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市立病院・地域医療検討特別委員会 平成30年11月15日(木)

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年3月29日更新

(開会前)

※ 日程確認

(開 会)

委員長(清水君):ただいまより、市立病院・地域医療検討特別委員会を開会いたします。(9:30)
本日の日程についてですが、2第4回定例会の委員長報告の有無については、3その他で行う予定の病院事務局に対する四つの課題に関する質疑が終わり、病院事務局が退室した後に行うこととし、そのほかは次第に記載のとおり進めてよろしいでしょうか。(了)そのように確認いたします。
なお、傍聴希望者がおり、入室を許可いたしましたので、報告いたします。
市立病院及び傍聴者入室のため、暫時休憩いたします。(9:31)

委員長(清水君):委員会を再開いたします。(9:32)
1市立病院所管事項、(1)報告事項、アの平成30年度上半期における新公立病院改革プランの指標管理についてを議題といたします。
本件に対する報告を求めます。

管理課長:平成30年度上半期における新公立病院改革プランの指標管理について御報告申し上げます。
お手元のA3判の資料をごらん願います。
この資料は、平成28年度に策定された江別市立病院新公立病院改革プランの中で、項目ごとに数値目標として記載されていたものについて、達成状況を確認するためにまとめたものであり、月ごとに各数値について集約し、病院内の幹部職員が集まる会議において、指標値を確認する資料として使用しているものであります。
なお、現在確認できている指標値は9月分までとなっておりますので、10月分以降の欄等が空欄になっていることについて御了承いただきたいと思います。
まず、地域医療における役割の項目のうち、1行目の紹介率については、計画指標41.0%に対し、4月は達成したものの、5月から9月にかけては前年同月の数値を全て下回る結果となっております。これは、内科医の診療体制の縮小に伴い、他医療機関からの紹介患者の受け入れが、特に8月以降、困難な状態になっていることが主な原因と考えております。
次に、2行目の逆紹介率ですが、計画指標22.0%に対し、4月から6月までは達成したものの、7月以降は前年同月の数値に比べて増加しておりますが、これは内科医の退職に伴う一時的な他医療機関への紹介患者の増の影響などがあることから、今後も推移を見守りたいと考えております。
次に、3行目の救急搬送患者数ですが、計画指標2,000人に対し、9月を迎えたところで、指標値の約4分の1の実績しかない状況でございます。これは、本年3月以降に内科医の退職による救急応需体制の縮小以降、現在も内科系医師の招聘が進んでいないことから、目標達成については相当困難であると考えております。
次に、4行目の手術件数ですが、計画指標1,987件に対し、4月から9月までの実績の合計が1,000件を超えており、月によっては前年同月の実績を30件以上上回っていることから、現状の外科系の医師体制を維持できれば、指標値の達成は可能であると推測しております。
次に、5行目の訪問診療件数ですが、計画指標1,000件に対し、4月から9月までの実績で344件と思うように件数が伸びておりません。これは、訪問診療に対応できる医師が事実上1人になったことによりまして、訪問診療の需要に対応しにくくなっていることが主な原因であると考えており、この点についても、医師招聘が大きな課題となっております。
次に、一番下の訪問看護件数ですが、計画指標4,000件に対し、4月から9月までの実績の合計が1,885件となっており、これも、内科の診療体制の縮小に伴い、訪問看護に適応する新規患者が伸び悩んでいることが主な原因と考えております。このため、現場では、当院に限らず、他医療機関からの訪問看護を応需することにより、目標達成に向けて取り組んでいるところであります。
次に、経営改善(月次管理)ですが、各項目のうち、下から2番目の平均在院日数(一般急性期)と一番下の後発医薬品数量シェア以外は、定例的に御報告しております経営状況の数値と同じものでありますので、詳細な説明は割愛させていただきますが、内科系医師の減少に伴い、患者数及び診療収益が思うように伸びず、結果、依然として経営改善は進んでいないものと認識しております。
次に、下から2番目の平均在院日数(一般急性期)ですが、計画指標12.0日をおおむね達成している状況であります。これは、病院長が直接、病院内の会議等を通じて、診療単価を下げずに平均在院日数を延ばし、病床利用率の向上と患者への余裕のある診療体制を構築することを目的に指示を出し続けてきた効果のあらわれだと考えております。
ただ、これをやり過ぎますと、診療単価の低下及び診療報酬の減少につながることから、バランスをとるのに非常に苦慮している現状でございます。
次に、一番下の後発医薬品数量シェアですが、この項目は前年度も目標を達成しており、今年度も全ての月において達成しておりますので、今後も推移を見守りたいと考えております。
以上です。

委員長(清水君):ただいまの報告に対し、質疑ございませんか。

相馬君:訪問診療については、4月から医師が1人体制ということですが、これまでの変遷をお伺いします。
また、訪問看護について、他医療機関の患者を受けることができるという説明がありました。市立病院だけでなく、ほかの医療機関からどのような流れで訪問看護の要請を受けているのか、確認いたします。

病院事務長:訪問診療に主に従事する医師ですが、総合内科の医師1人をメーンに行っている状況は変わっていません。この医師が1カ月間で50件前後の訪問診療を行っている状況に大きな変化はありませんが、このほかに総合内科の数名の医師が協力して、メーンの医師が対応できる件数を上回った分を担っていました。ただ、今回の内科医の退職に伴って、実質的にメーンで担う医師が1人になってしまったことから、訪問活動においても、非常に制約が出ているということです。制約が一番出るのは、訪問診療に伺っている患者が急変あるいは重篤になった場合で、当院におけるフォローアップの体制が弱くなっております。これが訪問診療を拡大する際の障害になっていると考えております。
2点目の訪問看護の質疑ですけれども、設置の環境を若干整理しておりますが、これは平成22年に独立した事業所として設置しておりますことから、介護保険事業所として、介護保険の訪問看護サービスの提供依頼を受けることが可能であります。
今行っているのは、ほとんどが当院のケースです。ただ、いろいろな御相談があった場合に、当院の訪問看護サービスを提供しているケースが従前からありました。当院とほかの訪問看護ステーションとの違いと売りは、医療に密着した訪問看護ステーションということです。病院併設型のステーションは市内で当院だけですので、当院に依頼してくるケースがふえつつあると聞いております。

相馬君:訪問診療について、フォローアップが厳しい状態にあるとのことでした。ほかの総合内科医は、訪問診療に余り携わっていないけれども、患者が急変したときにはフォローアップが可能な状態なのか、確認いたします。

病院事務長:もちろん可能な状態ですが、マンパワーが不足していることから、状態によってはやむを得ず他医療機関にお世話になるしかないケースがふえているという実情です。

委員長(清水君):ほかに質疑ございませんか。

内山君:今年度に入ってから、救急搬送の受け入れ日数が減っているので、患者が減っているということです。
実際に受け入れている患者数が資料に記載されているのですが、この中で、入院する患者の割合やほかの医療機関に入院する患者、通院を必要としない患者など、そのあたりの割合はどのような状況なのでしょうか。

医事課長:本日、手元に資料がありませんので、詳細な割合はお答えできませんが、救急で応需した患者のうち、おおむね6割の患者が入院しております。それ以外の患者については、診た後に帰宅されて、後日、外来にお越しいただくか、他医療機関に搬送するか、それから、残念ながら当院でお亡くなりになる方も少数います。ほとんどの患者は、それほど緊急性が高い病状ではなく、そのまま帰宅されて、後日、当院の外来にお越しになるというケースでございます。

内山君:それは以前から大体同じような傾向でしょうか。

医事課長:委員がおっしゃるとおり、割合や状況は以前から同じ傾向でございます。

委員長(清水君):ほかに質疑ございませんか。

岡村君:江別市立病院経営健全化評価委員会の委員の皆さんに、江別市立病院経営健全化計画の進行管理を中心に検証していただいていると理解しています。検証が終わった後は、必ず市長に説明をして、具体的に市長から意見を聞いてこられたのでしょうか。

事務局次長:江別市立病院新公立病院改革プランの指標の関係ですが、江別市立病院経営健全化評価委員会には、江別市立病院新公立病院改革プランの策定にかかわっていただきましたし、指標の管理も江別市立病院経営健全化評価委員会の中で評価していただいている状況でございます。
市長への報告ですが、江別市立病院新公立病院改革プランの指標の個別の項目を一つ一つ詳細に報告した経過はございません。ただ、経営全体の状況といいますか、入院の診療収益や患者数の推移など、指標管理に載っている項目で大きく変動している部分をピックアップして適宜報告している状況でございます。

委員長(清水君):ほかに質疑ございませんか。

赤坂君:紹介率と逆紹介率の関係についてお伺いします。
診療科目別の紹介率と逆紹介率はわかりますか。例えば、紹介率は今年度の計画が41.0%で前年度の実績が37.4%、逆紹介率は今年度の計画が22.0%で前年度の実績が18.2%であり、平成29年度より落ちている月があります。しかし、4月以降、横ばいか若干高い月があり、これは、ほかの医療機関に紹介しているのではないかと推測されます。逆に言うと、紹介率は総合内科医が少なくなってもそれほど変化がない、つまり、総合内科にかかりつけ医からの紹介がもともと少なかったのではないかと推測されますが、特に総合内科に対する紹介はどのくらいあるのですか。

事務局次長:診療科目別の紹介率ですが、手元に詳細なデータがありませんけれども、現在、全体の患者数が減っているものですから、分母、分子がともに減っており、率自体はお示しした数字になっているところです。
診療科別の紹介率は、私の記憶では、もともと患者が少ない診療科については、月ごとの分母と分子が少ないので、非常に乱高下します。
総合内科も、患者の母数自体は多いのですが、患者数の紹介率は、月ごとの変動が非常に激しくて、一概に一定の傾向があるというのは見えなかった記憶があります。総合内科の紹介率は、これまでと今は大きく変わっていないのではないかという印象を持っております。

赤坂君:ここが後段にもかかわってくる非常に重要なことだと思います。
産婦人科、整形外科、外科などは、一般的にかかりつけ医や個人病院から紹介があり得ると思います。とすると、やはり総合内科に対する紹介については、江別市立病院新公立病院改革プランあるいは江別市立病院経営健全化計画で過去にいろいろと触れられていますので、そこをかみ砕いて説明する必要があるのではないかと思います。今言ったように、例えば、逆紹介率は4月に高くなっています。とすると、やはり体制的なものが影響しているのかという疑問がありますが、それについてはどうですか。

事務局次長:逆紹介率についてですが、これも印象の話になって申しわけございませんが、確かに内科の体制が弱体化しておりまして、なかなか継続して診療ができない、あるいは、当院の内科から体制が整っている他の医療機関に紹介することがございます。これについては、患者から、続けて市立病院に通院できないかという苦情がございます。その印象からすると、やはり内科の逆紹介率は一定程度上がっていると思います。
4月の数字は26.6%で、これまでの月と比べると高いのですが、どうしても分母、分子ともに減っている傾向から、今の当院の状況で2%という数字がそのままストレートに反映しているかというと、月ごとに変動があるものですから、なかなかそこまで断言し切れません。

赤坂君:診療科目ごとの積み上げが病診連携の根幹にかかわるという意味で聞いていますので、また後段でお尋ねしたいと思います。

委員長(清水君):ほかに質疑ございませんか。

清水君:訪問看護における医業収益は、病院経営全体でどの程度なのか、お聞きいたします。

副委員長(赤坂君):暫時休憩いたします。(9:56)

※ 休憩中に、答弁調整を行う。

副委員長(赤坂君):委員会を再開いたします。(9:56)

医事課長:医業収益全体に占める訪問看護の収益割合は、おおむね0.8%でございます。

清水君:訪問看護単独で見た場合、収支バランスはとれているのですか。

医事課長:訪問看護単独で言いますと、残念ながら収支は赤字で、収支バランスがとれていない状況でございます。

清水君:私自身が調査して発言しているわけではなくて、聞いた話で大変申しわけないのですけれども、市立病院の収益を看護師数で割ると、看護師1人当たりの収益がかなり低いという話を聞いていますが、そのあたりは事実なのでしょうか。

事務局次長:看護職員の配置にかかわる診療報酬の基準がございまして、当院は7対1の急性期病院の入院基本料をとっております。地域包括ケア病棟についても、それに応じた基準がございまして、一定数の看護師を確保しなければなりません。一方、診療収益は、患者数の減少が続いていますので、残念ながら落ちております。職員数は基準を満たすために一定程度必要ですので、それを割り返すと残念ながら1人当たりの収益は少ない計算になります。今の病棟配置でいきますと、どうしても一定の人数が必要になりますので、それに応じた収益がなければ、御指摘のように数字は下がるという計算になります。

清水君:厚生労働省の職員と話したときに、公立病院全体の特徴として、押しなべて問題点として挙げられるところは共通しているけれども、市立病院で特筆されるのはそのことだという指摘がありました。病院事務局として、その意識があるのでしょうか。人件費比率にかかわってくる大きな問題であるという認識が今まであったのでしょうか。ただ、看護師数は7対1と言われても、7人の患者に対する1人の看護師の人件費はどのくらいの金額になるのか、経営上の問題になると思いますが、そのあたりの認識がこれまであったのかどうか、お聞きします。

事務局次長:急性期医療を提供するのが市立病院の責務だと思っております。急性期医療の提供ということになると、7対1の看護体制になり、診療単価が上がります。もう少し下の職員配置基準をとりますと、確かに職員の配置は少なくて済みますが、急性期医療の提供体制は後退することになります。急性期病院としては、急性期医療を提供して高い診療報酬を得るために、7対1の職員配置を行ってきたので、それに応じた患者数を確保しなければならないという経営方針です。現状では、体制は整っておりますが、残念ながらそれに応じて患者数がふえていないので、診療収益が伸びず、経営がうまくいっていないと考えております。

副委員長(赤坂君):ほかに質疑ございませんか。(なし)
以上で、本件に対する質疑を終結いたします。

委員長(清水君):これをもって、市立病院所管事項を終結いたします。
次に、3その他について、皆様にお諮りいたします。
前回の当委員会で、市立病院が担うべき役割、病診連携のあり方、医師の確保、経営形態の見直しについての意見交換を踏まえ、今後の当委員会の進め方について協議したところ、病院事務局に対し、これらの課題について質疑を行い、さらに検証を進めたいという御意見をいただきました。
本日は、この四つの課題について、病院事務局に質疑することとしたいと思いますが、そのように進めてよろしいでしょうか。(了)そのように確認いたします。
進め方につきましては、課題を一つずつ質疑してまいりますが、それぞれが関連しているため、複数の課題にわたる観点からの質疑もお受けすることとしたいと思いますが、そのように進めてよろしいでしょうか。(了)そのように確認いたします。
なお、意見交換の補足等を加えた発言概要につきましては、本日の議事が円滑に進むよう、正副委員長において協議の上、参考として各委員及び市立病院事務局に事前配付しております。
それでは、初めに、市立病院が担うべき役割について質疑ございませんか。

岡村君:前回の当委員会で、委員同士で意見交換をさせていただいて、その論点については、病院事務局にも情報が入っていると聞いていますので、重ねてお話ししないように心がけます。
改めて言うまでもなく、市民の医療を守る中心的役割を期待され、それを担っている市立病院ですが、その役割を十分果たし、市民の期待に応えているのかどうか、この間、検証させていただきました。総括的にお聞きしますが、この間、いわゆる平成18年問題を克服しながら努力をしてこられました。方針として、平成30年度までの江別市立病院経営健全化計画をお示しいただき、進行管理については、有識者である江別市立病院経営健全化評価委員会に検証していただきながら、病院経営と市立病院の役割を果たすために努力されてきたと思います。ただ、経営実態と役割が機能しているのかという意味では、さまざまな課題が明らかになっております。一番大きな課題は医師確保になりますが、それ以外でやれることをしっかりとやっていかなければならないと思っていますので、お聞きします。
江別市立病院経営健全化計画の進行管理について、当初、計画を策定したときの資料が手元にあります。大変な項目で、具体的な目標数値が入ったところがたくさんあり、この後の病診連携にかかわることも数字であらわされています。江別市立病院経営健全化評価委員会でも年度ごとの評価をしていたのかどうか、私が調べた限りでは見当たりませんが、まず、江別市立病院経営健全化計画の進行管理をどのように行ってきたのか、お伺いいたします。

管理課長:江別市立病院経営健全化計画を策定した後の評価についてですが、お話があったとおり、江別市立病院経営健全化評価委員会の委員には、今は主に江別市立病院新公立病院改革プランになってから数値の管理をしていただいているのですけれども、それぞれ掲げた目標に対して、記述式ですけれども、行動プランという形で一定程度項目を設けて、それについて、病院内の各部署でどこまでできたか、年度の実績が出た段階で報告しております。
その中で、できた部分、できなかった部分について、簡単な指示をいただくことはこれまでもあったのですが、記述式の目標管理だったものですから、数値目標について、どこまでできたかという評価をしていなかったため、結果がどうだったかという評価が難しい点があったと考えております。

岡村君:市立病院の役割という項目での質疑ですが、江別市立病院経営健全化計画では基本目標が4項目、具体の項目で46項目にわたる課題を抽出しながら、目標を持って努力をして、そのことによって市立病院の役割を果たしていくと理解しています。議会の課題でもありますが、これだけ具体的なことを示し、進行管理する中で、今年度が終わって全体でどうだったのか、そのようなことが一覧でわかるような評価を所管委員会や江別市立病院経営健全化評価委員会に報告して意見を求めてきたかというと、なかなかそのように見ることができませんでした。そういった意味では、私は、何のための江別市立病院経営健全化計画だったのか、ほとんどが棚上げされていたと思わざるを得ない点が幾つかあると感じています。
先ほど、江別市立病院経営健全化評価委員会が終わった後、市長にきちんと報告しているのかとお伺いいたしましたが、市長は、市民の医療を守る診療体制をつくるために市立病院を設置したわけです。もちろん具体的には企業会計と一般会計という立場の違いがありますから、そこをわきまえつつも、市民の医療を守るという大きな行政政策の柱である市立病院の役割というのは、市立病院に任せておいていいものではなくて、市長は、いつも市立病院の状況や市民の動向を見ながら、適宜、市立病院に意見をしたり、お互いに意見交換をすることが、これまでも必要だったし、これからますます必要だと思ってお聞きしています。
そこで、この間、そういった役割、機能が果たされてきたのかについて感想をお聞きいたします。

事務局次長:先ほど、江別市立病院新公立病院改革プランの指標の件で答弁申し上げましたが、江別市立病院経営健全化評価委員会から指摘等を受けた結果については、市長に報告しておりますし、どうだったのかと問われることがございます。
それと、市立病院の役割、どのような医療を担っていくかということは、経営の状況を含めて、市長から指示を受けております。市立病院が担うべき役割は、きちんと果たしていかなければならない、おおまかに言うとそういう指示でございまして、詳細にここをこうしろ、ああしろというような指示は受けておりません。それは病院職員として任命されている事務職が担当ですので、個別・具体的なところは担当者に任されていると思います。当然、市立病院がその役割を担っていくためには、経営の健全化が不可欠ということは常日ごろ言われておりますので、これを全うするようにという指示を受けております。具体的にこういうことをしなさいという指示は受けておりませんが、病院当局としても理事者に対して報告をしておりますし、それに対して逐一指示を受けております。
そういう意味では、市立病院の役割について、病院当局と市長との間で連絡は取り合えていると認識しております。

岡村君:これまでの当委員会で、他の委員から、もう手おくれではないのかという趣旨の質疑がありました。そういった意味では、市立病院の設置者であり、行政の長としての市長の責務と皆さんとの連携は極めて重要であると考えます。また、市立病院だけではなく、行政全体としての危機感についての質疑がありました。
江別市立病院経営健全化計画で示した行動計画の考え方と目標値で、一つ例を挙げれば、紹介率・逆紹介率です。私は、市立病院に課せられた役割として幾つか考えられるもののうち、不採算部門を担うことは大きな役割だと思います。国から交付税措置をされていることがそのことを裏づけています。
それと同時に、市立病院独自のことでいうと、かかりつけ医との循環システムです。市民の皆さんにとって、自分が病気になったり、その心配があれば、市内のどこかの医療機関に行けばきちんと対応していただけるという環境をつくることが市長の大きな責務だと思っております。
そうした中における中核的な基幹病院である市立病院の役割からすると、例えば、行動計画の中に入っている手術件数や救急搬送の実態などが市立病院に課せられた役割の一つとして見ています。ですから、その役割を果たすという意味で、江別市立病院経営健全化計画に示された指標が適切だったのかどうか、その辺の確認をさせていただきます。
今言ったように紹介率だけを見ますと、江別市立病院経営健全化計画では、平成30年度までの紹介率の目標が30%となっています。江別市立病院新公立病院改革プランでは、紹介率の目標が40%となっていますけれども、市立札幌病院では80%を超える紹介率であり、逆紹介率は98%という実績を出しています。当初計画していた30%や、現状の40%という数値は、市立病院の役割としてこれでいいということで定めたのか、それとも、現状の医療体制に鑑みると、平成30年度までの計画では30%を当面の数値とせざるを得ないのか、お聞きいたします。

病院事務長:市立札幌病院の紹介率・逆紹介率は、これまでも再三議論していると認識しておりますが、前段として、市立札幌病院と江別市立病院は、同じなのは市立病院という名前だけで、医療体制が全く違います。逆に言うと、当院の将来あるべき姿として、例えば市立札幌病院並みの超高位の紹介率を目指すかというと、多分それは違うと思っております。
ただし、今、質疑にあったように、何%がベストな数値なのかというと、まさに市立病院が本来どうあるべきかという担うべき役割と表裏一体の話であります。当院規模のDPC病院で言うと、今の経営状態でさえ、外来患者はベンチマーク指数より2倍ぐらい多い状態です。急性期医療を担っている同規模のDPC病院からすると、外来患者数が多過ぎると言われます。なぜかというと、紹介率が上がっていれば、基本的に紹介患者と救急患者しか診ません。救急患者は紹介率の分子に入りますので、救急と紹介がふえれば紹介率はおのずと上がります。開業医が診るような患者と似たような症例を訴える、いわゆる一見さんに近い形でかかる患者は、今の国の考え方からすると、まずは地域の診療所にかかっていただきたいということです。その仕組みがうまく回れば、当然ながら市立病院の役割が見えてきて、紹介率・逆紹介率はどんどん上がるというのが理想像です。
それでは、江別市の医療の現状でそれができるかというと、当院の体制、開業医の体制、札幌市内の医療機関との関係、市民の皆さんの医療に対する受診行動の意識などを全部考えると難しいと思います。ある道南の市立病院では、当院は紹介患者をメーンに診ます、初診はなるべく別の医療機関にかかってくださいと書かれた紙が張ってあります。
当院の現状でそれをやるかというと、ただでさえ内科医が流出して、診てほしいのに診てもらえないという市民の皆さんの根本的な不満がまだ済んでいない状態ですから、全部開業医に行ってくださいということにはなりません。ましてや、開業医のところに行ったとして、きちんと紹介・逆紹介ができるだけのシステムを当院で構築できているかというと、できていない状況です。そのことを考えますと、中期的、短期的な目標として、江別市立病院新公立病院改革プランにおける指標管理の目標値である紹介率40%前後は、中期的にはやむを得ない数値だと思います。
逆説的に言うと、当院が、将来、地域の中核、そして、急性期、救急あるいは不採算を含めた小児、周産期を全部担うセンター的医療機関の位置づけをきちんと復活させて、あるべき姿に立ち直れるのであれば、紹介率・逆紹介率は、市立札幌病院ほどはいかなくても、もう少し高位の数値を設定することが妥当であると考えております。

岡村君:基本的に、今の答弁にあったように、市立病院の診療体制、さらには、札幌市が近いなどの地域の医療環境の状況、そして、市民のニーズなどに鑑みると、このあたりが市立病院の役割の指標の目標値としては妥当だと思います。例えば、紹介率が50%なのか60%なのか、市立病院の役割を果たすためには何%くらいが妥当なのでしょうか。
少し乱暴かもしれませんが、市民ニーズからすると、もう市立病院を必要としていない、紹介率はせいぜいこのくらいだとすると、それに見合った経営の仕方を考えていかなければなりません。いつまでも、医師さえ来れば経営が改善するとか、市立札幌病院並みとまでは言わなくても、紹介率がそれに近い数値まで上がれば経営健全化が軌道に乗るという夢を見ていてもしようがないと思います。今の答弁を聞いているとそんな気がしてくるのですが、今後も紹介・逆紹介の関係で言うと、市立病院の役割としてはこんなものだと再確認してよろしいですか。
もっと言うと、それでも経営健全化を見通せるということなのか、紹介率を70%くらいまで引き上げなければ、経営健全化は軌道に乗らないということなのでしょうか。

病院事務長:単純にキャッシュ・フローをふやして、診療収益をふやすことだけを考えると、決して紹介率・逆紹介率が高い必要はありません。診療収益のことだけを考えると、延べ患者数をふやしたほうが診療収益は上がります。ただ、それで医師がモチベーションを保ち続けられるのか、地域医療が回るのかと考えると、そうではありません。
確かに、紹介率と経営健全化の見通しは関係がありまして、逆紹介率はともかく、紹介率は上がったほうが安定的な患者確保につながるのは間違いありません。しかし、結局は、医療従事者のほか、経営や、地域包括ケアシステムにとって、連携がきちんととれていることが一番いいことなのは間違いありません。
その中で、紹介率がどれぐらいであれば経営健全化が実現し、市立病院の機能が最高に発揮されるのか、また、あるべき姿として一番フィットするのかについては、非常に難しいことだと思います。結局、またその答弁なのかと言われると思いますけれども、マンパワーの確保がどうなっていくかということと密接に関係します。先ほどの質疑にありましたが、最終的な到達点と、とりあえず喫緊の課題とする経営改善のために、なるべく診療収益をふやして、経費を削って、赤字を減らしていくという観点とは微妙に違っており、その場に応じて考え方を変えていかなければ医療の現状とうまくマッチしないと思います。
それぐらい、毎年、医師の供給状況は変遷していますし、国の制度もどんどん変わります。札幌圏で言えば、最大の要因は札幌圏に集中する高齢者人口の爆発的増加です。この辺を見ないで、収支バランスのことだけを考えていくと、結局、医療の担い手が誰もいなくなってしまうのではないかということもあわせて考えなければなりません。計画指標について見直しはどうするのかという指摘を再三いただいておりますが、極端な話、さまざまな事態を常に勘案しながら、短期間の中でローリングして見直しをしていかなければ適切な目標値にならない状況が生まれるのではないかと考えております。

岡村君:私が質疑しているのは、この間、当特別委員会や市立病院が考えている市立病院の役割として考えたときにどのような形が望ましいのか、市立病院の立ち位置はどうなのかということです。
1次医療は地域の中でかかりつけ医に努力していただき、2次医療の急性期は市立病院の役割としてしっかりと受けとめる診療体制をきちんと確保していくと言われております。私は、それが市立病院の立ち位置であり、役割だということを皆さんと共有していると思っています。そう考えると、一つの指標としてこの紹介率が大事だと思います。
ですから、今の答弁にあったように、経営のことだけ考えれば、余り格好にこだわらないほうがいいのかもしれません。実態として、市立病院にも、かかりつけ医的な患者にどんどん来ていただくという立ち位置であるならば、それはお互いに共有しながら、市立病院の役割と進め方が一定程度変わってくると思います。私は、その原則論的なところはまだ崩れていないと思っていましたが、現実は、答弁にあったように、医療体制や地域の状況で本来の機能がなかなか果たせていないとすると、従前の市立病院の役割には余りこだわらないでやっていきたいと言っているのでしょうか。
市民の医療を守る市立病院の役割にそごがあってはいけませんので、そのあたりの認識をしなければならないと思いますが、そのあたりはいかがですか。

病院事務長:本来の当院の役割である、紹介を受けて2次医療から専門的医療、あるいは、総合的な医療を担うという立ち位置に変化はないと考えております。

委員長(清水君):ほかに質疑ございませんか。

本間君:当特別委員会が設置されてから、しばらく時間がたちましたが、その間、市立病院の経営状況がますます悪化しておりますので、市立病院が担うべき役割について、現段階で病院事務局の皆さんがどのように捉えているのか、改めて確認したいと思います。
そんな意味で、簡単な質疑をさせていただきたいと思います。
まず、1点目に、市立病院がなくなると困るのはどのような方々でしょうか。

事務局次長:現在、市立病院に入院されている患者、外来で通院されている患者など、真っ先に困る方は当院を利用している患者であると考えております。

本間君:もちろんそうだと思います。ただ、その方々は、仮に市立病院がなくなった場合、市内の民間病院では対応できないのでしょうか。

事務局次長:残念ながら、市立病院でなければ提供できない医療ではないので、他の医療機関を利用することは可能かもしれません。ただ、市立病院の入院病床は、市内で最大規模となっておりますので、仮に市立病院で受けている患者を一切受け入れられないとなったときに、市内の他の医療機関で全て収容できるかというと、非常に難しいと思います。そういう意味では、現在利用されている患者や潜在的に市立病院の受診領域にいる方々にとって、市立病院がなくなることにより非常に大きな影響を及ぼすことになると認識しております。

本間君:今、少し明らかになりましたけれども、市立病院の診療の内容は市内のほかの民間病院でも十分対応できるが、入院病床数だけの問題で市立病院が必要であるという話でした。そういうことでよろしいですか。

事務局次長:医療の内容まで答弁したつもりはございません。その点は少し言葉が足りなかったと思います。
診療科目の構成だけを見ると、代替のきかない診療科目が一つございますが、市立病院だけにある診療科目はそう多くないという意図で申し上げました。

本間君:それでは、もう一度お伺いいたします。
市立病院でなければならない方はどのような方ですか。

病院事務長:市内のことに限ってお答えいたします。
まず、一番は周産期医療です。周産期医療は、当院とプリモウイメンズクリニックしかございません。この2院で300例以上の出産を扱っています。当院が200例以上扱っておりますので、プリモウイメンズクリニックは実質100例くらいです。現実に子育て支援の成果により出産を迎える市民がふえていると認識しておりますけれども、市内の出産応需で当院がなくなると札幌市内の産科に大量に流出することになりますので、困ります。
次に、小児科は、採算のことを言われると非常に厳しいですけれども、市内開業医と完全にネットワークを組んでおりますので、急患は全て24時間、365日当院の小児科が対応しております。当院で対応できないものは、天使病院、北海道大学病院、その他札幌市内の専門小児医療機関とネットワークを組んでおり、すみ分けが完全にできておりますので、当院がなくなるとこれが崩壊します。
それから、人工透析は、当院が24床、完全2クールで、実患者として100人近い人工透析患者がいます。市内で人工透析の対応ができるのは、北孔会のっぽろクリニック、渓和会江別病院、さくら会江別泌尿器科の三つしかありません。今後、高齢者が激増すると人工透析を行う施設が劇的に不足すると予測されておりますので、この先10年では、当院の人工透析機能が失われると相当困ったことになると言えます。
札幌市内の医療機関から、将来的に当院がなければまずいと盛んに言われているのは、高齢者救急です。高齢者救急は、去年まで24時間、365日受けていましたが、今、当院では受けていません。高齢者の複合疾患でぐあいが悪くなった方については、地元で入院できるということで、ほとんどの方が当院に来ていたのですけれども、これができなくなっていますので、相当数が市外に流出しています。特に、札幌市厚別区、札幌市東区の医療機関に受け入れていただいており、実数として、ある医療機関では江別市からの受け入れが数倍になったとお聞きしております。これらの患者について、江別市のどこかの医療機関で受け入れていただけるのであれば、そこで入院させてほしかったという声ばかりだそうです。これはリアルな声として伺っておりまして、話を詰めていないので、ここで具体的な話を申し上げるわけにはいきませんが、今、患者のやりとりを始めるところです。
結局、以前も申し上げたかもしれませんが、周産期、小児科を筆頭として、人工透析も困るのはもちろんのこと、激増する高齢者医療に対するリソースが劇的に下がるということが一番の問題だと思っております。高齢世帯は、とにかく移動が不自由です。昔みたいに3世代同居ですと、子あるいは孫が車に乗せて札幌市内の医療機関を受診することが容易であり、それで医療が回っていたのですが、今は同居していないケースが激増しているので、移動が不自由です。ましてや、入院した場合、親族あるいは近所の方がお見舞いに行くにも、市内であれば10分で行くことができるところ、札幌市厚別区内の医療機関に入院されると最低でも20分から30分かかります。やはり、江別市内の医療機関に入院したいということです。
もっと言えば、今は総合内科医が非常に脆弱になってしまって余り大きなことは言えませんが、臓器別専門医は高齢者を診ることができません。例えば、高齢者の肝臓疾患、心臓疾患、肺疾患は、60歳前後までの若い方の臓器別疾患とは完全に診療の仕方が違います。若い方の治療は、まず治すことを前提に考えます。ところが、高齢者の増悪は、QOLと言って、生活の質を維持するために緩和あるいは寛解させるという医療ですから、全く視点が違います。だから、大学で総合内科医が育たないということと裏腹ですが、おととしぐらいまでは当院で何とかできていました。それが診療単価が低い原因でもあり、経営とどう両立するのかということで苦慮していましたが、今はそれができていません。
国立社会保障・人口問題研究所の人口推計によると、江別市は札幌市と連動して、全道の高齢者が集中するという予測が立っていますので、札幌市内の医療機関ではオーバーフローして患者を受けられなくなるのではないかと、札幌市内の医療機関が言い始めています。おとといも札幌市内の医療機関の医師と話したのですが、今は頑張って受けているけれども将来的には難しいという言い方をされていました。その医師には、非常に限られたケースですが、その医療機関に入院させていただいた江別市の患者の訪問診療まで対応していただいておりまして、何とか市立病院にも担っていただかないと、将来的に江別の医療が困ることになるという話をされております。
ですから、収支が赤字だから市立病院を廃院するというのは、簡単な選択ではありませんが、一つの選択肢として排除していないつもりです。しかし、それをやってしまうと、多分、高齢者の医療環境が相当困ったことになるのではないかという危機感を常に持ちながら医師の招聘に取り組んでいます。しかし、前回の当委員会でもお話をしたとおり、なかなかうまくいっていないのが現状です。
質疑への答弁ですが、高齢者医療で言えば、内臓疾患のほか、目の調子が悪いということであれば、病院内に眼科があるので、当然対応できます。あるいは、精神疾患や認知症を併発すれば、十分ではないにしろ精神科があるので、そちらの対応もできるということです。そのような重層的な高齢者医療に対応できる医療機関は道内ではほとんどありません。札幌市内の医療機関でも限られています。確かに経営がうまくいっていませんし、収支も赤字、税金を大量投入しなければ運営していけないということは重々承知していますし、大問題だと思っていますけれども、高齢者医療を担うという観点から考えると、収支のことだけで軽々に結論を出せないと考えております。
経営がうまくできていないのに何を偉そうなことを言っているのかという指摘は甘んじて受けますが、そのようなことも考えていくべきだろうと思います。

本間君:周産期医療と小児科については、よく理解できるのですが、高齢者医療については、将来的なお話でしたので、例えば、公立病院だけがそこに向かっていくべきものなのか、民間の医療機関がそこに向かっていくという動きはないのでしょうか。

病院事務長:まず、機能的にどうするのかということです。これは経営効率化と裏腹ですが、維持期の高齢者を中心に医療を提供している医療機関は、急性期医療の機能を持っていません。いわゆる収容型で、医療が必要だけれども、積極治療が必要のない患者を引き受けます。そのような医療機関にはどのような医療機器があるかというと、レントゲン機器はありますが、検査機能は持っておらず、ましてや手術はできない、つまり、今の高齢者専門の医療機関は検査や手術ができない医療機関です。
民間の医療機関は高齢者医療に向かっていかないのかという質疑ですけれども、高齢者の複合治療を診られるような、臓器別専門医ではなく総合内科医をいかに確保するかということと裏腹になります。救急医療を行っている医療機関であればできますが、総合内科医がいるのかということです。今、実際に行っているのは、近隣であれば独立行政法人地域医療機能推進機構札幌北辰病院で、18床くらいで回しているとお聞きしています。それから、当院がお世話になっているのは、札幌市白石区にある徳州会札幌徳洲会病院です。ここはプライマリーケアセンターがありまして、総合内科の専門医がいるので回っています。あとは、公益社団法人北海道勤労者医療協会勤医協中央病院で、ここも回っています。しかし、対応できる医療機関はこれだけです。
高齢者を診る総合内科の診療単価は、急性期規模の医療機関を維持できません。先月、当院の一般病床のDPC病床の診療単価が5万円に近くなりました。ただ、内科の入院診療単価は3万6,000円ぐらいで、循環器科などであれば入院診療単価は10万円ぐらいです。消化器科は入院診療単価が5万円から6万円になります。ですから、DPC一般急性期病院の入院診療単価、いわゆる固定費を賄うためには、それぐらいの治療をしなければ稼げません。総合内科を中心にすると、恐らく診療単価は3万六、七千円になってしまうので、診療報酬の水準が下がってしまいます。民間の医療機関が高齢者医療に向かうとなれば、そのためのシステムをつくらないと経営が成り立ちません。
民間の医療機関も、これから高齢者がふえるから、総合内科医を確保して、そのような分野に進出したいと考えているのは間違いないと思います。ただ、札幌市内の急性期の医療機関がどちらに向かっているかというと、心疾患、脳卒中、がんという、診療単価の高い分野に設備投資をしている傾向があります。これは本州から医療法人が相当進出しておりまして、本州の医療法人は物すごい数の医療機関を抱えていて全体で経営しておりますので、そういったところが手を出すかもしれませんが、高齢者医療の急激なニーズの増加に対応できるのかという問題があります。
ただ、当院のマンパワーが脆弱になっているので、役割すら果たせていない非常に遺憾な状況だと思っています。

本間君:よくわかりました。
ただ、今はこのような状況ですから、将来的な高齢者医療のことまで考えて、市立病院を継続する必要があるのか疑問です。今の段階でそこまで考えてしまうと市立病院はもちませんから、高齢者医療のことを考える必要はないと考えます。

委員長(清水君):ほかに質疑ございませんか。(なし)
次に、病診連携のあり方について質疑ございませんか。

岡村君:市立病院の機能を発揮するための大きな課題として、病診連携があるのではないかと思っています。病診連携が機能しなければ役割を果たせませんし、市立病院の立ち位置がわからなくなってしまうことにつながると考えています。
江別市立病院経営健全化計画には、病診連携にかかわるさまざまな課題が書かれています。江別医師会との関係についても、行動計画に入っていますが、年に1回、研修会か講演会をやって終わりの状況です。
まず、市立病院の役割として病診連携をどのように評価しているか、お聞きいたします。

医事課長:病診連携についてですが、本年9月13日の当特別委員会で市長からお答えしているとおり、非常に重要な施策の一つであると認識しております。
当院におきましては、地域医療連携室を設置いたしまして、他の医療機関からの患者の受け入れと連携を一元化して体制を整えてきたところであります。こうした連携強化のためには、診療所やクリニックの医師たちとの信頼関係を築くことが重要であると思いますので、顔の見える関係を築くという観点から、直接、地域医療連携室のスタッフが個別に診療所やクリニックを訪問して連携への協力や患者の紹介をお願いしております。
また、こうした訪問の際には、できるだけ病院長が同行しております。
さらに、病院長は江別医師会の理事会等に参加して連携への協力をお願いしておりますし、江別市地域医療懇談会においても、江別医師会の会長などと交流して、連携や患者の紹介についてお願いしております。地道ですが、そういった関係を築く努力を続けている状況でございます。

岡村君:地域医療連携室を設置して具体的な努力をしていることについては、この間も報告いただいて、評価しております。ただ、残念ながら、地域医療全体の民間病院と公立病院との連携を考えたときに、地域医療連携室の皆さんの努力だけで望ましい姿をつくっていくのはなかなか難しいと思っております。そういった意味では、行政の長であり、市立病院の設置者である市長を先頭にして、現場を預かる市立病院の職員と一緒になって努力していただきたいと思います。
先ほどの病院事務長の答弁で触れられていましたが、今、望ましい姿を目標に努力しているのだけれども、相手があったり、難しい課題が浮き彫りになっています。地域医療をどうやって守るか、できれば札幌市内の医療機関に行かなくても地域医療圏の中で江別市民の医療を全て賄えると自信を持って言えるような体制と機能をつくっていかなければ、市立病院の役割が曖昧になる気がしてなりません。
この間、市長との連携、民間病院との連携で、課題になっている点や努力した点についてお聞きします。

病院事務長:当院の地域医療連携室は、どちらかというと、逆紹介の活動が圧倒的に多い状況です。要は、入院していただいた患者を在宅に戻すのか、仮に在宅に戻すのであれば、どのようなサービスを利用していただくか、また、在宅に戻れない場合、施設に入所するとしたら介護認定はどうするのかということを全てコーディネートしています。これは、そこそこうまくいっていると思っています。
課題は、開業医からの紹介です。もちろん開業医からの紹介がないわけではないのですが、施設からの紹介が多い状況です。今までは施設である程度自立して、あるいは、介護を受けながら生活されていたけれども、病状が悪化してどうしても入院しなければならないというときに紹介を受けるケースがかなりあります。しかし、問題なのは、高齢者医療を担う開業医、あるいは、他医療機関の内科領域の紹介が思っているような仕組みになっていません。
本来は、当院が初期外来を診るのではなく、開業医などに診ていただいて、検査や入院治療が必要な患者を当院の外来で診るという流れが理想です。しかし、そこに地域医療連携室が入り、コーディネートするということがなかなかできていません。これは、やはり平成18年の内科医の大量退職により大学医局の医師がいなくなったことが一因で、市内の開業医はかなりの割合で当院のOBかつ同じ大学医局ということがあると思います。
もう一つは、臓器別の内科医が少ないため、例えば、消化器科、呼吸器科、循環器科をうまく回すことができていません。これが、患者の循環あるいは2次的医療を当院が担うという点で最大のネックになっていると考えております。

岡村君:今の答弁にありましたように、開業医からの紹介はありますが、市立病院の医療体制、今のスタッフでは患者を受け入れられないというのは、医師確保の問題を解決しなければ見通すことができません。それとは別に、開業医には札幌市内の医療機関や大学医局との関係など、いろいろなルートがあります。開業医は、出張医を呼んで回しており、医師1人で全ての患者を診ているわけではありません。私が行っているかかりつけ医も、病院長が中心ですが、大学医局からの支援や派遣により対応しており、病院長をサポートしています。
それから、市立病院で患者から大変信頼されていた医師が市内で開業しております。
そのような厳しい状況にあるけれども、糸口として、まずは市立病院で頑張っていた医師たちと信頼関係をつくりながら連携をとっていくなど、とにかくいろいろな方策を講じていかない限りは、本当に市立病院が必要なのかという議論になりかねません。
地域医療を守るため、これまでも行政を挙げて、開業医の皆さんとの信頼関係を築いたり、情報共有を初めとして努力されてきたと聞いていますけれども、残念ながらまだその辺の効果は見えません。
長年、現場で御苦労された立場から、その辺の切り口として、まずここから取り組んでみたいというものがあるのか、それとも、もうやり尽くしたという状況なのか、お聞きいたします。

病院事務長:やり尽くしたとは思っていませんが、なぜ患者の紹介を受けられないかという状況を現場で見ています。地域医療連携室から相談が時々来ますし、ベースとして大学医局などとの関係はありますが、今の市立病院の現状は何といってもマンパワー不足です。結局、現実問題として、患者を受け入れるだけのキャパシティーを持ち得ていません。今、市立病院にいる患者の治療に注力しているので、なかなか広い範囲に目を向ける状況になっていません。
行政を挙げてというお言葉が出ましたけれども、江別医師会に働きかけて急に活性化するかというと、患者を受け入れる当院のマンパワーがありません。医師の招聘にも関係していますが、大学医局との関係が改善し、大学医局から臓器別専門医が来れば、患者を受け入れるマンパワーが充足しますので、開業医が市立病院に安心して患者を紹介できる状態になるよう、毎日取り組んでいるところです。

岡村君:今の答弁が現実なのだと思います。ただ、開業医から聞こえてくる話は決してそれだけではありません。信頼して紹介できないという開業医がいますが、民間の開業医にとってもメリットとデメリットがあります。とりわけ、メリットを効果的に発揮するために、どのような関係を築くのがいいかを考えていると思います。ただ、江別市の地域医療体制をつくるためには、本当にそれでいいのでしょうか。今は、市民の皆さんから困っているといった話を聞かないけれども、今後の高齢者の状況や、前段の病院事務長のさまざまな答弁を聞いていますと、本当に今のままでいいのだろうかと思います。背景はいろいろありますが、心を砕いて向き合っていくことからしか始まらないと思います。
どのような課題でも、最後はマンパワーが充足していないという理由であれば、当特別委員会はあす廃止してもいいということになります。私たちは、新たな道を切り開くことができないのかという思いで一生懸命質疑をさせていただいています。
ただ、今の答弁は実態としてわかりますので、これ以上質疑をしても仕方がないというのが実感です。
たしか、北海道が財政的支援をしている地域医療支援病院の指定があると聞いていますから、これがまさに市立病院の役割としてあるべき姿であると思います。北海道が示しているとおり、一つ目は紹介患者に対する医療の提供、二つ目は救急医療の提供、三つ目は医療機器の共同利用の実施、四つ目は地域の医療従事者に対する研修の実施です。人、物それぞれを地域医療の中核として公的病院が担う、それが地域医療支援病院で、北海道はそれに支援をしています。これには幾つかの条件があって、紹介率と逆紹介率の基準をクリアしていなければ地域医療支援病院にはなれないというハードルがありますけれども、そういった課題を見据えつつ、市立病院の役割を機能的に発揮していくため、地域医療支援病院について、研究したことがおありなのか、お聞きします。

事務局次長:地域医療支援病院ですが、この指定を受けられるかどうかまで、内部で具体的に検討した経過はございません。岡村委員から指摘があったとおり、地域医療支援病院は地域の中核となる医療機関ということで、確かに国や北海道から支援を受けられると認識していますが、この指定を受けるためには、紹介率の基準など高いハードルが設定されています。
当初、国は、2次医療圏にそれぞれ地域医療支援病院を設置するために制度を設けましたが、高い紹介率の基準が設定されており、公立病院は外来患者の抑制が難しいことから、クリアできないという事情がありました。道内では、たしか市立札幌病院が指定を受けていると思いますが、ほかの公立病院で指定を受けるのはなかなか難しいため、指定を受けていない状況でございます。
今の当院の体制も、紹介率を高めることや患者を受け入れる態勢を整えることに苦慮している状態ですので、具体的な検討には至っていないというのが実態でございます。

岡村君:紹介率、逆紹介率は、3パターン設定されているようで、例えば、紹介率で言うと80%を超えれば逆紹介率はゼロ%でもいいというパターン、紹介率65%を超えれば逆紹介率は40%でいいというパターン、紹介率が50%の場合は逆紹介率が70%を超えなければだめなどの基準があります。当院は、資料によると紹介率が40%前後であり、逆紹介率が30%に達していませんから、市立病院の役割としてはこの辺を見据えながら計画を立てていく必要があり、そのためにはもちろんマンパワーが必要だと感じましたので、情報を紹介して終わります。

委員長(清水君):ほかに質疑ございませんか。(なし)
次に、医師の確保について質疑ございませんか。

本間君:この間、何を聞いても最終的には医師が確保できないことに尽きるということが明らかになっているので、堂々めぐりになります。ほかの委員からも質疑がありましたが、私も、あす、当特別委員会を廃止してもいいと思っています。そんな意味から、簡単にお伺いいたします。
当特別委員会を設置する前から、専門医や総合内科医の確保など、医師の招聘に尽力されてきたと思いますが、今日に至るまで、何カ月、何年かかっていますか。

事務局次長:医師の招聘は、市立病院の開設以来ずっと行ってきたと思っています。特に当院においては、平成18年に内科医が大量に退職した経過がございまして、そこからが内科医の獲得に向けての苦難の道だったと思っております。
平成22年だったと思いますが、北海道総合内科医教育研究センターを設けて、当院を総合内科医の養成機関として人材育成をしながら医療に当たるという仕組みがうまくいきました。そこからは医師の確保や診療収益が順調だったと思っています。
平成28年度に総合内科医の育成において非常に大きな役割を担っていただいていた医師が退職しまして、そこから北海道総合内科医教育研究センターが機能しない状態になり、現在に至っています。効果が出ていない期間としては、平成28年度以降、続いている状況でございます。

本間君:はっきり言ってしまえば、総合内科医の指導医が引き抜かれたため、2年ぐらいこのような状況が続いています。このかわりになる指導医に来ていただこうということで尽力されていると思いますが、指導医確保の見込みについて、現段階で何かありましたら教えていただけますか。

事務局次長:平成28年度中に指導的な立場の医師が退職された後、当時、市立病院にいた医師を後任の役職に充てて、役割を引き継いでもらおうとしましたが、残念ながらその医師も退職されました。
現在は、循環器科の医師に総合内科医の指導的な立場をお願いしておりますが、平成28年度にいた医師にかわる医師の見込みとなりますと、病院内でいろいろな取り組みをしたのですが、今のところ残念ながら後任医師の獲得のめどは立っていません。

本間君:前回、年内に3名の総合内科医が退職の意向を示されていると報告がありましたが、それ以降、さらに退職されるというお話はありませんか。

管理課長:現在のところ、そのような話は聞いておりません。

本間君:指導的な立場の医師がなかなか見つからないということですので、総合内科医も当然集まりません。指導してもらえると思って来た医師が、急に自分が指導的な立場になってしまって、自分の意図することとは違うため、その医師も退職されるという悪循環に陥っています。これを解決しなければ総合内科医が集まりませんし、この総合内科医の制度自体が体をなしていない状況にあると思います。
2年ぐらい医師の招聘に努めてきましたが、なかなかうまくいかない。今の話だと、指導医確保のめども立っていません。高齢者医療を見据えたときの総合内科の仕組みとして、とても機能を発揮できる状況ではありませんが、この状況を一体いつまで続けていくのでしょうか。前回も質疑をさせていただきましたが、いつまでに指導的な立場の医師または総合内科医を確保できなかったらどうするといった線引きをしない限り、このまま行ってしまいます。また、最終的にはマンパワー不足、医師確保に尽きるという答弁で、何を話してもこのようなことになるわけです。いいかげん、どこかのタイミングで線引きをしなければ、この話はもう前に進みません。
病院事務局に聞くべきものではないことは重々承知しておりますけれども、いつまでこの規模の市立病院を運営するつもりなのか、改めてお伺いいたします。

病院事務長:規模のあり方は市立病院の行く末にかかわる話でございます。前回の理事者質疑で市長が答弁したと思いますが、総合内科と専門内科を両方置くことについては変わっていません。いつの時点までに医師の招聘ができなかったら方針転換する、また、委員の御案内に沿えば病院事業のあり方をどうするかについては、市長から医師の招聘をするという指示を受けて取り組んでいるわけですから、私からお答えする立場にはないと思っております。

委員長(清水君):ほかに質疑ございませんか。

宮本君:9月13日に開催された当特別委員会における理事者質疑の内容が新聞報道されていまして、そこには、北海道大学の医局との関係が戻りつつある、内科医の確保が最大の課題とした上で、今後の常勤医派遣に期待しているとあります。その後、何か動きはありましたか。

事務局次長:大学医局との関係で申し上げますと、内科の常勤医の派遣はありませんが、他の診療科目から常勤医を派遣していただいております。ほかに、出張医を派遣していただいているという答弁をこれまで申し上げた経過がありますが、そのような動きがあります。大学医局からの内科医の派遣はありませんが、出張という形で医師を派遣していただいておりますので、そのような意味で期待できる部分があるという認識です。

宮本君:それ以上の動きはありますか。

事務局次長:今のところ、それ以上の動きはございません。

宮本君:この間の答弁を聞いたり、新聞に載ったりすることで、今年度は間に合わなくても次年度に向けて、大学医局と江別市あるいは市立病院の間で、期待できるやりとりが水面下であると思いました。市立病院と市長の濃密なやりとりを聞きたいと思います。毎回同じような説明ですが、病院事務局からはそれ以上の話が出ないということですか。例えば、医師確保については、市立病院として全く手に負えないということですか。

事務局次長:内々に大学医局へ医師の派遣をお願いする場面は多々ございますが、その詳細をどこまで公式にお話しできるかというと、非常に微妙であります。私から申し上げられることは、さまざまな方策を講じて、大学医局に公式、非公式にお願いしているということのみだと思っています。

宮本君:これから医師確保に向けていろいろ取り組むということですが、これまでの当特別委員会では、頓挫すると医師が来ない、患者はさらに減少することになると考えるという意見のほか、病院事務局だけでの経営改善の取り組みは限界に来ていると感じるという意見が出ています。さらに、結局、市立病院の総合内科医制度は破綻していると思うという意見がありますし、それぞれの委員がいろいろな意見を出されています。
これらの意見について、今現在、市立病院としてはどのように考えていますか。

事務局次長:医師の確保も、市立病院の経営改善も、市立病院に配属された職員の責務だと考えておりますので、この役割を十分果たせていない責任を痛感しているところでございます。
診療収益と患者をとれていない現状からすれば、総合内科の今後の運営は難しいという指摘はそのとおりと認めざるを得ません。しかし、市立病院の存在意義と総合内科を配置する意義はあると思っていますので、責任を十分自覚して医師の確保や経営改善に向けたさまざまな取り組みを行っているつもりでございます。
結果が出ていないことについては、病院事務局の責任だと考えています。

宮本君:決して病院事務局を責めているわけではなくて、いろいろな条件が重なってこのような結果になっているわけですから、それは正面から受けとめさせていただきます。
もう1年近く前になりますが、本年1月4日の市長の定例記者会見で、赤字が続く市立病院について、収入に見合った経営を考えていかなければならない、将来的な診療体制の見直しを視野に経営方針の転換を検討するという考えを示しました。江別市立病院新公立病院改革プランは思いどおりに進んでいないので、今の収入の中で経営したらどういう診療体制になるのか、これまでとは全く違う考え方になる。そして、収入増を追求した路線を見直す可能性を示したのです。これはすごく大事なことです。
それから、江別市民が札幌市内の医療機関を受診している現状の中、市立病院が担う診療分野と江別市内で競合する医療機関に振り分ける診療分野について、今後見きわめる必要があると強調しています。先ほどの答弁の中で、産婦人科や小児科などについてカバーし、在宅医療についても守るとありましたが、この考え方と市立病院が取り組んでいることは一致していますか。
もちろんきめ細かく打ち合わせをして取り組んでいると思いますが、最近、当特別委員会でやりとりする中で、どうも目指している方向がずれている印象を受けました。今後どのように取り組んでいくのでしょうか。今聞いていると何も改善案が出ない状況で、以前も、日々の対応に追われて、それどころではないという答弁をされております。今後、一体どうするのでしょうか。市長の判断に委ねるしかないのでしょうか。

事務局次長:市長と病院事務局との認識についてですが、市長からは、適宜、経営状況を報告する中で、収入と経費の両方を大胆に見直すようにと指示されております。また、経営状況が非常に悪く、医師を確保できない状況ですので、もっと大胆な策を講ずるようにという指示を受けています。
ただ、具体的に大胆に経費を削減するという方策を打ち出せておりませんし、医師の確保もめども立っておりませんので、認識がずれているとは考えておりませんが、指示どおりの動きができていない状況だと思っております。

委員長(清水君):ほかに質疑ございませんか。

島田君:情報として聞いていただきたいと思います。
せんだって、厚生労働省の職員から説明を受けましたが、来年4月以降に医療法と医師法が改正される予定です。その中で、医師の確保にかかわる部分で何点か説明を受けてきました。例えば、医師の少数区域等で勤務した医師を評価する制度が創設されます。そこで勤務することが評価されて、医療機関の管理者として受け入れられるようになるという情報は、市立病院に入っていますか。

管理課長:委員が御案内の件については、病院事務局も承知しています。

島田君:法改正が医師確保につながるような検討をしていますか。

管理課長:国が問題としているのは、例えば、北海道で言いますと、道東地方や道北地方などの医療機関数が少なくて、当院よりも医師確保がさらに厳しい地域と聞いておりますので、まずはその地域の偏在を救うということです。そういった地方に行っていただける医師については、一定程度評価して、病院長クラスになれるという仕組みと聞いております。
ただ、当院は、札幌市の近郊ですから、国が考えている法改正による効果が直ちに発現するかどうか、微妙だと考えております。

島田君:ほかにもかなり改革がなされると思います。例えば、国の権限を都道府県に移譲することによる影響は出ないのでしょうか。法改正の全体的な動きをお聞きします。

病院事務長:今、国が考えているのは、どうやって人口に比して医師が少ない地域に行ってもらうかです。都市部の医師供給がそのような仕組みに乗るかというと、全く乗らないので、残念ながら札幌医療圏の当院にとっての医師招聘にプラスになる制度にはならないと考えています。

島田君:厚生労働省から聞いた情報は、市立病院には当てはまらないという理解でいいですか。

病院事務長:地方の医療は大学医局に頼れなくなっています。各自治体、各医療機関に医師を招聘しているので、医師法を改正してインセンティブをつけて、地方に行けば評価してもらえるということになれば、大学医局に属さない医師はそのような仕組みに乗れますが、結局、大学医局からの派遣に頼らざるを得ないのは、国がどんな仕組みをつくっても同じだと考えています。

委員長(清水君):ほかに質疑ございませんか。

岡村君:医師の招聘の現状については、病院事務長から詳しく説明をいただきましたので、おおむね理解しています。
端的に言うと、医師臨床研修制度の必修化が始まってから、医師の人材バンク的な機能を発揮していた大学医局がある意味自由化されて、医師一人一人が医療機関を選ぶ時代になったと実感しています。したがって、どうすれば医師に選ばれる医療機関になれるのかという考えが必要だと考えます。札幌市に近い地域性から考えると大変厳しいと認識しています。
まず、市立病院でやれることと言えば、今働いている皆さんに引き続き頑張っていただく環境をどうやってつくっていくかということだと思います。現状のように3名の内科医が退職されて、新しい医師を招聘するために大変高いハードルを乗り越えなければならない状況です。せめて、今、頑張っている皆さんに引き続き頑張っていただくことが必須条件です。
病院事務局の皆さんは、その辺の総括をどのようにされて、今後どのように対応しようとしているのか、お聞きいたします。なぜ医師が退職されたのか、個人的なことを深く聞くことはできないとお伺いしましたが、今やれることをきちんとやっていかない限り、イタチごっこになると思います。医師が退職するような労働環境ではないと自信を持って言えますか。

病院事務長:必ずしもそうは言い切れません。なぜかというと、またその答弁かという話になるかもしれませんが、マンパワーの不足によって、医師一人一人の負担がふえているのは間違いない事実だからです。
今いる医師について、病院長を初め、全力で慰留しておりまして、万が一にもやめないでほしいとあからさまにお願いしていますが、今いる医師から言われるのは負担感を減らしてほしいということです。ただ、負担感を減らすということは、診る患者を減らすということに直結しますので、難しい問題です。
当院に来る総合内科医は、総合内科を極めたい、指導医がいるから来たという動機の方が多かったので、たくさん集まっていた時期には、マンパワーが豊富だったため、救急も交代で診ることができましたし、患者が多くても交代で診ることができるという好循環でした。さらに、少ないながらも臓器別専門医がいて、アドバイスを受けることができました。これが一つの仕組みとなって回っていたわけですが、今はそれが壊れてしまいました。
もちろん医師の招聘に当たって、負担感を持たせるようなお願いはできないという現状であることと、一方で、本人のやる気を維持しながらどのような役割を担っていただくかということに病院長が苦心しています。私も、力不足ではありますが、病院長と協力して一緒に取り組んでいる段階です。
医師の招聘に当たっては、モチベーションを維持し、かつ、医療技術的にも、マンパワー的にも充足するところまで行かないと、また医師の退職につながりかねないので、医師の絶対数と臓器別専門医を何とかしてそろえなければならない、結局はそこにつながってしまいます。その後については、さまざまな議論をいただいたのですが、決定打がないという指摘を甘んじて受けざるを得ません。

岡村君:私の疑問については、疑問ではないようですから、これ以上やってもしようがないので、やめます。

委員長(清水君):ほかに質疑ございませんか。

赤坂君:医師確保について、総合内科医を確保できないのは指導医が原因なのでしょうか。果たして本当にそうだったのだろうかという疑問があります。
もう一つは、平成18年の内科医の大量退職から、我々は江別市立病院経営健全化計画をサポートしてきました。その中には、札幌医科大学の総合内科のグループと連携を深めていくことが柱にありました。
そして、もう一方では、臓器別専門医は従来どおり確保するということです。もっと言えば、北海道総合内科医教育研究センターを設けました。内科胃腸科の専門のセンター、周産期のセンターなど、考えられることはいろいろ網羅してきました。ただ、残念ながら、現在は周産期をかろうじて確保している状況です。
幸いにして、外科、整形外科は少しずつ充実してきており、これはありがたいことです。小児科も本当に頑張っているし、泌尿器科やその他の診療科目も少しずつ充実してきているということを率直に認めます。
一方では、不採算部門であっても必要であり、守っていく、これは各委員も、市立病院も考えることは同じで、やはり支えていく必要があると思います。
問題は総合内科です。平成28年度は、非常勤医師を入れて23名ほどいました。平成29年度も、正規職員の医師で13名ほどいました。今年度になって9名になり、さらに減って今は5名です。入院病床を診ていただける医師が少ないということで、現状では、どうやって医師にいてもらうかといっても、本当に赤子を育てるように大事にしていかなければなりません。
その行き着くところは、相当規模の赤字が出るということです。その結果、平成29年度で言えば、不良債務が約10億円になりました。今年度は半期で相当な赤字になっています。少し高望みをしていないでしょうか。例えば、市立千歳市民病院では黒字経営をしています。士別市立病院でも内科体制を維持しながら黒字となっています。江別市立病院も、不採算部門の精神科を担いながら、他の公立病院と同じく無理せずやっていけないでしょうか。
医師がいないのはどこの医療機関も経験しています。市立千歳市民病院でも内科医を募集しています。医療コンシェルジュを見ると、医師の給与は年間1,750万円ほどとあります。表向きには表示していませんが、ほかの医療機関はみんな表示しています。恐らく、どの医療機関もそれなりのことをやっていると思います。もう少し原点に帰るべきです。
札幌医科大学との連携は厳しい、総合内科医もインターネットの活用や民間の仲介事業者にお願いしてもなかなか来ないとすれば、どうすればいいのでしょうか。手だてはあるのかどうか、みんなそのことを問うていると思います。やはり、そのことについては、しっかり市長と相談する時期に来ているのではないでしょうか。市長は、考え方がまとまったら皆さんに相談すると言っていました。もうまとめなければ、来年3月になったら大変な状況になってしまいます。
市立千歳市民病院や士別市立病院の例がありますが、それらと比較してどうなのでしょうか。そんなに背伸びしないでやっていけないでしょうか。そのような医師の確保の仕方はないでしょうか。経営の問題がありますし、市長の考え方がまとまったら示されると思うのですが、これらを総括的にお伺いいたします。

病院事務長:まず、士別市立病院の長島病院長とは何回もお話ししていますから、状況は知っております。もともと当院とほぼ同規模で、当院よりも二、三年前に改築したのですが、士別市立病院は士別市保健福祉センターとの併設が売りで、渡り廊下でつながっていまして、新築したときに見に行きました。
士別市立病院は、道北地方の人口減と医師不足が最大の課題で、結局、全て自前による医療の提供を諦めたわけです。名寄市立総合病院に基幹の機能を全部集中させまして、士別市立病院は簡素なプライマリー医療、2次医療と名寄市立総合病院のバックベッドに徹することで、何とか黒字を出しているわけです。逆に言いますと、きょうの議論の最初のあり方、担うべき役割を根本的に変えたということです。

委員長(清水君):暫時休憩いたします。(11:57)

※ 休憩中に、答弁調整を行う。

委員長(清水君):委員会を再開いたします。(12:03)

病院事務長:市立千歳市民病院、士別市立病院の事例を十分研究しておりますが、当市の状況で、同じような仕組みを直ちに取り入れることについては、慎重な検討が必要であると考えております。

赤坂君:約100億円で建てた建物がありますから、償還を含めて、一般会計から繰出金を相当出していかなければなりません。不採算部門を支えるためには将来的に一般会計が負担しなければなりませんから、建物を市立病院にいかに確保してもらうかという背景があることを十分承知しております。そういう意味からすると、病床数はある程度確保しなければならないので、市立千歳市民病院と同じようになるとは思っていません。ただ、医師確保はかなり潤沢です。
いずれにしても、市長が早い時期に議会に相談したい、あるいは、中期計画を含めて取り組みたいと言っていますが、出てきたのは補正予算だけです。遅いのではないでしょうか。それから、江別市立病院新公立病院改革プランにしても、江別市立病院経営健全化計画にしても、ほとんどが未達成であることを指摘しておきたいと思います。

委員長(清水君):ほかに質疑ございませんか。(なし)
次に、経営形態の見直しについて質疑ございませんか。

内山君:将来に向けて市民の医療需要をしっかり守っていくことが重要です。その中で、高齢者の急激な増加が見込まれ、その対応をするための市立病院の役割については一定程度理解するところであります。
いろいろ議論し、収れんしたのが医師の確保ですけれども、経営形態の見直しに絡みますと、目的はいろいろありますが、それが単に経費の削減、現場の負担に終始するのであれば、根本的な解決や市民の医療ニーズを満たすことになりません。期待されるのは、医師確保の手段として効果があるのかどうかです。独立行政法人化であったり、指定管理者制度への移行などの経営形態の見直しに伴って、医師確保について、できることが変わるのか、それとも、経営形態が変わっても医師の確保についてできることは変わらないのか、逆に、経営形態を見直すことで医師の流出があり得るのか、医師確保と経営形態の見直しの関係性についてお伺いします。

事務局次長:経営形態の見直しと医師確保のめどについてですが、江別市立病院新公立病院改革プランでは、地方公営企業法の全部適用や独立行政法人化を掲げています。検討している経営形態の見直しは、どちらかというと、民間的な経営主体となれるような形態を掲げておりまして、給与決定の医療機関側の自由度は一定程度高まります。その場合、医師募集の条件面で少し自由度が高まる効果があると考えております。
ただ、医師確保に当たっては、供給元が大学医局になりますので、経営形態を見直すことが大学医局からの医師派遣あるいは関係性の強化につながるかというと、それは若干疑問であると考えております。フリーランスの医師を確保するときに条件面を高く設定するということは検討の余地があると思いますが、それ以上の決定的な医師確保の方策にはならないと考えております。

内山君:給与の柔軟な対応等で手段が変わるということです。
そもそも市立病院の運営を引き受けてくれるところがあるかどうかわかりませんが、指定管理等を引き受けてくれる医療法人によって、医師確保がうまくいくことは考えられないでしょうか。

事務局次長:指定管理者制度に移行した場合、病院経営のノウハウを指定管理者に委ねることになるので、受託する指定管理者に医師確保のノウハウやパイプがあれば、医師確保の可能性が高まると思います。指定管理者制度という経営形態については、受託する側の状況にかなり左右されると考えております。

委員長(清水君):ほかに質疑ございませんか。

岡村君:この間の質疑を通して感じることの一つに、市立病院が果たすべき役割を維持しつつ、今のままの状況で新しい経営形態に移行しても、抜本的にこれらの課題が解決されるとは到底思えません。
病院事務局として、現状と経営形態についてどう考えているのか、仮に、経営形態の見直しについて、具体的に考えた場合、どのような状況になれば次の段階を考えることができるのか、お聞きします。

病院事務長:江別市立病院新公立病院改革プランに伴う議論の中でも、国はとにかく何かを見直すということを大命題にしており、総務省の新公立病院改革ガイドラインにそう書いてあります。正直、地方公営企業法の一部適用事業は存続させないぐらいの勢いで書いてある部分があります。
一般的に、当院の次の段階は地方公営企業法の全部適用ですが、事業管理者ができるだけで、すばらしい効果が出るとは思えません。
地方公営企業法の全部適用事業の一番いいところは、自主的に給与を決定できるところですが、一般会計と乖離した給料表を設定している医療機関はほとんどありません。全部がそうであるとは言いませんが、一般会計の給料表を準用している例が大部分を占めていると認識しております。もっと言えば、職員の定数管理の権限は地方公営企業法を全部適用した医療機関には与えられません。技術職員を職員定数の縛りなく自由にふやしたり、減らしたりするという権限が与えられないことから、病院事業管理者ができて、より独立性が高まるというメリットは否定しませんが、むしろ、それぐらいしかないと思います。
国が勧めているのは、地方独立行政法人化です。これは行政からの独立性が非常に高まるゆえに、意思決定を含めて、病院事業管理者の権限になります。議会審議すらなくなりますので、自由度は飛躍的に高まります。
地方公営企業法の全部適用を行った医療機関は、給与の独自性を物すごく発揮されております。二、三日前の新聞に、国立病院機構の独立行政法人化の効果がついに薄れたという記事が出ていましたが、初期効果は高かったと思います。独立行政法人化の効果が高かったのは、実は給与ではなく用度です。国立病院機構が国立病院であったころには、会計法を適用して調達を行っていました。予定価格を全て国の会計基準に従って組むため、全部入札しなければなりませんので調達価格が高額でした。それを民間調達と同じように価格交渉ができるようになりましたので、劇的に調達価格が下がりました。なお、現給保障をしましたので、給与は後追いで下がりました。ただ、昨今、その効果が非常に低くなって、経営状態が軒並み悪くなったという新聞記事がありました。
そういったことを考えますと、当院は、調達に関してかなり大胆なことをやって下げておりますので、効果はこれ以上出ないと思います。当院における効果は、やはり給与水準の見直しで、一概に全体の費用が下がるとは言えませんが、医師の招聘にかかわりますと、技能に着目して特別な手当で報いたり、医療協力、連携した場合に点数化して件数によって評価するなど、これらはほかの医療機関で行っておりますので、そのようなことが自由闊達にできるようになります。
ただ、総務省では、独立行政法人の認可の際には、病院事業の継続性が担保されなければ認可しません。今の当院の経営状況のままでは独立行政法人の申請は全く協議のテーブルに上がりません。
もっと言えば、9月13日に開催された当特別委員会で市長が答弁したときに、現段階で経営形態を見直してしまうと、今まで積み重ねてきたものがリセットされるので、基本的には考えていないと申し上げたと思います。市長がそのような方針である以上、病院事務局の取り組みの優先順位は低いのが現状であります。

岡村君:取り巻く環境は、私が考えていたことと同じでしたので、そのように認識したいと思います。
それで、現状の中で少し考えてみてはどうかと思いまして、前回の当特別委員会での意見交換で、私から提案させていただきましたが、せっかく医療機器を含めて、病院施設があるわけですから、それを有効活用してはどうかと思います。それを考えたきっかけというのは、長い間、医師確保で議論させていただきましたが、それは大変難しく、厳しい状況にあります。どうしたら何とかなるのかと考えたときに、医師の招聘が大変厳しいのだったら、民間で開業しようとする方々を取り込んだらどうかという発想からの提案です。
このことは、民間病院にとっては不動産投資の軽減につながりますし、市民への医療の充実にも寄与できます。そして市立病院の機能発揮です。地域医療支援病院としての医療機器の共同利用、紹介・逆紹介を含めて考えてみました。私は素人ですから、制度上の問題でこのような発想は考えられないものなのか、どのような状況になっているのか、お聞きします。

医事課長:市立病院の一部を開業医に使っていただくことについてですが、現状の施設のままでどれだけ有効に活用できるのか、あるいは、大規模な改修が必要になる方策があるのか、病院事務局においても、さまざまな議論をしているところでございます。
具体的な決め手、これといった方策を打ち出せていませんが、現在の診療報酬制度の中で、開業医に市立病院の一部を開放するという点においては、一例として申し上げますと、開業医が主治医あるいは副主治医となって、当院に患者を入院させていただくという制度があります。これは開放型病床というものですが、具体的に言いますと、病院内に5床以上の専用の病床を確保します。開業医は、入院治療が必要になった患者がいたときにはそこに入院させて、主治医あるいは副主治医として往診のような形で入院治療に来ていただくというイメージの制度であります。
この仕組みであれば、比較的、現状の施設をそのままにして空き病床を有効に使っていただくことができると思いますが、実際にどの程度開業医にメリットを感じていただけるのか若干不透明な部分があります。この制度は、入院された患者の診療報酬は入院病床がある医療機関に入ります。開業医には、共同指導料という、いわゆる往診料のような報酬が支払われる仕組みになっております。現状で開業されている医師が外来の時間を割いて当院に来ていただくことについて、どこまでメリットを感じていただけるか、若干不透明な部分があると思います。
一例として申し上げました開放型病床を含めて、引き続き、いろいろな可能性について検討していきたいと考えております。

岡村君:開放型病床であれば、今言ったような展開が可能だけれども、開業医のメリットという点で、果たして具体的に展開できるのかという点が課題であることがわかりました。
それ以外に、今の市立病院と同じような状況で、民間の医療機関の医師が一診療科目を市立病院の中で開業すれば、患者は相互利用できます。みずから開業する場合と同じように責任を持ってもらい、診療は市立病院の建物の中で行っていただき、市立病院としては、行政財産使用料をいただくための一定のルール化をするというものです。開放型病床とは別に、もっと自由度が高くなる可能性を研究したことはありますか。

病院事務長:開放型病床と同じように、いろいろな規制がありまして、まず、病院内開業をする場合には、医療法上の診療所の基準を親病院と共有することは認められていませんので、そのブース内で基準を満たさなければなりません。ですから、専属のスタッフ、専属のレジスター、カルテを全部自前で用意していただくことになります。
実際にやっている医療機関がありますけれども、撤退が相次いでおり、常に募集をかけています。それを考えるとなかなか難しいと考えております。
では、病院内開業にどのようなメリットがあるかというと、まず、外来診療費は、そのブースで開業する開業医に全部入りますので、大きな建物のインフラ投資をしなくて済みます。
さらに、入院治療のときに医療機関の設備を使えるということです。開業医みずから行ってもいいですし、当院にお願いしてもいいというものです。今の医師不足というスタイルから言えば、開放型病床と同じように、診療所の主治医があいている時間に入院治療の入院管理もしてくれれば、当院にとってもメリットがあります。
しかし、入院治療費は開業医に入りません。これは医療法上、専従従事場所を届け出なければなりませんが、それは自分の診療所になって、あくまでも市立病院の入院病床は出張扱いとなります。この場合の費用をどうするかというのは、相互の医療機関の取り決めによることとなっておりまして、幾らキックバックすればいいのかという話になります。この取り扱いを決めるのは結構ハードルが高いと思います。
一番のメリットはインフラですが、そこまでして患者が来るのだろうかという疑問があります。可能性を否定するものではありませんし、先ほど医事課長が答弁したとおり、今さまざまな可能性を探っています。市長からも、いろいろな施設活用を検討するよう指示がありますので、いろいろな制度を想定して研究していますが、一緒に地域医療を盛り上げようという熱意のもとにやっていただかないと実現は難しいと考えております。
市立病院のあり方、ひいては江別市の地域医療のあり方の構築から、そのような協力体制が望ましいということであれば、できないことはないということであります。

委員長(清水君):ほかに質疑ございませんか。(なし)
最後に、全体を通して質疑ございませんか。

清水君:市立病院が担う役割の中で、不採算部門を公立病院で担うべきであるという考えは各委員で一致しています。
例えば、民間の単科病院でも、小児科、産婦人科、精神科を担っていますが、それぞれ経営が成り立っています。潤沢ではないかもしれませんが、個人病院でも不採算部門と言われていても経営を続け、存在しています。なぜ、市立病院だけ不採算部門になってしまうのか、非常に疑問ですが、それはどのように考えたらよろしいのでしょうか。

病院事務長:診療科目別に答弁いたします。
小児科は、民間病院に入院機能はありません。診療所ばかりです。診療所ベースで外来診療に特化したら、ぎりぎりですが、採算がとれます。ですから、市内で言えば、あずま子ども家庭クリニックのように病児保育で附属的な収入を得て、より高度な治療をするというある程度創意工夫をしなければ、小児科は診療単価がもともと低いので、経営は苦しいのが実態です。国は、ここ3回くらいの診療報酬改定でかなり手厚くしていますので、昔ほどではありませんが、もともとの診療単価が低いので経営が厳しいことに違いはありません。
診療所の規模では経営が成り立ちますが、医療機関は固定費が莫大ですから、それを小児科の診療単価でやるとなると、政策的に北海道が行っている北海道立子ども総合医療・療育センターがあります。北海道立子ども総合医療・療育センターは黒字などはるか遠い数字ですので、完全に行政からの支援でもっている医療機関です。それは小児高度医療で、道内で北海道立子ども総合医療・療育センターと大学病院でしかできないということで設置されております。まさしく収益性ではなくて、小児の健康を守るという大義名分で建てられた医療機関です。
精神科については、単科の精神科病院における看護師の配置基準が全く違いまして、民間病院の看護師は少ない配置となっています。それと、医師の配置、さらには病院設備の構造があります。例えば、なぜ、江別すずらん病院から当院に内科疾患を併発した患者が紹介されてくるかというと、内科の疾患を併発した瞬間に江別すずらん病院では診ることができないからです。結局、附属的にかかる経費をかけずに、精神科の収容医療に最低限必要な設備投資とスタッフ投資しかしていないので、精神科は単科でも成り立つということです。
結局、精神科は、総合的な病院で、複数の診療科目が併存して、かつ共同で利用する設備、スタッフで運営しようとすると、どうしても固定費が高くなりますので、精神科の単科の原価計算では不採算部門ということになります。
周産期医療については、一定規模までであれば有床診療所でも採算がとれます。産婦人科は特殊で、当院もそうですが、医療法だけでなく、母体保護法が適用されています。正常分娩は医療ではありません。母体保護法が適用される助産所の扱いです。診療単価だけで言うと、正常分娩における加入する医療保険から支給される出産育児一時金は、子育て対策によりここ10年ぐらいで飛躍的に高額になりまして、今は42万円です。民間の産科はこれを全部いただく設定にしています。当院も結構いただいているのですけれども、民間の産科は、それよりもさらに付加価値をつけています。当院もLDRという設備をつくって差別化を図っていますが、民間の産科は、民間ならではの華美な部屋、さらに有名シェフがつくった食事を出すといった付加価値をつけて、数少ない患者を集めています。
ここまではいいのですが、異常分娩などの対応は通常の産科ではできません。これは完全に医療の世界ですので、これに対応するスタッフや設備などを全部そろえるとなると、民間の産科が採算をとるのは無理です。だから、いわゆる地域の産科でできるのは、せいぜい軽度の異常分娩までです。いわゆる妊娠時合併症など、出産後に引き起こされるさまざまな重篤疾病への対応は、例えば、札幌市内であれば、育愛会東邦病院、天使病院、大学の附属病院など、限られた医療機関しか対応できません。そこは部門別に黒字かというと、なかなか厳しい状況です。
また、救急は言わずもがなで、救急単科での黒字はあり得ません。
逆説的ですが、医療機関でやるからこその赤字です。それは高度な医療を提供するがゆえに、その分野ではどうしても赤字が出てしまうとお考えいただいても結構です。これは診療報酬の体系、患者の特性から言って、やむを得ないところがあると現場では考えています。

清水君:我々の認識の中で不採算部門と感じていたものは、莫大な赤字を積み重ねるような類いのものではなく、黒字を生み出さない程度のものと思えました。その程度のものだったら、ほかの課題が解決すれば、一般的に不採算部門と言われているものは、当然、今後も市立病院で担っていくべきものだと思えるのですが、そのような認識でいいのでしょうか。

病院事務長:この場で特定の診療科目の赤字幅を申し上げるわけにはいきません。言った瞬間にその診療科目から医師がいなくなります。これは冗談抜きで言っております。
質疑の趣旨を酌んで言えば、多くはおっしゃるとおりです。ただ、一部の診療科目の赤字幅は相当大きいという現実があります。

副委員長(赤坂君):ほかに質疑ございませんか。(なし)
以上で、市立病院に対する質疑を終結いたします。

委員長(清水君):市立病院退室のため、暫時休憩いたします。(12:37)

※ 休憩中に、今後の委員会の進め方について、及び第4回定例会の委員長報告の有無に
ついて協議

委員長(清水君):委員会を再開いたします。(13:06)
休憩中に協議いたしましたとおり、次回の委員会は理事者質疑を行うこととしてよろしいでしょうか。(了)そのように確認いたします。
理事者質疑項目につきましては、市立病院の役割と経営健全化について、発議者は岡村委員としてよろしいでしょうか。(了)そのように確認いたします。
なお、次回の委員会は、11月22日木曜日の午後1時から開催いたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。(了)そのように確認いたします。
そのほか、各委員からございませんか。(なし)
事務局からございませんか。(なし)
最後に、2第4回定例会の委員長報告の有無については、本日の報告事項及び次回の当委員会で行う予定の理事者質疑の内容等について報告することとしてよろしいでしょうか。(了)そのように確認いたします。
なお、案文につきましては、正副委員長に御一任いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。(了)そのように確認いたします。
以上で、本日の委員会を散会いたします。(13:08)