平成22年第1回江別市議会会議録(第3号)平成22年3月11日 4ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
岡英彦君
それでは、通告に従い質問いたします。
今回は、今定例会は市長の市政執行方針が示された定例会でもありますことから、江別市の目指す方向性という大きな枠でお話ししたいと考えております。江別市の目指す方向性について、私なりの考えを述べさせていただいた上で、市長の市政執行方針における方向性とどこまで一致しているのかご確認させていただきます。骨太の内容となるように質問したいと思いますので、市長も単に行政の長としてだけではなく、政治家としてのお考えも含めてご答弁いただきたいと思います。
最初の2項目については、市を取り巻く環境に係る現状認識についてお伺いいたします。
初めに、国の財政状況についてです。
国の平成22年度予算は、歳出約92兆円に対し税収がわずか約37兆円となる一方、借金である公債費は約44兆円と、終戦直後の昭和21年度以来、公債費が税収を上回る異常な状況となっております。
GDPの大幅な落ち込みに対応するためには、財政出動しかありませんが、問題は、基礎的財政収支と言われるプライマリー・バランスが急速に悪化しているにもかかわらず、政府は、財政再建への道筋を示せていないことです。今のままでは、国債残高が永遠に増加することになり、持続不可能な状態にあるというのが私の認識です。
そこで、最初の質問といたしまして、市長は、地方自治体の首長として、現在の国の財政状況について、どのようなご認識を持たれているのかお答えいただきたいと思います。
このような状況にあっては、地方財政も持続可能な状況とは言い難いものとなります。
国の平成22年度予算では、地方財政の財源不足額は約18兆円と過去最高となり、財源不足を補うための地方の借金である臨時財政対策債の大幅な発行増が認められました。臨時財政対策債は、元利償還金が後年度の地方交付税の計算に算入されることとなっておりますが、地方交付税の総額は、本来、国の税収に応じて決まることから、元利償還金が増えたからといって自動的に増加するものではありません。地方交付税の総額が変わらなければ、臨時財政対策債の償還分で一般財源を食いつぶし、最終的には自分の首を絞める状況になると言えます。したがいまして、地方自治体としては、一定の財源が確保されたと胸を張って言える状況ではないと考えるところです。
そこで、地方自治体の首長として、臨時財政対策債の大幅な発行増という現在の財政状況にかんがみ、本当の意味で財源が確保されていると考えておられるのかお答えいただきたいと思います。また、江別市において、地方交付税と臨時財政対策債の増額で一定の財源が確保できたという木を見て森を見ずのような甘い認識で良いと考えておられるのかお答えください。
次に、市政執行方針の中でも述べられている地域主権型社会についてお伺いいたします。
政府は、地域主権戦略会議を設置するなど、地域主権という言葉がにわかに脚光を浴びております。今後、日本の地方自治制度の在り方は、市政執行方針の中でも述べられているとおり、地域主権という方向に進んでいくことは間違いないと考えられます。しかしながら、地域主権という言葉の意味については、必ずしも明確なイメージが伴っていないように見受けられます。
特に、市政執行方針の中でも述べられている地域主権型社会という言葉は、北海道の地方分権の取り組みにおけるモデル構想として出ているものと認識しております。
北海道の地域主権型社会のモデル構想によりますと、地域主権型社会とは、一人ひとりの個人が、そして共に力を合わせた住民が、さらには地方自治体が、自ら主体的に考え、決断し、行動する社会を目指すことが重要であるという考え方であり、国からの視点ではなく住民や地域を主体とするものです。また、地域主権型社会では、地域のことは地域自らが決め、しかもできる限り住民に近いところで決められることになると示されております。その背景としては、個人ができることは個人で行い、個人ができないことを家族が、家族ができないことを地域社会が、地域社会ができないことを基礎自治体が、基礎自治体ができないことを広域自治体が、広域自治体ができないことを国が行うべきであり、上位の階層はより下位の階層ができることにみだりに介入すべきではないという考え方を示しています。
そのような中で、北海道として、道州制や小さな政府への流れの中で小さな官組織を目指す方向性が示唆されているように見受けられます。さらには、道州制に向けて、事務や権限の市町村への委譲を進めております。私といたしましても、一人ひとりが考え、議論し、行動する民主主義社会を発展させていくためには、基礎自治体における日々の自治の実践こそが最も重要であるという考え方を持っております。
また、ヨーロッパ地方自治憲章の第4条にあるように、公的な責務は、一般に、市民に最も身近な地方自治体が優先的に履行する必要があると考えております。ただし、これらのことが直ちに北海道の地域主権型社会のモデル構想にある道州制や小さな官組織に結び付くものではないとも考えているところでございます。
地域主権を進めるという言葉は、奇麗に聞こえますし、その方向性や理念については、私の考えとも大きく重なる部分があり、これからの目指すべき国の形と言えます。しかしながら、国の経済財政状況を見ると、実態としては、国の様々な負債を肩代わりしたまま国からの自立を求められる方向になる可能性が高いと考えられます。もう国にはお金がないから、地方は好きにしてくれということです。したがいまして、北海道全体が国の政策に影響を受けないくらい足腰が強く、自立した地域になるための方向を目指さなければ地域の将来はないと私は認識しております。
そこで質問ですが、市長は、地域主権型社会という言葉を市政執行方針の中でも使われていますが、その中身はどのようなイメージを持たれているのかお答えいただきたいと思います。
その中で、地域主権型社会とは、小さな官組織や道州制を目指すものなのか、市町村などの基礎自治体が果たす役割について、どのように考えているのかについても言及いただきたいと思います。また、地域主権型社会を見据え、北海道が実施している事務や権限の市への委譲を進めていくお考えがあるのか否かについてもお伺いいたします。
以上のように、北海道や江別市が置かれている状況を考慮した上で、市政執行方針の基本方針で述べられている4項目について方向性を確認していきたいと思います。
まずは、基本姿勢の2点目に挙げられ、江別市の今後の基礎となる未来への投資で述べられている企業誘致についてです。
私は、企業誘致を含めた地域産業政策を江別市の成長戦略と呼んでいます。先ほど申し上げたように、大きな観点から、北海道全体として自立した地域にならなければ北海道の将来はないと考えておりますが、北海道経済は、現在大変厳しい状況に陥っております。
昨年12月に発表された2007年の国のGDPに当たる道内総生産は、名目で7年連続マイナスの3.5%のマイナス成長で、実質では3年連続マイナスの3.1%のマイナス成長です。道民所得は、過去7年連続で減少しており、1人当たりの道民所得は241万円と、7年間で1割以上も減少している状況です。リーマンショックが起きる前の2007年でこのような状況ですので、現在の北海道経済のパイは更に減少していると考えられます。
ちなみに、北海道を一国ととらえ、先進諸国と比較しやすい購買力平価による1人当たりのGDPで換算すると、2006年の数値で2万7,386ドルとなり、これはOECD諸国の平均以下の数値となっております。こうした中で、昔から言われていることではありますが、国に依存した産業構造から脱却し、北海道として自立した産業構造へ転換していく取り組みを今こそ本気で行わなければなりません。
北海道は、食と農の分野で大変特色のある地域ですが、この分野を伸ばす余地がまだまだあります。北海道の粗付加価値率を食料品分野で100とすると、全国が130程度、農業分野では110程度と、本来北海道が得意とするべき食と農の分野でも全国から見劣りしているのが現状であります。これを全国レベルに引き上げると、約1兆円の経済効果があると試算されています。また、付加価値を付けるためには、応用研究が重要です。企業と密接に連携し応用研究をすることによって、イノベーションを起こし、付加価値の高い商品、すなわち高い値段で買っていただけるような魅力ある商品を世に生み出していくことが求められます。
私は、大学、研究機関及び企業のほか、優秀な人材がそろっている江別市は、必ずしも規模は大きくならないにしても、北海道のモデル地域として付加価値の高い商品を生み出す先進的な役割を食分野で果たしていく必要があることを認識すべきだと考えております。私としては、このような観点から、江別市が企業をサポートし、我々の方向性と一致する企業の誘致に努めることが必要であると考えております。
そこで質問といたしまして、市長は、企業誘致に強い方針を打ち出されておりますが、私と方向性が一致していると考えてよろしいのでしょうか。地域における産業政策の重要性をどのように認識されているのかお答えいただきたいと思います。
江別市におきましては、戦略的に最も注力すべき産業分野は食分野であると考えておりますが、そのほかにも、大消費地である札幌市の近郊に位置する立地条件や、道央道をはじめその他幹線道路とのアクセスを考慮すると、既に集積が始まっている物流分野も、今後、力を入れていく業種であると考えています。
また、周辺人口規模と優秀な人材を集めやすいという利点から、他企業から一部業務の委託を受けるアウトソーシング系の企業についても、一定程度集積が可能であり、雇用の面でも大きな役割を果たすことができると考えています。やみくもに企業を誘致すれば良いということではなく、地域の特色を生かせる企業誘致が大変重要と考えますが、江別市の特色を生かした産業には、どのようなものがあるとお考えかお答えいただきたいと思います。
次に、同じく基本姿勢の2点目として挙げられ、江別市の今後の基礎となる未来への投資の最初に触れられている子育て環境の充実についてです。
子育て環境については、現在の社会情勢において重視しなければならない分野であり、私はチャイルドファースト戦略と呼ばせていただいております。江別市は、北海道において地方単独都市ではないため、札幌圏という比較的大きな枠の中で戦略を考えることができます。
現在、江別市は、イメージでも実態でも、比較的暮らしやすいまちということが言えると思いますが、今後も、札幌圏で暮らしやすいまち江別というブランドを磨き続ける必要があります。
利便性を強く求めるのであれば、札幌市の市営地下鉄沿線にあるマンションにはかないませんが、一定の利便性の中で豊かな暮らしを求めるのであれば、札幌圏では江別市が適しているという特色を打ち出していく必要があります。これは、住んでみたいまちとしての魅力をいかに高めていくのかという札幌圏における都市間競争であり、また、現在、江別市に住んでいる市民の満足度を高めるためにもひっすの方針であると考えます。残念ながら、トータルの人口面では、札幌圏も増加が見込めないことから、この競争は、こちらが増えたらあちらが減るゼロサムゲームという大変厳しい現実を見据える必要があります。
このような中で、江別市を選んでいただくためには、子育て支援の充実に優先度を高く置き、全国一律の行政サービス以上の独自施策を打ち出すなど、子育て世代にとって暮らしやすいまちを目指し、次代を担う若い世代に江別市を選んでいただくことが重要であると考えています。したがいまして、市全体の施策を考えていく中で、チャイルドファースト、すなわち子供を優先していくという考え方が必要になってきます。
昨年、市では、今後5年間の子育て支援に関する様々な取り組みに関する計画策定のために、子育て世代を対象に大規模なアンケート調査を実施しています。自由記述欄には、保育園では勤務先の証明がなければ申込みができない一方で、職場では子供の預け先が決まっているのかと聞かれるほか、一時保育を申し込んだが込んでいて全く空く見込みがないなど本当に切実な意見がありました。私は、市がこれまで実施した各種のアンケートや市民意見の募集の中では、今回のアンケートが最も切実な声が多く寄せられていると感じております。
率直にお伺いいたしますが、市長は、アンケートにある自由記述欄の記載内容をお読みになって、どのようなご認識を持たれたのかお答え願います。
また、市長は、五つのまちづくりの考え方でも、子育て環境の充実について比較的多くの分量を割いて述べられておりますが、江別市の姿勢として、今後は、子育て環境の充実に注力していく、又はある程度優先していかなければならないという方針と理解してよろしいのかお答えいただきたいと思います。
次に、基本姿勢の市民と共に歩む市民協働の推進についてです。
この基本姿勢は、市長の三つの基本姿勢のトップに挙げられており、市民協働の推進を重視している姿勢の表れだと私は認識させていただいております。また、市長は、様々な機会を通じて、昨年制定された江別市自治基本条例について言及されており、市民と一緒に市政を運営していかなければならないという考え方を述べられていると思います。
このような中、最近は、市民説明会や市民意見の募集を行う機会が確実に増えているように見受けられます。昨年の後半からは、新年度に向けた各種計画の策定のため、市民意見の募集が五月雨式に実施されており、市民の方から見ると、何の意見をいつ募集し、どのような関連があるのかよく分からないのではないかと思います。また、今年度内には、市民意見の募集について、要綱を定めるとの方針も打ち出されています。しかしながら、様々な形で寄せられた意見をどのように取り扱うのかということについては、まだまだ試行錯誤の段階にあるものと私は考えています。
皆様から聞く一番大きな声は、市民意見の募集はするけれどもそれは形式的なものであり、どのように市政に反映されているのかよく分からないというものだと思います。もちろん、パブリックコメントなどに寄せられた市民一人ひとりのご意見がすべてそのまま反映されるということはあり得ませんが、単に紙で回答するだけでは形式的だと言われても仕方がない面があると考えます。
いずれにいたしましても、今後も、決められているから実施するということではなく、市民の多様な意見をどのように聞き、どのように集約していくのかについて、トライアル・アンド・エラーの精神で様々な試みを行いながら、市民参加を更に進める必要があると考えております。
以上、市民参加の手続に関するルールづくりについて、市民説明会や市民意見の募集の回数が多くなっていますが、中身をどのように評価されているのか、現状認識について伺いたいと思います。また、今後、市民参加を積極的に進めていく方針ということを改めて確認させていただきたいと思います。
市長は、市政執行方針の中で、市民協働の推進について、一人でも多くの市民の皆様にまちづくりに参加していただけるよう市民協働の取り組みを広げていくと述べられています。よく言われているように、私も、江別市を単に多彩な経験を持つリタイア世代や学生が多い街ではなく、多彩な経験を持つリタイア世代や学生が活躍する街になるようにしていかなければならないと考えています。
一例を申し上げますと、豊幌出身の学生が自費制作した江別市を紹介する冊子えべつに恋をしてみようは、私の周りでは、今までのどんな江別市を紹介するガイドブックよりも面白いと大変評判になっています。私の勝手な印象でありますが、江別市には、札幌圏のほかのまちと比較して江別市が大好きな人がたくさんいるように思います。江別市には、それだけ愛着の持てる素材があるということで、このように自分のまちが好きな人たちがもっと自由に活躍し、あなたのやりたいことが実現できるまちですという方向性を打ち出すことが大事だと私は考えているところです。もちろん、行政が直接何かをするだけではないですし、すぐに行政に何かを求めるのはむしろ良くないことだと思いますが、市として、まちづくりに参加する市民の活動を広げ、そのような市民をサポートしていく方針について改めて確認させていただきたいと思います。
最後に、市民の目線で進める行政改革の推進についてお伺いいたします。
江別市が江別市行政改革推進計画を策定し、様々な行政改革の取り組みを進めていることは、私も一定の理解をしております。また、全国の自治団体の中でも、江別市の行政改革の取り組みが一定の評価を受けていることも認識しております。行政改革を進めていただくことは、それはそれで良いのですが、少し違った観点からお話しさせていただきたいと思います。
それは、行政改革を進めていくことで、行政は市民から信頼を得ることができているのかということです。残念ながら、私の感覚で申し上げますと、日本における市民の行政に対する信頼感は、かなり低いのではないかと思っております。公正を期すために申し上げますと、政治に対する信頼感も低いのではないかと感じております。
ちなみに、世界数十箇国の大学や研究機関の研究グループが参加し、共通の調査票で世界各国の国民の意識を調べ比較する世界価値観調査によると、日本の行政に対する信頼感は32.7%とOECD先進諸国19か国中15位であります。また、政治に対する信頼と置き換えても良いと思える国会に対する信頼感はもっと低く、23.2%で同16位となっています。
私といたしましては、本来、民主主義の国で政治家も行政の長も我々が選んでいるのに、なぜこれだけ信頼度が低いのだろうと思うところでありますが、このような状態では、行政改革を進めていると言ってもなかなか市民の理解を得ることが難しいと考えるところです。
そこで質問ですが、市長として、市民の行政への信頼感についてどのように認識されているのかお答えいただきたいと思います。そのような中で、行政への信頼感を得ていくためには、結局は、職員一人ひとりに頑張っていただくしかなく、また、頑張っている姿勢をもっと表に出していただかなければならないと考えています。そのためにも、もっともっと職員にモチベーションを高く持って仕事をしていただく必要があると考えています。
頑張っていただくとはどういうことなのか。そこで、私から職員の皆さんへ質問させていただきたいと思います。あなたは、毎日だれよりも真剣に自分の仕事をしていますか。あなたの仕事の関係者は、あなたの仕事を高く評価していますか。問題点や回答を現場で見付けていますか。世界中のだれよりも自分の職務に忠実に仕事をしていますか。自分の仕事に理想を持っていますか。今日市役所にお越しいただいた市民が満足されましたか。激変する環境の中で生き抜く戦略がありますか。その仕事で本当に世界一住んでみたいまちになれますか。これらの言葉は、ユニクロを展開する株式会社ファーストリテイリングの柳井社長の著書に書かれていた年頭のあいさつの一部を私なりにアレンジさせていただいたものです。正直申し上げて、この著書を読んだとき、自信を持ってすべてにイエスと答えられない自分が嫌になりましたが、世界で戦うグローバル企業というのは、これだけの意識を持ってやっており、志を高く持って仕事をしなければならないということを改めて感じたところです。
最後は、質問と同時にお願いにもなりますが、市長には、行政のトップとして職員が志を高く持ち、モチベーションを上げて仕事に取り組んでもらえるように心掛けることを方針として示していただきたい旨を申し上げ、1回目の質問を終わります。
議長(坂下博幸君)
一般質問の途中でありますが、昼食のため暫時休憩いたします。
午後0時00分 休憩
午後1時00分 再開
副議長(尾田善靖君)
休憩前に引き続き会議を開きます。
一般質問を続行いたします。
岡議員の一般質問に対する答弁を求めます。
市長(三好昇君)
岡議員の一般質問にお答え申し上げます。
まず、現在の国の財政状況についての認識でありますが、国の平成22年度一般会計予算における公債依存度は約48%で、一般会計プライマリー・バランスはマイナス約23.7兆円と、いずれも当初予算ベースで過去最悪の状況となってございます。さらに、国及び地方の長期債務残高は、対GDP比で約181%と先進国中最悪であることを考えますと、現状における国の財政は、危機的状況であると認識しているところでございます。
次に、地方財政における財源確保に係る認識について、臨時財政対策債に関連してお答えさせていただきます。
臨時財政対策債は、元利償還金とその全額が後年次の地方交付税に算入されるというルールになっておりますが、その累増する残高の償還が将来の地方交付税を圧迫しかねない懸念があることから、基本的には、経済成長などによる税収の増加によって、地方交付税総額そのものが確保され、必要な地方財政への財源措置がなされるべきものと考えております。
そこで、このたびの江別市における平成22年度の予算編成に当たっては、地方交付税と臨時財政対策債の発行により予算を編成したものでありますが、市といたしましては、今後実施しなければならない生活基盤等の事業について、一般起債を活用するのではなく、発行が認められている非常に有利な臨時財政対策債を活用すべきであると考えておりまして、今回このような対応を取ったところでございます。
しかしながら、国の財政状況の悪化により、平成23年度以降の地方の財源確保に影響が出ないか懸念しているところであります。このため、市といたしましては、企業誘致を進め、市の独自財源の確保と行政改革をより積極的に進める必要があるものと考えてございます。
次に、地域主権型社会についてでありますが、これまで我が国は、中央集権型のシステムによって今日の発展を築いてきました。しかし、社会の成熟化や多様化が進むにつれ、全国一律の仕組みでは立ち行かなくなってきております。地域主権型社会は、このような中央依存、官依存の体制から、住民や地域を主体とした仕組みへ転換を図ろうとするものであり、正に明治以来から続く国の形を変える大改革と認識しております。
新政権においては、地域主権を1丁目1番地の改革と位置付け、今国会において地域主権改革推進一括法案と国と地方の協議の場設置法案の成立を目指しているほか、6月には、地域主権戦略大綱の制定が予定されているなど、今後、地域主権の流れが急速に拡大していくことは確実であり、地方自治体として、そのような認識の下、緊張感を持って対処していかなければならないものと考えております。
地域主権型社会においては、できるだけ住民に近いところで物事が決まり、取り組まれることが基本となることから、個人でできることは個人が行い、個人でできないことを家族や地域社会、そして、住民に最も身近な市町村が順次担い、それらによってもできないことについては、都道府県や国が担うといった補完性の原理に基づき、より住民に近い基礎自治体である市町村が強化され、大きな役割と権限を担うことが必要となるものであります。こうした市町村の役割は、道州制の動向にかかわらず必要であると考えておりまして、まずは市町村の体制固めや再生・確立が重要であると考えてございます。
我々市町村といたしましては、今後、進展が予想される権限や財源の委譲、義務付け・枠付けの廃止や国の出先機関の見直しなど、改革の影響をしっかりと見極め、基礎自治体として自立し、適切に対応できるような体制整備に努めていくほか、真の地域主権型社会の実現に向け、全国市長会を通じて国に働き掛けていかなければならないと考えております。
全国市長会におきましては、地域主権型社会の成立を最重点課題として取り組んでおりますので、私も一緒になって働き掛けてまいりたいと考えてございます。
なお、現在、北海道が進めている道から市町村への権限委譲についても、地域主権の考え方に基づき、市や市民にとっての優位性を十分考慮し、道と市の役割分担を見極めた上で、人的負担や財政的負担も勘案しながら対応してまいりたいと考えております。
次に、企業誘致に関連しまして、初めに、地域産業政策の重要性についてでございますが、最近の日本を取り巻く経済環境は大きく変化しており、とりわけ地域経済の格差が広がっておりますことから、将来の地域経済の発展のためには、優位性を生かすための戦略を持ち、自らの力で経済の流れをつくり出すなど、積極的に取り組む必要があるものと考えております。
また、行政として、これまでの公共事業依存型の地域経済から転換を図り、独自の産業資源を生かすなど様々な連携・協力を促し、新たな事業体制による産業や雇用の創出に向け、既存企業や関係機関等による域内循環の仕組みをつくっていくことが必要と考えてございます。
このようなことから、江別市の企業誘致においては、的を絞り、インセンティブを与える活動の展開を図るとともに、地域の企業や大学・研究機関などの資源を活用した産学官の連携を強く意識して取り組む必要性があると考えております。
現在、江別市が取り組んでおります食品産業の集積と振興に関連した取り組みについては、正にこのような観点に立って進めているものでございまして、これらの取り組みにより、雇用確保や自主財源の創出にも貢献できると考えているところでございます。
市といたしましては、今後とも、幅広く関係者の皆様と情報交換の場を設けながら、より積極的に進めてまいりたいと考えております。
次に、江別市の特性を生かした産業についてでございますが、江別市は豊かな自然に恵まれた環境を誇れる地域でございまして、歴史を誇るれんが生産や最先端の頭脳を持つ大学や研究施設がそろっているほか、豊富な農作物を生かせる地域循環型都市型農業の推進地域というように、多様な産業を支え新たな創造に結び付く可能性を秘めた特性があることに加え、大消費地の札幌市に近い優位性のあるまちととらえております。
このようなことから、大学などとの連携や付加価値の高い食品産業の誘致を積極的に進めてまいりたいと考えているとともに、江別市の農業など特性を生かすことにより、積極的に対応する企業や現在進めている情報処理業務、流通関連企業などとも協調しながら、市内産業への相乗効果が高まるように取り組んでまいりたいと考えております。
次に、子育てに関連しまして、江別市次世代育成支援行動計画の市民ニーズ調査結果報告書にある自由意見についてでございます。
同計画については、現在後期計画を策定中でありますが、それに先立ちまして、昨年2月に実施いたしました同調査では、市内の就学前児童と就学児童を持つ世帯の合わせて3,000世帯を対象に調査を行い、1,142世帯から回答をいただいております。
自由意見欄には、合計605件もの多くの貴重なご意見をいただき、中でも、子供の居場所づくりなど、子供たちの環境づくりに関連するご意見が多かった印象を持ってございます。私は、これらの自由意見の中から、子育て支援の必要性や地域における交流の重要性など、子育て施策を充実することが求められているという印象を改めて強く持ったところでございます。
次に、子育て施策についてでございますが、子育て環境の充実につきましては、保健、医療、福祉など市民生活の基盤となる様々な施策と深くかかわりを持つことから、各種施策と重層的に進めていかなければならないと考えております。
特に、江別市が子育て世代にとって暮らしやすいまちという評価を受けますと、当事者に住んでいただくことはもちろんでございますが、その子供であります次の世代の方にも江別市に住んでいただくことにつながりますので、非常に重要なことと考えているところでございます。
このため、市では、市立病院における産科再開や小児科の充実のほか、保育園の待機児童の解消に向けた施策など、教育関連とも連携しながら子育て環境の充実に努めてきたところでございます。
先日の市政執行方針でも申し上げましたように、人づくりは最も大切な未来への投資であり、江別市の未来を担う子供たちが健康で人間性にあふれ、個性豊かに育つことができるように、子育て環境に関連しましても、重要な施策として積極的に進めてまいりたいと考えております。
次に、職員の意識についてでございますが、市職員におきましては、市民に身近な行政サービスの担い手として行政感覚を身に付けることが求められてございます。そのため、市といたしましては、江別市人材育成基本方針に基づき、行政のプロとしての自覚と責任感のある人材の育成や、政策形成能力向上のための研修など各種の実践的な研修を実施しております。
さらに、職員が自主的・主体的に行政課題に取り組む活動を促進するための職員提案制度などにおいて、優秀な提案に対して表彰を行うなど、職員の積極的な意欲にこたえていくことが結果として市民の行政に対する信頼の向上にもつながるものと考えております。
私といたしましては、職員が常に市民の目線に立ち、仕事に対するやりがいと充実感を維持・向上させるためには、その仕組みに対応しなければならないと思っております。このことは、時代ごとの背景も関係しますので、常に課題になるかもしれませんが、その気概を持って対応することが結果として市民の行政への信頼を更に高めることにつながるものと考えてございますので、その方針の下に今後もしっかり進めてまいりたいと考えております。
私からの答弁は以上でございますが、このほかの質問につきましては、企画政策部長から答弁いたします。
企画政策部長(安田俊明君)
私から市民協働の推進と行政改革についてご答弁申し上げます。
初めに、市民協働についてでありますが、昨年7月に施行された江別市自治基本条例では、市民自治の基本原則の一つとして市民参加と市民協働を位置付け、市民参加や市民協働の推進について具体的に規定するなど、市民が主体となってまちづくりにかかわっていく上での基盤を明確にしたところであります。
市では、この条例に基づき、具体的な市民参加の仕組みづくりを進めることとしており、その一環といたしまして、新年度からの施行に向け、パブリックコメントに関する要綱の策定を進めているところであります。パブリックコメントは、これまでも適宜実施しておりますが、現行制度は、実施方法や結果の公表などに統一性を欠いていた点があったものと考えているところであります。新たに制定する要綱では、パブリックコメントの対象や周知の在り方、意見の取扱い、反映結果の公表などを具体的に規定しており、今後、市民意見の取扱いがより明確になるものと考えております。
また、パブリックコメント手続要綱や市民からいただいた意見の取扱いなどにつきましては、庁内LANの活用や諸会議及び研修会など、様々な機会を通じて職員へ周知・指導を図ってまいる考えであります。
次に、市民のまちづくり参加についてですが、市民のまちづくり活動につきましては、自治会の地域活動はもとより、様々な分野で幅広い年齢層の方々が知識や経験、専門性、機動性などを生かした取り組みが行われているところであります。だれもが暮らしやすいまちづくりを進めていくためには、このような取り組みの一層の活性化と広がりが期待されるところであります。
このため、市では、意欲ある市民活動団体による公益的な事業への取り組みを資金面で支援する協働のまちづくり活動支援事業について、新年度から補助率の引上げを予定しておりますほか、新たに、学生による地域活動に対する補助を新設するなど、主体的な取り組みをしようとする団体を支援していく考えであります。
今後も、市民のまちづくりへの参加が活発になるよう啓発を行っていくほか、市民活動に取り組まれている皆さんのご意見なども伺いながら、まちづくりに参加しやすい環境づくりに努めるとともに、江別市民活動センター・あいとの連携の下で、市民のまちづくりへの取り組みをサポートしてまいりたいと考えております。
次に、行政の信頼度を高める観点での行政改革の推進についてでありますが、市といたしましては、江別市行政改革大綱におきまして、その第一に、協働のまちづくりによる市民満足度の向上を掲げ、市民目線に基づく市政運営に努めているところであります。
とりわけ、今年度は、江別市自治基本条例が制定されたことから、これまで以上に市民との情報共有を図り、市民参加によるまちづくりを進めるため、平成22年度予算編成に際して初めてパブリックコメントを実施したほか、新年度においては行政評価に外部評価を導入するなど、行政サービスの透明化を進めることなどにより、市民の信頼度の一層の向上に努めることとしております。
今後とも、常に市民目線に立ち、立ち止まることなく行政改革を推進することにより、市民の行政への信頼感の醸成を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
岡英彦君
ご答弁ありがとうございました。
それでは、2回目の質問をさせていただきます。
まず、国の財政状況についてです。地方財政の認識については相異する部分もあると思いますが、大枠では、国の財政状況への危機意識や、それが地方に影響するという危機感について市長と認識が共有できているものと受け止めさせていただきました。
また、地域主権型社会については、これまでこのような議論は余りなかったと思いますが、市長としても、国の形として地域主権に進むべきであり、その流れは止められないというある程度積極的に推進していく方向性をお示しいただけた答弁だったと思います。
また、地域主権の流れに対して緊張感を持ち、地域として自立していくという思いは変わらないと受け止めさせていただきました。さらに、大きな役割と権限を担う基礎自治体の市として、体制を整えていく方針であると理解させていただきました。
この部分で、一点だけ確認のために質問させていただきます。
市長も述べられました補完性の原理についてでございますが、地域や個人でできることを地域や個人に任せるとなりますと、どうも行政の効率性を追求するために出てくる議論という感じもございます。小さな官組織を進めるというふうに解釈できなくもないですが、そうではなく、公的責務は住民に最も身近な基礎自治体、すなわち日本で言うところの市町村が優先的に担うべきであるという解釈でよろしいのか。確認の意味も含めて質問させていただきます。
次に、地域産業政策と子育て支援政策についてでありますが、いずれの政策分野についても、私の述べさせていただいた考え方や方向性と市長から先ほどご答弁いただいた内容は、認識と方向性がほぼ一致していると受け止めさせていただいております。また、この二つの分野について、重視していく方向であるとお答えいただいたと思っております。
私といたしましては、今後の江別市にとって、この二つの政策は、車の両輪となる非常に重要なものと考えております。市長とも、認識を共有することができたと思っておりますので、その方向で重点的に進めていただきたいと要望させていただきます。
一方、市政の土台と言える市民協働と行政の信頼獲得については、ご答弁を聞く限り、市民参加と職員への意識付けの部分で少し不安に感じたところでございます。前段の二つのご答弁と比較いたしますと、どうも私の中にしっくり落ちてこないという感じを受けたところでございまして、市長の思いをもう少し述べていただきたいと考えるところでございます。
市民参加に関しては、パブリックコメント手続要綱の策定を進めていただくことはいいのですが、それだけではなく、市でもそれらの課題を検討されているとは思います。様々な課題がある中で、それをどのように感じ、どのような思いで進めていきたいのか、今一度、市長として市民参加推進への思いを伺いたいと思います。
次に、行政への信頼獲得についてです。こちらも様々な取り組みを進めているのは分かりますが、市のトップとして、職員のモチベーションを高めていただくために、どのようなメッセージを職員に伝えたいのか。パッションと言いますか、市長の思いをもう少しお話しいただきたいと思います。
以上、再質問といたしまして、地域主権型社会における補完性の原理の解釈、市民参加推進への市長の思い、職員の意識付けへの市長の思いの三点についてお答えいただきたいと思います。
市長(三好昇君)
岡議員の再質問にお答え申し上げます。
まず、1点目の地域主権型社会におけます補完性の原理について、地域自治と市の関係でございますが、基本的には、地域分権を進めるに当たっては、地域コミュニティが大変重要と考えてございます。
市の役割といたしましては、地域コミュニティを育てるなど、環境づくりを進めることが重要であると考えてございます。また、市が先導的に環境づくりを進める役割があるものと考えてございますが、これは地域コミュニティや自治会活動を制限するものではなく、全体をカバーするための環境をつくっていくことになろうかと思います。
2点目の市民参加推進に関連して私の思いということでございますが、先ほども申し上げましたとおり、今後は、地域主権型社会が急激に進むものと思ってございます。そのためには、地域の住民本位のシステムがどのような形で進んでいくのかということが非常に重要でありますことから、今ほど申し上げました地域主権型社会や地域補完の原則にも関係しますが、地域コミュニティや自治会など、地域の流れを踏まえ、どのように進めていくのかということが重要でございます。
また、市民が参加する仕組みづくりについては、当然、今後も積極的に進めていかなければならないと思っておりますので、あらゆる機会をとらえて、環境づくりを図ってまいりたいと思っております。
次に、市民の市に対する信頼性に関して、職員に対する意識付けでございますが、市では、先ほども申し上げたとおり、様々な研修を実施しており、その中には非常に意欲を持った職員もおりますし、積極的に行政課題に対して提案する職員も出ていることは事実でございます。そういう職員に対しましては、きちんと評価し、結果としてそれを事業化するなど、提案を積極的にとらえて市の職員自らが行政の仕組みづくりに参画していく制度をこれからも広げていきたいと思ってございます。どうしても自分の仕事だけと考えがちになりますが、自分の仕事だけではなく、自分の仕事と関連する別の仕事や、それに伴う別な形での行政への参画機会を広げていくために、そのような制度に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
いずれにいたしましても、市民から信頼感を得られる職員というものは、時代によって大きく変わるものだと思います。ただ、信頼を受ける職員というのは、変わることもあるかもしれませんが、その基本は、市民の目線で市民のために行動する職員ですので、そのような職員になるように今後も人材育成に努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
岡英彦君
ご答弁ありがとうございました。
今回の質問の中で、江別市が目指す方向性に関する私の考えに対して、市長のお話を一通りいただいたと思っております。これを受けまして、具体的な話につきましては、来週から始まる新年度予算案の審査の中でじっくりと考えさせていただきたいと思っております。
いずれにいたしましても、私の考える方向性というものをしっかりご認識いただけたと思いますので、十分にご理解いただき、市政運営を進めていただきたいと申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
副議長(尾田善靖君)
以上をもって、岡議員の一般質問を終結いたします。
一般質問を続行いたします。
宮澤義明議員の子育てに関する国の施策についてほか3件についての質問を許します。通告時間30分。