平成18年第2回江別市議会会議録(第2号)平成18年6月14日 6ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
高橋 典子 君
2回目の質問をさせていただきたいと思います。
順番は1回目とちょっと入れ違っておりますが、まず最初に、質問等をする部分から述べていきたいと思います。
まず初めに、市立保育園の民営化にかかわる問題です。
是非、横浜地裁の判決内容については、ただ単に民営化の手法だけの問題ではなく、その判決の中で保育園を選択する権利についても述べられている点、保護者が例えば、江別で言えば、みどり保育園を市立市営の保育園として選択させ、子供を通わせている、そうした保護者の方の意向が十分尊重されることが必要ではないかと思います。
また、この判決の中で、全国各地の民営化後の様子にも触れられていたようですけれども、子供のけがなど問題が多発していることも触れられています。江別市として今後、保護者の理解を十分得られるように努力していくというのであれば、当市においてこうした問題はどのように考えているのか、整理して具体的な形で保護者の皆さんに示していくことが必要ではないかと思いますが、そうした点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
そして、やはり答弁の中で、これまでにも委員会等で説明されていましたけれども、やはり行財政資源の問題、あと子育て施策の充実・強化などということが触れられています。職員体制について言えば、2年間採用凍結の後、今年度は22名の職員を新たに採用されております。しかし、その中に保育職員は1人も含まれておりません。保護者の方から見れば、やはり市は何が何でも民営化ということで進めていく、そういう意思の表れだと受け止められてしまうのではないでしょうか。
何のための民営化なのかということを理解してもらおうと思うのであれば、まず、民営化して何が良くなるのか、お子さんを保育園に預けられている保護者にとって何が良くなるのかということが具体的に示されることが必要だと思います。そうでなければ、さきに、例えばこの職員採用の在り方だとかを見れば、保護者からは、民営化ありきで、市は私たちの声とは関係なしに行政運営を進めていっている、そのように受け止められてしまうと思います。
保護者の理解が十分得られるよう努力していきたいというのであれば、そうした物事の順序と言いますか、そういった説明の仕方も含めて保護者に誠意を持って対応するべきだと思いますが、いかがお考えかお聞かせいただきたいと思います。
また、保育の問題ですけれども、今回の答弁でも結論としては、あかしや保育園の民営化のとき、民営化に起因しての特段大きな支障があったとは判断していない、こういうご答弁でした。しかし、保護者の方からすれば、一人ひとりの子供がそれぞれの方にとって宝物であり、何か小さなことでも起きたら、それは保護者にとって大きな衝撃になるという、そういった心情も理解していただかなければならないと思います。
こうした説明の仕方であれば、保護者の心に沿ったそういった説明は到底されないのではないか。保護者の方たちが、あかしや保育園民営化の際に起きた、行政の場にとっては細かい出来事であっても、それが保護者の大きな不安につながっていけば、民営化した後のトラブルというのもなお大きくなるのではないかと思いますので、そういったことに対しての行政の側のとらえ方、職員のとらえ方と、保護者への説明の仕方というのは、誠意を持った具体的な説明の仕方をする必要があると思いますが、そうした対応について今後されていくのかどうか、お伺いしたいと思います。
次に、学力テストについて伺いたいと思います。
全国的な学力テストを行うことについては、国がすべての子供のデータを掌握することにつながっていくのではないか。とりあえず来年度については、小学校の六年生と中学校三年生ですが、これを継続的に続けていけば、日本全国の子供のデータを国が掌握することになります。この間の国の政治の方向から見て、国民はやはりそこに不安感を抱くとお考えにならないのか。
現時点においては、文部科学省も非常に抑えたものの形でホームページ等に公表されていますけれども、やはりこの間の政治の流れ、教育行政のやり方、あと教員評価ということも話題に出てきておりますけれども、そういったことからすると、やはり競争主義の教育につながるのではないかという懸念があります。
先ほど、教育長の答弁の中にも、保護者の中から少しでも学力を上げてほしいという要望があれば、学力検査の結果の情報を生かして、先生方には授業改善などに向けた意識改革や指導力の向上に努めていただきたいと思っていると、このような答弁がありました。だけど、子供の学力は一人教師の努力や授業の技術だけで定着が図れるものではないということは、現場経験がおありの教育長ならお分かりかと思います。やはり保護者の方、あるいは地域の教育環境、こうしたこともあいまって、子供の学力というのがしっかりしたものになっていくということではないでしょうか。そういうことから言えば、この学力検査の使い方によっては、教員の評価につながりかねない。しかもそれが教員の努力だけでできるものではないということも含めて考えたときに、何のために使われるのかということに懸念を持たざるを得ません。
また、文部科学省自体ホームページの中で、市区町村の状況について、現在都道府県において独自に実施されている学力調査においても市区町村単位まで調査結果を公表する実態数は8にとどまっていること、現時点において個々の単位の状況まで公表すると、序列化や過度な競争につながるおそれがある、その影響は大きいと予想されることなど考慮しと、やはりそういった不安の部分が触れられています。
また、先ほど、調査結果が各学校に返却されるということが述べられていましたが、それぞれが全国の中でどのような状況であるかということを認識し、その上で指導・改善等に生かすことにあるというふうに、先ほどの教育長の答弁どおり、ホームページの中にも文部科学省は述べておりますが、各市区町村や学校が自己の結果を公表することは、それぞれの判断にゆだねることが適当であるが、公表する場合も全国的な学力調査の結果に基づいて順位付けがなされることや、過度な競争をあおらないよう細心の配慮を払う必要がある、このようにやはり文部科学省も言っています。こうした心配があるということが文部科学省自身認識しているものだと思います。
私としましては、こうした多くの不安要素、不安材料を抱えたまま全国的な学力調査へ参加することは待つべきではないかと、判断をいったん立ち止まって、この調査自体がどのように利用されるのかしっかり見極めるまでは判断すべきではないと思いますが、重ねての質問になるかと思いますが、教育長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
後は要望事項等を含めますけれども、市町村合併については、特例市の移行ということになりますと、北広島市との合併が前提になります。特例市になることによって、移譲される権限によって市民がどんなメリットを得られるのかということも、そのうち具体的に示されるとは思いますけれども、同時に、市の面積が拡大することですとか、人口が形上、増加するということで、市民のつながり、地域のコミュニティの形に変化は起きないだろうか、犯罪の発生の要素などとも関係する部分があるかと思いますので、是非その点は市民に説明する際、メリット、デメリットがきちんと理解できるように提示していっていただきたいし、市民と積極的に意見交換をしていっていただきたいと思います。
住民投票については、懇話会において自治基本条例の骨子が検討されているところですし、さらに、住民投票についてはこれからという段階だと伺っておりますので、現段階では市長のご答弁も先ほどの範囲ということだと理解します。いずれにしろ、住民投票の意義をご理解いただけているものと受け止めました。今後また議会で審議する場面も想定されますので、質問とはいたしませんが、今後とも積極的に進めていっていただきたいと思います。
あと、子供の安全対策に関してです。
不審者による声掛けについて、その内容が犯罪に結び付く可能性があるものなのかどうか、こういったものをしっかり見極めなきゃならないとは思います。ただ、いずれにしろ、その情報提供の在り方によって地域の中での不信感を募らせるようなことにはならないようにする配慮が必要だと思います。
改めて、こうした情報の発信というのは、地域コミュニティの役割を認識するですとか、自治会、町内会、PTAなどのそういったところの持つ力を見直して、再評価につながるように是非考えていっていただきたいと思います。町内会ですとかPTAの活動が一層民主的に発展していくことにつながるように、関係者との協力、あるいは市民生活課サイドとの連携も含めて、是非ご努力いただきたいということを申し上げて、2回目の質問といたします。
以上です。
市長(小川 公人 君)
高橋議員の再質問にお答えを申し上げますが、行政であれ、あるいは高橋議員であれ、何事も硬直して、これありき一辺倒ということは余り良いことではないのではないかと。ですから私は、何が何でも民間というだけで正しいとか、こう言うつもりはありませんけれども、しかし、何が何でも官でなければ夜も日も明けないと言われても困る。それと財政も、財政、財政、金ない、金ないということばかり私は言ってきているつもりはありませんけれども、しかし、現実に有限の財源の状況の中で、市民のニーズがいろいろあると、それを多様にこたえていくとなれば、やはりそこには柔軟ないろいろな対応を考えなければならない。
いろんな保育園では、官であろうが民であろうが、もしかすると人がやることですから、けががあったなど、何かいろいろ不都合なことがあるかもしれない。それは民だからあって官ならば何もないとか、その逆でもないと思うんですよね。もちろん、ですから、その辺は十分配慮しなければならないということを私どもは受け止めておりまして、特に、例えばあかしや保育園のときは、何が何でも民にということがさきにあったわけではなくて、少なくともあのあかしや保育園のときは、建物が老朽化する中で建て替えなければならない、これもまた大幅な財源が要る、ゼロ歳児のニーズがあって、それを全部やるといったら保育士が何人も、6人も7人も必要と、こういうふうに新たに全部、いきなり新設をして人員をも投入するとなると非常に財政的には窮屈になる。であるとすれば、民のそういうやる方がいて一定の条件があるとすれば、ということで、これも公設民営ということに移行させていただいている。
そんな中で、やっぱり多様なニーズ、子育てとか少子化という課題は全国的にありますから、そのことに振り向けるためには民の可能性というか、一定の判断の中で模索するということも是非私どもとしてはしたいということで、今検討しておりまして、そこの中で移行過程で一番大事なのは、子供が大事だということです。今いる子供たちが急に明日から先生が代わるとかそういう、そこが一番大事なので、子供に視点を当てて、できるだけこの引継ぎ過程とか内容、そのことは十分意を用いますということは申し上げてきたつもりで、いきなりもう民なら悪いと言われると、やっぱりちょっとそこには見解の違いがあって、できれば、その辺は是非理解をいただきたいと。
そういうことで先ほどいろいろと、引継ぎ保育とか民営化後の保育内容の検証と、こういったことで提案をさせていただいて、保護者とも十分話合いをさせていただきたいと、こう申し上げておりますので、その辺の、いずれにしても高橋議員の疑問点というか、また保護者のそういった声に耳を傾けなさいという点については十分受け止めさせていただいて、そういう進め方をしていきたいと思っておりますので、ご理解をいただきたいと思います。
教育長(高橋 侃 君)
私からお答えいたします。
先ほどの答弁でも触れましたけれども、来年4月24日、国立、公立、私立、すべての我が国の子供たちがテストの対象になります。いわゆる全国一斉学力テストに、議員が述べられておりますように、江別だけがそこから抜け出したときに、市民だとか子供を持つ親の反応はいかがでしょうかと、逆に私は思います。
それと、学力が今低下しているという国民的なささやきの中で、学力が下がってもいいという親は一人もいないと思うんです。そのために、やはり行政も、それから学校現場も、そしてその声を聞いた文科省も、需要の改善策に向けた学力テストという手法を取ってきた経緯がございます。
議員も触れておりますように、このテストは決して順序付けとか過度な競争をあおるものではないと。江別としても4年前から一斉テストをやっていますけれども、全くそれと同じように、一度の公表も、それから学校間の競争をあおるような事実はございませんので、そこら辺を信頼いただければとお願い申し上げます。
江別の子供が全国的に見て一定水準のやはり学力を保っているかどうかというのは、私ども行政の責任でもありますし、江別市民、あるいは保護者のやはり一番の関心だと思いますので、ご理解いただきたいと存じます。
以上でございます。
高橋 典子 君
保育園の民営化については、私自身、何が何でも民営化、民間が悪いと言っているわけではないし、そのように述べたつもりもありません。ただ、やはり保護者にとって、あるいは子供たちにとって利益というのが何なのか、これが具体的にきちんと示されるのかどうか、あと保護者の方たちが不安を抱いている、それに誠実に行政の側が答えているのかどうか、こういったことがしっかりと取り組まれなければならないと言っているわけです。これまでの交渉の様子を見ていると、なかなかそこのところが保護者の方たちとの合意がつくられていないように思えるものですから、このような質問をさせていただきました。
やはり市民から見れば、市役所の職員の方が説明されると、一見非の打ちどころがないように、場合によっては取り付く島のないような、そういったお話のされ方をされる場合があります。これだと保護者の方の共感は得られないと思います。本当に江別の保育の質を維持し向上させていくんだと、そういった視点に立って保護者の方に語っていくし、一緒に考えていくという姿勢が今求められていると思いますので、是非そういった視点に立って、江別の大切な子供たちにかかわる問題です。特に、横浜地裁判決の中で指摘されていた点でも、子供のけがですとか、その他の問題、夜泣きだとかそういったことが顕著に増えたということも指摘されています。保護者の方が安心してお子さんを預けることができなければ、やはり保護者の不安は子供にも影響してきます。是非そういう点はしっかり保護者の方たちの気持ちをくんで、誠実に対応していっていただきたい。結論をさきに持って、それに合わせてスケジュールを進めるようなことのないように、是非お願いしておきたいと思います。
次に、学力に関してですが、これも要望にとどめたいとは思いますが、やはり学力とは何なのかというところを根底のところからしっかり考えなければならないと思います。フィンランドの学力がどうしてあのように高く評価されているのか、そこのところもしっかり見ていただきたいと思います。子供にとって生きていく上で必要な力、学力というのは何なのか、国がこの間行ってきた教育政策というのが、様々な検討をしながら、だけど、それが果たして良かったのか、いろんな問題が起きているところから見ても、やはり文部科学省が行うことに間違いはないという信頼感がなかなか得られないんじゃないかと、私は感じているところです。
やはりこうしたことは、冷静に見詰めながら対応していくことも必要ですし、江別市教育委員会としては、やはりこの間慎重に物事を進められてきているかとは思いますけれども、今回の全国的な学力調査についても是非市民の中に余計な混乱を生じさせることがないように、その辺はしっかりとした対応をしていっていただきたいし、何かもし問題が起きるようなことがあれば、やはりそのほかの全国のあちこちの自治体の対応なども見ながら考えていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
副議長(小玉 豊治 君)
以上をもって、高橋議員の一般質問を終結いたします。
散会宣告
副議長(小玉 豊治 君)
本日の議事日程は全部終了いたしました。
これをもって散会いたします。
午後2時24分 散会