平成24年第1回江別市議会会議録(第4号)平成24年3月12日 4ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
三角芳明君
ただいま議長より発言の許可をいただきましたので、通告に従いまして質問をさせていただきます。
初めに、先ほどもお話がありましたけれども、昨日3月11日で東日本大震災の発生からちょうど1年がたち、この一年は本当にむごい年となってしまいました。
行方不明者、死者を合わせますと、昨日の報道にもありましたように1万9,009人に上り、また、がれき処理の部分につきましても、総論ではみんなで協力しようと言いながらも、現在はまだ6%しか処理できていないような状況でもございます。改めてこの部分につきましては、今後、全国民の中で論議を深めながら協力しなければならないものと思うところでもございます。
そしてまた、被災者が一日も早く、復興ではなく普通の生活に戻れるよう、我々もできることから努力しなければならないと感じているものでもございます。
それでは質問に移ります。
日本の食料の安全・安心の確保の観点からも、自国の食料は自国で賄うことが最も基本でありますけれども、現在、先進国では食料の重要性を認識し、自国の食料自給率の向上に向けて一生懸命進められている中で、日本の食料自給率はいまだ40%という低い水準の中で推移している状態です。
国では、今、地域経済を脅かしかねない例外なき関税撤廃の環太平洋経済連携協定、いわゆるTPPに向けて動き出しているところですが、日本の将来に大きな不安をあおるような交渉には、断固反対の立場の一人として皆さんにも是非ご理解とご協力をお願いするものであります。
こういった中で、当市の農業も時代の変遷とともに、昭和30年代からの米の作付け時代から昭和45年からの米過剰時代に入り、米以外の作物への転換、いわゆる転作事業が始まり、田園風景が年々減少し、麦・豆・野菜・花きへと移り変わってまいりました。当市におきましても、75%以上が転作畑となり、米作より一層の透水性が求められ、そのたびに土は風化し地盤沈下をもたらし、排水整備が今後の大きな課題となってまいりました。現在では、初冬まき小麦ハルユタカをはじめ、ブロッコリー等が市内外に名をはせてきております。また、グリーンツーリズム事業、地域直売所、貸し農園、ファームレストランの開設、さらには、加工産品開発販売と新たな時代に向けた取り組みが着々と進められています。
これまでの当市の農業における土地改良は、客土・暗きょ等の連続の中で進められ、今日の多種多様な作物の栽培が可能となる土壌として改良が重ねられてきております。土壌の地力と透水性の良い土地でなければ良い作物は育ちません。長い歳月の中で繰り返し繰り返し土地改良が施されてきている中、現状では、市道に関わる排水整備等を行わなければならない状況が多数見受けられます。行政としても、今後計画的に改修整備を進めていかなければならないという認識には立たれていると思いますが、具体的に今後どのように進めていくつもりなのかお聞かせください。
また、これまでの間、当市としての土地改良整備事業の負担は、国や道、個々の農業者が主体でありました。他市町村では、土地改良事業においても、市町村が一部負担をして事業を進めてきている現状ですが、当市では、これまで農業の個人財産の助長につながるということから、かたくなと思えるほどに理解が得られてこなかった状況です。今後の江別市の農業生産の基盤を支える農地を当市の財産とし、土地改良事業に対する市としての関わりについても、他市町村と同様な取り組みを求めるものですが、現在、どのような見解をお持ちかお聞かせください。
続きまして、江別の将来の食料を支える後継者の育成についてですが、地域においては、後継者不足が地域自治会組織の存続にも大きく影響しかねない状況であります。一時は、地元を離れ他産業に従事する者が多くおり、地域としての将来に一抹の不安を抱える者の一人でしたが、近年では、何が地域に呼び戻すのか、また地域に後継者として戻ってきている現状が見受けられるようになりました。この若者たちにしっかりとこの江別の大地に根を下ろしてもらい、江別の基幹産業の一つである農業の将来を見据えた施策を地域と共に構築できる場を設けていただきたいと思いますが、いかがお考えでしょうか。
さらには、現在、平均初婚年齢は、男性で30.4歳、女性で28.6歳というデータもあり、年々晩婚化が進行しております。独身の農業後継者に対する対策について、他市町村では単独で行われているところもありますが、当市としても、今からでも取り組む必要があるのではないかと思うところです。少し時代を巻き戻してみますと、地域には、このような結婚話に掛けては特に親身になってお世話をしてくれるお節介な方も多くおりましたし、青年会という若者組織が活動を展開しており、その活動が出会いのきっかけとなっていましたが、今ではそのようなことも少なく、誰かがそのようなきっかけをつくる必要があると考えますが、いかがでしょうか。
次に、江別市には数多くの特産品、江別ブランドがたくさんあります。より一層江別ブランドを市民全体で育て上げてPRしていくことが必要ではないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
以前、会派の視察で訪問させていただきました山口県下関市では、皆さんもご承知のとおり、同市はふぐ、うに、鯨、いか、あんこう等が有名ですが、地場産品の品質向上と地域経済の活性化を目的に進めている下関ブランド発信事業を視察させていただきました。同事業は、下関ブランド認定審査会においてブランドとすべき認定基準を設けて認定審査を行い、下関ブランド推進協議会へ答申し、そこで最終判断されれば、下関ブランド認定事業者として各種イベント、スーパーマーケット等で大々的にPRを行うほか、地域の応援事業者とも連携し、地場産資源に付加価値を付け市内・市外へと情報を発信し販路を拡大していくというものであります。
当市として、現在ある特産品、江別ブランドと言われてきている数々の特産品をこのような新たな江別ブランド認定制度を設けることで、市民全体が応援団となり全国への販路の拡大につなげていく試みを進めてはいかがでしょうか、ご見解をお聞かせください。
続きまして、最近、また話題になっております生活保護制度についてでありますが、この件につきましては、これまでも一般質問で各議員から様々取り上げられてきました。このような制度がありながらも活用できず残念な結果となった報道を耳にする中で、この制度の運用が適切に行われているのか心配になっている者の一人として質問させていただきます。
生活保護制度につきましては、皆さんご承知のとおり、日本国憲法に生存権の保障と社会保障制度の確立を図ることが記されているわけですが、年々高齢化が進むとともに、近年のリーマン・ショック以後の経済不況の中ではこの制度に頼りがちになっている状況が大なのかと思うところです。ここ数年の当市の状況を見ても、世帯数では900世帯から1,000世帯を超え、現在では1,100世帯を超えるなど年々増加してきているところです。
私は、生活保護制度の相談業務・自立支援を担うケースワーカーの役割が非常に大きいと思っています。
他市の状況を見ましても、ケースワーカーは、事務処理の外、生活状況の聞き取り調査等のため年間3回程度は各家庭を回らなければならない状況であり、まして1人で80件が標準とされているところ、現状は100件を超えているとのことであります。これでは、就労支援にケースワーカーの手が回らないのではないかということがあり、本市でも同様な状況ではないかと推察するところであります。ケースワーカー本来の役割を現状の体制で十分に果たせているのかどうか、見解をお聞かせください。
また、近年では稼働年齢層の比率も増えつつあるようですが、この方々に対する支援は十分行き届いているのでしょうか。さらには、市民からこの制度に対して不正防止に関する対応策も問われることが少なくないわけですが、市民から通報があった場合の対応は現在どのように進められているのでしょうか。
この制度を否定するものではありませんが、必要な方には必要な手だてを講じて適切に対応していただき、不幸な出来事が起きないよう進めていくとともに、不正受給に対してはきぜんとした態度で取り組むよう望むものであります。他市においては、生活保護不正受給者調査員を置いているところもあるようですが、当市としては、この件に関してどのようにお考えになっているか、お聞かせください。
以上で1回目の質問を終わります。
議長(尾田善靖君)
三角議員の一般質問に対する答弁を求めます。
市長(三好昇君)
三角議員の一般質問にお答え申し上げます。
まず、土地改良についてのご質問でありますが、江別市の農地は平たんな低地が多いことから、歴史的に水害に悩まされた経過があります。そこで、農地を守るため排水機場や排水路など様々な土地改良事業に取り組んできたところであります。農業にとって基盤整備は農作物の湿害を防止し、高品質で多様な農作物の生産、さらには農作業の効率化を図る上で、農業の基盤を成す大変重要なものと認識しております。
例えば、江別小麦でありますハルユタカにおきましては、長雨の影響などにより、平成21年と平成22年の2か年間は生産量が大幅に減じた経緯があることから、土地改良の必要性を改めて認識させられたところであります。
そこで、今後の排水対策でありますが、現在、江別南地区におきましては、国営土地改良事業として平成26年の完成を目指して排水機場の新設等や幹線排水路の整備を行っており、終了後は引き続き道営事業による整備を予定しております。
また、国の制度である農地・水・環境保全向上対策事業に取り組んでいる地域の保全会に対して一定の負担を行っているほか、その他の地域自治会が行う排水路の維持管理に対しても、市として独自に助成しているところであります。
また、市道に関わる排水整備につきましても、地域要望も踏まえ、その緊急度や優先度等を考慮し引き続き計画的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、土地改良事業に対する市の考え方ですが、先ほども申し上げましたとおり、土地改良事業は農業の基盤を成す大変重要なものであり、今後の農業振興を図る上で、また、現在進めている食のまちづくりや北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区構想を進めていく上でも重要な取り組みでありますので、農作物の健全な生育を促し、農産物の高付加価値化に向けて地域としてその取り組みを進めるなどの条件が整った場合には、市としても必要な支援について北海道をはじめ関係機関と協議するなど検討してまいりたいと考えております。
また、現在、個々の農家が行う暗きょ管設置など簡易な土地改良に対する助成が国の第4次補正の中で始まっていることから、JA道央や土地改良区などと連携しながら必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
次に、後継者の育成と配偶者対策についてでありますが、まず、後継者の育成は、今後の農業振興の上でも非常に重要な課題と認識しており、農業経営や生産技術、情報処理などの研修について、管内4市で構成する道央農業振興公社を通じて取り組んでおります。市内では、過去10年間において29名の方が後継者も含め新規に就農しており、現在、新規就農研修として、江別市の先進農家が1名の研修生の受入れを行っております。また、新年度においては新たに次世代就農定着サポート事業を予定しており、その中で、農業後継者や新規就農者に対する支援を強化してまいります。
次に、配偶者対策につきましては、後継者の育成と並んで大きな課題として認識しており、農業委員会では昭和54年から平成11年まで、また、道央農業振興公社においても、平成17年の公社設立以来、年2回、都会に住む農業に関心のある女性との交流の機会を設けるファーマーズ交流会などの事業を行ってまいりました。
しかしながら、期待する成果には至っておりませんが、配偶者対策の取り組みは大変重要で、息の長い取り組みが必要であると考えておりますことから、引き続き公社を通じて取り組んでまいりたいと考えております。
次に、江別ブランドのPR向上対策についてでありますが、一般質問初日の相馬議員にもお答え申し上げておりますとおり、個別の農産物に対する認証制度は難しいと考えておりますが、江別の農産物や加工品の付加価値向上に取り組み、安全で高品質であることを農業まつりなどの各種イベントや直売所、物産展など様々な機会を通じて情報発信することがブランド化や販路拡大等にもつながるものと考えております。そのようなことから、今後とも、JA道央などと連携を図りながら、引き続き農産物等の付加価値向上に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
私からの答弁は以上でございますが、その他の質問につきましては、健康福祉部長をもって答弁いたします。
健康福祉部長(山田宗親君)
私から生活保護についてのご質問にご答弁申し上げます。
まず、1点目の本来の役割が現状体制で十分果たせているのかについてでございますが、生活保護制度におけるケースワーカーは、経済的自立、日常生活自立、社会生活自立に向けて、各受給世帯の実情に応じた援助方針を立て、生活支援を行っております。
現在、保護課に配置しているケースワーカーは12名で、平成24年1月における受給世帯数は1,122世帯であり、ケースワーカー1人平均94世帯を担当しており、社会福祉法に基づく標準数80世帯を超えている状況ではございますが、平成20年度に就労支援員の配置、平成21年度に保護課庶務係の新設、平成22年度にケースワーカーの増員など実施体制の充実を図ってまいりました。
今後とも、きめ細やかな生活支援を図れるよう、健康福祉部の業務全体を見据えた上で、人員の確保に努めてまいります。
次に、2点目の稼働年齢層に対する支援についてでございますが、稼働能力を有している受給者につきましては、ハローワークなどを活用した就労指導を行っており、就労支援員とケースワーカーが連携し、求職活動への援助を行い、その結果、平成22年度においては17人が就労し、そのうち8人が自立しております。
今後につきましても、就労支援員を配置する中で積極的な就労支援に努めてまいります。
次に、3点目の市民からの通報があった場合の対応についてでございますが、受給者のプライバシー保護に配慮した上で通報の内容を具体的に把握し、受給者に対して事実確認を行い、場合によっては、その結果に基づき文書指示などにより必要な措置を講じております。
次に、4点目の生活保護不正受給者調査員についてでございますが、現行制度の中で、その役割はケースワーカーが同様に担っていると考えておりますことから、受給世帯の定期訪問などによる生活実態調査や収入申告書と課税資料の突き合わせなどを実施した上で、指導や扶助費の返還など必要な措置を講じているところであり、今後におきましても、ケースワーカーが対応する中で、適正な執行に努めてまいります。
私からは以上でございます。
三角芳明君
ご答弁ありがとうございました。
土地改良事業に対する行政と農村地区との温度差がまだまだあるのではなかろうかと思っております。今後、農家戸数が減り耕作放棄地が増える中で、先ほど申し上げましたように、他の市町村では市町村負担があり、当市はないという部分で、公平感をきちんと持てるような考え方の中で取り組んでいただきたいと思います。同じ農業者としてこれは要望としますけれどもよろしくお願いしたいと思います。
また、生活保護の関係で質問させていただきましたが、これだけ不況になってきますと、これからは市に対しいろいろな相談があると思います。市役所という文字は、市民の役に立つ場所と書きますので、本当に市民の役に立つような形で一層の努力をお願いし、質問を終わらせていただきます。
議長(尾田善靖君)
以上をもって、三角議員の一般質問を終結いたします。
散会宣告
議長(尾田善靖君)
本日の議事日程は全部終了いたしました。
これをもって散会いたします。
午前11時48分 散会