平成25年第2回江別市議会定例会会議録(第3号)平成25年6月20日 4ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
裏 君子君
ただいま議長より発言の許可をいただきましたので、通告に従いまして質問いたします。
初めに、公共施設の長期的な修繕計画案の策定について質問いたします。
本年5月30日の総務文教常任委員会において、5月19日に大麻体育館第1体育室天井の断熱材の一部が剥がれ、落下したとの報告がありました。
剥がれた部分は天井の南側の4か所で、19日のバレーボール大会終了後、無人になった後に落下したと見られます。原因については屋上から雨水が染み込んで接着剤が溶けたためと見られています。同じ体育室では、昨年5月にも同じく天井の断熱材の一部が剥がれ落ちています。そのときは利用者が30人ほどいましたが、幸いなことにけが人はいませんでした。同体育館は、昭和54年の建設で33年経過しています。
また本年3月には、学校給食センターで地下に埋設してある給油管が破損し、重油が地中に漏れていたことが分かりました。流出量は約10リットルで健康被害の報告はないとのことですが、給油管は昭和49年の設置で腐食により穴が開いたと見られます。この給油管も、設置から39年経過していました。この二つの事故は、場合によっては被害が発生し重大な事態となったとも考えられます。
昭和40年代から50年代前半までの高度経済成長期に大量に建設された公共施設は、現在30年以上経過しており、主要な部位や設備が修繕、更新の時期を迎えています。公共施設のこれまでの対応を見ますと、後手に回った修繕を続けているように思われます。それは取り返しのつかない事故や、市民サービスの低下を招くものです。
これからは今までのように、耐用年数が来たら壊して建て替えるという発想から、既にある建物をできるだけ長く使うという発想への転換が必要です。また、従来どおりの考え方では、多くの建物の建て替えを同じ時期に迎えることになり、多大な財政負担が一時的に集中することになりかねません。
国では、公明党が推進してまいりました防災・減災の政策で、各自治体において避難所となる施設から劣化診断を行い、耐震化が進められているところですが、どんなに新しい施設でも、建物である以上年数がたてば全てが古くなってまいります。市が主体となって公共施設の安全を確保し、執務や公的なサービスを行うのに必要な機能を維持するためには、部位・設備等の劣化や機能低下に対して、事後ではなく事前に適切な修繕を行うことが必要です。それは、単純に建物や設備を点検し、現状で維持管理することではなく、経営的視点に立って長期的に見て適切な計画により修繕を実施していくことです。
そこで重要になるのが、長期修繕計画案です。長期修繕計画案とは、建物、設備、外構の全般にわたる修繕周期に基づく適正な修繕、修理、取替えと、それに掛かる費用について、計画的に実施するための長期的な修繕の計画を言います。長期修繕計画案に基づく計画的な補修等を実施していたら、体育館の断熱材が落下することや給油管に穴が開くことはないのではと考えます。
国土交通省が作成した、公共建築の部位・設備の特性等を踏まえた、中長期修繕計画策定及び運用のためのマニュアル案という国や地方自治体向けの基礎資料があります。それについては、財政事情が厳しい中公共建築ストックの修繕・更新時期の集中に効率的に対処することを目的として、建築物の部位・設備が劣化した場合の影響の度合い、劣化パターンなどを考慮し、部位・設備ごとに対処方法の修繕シナリオを選択し、中長期修繕計画を立案した上で効率的に対処を行う技術を示し、その考え方や実践方法がまとめてあります。
岡山県倉敷市では、平成23年に財産活用課内に4名からなる長期修繕計画室を誕生させました。本年の4月からは、建設局建築部公共建築課の公共施設管理係を長期修繕計画室に統合させています。同室は、建物設備点検を踏まえた建物の長寿命化推進業務を行っており、長期修繕計画に基づく修繕業務を一元化することで、より機動的、効率的な執行を可能にするとしています。
また、東京都武蔵野市においては、公共施設保全整備計画を作成し、平成17年度に保全整備の運用を開始して以来、保全改修費用も計画的に確保され一定の評価方法も確立されつつあるとのことです。
以上のことから、日常的に発生する維持修繕とは別に体制を整備して、市の保有する全施設において、所管ごとではなく一元的に、危機感を持って早急に長期修繕計画案を作成するべきと考えますが、市長の見解をお伺いいたします。
次に、高齢者の肺炎球菌ワクチン公費助成について、質問いたします。
毎年、肺炎によって多くの高齢者が命を落としています。肺炎は日本人の死因の上位を占め、このうち高齢者の死亡は、年間約11万人となっています。予防には成人用肺炎球菌ワクチン接種が有効とされています。肺炎予防効果はもちろんのこと、国立感染症研究所によりますと、費用対効果の報告書からも医療費削減効果が明らかになっています。
主な原因となる肺炎球菌については、肺炎など感染症を引き起こす細菌で、健康な人の鼻の奥や喉によく見付かるものの症状が出ない時が多く、高齢になって免疫力が弱くなってくると、重症化して髄膜炎や菌血症などの状態となることがあるものです。
しかし、この成人用肺炎球菌ワクチンは、国で昭和63年に承認されたものの、社会的な認知度の低さや接種費用が高いことなどからなかなか普及が進まず、財政的な支援が求められてまいりました。
接種費用については、一部を除いて保険適用とはならず、全額自己負担が原則で6,000円から8,000円程度掛かります。公明党が、各自治体において公費助成を積極的に推進してきた経緯もあり、平成24年8月現在では804の自治体で公費助成が行われるようになり、全自治体の約45%を占めるようになりました。
ある識者は、新型インフルエンザと併せて成人用の肺炎球菌ワクチンを接種することで、感染症の重症化を予防できることなどを挙げ、国民の健康増進や医療費削減の観点からワクチンの有効性が認識され、行政としても公費助成に取り組む機運が高まったのではないかと指摘しています。私も、先だって市民の方から高齢者の健康を守るため、江別においても肺炎球菌ワクチン接種の公費助成をしてほしいとの要望をいただきました。
医療費削減の具体的な例としては、旧瀬棚町で疾病予防対策を進めた中で平成13年に国内で初めて肺炎球菌ワクチンへの公費助成を実施し、国保の1人当たりの医療費が平成3年に道内1位だったものが、平成16年には182位へと改善しています。
対象年齢や助成内容については自治体により異なりますが、平成18年から実施している名寄市では、65歳以上で3,500円の公費助成を行い、本年から実施している高知県では、70歳から75歳の高齢者を対象に1人当たり3,000円の助成を行っています。高知県の担当者によりますと、高齢者の発症は重症化して入院するケースが多く75歳までのワクチン接種が重要であることと、接種後は5年間効果が持続し、入院回数は約5割減、医療費も1人当たり約26万円減少するとしています。
当市も高知県と同じ条件で試算しますと、70歳から74歳までの方が6,811人おられ、最大で5割の方が接種したとしましても、掛かる経費が約1,000万円で、約8億円の医療費削減が見込まれると思います。
是非、江別市においても、高齢者の健康を守りながら、医療費を抑制する観点から成人用肺炎球菌ワクチン接種費の公費助成ができないか、お伺いいたします。
以上で1回目の質問を終わります。
副議長(齊藤佐知子君)
裏議員の一般質問に対する答弁を求めます。
市長(三好 昇君)
裏議員の一般質問にお答え申し上げます。
まず、公共施設全般の長期修繕計画案の策定についてでありますが、市では平成23年に計画的な修繕等により、施設の長寿命化を図るため江別市公共建築物保全マニュアルを作成し、施設の維持管理を行っているところでございます。
各所管では、マニュアル等を基に施設の点検・補修等を適宜行うとともに、毎年7月の全国安全週間には、市の公共施設安全点検週間ということで、施設の安全一斉点検を行っているところでございます。
ご指摘のように、市では築30年以上が経過し、大規模修繕等の時期を迎える建築が多く存在しているところでございます。現在、公共施設全般の長寿命化を念頭に置きながら、優先度を考慮する中で、まず子供たちの安全・安心を考え、小中学校の耐震化工事を最優先に行い、次に多くの方が利用し、収容避難所の拠点施設となる市民体育館等の耐震診断を行うなど、耐震化を進めているところでございます。
今後におきましても、公共建築物のより一層の安全・安心を確保する観点から、また財政面の負担の軽減を図る観点からも、公共施設全般の長寿命化について、優先度を考慮の上、進めてまいりたいと考えております。
次に、高齢者の肺炎球菌ワクチン接種の公費助成についてです。予防接種制度において、市として公費負担により接種を勧奨していくためには、国の有効性・安全性の評価を経て、予防接種法に基づき市町村が実施すべき定期接種に位置付けられるなど、国として勧奨されるものであることが不可欠と考えております。
高齢者を含む成人用肺炎球菌のワクチンについては、厚生労働省の厚生科学審議会予防接種部会で接種の促進が提言されているところでございます。このことを踏まえ、平成25年3月に国会の厚生労働委員会におきまして、平成25年度末までに定期接種化の結論を得るよう適切な措置を講ずるべきであるとする、予防接種法改正案に対する付帯決議が採択されたところでございます。
市といたしましては、付帯決議に対する国の動向などを注視してまいりたいと考えております。
以上でございます。
裏 君子君
長期修繕計画案の策定について、2回目の質問をいたします。
ご答弁では、江別市公共建築物保全計画マニュアルを作成し、適切で計画的な修繕等を行い把握しているとのことですが、そのマニュアルでは、点検方法の概要や関係資料等が記載されているのみで、長期修繕計画とは言えないと思います。また、小中学校の耐震化工事を最優先に行い耐震化を進めているとのことですが、長期修繕計画とは、建物の耐震化とも内容が違うものでございます。
長期修繕計画とは、資産価値を維持するため適時適切な修繕工事を行うことであり、少なくとも今後30年の期間に見込まれる修繕、改修の内容、その時期、概算費用を具体的に明確にしておくものでございます。長期修繕計画での修繕は、建物及び設備の性能・機能を維持し、回復させることを基本とし、その工事実施の要否や内容は、事前に調査・診断を行いその結果に基づいて判断するとされています。
また、建物及び設備の立地条件、劣化状況、新たな材料、工法の開発などにより、修繕周期や単価、物価などの不確実な事項を含んでいることから、一定期間ごとに調査診断を行い、計画を見直すことが必要ともされています。
建築基準法では、建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならないと定めており、事故等による賠償責任が生じる不測の事態も考えられます。
現在、江別市が保有する建物は638棟あり、その延床面積は35万8,300平方メートルで、そのうち建築後30年以上経過しているものが338棟、19万5,700平方メートルであることから、全体の54.6%、半分強となっています。
今後これらの建物・設備の大規模修繕や建替えなどについてはばくだいな費用が予想され、市の財政に大きな影響を及ぼすものと思われます。そのためにも、長期修繕計画の作成は必然性があるものと考えますが、市長のお考えをお聞かせください。
以上で2回目の質問を終わります。
総務部長(久田康由喜君)
私から裏議員の再質問にご答弁申し上げます。
長期修繕計画の作成は必然性があるものと考えますが、それについてのお考えをということでございます。
長期修繕計画の作成の必然性に関しましては、現在、市の保有する建物で築30年以上が経過しているものが多く存在いたしまして、その修繕・改修等には多くの費用が掛かる懸念があるということは現在承知しているところでありますが、長期修繕計画につきましては、財政面や優先度など様々な課題がありますことから、長期的な展望に立って、先進事例なども参考にしながら調査研究してまいりたいと考えておりますので、ご理解賜りたいと思います。
副議長(齊藤佐知子君)
以上をもって、裏議員の一般質問を終結いたします。
一般質問を続行いたします。
角田一議員のサービス付き高齢者住宅について外2件についての質問を許します。一問一答方式、通告時間45分。