平成18年第4回江別市議会会議録(第3号)平成18年12月14日 8ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
吉本和子君
通告に従い順次質問をさせていただきます。
初めに、市長の基本姿勢について伺います。
1番目に、税制改正による増税が市民生活に及ぼしている影響について伺います。
平成17年第4回定例会において、税制改正の市民負担に対するお考えを伺ったところですが、税制改正後に高齢者の生活が正に今、深刻な状態になっていることをここでもう一度質問させていただきたいと思います。
年金生活の高齢者の場合は、昨年2月に公的年金等控除の縮小と所得税の老年者控除・配偶者控除の廃止が行われ、年金から天引きされる所得税が増税され、大きな怒りとなったところです。しかし、それで終わりではなく、今年2月は所得税の定率減税の半減、6月は住民税の定率減税半減と住民税の老年者控除の廃止、住民税の非課税限度額廃止など連続して行われてきました。さらに来年2月には所得税の定率減税の廃止、6月には住民税の定率減税廃止など負担増が続くことになります。さらに、高齢者にはこのことに連動して、国民健康保険税や介護保険料も引き上げられ、老人医療費の自己負担の引上げ、介護サービスのホテルコストの実費負担も加わります。その上、唯一の収入である年金給付までマイナススライドになるというものです。
国会での共産党議員団の追及で政府もこの問題の重大さを無視できなくなり、税や保険料の負担増に対して今年から激変緩和措置を設けましたが、1回ごとの引上げ幅は少なくなっても連続的な負担増が続くことになります。
子育て世帯などサラリーマン世帯についても、既に所得税・住民税の配偶者特別控除の廃止、今年の定率減税の半減に来年は廃止、そのほかにたばこや酒税の増税、大学の授業料値上げなど教育費の負担増が重くのし掛かってきています。
1点目に、このような切実な生活状況にある高齢者や子育て世帯に対して、どのような認識をお持ちなのか伺います。
税制改正の影響は、増税だけではなく、様々な福祉制度や助成制度の利用や自己負担限度額にも及んでいます。例えば子育て世帯では、乳幼児医療費の助成を受けられるのは所得によって振り分けられ、さらに住民税が課税か非課税か、それによって医療費の自己負担の額が決まります。高齢者の医療費助成についても同様です。住民税が非課税から課税になったことで、昨年まで受けられたサービスから除外されたり、自己負担が増えたりして、大変な困難を抱えている市民がいることは、私たちが行った市民アンケートにも表れています。
2点目、例えば国が行っている住民税が非課税から課税になった場合の激変緩和措置のように、今年度は昨年度並みのサービスを受けることができるようにするなどの緊急的な施策が必要ではと考えるものですが、お考えを伺います。
3点目、税制改正の影響が多くの市民の生活を圧迫している中で、今ある税の負担軽減制度についてもっと広く市民に知らせ活用することの必要性について伺います。
例えば住民税が課税世帯になった高齢者の場合、原則として高齢者の住民税非課税措置は廃止されても障がい者や寡婦については適用されること、また身体障害者手帳がなくても要介護度1以上の認定があれば障がい者認定され控除があることなど、まだまだ市民への周知が不十分です。高齢者の場合、家族や担当のケアマネジャーがその知識を持っていることも必要ですし、介護認定時に個別にお知らせするなどの工夫も必要です。また、収入が年金だけの方は住民税申告の必要がないと考えられがちですが、年金から天引きされていない国保税や医療費、介護保険料・利用料など控除することで税額が減ったり非課税になることもあり、広く周知させることが必要です。このようなことについてはどのように対応されているのか伺います。
4点目、いよいよ雪の季節を迎え、除雪は市民にとっては頭の痛い大仕事になります。まして、一人暮らしの高齢者には、春までの生活を考えるとき、大きな不安と負担になっています。江別市には福祉除雪・除雪派遣サービスなどありますが、税制改正の影響でこれらの制度を利用できなくなった高齢者にはどのように対応されたのか伺います。
2番目に、この間の社会保障構造改革により、障がい者や高齢者への負担についてどのようにお考えか伺います。
1点目、障害者自立支援法による利用者や家族の負担について、どのように認識しておられるのか伺います。
障害者自立支援法が、生きるために必要な福祉を益として、障がいが重いほど負担が大きくなるという障がい者にとっては生存権を否定するような制度として、かつてない大きな反対運動によって一度は廃案になったものです。
しかし、昨年10月に強行採決され、5か月間という超短期間で実施されるという強行スケジュールだったために、そのゆがみが今噴出しています。特に応益負担ゆえにサービスを断念するという問題と、断念した後の介護・支援をどうするのかという更に深刻な問題もあります。障がい者は支援費制度の下では、障害年金だけ、若しくは若干の作業所工賃が加わるくらいの収入しかない場合、ほとんど利用料は無料だったのです。国は低所得者対策や激変緩和措置を取ったと言いますが、大きな負担増であることに変わりはありません。国会審議でも、与党議員から障がい者は高齢者より高い年金をもらっているから払えるだろうという議論がされたと聞いています。しかし、障がい者ゆえに特別に掛かる経費など一切検討されず、年金があるから払えるだろうという議論がいかに障がい者とその家族を不安に陥れているか、余りにも実態を知らないところでこの制度が作られたことの結果にほかなりません。このように制度的矛盾を抱えたまま新制度は強行され、利用者や家族は1割の負担にあえいでいるわけですが、このことについてどのように認識しておられるのか伺います。
2点目に、4月より改定された介護保険法の下で、利用者のサービス制限や自己負担増になっていることについての認識を伺います。
これまでも介護保険制度は重い利用料負担や施設整備の後れなどで、必要なサービスを受けられないという矛盾を抱えたまま実施されてきました。今回の改定はこれらを改善するどころか、さらなる負担増、介護サービスの取上げ、介護施設整備の抑制などを準備不足のままに強行したと言わざるを得ません。
今回の見直しでは、予防重視のシステムに変えるとして、これまでの要支援と要介護度1の大部分に当たる軽度の介護度の人たちを、従来のサービスを提供する介護給付から別枠の新予防給付に移しました。しかし、利用者にとって、この制度変更が十分に理解されていないために、変更されたサービスに納得できない、あるいはサービスが制限されたために在宅生活を続けることが困難になったなどという実態があると聞いております。新予防給付では自分でやることが基本とされ、支援してくれる家族がいない、地域に支援組織など社会的資源がないなど、よほど困難な状況でなければヘルパーによる生活援助が十分受けられないというように、在宅生活を支える基盤が今揺らいでいます。
福祉用具利用についても、要介護度1までの軽度者には半年間の経過措置はありましたが、既に保険対象外となっています。つえを使って歩いているそばからつえを奪うようなものだという指摘もあり、正に貸しはがしと言わざるを得ません。
介護予防制度移行によって、保険サービス制限や保険外サービス費用のねん出など、高齢者や家族に負担感が強くなっています。このような状況に対してどのようにお考えなのか伺います。
3点目に、これらの制度利用者への自己負担軽減の市独自の軽減策の必要性について伺います。
今回の障害者自立支援法や改正介護保険法の下では、サービスの抑制と介護費用の自己負担化が進行していくことが懸念されます。介護保険料や利用料の軽減、自立支援医療の1割負担の軽減やサービス利用料の負担軽減などを求める声が高齢者からも障がい者からも家族からもますます大きくなっていっています。その声を無視できなくなった国は、やっと障がい者のサービス上限額の引下げなどを検討し始めましたが、それでもなお負担は大きなものになっています。
今、全国各地で障がい者の生活実態調査などを行い、独自の軽減制度を実施する自治体が増えてきています。国の軽減策があるから大丈夫ではなく、江別市においても、障がい者自らその実態を明らかにしているのですから、その実態を直視して検討する必要があると考えるものですが、お考えを伺います。
次に、市営住宅政策について伺います。
市営住宅の問題については、入居者の皆さんからの声を度々議会に届けてまいりました。その中で、屋根からの雪の落下の危険性については、屋根の形状変更による安全対策を講じていただいたことについて、入居者の皆さんと共に今年の冬の状況を期待を込めて見ていきたいと思います。
しかし、依然として市営住宅改築や新築の見通しが示されず、多くの入居者はおふろもない不自由な中での生活を余儀なくされています。さらに、リストラや不安定雇用などで収入が減少し、民間アパートに住んでいるが家賃の負担が重く生活が困難ということで、市営住宅の入居を希望する方の相談も増え、さらに申込者の増加につながっていると感じるものです。
そのような中で、公営住宅を巡る制度の改悪が相次ぎ、住宅政策に対する国の責任を大きく後退させています。2005年12月、公営住宅法施行令の改正と住宅局長通知で、公営住宅制度の基本目的である低所得者に安い家賃で住宅を賃貸し居住の安定を図るという目的を大きく変える改悪がされました。その内容は、施行令の改定として、入居収入基準を超えた居住者に対する割増し家賃の引上げ、単身入居者の年齢を50歳から60歳に引き上げ、また、局長通知として、名義人が死亡したときなどの使用承継を原則として配偶者以外認めない、入居選考で資産調査と同意書の強要、少人数世帯になった場合の家賃値上げなどとなっています。
1番目に、公営住宅法施行令の一部改正などによる江別市の市営住宅施策への影響について伺います。
1番目に、割増し家賃の引上げについて伺います。
国土交通省は、今回の引上げの理由として、入居基準をオーバーした世帯は市場で住宅を確保できる収入があるから割増し家賃と民間家賃を均衡させるとしています。入居収入基準の政令で定める月収20万円を超えると、四つの収入段階ごとにどの段階でも年々値上げして、5年間で近傍同種の民間家賃にするというものです。しかし、政令で定める月収20万円程度の所得が民間家賃を支払える能力と言えるのでしょうか。この収入から毎月食費、光熱水費、教育費、医療費、社会保険料などを支払い、民間家賃並みの市営住宅家賃を支払うことなどできるでしょうか。税制改正の影響で名目の所得が増えたことになり、この対象とされる世帯が増えることがきぐされますが、どのように対応されるのかお考えを伺います。
2点目に、単身入居者の年齢引上げについて伺います。
公営住宅法第23条に定める公営住宅の入居資格は、入居基準以下の所得、同居の親族がいる、住宅に困窮していることとしていますが、単身での入居については、1998年に男性・女性とも対象年齢が60歳から50歳に引き下げられた経緯があります。今回の改悪は、10年間の経過措置を認めてはいるものの、この年齢を再び60歳以上に引き上げるというものです。国土交通省は、少子高齢化の進展で住宅に困っている人に公営住宅を供給するのが目的と開き直っていますが、不況やリストラの中、様々な理由で単身になる50歳代が増え、経済的にも緊迫した生活状況に置かれています。江別市の単身向け住宅に入居できる条件は60歳以上となっており、入居希望者の生活実態から見て、緊急に検討する必要があるのではないかと考えるものですが、お考えを伺います。
3点目に、使用承継の厳格化について伺います。
住宅の名義人が死亡したときなどには名義人を変更でき、現在は三親等以内の同居親族となっています。この範囲は子、孫、父母、兄弟姉妹、祖父母、叔父叔母などで、同居が認められる範囲と同じになっています。したがって、今の考え方は同居人の居住の安定を図ることが配慮されていました。
しかし、今回の改悪では、使用承継の原則として配偶者に限定し、例外は高齢者や障がい者などとして、それ以外の同居親族の居住を認めないとしました。国土交通省は、いったん入居すると孫やひ孫の代までずっと入居しているのは問題で、そのために居住の安定を図る必要があるかどうかの判断を事業主体において行ってもらいたいとしていますが、そのことについてどのようにお考えか伺います。
4点目に、保有資産の自己申告と調査協力同意書の提出について伺います。
今まで住居可能な住宅を所有している者は住宅に困窮していないというのが国土交通省の考え方でした。江別市では、入居資格として、自己名義で家屋又は土地を持っていないこととしています。今回の通知では、範囲を広げて、入居申込み時に預金、有価証券、不動産などの換金性を有する自己資産について自己申告させるとし、同時に、自己申告させた保有資産を自治体が確認するときに協力する旨の同意書の提出を義務付けています。国土交通省は同意書を提出しなくても入居資格がなくなるわけではないので強制ではないとしていますが、具体的な住宅の入居選考のときに同意書の未提出によって選考順位が下がることになれば、事実上の強制になることは明らかです。さらに、公営住宅入居申込み時の資産の自己申告と同意書の提出は、生活保護申請と同様に、窓口での申込み抑制につながりかねないものときぐするところですが、どのようにお考えか伺います。
5点目に、少人数世帯となった場合の家賃値上げについて伺います。
同居親族の死亡や転居などで住居人数が減った場合には、家賃を計算する際の利便係数を高くするというものです。市営住宅入居者については、単身になっても住み替えができる空き住宅がないため、一般住宅に住み続けなければならないなどの状況にある中で、居住状況にミスマッチが生じているとすることについては、どのようにお考えか伺います。
2番目に、市営住宅建設計画についての考え方について伺います。
このことにつきましては、平成18年第2回定例会でもお考えを伺っているところでありますが、前段で申し上げたように、国の住宅政策がますます現在の入居者をはじめ入居を希望する多くの市民の願いとは逆行する流れになっている今、憲法第25条に基づく公営住宅法第1条の理念をしっかりと守ることを基本にした住宅施策が求められていると考えます。
第164回通常国会で成立した住生活基本法は、住宅ストックの量は充足したからと、量から質を掲げ、公営住宅法第1条に定める健康で文化的な生活を営むに足りる住宅という公営住宅の位置付けを、住宅困窮者に対する住宅セーフティネットの構築とし、住宅建設そのものを狭める内容となっています。そして新たに都道府県が公営住宅の年間供給目標量を設定し、国土交通大臣の同意を得て進めることとしています。現在、道段階で計画策定中であり、ホームページ上でも意見聴取などが行われている状況とのことです。
前回の答弁では、市町村にも地域住宅計画を策定するよう指導があったとのことでしたが、今、道に対し江別市としての考えを反映させているのか、また、市営住宅建設にかかわる市としての地域住宅計画についてはどのようにお考えなのか伺います。
3番目に、地域住宅交付金制度の活用について伺います。
もともと老朽化した市営住宅の住環境は、ますます入居者に不自由さを強いています。申請して修繕を申し込む件数も増えてきていますが、それでもまだまだ我慢している方たちが圧倒的に多いのが実態です。平成17年度に公営住宅や面的な居住環境の整備等の地域における住宅政策を地方公共団体が自主性と創意工夫しながら総合的・計画的に推進することを支援するとして創設されたこの制度について、現在どのように活用されているのか。また、市営住宅の居住環境整備のために更に制度を活用し、入居者の願いにこたえることについてはどのようにお考えなのか伺います。
次に、農業政策について伺います。
戦後から現在に至る日本の農業政策を見てみますと、戦後間もなくは農地改革によって実現した自作農体制の下で、食料危機に対処するために、農業生産力を発展させることを目標としてきました。しかし、それ以降現在に至るまで農政の展開は、高度経済成長、農産物貿易自由化を機軸とする市場開放体制に向けて、近代化の名の下に大きく方向転換し、農業の大規模化と中小農家の切捨てが進行してきました。日本農業の主たる担い手である家族農業経営の存続がますます困難になり、さらに今、農業政策の戦後の総決算とも言われる品目横断的経営安定対策は、この政策対象とする農家を今まで以上に限定していくというものになっています。
このように、農産物貿易自由化と国の一連の農業構造改革の推進によって、特に北海道では離農が進み、農業を中心とする第一次産業の後退だけではなく、地域の過疎化とも相互に関連しながら進行し、地域崩壊の危機を招くという深刻な事態があちこちで起きています。だからこそ、何よりも道内の多くの地域で基幹産業の位置にある農業の発展の展望を切り開くことが求められています。
そんな中で、オーストラリアとの自由貿易協定(FTA)交渉入りを決めた政府に対し、全国・全道の農業者や関係団体から締結交渉をしないことを求める声が日ごとに大きくなっていると報じられています。
1番目に、日本・オーストラリア自由貿易協定に対するお考えを伺います。
自由貿易協定は、2国間の交渉ですが、実質上、すべての貿易の関税撤廃をする世界貿易機構協定を補完するものと言われ、日本・オーストラリア共同研究報告書の素案には、すべての品目撤廃を交渉対象にするとの内容が盛り込まれていると言われています。この自由貿易協定が締結された場合、オーストラリアとの競合農産物が多い北海道農業への打撃について、北海道庁試算では、麦や砂糖、乳製品、牛肉の生産額4,456億円の減少、さらに流通業などの関連産業を含め1兆3,716億円の減少を予想しています。北海道全体で2万1,000戸が離農に追い込まれ、関連産業では4万7,000人の失業者を生むという拓銀破たん時を上回る深刻な影響を見込んでいます。
また、農産物関税を撤廃することになれば、肉用子牛補給金などの財源、品目横断的経営安定対策の財源もなくなってしまうことになり、生産費が最も低いとされる牛乳・乳製品によって酪農家の生産者補給金財源もまたパンク状態になりかねないと言われています。
さらに、農産物輸入自由化によって日本が大量の食料輸入を受け入れることになれば、農地が今以上に荒廃し、国土・環境保全など多面的機能が失われます。今でも農地で循環可能な量の2倍近い食料由来窒素が自然界に排出され、酸性雨や地球温暖化の原因になっていると指摘されています。また人間の健康面でも、消化器系がん、糖尿病、アトピーなどとの因果関係が不安視されています。食の安全と安定供給についても、遺伝子組換え作物や残留農薬が入ってきても食べざるを得ない事態となります。短期的には安い外国産食料が入っても、中長期的には食料危機にさらされることになります。食料自給率は向上するどころか大幅に下落することになります。
健全な国土環境と国民の健康を守る社会的使命を持つ農業をこれ以上縮小させることなく、国内生産を増やす政策こそが必要であり、このことからも日本・オーストラリア自由貿易協定締結は認めることはできないと考えますが、お考えを伺います。
2番目に、仮に条約締結されるような事態となった場合、江別農業を守るためのお考えについて伺います。
12月4日付けの新聞報道によれば、関税がなくなったら畜産・ビート・小麦で支えられている十勝の農業は壊滅するという十勝の農協組合長の談話が載っておりました。また小麦に関する記事は、小麦の場合、道内小麦の生産者の手取りは1トン当たり15万円、このうち11万円は関税などを原資にした補助金で、製粉会社の仕入れは4万円。しかし関税が撤廃されれば、補助金がなくなり、道産小麦を扱う農家が減り、道産小麦の流通量が減って、仕入価格の上昇は避けられなくなるとありました。
江別市では、春まき小麦ハルユタカは、初冬まきという技術によって生産量が安定し、この小麦を使ったラーメンが全国的にも知られるほどになりました。地元の製粉会社と小麦生産者とめん工場など産学官の連携で地元にこだわった製品開発をし、作って、加工して、販売し、サービスも行う。江別単独ですべてを行うという取り組みが実践されているところです。また、学校給食にいかに地元のものを使うかということで、教育委員会をはじめ行政、地元生産者が一緒になって進め、その種類もどんどん増えていっています。また直売所では、地元の農家の新鮮な野菜を安く買うこともまた市民の大きな安心です。
しかし、今回、農産物関税撤廃になれば、そんな江別の農業もまた大きな被害を受けることが予想されます。江別市の農業を守り、市民や子供たちの食の安全を守ることについてはどのようにお考えなのか伺います。
3番目に、江別市において地産地消、食の安心・安全を支える施策について伺います。
全国的に、学校給食の食材に地場産の農産物を使う取り組みがなされ、江別市の学校給食センターでも先進的な取り組みを行い、高い評価を受けていることは今だれもが知るところになりました。しかし、地産地消を学校給食だけではなく、江別市が都市近郊にある立地条件を生かし、多くの消費者が望んでいる野菜直売所や産直などの地産地消の動きを育成・支援することも重要かと考えますが、お考えを伺います。
また、今年5月よりポジティブリスト制度がスタートし、残留農薬の規制が強化され、農家の皆さんは農薬の使用や管理に大変ご苦労されていると伺っております。しかし、地産地消は消費者との信頼を築くことが重要であり、いつ、だれが作ったのか、どんな農薬を使ったのかなど、消費者への情報提供が農産物への付加価値を更に高めることになると考えます。
農産物輸入自由化の流れが急激に加速されようとしている今だからこそ、食の安全・安心の対策の充実が不可欠と考えますが、どのような対策をお考えか伺います。
以上で1回目の質問を終わります。
副議長(小玉豊治君)
吉本議員の一般質問に対する答弁を求めます。
市長(小川公人君)
吉本議員の一般質問にご答弁を申し上げます。
税制改正による増税が市民生活に及ぼしている影響についてのご質問でありますが、このたびの一連の税制改正は、現役世代と高齢者間の税負担の公平を確保するという観点から、住民税や所得税における各種控除の見直しなどの一部経過措置が講じられる中で実施されているものであります。
これら税制改正により特に影響を受ける高齢者や子育て世帯に対する対応でありますが、国といたしましてもその影響を考慮し、激変緩和措置として国保税及び介護保険料が負担増となる高齢者に配慮し、本来負担すべき税額を段階的に移行できるよう軽減措置を図っているほか、市といたしましても、低所得の方々への対応の必要性から、従前より行っている独自の施策を継続するなど、福祉施策全体を見据えた中で必要な施策を講じているところであります。
こうした税制度の見直しは市民一人ひとりの暮らしに様々な影響をもたらすことから、今後とも市民に対しましては、税制改正の内容はもとより、各種制度の負担軽減及び減免などについて、広報えべつやホームページのほか、出前講座や自治会回覧などの活用、さらには通知書を送付する際など必要に応じて個別に周知を図ってまいりたいと考えております。
なお、福祉除雪サービスにつきましては、本年度は受付を終えて事業を開始しているところであり、非該当となった世帯には税制改正の内容及び本事業の対象要件などをご説明し、理解が得られるよう対応しておりますので、ご理解賜りたいと存じます。
次に、社会保障についてのお尋ねでありますが、午前の高橋議員の質問にも関連し、答弁いたしておりますが、介護保険法、障害者自立支援法等は国の法制度における施策でありまして、その時どきの社会経済状況に対応した制度設計や見直しがなされ、制度の適用を受ける方の中には、制度の安定的な持続を図っていくために、従前の受益内容が変更となった方も確かにおられることは認識をいたしております。しかし、従前の内容を維持するためそれをすべて地方公共団体が独自で賄うことは、地方財政そのものが極めて厳しい状況にあることから、独自の取り組みには限界があり困難なことであります。
国の枠組みの中で運営される制度は、原則的にはその枠組みの中で見直しや改善について対応すべきものと思っております。しかしながら、ただ手をこまねいているわけではなく、国等への要請活動を積極的に行っているところでありまして、最近の要望事項といたしましては、地方税財源の確保、医療保険制度の抜本改革、介護保険制度の円滑な運用、障害者自立支援法に係る利用者負担に対する軽減策措置等について、北海道市長会を通じ国及び北海道に対し強く申し入れてきたところであります。
また、先般、障害者自立支援法においては、利用者負担の軽減や施設事業者の減収に対する激変緩和措置などの改善策を講じるべき内容について新聞報道がなされているところでありまして、この動向を注視しているところでもあります。
いずれにいたしましても、社会保障制度は国の責任において一定の水準で公平に行われるべきものと思っておりますし、その運用に当たっては適正に実施されなければならないものと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、農業政策についてご答弁申し上げます。
本年7月以降、148か国が加盟する多国間貿易交渉であるWTO交渉が難航し中断される中、その補完的な考えから、2国間あるいは複数国との協定が可能となる自由貿易協定(FTA)について、国はオーストラリアと交渉しようとされております。仮にFTA交渉が開始され、関税が撤廃されることになれば、オーストラリアからの輸入が多い牛肉、乳製品、小麦、砂糖などの農産物が大きな影響を受けることが懸念されます。
当市の農業においては、酪農、小麦、てんさい(ビート)、それから肉牛が主要な農畜産物となっていることから、農業のみならず、地域の経済にも大きな影響が及ぶのではないかと大変心配されているところであります。このことから、オーストラリアとのFTAの取扱いについては、農業・農村への影響を十分に検討し、牛肉、乳製品、小麦、砂糖などの重要品目について例外措置を講ずることを明確化するなど慎重な対応について国に要請するなど、地域農業を守るための行動を北海道、JA道央等関係機関・団体と一体となって取り組んでまいります。
農業は、安定的に国民の食料を確保する観点から、国の政策が大きな柱となるものと考えておりますが、品目横断的経営安定対策など国の農業政策の方向が大きく変わろうとする今日、地域農業の方向性は地域自らが自主的に考え行動することにより切り開くことが大切であると考えております。こうした意味から、地域の特徴を生かす視点で農業を振興することが江別市の農業を発展させる基本であると認識をいたしております。
当市では、栽培が難しかった春まき小麦のハルユタカは、初冬まき栽培の技術の確立により、平成11年の栽培面積は35ヘクタールでありましたが、平成18年では596ヘクタールと、7年間で17倍の作付面積になり、生産農家戸数も16戸から151戸に拡大し安定的な生産を可能としたことは、正に地域の特徴や気候風土を生かした成功事例として評価されております。
また、ハルユタカの安定的生産を背景として、平成14年9月に江別経済ネットワークが誕生し、産・学・官・民連携による人的ネットワーク活動の中から江別小麦めんなどハルユタカブランドが誕生し、付加価値の高い農産物が地域内で流通、消費されるようになりました。
このような成功事例を大切に、江別の人的資源をつなぐネットワークにより、江別の農業を守る知恵と創造を生み出すコーディネーターが行政の役割として重要であると考えております。
このほかのご質問につきましては、助役ほかをもってご答弁を申し上げます。
助役(中川正志君)
私から市営住宅行政についてお答えをいたします。
1番目の公営住宅法施行令の一部改正等の市営住宅政策への影響についてでございますけれども、公営住宅制度は、最低居住水準確保のため、市場家賃の支払が困難な低所得者に対しまして、健康で文化的な生活を営むに足りる低廉な家賃の賃貸住宅を供給するものでありますが、全国的には入居者全体のうち収入超過者がいまだ8%入居されている現況にございます。本来の施策対象である住宅に困窮する低所得者の入居の阻害要因となっているとのことでございます。
また、公営住宅における単身入居、親族以外の方の入居等の在り方につきましても、家族形態の変化等の社会情勢の変化に対応し見直しが必要とのことでありまして、真に住宅に困窮する低所得者に対して公平かつ的確に提供できるよう、その施策対象について常に適正化を図るとともに、入居者・非入居者間、入居者相互間の公平性を確保するため法改正を行ったところであります。
したがいまして、1点目の割増し家賃の引上げにつきましては、収入超過者の自主的退去の促進を図るため、その割増し家賃について一定期間、これは5か年間ということでありますが一定期間内に近傍同種家賃とすることができるようにするものであります。
なお、この改正は平成19年4月1日から適用する、こういったことでございます。
また、2点目の単身入居の年齢引上げにつきまして、これまでは単身で入居者が資格を有する場合及び入居者が高齢者、障がい者である場合などの年齢は50歳以上とされてきたところでありますが、50歳代の民間賃貸住宅での入居拒否がほとんどないこと、さらには企業の定年年齢を60歳未満としているところが少なくなっておりまして、また、平成13年の高齢者の居住の安定確保に関する法律の制定に伴い、市場の環境整備がなされていることなど社会情勢の変化に対応させるため、50歳を60歳に引き上げたものであります。
なお、経過措置といたしまして、平成18年4月1日以前において50歳以上である方については今後も従前どおり単身入居を可能とするとしており、市といたしましてもこの改正に基づき進めているところでございます。
次に、3点目の使用承継の厳格化でありますが、入居に際しましては公募が原則でありまして、入居を希望する方が多数いる中で、公募の例外である使用承継によって、長年、同一親族が居住し続けておりまして、公営住宅の入居者と非入居者との間での公平性を著しく損なっている実態が見られますことから、国土交通省では、昨年12月、公営住宅管理の適正な執行についての通知を出しまして、承継は原則として同居している配偶者及び高齢者、障がい者等で特に居住の安定を図る必要がある者とするガイドラインが示されたところであります。
また、4点目の保有資産の自己申告と調査協力の同意書提出につきましても、入居希望者の住宅困窮事情をよりきめ細かく反映させた入居者選考が行われるよう、優先入居の的確な運用が図られることを目的としたガイドラインが示されたところであります。
これら使用承継及び保有資産の自己申告等につきましては、これまでは北海道に準拠して行ってまいりましたが、今後、改正により示される北海道のガイドラインを十分見極めて対応してまいりたいと考えており、道の状況を申し上げますと、この北海道のガイドラインは、道内市町村一律に適用されているということであります。
5点目の少人数世帯となった場合の家賃の値上げについてでありますが、広い住宅に居住している少人数世帯が通常よりも多くの便益を得ているものと考え、当該便益に応じた家賃を設定することにより入居者の自主的な住み替えを促進するもので、今後とも適正な居住推進に努めてまいりたいと思います。
2番目の市営住宅建設計画についての考え方でありますけれども、本年6月8日付け公布の住生活基本法は、公営住宅の整備をこの法律の規定に基づき北海道及び市町村が地域住宅計画を策定し、この計画に沿った基幹事業及び提案事業に対し、市町村に地域住宅交付金を交付することとしております。
道としては、北海道住生活基本計画の北海道関連分の策定を終えておりまして、今後は市町村が計画策定を行うことになっておりまして、江別市といたしましても、将来の市営住宅の建設やストック総合活用計画など、関連施設の建設も視野に入れた地域住宅計画の策定を来年度から行ってまいりたいと、こう考えているところであります。
3番目の地域住宅交付金制度でありますが、地方公共団体が主体となりまして、公営住宅の建設や面的な居住環境整備など、地域における住宅政策を自主性と創意工夫により総合的かつ計画的に推進するための支援制度として、平成17年度に創設された制度でありまして、対象事業は、公営住宅の整備、既存公営住宅の改善、関連公共施設の整備のほか広範囲な事業が含まれております。今後の公営住宅関連整備に当たってのこれら制度の活用につきましては、北海道と十分協議を行いながら進める必要があると、こう考えておりますので、そのようにご理解いただきたいと思います。
以上であります。
経済部長(久保泰雄君)
私から地産地消、食の安全・安心についてお答えをいたします。
当市では、昨年5月に、17か所ある野菜直売所の生産者が連携をして地産地消運動を積極的に取り組むため、まちとむらの交流推進協議会を設立し、市が事務局となって流通や販売ノウハウの情報提供や消費者との交流を深め、市民と生産者の顔の見える関係を築いてきたところであります。
今年は、テレビでの紹介やラジオ番組への出演などマスメディアの活用と、ホームページによるPR活動のほか、初めての試みとして江別の直売所を巡るスタンプラリーを8月から10月の3か月間実施いたしました。このような取り組みにより、前年より53%増の販売額を記録した直売所があり、また、道内の先駆的直売所として知られる運動公園そばののっぽろ野菜直売所においては、利用者数も10万600人余りを記録し、販売額も前年より26%増の1億円を超え、開設以来最高の販売額となりました。このことは地産地消運動が着実に浸透している証と考えております。
市としては、経営面積の少ない農家など、多様な農業経営の受皿となる直売所機能に着目をし、協議会の活発な活動によって一定の農家所得を確保されながら、地産地消運動が発展することに期待をするとともに、ソフト的な支援を行っていきたいと考えております。
また、本年5月に施行されたポジティブリスト制度により、生産者段階では、農薬の使用について生産履歴への記帳が義務付けられるなど、農薬の適正使用に係る指導が強化され、JA道央、石狩農業改良普及センターなどが中心となって、消費者に安心して買っていただけるよう指導を行っているところでございます。
市としては、食の安全・安心の問題は、農薬取締法から食品衛生法に至るまで幅広い専門的な知識が必要であることから、JA道央や石狩農業改良普及センター、あるいは学術研究機関など関係機関との連携の下、必要な対策について検討してまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
以上でございます。
吉本和子君
2回目の質問を若干の要望と指摘も含めてさせていただきたいと思います。
質問につきましては、高齢者の除雪サービスについて再度伺いたいと思います。
今回、健康福祉部の調べでは、昨年まで福祉除雪サービス等を受けていて、今年度、税制改正の影響で受けられなくなった世帯が159世帯あると伺いました。また、除雪派遣サービスは3世帯が受けられなくなったというふうに聞いております。先ほど申し上げましたけれども、高齢者にとって除雪サービスは、冬を乗り切るために欠くことのできない本当に大切な制度です。特に今回、税制改正によって、この冬を目の前にして、今年度は受けられないということを知らされた高齢者には、本当に大きな不安になっています。そのようなことから、今回、経過措置として、福祉除雪サービスなどをもう一度適用除外とされた方たちに対して対応できないのかどうなのか、検討が必要かと思いますけれども、お考えを伺いたいと思います。
次は、要望にさせていただきたいと思います。
公営住宅に関しては何度も何度も議会の中で取り上げさせていただきましたけれども、ただいまのご答弁で、地域住宅計画を来年度に策定を行っていかなければならないというご答弁だったというふうに伺いました。
今、住宅施行令などがどんどんと改悪されていっていますけれども、先ほども申し上げましたように、50代でも生活に困窮されて住宅にも困っている方がたくさんいらっしゃいます。そういうことからも早急に計画を策定されて、江別市の市民の生活状況や経済状況なども踏まえて、早急に公営住宅の建設計画・改修計画などを作っていただきたいと、次期の総合計画に反映させていただきたいということを強く要望いたします。
最後に、若干指摘をさせていただきたいと思います。
税制改正による市民負担に対する市長の先ほどのお考えについて、少し述べさせていただきたいと思います。
今回、市民税課が住民税の課税の仕組みと税制改正という資料を作られました。その資料では、65歳以上で年金収入が250万円の単身者の税負担について、2005年度までは住民税が非課税だった方が、2006年度より所得割額が3万9,000円を負担することになるという説明があります。また同じく65歳以上で年金収入250万円のご夫婦の場合、2万2,600円の負担となっています。2年間の激変緩和措置はありますが、大幅な負担増です。
また、財政課の税制改正の影響を受ける事業一覧の資料では、現在実施されている市の各種事業29種類にこの税制改正が影響を与えているということが分かります。特に住民税非課税区分の変更による影響が、先ほど申し上げた福祉除雪サービスなどに大きく影響しています。2007年度は更に住民税率を一律10%にするフラット化が行われるために、更に住民税納税者の負担増になります。
このように、国が行っている政策によって、市民が本当に困難な状況に置かれています。高齢者には命や暮らしが脅かされているような状況になっています。だからこそ住民自治の原点に立ち返って、住民の福祉の向上を図ることを今は最優先とすることが求められているのではないかということを指摘させていただきます。
以上で2回目の質問を終わります。
健康福祉部長(宮内 清君)
私から福祉除雪サービスについての再質問にお答え申し上げます。
本年度の申請状況を見ますと、議員お話しのとおり、税制改正の影響を受け、事業の対象とならなかった世帯が見られたところであります。
このたびの税制改正により影響を受ける事業といたしましては、福祉関係で13事業、医療関係では7事業などとなっており、国としましてもその影響を考慮し、制度によっては激変緩和措置などを講じているほか、市といたしましても、従前から行っている軽減措置を継続させるなどしまして、極力負担を軽くするよう努力しているところであります。
そこで、福祉除雪サービスに関してですが、高齢者等の期待も大きな事業でありますことから、今後、今年度の実績等を検証する中で、制度の在り方を含め検討してまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りたいと思います。
吉本和子君
福祉除雪サービスには、ちょっと今年度のものにはならなくて残念ですけれども、前向きなご答弁だと受け止めました。
先ほど部長からもお話がありましたように、この影響を受ける事業はたくさんあります。どうぞそれらの事業についても、関連する担当課と連携・協力して、市民サービスの低下がこれ以上起きないように努めていただきたいということをお願いいたします。
以上で終わります。
副議長(小玉豊治君)
以上をもって、吉本議員の一般質問を終結いたします。
この際、当職よりお諮りいたします。
議事の都合により、明15日は休会といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
ご異議なしと認めます。
よって、そのように決しました。
散会宣告
副議長(小玉豊治君)
本日の議事日程は全部終了いたしました。
これをもって散会いたします。
午後 3時18分 散会