示されていない。
 ほかの委員からも、社会経済情勢や医療、福祉、年金の社会保障制度が創設時と大きく変化しており、廃止の判断は聖域に踏み込んだ施策として評価はするが、市民に対する説明責任や議会に対する報告の不徹底は理解し難く、今後の施策にも影響を与えるのではないか。市民に直結する歓迎されない課題だからこそ事前に十分説明すべきであり、各種の健康増進策や予防活動を検討しているようだが、浸透には時間を要すると考えられ、段階的な廃止など再考を要する。
 賛成の立場からは、他市に先駆けて実施してきた制度であり、多くの市民から存続を求める声があるのも事実だが、社会が大きく変化し、この制度だけで高齢対策が万全とは言えない。一般会計予算約418億円のうち保健・医療・福祉関係が約100億円を占め、厳しい財政運営から苦渋の判断を理解する。急速な高齢化に伴う福祉ニーズの拡大にこたえるには、福祉の在り方を根本的に見直すことが避けられず、医療については道が進めている老人医療費助成事業の活用に向けた取り組みに期待し、市は高齢者の健康づくり事業への転換を目指して取り組むべきであると述べられております。
 次に、議案第18号 住区会館条例の一部改正に対する討論では、反対の立場から、類似施設との負担の公平から利用目的に応じた減免制度にするとしているが、市が行うべき分野を補完している社会教育団体や福祉団体などにとっては大きな負担増になり、市民活動を保障する方向で無料化すべきである。
 賛成の立場からは、住区会館が最初に設置されました昭和59年当時は市の公共施設や自治会館も少なく、地域住民のコミュニティ施設として文化や福祉などにも幅広く利用され、社会教育団体や社会福祉団体も無料とされてきた経過がある。しかし、厳しい財政状況を考慮すると、施設の維持管理経費も年々増加しており、公民館など他の類似施設との利用者負担の公平を図る上で、自治会や高齢者、青少年にかかわる利用は現行どおり無料とする取扱いであり、趣味のサークル活動等の利用は受益者負担の原則からやむを得ない。
 次に、議案第27号 一般会計予算に対する討論では、反対の立場から、財政健全化の名の下に受益者負担を増加させ、住民サービスを低下させている。行政改革は数値目標が先行し、行政サービスの向上や行政責任の議論が不十分で、安易な民間委託は住民の福祉を後退させるものであり、住民の意見を十分に聞くべきである。
 契約・入札の改善や、開発型予算を改め福祉予算への転換を図るべきで、老人医療費助成の廃止など福祉や医療を後退させる予算である。
 さらに反対の立場からは、財政の硬直化が顕著であり、投資的経費の減少や老人医療費助成など市民生活に影響する事業の廃止が主な内容で、市民の痛みが先行している。保育園の民営化や事業が縮小している建設部の見直し、給与の見直しなどの内部努力を先行させるべきであり、市民の理解と協力を得るための説明責任の欠如が見られるので反対せざるを得ない。
 また、他の委員からも反対の立場から、総合計画や財政の方向性を示す年度の予算であり、市民意識調査では、保健・医療・福祉サービスが充実し、お互いに支え合う健やかで思いやりのあるまちを約7割の市民が選択している。総合計画に関する調査でも期待される都市像として生活機能都市、福祉都市が求められており、今後市民と大きな議論を行っていかなければならない。しかし、老人医療費助成制度については市民に説明もなく、議論を避けて全廃しようとしており、財政の健全化などに向け徹底した聖域なき事務事業の見直しが必要な中で顔づくり事業が再評価もなく進められていることは、財政の実態や目指すべき都市像に向けて取り組むべき姿と大きく遊離している。大事な施策であっても議会が聞いてこない限り説明する気はないとのスタンスは、明らかに議会との協力、信頼関係を否定するものであり、容認できない。
 さらに反対の委員からは、老人医療費助成条例の一部改正は市民とともに歩もうとする市長の政治哲学に大きな疑問が残り、再考すべきである。
 一方、賛成の委員からは、地方交付税の大幅な減額や税収の伸び悩みの一方で、地方債償還や扶助費の増加などにより、赤字地方債発行による厳しい財政運営を余儀なくされている。国の財政破たんが地方に影響したものだが、先送りを排し、不退転の決意をもって臨もうとする市長の強い意志が感じられる。財源の縮小を前提としたまちづくりを進めるため、行政組織の改革や施策の重点化と再構築、行財政資源の効果的配分に意を用いた予算と評価する。
 次代を担う子供たちの可能性を伸ばすために基礎学力の向上を意図した支援事業や地域ぐるみ教育活動、IT化推進では市民がいつでも行政情報を入手できる基盤の整備、環境施策の推進では不燃ごみ収集の週1回体制や資源物収集への白トレイの追加など、大いに期待する。
 都市計画決定に向けた顔づくり事業の推進や、児童館整備、延長保育の拡充などの子育て支援の充実、将来に向けた都市整備や地域づくり支援などにも意を用いた予算であり、老人医療費助成事業の廃止は、急速に進展する高齢化に伴う福祉ニーズの拡大にこたえるために、福祉の在り方の根本的な見直しが必要と理解するが、総合的な福祉サービスの充実や健康づくりを推進する施策を強力に展開していくよう強く求める。
 地方分権に見合う財源の移譲を国に求め、市税収納率の向上など自主財源の拡充強化に努力を期待し、賛成する。
 次に、議案第28号 国民健康保険特別会計予算に対する討論では、反対の委員からは、国民健康保険は世帯数の35%を超える加入があり、所得階層別では200万円以下が80%と低所得者が多く、厳しい経済情勢の下で中小企業の倒産やリストラが増え、高齢者は医療制度改正や介護保険料などの負担増で厳しい状況に置かれている。税率や最高限度額の引上げで市民の負担は限界を超えており、生活実態を見ない国の福祉政策の改善を強く求めていくべきだが、市としても繰入金を増やすなど加入者の負担軽減に最大限努力し、市民の命と健康を守る立場で運営すべきである。
 賛成の立場からは、雇用環境の悪化や高齢者の増加などから被保険者が増加する傾向の中、財政基盤のぜい弱さが露呈され、高医療費市の指定を受けているが、医療費適正化対策や総合健康指導事業などにより保健施設を利用した事業の充実を図るなど、保健・医療・福祉と連携し、総合的な施策展開による安定的運営を目指しており、賛成する。
 次に、議案第30号 介護保険特別会計予算に対する討論では、反対の立場から、施行後3年目を迎え、給付費増額の一方で次期の保険料の負担増も懸念される中、ますます低所得者対策が必要だが、市独自の減免施策がとられず、利用実態も十分把握されていない。介護老人施設の入所待機者も増えており、要介護度に応じたサービスの提供にはほど遠い現状にある。
 賛成の立場からは、各種介護サービスは年々大幅に増加し、制度は市民に浸透していると受け止める。保険料は所得段階別に設定されており、災害などで負担が困難な場合の減免制度もあり、市独自の保険料の軽減策もある。利用料についても高額利用料に関する制度がある。介護保険制度の財源は保険料と公費負担であり、保険料を減免すると厳しい事業運営になると予想される。
 次に、議案第32号及び議案第33号の水道及び下水道事業会計予算に対する討論では、反対の立場からは、水道の使用水量が8立方メートル以下の件数は全体の24.3%を占め、そのうちの大半が6立方メートル以下であり、現在の経済情勢下、公共料金の負担感は大きく、下水道使用料とも連動する基本水量を引き下げるべきである。また、夕張シューパロダム事業は、人口推計から見て過大な計画であり、再検討すべきである。下水道事業は、公費負担で行うべき雨水管整備に移行しており、両事業会計とも健全経営を維持できるので、市民の負担軽減を図るべきである。
 一方、賛成の立場からは、水道の基本水量を超える使用者は75.7%であり、基本水量はおおむね妥当である。浄水場の老朽化などから内部留保も必要で、シューパロダムからの受水も自然災害や異常気象に備えた水利権確保に欠かせないものである。下水道事業も純利益を計上しているが、企業債残高が240億円以上もある中では安定的な経営が必要である。
 最後に、議案第20号 市立病院使用料及び手数料条例の一部改正、及び議案第34号 病院事業会計予算に対する討論では、両案反対の立場からは、収益に新たな手数料として見込む初診時特定療養費は保険適用外の全額患者負担であり、病状や検査などの結果の紹介状を持参する紹介患者加算とは異なる内容で、自己負担額の均衡を図るという理由は適切ではない。予算については、診療報酬の改定などから赤字はやむを得ないものであり、不採算部門にも公立病院としての使命がある。保健、予防と連携した診療体制の充実や、糖尿、リューマチなどの専門外来の新設が望まれる。医師住宅借上事業は手続に不明朗な経緯があり、今後このような誤解を生ずることのないよう指摘する。
 両案賛成の立場からは、紹介状を持たない初診患者からの初診時特定療養費は患者負担の増や受診抑制が懸念されるが、負担の均衡と健全経営の上で適切である。診療報酬の減や市内医院の開院など厳しい状況の下であるが、経営健全化計画に基づき、リハビリ診療枠の拡大や人工透析病床の増床などに努力しており、地域中核病院としての機能と役割の充実に期待する。医師住宅借上事業は、賃借権の担保を求めると述べられています。
 予算にのみ反対の委員からは、度重なる健全化計画の据置きは、本当に健全化できるのか疑わしくなるが、病院長の平成20年に達成するとの答弁に期待する。医師住宅借上事業は住宅の選定が不透明であると言わざるを得ず、注意を喚起したが理解されていない。公平性や競争性、透明性の確保は行政として当然のことだが、債務負担行為に至る手続の不備に疑問を感ぜざるを得ないし、行政の在り方そのものに大きな影響があると考える。適正なルールに基づく民間活力を導入すべきであり、陳謝で済む問題ではなく、明確な説明がなされていないので反対する。
 同じく反対する委員からは、初診患者の自己負担の均衡を図る条例改正は理解する。予算については、診療報酬の改定など厳しい環境で赤字解消に向けての目標年度がやむを得ずずれ込んだが、経営健全化に向けて努力されており、実現を希望する。しかし、今回の医師住宅借上事業については、救急救命に向けた医師確保の必要性は十分理解でき、借上げ自体に異論はないが、提供者の要件設定や選定方法、一連の手続にルールが存在していないことが明確で、結果的に特定の業者と進められ、競争性や公平性、透明性を欠いていたと言わざるを得ない。要綱整備やルール制定などに前向きな姿勢が示されず、説明責任を果たしていないので、遺憾だが反対する。
 以上が各委員による討論の概要であります。
 最後に申し添えますが、国の行財政改革や地方分権など地方自治体を取り巻く環境は極めて厳しく、経済情勢も依然として不透明な状況にありますが、当市におきましては、新たな総合計画の策定作業が本格化するなど、正に市政転換の正念場となる重要な年度を迎えようとしております。その中で、一般会計予算など3件の議案を否決すべきという、極めて異例かつ重大な審査結果となっております。今一度、市民合意の形成と適正な行政執行に向け最大限の努力を傾注されますよう、あえて申し上げます。
 また連日にわたる委員各位の熱心な審査に深く感謝を申し上げまして、予算特別委員会の審査報告といたします。
 以上であります。

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