平成18年第1回江別市議会会議録(第2号)平成18年3月9日 11ページ
6 議事次第の続き
一般質問の続き
副議長(小玉豊治君)
赤坂議員の一般質問に対する答弁を求めます。
市長(小川公人君)
赤坂議員の一般質問にご答弁を申し上げます。
まず、道の財政再建計画の影響についてでありますが、道では平成16年8月に財政立て直しプランを策定し、平成17年度から平成19年度までを集中対策期間、平成20年度から平成26年度までを構造改革期間として、道単独事業を中心とする事業の見直しを進めてきております。
現在、北海道市長会を通じて示されている平成18年度における道単独事業の見直し項目は46件で、そのうち本市に影響があると考えられる項目は国民健康保険健全化対策事業をはじめとする8件であり、その影響額は、現段階での試算では1,150万円程度の負担増になるものと見込まれるところであります。
次に、本市の財政見通しについてでありますが、この1月18日に示された国の構造改革と経済財政の中期展望の2005年度改訂版によれば、政府として、2010年代初頭における国・地方を合わせた基礎的収支、いわゆるプライマリー・バランスの黒字化に向け、平成19年度以降も歳出の抑制と歳入の在り方の一体的改革を進めていくこととされております。
このため、平成19年度においては、実質経済成長率を1.8%と見込んだ場合、経済成長による税収増が見込まれるとともに、税源移譲による影響もあるため、地方交付税等についてはマイナス18.5%に抑制するとの考え方が示されております。
こうしたマクロの見通しによって当市における影響額を見込むことは極めて難しい状況でありますが、いずれにいたしましても、市税は増加するものの、地方交付税は大幅な減額が見込まれるところでありますので、今後とも行政評価や事務事業の見直しによる事業の重点化と事業費の精査を進めていかなければならないものと考えております。
次に、顔づくり事業に係る本市の負担分は、現段階の本市の試算では、総体事業費376億円のうち、113億円程度と見込んでいるところであります。これらの事業費に係る市債の額は、対象事業の具体的な内容が明らかになった時点で、起債の種別などと併せて事業内容に即して検討していくことになりますが、現段階の試算では、おおむね2分の1程度の60億円と見込まれるものであります。
この60億円の市債を単純に15年の事業期間で割り返しますと、単年度の平均起債額は4億円と想定されるものでありますが、これを平成19年度以降の15年間にわたり借入れを続けた場合、現在の利率等を前提とした償還シミュレーションでは、平成36年度から平成38年度に掛けて償還のピークが訪れ、その償還額は各年度3億7,000万円程度となると見込まれるものであります。
次に、今後の起債償還額とそのピークについてでありますが、年20億円の借入れベースのシミュレーションでは、既発債の償還と合わせた場合、年度間で若干の増減はあるものの、平成30年度ころまで毎年1億円から2億円程度減額し、顔づくり事業の起債償還のピークとなる平成36年度から平成38年度の時点では、25億円程度の償還額になるものと想定されるところであります。
また、ごみ処理施設関係の起債償還額は、おおむね6億3,000万円程度でありますので、これが終了する平成30年度以降は、この分が減額となるものであります。
なお、本市におけるプライマリー・バランスを考える場合、現段階では毎年度の起債発行上限額をおおむね40億円程度とすることが望ましいものと考えられますが、今後とも事業費の精査と平準化を図り、将来の償還を見越した中で計画的な市債発行に努める必要があるものと考えております。
次に、基金の活用についてでありますが、各年度の予算編成に当たっては、第一義的には時代に即した事務事業の再構築を進めることによって一般財源を生み出していくことが重要であり、さらにその上で、将来にわたる積立てとの兼ね合いなども勘案しつつ、それぞれの目的に応じた基金の有効活用を図っていくことが必要であると考えております。
こうした財政運営を進めることによって、単に財政を取り巻く状況を所与の条件とすることなく、新たな行財政体質をつくり上げ、持続的な都市経営を推進してまいる所存でありますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、市民医療確保と経営についてのご質問でありますが、私の方からは医師の確保についてご答弁申し上げます。
医師確保につきましては、一般質問や予算特別委員会、決算特別委員会でご答弁申し上げておりますように、当院の経営健全化にとりまして最優先課題であり、これまでも全力を挙げて取り組んできているところであります。
当院の医師確保につきましては、大学医局に全面的に依存しておりまして、私をはじめ病院長も大変苦慮しているのが実態であり、そのことは当院ばかりではなく、どこの自治体病院や民間医療機関におきましても深刻な状況にあります。
北海道の平成15年度医療監視によりますと、医療法に定める標準医師数を満たしている、いわゆる医師数適合率は、道内病院では56.7%であり、全国平均の81.3%を大きく下回っております。また、道内の市町村立病院を見ますと、17.5%と極めて低い水準にあり、自治体病院における医師確保の厳しい現実を示す結果となっております。平成16年度から始まりました新医師臨床研修制度の影響から、大学医局さえ医師不足の状態にあり、診療科によっては関連病院から医師を引き揚げざるを得ない状況にあります。
これまでの当院の医師の充足状況を見ますと、医療法に規定されている医師数は確保できないものの、北大及び札医大等のご支援をいただいて、一定の診療体制は維持できております。とりわけ、平成13年度から平成15年度までの間に8名の医師が自ら開業し、又は民間医療機関に転出いたしましたが、その後任医師につきましては何とか確保してきたところであります。しかし、新医師臨床研修制度が導入された以後においては、退職医師の後任は先ほど述べました医局の事情から補充できない状況になっており、この傾向は今後ますます顕著になっていくものと判断しております。
いずれにいたしましても、病院経営にとりまして医師確保は最優先課題でありますので、あらゆる手段、あらゆる機会をとらえて最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
次に、医師の過重勤務についてでありますが、通常勤務に加え、当直や宿直などが医師の過重労働を招き、議員が紹介されましたように社会問題となっており、この背景には医師不足問題が厳然として横たわっているわけであります。この抜本的な解決策としては、医師確保に尽きるわけでありますが、この実現には、一つの自治体病院の問題ではなく、医師の需給見通しなど国の医療政策の動向に待つところが大きいと考えております。
当病院においても、ご案内のように夜間急病診療所を併設していることから、そのバック・アップ体制としての二次救急医療の受入れのため、内科系医師及び小児科系医師が通常の勤務後において1年・365日、当番と拘束体制を強いられておりますが、このようなことは他の自治体病院では見られないことであり、当院の医師に重い負担を掛けているところであります。
この解決策としては、端的に言えば医師確保ということになりますが、当院としてできることは、夜間急病診療所の運営方法の検討や福利厚生面の充実など、医師が意欲を持って医療に当たれる環境づくりについて、可能な限りの取り組みをしていかなければならないと考えております。
次に、民間開業医との収入ギャップについてでありますが、民間医療機関に勤務する医師や開業医との報酬については、勤務地の地理的条件や診療科、勤務内容等それぞれ異なっておりますことから、単純な比較は難しいかとは思いますが、厚生労働省が実施する医療経済実態調査の結果を見る限り、国公立病院の勤務医より医療法人や個人開業医の収入の方が高くなっております。
医師の労働に対する対価の点、とりわけ医師のモチベーションを高める給与制度として、近隣の岩見沢市や砂川市では、診療報酬実績額の一定割合を医師の役割別又は均等に特殊勤務手当として支給しております。全国的に見ても、医師個人の診療収益に応じた手当を支給している自治体病院があり、診療科による患者数の違いや医療行為の密度など様々な評価の視点がありますが、医師の診療意欲を高める給与制度であると理解しております。このことについては、当院においても総合的な観点からの見直しが必要な時期に来ていると考えておりますので、各医師の率直な意見を聴く中で早急に検討してまいりたいと考えております。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あと、このほかにつきましては、建設部長ほかをもってご答弁を申し上げます。
建設部長(丸山隆二君)
私から、公営住宅建設と借上げ補助制度と除排雪の課題の2件についてご答弁申し上げます。
まず、公営住宅の民間住宅借上げ制度についてでありますが、国土交通省は公営住宅整備について、平成8年の公営住宅法の一部改正により、従来の直接供給に加え、民間事業者の参加を可能にした買取り公営住宅や民間借家の借上げ公営住宅の制度を整備したところであります。
これら制度における市及び事業者双方のメリット・デメリットなどについては、一定の整理を終え、問題点の把握をしているところでありますが、全国的に見ても、大都市圏での実施はあるものの、地方都市におきましては、施設基準の規定や一棟単位の借上げ等の厳しい条件から、進んでいないのが現実であります。市といたしましても、様々な角度から更に慎重に取り組むべきと考えているところであります。
次に、PFIなどによる公営住宅建設の可能性についてでございますけれども、これにつきましては、これまでも検討を行ってきたところであります。市にとってのメリットとしましては、事業者によります建設費の調達や、事業者の企画力、技術力の活用及び事業によります税収が見込めることなどがあります。今後におきましては、PFIをより活用しやすい税制改正等の推移を見守るとともに、住宅管理における双方のリスク分担や事業者の長期継続性の確保などについて、引き続き検討してまいりたいと考えております。
次に、既存民間アパート入居者への家賃補助制度につきましては、国の補助制度がなく、市独自の住宅政策として取り組むには余りにも大きな負担を伴いますことから、現状では大変難しいことと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、除排雪の課題についてでありますが、ご案内のとおり、今冬は全国的にも大雪となり、気象庁が43年ぶりに平成18年豪雪と命名したと報道されておりますが、江別市におきましても、1月上旬と2月上旬には短期集中型の記録的な大雪に見舞われ、2月5日には積雪量もピークとなり、昭和55年以降4番目となる145センチメートルに達したところであります。
さらに、気温も平年より低かったことから、1月上旬から2月中旬に掛けては昨年を上回る積雪量で推移し、これまでの幹線排雪及び自治会排雪の運搬量も、観測史上2番目の降雪を記録した昨年を上回る運搬量となっており、このため道路幅員の確保に時間を要したものでございます。
議員ご指摘のとおり、今後は、公共事業の縮減などにより、関連業種であります運搬トラックなどの増強も厳しい状況にありますことから、幹線排雪の早期着手や、希望日が2月に集中する自治会排雪の平準化等につきましても検討してまいりたいと考えております。
また、冬期圧雪等による路面管理につきましても、緊急車両の走行に支障のないような除雪に努めるとともに、さらには間口の置き雪処理、路上駐車や雪出しにつきましても、市民への啓もう、啓発を機会のあるたびに行い、雪国の暮らし方を見詰め直してもらうよう努めたいと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
以上でございます。
消防長(小島満君)
私から、冬の防災安全対策についてご答弁申し上げます。
最初に、集中降雪による事故事例についてでありますが、例年は数件の出動しかありませんでしたが、本年は、1月上旬から2月中旬に掛けて屋根からの落雪事故などが相次ぎ発生し、昨日までで20件の出動がございました。この出動の中には、新聞報道等で既にご承知かと存じますが、2月15日には酪農学園大学構内で屋総からの大量の落雪により1名の方が亡くなられる痛ましい事故が発生しております。また、市内各所の一般住宅においても、11名の方が自宅屋根の雪下ろし中、落雪により転落し、うち2名の方が雪に埋まり、付近住民の方々に救出されております。
次に、道路通行対策についてでございますが、集中降雪時において緊急車が現場へ出動する際に、積雪により通行に支障が出た場合などは、市土木事務所及び除雪センターなどの関係機関と緊密に連絡を取り合い、連携して災害活動に支障の出ないよう対応を図ってきたところであります。しかしながら、残念にも予想を超える積雪障害により通行できなくなった救急事案が3件ございましたが、別ルートからの対応を図り、幸いにも大事には至りませんでした。
次に、緊急出動の減少についての所感をとのことでございますが、当市での災害及び救急での出動件数は近年増加の一途をたどっておりましたが、昨年1年間の災害や救急車などでの出動総件数は、15年ぶりに前年より299件減少し、4,015件となっております。これらの減少要因につきましては、昨年は一昨年に比べ台風被害や大きな事故、また、インフルエンザ等の流行などがなかったことが要因と考えております。
いずれにいたしましても、近年は自然災害はもとより、社会・経済情勢の著しい変化を背景に災害の態様も複雑多様化する傾向にあり、このような状況の下、消防の担う役割と市民の消防に寄せる期待は従来にも増して大きなものとなってきていると認識しております。今後もその期待にこたえるためには、消防関係者の一人ひとりが消防人としての自覚と誇りを持ち、消防の果たすべき役割を強く認識するとともに、あらゆる災害に即応できるよう新しい知識の習得や技術の向上に努め、住民の防火・防災の知識の高揚を図るなど、地域に密着した活動を行っていくことが大切であると考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
以上でございます。
病院長(宮本宏君)
私の方から、病診連携と紹介率の向上策ほか2件についてお答えいたします。
最初に、病診連携と紹介率の向上策についてのご質問でありますが、今後、医療は病診機能分化により、地域全体として最適な医療を提供していく必要があり、当院は地域の中核かつ自治体病院としての役割を担っており、この意味からも病診連携を進めていかなければならないと考えております。
紹介率は、ご指摘のとおり17%前後を推移しておりますが、診療科別に見ますと、麻酔科、神経内科、精神科、循環器科、呼吸器科、消化器科などは26%から34%と比較的高い紹介率となっており、今後とも当院の強みを発揮することにより、全体としての向上につなげていきたいと考えております。
また、議員ご指摘のように、何よりも開業医との信頼関係を築くことが重要でありまして、新任医師が着任した際には、専門分野の紹介や当院の診療内容にかかわる情報を掲載した地域医療連携だよりを定期的に発行しているほか、医師会との共同による地域連携講演会や症例検討会の開催を通じて、市内外の開業医との病診連携を強めていく機会にしたいと考えております。
また、坂出市立病院を視察されたとのお話でありますが、退職、開業というマイナス環境を逆に強みに転ずる機会になるとのご指摘かと理解しておりますが、現に当院への紹介件数の多い診療所は当院のOB医師であることから、十分うなずける見解と判断しておりますので、今後とも一層の紹介をいただけるよう協力を要請してまいります。
次に、精神科病棟の1病棟化による影響と効果についてのご質問でありますが、精神科病棟の1病棟化は、入院中心だった精神疾患・障がいへの対応を在宅や地域生活中心に転換する国の精神保健福祉施策の基本的な方針に沿うものであり、また加えて、経営的な視点を踏まえて実施しようとするものでありますことにご理解を賜りたいと存じます。
まず、1病棟化の影響でありますが、平成16年度ベースで試算いたしました収支不足額は7,400万円であり、さらに一般会計からの繰入金を除いた純粋な不足額では2億1,400万円の状況にあります。
1病棟化による効果でありますが、病床数減少による入院収益より費用の減少額が多いため、約4,000万円の収支改善を見込んでいるものであり、作業療法、デイケアなどにつきましては、後年次において約3,000万円の増収を見込んでいるものであります。
また、一般会計からの繰入れでは、精神医療スペースに係る建物の元利償還額については所要額の全額を、運営費については、その収支差を基本にしているものであります。
次に、当市も含めた道内22市の市立病院の経営状況について、平成16年度実績で申し上げますと、単年度及び累積とも黒字の病院は岩見沢市と砂川市の2市でありまして、苫小牧市が単年度で黒字でありますが、累積では赤字になっております。また、残る19市は単年度、累積とも赤字の状況にあり、そのうち9市で不良債務が発生しているなど、赤字経営下に置かれている病院が多い状況にあります。
各病院とも地域の事情、地理的条件などがあるため、一概に比較をすることはできない面もありますが、特に黒字の岩見沢市立病院を例にしますと、病床利用率が98%以上で診療収益も多く、この辺りが赤字の病院との違いとして数字に表われているものと分析しているものであります。
以上でございます。