平成17年第2回江別市議会会議録(第4号)平成17年6月22日 5ページ
6 議事次第の続き
議案第52号ないし議案第59号及び陳情第6号ないし陳情第8号
議長(岡村繁美君)
日程第18ないし第28 議案第52号 江別市児童福祉施設設置条例の一部を改正する条例の制定について、議案第53号 江別市子育て支援センター条例の一部を改正する条例の制定について、議案第54号 江別市青少年会館条例の一部を改正する条例の制定について、議案第55号 江別市子ども発達支援センター条例の一部を改正する条例の制定について、議案第56号 江別市ふれあいワークセンター条例の一部を改正する条例の制定について、議案第57号 江別市老人憩の家設置条例の一部を改正する条例の制定について、議案第58号 江別市高齢者福祉施設条例の一部を改正する条例の制定について、議案第59号 江別市保健センター条例の一部を改正する条例の制定について、陳情第7号 精神障害者通院医療費公費負担による5%の医療付加給付金の支給の継続を求めることについて、陳情第8号 だれもが安心して利用できる介護制度の実現を国に求めることについて及び陳情第6号 精神障害者の交通費助成を求めることについて、以上11件を一括議題といたします。
厚生常任委員長の報告を求めます。
厚生常任委員長(植松直君)
ただいま上程されました議案第52号 江別市児童福祉施設設置条例の一部を改正する条例の制定について、ほか7件及び陳情3件につきまして審査の経過と結果を報告いたします。
これらは、いずれも今期定例会の初日に付託されたもので、委員会の開催日はお手元に配付の付議事件審査結果報告に記載のとおりであります。
初めに、指定管理者制度導入に関連する8件の条例改正についてでありますが、担当部局からは所管の8施設について条例の一部改正に伴う新旧対照表などの説明があり、なお、平成18年4月からはふれあいワークセンター及び高齢者福祉施設については公募を導入し、あかしや保育園及び保健センターについては施設の管理業務について公募導入することで、それに向けて選定、指定の手続を進め、指定管理者による施設管理に向けて検討しているとのことであります。また、公設民営という運営形態をとっているあかしや保育園を除く六つの保育園及び子育て支援センターすくすくについては、条件が整った段階で指定管理者を公募導入することを検討しているとのことであります。
主な質疑の概要を申し上げますと、あかしや保育園を除く六つの保育園では、指定管理者の導入時期に関して質疑があり、答弁では、保護者の理解が不可欠であり、環境が整った段階での導入を考えている。保護者に対して公立保育園の現状の説明や意見交換を行っており、これらの積み重ねにより環境を整えていきたいとのことであります。
また、子育て支援センターすくすくでは、子育て支援は地域に十分浸透していない。指定管理者の導入によって浸透を促進することができるのかとの質疑があり、答弁では、市の施設として子育て支援を行う機能のほか、地域の子育て支援センターの中核センター、保育園など各施設との連携、事業等のコーディネート機能、ボランティアの養成、子育てサークルの育成などの役割を担っており、現状では市が直営で行うことが適切であると判断し、今後新しいシステムなどを構築し、そのことから今まで以上に地域に浸透を図り、市民の理解が得られた段階で導入したいとのことであります。
また、デイサービスセンターあかしや、いきいきセンターさわまち、いきいきセンターわかくさの三つの高齢者福祉施設では、現在、管理委託となっているが、指定管理者も管理のみを行うのかとの質疑があり、事業を含めた管理を想定しており、各センターはデイサービス機能などを有していることから、持っている機能を使い事業を展開することになると答弁されました。
次に、討論の概要を申し上げます。
賛成の立場の委員からは、議案第40号の公の施設の指定管理者の指定の手続等に関する条例の制定との関連において、個別施設の設置条例を整備しようとするものであり、その範囲において反対するものではない。福祉関連の公の施設は児童福祉、高齢者福祉の中核を担ってきたもので、特に市立保育園は行政が直接保育園の運営をすることで、保育条件、保育の内容に責任を負う施設として市全体の保育水準を維持する役割を果たしてきている。市の政策を推進する視点で、施設の設置目的に沿った運営が行えるのか、市民の利益が守られるよう市が状況を把握し切れるのかなどを見極める必要があり、安易な経費削減に走ることなく、市民の声が反映され、真に良質なサービスが提供されるよう監視していくことを申し上げ、賛成する。
同じく賛成の立場の委員から、指定管理者制度の導入は、少子高齢化に伴う財源の縮小が要因であり、市民サービスの向上も目的である。市民サービスが向上するよう確実に準備を進め、市民や事業者などがこの制度を十分理解できるように努めてほしい。財源の効率的な運用が可能と考えられ、市民と各事業者の協力による、より良い協働社会の実現を期待し、賛成する。
以上のような討論を踏まえ、採決を行った結果、議案第52号ないし議案第59号は、いずれも全員一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、陳情第7号 精神障害者通院医療費公費負担による5%の医療付加給付金の支給の継続を求めることについて及び陳情第8号 だれもが安心して利用できる介護制度の実現を国に求めることについてでありますが、国会における介護保険法及び障害者自立支援法の審議及び国の動向、さらにこれらに伴う市の施策事業等への影響などを見据える必要があります。協議の結果、全員一致でさらに審査の必要があると決しました。閉会中の継続審査をお願い申し上げ、審査の報告といたします。
次に、陳情第6号 精神障害者の交通費助成を求めることについて、審査の経過と結果を報告いたします。
審査におきましては、担当部局に対して、精神障害者保健福祉手帳交付状況や入院、通院の状況、道内他市の交通費助成状況など関係資料の提出を求めて質疑を行いました。また、理事者の出席の下、精神障がい者への助成制度の考え方について質疑を行っておりますので、それらの概要を申し上げます。
初めに、担当部局との主な質疑であります。
交通費助成制度の比較では、精神障がい者と身体障がい者、知的障がい者では不公平感があるが、どう考えるかとの質疑に対しては、国の制度上、不公平感があるものと認識しており、平成14年には江別市議会も交通費助成を求める意見書を国へ提出し、全国市長会も国へ是正を求める要望をしてきており、総務省においても国土交通省、厚生労働省へ文書をもって是正を求めているとの答弁がありました。
平成15年の同趣旨の請願における委員長報告に、精神障がい者に限定した交通費助成の研究、検討を求める意見を付したが、どう検討してきたかとの質疑に対しては、これまでの委員会の意見や審議内容を十分踏まえて、昨年に交通費助成が可能かどうか検討した中で、現状では制度としての交通費助成は困難であるとの結論に達したとの答弁がありました。
また、議会の趣旨採択が長い期間続いているが、一歩でも結果に反映されるべきではないかとの質疑に対しては、個人への直接的な給付という視点ではなく、家族会の運営やグループホームの支援など全体が共有できる視点で支援していきたいとの答弁がありました。
次に、理事者質疑についてその概要を申し上げます。
障がい者への一定程度の助成制度が必要と考えるが、どんな方向で障がい者を支援しようとするのかとの質疑があり、地域社会全体で障がい者を理解し、支えることが必要であるが、限られた財源の中では厳選して施策を実施せざるを得ない。今後においては、障がい者団体が実施する相談窓口への支援、障がい者ケアマネジメント体制の確立、共同作業所の拡充による自立と就業への支援を考えていきたいとの答弁がありました。
交通費助成の必要性を訴えている障がい者の立場に立ったときの施策の優先度をどう考えているかとの質疑に対しては、障害者自立支援法案の動向を注視しながら、障がい者の自立と就労に結び付く基盤整備を進め、個々の施策ではなく福祉全体の底上げを図ることが一番大事であり、そこに視点を当てた支援をしていくと述べられました。
障がい者が生きがいを感じ、それなりの報酬を得ることができる働く場の確保に取り組むべきではないかとの質疑に対しては、共同作業所を生活型から訓練型にして、人数を拡大し充実を図ることで就労につなげ、自立への道筋を付けていきたいとのことであります。
地方税法改正で税収が伸びていると聞くが、障害者自立支援法による方向性が固まった時点で助成を検討する考えはないかとの質疑に対しては、福祉の予算規模は膨らんできており、全体に占める福祉のウエイトは大変大きく、限られた財源の中では優先度、貢献度を考えざるを得ないとの答弁がありました。
以上のような質疑を経て結審に至っておりますが、次に討論の概要を順次申し上げます。
まず、不採択とすべき立場の委員からは、願意は十分理解できるが、新たな財源措置は困難であること、障がい者に対する根本的な施策は国が総合的に検討し、早急に是正、改善すべきであること、また行政が個人に直接、経済的援助をする時代ではないと認識する。精神障がい者については、本人確認の手段、手法の面で難しい問題があり、先進国では行政はもちろん、地域や市民団体等が主体となって支援するシステムが確立されており、福祉に対する国民の意識も高いとされており、歴史が違うものの、日本の福祉の在り方、考え方が後れていると思える。行政は市民、企業、地域等で組織される団体等に一定の支援をし、民間活力による充実した福祉事業を推進させ、相互扶助の精神を高めていくことが求められる。福祉事業の改善、改革については国をはじめ関係団体に対し、議会、行政が強く働き掛けることが必要であり、福祉事業の施策が変化する中で障がい者に対する事業が後退しないよう一層の努力を要望し、不採択とすべきと述べられております。
次に、趣旨採択とすべき立場の委員からは、精神障がい者に対するサービスは他の障がい者と比較し制度化が後れていたが、現在国において身体・知的・精神の3障がいの共通した対策を一元化し、自立や社会参加に向けた社会福祉サービスの向上を目指すべく障害者自立支援法案が審議されている。市は本年、障がい者福祉計画を見直し、障がい者の総合的ケアマネジメント体制の確立や地域相談窓口の充実、さらには雇用、就業への支援など、福祉向上を図るための全体的な仕組みや包括的なサービスの提供を計画し、支援するとしており、市は限られた財源の中での施策の優先度、貢献度等を十分に参酌し、障がい者の自立や社会復帰・参加のための包括的な基盤整備による支援策が示された。
交通費の個々人への給付も支援の一つの手法ではあるが、それ以上に共同作業所の拡大や相談窓口の充実、就業への支援強化など全体の底上げ、包括的な基盤整備をすることが精神障がい者の積極的な社会参加の促進やノーマライゼーションをより地域に浸透させることになり、精神障がい者福祉全体のサービス向上につながると判断する。第一義的には、野党や関係団体からの修正や要望を取り入れた実効性のある障害者自立支援法による国の支援責任を明確にするとともに、市の精神障がい者への包括的な支援策の充実を期待し、趣旨採択とすべきと述べられております。
一方、採択すべき立場の委員からは、精神障害者保健福祉手帳によるサービスは、他の2障がいとは大きな隔たりがあり、国会審議中の障害者自立支援法案も不公平を具体的に示さず、利用者負担を原則1割とし、重い障がい者ほど自己負担が増えるやり方を押し付けるものである。市は、自治体の役割である住民の福祉の増進のため、何をなすべきかが問われており、障がい者福祉計画の障がい者が住み慣れた地域で安心し、生き生きと生活できるように支えていく具体的な実効性が求められている。
審査では、市はこれまでと同様に、財源確保が困難、施策の優先度が低い、国の動向を注視するとしているが、施策の優先度は当事者のニーズに基づき検討されるべきであり、財源がないからできないと言うのは責任放棄と言わざるを得ない。5年間にわたる精神障がい者と家族が望む交通費助成は切実であり、どうこたえるかは市の障がい者福祉の基本姿勢にかかわる問題であり、陳情者のしんしな声にこたえ、障がいのある者もない者も共に人が輝くまちづくりを進めるべきであり、採択すべきと述べられております。
以上の討論を経て採決を行った結果、陳情第6号については、多数をもって趣旨採択とすべきものと決しております。
委員会の審査経過と結果につきましては、以上のとおりであります。ご決定のほどよろしくお願いいたします。