平成22年第3回江別市議会会議録(第2号)平成22年9月15日 5ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
森好勇君
発言通告に従い質問をいたします。
本題に入る前に、参議院議員通常選挙の結果について、若干述べておきたいと思います。
さきの選挙で、日本共産党は、力量不足で国民の期待にこたえられず、残念な結果になりました。私は、楽天的に物事を考える性格ですので、選挙結果から教訓を引き出し、けんど重来を期したいと考えているところです。戦前には侵略戦争反対を命懸けで叫び、国賊・非国民とののしられてきた日本共産党は、戦後の日本国憲法の制定により、その正当性が証明されました。このように、正義の声は、いずれかの時代に花開くことと確信しているところです。
今回の選挙では、民主党に厳しい審判が下りました。それと同時に、自民党政権の復活を求めるものでもなかったことは明らかであります。2003年以降に行われた6回の総選挙及び通常選挙の結果を見ると、比例代表の得票率では、自民党と民主党を合計して5回連続で7割前後を占めていましたが、今回の参議院議員通常選挙では、民主党と自民党が共に得票を減らし、得票率の合計は55%にまで一気に落ち込みました。二大政党双方に国民の不信が突き付けられたのが、今回の選挙結果だと思います。
昨日、民主党代表選挙で菅直人氏が再選されました。成長戦略として法人税の引下げ、財政再建の財源とするための消費税増税、日米同盟の強化で米軍基地の存続を掲げる財界やアメリカに忠誠を誓う菅首相です。政権交代後、1年が経過した民主党は、消費税増税、比例代表選出議員の定数削減、沖縄県の米軍普天間基地問題など迷走していますが、ここでは地域主権改革について質問をいたします。
地域主権改革は、今後の地方自治に直接影響する大きな問題です。昨年行われた衆議院議員総選挙における民主党のマニフェスト原案は、国の役割を外交防衛等に限定し、市町村数も第2次平成の合併等を推進することにより700から800にすると明記しております。外交・軍事が、国の役割分担論になれば、米軍基地について沖縄県民が声を上げたり、基礎自治体が国にものを申すことが遮断されます。地方分権や地域主権の名を借りて、地方自治体を国の管理下に置こうとする大日本帝国憲法的な発想であります。
1点目に、現在、民主党が進めようとしている地域主権改革の先行モデルが、大阪府の橋下府政や愛知県名古屋市の河村市政です。橋下徹氏は、地域主権戦略会議のメンバーであり、総務省の顧問でもあります。大阪湾岸の開発を進めるために福祉や教育予算を大幅に削り、市場化テストで税務窓口業務はスイスが本社の多国籍企業に、大阪府立図書館の運営は東京に親会社がある企業に委託しました。河村たかし氏も、区役所は民営化すべきだとし、住民自治よりも首長の経営力を強調しており、市長に刃向かう議会は、定数も議員報酬も削減すると言っています。両者に共通していることは、二元代表制の見直しを主張しているところです。首長こそが自治体の代表者であり、首長に権限を集中すべきだという考え方です。議員と首長は、共に住民を代表し、首長と議会の緊張関係の下で自治体を運営することは、住民自治、民主主義の観点からも重要なことだと思います。市長は、このような動向に対して、どのような認識をお持ちかお尋ねいたします。
2点目に、地域主権改革の大きな目玉であるひも付き補助金の一括交付金化についてです。
ひも付き補助金とは、使途が指定された補助金であり、特定補助金とも呼ばれます。これまで、その中央集権的性格が批判される一方で、ナショナルミニマムに対する国の財政責任を果たすための仕組みとして、擁護されてきました。特定補助金も経常経費と投資的経費では性格が異なり、分野も様々であることから、すべてにおいて否定的にとらえることには疑問を持つものです。
地域主権戦略大綱におけるひも付き補助金の一括交付金化に関する原則は、一括交付金は、各府省の枠にとらわれず、ブロックの政策目的の範囲で、いかなる政策にどれだけの予算を投入し、どのような地域を目指すのかを住民自身が考え、決めることができるようにデザインされなければなりません。このことにより、地域の知恵や創意が生かされるとともに、効率的に財源を活用することが可能になるということです。一括交付金は、いかにも地方の自由度を拡大するように聞こえますが、自由度は、あくまでも国にとってのブロックの政策目的の範囲であります。これは、各府省が実施過程において政策目的を担保するための仕組みづくりとも思われます。この点で、使途が自由な地方交付税とは基本的に性質が異なります。実施手順として、投資に係る補助金・交付金等の一括交付金化は、2011年度以降段階的に実施し、経常に係る補助金・交付金の一括交付金化は、2012年度以降段階的に実施するとしています。
一括交付金のくくり方、地方の自由度拡大と国とのかかわり、総額や配分、国と地方の協議など、具体像はいまだにあいまいですが、自由に使える一般財源に近い姿というより、特定補助金の一種としての性格が強いように思います。
2011年度から段階的に導入される投資に係る一括交付金化は、これまで導入されたまちづくり交付金やその仕組みを各領域に広げた社会資本整備総合交付金の延長線上に位置付けられるものと思われます。交付金化の先駆けとしてのまちづくり交付金は、国の関与が存在し、国の都合で交付金が増減すること、維持管理費に使えないこと、事業計画の要件を満たすために不要不急な事業を促進することもあります。このような問題があったからこそ、三位一体改革において、地方六団体は、国土交通省などにおける交付金化の改革を批判し、国庫負担金の廃止と税源移譲、一般財源化を要求しました。
それでは、なぜ今一括交付金化なのかということですが、それは、民主党が補助金等に係る経費や人件費の大幅な削減を掲げており、財政再建路線に傾斜した菅内閣による総額抑制がねらいなのではないかと考えてもおかしくないと思います。
民主党は、地方交付税の抜本的改革を掲げており、民主党政策集INDEX2009では、現行の地方交付税制度よりも財政調整と財源保障の機能を一層強化した新たな制度を創設するとしています。このことは、現行の地方交付税制度を廃止するということです。地域主権改革について、新自由主義的な構造改革を基本として見るならば、一括交付金化の行き着く先は、地方交付税の解体、財源保障機能・財政調整機能の分離及び国の財源保障責任の限定化が予想されます。構造改革によって、地域住民や自治体は大きな痛手を受けましたが、基本的人権の保障に係る多くの領域を担う自治体に対して、国が連携と財政責任を果たすことこそが求められていると考えます。
地域主権改革に向けた自立と創造と称して、国と地方の分離を基本にしながら住民生活の保障に対する国の責任を縮小し、地方の自立と住民の自己責任を目指すことになれば、自治体間の格差が生じ、地域経済、福祉、暮らしにとって大変な時代になりかねません。
江別市においても、地方税の伸びは期待できず、地方交付税、国庫負担金及び補助金頼みの財政運営を強いられています。このような状況の下における来年度の予算編成方針と一括交付金化に対する見解をお尋ねいたします。
2番目に、自治会と行政の役割についてお伺いします。
自治会に代表される地域住民組織は、地域住民の親ぼくや交流に努めるとともに、地域住民の日常生活に共通する交通安全、防災、環境美化など諸問題を扱っており、自治会役員の不断の活躍には敬意を表したいと思います。しかし、これらの地域住民組織の中には、ともすれば役員中心の組織となり、広く地域住民の自由な意見や要望を十分に吸収する努力を行っていなかったり、本来、住民の自主的な組織でありながら、安易に行政の末端機関になっているという批判もあります。
歴史的経緯として、町内会や自治会は、昭和初期には、行政の末端組織としての役割を果たしてきましたが、それを国の制度として位置付けたのは1940年の旧内務省訓令でした。これによって、町内会等の業務は、産業、経済、教化、警防、保健・衛生、社会施設その他、時局関係事務等を住民の共同生活に関する各般の事項とされ、侵略戦争と国策遂行の政治的、精神的手段とされたのです。
さらに、1942年には、大政翼賛会の下部組織とされ、1943年の市制・町村制法の改正で、名実ともに市町村行政の補助的末端機関となりました。戦後、町内会や自治会は、GHQの指示で廃止されましたが、サンフランシスコ講和条約が発効し、町内会廃止等の政令が失効した1952年10月までには、ほとんどすべての地域で、町内会や自治会が組織され、現在に至っております。
そこで、1点目に、自治会へ委託している業務に対する市の見解について伺います。
自治会は、歴史的にも、今日においても、行政の末端組織的な性格を強く持たされています。具体的には、行政機関等からの文書配布や住区会館、公共施設、防犯灯の管理運営委託などです。これらの管理運営などは、住民自治から見て積極的に受け止めることが必要な場合もありますが、しばしば、行政側が行政改革による経費削減を目的に委託することもあります。したがいまして、今後における自治会への業務委託に対する市の見解についてお伺いします。
2点目に、自治会の民主的発展についてお伺いします。
自治会は、多面的活動をしていますが、先ほど述べたように、地域住民共通の課題を取り上げるという自治会本来の基本的な役割があると思います。しかし、自治会活動が地域住民の共通の課題からはみ出したときには、特定グループの代弁者となり、地域住民共通の利益から離れた組織になります。自治会の構成員は、職業の違い、思想・信条の違い、宗教の違い、政党・政派にかかわりなく組織されております。
そこで、お尋ねしたいことは、歳末助け合いや祭りなど各種の募金は、本来善意からのものだと思いますが、生活困窮者にも一律の負担を求めることにつながります。日本国憲法に掲げる思想・信条の自由から見ても、本来、募金に応ずるか否かは個人の自由に属することです。社会福祉法人江別市社会福祉協議会などが窓口になっている募金の目的には、江別市としてかかわりのある内容もあります。もちろん、自治会に対して行政が内部干渉すべきではありません。自治会の民主的運営からも、何らかのアドバイスをすべきと考えますがいかがなものかお尋ねします。
3点目に、地域担当職員制度についてお伺いいたします。
自治体の労働者がその専門性を生かして地域住民と共に活動することは、有益なことであります。地域のまちづくりに協力すれば、大きな成果を上げられることになります。江別市では、職員が地域活動を進める組織として地域担当職員制度があります。しかし、実態は、期待した成果につながっていないのではないかと思います。自治体職員は、地域住民の利益に奉仕するという性格から見ても、今ある組織を機動的に再構築することが求められていると思います。この間の動向を検証し、実りある組織体にする施策についてお尋ねしたいと思います。
3番目に、地域経済の活性化についてお伺いします。
道内の景気動向は、全国と比較しても下位に低迷し、売上額や雇用状況等の数値も明らかになっております。江別市でも、経済部を中心に、都市型農業の推進や企業誘致のほか、緊急雇用創出事業やふるさと雇用再生特別対策推進事業等を実施し、様々な施策が展開されているところです。
また、産学官連携による市内経済の活性化は、頭脳集団である地元4大学との協力・共同を期待するところです。大消費地である札幌市に隣接する江別市は、食品関連産業等の企業誘致に適した土地であり、雇用創出や農家の所得向上に結び付くことを期待するところです。一方、第2次産業である建築関連業者は、住宅建設の落ち込みから経営難となり、将来の不安が増しています。住宅建設は、工務店、板金、塗装、建具、畳、水道、電気など多業種に関連することから、経済波及効果が大きいものです。
各自治体では、地元建設業者等の活性化を目的に、住宅リフォームに対する助成制度を実施しており、道内では10市13町村で、地元の住宅関連業者の受注確保につなげています。昨年の第4回定例会で、耐震改修工事への融資制度や耐震化診断補助制度について提案しましたが、新年度において、耐震化推進支援事業として、耐震相談や耐震診断補助金に関する予算が計上されたことは、少しばかり前進したと評価するところです。
そこで、1点目に、耐震改修工事の促進についてお伺いします。
耐震改修工事の促進へ向けた具体的な支援策については、他市の利用状況等を含め検討したいとのご答弁でしたが、現段階の検討状況についてお尋ねいたします。
2点目に、住宅リフォーム助成についてお伺いします。
耐震改修とも関連いたしますが、一般住宅のリフォーム補助制度の新設についてです。道内の23自治体における実施内容は、上限額が20万円から100万円とそれぞれ異なりますが、利用者や地元業者に大変喜ばれているとのことです。
岩手県宮古市では、本年4月からスタートしたとのことですが、その内容は、工事に要する経費が20万円以上を対象とし、補助金額は一律10万円とのことです。当初は、500件の予定でしたが、わずか2週間で431件の申請があり、急きょ500件を追加し、6月議会では更に1,500件分を追加補正して、合計で2,500件の規模に膨らみました。宮古市は、人口約5万7,000人の都市です。山本正徳市長は、一つの施策でこれほど市民から反響があったものは初めてだと述べています。制度設計に苦心したのは、業者のニーズと市民のニーズを結ぶこと、制度を使いやすくすること、お金の地域内循環とのことです。従来の公共事業の多くは、市内業者が下請に入るだけであり、地域経済の活性化へは十分につながらなかったことを教訓に、市内の中小企業が元請になるような制度ができないかと検討した結果、20万円以上の工事を対象に10万円を補助するという制度でした。宮古市の調査によると、工事金額別では20万円から40万円までの工事が工事総件数の約7割を占めていることからも、ちょっとしたリフォームをしたいという市民の声にこたえることで、地元業者に仕事とお金が回り、経済波及効果が大きいことが証明されたとのことです。
このような制度は、江別市でも、地元経済の活性化に大きく寄与するものと思います。また、住環境を改善したいと願う住民の声を実現させるためにも、各自治体の住宅リフォーム助成制度を参考にして、早急に検討すべきと思いますがいかがなものかお尋ねします。
3点目は、公契約条例についてお伺いします。
公契約とは、地方自治体が行う行政サービスを民間事業者に委託する際に結ぶ契約のことですが、公共工事の発注のほか、除雪、ごみ収集、公の施設などの業務委託や指定管理などがあります。本来、自治体が直営すべきサービスを民間に委託・委任しているわけですから、そこで従事している労働者の賃金や労働条件などを保障する最低限の規制が必要であり、発注元である自治体は、適正な賃金確保のために、受注企業を指導することが求められていると思います。
また、ダンピング受注を解消するために、最低制限価格や適正な労働条件、男女共同参画、障がい者の社会参画、環境への配慮などを受注企業に求める総合評価落札方式による入札とともに、地元企業を優先する入札も必要と考えるところです。これらのことを確かなものにするためには、公契約条例の制定が必要と思いますが、いかがなものかお伺いします。
4点目に、家庭系廃棄物収集運搬業務に係る委託経費の設計方法についてお伺いします。
江別市では、江別環境整備事業協同組合、江別リサイクル事業協同組合などの地元企業が結集し、行政の重要な仕事を受託しています。本年10月からは、家庭系廃棄物収集運搬業務を一括委託に変更するとのことですが、市の仕事に従事する労働者をワーキングプアのような低賃金で働かせたり、不安定な労働形態としてはならないことは基本だと考えます。部分委託をしている現行においても、各社における賃金、雇用形態及び労働条件は異なると思います。労働内容や賃金など、同一の労働条件での委託料を前提とした制度設計なのかお伺いします。
4番目に、国民健康保険事業についてお伺いします。
本年第2回定例会において、同じ会派の高橋議員が一般質問を行い、国民健康保険制度は、相互扶助ではなく社会保障としての制度であると主張しております。戦前の保険制度は、健康を保障することによって、強い兵隊をつくるということがそもそもの成り立ちであり、相互扶助制度として、お金を持っていて払える人だけが加入する制度でした。その後、1959年に現在の社会保障制度に生まれ変わり、すべての住民を加入対象とし、他の医療保険に加入していたり生活保護を受給している者以外は、当該市町村が行う国民健康保険の被保険者であるとして、国民皆保険となりました。
加入が義務となった結果、国民健康保険税や医療費が払えない人も加入することから、保険税の減免制度が必要になったわけであります。高橋議員の一般質問において、市長は、一般的に考えて、所得の1割を超える国民健康保険税の負担は重いと答弁しておりますが、国民健康保険税が高くなったのは、1984年に、当時の中曽根内閣が進めた戦後政治の総決算路線という中で、国民健康保険医療費への国庫負担率が約45%から約38.5%に引き下げられたことが大きな原因です。その結果、国民健康保険税を滞納する世帯が全国的に増えたため、社会問題となりました。当時の厚生省は、収納率向上を目的に、1987年に保険証の取上げを始め、2000年にはその強制力を強いものに改悪しています。
江別市の国民健康保険特別会計は、ここ数年、黒字決算となっています。平成21年度の決算見込みでは、8億円を超えるようで、前期高齢者交付金の精算に伴う返還金を考慮しても黒字が見込まれると考えられます。このような状況から、国民健康保険健康保険税の引下げを検討すべきと考えるところです。所得が減る一方で、国民健康保険税が上がっておりますので、当然、所得に占める国民健康保険税の割合は高くなり、従来から高いと言われた国民健康保険税は、より一層市民にとって過酷な負担になってきました。
非正規労働者が労働者の3分の1を超えるという雇用状況の悪化に加え、高い国民健康保険税が滞納者を生み、滞納分が国民健康保険税に上乗せされ、更に国民健康保険税を押し上げる。収納率が下がれば、国からペナルティが課せられ、削られた補助金分も国民健康保険税に跳ね返るという悪循環が国民健康保険税を異常なものにしてきました。また、この間、扶養控除や老年者控除の廃止、公的年金等控除の縮小など、収入が増えないにもかかわらず、課税額が増加する税制改革が行われ、これらが社会保障制度の自己負担増につながっています。
江別市における国民健康保険加入世帯の状況は、所得がない世帯層が10年前の平成13年度の28.7%から平成20年は34.5%、100万円以下の世帯層が19.2%から20.4%と100万円以下の世帯が47.9%から51.7%になっています。これらの数字を見ても、確実に、低所得層が増えていることは明らかであります。収入が少ないため、各種税金、国民健康保険税及び医療費を払いたくても払えない人たちが増えています。
本年5月の厚生労働省の発表では、全国の約8分の1の世帯が生活保護基準以下の収入であり、その約85%が生活保護を受けていない世帯とのことでした。江別市の世帯数で換算してみると、生活保護基準以下が約6,500世帯で、生活保護の申請が可能な世帯は約5,500世帯に上ることになります。
国民健康保険税が異常に高額となっているのは、構造上の問題があります。それは、加入世帯の平均所得が低いことと、その所得が更に低下しているということです。他の健康保険に加入している者の年間所得と比べても、国民健康保険の加入世帯はその半分以下です。平均受給月額がわずか5万円以下という国民年金生活者の増加や、本来、組合健保や協会けんぽに加入すべき人が、非正規労働者やフリーターなど低賃金の状態で国民健康保険に加入させられています。所得に占める保険料の割合を比べてみると、国民健康保険加入世帯は、組合健保の2倍以上、協会けんぽの約1.5倍になっています。これらのことからも、だれもが納められる国民健康保険税には、程遠い負担になっています。
旭川市国民健康保険料訴訟の第1審の旭川地方裁判所は、国民健康保険料といえども、租税に類するものとして、日本国憲法第84条の趣旨が及ぶものである。また、生存権を侵害するようなものであってはならず、それを超えて課税してはならないため、日本国憲法第25条の理念に基づき、税金や国民健康保険料についても、生存権を第一に考え、課税しなければならないといった旨の判決を下しております。
そこで、1点目に、被保険者の実態把握についてお伺いします。
資格証明書や短期証が発行されている1,000世帯前後の被保険者だけではなく、経済的貧困から、受診を抑制したり、受診を中断することがあるというデータがありますが、江別市の実態について把握されているのかお伺いします。
2点目に、国民健康保険税の賦課についてお伺いします。
軽減措置が取られていない低所得層における国民健康保険税についてです。江別市の国民健康保険の被保険者数は、20歳から60歳までが約1万2,000人で構成比では約40%、子育てに係る教育費などの支出が必要な25歳から49歳までの被保険者数は約6,600人で構成比では22.3%となっています。
国立社会保障・人口問題研究所の調査では、病気になっても病院に行けなかった一番の理由に、医療費が払えないとの回答が34%もあり、保険証があっても病院に行けないほどの貧困の広がりが反映されています。この層の世帯にとっては、所得の15%前後の国民健康保険税負担は、深刻な状況になっています。年間所得が200万円で、子供が2人の平均的家族の国民健康保険税が35万8,000円、年間所得が300万円では47万4,000円にもなります。国民健康保険税も税の一種と考えるのであれば、累進課税的発想が必要かと思いますがいかがなものかお尋ねします。
3点目に、国民健康保険の広域化についてお伺いします。
後期高齢者医療制度の廃止と合わせて、国民健康保険の一元化や都道府県単位での広域連合が検討されています。国民健康保険は、構造的に弱点があり、これを克服するためには、広域化を図っていくしか道がないと考える方もいるかもしれませんが、減免制度や懇切丁寧な相談体制など、各自治体が住民の健康・予防に対して実施している上乗せサービスの継続が困難になることが予想されることから、国民健康保険の広域化に対する江別市の見解をお聞きします。
4点目に、一般会計からの繰入れについてお伺いします。
国民健康保険財政が全国的に大変な状況になっていることから、毎年のように、全国市長会等を通じて国に要望していることは承知しておりますが、改善されないばかりか後退し続けています。長らく続いた自民党政権の下、中曽根内閣時代の戦後総決算路線、小泉内閣の三位一体改革・構造改革などにおいて、自己責任やサービスの対価として受益者負担が発生するのは当然だとする社会保障論により、福祉、暮らし、教育予算を縮小した結果、国民健康保険の総収入に占める国庫支出金の割合は、1984年の49.8%から2007年には25%まで低下してきました。これにより、国民健康保険税は、被保険者の負担の限度を超えてしまいました。国民健康保険税を引き下げるためには、第一に、国庫支出金を元に戻すことです。住民の健康を守るという立場からも、江別市として、可能な限り一般会計からの任意繰入れの増額を求めるものですがいかがなものかお尋ねいたします。
以上で1回目の質問を終わります。
副議長(尾田善靖君)
森好議員の一般質問に対する答弁を求めます。
市長(三好昇君)
森好議員の一般質問にご答弁申し上げます。
初めに、私の基本姿勢に関連して、二元代表制に対する認識についてお答えいたします。
地方公共団体の長と議会の議員については、日本国憲法第93条第2項で、住民が直接選挙することが定められており、二元代表制は、昭和22年の地方自治法制定以来続いている自治制度の根幹を成す制度であります。
二元代表制の下では、執行機関と議会は、独立・対等な関係にあり、均衡と抑制による緊張関係を保ちながら、相互に協力して自治体運営に当たることが求められております。しかしながら、今後、地域主権型社会の進展に伴い、基礎自治体である市町村の役割が大きく拡大していく中、人口規模や地域の特性にかかわらず、現行の地方自治法において、一律に定められた仕組みの下で自治体運営を進めていくことは、課題も多いとされております。このようなことから、現在、国においては、地域主権の確立を目指した地方自治法の抜本的な見直しを行うため、総務大臣を議長とする地方行財政検討会議を設置し、地方自治体の基本構造や長と議会の関係などについて検討が進められているところであります。
これらは、あくまでも二元代表制を前提とした上で、地方自治体が複数の選択肢から自らの判断で選択できるような仕組みづくりについての論議であると認識しておりますが、私としても、議会と長という言わば地方自治を進める上での車の両輪をしっかりと堅持した上で、地域主権改革の本旨に沿った法制度が確立されることが望ましいと考えており、今後とも、国の論議の推移をしっかりと見定めてまいりたいと考えております。
次に、新年度予算編成方針についてでございます。
新年度予算編成方針につきましては、例年、10月初旬を目途に各部に示しておりますが、その前段として、8月から、各部において事務事業評価を行うとともに、概算要求を集約し、来年度予算に係る重点事業の検討を行っているところであります。
市内経済は、依然として低迷し、厳しい雇用環境が続いていることから、市内経済の活性化は、喫緊の課題であります。また、子育て環境や教育の充実、高齢者等弱者への目配りなど、住んで良かった、住んでみたいと思われるような魅力あるまちづくりを進めるために、的確な施策をスピード感を持って展開することが肝要であると考えます。来年度は、改選期でありますことから、当初予算は、骨格予算の編成となりますが、市民生活に直結する施策については、切れ目なく実行することを基本として来年度の予算編成方針を定めてまいりたいと考えております。
次に、一括交付金についてでありますが、政府は、財政運営戦略として今後の地方財政に対する方針と地域主権戦略大綱として、ひも付き補助金の一括交付金化の方針を示し、6月22日に閣議決定されたところでございます。それによりますと、地方財政については、自主的かつ安定的な運営に配慮するとし、今後3年間は、平成22年度の地方一般財源総額を下回らない水準を確保することが示されております。また、一括交付金に関しましては、先ほども角田議員の質問にご答弁申し上げましたが、基本的に、義務的負担金・補助金は一括交付金化の対象外とし、投資など地方における自由裁量の拡大に寄与するものなどについて、補助金等を段階的に一括交付金化していくとの方針が示されております。
これを受けまして、都道府県や市などで構成しております地方六団体の意見表明におきましては、地域主権を強力に推進していく姿勢が明確に示されたことから、地方財政への配慮が明記されたことは評価しつつも、国と地方の協議の場を通じて、地方の実態や意見を踏まえ、開かれた議論を行うように求めているところであります。
いずれにいたしましても、具体的な内容については、いまだに明確ではなく、国の来年度予算編成過程で内容を決定していくとのことでありますので、今後の論議の行方を注視してまいりたいと考えております。
次に、地域担当職員制度の今後の在り方についてでありますが、地域担当職員制度は、協働のまちづくりの観点から、市内全域の中学校区を単位とする10地域に区分し、それぞれの地域に、市の幹部職員を地域担当職員として配置しております。また、地域の皆さんと協力しながら、地域まちづくり会議を設置し、市民と行政が情報を共有するほか、共に連携・協力しながら地域づくりに取り組むことを目的として、平成16年度から取り組んできたものでございます。
このような取り組みの結果、一部の地域では、定期的に地域まちづくり会議が開催され、その成果が各種イベントの開催や地域課題の検討に生かされているところでありますが、地域によっては、活動が停滞している状況もございます。このような現象は、中学校区を単位とする仕組みが地域ニーズに適合した地域においては、制度の円滑な導入と運営が行われた反面、自治会やまちづくり協議会など既存の住民活動組織が十分に機能している地域においては、その必要性が認められなかったことが最大の原因だと受け止めているところであります。
このため、市といたしましては、地域担当職員制度という一律の仕組みを見直し、現在も活動を継続している地域については、地域の皆さんの意向を踏まえつつ、引き続き必要な支援を行うこととし、その他の地域においては、地域のニーズに合った方策を検討する必要があるものと考えております。
そこで、市では、地域担当職員制度の目的としておりました市民への市政情報の周知や相互の情報共有の観点に着目いたしまして、まずは、現在実施している出前講座が実績を上げておりますことから、この仕組みを活用して地域の求めに応じて職員が出向き、市の制度や施策などについて説明し、意見交換を行いながら、相互の信頼と理解を深めた上で、今後の在り方について検討してまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、江別市自治基本条例の制定に伴い、市民との情報共有や市政の市民参加が一層重要となりますので、今後とも、地域の皆さんの声を伺いながら、協働のまちづくりに向けた有効な仕組みづくりを検討してまいりたいと考えております。
私からの答弁は以上でございますが、このほかの質問につきましては、副市長ほかをもって答弁いたします。
副市長(佐々木雄二君)
私から国民健康保険事業に関して、一般会計からの任意繰入れの増額を求めることについてご答弁申し上げます。
国民健康保険事業は、市民の約4分の1が被保険者であることから、市民の健康を守る主要な事業でありますが、低所得者や高齢者が多く加入しているなど構造的な問題があり、財務状況は、常に不安定な状況が続いているため、その安定的な運営を図ることが重要であると認識しているところでございます。
平成21年度は、低所得者に対する保険基盤安定制度等の法定分といたしまして4億813万円を、また、事務費や福祉医療の波及分などの法定外分といたしまして3億5,099万1,000円の総額7億5,912万1,000円を繰り入れし、国民健康保険財政の安定化を図ったものであります。
ご質問の一般財源を活用した任意繰入れを増額することについては、協会けんぽなど他の保険加入者との負担感の問題もあることから、現状としては難しいものと考えておりますが、今後とも、国民健康保険特別会計の安定的な運営を図るため、必要な財政措置を講じてまいりたいと考えております。
以上でございます。
総務部長(斎藤嘉孝君)
私から地域経済の活性化に係る公契約条例についてご答弁申し上げます。
公契約条例につきましては、現在、千葉県野田市で、賃金などの労働条件の改善を目的に制定しており、同市の総合評価落札方式による入札におきましても、賃金に関する評価項目を設定していると聞いております。
江別市では、受注業者などが労働基準法や最低賃金法などを順守し、公共工事等の受注、施工や施設の運営が適正に行われ、下請業者等に雇用されている労働者の適正な労働条件が確保されるよう低入札価格調査制度の導入や最低制限価格の設定などを行うとともに、市が締結する委託・役務契約に、労働関係諸法規を順守する旨の条項も盛り込んでいるところでございます。また、当市では、本年度から、企業の施工能力や地域貢献度などを勘案して落札者を決定する総合評価落札方式を試行的に導入したところであり、今後とも、時代にふさわしい入札制度について、随時研究してまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、労働者の適正な労働条件が確保されるためには、まず、国の制度として適切な措置・対応がなされるべきものと考えており、現段階において、公契約条例を制定することは考えておりませんが、市といたしましては、労働者の保護は重要なものと認識しておりますことから、今後とも、労働関係諸法規の適正な運用について指導を行ってまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
生活環境部長(柴垣文春君)
私から自治会へ委託している業務に対する見解ほかについてご答弁申し上げます。
最初に、自治会に委託している市の業務に対する見解についてでありますが、市から市民への広報誌等の配布につきましては、市民協働の一つとして自治会に協力をお願いしており、自治会活動に対する補助事業として実施しております。なお、配布に当たっては、毎月、期日を定めて取りまとめるなど、自治会側の負担をできるだけ軽減するように配慮しているところであります。
また、公共街路灯は、市が直営により維持管理しており、自治会が自ら設置して維持管理している防犯灯に対しては、設置費や維持管理経費の一部を助成しているところでありまして、安全で安心できる地域づくりを進めるために、省エネルギー化等も推進しながら補助を継続していく考えであります。
さらに、公共施設の管理運営につきましては、現在、住区会館の一部に指定管理者制度を導入しておりますが、地域住民が住区会館を自分たちの身近な施設として有効に活用しようという意識の高まりが期待できるほか、市が直接管理することに比べ、より地域に密着した活用が図られると考え、地域の自治会の連合組織に委託しているところであります。したがいまして、他の住区会館につきましても、地域より希望があったところから、市と自治会の協働によるまちづくりという趣旨に沿って委託化を考えていくこととしております。
次に、自治会の民主的発展についてでありますが、自治会は、社会福祉活動事業として、赤い羽根共同募金や歳末助け合い運動などの募金の取りまとめを行っており、市民相互に助け合い、市民自ら地域福祉の増進に取り組むことによって、大きな成果を上げております。募金活動への参加は、いずれも任意であり、取りまとめの方法などは各自治会によって異なっておりますが、各世帯の自発的な意思に基づいて行われていると認識しております。
市としては、これまでも自治会に対し、研修会などの場を活用して適正な募金活動を要請しているところでありますが、今後とも、社会福祉法人江別市社会福祉協議会など募金活動の実施主体に活動趣旨などの説明をお願いしていきたいと考えております。
次に、家庭系廃棄物収集運搬業務に係る委託経費の制度設計についてでありますが、業務委託の積算に当たっては、業務に従事する労働者の適正な労働条件及び賃金を確保することが重要であると認識しております。このため、業務委託に当たっては、職務の責任や業務内容に応じた賃金単価により積算するとともに、労働基準法や最低賃金法など労働関係諸法規を順守するよう契約書の約款に明記し締結しております。このことから、業務に従事する労働者個々の雇用条件については、労働関係諸法規等の法令を順守し、業務運営が行われているものと判断しているところであります。市といたしましては、今後も、労働関係諸法規の適正な運用について指導してまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
経済部長(加納好春君)
私から地域経済の活性化に関し、住宅リフォーム助成についてお答えいたします。
住宅リフォーム助成による市内経済の活性化に関しましては、さきの第2回定例会の一般質問でご答弁したところですが、国におきましては、本年8月30日に、経済対策の基本方針を決定し、雇用や投資など五本柱の一つとして、消費の基盤づくりのため、住宅版エコポイント制度の適用期限を来年12月まで1年間延長することや家電エコポイント制度を来年3月まで延長することが示されました。また、道内の他自治体においても、安全・安心で快適な住環境の整備並びに市内産業の振興及び雇用の安定などを図ることを目的に、例えば、岩見沢市や北見市のように自治体単独で助成する方法のほか、恵庭市や登別市のように地元の商工会議所や建設業協会が発行するプレミアム建設券に助成する方法など、様々な手法で住宅リフォーム助成に取り組む自治体が増えてきております。
当市におきましても、江別商工会議所が住宅リフォーム助成などについて、他市の商工会議所の事例調査をされているとお聞きしておりますことから、域内消費・域内循環による市内経済活性化につながる仕組みなどを江別商工会議所などと協議・検討してまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
健康福祉部長(鈴木誠君)
私から国民健康保険税に係る実態把握等についてご答弁申し上げます。
まず、受診抑制や受診中断の実態把握に関して、平成21年度の医療費の動向を前年度と比較いたしますと、入院件数・入院外件数ともに減少している状況にありますが、受診機会を失うことのないよう相談体制を整えております。なお、資格証明書が交付されている世帯から医療機関を受診したい旨の申出があれば、実情等をお伺いした上で、短期証を交付するなどの措置を取っているところでありますが、今後におきましても、受診抑制につながらないよう対応を更に強化してまいりたいと考えております。
次に、国民健康保険税の累進課税的発想の必要性についてでありますが、国民健康保険税は、地方税法に基づき、課税すべき総額を所得金額や被保険者数等に応じて案分して算出しているところであります。また、地方税法で定める案分率は、単一税率となっており、国民健康保険税への累進課税率の適用は、現行法上困難と考えております。一方で、子育てや子供の教育費の支出が多くなる世代の平均的な世帯構成である3人世帯や4人世帯の所得に占める国民健康保険税の負担感は、大きいものと認識しておりますが、先ほどもご答弁申し上げましたように、相談体制を充実させる中でそれぞれの不安を解消してまいりたいと考えております。
次に、国民健康保険の広域化に対する見解についてでありますが、市町村における国民健康保険事業の現状は、小規模保険者が多く存在し、財政が不安定であるほか、医療機関の偏在により、医療給付費に格差が生じているなど構造的な問題を抱えております。国においては、このような現状を改善し、保険財政の安定化や国民健康保険税の平準化を推進するため、国民健康保険法等の改正により、都道府県が国民健康保険事業運営の広域化等に対する支援方針を定めることができることとなったものであります。なお、広域化等に当たり、現在、市といたしましては、北海道市長会を通じて、国に対し、国民健康保険財政の基盤拡充・強化や統一的な減免制度の創設等を要望しており、今後とも、国の動向を見守ってまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
建設部長(久田康由喜君)
私から耐震改修工事促進への具体的な支援策の検討状況についてご答弁申し上げます。
現在、市では、耐震化推進支援事業として、本年8月から耐震診断補助を実施しており、その制度について、市の広報誌やホームページで周知に努めているところであります。また、他市の利用状況等についてでありますが、耐震改修工事に対する支援制度を設けているのは、道内で、建築基準法に基づく特定行政庁を設置している10市中、札幌市、釧路市、帯広市、苫小牧市、北見市の5市であり、今年度の利用状況につきましては、現在のところ、釧路市の2件のみと聞いております。
国の新年度の概算要求においては、地方公共団体の負担がない助成制度を実施し、すべての地域で住宅の耐震化補助が受けられるようにするとともに、耐震化が必要な建築物等に対する直接的な支援等を行うこととしていることから、耐震改修工事に対する支援策につきましては、今後の国や道の支援制度や他市の動向等を注視しながら、実効性のある支援制度を検討してまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
森好勇君
2回目の質問をいたします。
住宅リフォーム助成支援、家庭系廃棄物収集運搬業務の委託及び国民健康保険について再質問をいたします。
1番目に、住宅リフォーム助成については、江別商工会議所と協議しながら検討していくとの若干前向きなご答弁をいただきました。市が江別商工会議所のわき役のように聞こえてしまいましたが、私は、住宅リフォーム助成に対する市のイニシアチブが求められていると思います。江別商工会議所との連携も必要ですが、市の経済部が中心となって進めるべき緊急の課題だと考えます。
幸いにして、本年7月には、自由に使える普通交付税と臨時財政対策債と合わせた実質的な交付税が117億5,700万円となり、当初予算よりも普通交付税が3億3,000万円増加しました。予算に余裕ができたわけですから、それを有効に活用すべきですし、基金の積立てや起債の償還に充てるだけではなく、雇用や福祉のほか、地域の経済対策のための施策を早急に展開すべきだと思います。その中でも、住宅改修への助成は、経済波及効果が相当あると言われており、地元でお金が循環するという正に地域経済の活性化に結び付くことが助成を実施している自治体の結果で証明されております。
江別市における建築確認申請件数を見ると、好景気のときは年間1,000戸以上あったものが、現在はその3分の1くらいにまで減少しています。このようなことからも、建設業者の経営難が一層際立っていると思います。
現在は、多くの労働者の給料が下がり、年金受給額も少ないため、長く住んだ家を壊してまた建てる時代ではなく、家を修理して長く住む傾向にあると思います。これは、一戸建て住宅だけではなく、江別市の公共的な建物についても同じだと思います。建築後20年から30年が経過している一戸建て住宅の外壁や屋根の塗装のほか、高齢になったことに伴い、台所、トイレ、おふろなどを改修したいと考えている住民が多くいると思います。
住民ニーズにこたえ、建設業者の仕事確保に効果のある助成内容として江別商工会議所とどの程度検討されているかお聞きします。
次に、家庭系廃棄物収集運搬業務の委託に関連して、同一労働同一賃金などについてでありますが、昨年5月に制定された公共サービス基本法の第11条に、国及び地方公共団体は、安全かつ良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるようにするため、公共サービスの実施に従事する者の適正な労働条件の確保その他の労働環境の整備に関し必要な施策を講ずるよう努めるものとするという規定が設けられました。これは、基本的に、委託事業に従事する労働者の労働条件を向上させることであります。
今回の委託内容の変更は、当初予算上では分かりませんが、現行の個別契約方式から一括契約方式になるため、委託料が変わると思います。また、本年10月からは、不燃ごみの収集回収が現在の週1回から月2回になるほか、新たに大型ごみの収集を開始するなど一般廃棄物の収集業務が変わります。さらに、ごみステーションにおけるごみの散乱防止やカラス対策等のため、できるだけ早くごみの収集を完了すべくパッカー車を現行の12台から14台にすることになっております。このことは、住民サービスの向上につながると考えますが、2台増えることに伴い、私の計算では、職員を6名雇用する必要があります。そのほかにも、新たに始まる大型ごみの収集に従事する職員も必要ですし、大型ごみ受付センターにも職員を配置しなければなりません。このように、大型収集車の購入や職員の増員が必要なわけですから、委託内容が変更されれば、それに伴い委託経費が増加すると考えます。委託経費に係る単価の見直しをされていると思いますが、今回は、補正予算が計上されることなく変更されるわけですから、その変更内容についてお伺いします。
次に、国民健康保険についてです。
1点目に、平成21年度決算では、歳入歳出差引きで8億2,328万3,000円の黒字とのことです。また、先ほど申し上げました前期高齢者交付金の返還金が相当あるとのことです。私は、前期高齢者交付金の予算と決算に大きな差が生じたのは、国の見込み違いが原因だと思いますので、その責任は国にあると思います。江別市より人口規模が小さな自治体でも、1億円近く返還するところが多くあり、国民健康保険税の引上げについて検討せざるを得ない自治体もあるとのことです。私は、このような国の大きな見込み違いに対し、返還しなくてもよいというような何らかの手だてを講じるため、各自治体が団結しなければならないと思います。この私の発想について、どのように考えられているかお伺いします。
2点目に、行政の仕事は、何事も机上で考えるだけではなく、実態調査をしっかりと行い、ステップを踏んでから施策を展開することが正しい手順だと思います。このような点からも、私は、先ほど申し上げたとおり、多くの市民が加入している国民健康保険の実態を正確に把握しておくことが次の手を打つ手段になると考えております。答弁では、相談体制を充実したいということですが、職員は、窓口対応で忙しく、訪問までは手が回らない状態だと思います。したがいまして、私は、窓口対応だけでは、本当の意味で、実態をつかむことができないと思っています。具体的に調査することが今後の施策に生かされると考えますが、現実的には、現在の職員体制で被保険者の状況を把握することは困難だと思います。
江別市では、現在、様々な分野で大学と連携し、大学の知恵やノウハウを借りておりますが、私は、社会保障や福祉についても、地元の大学と連携することで江別市のより良いまちづくりにつながると思っています。したがいまして、社会保障や福祉全般における大学との連携について提起いたしますが、いかがお考えかお尋ねいたします。
3点目に、私は、国民健康保険税に関して、累進課税ではなく、累進課税的発想ができないかと申し上げているのです。関西方面には、法定減免を行っている自治体がたくさんあります。また、独自の減免制度を実施している自治体もあります。先ほど申し上げたように、子供2人がいる平均的な4人世帯で年収300万円の場合、年間に支払う国民健康保険税は50万円近くになります。これを聞くと、だれしも負担の限界を超えていると感じると思いますので、制度自体に問題があるということです。
先ほど、旭川市国民健康保険料訴訟の第1審判決の趣旨を申し上げましたが、現在の江別市は、生存権を侵すような国民健康保険税になっています。そのようなこともあり、全国的に、国民健康保険税は負担の限界を超えているという認識の下で、失業者に対する国民健康保険税の軽減や窓口負担医療費の減免などの通知を出された民主党の政策を若干評価したいと思います。
1か月くらい前に、仕事がなくなった息子と2人で暮らしている74歳の女性から相談を受けました。その方は、普通の生活であれば年金だけで細々と暮らしていけるのですが、突発的なことが起こると、生活に少し行き詰まってしまうとのことでした。また、骨折をして、江別市立病院で手術をした後、入退院を繰り返した際に、医療費を滞納しているため、医者から受診のため病院に来るように言われても行きづらいということでした。私は、その方に、きちんと相談した上で分割納付でもいいから滞納分を支払って病院に行った方がよいとアドバイスをしましたが、このようにまじめに暮らしている市民にも、通院を中断しなければならないような状況になる方が多くいるということです。
先ほど、健康福祉部長がおっしゃったように、データでも受診抑制の状況が示されております。確かに、失業や収入の低下などにより、病院に行けなくなる人が増えてきました。ある人の話では、人の家計の状況を知るためには、その人の歯を見れば分かるとのことです。歯は少しぐらい痛くなっても我慢できるため、医療機関の中で一番後回しにされるのが歯科だということです。
実際に、法定減免を受けている世帯以外で、年間の収入が200万円から400万円の方たちがいます。それぞれ価値観は違うかもしれませんが、家を建てて自家用車を所有するというのが一般的だと思います。したがいまして、このような時代ですから、私は、一定の収入がある方に対しても何らかの軽減措置を考えてしかるべきではないかと思います。是非、被保険者の切実な声に耳を傾け、国民健康保険税の引下げを検討すべきと思いま他、ため、再度のご答弁をよろしくお願いいたします。
最後に、一般会計からの繰入れについてです。
私も限度があることは分かっていますが、社団法人国民健康保険中央会が発表した平成19年度決算実績における1人当たりの任意繰入れ額では、江別市が札幌市を除いた石狩管内5市中で最低です。どのくらい低いのかと言うと、千歳市、北広島市及び石狩市の約半額、恵庭市の約3分の1です。江別市における1人当たりの任意繰入れ額は、道内平均の9,932円に対し、その約3分の1に当たる3,496円です。
先ほどの副市長の答弁では、他の健康保険に加入している者との負担感の問題があるため、現状では、増額が困難であるとのことでしたが、江別市は、これまで、様々な施策を進めるに当たって、他市の状況等をうかがってから行うことが多かったように思います。そのような観点で申し上げますと、世間並みと言いますか、一般会計からの繰入れについても、近隣自治体と同程度にしてもらいたいということで、再度の答弁を求める次第であります。
以上です。
副市長(佐々木雄二君)
森好議員の再質問にご答弁申し上げます。
国民健康保険事業に係る一般会計からの任意繰入れについて、先ほどの答弁でも基本的な考え方を申し上げたところでございますが、これまでも、国民健康保険事業が安定的に運営されることを基本としながら、一般会計からの繰入れを行っており、その際には、保健・医療・福祉など施策全体の中で、繰入れが必要かどうかを判断しながら進めてきたところでございます。当然、他の施策とのバランスも考えなければならないことから、先ほど申し上げました国民健康保険事業の安定化を図るために必要な財政措置を今後とも講じてまいりたいと考えております。
以上でございます。
生活環境部長(柴垣文春君)
私から家庭系廃棄物収集運搬業務に係る委託経費の設計方法に関する再質問にお答えいたします。
本年10月から、新たに大型ごみの収集が開始されることに伴い、予算を補正せずに制度変更を可能としているのは、積算単価の見直しをしているからなのではないかとのご質問についてでありますが、平成22年度の当初予算におきましては、前年度と同様の考え方で計上し、本年4月16日に、江別市廃棄物減量等推進審議会から、燃やせないごみの収集回数の変更や大型ごみの収集区分の新設等について、答申をいただいたところでございます。
市では、この答申に基づき制度設計をした結果、大型ごみの収集区分の新設に伴う制度変更は、経費の増額要因となることはお見込みのとおりであります。その一方で、平成20年10月に実施したプラスチックを主とする分別の変更に伴い、燃やせないごみの収集量が大きく減少したことから、週1回の収集回数を月2回にしたほか、危険ごみの収集を資源物の収集と同一日に変更したため、それぞれの業務実態に応じた積算を行い、10月から委託業務として発注したことで効率的な収集が可能となりました。また、収集回数の変更による経費の減額などから、結果的に、既定予算内での執行が可能となったものであります。
したがいまして、業務ごとの詳細設計については、稼働時間等の見直しを行って積算しているものの、積算単価を変えることなく執行できたものであります。
私からは以上でございます。
経済部長(加納好春君)
私から住宅リフォームの助成について再質問にお答えいたします。
住宅の増改築から小さな修繕まで含め、リフォームにつきましては、地域経済の活性化に大きく寄与するものであります。また、様々な設備等を扱う業者にも、波及効果は大きいものと考えております。
先ほども申し上げましたように、住宅リフォーム助成については、道内他市でも数多く手掛けている状況でありますので、仮に、江別市が実施する場合には、どのような方法であれば効果があるのかなどを含め、部内で更に検討していきたいと考えております。
また、江別商工会議所との連携についてでありますが、江別商工会議所と経済部のそれぞれで他市の実施例について調査をしており、現在、情報交換を行っているところでございます。仮に、実施する場合は、どこが主体となって進めるのかなど、他市の事例を参考に検討していきたいと思います。
以上でございます。
健康福祉部長(鈴木誠君)
私から前期高齢者交付金の返還措置に係る要望等ほかについてご答弁申し上げます。
前期高齢者交付金の返還に係る国への要望についてですが、前期高齢者交付金は、医療費実績に基づいて再計算すると大幅な超過交付となるため、過年度精算額が生じることになります。
市といたしましては、前期高齢者交付金の精算に伴う多額の返還金につきまして、単年度の国民健康保険財政運営上の問題や国民健康保険税への影響が懸念されますことから、今後、安定的な財政運営が図られるように北海道市長会を通じて、国に要望してまいりたいと思っております。
次に、社会保障・福祉分野での大学との連携について、調査活動において連携できないのかというご質問でしたが、大学の自主研究としてできるものであれば、今後、相談してまいりたいと考えております。
次に、減免制度の拡充についてでありますが、当市の条例に基づく減免制度は、災害や疾病などにより所得が著しく減少し、生活が困難になったときなどに税額の一部又は全額を減免しているものであります。しかしながら、被保険者間の税負担の公平性の観点からも、これ以上の基準の緩和は難しいものと考えております。
以上でございます。
森好勇君
最後に、二点について要望いたします。
1点目は、住宅リフォーム助成についてです。
私は、この春、車で岩手県宮古市へ行きましたが、そのお隣の秋田県では、あちらこちらで住宅リフォーム助成を行っています。住宅リフォームに係る県の予算措置額は12億数千万円とのことですが、経済波及効果は約240億円とされており、予算額の10倍くらいの経済波及効果があるとのことです。このことからすると、江別市で5,000万円の助成を行った場合、約5億円くらいの経済波及効果があるということになります。
江別市における公共事業の状況をさかのぼってみると、過去には、建築土木関係の工事が年間100億円くらいあった時期がありましたが、そのときに比べ、現在は約5分の1になっています。やはり、地元の建築土木関係業者の手助けや応援をする必要があると思います。先ほど申し上げたように、経済波及効果はおよそ10倍ないし20倍になるということですから、市でも、是非早急に実施してもらいたいと思います。
私も少々勉強しまして、岩見沢市や北見市のデータを持ってきました。先ほど申し上げたように、宮古市が住宅リフォームに対する助成を行ったところ、なぜすぐに当初計画していた申請件数500件の5倍となる2,500件になったのかということですが、これは対象としている工事額を低く設定しているためです。申請件数2,500件のうち、約7割が40万円以下の小規模工事だったとのことですから、トイレやおふろを直すなど小規模工事に多く利用されているのではないかと思います。私は、岩見沢市や北見市などのように、制度を設けて実施していること自体が立派だと思っておりますが、調べてみたところ、多くの自治体では、対象としている工事額を大体100万円以上としておりました。したがいまして、江別市で実施する場合は、なるべく対象となる工事額を低くしていただきたいと思います。もう一つ大事なことは、制度の利用率を高めるような方法にするということです。建設業協会や市役所などが窓口となっている自治体がありますが、北海道板金工業組合江別支部、江別商工会議所、江別建設業協会など様々な団体を申請窓口として利用しやすくしていただきたいと思います。もう一つは、地元の資材を使うということです。例えば、江別のれんがを使用した場合助成額を5%上乗せすれば、地元の窯業関係者にも喜ばれるほか、江別らしいまちづくりに少しでも近づくという観点から、れんがを使用した改修等には少し色をつけることなどについても検討していただきたいと思います。
次に、本当は再々質問をしようと思ったのですが、この場で余り細かいところまでは議論できないと思うので要望にさせていただきます。私が日本共産党に入ったのは、今から40年近く前のことです。
副議長(尾田善靖君)
森好議員に申し上げます。発言は、簡潔にお願いします。
森好勇君
私が日本共産党に入ったのは、今から40年近く前のことですが、働く者が安心して暮らせる社会にしたいということと、平和な社会にしたいということが入党を決意した理由であります。
先ほどの答弁では、家庭系廃棄物収集運搬業務に係る委託について、積算単価は変わらないとのことですが、車両が増えることにより仕事が増えるということで、どう考えても1人当たりの収入が減ると思います。現在ある車両20台が今回22台に増えます。黙っていても車2台増えることで6人の職員が増えますし、そのほかにも、大型ごみ受付センター等に配置する必要があるわけです。そうであるにもかからわず、同じ予算額ということは、1人当たりの収入が減ることになります。確かに、一括委託方式にすることにより、1人当たりの労働時間が短縮になりますが、公務員など一般的な労働者は、土曜日、日曜日、祝祭日は休みです。ところが、ごみ収集車の休みは、日曜日と年末年始だけです。調べてみたところ、公務労働者の年間労働時間は長いと言えます。例えば、年間労働日数が300日で1日当たり6時間働くと、年間で1,800時間の労働時間になります。一般の人は、年間労働日数が220日から230日くらいですから、1日当たりの労働時間を8時間とすると、年間労働時間は1,700時間前後です。
このような計算でも分かるように労働時間が長く、休日に勤務しているという実態から言っても、労働 基準法で規定されているように、祝祭日など休日に勤務した場合は、きちんと割増しされているのでしょうか。先ほどのご答弁では、労働関係諸法規は守られているということですが、割増し賃金や諸手当がきちんと守られているのか、今後、指導や点検をしていただくよう要望いたします。
また、今回のことで先ほど雇用の場が増えたことは確かですが、賃金体系は下がっています。私の計算では、パッカー車2台の価格は約3,000万円になります。今回の補正予算で、関連するものが出てくると思っていましたが、出てこなかったため気になっていました。過去にも、ごみ有料化の際に住民の要望があり、休日にごみを集収したことがありました。そのこと自体は良いことですが、その陰では、劣悪な労働条件で従事させられている人がいるということも事実です。江別市が行う業務を民間に委託しているのは、環境事務所だけではありません。江別市役所には、非正規職員もたくさんおります。国でも、労働基準法に基づき、きちんと賃金の上乗せをするように言っているわけですから、同一の賃金や労働条件ということをきちんと考え、今後の公務労働者の労働基本権的な部分を含めて、労働条件を低下させないような委託契約とするよう要望して終わります。
以上です。
副議長(尾田善靖君)
以上をもって、森好議員の一般質問を終結いたします。
散会宣告
副議長(尾田善靖君)
本日の議事日程は全部終了いたしました。
午後2時51分散会