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平成23年第4回江別市議会会議録(第3号)平成23年12月15日 5ページ

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6 議事次第の続き

一般質問の続き

吉本和子君

 通告に従い、順次質問をさせていただきます。
 初めに、国民健康保険制度の改善についてお伺いいたします。
 昭和36年から全ての市町村で国民健康保険事業が始まり、誰でもいつでもどこでも保険医療が受けられるようになりました。しかし、近年、市町村国保の財政難が深刻化し、保険者としては、赤字をいかに生み出さないか、赤字をどれだけ減らせるかが至上命題になっているように思えてなりません。
 一方、加入者は、所得に対して高過ぎる保険税負担によって滞納し、滞納が重なれば、短期保険証や資格証明書といった正規の保険証ではない保険証が交付され、特に、資格証明書の交付は、実質的に保険証の取上げ、さらには財産の差押えというペナルティ、制裁措置とも言えるサイクルの渦中に入れられてしまうことになります。
 平成23年8月29日付けの朝日新聞では、国保滞納者の差押え急増という記事の中で、政令指定都市と東京23区に対して行った調査で、差押え件数が平成22年度までの4年間で約5倍になったと報じています。このような状況であるからこそ、国民健康保険制度の保険者である市がどのようにこの制度を捉えているのかが、市民の医療を受ける権利を守り切れるのかということにつながると考えます。
 1番目に、国民健康保険制度に対する基本的認識についてお伺いいたします。
 江別市のホームページの国民健康保険トップページには、制度の概要が説明されています。その内容は、国民健康保険はという言葉で始まり、最後に、お互いに助け合う制度ですとあり、多くの自治体も同様の説明がされています。政府広報オンラインに記載されている説明でも、国民健康保険制度は、世帯主一人ひとりがふだんから保険料(税)を納めることによって病気やけがをしたときに安心して医療を受けられるようにする相互の助け合いの仕組みとしています。
 相互の助け合いとなる法律的な根拠については、旧国民健康保険法の第1条に、国民健康保険は相扶共済の精神にのっとりと助け合いの制度であることを規定していましたが、改正後の現行の国民健康保険法は、この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とするとし、お互いに助け合うという一面のみではなく、社会保障制度として国民健康保険制度を位置付けていると言えます。お互いに助け合う相互扶助という視点ではなく、社会保障という視点で捉えるのであれば、療養の給付を受ける権利は、保険税や一部負担金の支払を前提にしているのではなく、全ての国民に社会保障という当然の権利として保障されているものと考えます。
 この間の構造改革・新自由主義路線がまき散らした保険料の支払の見返りに医療が受けられるというような保険の原理では、日本国憲法第25条に規定する国民一人ひとりの生存権がないがしろにされ、自治体の役割である住民の福祉の向上に努めることも否定することになりかねません。今こそ、国民健康保険制度については、相互扶助ではなく、社会保障としての視点に立つべきと考えますがどのようにお考えかお伺いいたします。
 2番目に、資格証明書の交付についてお伺いいたします。
 資格証明書は、平成9年から1年以上の滞納者への発行が義務化され、平成12年の施行後、滞納者の生活実態を無視した機械的な保険証の取上げが全国的に拡大し、マスコミ等でも、資格証明書交付世帯が急増した結果、命を落とすケースが全国で相次いでいる。その背景には、滞納世帯が増え続ける中、資格証明書を積極的に交付し収納率を上げることに躍起になっている自治体があると指摘するなど大きな社会問題となりました。その後、資格証明書については、高校生以下の子供には交付しない、医療が必要な人には短期証を交付するといった改善が国民運動によって図られましたが、先ほど申し上げた新聞記事にもあるように、事態はますます深刻になっています。そのような中で、当市の状況については委員会等でも確認をさせていただきましたが、改めてお伺いします。
 平成22年度の決算特別委員会の資料では、平成18年度から5年間の滞納世帯割合を見ると、ピークは平成20年度の15.9%で、平成22年度は13.8%となっています。また、滞納世帯における資格証明書交付世帯割合を見ると、平成21年度の7.4%がピークで、平成22年度が7.0%、実世帯数はそれぞれ202世帯、175世帯となっています。
 1点目に、それ以降の交付状況についてお伺いいたします。
 当市における資格証明書交付世帯数と世帯背景、交付までの基本的な対応と交付後の対応をどのようにされているのかお伺いします。また、資格証明書交付世帯の医療機関への受診実態、短期証への切替え状況などについてお伺いいたします。
 2点目に、近隣市における資格証明書交付状況と比較し、当市の資格証明書発行に対するお考えを改めてお伺いいたします。
 この間、委員会に提出された資料からも、江別市は、近隣市と比較して大きな開きがあることは明白です。もちろん、自治体ごとに条件が違いますので、数字を比較するだけでは一面的な評価になる危険性もあることを認識した上でお伺いいたします。
 決算特別委員会に提出された平成23年6月1日現在の滞納世帯割合と資格証明書の交付割合を見ると、当市は、滞納世帯割合が13.8%、そのうち資格証明書交付世帯割合が7.0%であるのに対し、北広島市は、滞納世帯割合が25.0%で資格証明書交付世帯割合が0.9%、千歳市は、滞納世帯割合が13.3%で資格証明書交付世帯割合が0.9%となっています。一方、石狩市のように、当市と比べて滞納世帯割合と資格証明書交付世帯割合が共に高い自治体もあります。資格証明書の交付については、払える資力があるのに払わない、いわゆる悪質な滞納者ということが交付基準の第一と聞いておりますが、この数字の違いは、自治体の考え方や基準によるとも考えられます。どのような認識をお持ちかお伺いいたします。
 3点目に、資格証明書の交付目的とその効果について、どのように認識しているのかお伺いいたします。
 ある自治体のホームページには、資格証明書の交付目的について、保険税を納めない方がいると制度が成り立たない。資格証明書の交付は事業の健全な運営確保と加入者間の負担の公平を図るため、保険税の収納を確保する上での一つの手段と説明されていますが、どのようにお考えでしょうか。この説明を妥当とするのであれば、当市における資格証明書交付の効果、例えば、収納効果などにどのような影響があるのかお伺いいたします。
 4点目に、資格証明書の交付は基本的に中止すべきと考えますが、お考えをお伺いいたします。
 この間、全国的に、滞納は自己責任、保険だから保険料を支払わなければ制度を使えないという主張が正当化され、また、広く流布され、保険証の取上げが進められてきたものと考えます。国民健康保険制度を持続可能なものにすると言いながらこのようなことを進めてきたことで、結果的に、保険証を持てない国民を大量に生み出し、国民皆保険制度を崩壊させかねない状況になっていると言えます。
 最初に申し上げた社会保障にふさわしい国民健康保険制度に戻していくことが今こそ必要であり、まず、資格証明書の交付をやめる方向で検討すべきではないでしょうか。住民の福祉の増進を図るという自治体の役割からして、早急に着手すべきと考えますがお考えをお伺いいたします。
 3番目に、一部負担金の減免及び支払猶予についてお伺いいたします。
 国民健康保険法の第44条には、保険者に対し、特別の理由のある被保険者には、一部負担金の減額、一部負担金の支払免除、一部負担金の徴収猶予について措置できることを規定しています。昭和33年に現在の国民健康保険法が制定されてから、この特別の理由は、自治体、すなわち保険者が条例や規約で定めることとされ、当市では、江別市国民健康保険事業規則第14条に明記されています。同規則では、その1、干ばつや冷害などによる農作物の不作等、その2、震災、風水害、火災等、その3、事業の休廃止、失業等などによって収入が著しく減少あるいは資産の重大な損害などがあったときと規定されていますが、この制度の年間の利用実績は二、三件で、それもほとんどが入院医療費であり、日常的にある通院の医療費負担に苦しんでいる市民にとっては実質使えない制度となっています。
 全国的には、この制度を定めている自治体が55%程度とのことですので、そのことから言うと、規則に明記していること自体は大いに評価しますが、活用実態から見ると更に改善する必要があると考えます。
 1点目に、この間、利用実績が少ない一方で、市民からは医療費負担が重い、また、医療機関からは手持ち金が足りないとか分割にしてほしいという患者が増えてきたという声が聞かれるようになっており、本制度の検証と実態に合わせた改善が必要と考えますがいかがでしょうか。お考えをお伺いいたします。
 2点目に、一部負担金の減免及び支払猶予の基準の見直しについて、お考えをお伺いいたします。
 さきに申し上げましたように、高額の医療費負担は、入院に限らず通院の際にも生じます。例えば、通院しながら、がん治療で抗がん剤や放射線治療を行う場合、高額療養費制度を使ってもその負担は重く、治療費を払うと食べていけない、食べていくためには治療を中断せざるを得ないといった厳しい状況に置かれた方々の切実さは本当に深刻です。
 しかし、減免となる基準は、自然災害や失業などにより所得が急激に減少したときなどとなっており、収入は年金のみでほぼ一定という方が高額な医療費を払えないという問題の解決にはなりません。例えば、せめて集中的ながん治療が終わるまで医療費負担を減らすことができれば、安心して治療に専念できます。このような恒常的な低所得者で高額な医療費負担によって生活が維持できないといった場合も、市長が特別の理由として認め、制度の対象とすることが必要と考えますがいかがでしょうか。お考えをお伺いいたします。
 3点目に、平成22年9月13日付けの厚生労働省の一部負担金減免・保険者徴収に関するQ&Aについてお伺いいたします。
 この通知の問2に、一部負担金の減免について、入院治療だけではなく、高額の外来治療を受ける場合も対象としてかまわないかという問いに対し、保険者がその必要を認めたときは一部負担金減免を行うことができるものであると答えています。国の基準は、入院医療費に限り減免した費用の2分の1を特別調整交付金で補塡するとお聞きしておりますが、その補塡分の財源を活用し、低所得者の医療費を減免対象とするよう見直すべきと考えますがいかがでしょうか。
 4点目に、一部負担金の減免及び支払猶予を広く医療機関や市民に周知する必要性についてお伺いいたします。
 平成21年7月に厚生労働省が通知した生活に困窮する国民健康保険の被保険者に対する対応についてでは、一部負担金減免等の適切な運用や、医療機関・国民健康保険担当部局・生活保護担当部局の連携によるきめ細かな対応を呼び掛けています。特に、一部負担金減免制度の適切な運用を強く呼び掛けており、直接的な動機は深刻化する医療機関の未収金の未然防止とのことですが、未収金が発生する背景にあるのは、その多くが生活困窮と言われています。つまり、国においても、一部負担金減免制度を適切に運用しなければ事態は改善しないことを認めたと言えます。また、通知では、医療機関、市町村の国保部局、福祉事務所等に国民健康保険の保険料や一部負担金を支払うことが困難である被保険者が相談に訪れた場合には、いずれの窓口においても、必要に応じて一部負担金減免制度、生活保護制度、無料低額診療事業などについて、十分な情報提供ときめ細かな相談対応ができるようにすることを指示しています。
 市のホームページの国民健康保険トップページの最後には、一部負担金の免除・徴収猶予を申請するときという1行がありますが、このような制度の存在を分かりやすく広く市民に周知することが必要です。窓口に申請書を置き気軽に申請できるようにしたり、医療機関からも支払が困難な状態の患者に制度の活用を勧めるよう周知・徹底し、ポスター掲示等で宣伝するなど広報、周知への対応をすべきと考えますがいかがでしょうか。お考えをお伺いいたします。
 次に、農業の振興についてお伺いいたします。
 一国の農業は、国民の生命を支える食料の安定供給の土台そのものであり、国土や環境の保全などに掛けがえのない役割を果たしています。しかし、この間続けられてきた国の農業政策は、食料自給率を引き下げ、国土と環境を破壊する方向を強めてきたと言えます。
 平成22年度の食料自給率は、カロリーベースで39%に低下し、40%を切ったのは平成18年度以来とのことです。一方、食料輸入量は、昭和35年と比較して平成19年は約6倍に拡大しており、貿易自由化の結果が食料自給率の低下に現れていると言えます。また、今年度は、東日本大震災によって多くの田畑が作付け不可能となり、さらに放射性物質の汚染が追い打ちを掛けているほか、収穫した米や市場に出回った牛肉の放射性物質汚染が次々と発覚するなど更に自給率の低下が予測されます。食料自給率を50%以上に引き上げることは国政上の最優先課題ですが、関税撤廃の究極の自由貿易と言えるTPPへの参加は、国民の生命を支える食料の安定供給そのものをないがしろにするものと言わざるを得ません。当市の農業は、食料基地として北海道の道央圏に位置し、その基本は、農畜産物の安定供給という重要な役割があるものと考えます。
 1番目に、江別市における農業の現状と課題に対する市長の基本的な認識についてお伺いいたします。
 江別市農業振興計画は農業行政の指針とされておりますが、第2次江別市農業振興計画は平成20年度から平成25年度までの6年間の目標等を定めており、平成23年度は計画期間の4年目に当たります。農業を取り巻く情勢も大きく変化している中で、計画期間の中間年として評価が必要なのではないかと考えますがいかがでしょうか。
 1点目に、江別市における農業の現状と課題についてどのようにお考えかお伺いいたします。
 2点目に、TPPが江別市の農業に及ぼす影響についてどのようにお考えかお伺いいたします。
 日本の農業は、農業者の高齢化と後継者不足の下で、耕作放棄地が全耕地の1割に上るなど危機的な状況であり、農業の再生は待ったなしの課題と言われています。
 市の農業者意識調査集計結果から農業の背景を見てみると、農業経営主の平均年齢は50歳代がトップで、次は70歳以上となっており、後継者がいない割合は77%、専業農家比率は62%、農業所得では100万円から300万円未満と100万円未満が50%を占め、農業以外の所得でも同じくこの金額が75%を占めています。離農については、後継者がいないという答えが50%以上となり、現状も将来的にも厳しい状況が見て取れます。
 このような中で、例外なき関税撤廃が前提のTPPへの参加は、江別市の農業にとっても大きな打撃となり、大本から農業再生の展望を崩すものになるのではないかと危惧するところですが、当市の農産物、関連産業及び雇用等への影響についてどのような認識をお持ちかお伺いいたします。
 3点目に、農業生産基盤の整備、農地整備の必要性について基本的なお考えをお伺いいたします。
 農業者意識調査集計結果から、生産性の高い農業経営の確立のために必要な基盤整備については、暗きょ排水と土壌改良という回答が圧倒的に多くなっています。江別市農業振興計画にも、農業生産基盤の整備は、農の根幹を成す部分であるとし、暗きょ排水整備、土層改良、区画整理、農道整備、その他地域の共用施設の整備など地域の実情に即した取り組みを進めていくと明記されておりますが、この間の実施状況はいかがでしょうか。
 基盤整備事業は多額の予算を必要としますが、農業者、専門家、関係団体との連携の下、効率的、効果的、計画的に実施し、将来にわたり農地等を大切に維持・保全していくべきと考えます。今後の基盤整備事業についてどのようにお考えか、基本的なところをお伺いいたします。また、北海道が実施する基盤整備のための補助事業の活用等についてどのようにお考えかお伺いいたします。
 2番目に、域内経済循環活性化策としての地元農産物の通年流通についてお伺いいたします。
 1点目に、冬期間の地元農産物の貯蔵に係る手法等の検討についてお伺いいたします。このことは、過去にも一般質問で取り上げられておりますが、大震災後、食料備蓄への対応が喫緊の課題となっているほか、自然エネルギーの利用や環境負荷への配慮の必要性が高まっている中、北海道では、既に沼田町などで雪氷冷熱エネルギーを利用した取り組みが行われていることから、そのような先進事例に学び、豪雪の利を生かした手法について具体的に検討する時期に来ていると考えますがいかがでしょうか。お考えをお伺いいたします。
 2点目に、雪氷冷熱を使った低温貯蔵施設で電力を必要とせずに農産物の貯蔵ができるようになれば、地元農産物の通年流通が可能となるほか、出荷調整ができることから安定した価格を維持することができます。また、長期貯蔵によりうまみや栄養価が高まるといった付加価値が生まれ、新たなブランド化の可能性も期待できます。このようなことから、域内経済循環の活性化にも大きな役割を果たすものと考えますがいかがでしょうか。市長のお考えをお伺いいたします。
 3点目に、北海道の食料備蓄基地構想についてどのようにお考えかお伺いいたします。新聞報道によると、本構想は、道外での大災害発生時に被災地などへ食料を安定供給することを目指すものとのことです。また、災害時に全国の支援拠点となることを目指し、北海道が策定を進めるバックアップ拠点構想の一部とのことで、その具体的な内容の一つに、雪氷冷熱を活用し、道内で米や農産物を効果的に貯蔵するとあります。同構想の具体化を見据えつつ、当市としてもその役割の一端を担うべく検討すべきと考えますがいかがでしょうか。お考えをお伺いいたします。
 以上で1回目の質問を終わります。

副議長(清水直幸君)

 吉本議員の一般質問に対する答弁を求めます。

市長(三好昇君)

 吉本議員の一般質問にご答弁申し上げます。
 まず、国民健康保険制度に対する基本的認識についてでありますが、社会保障制度審議会が示した基本方針の中で、社会保障制度とは、疾病をはじめ種々の困窮の原因に対し、保険的方法又は直接公の負担において経済保障の途を講じ、国民が文化的な生活を営めるようにすることと定義されております。
 社会保障制度の中の社会保険には、国民皆保険の下、健康保険や共済組合などがあり、加入者はそれぞれ保険料を負担しているところでありますが、自営業者や被用者保険の退職者などを対象としている国民健康保険制度は、地域医療の確保と地域住民の健康の保持増進に重要な役割を果たしており、国民皆保険制度の根幹を成すものであります。また、その事業運営につきましては、保険税と国庫支出金等で賄うことが原則とされております。
 次に、農業の振興に関して、まず、江別市における農業の現状と課題についてですが、江別市の農業は、稲作と酪農中心の土地利用型から、畑作・肉用牛・露地野菜や施設園芸の導入による複合・集約型など多様な営農展開へと変化してきております。転作率も75%ほどで、水稲に変わる作物として小麦の作付けが拡大され、栽培技術の向上等によりブランド化を図るなど地理的優位性を発揮した都市近郊型農業を推進するための施策を展開してきております。
 こうした中、今日の農業を取り巻く環境は、食料自給率の向上や戸別所得補償制度の導入、農業の6次産業化などが進められておりますが、一方で、担い手や後継者不足、農業者の高齢化による農業・農村維持が難しくなるなどの課題の外、土地利用の多様化など農地を取り巻く環境も変化しております。
 このようなことから、市といたしましては、今後とも、第2次江別市農業振興計画に基づき、魅力ある農業の創造に努めてまいりたいと考えており、計画の中間評価につきましては、毎年度実施しております各事業評価などにより対応してまいりたいと考えております。
 次に、TPPが江別市の農業に及ぼす影響についてですが、昨年の第4回定例会で宮川議員の一般質問でもお答えいたしましたとおり、当市における影響は、具体的な試算が困難であることから、北海道の試算による減収割合で見た場合、江別市の主力農産物であります小麦については100%、水稲で約90%、酪農で約70%の大幅な減収が見込まれることから、農業経営の崩壊を招くばかりか、食品加工をはじめとした様々な関連分野にも壊滅的な打撃を与えるものと懸念しているところであります。
次に、農業生産基盤の整備、農地整備の必要性についてですが、質の高い農産物の安定供給を図るためには基盤整備が重要と認識しているところであり、これまでも国営や道営による基盤整備事業を実施しているほか、現在も江別南地区において国営かんがい排水事業を実施しているところであります。また、農業者個人の自立安定経営のために行う暗きょ排水等の事業に対し、江別市農業振興資金として事業費の貸付けを行っているところであります。
 なお、北海道の食料供給基盤強化特別対策事業、いわゆるパワーアップ事業の検討についてでございますが、当該事業は、平成16年度まで江別市においても実施しておりましたが、用水施設は末端部を除き完了していること、また、市が揚排水機場の管理を行っていることにより、農業者の受益者負担分が軽減されるなど市として一定の支援を行っていることから、現在、当該事業は活用していないところであります。今後の農業情勢の変化等により必要性が生じた場合は、農業者や関係機関とも協議して検討してまいりたいと考えております。
 私からの答弁は以上でございますが、この他の質問につきましては、経済部長外をもってご答弁いたします。

経済部長(加納好春君)

 私から域内経済循環活性化策としての地元農産物の通年流通についてお答えいたします。
 雪氷冷熱を使った低温貯蔵施設につきまして、既に美唄市や沼田町では農業協同組合が設置し、玄米やアスパラガスの貯蔵を行っているほか、生産者自らがハウスを利用して野菜の栽培や越冬大根、越冬キャベツなど様々な取り組みが各地で行われております。
 そこで、市ではこれまでに、江別商工会議所などで構成する江別食糧備蓄基地推進協議会に参画し、国土交通省が苫小牧市で行った雪氷輸送物流プロジェクト実証実験の視察会への参加や、先進事例調査を行っております。一方、貯蔵方法の改良や品目の拡大とともに、経済性の課題などが挙げられていることから、今後におきましても、JA道央をはじめ、大学や研究機関等と情報交換を行うなど引き続き市としてどのような対応ができるのか検討してまいりたいと考えております。
 次に、北海道の食料備蓄基地構想についてでありますが、当該構想は、東日本大震災を契機に、大規模災害への備えの大切さが国家的課題として再認識されたことに伴い、大規模災害時における食料のバック・アップ拠点構想と新エネルギーとしての雪氷冷熱を利用した食料の貯蔵・備蓄を視野に入れたもので、北海道では、平成24年3月に食料備蓄基地構想を策定し、政策提言として国に提案する予定と聞いております。
 市といたしましては、今後策定される構想や国への政策提言など北海道の動向を注視してまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。

健康福祉部長(山田宗親君)

 私から国民健康保険制度の改善に係る資格証明書の交付外についてご答弁申し上げます。
 まず、直近の資格証明書の交付状況と世帯背景についてでありますが、税の公平な負担という観点から、特別な事情もなく国民健康保険税を長期に滞納している世帯に対しては、国民健康保険法に基づき、被保険者証に代えて資格証明書を交付しているところであります。
 資格証明書交付世帯数につきましては、平成22年9月当初で246世帯、直近の平成23年11月1日現在では206世帯となっております。資格証明書の交付に至るまでには、電話等による相談の呼び掛け、被保険者証の窓口更新や有効期限を短縮した短期被保険者証を交付するなど様々な機会を捉えて滞納者との接触に努めているところであります。
 資格証明書による受診状況につきましては、平成22年度は84件で掛かった療養費は82万600円であります。資格証明書の交付世帯から医療機関を受診したい旨の申出がある場合は、納税相談の上で短期被保険者証を交付するなど柔軟な措置を取っており、受診抑制につながらないよう注意を払っております。また、短期被保険者証等への切替え状況につきましては、平成22年度では42世帯が短期被保険者証交付世帯へ、5世帯が一般被保険者証交付世帯へ切り替わっております。
 次に、近隣市の交付状況との比較については、平成23年6月1日現在で、当市の滞納世帯に対する資格証明書の交付世帯割合は7.0%であり、近隣市では、札幌市が21.2%、石狩市が12.6%、千歳市及び北広島市が0.9%などとなっておりますが、各市の滞納状況など置かれている事情が異なることから、数字によって比較することは難しいものと考えております。なお、当市においては、対象世帯ごとに調査票を作成し実態調査を行い、資格証明書交付審査委員会にて世帯状況や納付状況を勘案し、慎重に判断した上で交付しております。
 次に、資格証明書の目的と効果についてでありますが、資格証明書の交付の趣旨は、滞納者と接触の機会を確保し、納付の意思や生活状況を確認することにあり、それにより、保険税の減免や分割相談、福祉制度の提案など個々の事情に応じたきめ細かな対応が可能となり、納付につながる場合もあると考えております。
 次に、資格証明書の交付を中止すべきではないかとのご質問でありますが、当市といたしましては、先ほどご答弁申し上げました交付の目的に照らし合わせて、今後も資格証明書の交付につきましては、納税者の状況を十分勘案した上で対応してまいりたいと考えております。
 次に、一部負担金の減免及び徴収猶予制度の実態に合わせた改善についてでありますが、被保険者が医療機関で受診した際の一部負担金につきましては、国民健康保険法に基づき、江別市国民健康保険事業規則において、災害や失業、事業の休廃止等により収入が著しく減少したなど特別の理由がある被保険者が一部負担金を支払うことが困難であると認められる場合に減免及び徴収猶予することとしております。
 医療保険の一部負担金制度は、適正な受診を確保するとともに被保険者間の負担の公平性を確保する趣旨から設けられており、その一部負担金の減免は、あくまで一時的な措置として行われている制度であります。減免基準につきましては、国が示す基準より当市の方が基準を緩和している状況にありますので、被保険者間の負担の公平性からも、これ以上の基準の拡大は難しいものと考えております。
 次に、一部負担金の減免及び徴収猶予制度の基準の見直しについてでありますが、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、同制度は、あくまで一時的な措置として行われていることから、基準の拡大は難しいものと考えております。
 次に、厚生労働省からの通知への対応についてでありますが、厚生労働省保険局からの通知の内容につきましては、特別調整交付金での補塡は国の基準を満たした場合のみであることや、減免額は国からの負担金や北海道からの交付金に算定されないことなどから、国民健康保険財政への影響も大きく基準の拡大は難しいものと考えております。なお、特別調整交付金での補塡分は減免した額への充当分であり、他の目的の財源とはならないものでございます。
 次に、市民や医療機関への制度の広報・周知についてでありますが、現在、こくほだよりやホームページへの掲載等により各方面への周知に努めており、今後とも新たに医療機関にもお知らせを送付するなど制度の広報活動に努めていきたいと考えております。
 私からの答弁は以上でございます。

吉本和子君

 2回目の質問をさせていただきます。
 国民健康保険制度の改善について、四点ほどお伺いいたします。
 1点目に、国民健康保険制度に対する基本的認識についてお伺いいたします。
 ご答弁では、社会保障制度の中の社会保険という言い方をしており、そのように認識しているとお聞きしましたが、相互扶助、すなわちお互いに助け合うということは、社会保障制度において国民健康保険制度はどのような位置付けとお考えなのか改めてお伺いいたします。
 2点目に、資格証明書の交付をやめることの検討についてお伺いいたします。
 他市との比較で資格証明書の交付状況について申し上げ、ご答弁でもご説明いただきました。もちろん、近隣市と江別市の状況を単純に数字だけで比較することは難しいと承知しておりますが、これだけ数字に開きがあるのはどのようなことが原因なのかと考えたところ、私は、市の考え方や基準自体が違うのではないかと考えます。
 他市の例を申し上げると、芦別市では、資格証明書の交付対象としない特別の事情を芦別市国民健康保険税滞納者に係る措置の実施規則に定めています。同規則では、具体的に特別な事情として11項目を定め、その中には、高額な医療費のため一部負担金の支払が日常生活を圧迫していると認められる者や、自己の責務によらない債務の返済の義務を負っている者などと非常に具体的に規定しております。ちなみに、決算特別委員会の資料では、芦別市の滞納世帯割合が6.7%であるのに対し、資格証明書交付世帯割合は4.1%とのことでした。これらの因果関係ははっきりとはしませんが、芦別市のように特別の事情を市独自で規定している自治体も確かにあるということです。
 また、先ほど、資格証明書交付世帯の受診状況についてお伺いしましたが、マスコミ等では、資格証明書交付世帯には、なかなか受診できずにいるうちに手後れ死となる人がいることが報じられていました。ご答弁では、受診抑制につながらないようにしたいということでしたが、江別市の受診状況を調べてみると、こくほえべつでは平成21年5月診療分の受診率が86.98%となっています。また、ご答弁いただきましたように、資格証明書による受診件数が平成22年度で84件ということで、これに、平成22年度の資格証明書交付世帯が175世帯ということと、江別市における1世帯当たりの国民健康保険加入世帯の平均人数が1.68人という記述がありましたので、これらを踏まえて計算すると、資格証明書で受診した方々の受診率は約28%となります。この数字は、平成21年度と平成22年度の実績から計算しているので一概に比較することはできないという指摘もあるとは思いますが、全国的に言われているように、資格証明書交付世帯の受診率が低いことがこれで明らかになるのではないかと考えました。このような状況ですので、資格証明書の交付をやめることは、このようなことから見ても早急に検討すべきではないかと考えます。改めてお考えをお伺いいたします。
 3点目に、一部負担金減免制度についてお伺いいたします。
 恒常的な低所得者も対象とするよう検討してほしいと申し上げましたが、答弁では、それはできないという結論だったと思います。他市の事例で恐縮ですが、埼玉県深谷市では、当該年度において所得が皆無となり生活が著しく困窮した者に対しては、一部負担金制度の減免対象にするとしています。市長の判断になりますが、自治体の裁量で状況に合わせた柔軟な対応をしているのではないかと思います。申し上げた事例にもあったように、急激に所得が減少したことで医療費が支払えないことと、所得がもともと低い中で高額な医療費が必要になったために生活ができないということは、表裏一体にあると思いますので、この点について是非もう一度ご検討いただきたいと思います。
 4点目に、国への働き掛けについてお伺いいたします。
 ご答弁で、特別調整交付金についてご説明いただきましたが、一時的な措置であることなどを踏まえると、制度としてはまだまだ不十分だと思います。問題は、国が統一的な見解を具体的に示していないところにあると思いますので、国として責任を持って統一的な運用基準を示すように、あるいは、減免措置をした場合は国が自治体に財政的支援をするようになどと市長として国に強く申入れをすべきと思いますがどのようにお考えでしょうか。
 以上、全部で四点について改めてお伺いいたしますので、よろしくお願いいたします。

市長(三好昇君)

 吉本議員の再質問にお答え申し上げます。
 私からは、国民健康保険制度に対する基本的認識についてお答え申し上げます。
 江別市の国民健康保険制度は、保険給付費等に要する費用のうち約7割を国、道、市からの公費や社会保険診療報酬支払基金からの交付金で賄っており、残りを保険税ということで所得や加入者数に応じて負担し合う、お互いに助け合う医療の相互扶助の精神を基本とした社会保険制度の一つであると考えております。
 私からは以上でございます。

健康福祉部長(山田宗親君)

 私から資格証明書の交付外二点についてご答弁申し上げます。 
 まず、資格証明書の交付についてでありますが、国民健康保険法施行令第1条では、資格証明書の交付対象から除外する特別の事情を定め、災害、盗難、病気、事業の休廃止、それらに類する事由等の場合と規定しております。
 当市におきましては、資格証明書等交付実施要綱により具体的な基準を定め、世帯ごとに実情を調査の上、資格証明書交付審査委員会で慎重に審査し、資格証明書交付対象者を決定しているところであります。今後におきましても、資格証明書等交付実施要綱の基準に従って進めてまいりたいと考えております。
 次に、一部負担金の減免及び徴収猶予制度の基準の拡大についてでありますが、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、この制度は、あくまで一時的な要因に対する措置として行われていることから、恒常的な要因につきましては制度の趣旨に適さないものと考えているところでございます。
 次に、国への働き掛けについては繰り返しの答弁になりますが、この制度は、あくまで一時的な要因に対する措置であることから、基準の拡大は制度の趣旨に適さないものと考えており、国への要望等は考えておりません。
 私からは以上でございます。

吉本和子君

 ご答弁をいただきましたが、最初のご答弁と変わらず、少し残念に思います。
 繰り返しになってしまいますが、切なる要望としてお聞きいただきたいと思います。先ほど申し上げましたとおり、本当に大変な状況の中で暮らしている市民がたくさんいらっしゃいます。先ほどお話をさせていただいた方は、がんの治療をしており、高額療養費制度を利用しても自分の治療のためにお金を使ってしまうと妻を食べさせていけないとおっしゃっていました。その方は、江別市立病院で治療しているのですが、医師が治療優先なのでそういう事情であれば少しずつ治療費を払ってくださいと言ってくださり、今も治療を続けています。本来、一部負担金減免制度の問題などは、医療機関の未収金対策だったはずですが、結局は医療機関の配慮でその方は治療を続けることができています。そのような実態を是非認識していただき、基準の見直しなどについて改めて検討していただければ大変うれしく思います。

副議長(清水直幸君)

 以上をもって、吉本議員の一般質問を終結いたします。

散会宣告

副議長(清水直幸君)

 本日の議事日程は全部終了いたしました。
 これをもって散会いたします。
 午後1時51分 散会

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