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平成20年第2回江別市議会会議録(第3号)平成20年6月12日 4ページ

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年1月30日更新

6 議事次第の続き

一般質問の続き

 副議長(鈴木真由美君)

 休憩前に引き続き会議を開きます。
 一般質問を続行いたします。
 高橋典子議員の生活保護行政についてほか3件についての質問を許します。通告時間20分。

高橋典子君

 通告に従い順次質問してまいります。
 まず初めに、生活保護にかかわる問題からお伺いいたします。
 この間、生活保護にかかわって各種の加算が改悪され、ただでさえ生活費のやりくりが大変になってきているところに、追い打ちをかけるように生活保護受給者にこれまで支給されてきた通院移送費、つまり病院に掛かる際の交通費の支給を4月から取りやめるとの通知が出され、全国の生活保護受給者と各自治体福祉事務所に大きな混乱をもたらしました。
 またその直後、3か月の是正期間が設けられることになったため、更に混乱に拍車を掛けたように伺っております。しかも今度は、昨日の新聞報道等によると、新しい通知が出されたとのことであります。
 今回の問題の中で、自治体によっては通院移送費の扱いを変え、支給を制限したところもあったと伺っております。生活保護を受けて生活されている方は、保護費の中でやりくりしながら生活してきているのですから、急に制度を変えられてしまうと大変な混乱の中に追い込まれてしまうことになります。受給者の立場に立っての適切な対応が求められるのではないでしょうか。
 当市では、この間受給者に対してどのような対応をされてきているのでしょうか、お伺いいたします。
 また、今回の問題を巡って厚生労働省からは、交通費は生活扶助の中で賄えるとした説明もありました。これまで通院移送費は医療扶助として理解されてきたはずですし、一月に何回か通院しなければならないとなると、市内のバス賃の金額でさえ重い負担になってしまいます。最低生活費で生活されている方の実情を知っていれば、このようなことは言えないはずです。通院移送費支給の対象医療機関を福祉事務所管内、つまりは市内に限るとしたことも実情に合わないことで、診療科によっては近くに病院がない場合や市内より隣町の病院の方が近い場合もあるなど、一律に制限を設けることは実情にそぐわない場合もあります。また、それぞれの病気の特徴、病状によっても条件は異なります。支給の適否を決めるのは、それぞれの自治体の判断で適切に行われるべきではないでしょうか。
 生活保護受給者の生活実態を知っている自治体の側から、制度の改悪を行わないよう求めていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、生活保護制度の周知についてお伺いいたします。
 今回問題になった不正受給の事件報道を見て、初めて通院移送費というものを知ったという方がいらっしゃいます。担当ケースワーカーは診療費や薬代の扶助を支給しており、どこの病院に掛かっているかも知っているわけですから、通院に交通費が掛かるかどうかも分かるはずです。制度として認められていることですから、説明して手続を取るのが筋ではないでしょうか。食費を切り詰め、通院回数を減らすような方法で通院費をねん出することになれば、病状を悪化させることにもなりかねません。
 働いて得た収入についても、控除がどれくらい計算されているか分からずに、支給される保護費をただ受け取っていると言われている方もいました。
 そのほか、生活保護を受給している間受けられる各種の減免について知らないでいる方もいましたが、それらの制度について理解できるように十分な対応をされているのでしょうか。
 単に損得の問題などではなく、使える制度を知り活用することはご自身の生活を組み立てていく力になるはずであり、そのための援助をすることもケースワーカーとして大切な仕事だと思うのですが、適切に行われているかお伺いいたします。
 また、ケースワーカーの資質向上についてどのようにお考えでしょうか。これまで生活に関する相談を市民から受ける中で、生活保護にかかわることで適切な対応ができているのか、疑問を感じるような相談を受けることがありました。ケースワーカーの言葉で不必要に不安を感じたり、混乱している方もおられました。何より信頼関係がつくられていかなければ、ケースワーカーの指導も空回りになりかねません。生活保護受給者が安心して相談できるケースワーカーであってほしいと思うものですが、いかがでしょうか。
 ケースワーカーも経験を積み重ねる中で対応の仕方も上達していくのでしょうが、生活に困窮されている方にとってはぎりぎりの状態で相談しているのですから、問題をどのようにして解決すればいいのか、どのような制度が活用できるのかなど親身になって最良の対応をしなければならないはずです。
 市民にとっては、どの職員も信頼できる人であってほしいと願うところですが、いかがでしょうか、お聞かせください。
 次に、子育て支援策について、保育に対する考え方からお伺いいたします。
 みどり保育園の民営化は保護者から大きな反対の声が上がっていたにもかかわらず推し進められ、大きな傷跡を残すことになったのではないかと考えています。何よりも残念なのは、どのような保育を実現したいかという保育の質の向上を目的にしているのではなく、財政上の問題が主な理由だったとしか思えない点であります。
 あかしや保育園の民営化後、きちんとその後の検証が行われていなかったことも明らかになりましたが、みどり保育園で同じことが繰り返されないように、市の責任においてしっかりと事後の検証が行われるよう、初めに申し上げておきたいと思います。
 ところで、市の保育に関して3月28日付けで江別市立保育園のあり方検討委員会より、市立保育園のあり方計画についてという報告書が提出されました。市立保育園について論ずるのであれば、検討委員の中に市立保育園関係者がもっと多く含まれていた方が良かったのではないかと感じますが、一定の報告がなされています。
 その中では、すべての園を民営化するのではなく、地域バランスを考えて複数を市立保育園として残すべきであることや、障がい児などの特別保育や地域の子育て支援、民営化のメリットと課題の整理、認定こども園の可能性についての検討などと意見がまとめられております。しかしこれらの意見の一番初めに、市の厳しい財政状況から市立保育園の民営化が必要であるとされ、ここでも財政優先の考え方から出発していることを残念に思いました。
 今後市では、この報告書を受け、市としての保育の方向を検討していくことと思いますが、その際、市としての公の責任、市が江別の保育の中で果たす役割を基本に据えて考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 地域バランスということであれば、公立保育園のない大麻地区についてはどうしていくのかという問題があります。
 認定こども園については長期的な視野で可能性について検討すると、慎重な表現になっていますが、国の動向を見るとハードルを下げて認定こども園を増やそうとする方向のようです。しかし市内の保育ニーズを見るとゼロ歳から2歳の低年齢児の待機が多く、それを考えると経験豊かな保育士を確保することや調理室の整備が欠かせないものとなってきます。保育の意味を考えると、決して質を落とすようなことがあってはならないと思いますが、いかがでしょうか。
 また、市立保育園には経験豊かな保育士が多いとされていますが、裏を返せば若手職員の採用を十分していないということでもあります。市立保育園を複数園残すということになれば、職員の年齢構成のアンバランスは大きな問題になるのではないでしょうか。
 市立保育園には、公の保育園としての役割が強く期待されていると思いますが、中長期的な視点で安定的に運営していけるよう、体制が整えられるべきではないでしょうか。
 市としてどのような姿勢で臨んでいるのかお伺いいたします。
 次に、留守家庭児童の放課後対策についてお伺いいたします。
 私としては、子供たちの生活の場として学童保育という名称にこだわりたいのですが、国の政策に合わせて放課後児童会という名称が使われているようです。所管常任委員会に提出された資料を見ましたが、入会金はもとより月々の保護者の負担は6,000円以上、さらに冬期間の施設費など、保護者には重たい負担になっていることと思います。しかも市が運営している児童クラブにも利用者負担を導入しようとしているとのことです。
 一体どんな政策を持ってそのようなことを行おうとしているのか、理解に苦しみます。
 ひまわり児童クラブと民間で開設する放課後児童会との関係があって、そのようなことになっていると伺うところですが、根本的な検討なしに進められているとしか思えません。市民の立場に立って考えるなら、いかに利用者の費用負担を抑えることができるかという方向で対応されるべきではないでしょうか。
 子育て環境の充実は市としても力を入れて行うべき課題ですし、両親共に働く家庭が増えている中で、積極的な取り組みがますます求められているのではないでしょうか。
 さらに、子供たちの放課後を豊かにするという点で、市が行うべきことを改めて考えなければならないときなのかもしれません。
 児童センター内で行われてきている児童クラブは、拝見したところ面積が狭く、放課後の生活の場としては限界があるのではないでしょうか。放課後の子供たちの生活をどのように支えていかなければならないのか、質的な保障も含めて検討し、それぞれの施設に合わせた運営を考えるべきではないでしょうか。また、利用者は小学校の低学年の子たちなのですから、毎日通うのに負担を感じない距離で、安全に配慮した整備が必要ではないでしょうか。
 いずれにしろ、子供のためにいかにあるべきかということを基本に市として政策化することが必要ではないでしょうか。お考えをお聞かせください。
 次に、大麻駅周辺整備についてお伺いします。
 この事業は、かねてから地域の自治会やまちづくり協議会などから要望され、議会でも何人かの議員により取り上げられてきたものであり、また今年度予算化された工事は度々事故が起きている交差点の改良やバリアフリー化の一環として行われる歩道整備などであることから、日本共産党議員団としても第1回定例会の予算案の討論の中で評価したところです。
 しかしながらその後、市民団体から市長のほか国や道に対し、この事業に関して反対する要望書が提出されたとの報道を目にし、関係者から要望書のコピーをいただきました。
 市民団体から提出された、大麻東駅通り道路工事に係る鉄道林伐採の見直しを求める要望書では、この事業にかかわって大量の鉄道林の伐採が行われるのではないかときぐされており、関連する事業の見直しを求めています。
 今年度予算化された兵村14丁目通り交差点改良工事では、鉄道林と道路の間の主にニセアカシアが生えている区域が対象であり、鉄道林にまでは及んでいません。
 ただし、駅周辺整備の全体像の中には駐輪場の移設や公園整備が盛り込まれていることから、この先の工事も含めて反対されているということが要望書に書かれているのだと理解しました。
 さらに、公共事業の進め方というものは市民にとっては分かりにくく、また、当初の計画が途中で手直しされることもあるため、意図的に本当のことが説明されていないと受け取られてしまうこともあるのではないでしょうか。
 事実、江別の顔づくり事業では、市民の意見をきちんと受け止めようとする姿勢はなかったのではないかと私も感じていますし、これまでの対応が市民の中に市に対する不信感を植え付けてしまったと言わざるを得ません。
 そのような経緯も踏まえて、公共事業を行う際の市民への情報提供は、必要と思われる情報を早い段階から積極的に開示して、市民と行政が共通の理解の下に話合いを持つよう努力されるべきであると考えますが、いかがお考えでしょうか。今回の事業に関する情報提供の仕方が十分行われていたとお考えかお聞かせいただきたいと思います。
 また、この先関連する計画も残されており、その段階に進んだときには鉄道林も含めて駅前の様子が大きく変わることが問題となってきます。
 地域の自治会やまちづくり協議会の方たちからは期待を寄せられている事業ではありますが、一方で同じ地域に住む方から反対の意見が出されているのが明らかなのですから、それぞれの考えを出し合い、議論し、一定の共通認識が持てるような機会を保障すべきではないでしょうか。そして、そこで得られた市民の意見を計画の中に反映させる方法を検討することはできないでしょうか。
 近年、市政への住民参加や住民自治に関して、全国で様々な取り組みが始まっており、行政の仕事の進め方についても変化が求められてきています。市政全体にかかわる課題と地域的な課題、市民の利益や安全等のために急を要するものと時間を掛けて取り組んでも問題のないものなどを分け、地域的な課題や時間を掛けられることについては地域の協議にゆだねる方法も模索されています。
 当市ではこのような方法は確立していないものの、今回の大麻駅周辺整備のうち公園や駐輪場など、利用者のほとんどがこの地域の方たちで、しかもどのように使われているのか熟知した方たちで考えていただいた方がよいと思われるような事業については、思い切って市民の議論にゆだねることも考えてみてはいかがでしょうか。
 その際、話合いを持つ方たちの範囲をどのように考えるのか、どのように広報するか、日時や場所はどうするかなど手探りの状態で始めなければならないでしょうから、まずは行政が支援しながら共に歩んでいく形を取る必要もあると思います。労力と時間の掛かることではありますが、今後の江別市の自治の在り方にもつながる取り組みになるのではないでしょうか。
 是非、積極的に検討していただきたいと思いますが、いかがお考えかお聞かせください。
 次に、社会教育についてお伺いいたします。
 今回、私がこの質問を準備しているうちに、社会教育法や博物館法、図書館法の改正案が国会で成立してしまいました。特に社会教育法に関しては、公民館などでの学習の成果を活用して学校地域支援本部に協力させようとする条文が加えられ、また、社会教育に対する国と地方の任務に生涯学習の振興に寄与すると加え、さらに、社会教育委員の会議が置かれていない場合、他の合議制の機関で代替できるとするなど、社会教育が変質させられるのではないかとの危機感を感じるところです。
 このような情勢の下で、当市の教育委員会が社会教育の理念を守って後退させることなく市民の学ぶ権利を保障し続けられるかどうかが問われています。
 当市においては以前、教育委員会に学校教育部と社会教育部が置かれ、学校教育との対置で社会教育についても分かりやすい体制が組まれていました。
 その後、組織改編が行われ、現在では教育部としてまとめられ、生涯学習課という形で置かれています。
 社会教育と生涯学習は混同されがちですが、生涯学習は中曽根内閣時代の臨時教育審議会の中で推し進められ、またその審議過程の中で社会教育への批判も行われています。
 社会教育法には社会教育の定義が明記され、学校の教育活動以外で、主として青少年及び成人に対して行われる体育及びレクリエーション活動を含む組織的な教育活動とされています。また、国民の権利としての教育を実現していく上での国や地方公共団体の役割が明確に規定されています。
 市民の教育を受ける権利を守るためにも生涯学習と区別して社会教育についての位置付けをしっかりと持つべきではないでしょうか。
 行政運営において採算性や効率性が求められる風潮の中で、数値で示すことが難しい社会教育にしっかりとした位置付けを持ち続けるには、教育に対する深い理解がなければ容易ではないと思いますが、いかがお考えかお聞かせいただきたいと思います。
 続いて、公民館の役割に対する認識についてお伺いしたいと思います。
 社会教育を進める上でかなめになるのが公民館ですが、当市ではこの間、公民館がその役割を十分果たせているのか疑問に思うことが続いています。
 公民館の管理・運営が民間委託され、公民館運営審議会が廃止となり、さらには高齢者への社会教育施設の利用料減免制度が改悪され、そして現在は指定管理者が置かれるまでになっています。果たして、社会教育を担っていく上でこのような状態でしっかりとした社会教育が公民館において行えるのか、公民館の役割をどのように考えておられるかお聞かせいただきたいと思います。
 また、人的な体制についてはどうでしょうか。本来、安定した雇用の下で専門性を高めていくことが求められるはずです。社会教育や公民館活動を担えるだけの人的な体制は取られているでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
 さらに現在、指定管理者により管理・運営が行われている下で、教育委員会と指定管理者である株式会社江別振興公社との関係はどうなっているでしょうか。この間、幾つかの問題を指摘させていただきましたが、公民館の役割をしっかりと果たすために、教育委員会としてもその政策を反映させ、しっかりとした連携の下に公民館が運営されるべきと思いますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
 最後に、次期江別市社会教育総合計画の策定に向けた取り組みについてお伺いしたいと思います。現在の計画の下で社会教育がどのように行われてきたのか検証した上で、次期計画で住民ニーズをとらえ、そしてそれを計画の中に反映していただきたいと思います。
 教育の本質は憲法学習であるとされた社会教育の理念を実現させるためにも、力を入れた取り組みが求められておりますが、この間の取り組みについてお伺いしたいと思います。
 以上で1回目の質問を終わります。

副議長(鈴木真由美君)

 高橋議員の一般質問に対する答弁を求めます。

市長(三好 昇君)

 高橋議員の一般質問にお答え申し上げます。
 私からは大麻駅周辺整備につきましてお答え申し上げたいと思います。
 大麻駅周辺につきましては、市民生活や市民活動などの拠点として形成すべき地区として認識しているところであります。
 このため、地区の環境整備の一環としまして、平成17年度に策定されました江別市交通バリアフリー基本構想で重点整備地区の位置付けを行い、平成18年度には大麻駅周辺バリアフリー化整備計画を策定し、その中で地域の自治会や大麻と文京台の各まちづくり協議会などのご要望を受けまして、かねてからの懸案事項でありました14丁目通りとの変則的なY字型交差点の改良と、大麻東駅通りの歩道整備、さらにはバリアフリー化を一体的に進めることとしたところであります。
 この整備事業についての情報提供といたしましては、まず大麻駅周辺バリアフリー化整備計画を立案するに当たりまして、これまで寄せられました要望などを踏まえながら、地域の自治会や大麻と文京台の各まちづくり協議会、また、関係する団体に対しまして、この整備計画についての説明を行ったところであります。
 また、実施段階におきましても、道路構造令などの法令順守の観点から、交通安全を所管する関係機関などとの協議を行ったほか、地域の自治会や大麻と文京台の各まちづくり協議会、そして関係する団体などに対しまして事業内容の詳細な説明を行ったものであります。
 次に、今後の事業検討に当たっての進め方についてでございますが、今後、予定しております関連事業の駐輪場や公園整備などにつきましては、さきにお示ししております大麻駅周辺バリアフリー化整備計画を基本としまして、利用者の視点などを重視し、地域での十分な論議を踏まえながら実施してまいりたいと考えているところであります。
 私からの答弁は以上でございますが、このほかの質問に対しましては、健康福祉部長ほかをもって答弁いたします。

健康福祉部長(斎藤嘉孝君)

 私から生活保護行政及び子育て支援策についてご答弁申し上げます。
 初めに、通院移送費に関する国の通知についての対応につきましては、国は3月に今年4月より医療扶助運営要領の一部を改正し、大幅に支給範囲を制限する旨を各自治体に通知し、その後の取扱いが二転三転したところでありますが、江別市では混乱を避けるため従前どおりの適正な取扱いにより6月いっぱいまで支給するところであります。
 次に、通院移送費に係る国への要望についてでありますが、今回の国の一連の判断の不明確な部分につきましては、近々具体的に示されると聞いておりますので、国からの正式な通知を待って適切に対応していきたいと考えております。
 次に、生活保護の仕組みや減免制度の周知でありますが、保護開始時や訪問した際に必要に応じて保護のしおりやパンフレットにより、収入申告の手続や放送受信料などの減免申請について、各担当ケースワーカーが分かりやすく説明しているところであります。
 次に、ケースワーカーの資質向上についてでありますが、これまでも全国、全道、石狩管内の各種研修会には積極的に出席させるとともに、業務に関連する他の制度や法律などについても課内研修を毎月定例的に実施しており、ケースワーカー個々の資質の向上を図っているところであります。
 また、被保護者の方との信頼関係は、相談しやすい環境づくりから始めることが、自立を促すに当たって最も重要であると考え、今後においても被保護者の方との信頼関係を築くため研修等を通じ研さんし、生活保護の適正実施に努めてまいりたいと存じます。
 次に、子育て支援策でございますが、まず保育に対する市の基本姿勢についてご答弁申し上げます。
 今後の多様な保育ニーズに対応するため、将来の公民の保育園の役割分担や地域バランスを考慮した江別市立保育園のあり方計画についてが学識経験者と外部委員により取りまとめられ、平成20年3月28日に報告書として市に提出されたところであります。
 その報告書の中には、一つ目に、市の厳しい財政状況下での子育て支援の充実を図るためには、市立保育園の民営化を進めることが必要であること。二つ目に、地域バランスを考慮しながら今後も障がい児保育などの特別保育や関係機関との連携を図る中核的な役割を担う市立保育園が複数必要であることなど、今後とも多様化が予想される保育需要については、より効率的、効果的な方法の導入が必要との提言がなされたところでございます。
 市といたしましては、設置主体としての責任を果たすため、今後これら提案事項を基本として、市民、保護者、保育園など関係者の意見を伺いながら年度内に仮称江別市保育計画の策定を予定しているところでございます。
 続きまして、留守家庭児童の放課後対策についてでありますが、市といたしましては、児童の放課後の生活の場を提供するため、平成20年度においては新たに2か所の設置に対して助成し、現在19か所で約600名の児童をお預かりしております。
 さらに、民間放課後児童会に対しては、開設日数や障がい児の受入れ等についての補助制度の大幅な見直しを行い、運営の支援を図ったところであります。
 利用者負担につきましては、保護者、行政、運営団体等がそれぞれの立場で分担し、共に事業運営を支え合う仕組みとしてお願いしているものでございます。
 また、利用者負担の軽減につきましては、直接的には今までと同様に保護世帯・準要保護世帯への減免を実施するとともに、団体への補助を通じて運営の支援を図っているところであります。
 なお、今回の補助制度の大幅な見直しは、利用者負担の面からも支援になるものと考えているところでございます。
 児童センター内で実施しています児童クラブにおいては、留守家庭児童の放課後の生活の場としての機能を高め、児童館事業とは区分する方向で検討してまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、留守家庭児童の放課後対策については、その受皿を確保し、児童会等の安定的、継続的な運営と生活の場としての環境整備のために必要な支援をしてまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。

教育部長(久田康由喜君)

 私から社会教育についてご答弁申し上げます。
 まず、社会教育の意義をどのように考えているか、また、生涯学習との関係についてでありますが、生涯学習は、いつでも、どこでも、だれでも、何でも、家庭・学校・地域・職場など、あらゆる生活の場において一人ひとりが自由に、自らテーマを選んで自分に合った手段・方法を選びながら、生涯を通して学んでいくこととされております。
 これは、学歴偏重社会の反省から登場してきた教育理念であり、学歴ではなく、学習の成果がきちんと評価される社会の実現を目指すものとして、昭和60年代以降、臨時教育審議会の提唱を受けて国・地方を含めて取り組んできたものであります。
 一方、社会教育は、生涯の各時期における人間形成と社会の各分野の多様な教育機能という、学校教育を除いたあらゆる組織的な教育活動を対象としており、その範囲は広く、生涯学習の振興において中核的な役割を担うものとされております。
 社会教育と生涯学習はいまだに混同されがちでありますが、社会教育は学校教育と共に生涯学習を支える両輪であり、とりわけ、今日、地域や家庭の教育力の低下が指摘される中、社会教育の役割は今後ますます重要になってくるものと認識しているところであります。
 次に、公民館の役割に対する認識、また、人的な体制、指定管理者との連携についてでありますが、今日の社会構造や地域社会の大きな変化の中で、人々が社会状況に対応して生活していくためには、様々な知識や技能が必要になっており、公民館は社会教育活動の中心を担う施設であるとともに、学習支援の拠点としての機能が期待されているところであります。
 具体的に申しますと、市民に多様な学習機会の提供や自主的な学習活動の支援、学習成果活用の支援、学習情報提供、学習相談等、地域住民の側に立った利用しやすい公民館運営が求められていると考えております。
 このような中、公民館は指定管理者による独自の運営に対する期待が大きくなっておりますが、教育委員会といたしましても、今後とも指定管理者との連携協力を進める中で、地域住民のニーズに合った事業の企画等をサポートすることで、社会教育施設としての役割を果たしていくよう進めてまいりたいと考えております。
 今後、公民館としての機能を更に高めていくために、社会教育に関して専門的知識や経験を有する職員の育成、あるいは市民協働の観点から生涯学習活動を支援する生涯学習ボランティアの活用などの方策を検討してまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、今後とも指定管理者との連携を密にする中で、地域性に着目したより市民のニーズに合った公民館運営を目指して努力してまいりたいと考えております。
 次に、次期江別市社会教育総合計画の取り組みについてでありますが、現行の第6期江別市社会教育総合計画では、より進んだ高齢化、地域情報化・ネットワーク化、学校週5日制と地域教育力への期待、学社融合の研究・実践、施設整備計画の策定、市民協働の六点を行政課題として取り上げ、これに対応した推進目標を設定する中で取り組んでまいりました。
 この間、少子高齢化や情報化は一層進行し、加えて雇用等を巡る社会経済情勢あるいは社会構造の変化、人間関係の希薄化に起因する地域や家庭の教育力の低下といった問題が指摘されているところであります。
 こうした状況を踏まえ、現行計画の下で進めてまいりました諸施策を検証いたしますとともに、時代の変化に対応した、本市における平成21年度から平成25年度までの5年間の新たな社会教育の展望と目標を提示する第7期江別市社会教育総合計画を本年度中に策定するものであります。
 なお、計画は6月の定例教育委員会における諮問に基づき、社会教育委員の会議で策定作業を行い、平成21年2月までに答申を行う予定であります。
 また、策定に当たりましては、現在策定中の第5次江別市総合計画の後期基本計画をはじめ、その他関連計画との整合性を図るとともに、市民アンケートや市長への手紙などで寄せられた市民の要望・意見などを参考に、市民ニーズを踏まえた社会教育総合計画を策定してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

高橋典子君

 2回目の質問をさせていただきます。
 まず、生活保護にかかわって質問いたします。
 先ほど答弁いただきましたが、質問の中でも触れましたように、この通院移送費については新たな通知が6月10日付けで出されたようです。新聞報道では、舛添厚生労働大臣が事実上の撤回というような表現を使っているようですが、その中身について通知をまた調べる機会を得まして検討していきたいと思います。いずれにしろ、生活保護を受けている方の実情を知っている市の担当者が江別市においては少なくとも適切に判断して、生保受給者が医療を受けられるよう保障する立場で対応していただきたいということで、このことはお願いしておきたいと思います。
 なお、制度の周知にかかわって、保護開始時にしおりやパンフレットなどを使って担当ケースワーカーが分かりやすく説明していると答弁いただきましたが、それにしても知らないでいたという方がいらっしゃると。それで質問させていただいたわけです。実際に保護開始のときには、保護を受けようとする方についても混乱した状態にありますので、なかなか一度聞いただけでは理解できない部分があると思います。
 さらに、しおりが手渡されるわけですけれども、そのしおりを見ても分かりづらいということが実際にあると思います。私も、以前にいただいたことがあるのですが、このたびまたしおりを見せていただきました。例えば、医療扶助という保護の扶助の種類の一つとして書かれているのですが、そこを読みますと、医療扶助は医療機関における診療・薬剤・治療材料・施術・看護・移送と書いてあるのです。移送という言葉は普通に生活している方が使う言葉ではありませんので、これを読んだだけで通院するときに掛かる交通費が出るというふうに理解できる方はそういないのではないかと思います。そのほかにも、扶助の種類の中に生業扶助という言葉が使われていますが、これにしても、この生業扶助がどういうときに支給される扶助なのかというのは想像しにくいのではないかと思います。制度をよく知っていただくということはその方の自立につながることにもなると思いますので、是非その点でしおりの書き方についても見直しをして、だれが読んでも分かるようなしおりを作っていただきたいと思いますが、これについてはいかがでしょうか。
 さらに、ケースワーカーの資質向上について2回目の質問をさせていただきたいと思います。
 何よりもケースワーカーがどのような姿勢で生活保護受給者に接しているのかということが重要だと思うんです。いろいろと相談を受ける中で感じるのは、接する態度がどうであるのか、会話や対話の能力がどうであるのか、お話しする相手が指導した言葉をどのように受け取っているのか察することができているのかといったことに疑問を感じることがあります。
 私としては、受給者が制度を十分に活用するためにも、そして正しく制度を利用するためにも、ケースワーカーとの信頼関係がベースになければならないと。これは先ほどの答弁の中にもありましたが、やはり信頼関係があってこそ包み隠さず何でも話ができるということになると思います。
 さらに、自立という言葉ですけれども、ただ単に生活保護を受給しなくてもよい状態になる場合を指しているだけではないと思うのです。一般的に行政の中では、自立という言葉を使ったときに保護廃止ということを想定しておられると思いますが、私としては、その人の置かれている状況に応じて制度を活用して、その人らしい生活を自分の意思で構築していく、そういう力を付けていただくことも自立ではないかと考えています。
 そういう力を付けていただければ自立にもつながりやすいし、あるいは保護を受けていても使える能力を最大限に活用して規律ある生活を送れるし、より良い生活の質をつくり出すこともできると思います。そういう意味で、この間ケースワーカーとの間で行き違いが生じて相談を受けることがありますが、これまでの研修の体制では十分ではないのではないかと思わざるを得ません。課内で研修を積まれているということではありますけれども、市民と対話する能力というのは、これは保護課に限らず市職員全体の問題であると思いますので、改めてその能力向上のための研修の在り方についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、大麻駅周辺整備にかかわってお聞きしたいと思います。
 これまでの情報提供については、一定の説明などもなされていたとは思いますけれども、やはりどういう段階で、どの時点でどういう団体にお知らせしていたのかということも大きく影響してくる部分があるのではないかと思います。さらに、団体を対象にしていただけですと、やはり市民の中に徹底されないと。例えば、団体の役員の方はご存じですけれども、会員全体にまで行き渡るかと言うと決して今までの実情の中ではそうなっていません。地域の方たちが十分理解して、整備についても積極的にかかわっていけるようにしていただきたいと思います。
 質問させていただきたいのは、今後の計画の進め方についてです。これからも地域の意見を聴きながらということでしたが、どういう方たちの意見を聴いていくのかということもこれまでの反省も踏まえて是非検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。例えば、これまでのように団体などを想定しているのでしたら、先ほども言わせていただきましたように、それとは異なる意見をお持ちの方もおります。また、少数意見が表に出てきにくいのではないかと思います。
 こうした駅周辺の整備については、以前に市内で行われた野幌駅景観シンポジウムの際にも、私自身大変勉強になりましたけれども、決してコンクリートやアスファルトで固めるのではなく、その土地その土地に合った景観を創り出すという手法が報告されていました。大麻駅周辺も自然豊かなまちということで市民がその良さを認識しているところですので、大麻駅周辺の整備についても多角的な観点でより良い計画作りをするためにいろいろな立場の方の意見を聴く姿勢が必要ではないかと思いますが、そうした考え方についてお伺いしたいと思います。
 そのほか、子育て支援については、保育園の民営化については進めるべきであると報告されていますが、これについては、民営化の際の様々な混乱を是非市としても十分考慮して、今後の計画作りの中では慎重な論議をしていただきたいと思います。
 仮称江別市保育計画が策定された際には、また議会に報告される場合もあるかと思いますので、そのときにはまた再度取り上げさせていただきたいと思います。
 さらに申し上げておきたいのは、子供たちの放課後の問題です。子供たちの放課後をより豊かなものにするために児童センターというものがありますが、答弁の中では児童センターの機能と放課後児童会の役割が明確に示されていたと思います。先日、全国学童保育連絡協議会の方たちが国会への要請活動を行ったという新聞記事を目にしました。やはり、子供たちの生活の場である学童保育としての放課後児童会もそうですが、その役割をしっかりと子供教室などと区別して充実させていただきたいという声が上がっています。何よりも、そのためにも国としての財政措置の拡充が求められると。これが第一義的な問題ではあると思いますけれども、江別市としても子供たちの豊かな放課後を保障するために、今後とも積極的な対応をしていただきたいと要望いたします。
 最後に、社会教育に関してです。
 答弁の中で、社会教育ですとか公民館の位置付けについて明確な答弁をいただきました。やはり改めて考えてみますと、公民館は、私としては教育委員会が直接責任を持って運営するべきであると思いますし、そうしてこそ、教育政策に基づいて充実した公民館活動が行えると思っているところです。また、専門職を育成していくことも考えると、直接運営されるということが本来あるべき姿だとは思いますが、現時点においては指定管理者が置かれていますので、その下でしっかりと教育委員会と連携を取りながら充実した公民館活動を行っていただきたいと思います。
 このことについては、今後の推移も見守っていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。

市長(三好 昇君)

 高橋議員の再質問にお答え申し上げます。
 私からは大麻駅周辺整備に関しまして、今後の整備計画検討に当たっての対応についてでございます。今後の検討に当たりまして、その基本としますのは、先ほどもお答え申し上げましたとおり、利用者であります地域の方の意向というのが何よりも重要であると認識しております。そのため、これまでも同様でありますが、地域の方たちを中心とした対応を今後ともさせていただきたいと考えております。
 この大麻駅につきましては、まずはその地域の中心機関としましてJR北海道がございます。地域の意見を聴いてもJR北海道本社の問題もございますので、JR北海道をはじめとする関係機関との調整を前提の上、これまでも地域の自治会、さらには大麻と文京台の各まちづくり協議会の方たちから多くのご意見をちょうだいしてございます。地域としての貴重な意見をいただいております。そちらの協議、さらには関係団体や市民の方などの意見の反映につきまして、今後とも検討してまいりたい。いろんな方からご意見をちょうだいした上で検討していきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 私からは以上でございます。

健康福祉部長(斎藤嘉孝君)

 私から保護のしおりとケースワーカーの資質向上に向けた研修についての再質問にご答弁申し上げます。
 まず、保護のしおりは保護制度を説明する際に使っておりますものでございます。この表現等についてでありますが、これまでも随時、改善してまいりましたけれども、今後とも更に分かりやすい表現になるよう工夫を重ねてまいりたいと思います。
 次に、ケースワーカーの受給者に対する会話・応対などについてでありますが、ケースワーカーは常に受給者の立場に立つことと、先ほど来出ております信頼関係の構築が重要でありますことから、とりわけ接遇に関する研修会については今後とも積極的に出席させ、また研修成果についても課内で共有化を図り、ケースワーカーの資質向上に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

副議長(鈴木真由美君)

 以上をもって、高橋議員の一般質問を終結いたします。
  一般質問を続行いたします。
  岡村繁美議員の教育行政についての質問を許します。通告時間25分。

岡村繁美君

 今日は1日5人ということで、その最後のバッターとして、こうして登壇をさせていただいています。
 1番目からずっと4人の方の質の高い、また大変多岐にわたっての鋭い質問とご答弁に、私も緊張しながら聞かせていただきました。そういった意味では皆さんも大変お疲れのことと思いますけれども、どうか少しの時間お付き合いをいただければとそんなふうに思います。
 それでは議長の許可をいただきましたので、順次質問をさせていただきます。
 質問に入る前に、このような席から私事の話で大変恐縮ではありますが、昨年11月25日、私は還暦を迎えました。60歳です。60という数字の響きに怖さを感じながらの日々でありますが、繰り返せない人生とは分かっていても歯ぎしりする思いがある一方で、過ぎ去った歳月の、その日その日がすべて意義深く私の心に迫ってまいります。
 今、私の目の前には、ひとみが輝きフレッシュでバイタリティーあふれる若い議員の皆さんをうらやましく感じながらも、私には意義深い日々を送ってきた財産があると見えを張って生きていく私ではありますが、またお役に立つことがあればお手伝いをさせていただきたく思っている次第であります。
 話は変わりますけれども、私の学びの先生だった先輩から言われた、議員を続けることは日々それなりに誠実に努力していればそう難しいことではないけれども、自らの辞めどきと、辞めなければならなくなったそのときに、それまでどんなに大きな功績を残した人であっても、そのときの振る舞い方次第ではむなしい記憶と評価しか残らなくなる。それほど重たいものなので、心してこれからの日々を送ってくださいとの言葉をいただきました。それを背に負いながらその機会を待ちたいと思っています。
 前置きで既に私の運転する列車は脱線寸前ではありますが、ここら辺で試運転を終え本題に入ります。
 本会議の一般質問は長いブランク明けで、質問の仕方を忘れてしまっているのではないか大変心配でありますが、その辺のところは意のあるところをおくみ取りいただきましてご答弁をいただければ、大変有り難いと思うわけであります。
 今回は、教育行政について通告した2項目を質問させていただきます。
 年長の者をまね、あこがれ、我も近づきたいと願う切なる気持ち。そこには、人としての成長の源があり、エネルギーがあり、そして教育の一番大切な原点があるのではないでしょうか。
 学ぶの語源はまねぶ、つまりまねるにあると言われています。頑張ってああいうふうになりたいとまねる相手があってこそ人は学ぶ。じいちゃんすごい、大人って格好いいという、まねたいと学ぶの原点が、今、私たちの身の回りを眺めれば、どんどん遠ざかっているような気がしてなりません。子供たちがメディアを通じて受け取る大人社会の姿は、余りまねしてほしくない危険と不信に満ちたものになってしまっています。
 今の子は学ぶ意欲がないと言う方もいます。まねしたい、学びたいと思ってもらえる社会を私たちはつくってきただろうか。法律にどんな美辞麗句を並べるよりも、まねられる、まねてほしい社会をつくる地道な努力と汗こそ、子供の中に本当の種をはぐくむのではないでしょうか。
 競争社会のしわ寄せが学校にきています。早ければ幼稚園から、友達は遊び相手ではなく競争相手になります。また、先生は教育委員会に、教育委員会は文部科学省にというように、二重三重の監視構造が強まっていることも強く感じる今日このごろであります。いじめを苦に、自ら命を絶つほど追い詰められた子供もいる。指導に疲れ、心まで病んでしまう教師もいる。教育の未来はどうなるのか。不安感が教育現場を覆っています。
 教育行政をつかさどる教育委員会の役割について、以下お尋ねいたします。
 まず最初に、教育委員会制度について、皆さんは既に理解されているとは思いますが、制度の概要を少し話させていただきます。
 現行の教育委員会制度は、昭和31年6月30日に制定された地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づき運営されています。
 教育委員会制度は、教育の憲法とも言われた教育基本法が制定された翌年、昭和43年に教育委員会の組織や権限などについて定めた教育委員会法が施行され、全国の都道府県と一部の市町村で教育委員会が設置されたのを皮切りに全国に設置され、公正な民意による教育行政の運営と地方の実情に即した運営、教育への不当な支配の排除を理念とし、委員は選挙、公選制によって選ばれていました。その後、旧法の理念を踏襲しつつ、教育委員の公選制を任命制に改め、教育委員会に関する予算案・条例案については二本立て制度を廃止し、教育委員会の意見を聴いて、首長が議会に提出することとなりました。
 制度開始以来、社会情勢の変化とともに十数回の一部改正が行われてきましたが、地方分権時代にふさわしい教育行政の在り方の議論として、行政学者や経済界、市町村長からも制度の廃止を求める声を受ける形で、平成16年の中央教育審議会で審議、答申され所要の改正が行われてきたところでもございます。
 このような変遷を経た教育委員会は、行政の中立性や安定性、専門的、技術的な執行等を確保するために、地方公共団体の長から独立して置かれる行政委員会の一つです。合議制の執行機関であるため、その意思決定は会議の議決を通じて行われることが求められており、また、国と都道府県、都道府県と市町村が対等な立場で協力して教育行政を推進していきます。
 教育委員会は5人の委員をもって構成され、教育委員は市長が議会の同意を得て任命し、教育委員長は委員の互選によって選ばれ、教育委員会を代表し教育委員会の会議の議事運営を行い、教育長は教育委員会が任命し、教育委員会の指揮監督の下、基本的方針の決定を受け、事務処理上の責任者として事務局を指揮監督して教育行政を執行するとされております。
 今日の教育委員会は、教育の重要性にかんがみ、保護者や地域住民から大きな期待が寄せられるようになっていますが、その一方で、本来の機能を発揮していないのではないか。また、市町村教育委員会や学校にもっと権限を委譲すべきではないか等、その在り方に関し様々な指摘がなされるようになっております。
 教育改革は目下の急務であります。分けても基礎的成長過程の義務教育では、いじめや不登校など小中学校現場の課題が指摘されて久しい中にあって、今最も重要なこととして、小中学校を経営する教育委員会の力量が問われているのではないでしょうか。
 保護者や地域住民の期待にこたえる質の高い教育を実現していくためには、教育行政体制を強化し、地方分権時代にふさわしいものとしていくことが不可欠と考えます。そのためには、教育委員会制度について、その在り方や指摘されている課題に対し、現状を十分検証しつつ、その要因を探り、運用等の改善で対応できるものについては速やかに対応する一方、現在の制度に起因するものについては必要な見直しを図るために、関係機関に進言すべきと考えるものであります。
 このような観点から、教育委員会の在り方の課題として、教育委員会制度の意義と役割について、市長と教育委員会との関係、江別市教育委員会と北海道教育委員会との関係及び在り方、学校と教育委員会との関係及び学校の自主性・自立性の確立等々の視点の中から、市長には、制度の意義と役割及び市長と教育委員会との関係にかかわる点についてお聞きいたします。
 教育委員会制度の特性として首長からの独立性がありますが、今日の複雑化、多様化する行政課題に対して行政委員会方式での対応が可能かといった疑問や、教育は社会全体でとらえるべき問題であるといったことなどを含め、意思決定の遅延や会議の形がい化、委員の名誉職化といった指摘など、昨今、教育委員会の廃止・解体論や首長自らの教育行政の執行等が主として全国の市町村長から主張されています。
 また、市長の市政執行方針でも教育は政策の大きな柱として示されていますが、特に生涯学習、青少年教育、文化・スポーツといった分野をはじめ、教育に関するニーズや課題等は非常に多岐にわたっており、教育委員会だけで完結できるものではなく、総合的な施策の展開が求められております。
 市長は教育委員の任命を通じて、あるいは予算調整権・執行権の行使を通じて間接的に教育行政に影響を及ぼしておりますが、教育委員及び教育長・教育委員会委員長との信頼関係と日常的意見交換が重要ですので、より一層両者の意思疎通を図り、市長部局との緊密かつ円滑な透き間のない連携を期待するものであります。
 以上、教育委員会制度を取り巻く課題と期待を申し上げました。市長ご自身は教育委員会制度についてどのような評価と期待をお持ちになっているのか。また、教育行政・教育政策過程にどうかかわってこられたのか、お尋ねをいたします。  
 次に、教育委員会の経営責任についてお尋ねをいたします。
 一昨年の教育基本法、昨年の教育関連三法の改正など、当時、改正に反対する多くの声や慎重かつ徹底した審議を求める国民の声を無視し、世論に押されてやっと主要都市で実施した国民の声を聞くために開催された会場での質疑で、政府、文部科学省によるやらせとさくらで世論誘導を行い、あげくの果てに問答無用で審議を打ち切り、強行採決により法律を制定しました。皆さんの記憶にも残っていることと思います。教育の根本法を論じる資格がないことを露呈してしまいました。子供たちがまねたり、学んでほしくない教育です。
 時の権力者の野望の達成や政権浮揚の道具として教育改革が取り上げられる。教育現場を置き去りにした議論が繰り返される。保護者と子供たちには戸惑いが、教育現場には混乱と不信感だけが残っています。
 最近、近所に住んでいる中学校の先生から聞いた話を紹介させていただきます。採用1年目の女性教員が退職したと言います。彼女はまじめに1年間働き続けたが、担当する学級が思いどおりにいかず、早い時期から行き詰まって悩んでいたそうです。教育という仕事はそう簡単に成果は出ないし、1年目からうまくいくはずはないのだから、思い詰める必要はないとアドバイスを続けておりましたが、彼女は最終的に退職の道を選びました。人一倍子供とのかかわりに前向きで、教師になった喜びを笑顔一杯に語っていた彼女の退職を回避することができなかった、その自分の至らなさに胸を痛めているとその方は言っておりました。
 団塊世代の教職員の大量退職に伴って新採用者が増加し続ける中、彼女の例のように、採用後ほんの数年で退職したり、病気休職に入ってしまう若い教職員が年々増えている。多忙化や学校と先生への理不尽な要求をする保護者の増加などが、特に経験の少ない教員を追い詰めているとも言っていました。
 話してくれた先生が就職した約30年前の中学校は、当時始まったドラマの金八先生の世界のようにかなり荒れていて校内暴力という言葉が盛んにマスコミで取り上げられた時代で、子供たちの荒れに耐えられず早期退職する人も少なからずいたが、病気休職に入る教員は皆無だったとのこと。それは、子供が荒れていても学校にゆとりがあったからだそうです。教職員同士が協力し合う体制が存在し、大変な子供と向き合う時間も確保されていたことが大きかったと言います。
 しかし現在は、ころころ変わる教育方針や地域との連携をはじめ以前とは比べものにならない多種多様な対応と処理作業の多忙感は限界に達しているため、職員間の協力体制も崩れ、互いの教育観を議論し合うという学校文化もなくなってきているとのことです。目の前の仕事をどうこなすかに精一杯の日常は、職員室から会話すら奪ってしまった。さらに、職員会議も議論する場ではなく、指示伝達の場になり、自由かったつに議論する場や時間が奪われたことが、個々の教職員を追い詰めているとおっしゃっております。
 また、子供たちを取り巻く状況も大きく変わり、テレビ報道で一般論としての認識はあったそうですが、自分の学校の子供にそんな認識まではなかったというショッキングなことは、格差拡大によって生活苦にあえぐ家庭が急増していることも一因となっています。特に母子家庭は深刻で、ある子供はお母さんは夜遅くまで仕事をしているので、私はいつも一人ぼっちでコンビニ弁当を食べている。高校だけは何とか行かせなければと言って、お母さんは毎日夜遅くまで私のために働いている。時々、弁当を買うと高いからお母さんの分も私が作るよ。高校に行かないで仕事をするからお母さんは無理しないでと言うと、今のあなたの仕事は勉強すること。余計なことを考えるんじゃないといつもこうして一喝されてしまうということです。だれとも会話をすることのない寂しい一人での孤食の実態と親子のけなげなひとこまを話してくれたそうです。低賃金の非正規雇用でしか働けない女性が、子供を抱えて生活するのは容易ではない。そんな環境下で生きる子供たちの中には、先行きの不安から学校内外での逸脱行為やリストカットなどの自傷行為、教職員に対する暴力行為を繰り返し、荒れる子供も少なくないと言われています。
 お話しいただいた先生は、最後に、今こそ問われている教育再生のかぎは、学校にゆとりを取り戻すこと。格差は自己責任と片付けないで是正の努力をすること。子供たちが生き生きと育っていける環境整備を急がないと、学校や社会からこぼれ落ちていく子供がますます増加するだろうと言っております。
 また、教育の国家統制強化が教職員と子供たちを更に追い詰めています。子供たちは私たちの未来です。明るい未来をつくるために、今こそ教育の在り方について議会でも徹底した議論をお願いしたい。私が教育現場で頑張れる時間も少なくなってきました。急がなければとの言葉で先生の話は終わりました。
 未来を切り開く子供たちを思い、期待するところですが、心の底にある教室からの悲鳴にどう向き合っていくのか、私たちに問われています。
 教育委員会制度の意義と役割を発揮することが求められている教育委員会は、主体性を持って地域の実情に応じた教育施策を展開していくことが重要であり、その上で文部科学省・道教委・市教委の役割分担による連携の在り方が問われています。
 特に、義務教育における全国的な教育水準の確保と地方分権の推進との整合性を図るためには、上からの監視・管理・抑圧から脱皮し、相互に連携・協力して支援・援助を行うことにより相補っていくことが重要と考えます。
 学校は学習の場であるとともに、子供たちの悩みや苦しみと直接たいじし、教育行政や家庭・地域と密接にかかわりながら解決を図る、言わば学びの場であり生活の場でもあります。そこには学校・家庭・地域社会・教育行政機関などの信頼関係と協力関係が成り立っていることが大前提であり、大切な要素であると考えます。
 教育は一人ひとりの子供の可能性の芽を見いだしその能力を最大限に育成する営みであり、子供の側に立ってみると、好むと好まざるとにかかわらず、現在、配置されている教師からより多くの教育的利益を受ける権利のあること、その利益が公平の原理に支えられなければならないこと。これに対して学校は、当然専門職としての教師の持つ力を最大限に発揮し、指導力の組織化を図ることと実質的な協力組織の確立により、子供の要請にこたえていかなければならないと考えます。
 地域社会の連帯意識の喪失や家庭教育の低下、格差社会の進行により、大人でも目を覆いたくなる残忍で悲惨な事件が連続して起っています。子供たちにとって学ぶ・まねる良い環境にあるとは言えません。
 こうした環境だからこそ、子供たちの悩みや苦しみとたいじし、教育行政はどのような役割を果たすべきなのか考えなければなりません。
 教育条件の一つであり、その占める役割・位置の大きな教師を考えてみても、教師には人間そのもの、教育そのものを奥深く見詰める目、子供の姿をとらえる鋭い感覚が必要です。子供と教師がより多く触れ合う学習指導充実のための教科内容の研究・研修が重要です。いつも言われることですが、管理行政は存在するが指導行政は存在しないという今日的な学校に最も必要なことは、教育の具体的な中身にかかわる教育委員会からの適切な指導と積極的な援助であるということです。
 教育委員会は、小中学校の経営者として急がなければならない教員の多忙感の解消をはじめ、学校現場の重要課題の解決に自ら取り組むべきです。
 いじめや不登校、問題行動など、子供たちの安全確保を含め、部活動、家庭・地域との連携・協力活動など、最近の教員は報告書作成などの過剰な雑務に追われる余り、子供たちと向き合う時間や研究・研修の時間が十分取れないというのが実態です。教育委員会は早々に実態を把握し、こうしたものに向き合って、独自の職員配置などの対応を経営者の役割として果たすべきであると考えます。教育委員には、高い見識はもとより、子供たちのために職をとしてでも学校現場の課題を解決しようとする情熱と責任感を大いに期待するものであります。
 道教委は学校職員評価制度と査定昇給制度の実施を決定し、江別市教育委員会は5月30日に各小中学校長に、学校職員の評価制度の実施について6月から実施することを通知しました。いろいろと教育現場の皆さんからも懸念する声をお聞きしております。学校教育の成果は、何より日々の継続的教育活動を通じて直接児童生徒に接する教育の力によるところが極めて大きいものがあります。
 様々な楽器があってオーケストラが成り立つように、いろいろなタイプの先生がいて、子供の心に響き渡る教育環境をつくってあげたい。こうした現場の声に教育委員会はどうこたえようとしているのか。
 以上、教育委員会の経営責任の視点から、一つ目に、教育委員会は学校現場の課題にどう取り組んできたのか、二つ目に、教員の多忙感の認識と対策について、三つ目に、学校職員評価制度の実施に向けた合意形成と目的について、教育行政の最高責任者の立場から高橋教育長にそのご見解を求めて1回目の質問を終わります。

副議長(鈴木真由美君)

 岡村議員の一般質問に対する答弁を求めます。

市長(三好 昇君)

 岡村議員の一般質問にご答弁申し上げます。
 まず、教育委員会制度の評価と期待についてでございますが、教育委員会に求められる役割は、従前の学校建設や学校環境整備などのハード中心の教育政策から、いじめ、不登校、学力向上などソフトでしかも迅速かつ的確な対応が求められる教育政策へと変化しておりまして、より主体的な解決が求められてきているものと考えております。
 こうした中で、中央教育審議会において教育委員会制度の改革についての審議がなされ、教育委員会としての役割の明確化、教育委員数の弾力化などによる所要の法改正がなされたところであります。
 また一方では、自治体を取り巻く環境も変化し、地方分権改革が進展していく中で、教育関係者の諸権限も市町村に委譲されることが想定され、今後ますます自己決定できる政策能力が問われていくものと考えております。
 こうした状況の下で、江別市における教育行政は、人づくりから地域づくりに至る大きな政策対応が求められることから、教育委員会及び教育関係者とより一層の意思疎通を図り、連携、協働して進めていかなければならないものと考えております。
 これまで、教育委員会制度については様々なお考えがあることは承知しておりますが、私はこれまでにも増して連携・協働による教育政策を進めた上で、地域あるいは学校において教育に関係する方々との対話を通じ、江別市にとって魅力ある教育環境を創出する制度であると期待するものであります。
 次に、教育行政、政策過程での私のかかわりでございますが、教育行政に係る予算編成権や人事権は市長が掌握する一方で、教育行政権限は教育委員会が保持し、教育委員の合議制が取られているところでございます。
 このような中で、現在、教育政策は地域にとって重要な課題でありますので、予算編成時、総合計画の事業進ちょく状況の確認や事務事業の評価時において、機会あるごとに私の教育ビジョンをお話しいたしているところでございますが、今後におきましても教育委員会、教育関係者、教育機関との意思疎通を図り、教育政策を進めてまいりたいと考えております。
 私からの答弁は以上でありますが、このほかの質問に対しては、教育委員会委員長ほかをもって答弁いたします。

教育委員会委員長(郷 仁君)

 私から教育委員会が担う教育行政の中で、学校現場の課題についてどう取り組んできたかについてご答弁申し上げます。
 教育委員会は地域の教育要求を集約したり問題の掘り起こしを進めながら、地域の教育政策課題や大綱的方針・計画を決定する役割を担うものと認識しております。
 その上で、具体的な政策立案と行政の執行管理を専門家である教育長や事務局に要請しつつ、教育長や事務局がどのように仕事を進め成果を達し得たのかを確認し、その結果を市長・議会・地域に明らかにして、自治体における教育に関する議論を深めながら教育行政を進めていくことが求められているものと認識しております。
 そうした意味で、これまで様々な機会をとらえて、それぞれの教育委員が学校教育現場に出向き、保護者や先生、また子供たちの声を聞く中で、江別の教育がどうあるべきかを市民的な目線でとらえ、教育委員会の中で意見を出し合い、教育長及び事務局における教育施策に反映してきたものと考えております。
 そのような中で、学力の向上や豊かな心と健やかな体の育成、あるいは地域に開かれた魅力ある学校づくりなど、江別の子供たちが楽しく充実した学校生活を送られるような取り組みを行ってきたものであります。
 今後は、更にこうした学校現場に出向く機会を増やし、実体的な課題の掘り起こしや対応を議論し、江別市としての教育行政の方向性を示していくことが重要になっていくものと考えております。
 以上です。

教育部長(久田康由喜君)

 次に、教員の多忙感の認識と対策について、私からご答弁申し上げます。
 教員は、授業の準備、教材研究のみならず学級及び校務分掌事務、保護者等への対応など、一人で全く異なる複数の職務や役割をこなさなければならないという特殊性がございます。その上、新たな教育課題への取り組みや報告文書の作成業務などに係る時間が拡大しており、多忙化していることは江別市のみならず全国的な傾向であると認識しております。
 職員の配置につきましては、児童生徒の学力向上や心理的な問題に対応するため教員の加配措置のほか、退職教員等の外部人材の活用や学力向上支援員や特別支援教育補助員、あるいは心の教室相談員などの配置を行ってまいりましたが、引き続き教育の質の向上のための人的支援が必要であると考えております。
 事務作業の点につきましては、学校においては、会議の時間短縮や資料の簡素化、校務分掌の整理・統合、また市教委におきましても、調査・照会などについて簡素化を図るほか、学校対象の会議・研修会などの効率化に努めるなど、教員負担の軽減に向けて学校と連携しながら取り組んでいかなければならないものと考えております。
 こうした人的支援や業務の改善に取り組むことで、教師が職務の中心である教科の指導や生徒指導に打ち込むことができ、教師が児童生徒と向き合う時間を生み出せるような望ましい教育環境が実現されるものと考えております。
 次に、学校職員評価制度の実施に向けた合意形成と目的でありますが、学校職員評価制度は個々の学校職員の努力や成果を評価し、一層意欲を高めることにより資質・能力の向上と学校の活性化を図り、その成果が児童生徒に還元されることを目的とするものであります。
 昨年12月からの校長・教頭に対する試行実施を経て、北海道の学校職員の評価に関する要領の制定を受け、管内他市町村と足並みをそろえる形で本年6月よりすべての正規職員を対象に既に実施したところであります。
 実施に当たりましては、まず、制度の周知のため、各学校長から所属教職員に対しましてリーフレットや様式等を用いて制度の趣旨・内容・記入方法等について十分な説明を行い、教職員の理解を得ることを第一としております。
 そして学校ごとに教職員の理解が得られた後に、それぞれが具体的な目標の設定などを行い、実践していくこととしております。
 実践に当たっては、校長等が面談などを実施し、各先生方の考えや実情などを十分に聞いた上で評価を行うなど、職場でより一層の信頼関係を築けるよう取り組んでまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
  以上でございます。

岡村繁美君

 ご答弁ありがとうございました。
 答弁の最中からわくわくどきどきしながら答弁を聞いたというのは、私の長い議員生活の中でも初めての経験です。昨日から、教育行政の質問に対してどうして教育長はいらっしゃるのにご答弁に立っていただけないのかなという不可思議な現象の中、一日が過ぎて、きっと私には、多分相当いろいろな嫌な思いも教育長にはあったのかもしれませんから、答えたくないというのは分からないわけではありません。
 先ほど時間を掛けて教育委員会制度のお話をさせていただきました。あえて概要まで持ち出させていただきました。教育長の職責と役割、教育委員会委員長の職責と役割について、それぞれ連携をしながら教育委員会としての目的・成果を上げていくと。
 そうした質問にもかかわらず、こうしてご答弁をいただけないと。私はどうしてもすとんと落ちないというか、正直言って寂しいの一言です。
 この後、また機会をつくりたいと思いますから、是非教育的見地から対応されることをまずもってご期待をしたいと思っております。
 前段で市長にご質問した経緯については、教育委員会制度というのは効率的な制度として目的を達成するために、ひっす要件として置くということを法律で定めています。そのことを含めて全国的な事例では、ちょっと質問を用意するのに調べる時間もありませんでしたが、既に幾つかの市町村の中には、学校教育のことについては教育委員会で持っていただいて、先ほどお話しさせていただきましたけれども、それ以外の生涯学習やスポーツなどの行政課題については市長部局で執行していくというところも例示としてあるようでございます。そうした意味で、一つの問題提起として私自身もこれから研究をしていきたいと思っています。
 私は正直申し上げると今定例会での質問を予定しておりませんでした。このたび、教育長と教育委員会委員長が任期満了でお辞めになるということを知ったのが質問をすることにした一つのきっかけです。さらには、教育委員の人事で私の自宅に手紙が来まして、これは差出人の書かれていないお手紙でしたから、その相手とお話しする機会も全くつくれなかったのですけれども、そういったことだとか、教育委員会について私の家族にも改めて聞かれまして、私が知っている範囲で教育委員会制度だとか、教育委員会でやっている事業の話をしているうちに、先ほどご答弁いただいたその努力も含めて、いろいろと実際に市教委でやっていらっしゃるけれども、もっと今の教育環境を含めて教育委員会の活性化をしていくためのきっかけになればということで、こうして質問に立たせていただきました。
 併せて、前段で申しましたように、これまで努力いただいたお二人とは、議論をする最後の機会になろうかと思いますから、是非私たち議員、また教育委員会の職員の皆さんや様々な教育関係者にこれまでの経験を是非ご助言いただければと、そんな思いで質問をしていることを高橋教育長には是非おくみ取りいただければと思っています。
 そこで、質問ですが、教育委員会の果たす役割についてだけ再質問をさせていただきます。
 先ほどの答弁の中でも、教育委員会の定例会議は毎月1回されているということで、会議録も少し見せていただきました。
 昨年1年間の中で感じたことを二つだけ例示しながら質問に変えたいと思っております。
 一つに、教育委員会の会議の活性化の視点ということで、答弁にもありますように市民的な目線で委員会の中で意見を出し合い、教育長及び事務局における教育施策の反映に努力をしてきたと。そんな形で答弁をされておりますので、基本的にそのことを理解し、一定の評価をしていきたいと思っております。
 しかし、政策反映手段の最たるものとして予算への反映は大変大きな議論を必要とするところかと思っております。会議録を拝見いたしますと、昨年1年間の中では12月27日に開催された定例委員会の会議で事務局から平成20年度に向けた教育予算の要求案に対して報告があり議論をされていると。
 他の年度も聞きますと、大体この時期だそうです。この段階で初めて教育委員会の会議でそうしたことが事務局から報告され、意見を交わすと。会議録を見てもなかなかそこは、その時期ということの認識もあって、確認で終わらざるを得ない状況になっていたのではないかというふうに思っています。
 もちろん、事務事業評価等を含めて事務局において適宜早い段階から対応されていることとは思っていますけれども、問題は、先ほど言った教育委員会の果たす役割として、本来の役割が本当に発揮されたと評価できるのか、疑問と心配を感じざるを得ないと思って質問をしているものでございます。
 もう一つは、最後の質問にさせていただきましたけれども、学校職員評価制度の本格実施のことであります。これは答弁にもありましたように、道教委の決定を受けて管理職、当時は校長と教頭を対象に平成20年1月から3月までの3か月という、わずか3か月の試行という形で実施をするという報告を平成19年11月の教育委員会の定例会の中で報告され、意見を交わされています。教育委員の皆さんからも意見がありまして、総じて、人が人を評価するだけに相当な時間を掛けて訓練して実施しなければいけないと。試行期間を設けてやることがよいのではないかとそんな意見だったかと思います。最終的には、管理職への試行を実施し、その結果報告を受けて協議を重ねていこうと教育委員会委員長がまとめて終了しております。
 問題は、今日まで、評価制度の試行結果を含めて全く教育委員会の会議での取扱い、議論がない中で、先ほど答弁にありましたように、5月30日に教育長が指示をして臨時校長会を開催しております。招集をしたのは校長会の会長になろうかと思いますけれども、その指示をしたのは教育長だと私は思っています。その中では、先ほど答弁にあったように、実施を通知し対応してきたと。問題は、教育長は教育委員会の指揮監督の下、基本方針の決定を受けて執行するとされておりますが、今回の教育長の判断は教育委員会制度において、教育委員会を自ら形がい化していくことにならないのか。昨年1年間での2件の事例について、高橋教育長の見解を求めます。
 併せて、江別の教育行政推進に大きな功績を残されたお二人には心からお礼を申し上げ、私とはこうした場で議論する最後の機会になろうかと思いますので、この際、高橋教育長と郷教育委員会委員長から、これまでの貴重な体験や経験、そしてご助言を私どもにお与えいただくことを期待して2回目の質問といたします。

教育長(高橋 侃君)

 岡村議員の2回目の質問に対してお答えいたします。
 大きく分けて、教育委員会の果たす役割、これが1点目。それから、2点目は学校職員評価制度を含めた教育委員会の形がい化についてと押さえております
 私としては、二点に分けてお答えいたします。
 1点目に私の申し上げる中身は前段の教育委員会委員長及び教育部長が述べたものと同じ趣旨であるということでございます。
 それから2点目に岡村議員がお使いの教育委員会にかかわる経営責任という用語についてです。いやしくもこの場は言論の府であり、行政の府であります。今回改正された教育三法及びこれまでの教育行政上で使用する用語には経営責任という言葉は一語もございません。これが、原典にある場合においてはお答えいたしますけれども、ございません。そういうことで前段の二点を含めて私のお答えといたします。
 以上でございます。

教育委員会委員長(郷 仁君)

 岡村議員の質問に教育委員会委員長としての私の今の考えをお話しさせていただきます。
 予算に関してですが、会議は定例会議なので月に1回、月末をめどに行っています。予算の内容については、編成されていく過程で少し早く、おおむね10日くらい前には教育委員の方に文書を配付していただき、目を通してから定例委員会に入るというようにしております。ですから、内容についてはあらかじめ十分目を通した上で定例教育委員会に入って議論をするという形を取っております。
 では、教育委員会の意思が予算の中に十分反映されるのかと言いますと、5年間教育委員をさせていただきましたけれども、十分に反映されているとは言えません。しかし、江別市全体の経済の状況や予算配分時の市の状況から考えますと、小川前市長のときにも、それから今の三好市長においても、教育委員会に関してはかなり手厚く予算を編成していただいたと感じております。小川前市長、三好市長、私はどちらの市長とも意思疎通は十分に取れていたと感じております。それが、予算配分において比較的手厚く扱っていただいた一つの要因かと思います。
 定例委員会あるいは臨時委員会の中だけでお付き合いするわけではなくて、様々な行事のときにお隣に座らせていただいたりしたときにいろいろと、教育行政だけではなく市全体の行政のことについてもお話しいただいたり、私の意見を述べさせていただいたこともあります。そのように5年間を過ごしてきたと思います。
 特にこの2年間、教育委員会委員長の職としてそばで仕事をさせていただく中で、お二人の理念を十分に聞かせていただきながら、私の意見を反映させていただいたと感謝申し上げているところでございます。
 予算のほかに、特に人事面においても、今年度は他部局で非常に人員配置が厳しい中、教育委員会においては、退職者もおりましたが、それでも増員の配置をしていただいたことにも改めて感謝申し上げているところでございます。
 そういったいろいろな事例を取りましても、教育委員会の意思が完全に反映されるということはどの行政機関においてもあり得ないことでありますけれども、意思疎通を図る中で子供たちのために、あるいは地域社会の教育環境を向上させるためにはご尽力いただいて行動できた、実行できたのではないかと思います。
 それから、2点目の学校職員評価制度についてですけれども、昨年から、この制度が導入されるのではないかということが新聞や教育関係の機関誌などから読み取ることができておりますし、他の教育委員もそのことにはよく留意されていろいろな記事を読んで検討してきて、昨年の12月、それから今年度の状況へと至っております。
 私を含めて他の教育委員も教育に非常に関心を持っていただいているおかげで、定例教育委員会の中の議論だけではなく、市長との意思疎通以上に教育委員同士の意思疎通も十分にふだんから図られております。定例委員会の中で申し上げていることは、確かに言葉少ない、言葉足らずなこともあるのかもしれませんが、お互いにその意をよくくんで会議を開いてきたつもりです。
 一般の教職員に当たる方たちへの評価については、それが査定ですとか、あるいはそのことで処分するとか、そういったたぐいのものでは絶対にあり得ないということを江別市教育委員会は共通認識としているし、スタッフもそのように認識しておりますので、江別市全体の教職員、校長、教頭も含めてそのように理解していると思います。何よりこの学校職員評価制度は子供たちのために、岡村議員がご指摘のとおり、教職員一人ひとりの資質を向上すること、そしてその意識を高く持ち、志高く生きてほしいという願いから出てきた制度だと私は思っています。
 ですから、文部科学省が言ってくるからするのではなくて、私は教育委員会の仕事として学校職員評価制度というのは当然あってしかるべきと以前から考えているし、周りの者にもそういう意見を述べてきました。教育委員会内の行事だけではなく、ほかの先生方と接する機会があるときには、そのようなことも1年間掛けてお話ししてきたつもりです。
 試行時期について、早期に行われているというのは、議事録だけからすると確かにそのとおりかもしれませんが、今申し上げましたとおり、1年前からそのような意識を持ってみんなが動いていましたし、先生方も、この制度が導入されるのではないかということは、戦々恐々、不安もあったかもしれません。しかしもう制度が動くであろうということも薄々感じておられた方が多かったのではないかと思います。
 一番問題なのは、私は不安を与えることだと思います。それは、子供たちに対して不安を与えるからです。保護者や先生に不安があれば、子供たちにその不安が伝わるというのが一番困ることだと思うのです。4機関、5機関の集まりなど事あるごとに話させていただいたのは、教育委員会というのは通知や処分を決定したり管理をするところではなくて、先生たちの現場の意見を反映させるために協力させていただく、そういう機関が教育委員会であるということです。
 それは、私一人の考えではなく、他の委員、それから教育委員会の事務職員の方も同じように思ってくれていたと思うので、私はそのように声に出して述べてきたつもりです。
 議員の皆様の前で私の考えを述べる機会はこれで2回目ですから、私の話を余り聞いたことがない方もいらっしゃるかもしれませんが、私が今教育委員会委員長を辞めてやりたいことはたくさんあるんです。教育界のために更に尽力するために、いったん公職を辞させていただいて、江別市だけではなく、北海道そして全国、世界へと発信するような教育環境あるいは平和への活動をしたいので、今回は再任をお断りさせていただいて去ろうと思いました。
 決して、江別の教育界を嫌だと思ったりとか、人間関係がうまくいかないから辞めるというのではなくて、さらなる発展を自らに課して、志高く生きたいと願っての決断ですのでご理解いただきたいと思います。
 最後になりますけれども、これまで私のことを支えてくださった議員の皆さん、それから教育長をはじめ教育委員、事務職員の方たちのご努力に感謝申し上げますとともに、江別市全体で支えてくださった市民の皆さん、ご声援をいただき私を待ち続けている患者さんとそのご家族に感謝申し上げて私の最後のごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。

岡村繁美君

 ただいま、郷教育委員会委員長から、本当に今日までの教育界を取り巻く大変厳しい環境の中にあって、つらいことも表面に出さず、本当に頑張ってこられたと。その一つひとつの言葉を私もしっかりと受け止めさせていただきましたので、是非微力ではありますけれども、今日のお話をこれから少しずつ生かすために努力していきたいと思っております。本当に丁寧なお話をいただきましてありがとうございます。
 高橋教育長におかれましては、直接的にかかわったという視点だけで質問をさせていただきました。先ほど清水議員からは立つ鳥跡を濁さずというお言葉がありましたし、私からは去る者に矢を向けるなと、そんな言葉もあろうかと思っておりますので、そのことについては今日までご努力いただいたことに感謝をいたします。ただ、議会の質問ですから、改めて一点だけお話しします。先ほど予算のことも例に出させていただきましたけれども、私は決してその結果を問題にしているわけではないし、先ほどの学校職員評価制度についても、その結果について反対、賛成ということを聞いているわけでもないと。私は、教育委員会として、先ほど1回目の登壇の質問で教育委員会制度で求められる教育委員会の役割を私なりにお話しさせていただいたので、その期待を是非受け止めていただきたいと。5人しかいない教育委員、そして常勤は教育長ただ一人ですから、そのことも含めて先ほど市長にもお話ししましたが、本当にこういった制度の大きな期待と現実との間で、なかなか難しい環境下にあってご努力いただいた皆さんに敬意を表します。
 そういった意味で、一つひとつ大事に積み重ねることによって、難しい課題でも多くの共通認識や、ときとして新しい道が開けるということも出てくるのだというふうに信じていますので、是非そんな意味で、これまでご努力いただいたお二人からこれからも教育委員会の現場の皆さんに手を貸していただければ、私が今回質問したことも意味があったというふうに思っています。これは質問にしませんので、是非このことを申し上げて終わります。
 以上です。

副議長(鈴木真由美君)

 以上をもって、岡村議員の一般質問を終結いたします。

散会宣告

副議長(鈴木真由美君)

 本日の議事日程は全部終了いたしました。
 これをもって散会いたします。
午後 2時59分 散会

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